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駆け出しハンターと愉快な狩人達
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1: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 00:56:15 ID:LEiceYsiw.
ユクモ村

自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた

両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた


983: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:28:43 ID:gWo5pRD/ec
「ルー!!大丈夫か!?」

「問題ない!!」

ルーに怪我がないのを確認してから俺は改めて夫妻を見る

「グガア…アアア…」

「ガアアア…アア…」

二匹とも力無く鳴き、お互いを支えるようにして立っていた

「セネル…」

「わかってる」

俺は夫妻に向かって駆け出す

ここまでお互い命を懸けて戦ったんだ。いい勝負だった

ここで手加減なんてしたら、相手に失礼だ!!

「うおおおおおお!!」

寄り添い合う二匹を楽にするために、俺は全力で剣を降り下ろした
984: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:36:07 ID:gWo5pRD/ec
「グギャアアアア!!」

飛び散る鮮血。響き渡る断末魔…そして、弾け飛ぶ金の甲殻…金!?

「ガアア!?」

「なっ!?」

夫妻に向かって振り下ろした大剣。しかし、それは金レイアを断ち切っただけだった

「番を…庇った?」

降り下ろす直前、金レイアは満身の力を込めて銀レウスを突き飛ばした

銀はよろけて後退りし、金レイアは俺の降ろした剣に首を差し出す形になった

「ガアア…ガアア…」

動かなくなった金レイアを必死に揺さぶる銀レウス…そして

「グガアアアアアア!!」

目からは涙を流し、怒りと悲しみの咆哮をあげる

「傷が!?」

ルーが驚愕に溢れた声をあげる。先程まで血だらけだった銀レウスの傷がみるみる塞がっていったのだ

「ちぃっ!!またか!!」

ルーが武器を構えて俺の隣に立つが、俺は黙って調合していた

「セネル!!こんなときに何を…っ!?」

俺はルーに向き直るとモドリ玉をぶつけた
985: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:42:35 ID:WdcfcM3W0U
「セネル!!」

視界が緑に染まり、気がつくとベースキャンプに立っていた

「あいつ!!」

私は急いでセネルの元に向かおうとしたが

「お止めなさい」

「どけ!!ルーク!!いくら貴様といえど容赦はしない!!」

「なら、意地でも引くわけには参りません。彼の、セネル=ボルアスの意思を尊重します」

「何が意思だ!!私達はハンターだ!!あれは仕方のない事だった!!セネルが悪いわけではない!!銀火竜が悪かったわけでもない!!金火竜が勝手にしたことだ!!」

「だからですよ。ルーさん。だからセネル君は貴女をベースキャンプに戻したのです」

「何を!?」

「貴女が言う勝手にしたことですよ。セネル君にとっては違いますが」

「私は!!この槍であいつに立ちはだかるもの全てを穿つと誓ったんだ!!」

「銀火竜はセネル君には立ちはだかってはいません。信じて、待ちましょう」

「・・・くそ!!」
986: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:56:18 ID:gWo5pRD/ec
「・・・」

「グルルルルル…」

にらみあってから何分が経っただろうか、いや、ひょっとしたら一分も経過していないのかもしれない

それくらいに錯覚するほどに俺は銀レウスとにらみあっていた

何故だろう。先程の行動は確かに衝撃だった
でも、段々時間が立つに連れて俺は怒りを覚えていたのだ

そんなことをしたレイアに

「自分の身も守れなくちゃ…大切な人なんて守れやしない!!」

俺は剣を構えて銀レウスを睨む

「ガアアアアアア!!」

「守る方法なんて!!いくらでもあるだろ!!」

剣を降り下ろし、銀レウスの甲殻を裂く
銀レウスは痛みに顔をしかめながらもブレスを俺に放った

「許せないんだよ!!守るためにそんな選択しか出来なかったレイアが!!そんな選択をさせたお前も!!」

剣を横に払い、降り下ろす

銀レウスから血が吹き出て甲殻が破ける
剣を振り上げ顔の甲殻を砕く
銀レウスは既に虫の息で立っているのもやっとだった

「命は、命はそんなんじゃない!!」

力を込めて剣を降り下ろす

「グガア…アアア…」

銀レウスは弱々しく声を出しながらゆっくりと地に沈んだ
987: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:01:47 ID:WdcfcM3W0U
「セネル!!」

無事に戻った俺にルーが駆け寄り力いっぱいに抱き締めてくる

「お前は!!勝手に…」

「ごめん。ルー…でも、あのレウスは俺が倒さなくちゃいけなかったんだ…」

「・・・」

ルーは答える代わりに俺を抱き締める力を強くする

頬には涙を流れていた

「頼む…私を置いて…どこにもいかないでくれ…私の目の前から…消えないで…」

「大丈夫だよ。何度も言ってるだろ?俺は死なないって、ルーの側にいるから」

「・・・」

「俺はルーが好きだから、愛してるから、守ってみせる。自分の身を犠牲にしてなんかじゃなくて、二人一緒に、かっこわるく無様に生き延びてみせる」

「・・・ばか」

ルーは声をあげないようにしゃくりあげながら泣いていた
988: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:10:49 ID:gWo5pRD/ec
「お二人ともー、次は爆鎚竜の紅玉が欲しいですー」

「またかよ!?」

あれから数日、結局ルークは火竜の紅玉を入手出来ず、自力で入手していた

俺は銀レウスから剥ぎ取った紅玉を大事にポーチに入れている
ルークは最初は羨ましそうに見てはいたが

「まあ、男の勲章ってやつですね」

と、納得して大事にするようにと言ってくれた

「というわけで、ウラガンキンいきましょう!!」

「はぁ…どうする?ルー」

「私は構わないぞ?君が守ってくれるからな」

「・・・ああ」

そうだ…守るって誓った 色んな人に、生き物に

ならば俺は守り抜いて見せる

何故なら、俺は一人じゃないから
仲間が、かけがえのない人達がいるから…


【金銀夫妻の試練】


fin
989: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:16:26 ID:gWo5pRD/ec
【駆け出しハンターと愉快な狩人達】

「セネル!!貴様また腕を上げたようだな!!」

「教官…いつまで俺を子供扱いするんだよ…」

「ふははははは!!我輩は生きとし生けるハンター全てを子供扱いするぞ!!」

「・・・全く」

「それはそうと、ユクモ村を離れるらしいな…」

「ああ」

「・・・寂しくなるな」

「あれ?教官寂しいの?」

「馬鹿を言うな!!我輩は全てのハンターの一番先頭を行く者!!貴様一人に一々感傷的になるわけがあるか!!」

「あはは、まあ、そうだな」

「挨拶は済ませたのか?」

「一応、教官は一番最後なんだ」

「ほう。尊敬する我輩を一番最後にするとは…なかなか殊勝な心がけだな!!」

「(・・・忘れてたなんて言えないな)」
990: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:21:15 ID:gWo5pRD/ec
「じゃあ、俺もういくな」

「うむ!!向こうでもみっちりしごいてもらえ!!」

「ははは、遠慮しとくよ」

「セネル!!これだけは覚えておけ!!」

「?」

「どのハンターも最初は必ず駆け出しだ!!貴様の両親も、ルーもルークも例外ではない!!」

「だが奴らは強い!!それはなぜか分かるか?」

「・・・」

「それはな…我輩を含めて、あいつらの周りには愉快なハンターがたくさん集まるからだ!!」

「人の輪というとは様々なドラマを生み、出会いは必ず何かを起こす!!良くも悪くもだ!!」

「セネル!!もしも貴様が一流の狩人を目指すなら…沢山愉快な仲間を作れ!!」

「それが我輩からの、最後の訓練だ」

「ありがとう…教官」
991: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:26:28 ID:WdcfcM3W0U
「もう終わったのか?」

「うん」

「教官、なんて言ってたの?」

「愉快な狩人を作れって」

「はは、教官らしいアドバイスですね」

「うん…本当に」

「セネル様…行く先の村でも、活躍なされるのを祈っております」

「ありがとう。村長さん」

「寂しくなるなぁ…たまには顔見せてよ?」

「忘れないで下さいね。貴方には帰る場所があるということを」

「ありがとう。コノハ、カエデさん」

「向こうについたら君はまたHR1からだが…本当にいいのか?」

「いいよ。どんなハンターも最初は駆け出しだったんだ」

「そして、皆強くなって…成長する」

「・・・ああ」

「っと、もうすぐ馬車が来るな…村長さん。皆…」

「いってきます!!」


【駆け出しハンターと愉快な狩人達】

fin
992: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:30:25 ID:gWo5pRD/ec
皆様こんばんは

さぎしです

というわけで、駆け出しハンターと愉快な狩人達

これにておしまいとなります!!
ここまでこれたのも皆様のご支援応援のお陰です!!


本当にありがとうございました!!

このあとの予定ですが
新作MHSS制作の繋ぎとして

モンハンSS第三弾

【モンハン】魔物黙示録【SS】

と、オリジナルSSを一つ書く予定です

えー、長くなりましたが、ここまでのご回覧本当に乙狩れ様でした!!

長い間ありがとうございました!!
993: 名無しさん@読者の声:2013/2/28(木) 23:19:17 ID:gP4JtfV4Ig
乙狩れ様!
今回も本当に楽しいSSでした!

また次回も必ず読むから頑張ってね♪

次回に向けて支援
つCCCCCCCCCCCCCC
994: 名無しさん@読者の声:2013/2/28(木) 23:43:19 ID:gWo5pRD/ec
(;´д`)踊り疲れた…

乙でした。次の作品まで、また舞ってますね。ゞ(^o^ゝ)≡(/^_^)/"o(^-^o)(o^-^)o
995: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/3/1(金) 17:51:55 ID:yy8uT.WIIA
>>993

ありがとうございます

次回も頑張らせていただきます
次回はモンハンSSではないんですがねwww


>>994

もう踊らなくてもいいのよ?

ありがとうございました
996: 名無しさん@読者の声:2013/3/1(金) 19:38:30 ID:tCJ8JUJvHQ
さぎしさんの文才に圧倒されました。
おつ狩れさまでした。
997: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/3/2(土) 12:52:44 ID:LZLGIJcYkw
>>996

こちらこそ、長い間ありがとうございました

文才なんて、私には無いですよ〜
998: 名無しさん@読者の声:2013/3/2(土) 23:43:32 ID:4G2TUF7rtg
乙狩れ様ー
っ古の秘薬
っカルピス?
999: 名無しさん@読者の声:2013/3/3(日) 02:42:46 ID:CFLmb6CSvM
おつかれ!

次作に支援\(^o^)/
1000: 名無しさん@読者の声:2013/3/3(日) 07:03:32 ID:8E/OsEWieY
乙狩れ様でした

つ元気ドリンコ
1001: 1001:Over 1000 Thread
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ニニニ(゚Д゚∩コ
|_|⊂  ノ
   / 0
   し´

えっ…と、
1001はここかな…と
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`ヽ   /)ニニニコ
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  ∧∧ ミ ドスッ
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