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三蔵「…岩から尻が生えている」
[8] -25 -50 

1: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/6/28(金) 01:13:20 ID:clfaSnFbdM
尻「…はっ!!誰か居るのですか!?」

三蔵「見たところ20代そこらか。いや、肌の張りからすると、17、8かな」

尻「ああ…こんな人里どころか鳥の声さえ聞こえない不毛の地に、とうとう人が…!しかも声から察するに殿方…!」

三蔵「しかし無駄に毛深いな」

尻「ついに…ついにメチャクチャにされちゃうんですね…!この通りすがりの名も知らぬ殿方に性の捌け口にされちゃうんですね私のお尻…!あと毛深いとかヒドイ」

三蔵「うるさい尻だな…いくら仏の教えとはいえ、こんなのも助けるべきなのか…?」

尻「仏の教え…?僧侶さま…なのですか?」

三蔵「うむ。僧だよ。玄奘三蔵。…それにしても毛深いな…特に尻のあ」

尻「やめて!!…こ、これは失礼をしました…!仏に仕えるお方は、そのような煩悩は無いのですね!」

三蔵「いや俺ロリコンだから。女は10歳以下しか認めない」

尻「おい」

三蔵「下の毛とか意味わかんない」

尻「おいこら」


927: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/12(月) 23:50:30 ID:KExN5FUd7w
フローレ「く、傀儡……な、なあラーツ、何を、何を言って」

ラーツ「理解力の無い……そういうトコも苛々するんですよ貴女は。だぁかぁらぁ?モンスターを造り出して兵隊とし、国中にバラ撒いたのもワタクシ!あの日、城をドラゴンに襲わせ、モンスター兵の素晴らしさを理解しない馬鹿共を焼き殺したのもワタクシ!……あぁ、あのクソ王と妃は、食い殺させましたけどね?」

フローレ「……な……な………」

ラーツ「しかしまさか王子のニセモノがやって来て、それが件の偽善者集団とは。止めてくださいよ、せっかく一年かけて人心を掌握し、実質的に国王の権力を得たと言うのに……ああ邪魔邪魔!ぜんぶ邪魔!」

フローレ「……ニセ……モノ………違う、王子、王子は」

ラーツ「……ふん」

コロッ……

フローレ「……っっ!!」

ラーツ「返しますよ、それ。どっかの馬鹿餓鬼が後生大事に握り締めていた指輪。宝石としての価値は薄いし、お金にもなりませんから」

フローレ「……お、うじ、の……サン、ストーン……」

小龍「………もう、宣う台詞は尽きましたか」

ラーツ「………大方、ワタクシに勝てるつもりでいらっしゃる御様子。東の僻地でどれだけ有名か知りませんが……世界を知らぬ田舎者が、チンケな正義感を燃やして意気がるのも、もう不愉快です」

小龍「……正義だなんて、私の一番嫌いな言葉ですよ」

ラーツ「貴方も扱い易そうなら、傀儡になってもらうプランもあったんですけどねぇ………もう全員死んで下さい!邪魔!邪魔邪魔邪魔ジャマぁぁっっ!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!

三蔵「うおっ!?」

沙悟浄「旦那様、掴まって!」

悟空「お姫さまも!そこ危ないコッチ!」

八戒「……召喚術か」

黒竜「グルルルルルルル……!!」

ラーツ「……ワームやリザードマンと比べて貰っては困りますよ?マスターの命令です、全て殺しなさい、ブラックドラゴン!!!」

黒竜「グオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!」
928: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/14(水) 12:48:26 ID:PK4ZEzZHf6
三蔵「うおお床崩れる崩れる!」

八戒「せっまい部屋で毒竜(西洋のドラゴン)なぞ召喚しおって……っと。ほ、丁度良く真下は大広間か」

悟空「お姫さまボーッとしてないで!どうするこの子どっか逃がす!?」

沙悟浄「いや、一人にしちゃうのはどうだろね。それに、ウダウダ考えてる余裕は」

黒竜「ヴルォォォオオオッ!!!」

ガキィィンッッ!!

悟空「……うん、無いね。うへぇ、馬っ鹿力ぁ……!」

三蔵「爪でかっ。迫力ものすげぇな。こえー」

悟空「サラッと言ってるように見えていつも通り腰を抜かしてるお師匠さまがカッコ悪い」

ラーツ「ほぉ……ドラゴンの爪を受け止めますか。驚愕です、素晴らしい」

沙悟浄「…随分落ち着き払ってるじゃないのさ、憎たらしい」

八戒「ま、仕方あるまい。何せこの毒竜」

ヴゥゥゥゥンッッ!!!

悟空「わひゃーっ!?」

ドガァンッ!!
929: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/14(水) 12:51:37 ID:PK4ZEzZHf6
三蔵「悟空っ!おい吹っ飛ばされたぞアイツ!」

八戒「……かなり、強い。単純な膂力ならば、姉者すら凌ぐじゃろ」

三蔵「マジか。なんとなくだけど俺、あーゆー怪獣っぽいのってお前らから見たら楽勝なのかと思ってた」

沙悟浄「勝てなくは無いんだよ。オツムも獣だし、厄介な術を使うワケでも無いしねぇ。ただ完全にぶっ倒すとなると、骨が折れるね」

八戒「然りじゃ。毒竜は龍族の中でも、四肢強く戦闘向きのナリをしており、鱗の頑強さ、炎の耐性共に頭抜けておる。ワシならば迷わず逃げるのう、面倒極まりない」

沙悟浄「あれだよ旦那様、熊やら虎やらを素手で仕留められる達人って、人間にも居るだろう?かと言ってその達人にとって、熊や虎は油断できる相手じゃない、みたいな感じさね」

三蔵「おお、なんかわかってきた」

八戒「うむ七十点。その説明ならば合格じゃ悟浄。ほれ、師匠殿はワシが見とるから、お主も手伝うて来い。姉者との連携は良い鍛練になるぞい」

沙悟浄「いやまあ一人で任せるのも悪いし、行くけどさ……てゆーか満点おくれよ厳しいよ」

三蔵「お前はなんで楽しようとしてんだよ」

八戒「じゃってワシあーゆー手合い苦手じゃもん。先のミミズ程度の雑魚ならば良いが、話が通じん上にタフじゃとか、敵として趣味では無い」

三蔵「そこで放心状態の姫さんの前で固まってる忠臣に対して、戦いもせず申し訳なく無いのか諸悪の根元」

八戒「ワシが成り済まさせたからこそ、姫君の命も助かったと言うものじゃ。結果オーライじゃろ」

三蔵「結果出てねぇよ今必死で小龍が結果どーするか考えてるよ見ろよ目がグルグルになってるよ」

八戒「静かにテンパる小龍、面白いのう」

三蔵「おいこの君主そのうち滅びるから転職考えろ小龍」
930: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/15(木) 17:21:53 ID:965sdwRtHU

悟空「伸びて如意棒っ!」

沙悟浄「そこっ!喉元もらったぁっ!」

ガキキキキンッッ!!

黒竜「ゥルルルル……!!」

悟空「うわ硬っ。鱗ってゆーか鎧だねもう」

沙悟浄「んん……悟空姐さんで貫けないんじゃ、アタイが正面からってのは、ちとキッツいねぇ……っと、尻尾くるよっ!」

悟空「おっけ受け止める!回り込んで悟浄ちゃん!」

沙悟浄「あいよ姐さんっ!」


三蔵「……軽く、攻めあぐねてね?」

八戒「あぐねとるのう」

三蔵「そんっなに強ぇのか、あれ」

八戒「強いのう」

三蔵「……これでもか、ってくらいの楽観だな。俺が言うのもなんだが」

八戒「じゃって勝負なんぞヤる前から見えとるし。ほれ悟浄!そこは多少危険を侵しても潜り込まんか!逆に姉者は勇猛過ぎじゃ!良い機会なんじゃから、力押し以外の技も鍛えい!」


沙悟浄「……っさいねぇ、あの幼女……」

悟空「まあ悪びれて低姿勢になる八戒ちゃんとか気持ち悪いから別に良いけどね」

沙悟浄「あはは、だね。……さて、まだ掛かりそうかね?」

悟空「ムチャ振りどこじゃないからねー。も少し運動してよっか」

沙悟浄「ん。……ところで姐さん、もしマジでやるんなら、どんな具合だい?」

悟空「うーん……わかんないけど、倒そうとするなら、お城無くなっちゃうよ多分」

沙悟浄「あー、あーあー。うんやっぱシャオ待とう」

ラーツ「お喋りしながらとは、随分と呑気ですね?……の割には、我がドラゴンに、傷一つ付けることも出来ない御様子ですが」

沙悟浄「……ムッカつくねぇ……スカシた男、嫌いなんだよねアタイ。一発だけヤキ入れちゃダメかねアイツ」
931: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/15(木) 17:23:17 ID:965sdwRtHU
悟空「やめときなよ、シャオくんの邪魔になるかもだし。私ら脳筋コンビじゃ、上手いオチの付け方もわかんないんだから」

沙悟浄「悟空姐さんに言われるとなんか危機感を覚えるね、それ。勉強しようかねぇ……」

悟空「なんでさ失礼な!」


三蔵「……なに?手ぇ抜いてるってコトかアイツら?」

八戒「や、そうではない。二人とも全力で打ち込んでおるし、全力で動いておる。が、倒す算段はしておらぬ、と言う事じゃ。あれは時間稼ぎの場繋ぎじゃて」

三蔵「なんの時間稼ぎだよ」

八戒「んなもん小龍待ちに決まって居ろうが。小龍が出れば勝ち確定なんじゃから」

三蔵「へ?」



フローレ「………黒い……ドラゴン………叔父上……叔母、上…………王子……ローウン王子………」

小龍「……………」

フローレ「死んだ……?王子も、死んだ……?ラーツが……殺したの……?これは、何……?なんなの、これ……?」

小龍「……フローレ、さん」

フローレ「嫌っ!!!」

小龍「……っ」

フローレ「……もう………わからない………!王子が……死んだなら……居ないなら!貴方はなんなの……?」

小龍「……私は」

フローレ「王子だって言ったじゃない!帰ってきてくれたんでしょう!?死んでない!王子は死んでない!!貴方は王子でしょう!?ねえ!?……ねぇ……ローウン……なんでしょう……!?」

小龍「………………その者は、もう、生きてはいません」

フローレ「………う、う、うう……うぁ、うぁぁあ」

小龍「………悟空さん!悟浄さん!」

悟空「おっと、はいはーい」

沙悟浄「ん、終わりかい?」

小龍「………あとは、私が」
932: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/16(金) 17:59:23 ID:yH514xoAY.

ラーツ「………おや。選手交替ですか?夜明けまでには綺麗さっぱりとさせたいので、巻きで御願いしたいのですけども」

小龍「……同感です」

ラーツ「今度はニセモノさんですか。しかし本当によく似ている……瓜二つですよ。あの小憎たらしい糞餓鬼そっくり……ふふ、同じ様にグチャグチャにしてやりたくなります」

フローレ「……ラーツ…」

ラーツ「おやおや姫、まだそんな所で呆けてたんですか。ま、逃げたところで殺しますが」

フローレ「……なあ、嘘だと……嘘だと……」

ラーツ「まさか貴女、まだこれが悪い夢だとか思ってたりします?現実ですよ現実。フローレ姫の愛しい愛しいローウン王子は………ワタクシが顔面を切り裂き!手足を潰し!この手で心の臓を貫きました!現実は非情ですねぇ姫!あは、あははははは!!!」


八戒「……ふむ。完全に悪に呑まれとるの。手段としての悪行ではなく、其が行為そのものに悦る様になってしまっては、もう手遅れじゃな」

悟空「お兄ちゃんも大悪人だけど、あーじゃないなぁ」

沙悟浄「ま、ああなると悪党とは呼べないね。狂人の類いだよ」

三蔵「で、その狂人の相手、小龍だけで平気なのかよ」

八戒「ほ、意外と心配性じゃの、師匠殿。平気と言うたら平気じゃ」

沙悟浄「旦那様、アタイらずっと旅して来たけどさ。龍に襲われた事、あるかい?」

三蔵「へ?……ああ、そういや無いな」

悟空「龍の棲処になってるよーな山とかも、けっこう越えて来ましたよ実際」

三蔵「……どゆこと?」

八戒「襲われるワケが無いんじゃよ。ワシらには、小龍が居るのじゃから」
933: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/16(金) 18:01:21 ID:yH514xoAY.


フローレ「………ひ、い……あ、ああ……」

ラーツ「くく、くくくく……予想外に面白いですね。あの気丈で勝ち気な姫が、こうも言葉を失い狼狽するとは……一緒に掃除してやろうと思ってましたが、こんな姫なら飼うのも一興か……ドラゴン!姫を此方へお連れしなさい!」

黒竜「グルルル……ルァァア!!!」


ガギィィンッッ!!!


黒竜「ゥルァッ……!?」

小龍「………やめろ」

ラーツ「……ほぉう。隠しナイフ」

小龍「………“フローレ”に、近付くな」

フローレ「………え……?」

ラーツ「は。剥き出しの正義感……ああ嫌だ。まるであの糞餓鬼本人ですよ。死人を相手にしているようで気持ち悪い」

小龍「……死人を相手にしてるんだよ、お前は」

ラーツ「……はい?」

小龍「…まさか“ボク”を忘れたとは言わせないよ、“ラーツ”。お前に顔を切り裂かれ、四肢を潰され。胸を貫かれた、このボクを」

ラーツ「……やめろ。何の真似だ」

小龍「…何の真似かは、こっちの台詞だ!」

ラーツ「っ!!」

小龍「父を殺し!母を殺し!城の仲間を殺し!……そして今また、ボクの大切な人を……フローレまでも手に掛けようだなんて、許さない!」

ラーツ「…な、なな、何を馬鹿な事を……!?」

フローレ「……ロー……ウン……?」

小龍「……ただいま、フローレ」

フローレ「お、うじ……王子……!」
934: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/16(金) 18:03:28 ID:yH514xoAY.
ラーツ「ふ、ふざ、ふざけるな!王子はワタクシが殺した!ソイツは、ソイツは王子じゃない!!」

フローレ「生きてる、生きてる……ワタシの王子……!!」

小龍「……ううん。ボクは、死んだ。殺された。……奴に」

ラーツ「ひっ……!!」

フローレ「…死んだ…って、だって、ここに」

小龍「…死んだボクにね。神様が、ふたつだけ、ワガママを許して、叶えてくれたんだ」

フローレ「ふた、つ……?」

小龍「…君に、フローレにもう一度逢うこと。そして」


ヴゥゥゥンッ……!!


小龍「……君を守る力を得ること」

ラーツ「ひ……なな、なんの芝居か知りませんが、も、もういい!殺せブラックドラゴン!全て喰い殺せぇぇえ!!」

黒竜「…グ……ゥルルゥ……」

ラーツ「……どうした!?命令を聞け!殺せ!そ、そうだ炎だ!地獄の黒炎で、全部焼き尽くせ!城なんて、モンスター兵を他国に売り込み、いくらでも稼いで建て直せる!やれ!」

黒竜「……ル、ルァァ……グァァァアッ!!」

小龍「……龍神形態……」


シュウウウウウウ……!!


黒竜「……グゥルゥ……!!?」

ラーツ「あ、あ、あああ、あ」

小龍「……これが、君を守る力………」

フローレ「………白い……ドラゴン………」
935: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/16(金) 18:08:59 ID:yH514xoAY.
小龍「………異形の竜よ」

黒竜「……ゥゥゥ…!!」

小龍「我に、牙を剥くか」

黒竜「……グルゥゥゥ……!!!」

小龍「種が頂点に、逆らうか……!!!」

ゴォォォォッ!!!

黒竜「グ、グゥゥルルッ!?……ゥゥン……!!」

小龍「……そうだ。還れ。二度と人間を襲うな」

ラーツ「な、何をしている!こんな、こんな変なドラゴンごとき」

小龍「…待て。……去る前に、塵の掃除をしていけ」

黒竜「アゥ……ゥルル……」

ラーツ「……お、おい?ど、ど、どうした?か、勝てないのか?に、逃げるなら、ワタクシ、ワタクシも」

黒竜「……ゥルルルルァァァァアッッ!!!」

ラーツ「よ、よせ!!来るな!!うあ、うあああああああああああああああ!!!」



八戒「……小龍は、龍神、竜王が一族、その純血種じゃ。窮鼠猫を噛むやも知れんが、猫は虎には噛みつかぬ。毒竜とは多少血が遠いからの、格の違いに直ぐには気付かんかったようじゃが」

沙悟浄「シャオが居るとね、そこらのノラ悪龍なんて、近付いただけで逃げちまうのさ」

悟空「ってコトですお師匠さま」

三蔵「あ、うん……それはわかったけどさ」

悟空「うん?」

三蔵「小龍のヤツ随分とファンタジーな感じで話進めたなおい」

沙悟浄「ちょっとムリヤリ感あるよね。いけるかね、あれ。あと台詞がクサイんだけども」

八戒「いやオナゴはこーゆーの好きじゃろ。まあ多少演技過剰なきらいもあるが、流石ワシの小龍じゃ。うむうむ、嘘は吐き通せば真となる!」

悟空「シャオくんが一生懸命考えた設定にゴチャゴチャ言うのやめたげて」
936: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/17(土) 20:37:57 ID:m4upFD38RM

シュウウウウウウ……


小龍「……フローレ。……終わったよ」

フローレ「………王子……ワタシ……ワタシ……」

…ギュッ……

フローレ「……!」

小龍「……ごめんね。また君を、一人にしてしまう」

フローレ「……なんで………居てよ……ここに居てよ……ローウン……!」

小龍「……人は、甦らない………ボクはもう……この世には居られない……」

フローレ「…嫌だ……嫌だよ………ワタシひとりで、無理だよ……!」

小龍「……見てるから」

フローレ「う、うう」

小龍「見てるから。ずっと、空から、君を。……ボクのフローレ……」

フローレ「うあ、うぁぁぁぁん……!」



悟空「…グスッ……すごいね、純愛だね……」

三蔵「おい悟空、鼻毛湿らせてないでお前ちょっと城内見回ってこい。このラストで敵がまだうろついてたら締まんねーだろ」

悟空「感動ひとつさしてくれやしないよこのお師匠さまは……あれ、八戒ちゃんは?」

三蔵「『どうせ地下あたりに妖魔を造り出していたラボがあるはずじゃ』とか言って潰しに行った。お前も働け」

悟空「あーありそうありそう……で、悟浄ちゃんは何してるの」

沙悟浄「や、こう、うまーくシャオがキラキラと消えてくように幻術をだね?」

悟空「ああ……なんかシャオくんキラキラしてるな幻想的だなぁと思ったら。アシストご苦労様だけどタネを知っちゃうとなんだかなぁ……」

三蔵「えっとつまり、俺らは記憶喪失の男の子を保護してて、それが実は天国からやって来た王子様だった、ってコトにすりゃ良いんだよな。うん」

沙悟浄「だね。アタイらもビックリしてるフリしなきゃねぇ」

悟空「ウチには感動を共有できる人が居ないなあ本当」
937: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/17(土) 20:38:39 ID:m4upFD38RM



八戒「ふわぁぁ……寝不足じゃ……」

三蔵「流石に城に長居は出来ねーしな。かと言って城下で宿探すのもマヌケだし」

悟空「……お姫さま、見送りに顔出してくれなかったね」

沙悟浄「城の人間たちに、事の次第を説明してくれただけでも上々だろうさ。ってかアタイら以外は姫さんしか事情知らないんだしね、説明してくんなきゃ困るワケだけども」

小龍「……これで良かったのでしょうか」

八戒「良い。少なくとも、救えるだけの命は全て救うた。これ以上に良い顛末は有るまい」

沙悟浄「あのモノクル野郎がおっ死んで、辺りの邪気も消えたしね。アンタは良くやったよ、シャオ」

三蔵「まあ演技はクサかったけどな」

沙悟浄「アタイ尻がムズ痒くなっちまったよ」

八戒「ワシ後半見とらんのじゃけど、更にか?」

悟空「やめたげてってば!」

小龍「……悪意の無い者を欺くのは……少し、気が咎めるものですね」

八戒「……ほ。お主も、心が成長してきたのう」

沙悟浄「んじゃ成長しないダメ幼女は、とっとと今回の功労者の背中から降りようか?」

八戒「ぬおっ!?これ悟浄、姉弟子をレジ袋みたいに持つでない!……おい師匠殿、何じゃそのノートは」

三蔵「デザイン帳だ。今回のペナルティは選ばせてやろう。幼稚園児ルックと魔法少女コス、どっちが良い?」

沙悟浄「あ、旦那様旦那様、悟空姐さんがちっちゃくなった時用に、もう一着小さめの頼むよぅ♪」

八戒「そうじゃの、肩掛け鞄とか便利そうじゃし幼稚園……では無いわワシを着せ替え人形扱いするでない!ええい離せ悟浄ーっ!」

悟空「さらっと私にまで着せようとしないでくれないかな悟浄ちゃん……シャオくんもう馬から戻りなよ、お城見えなくなったし」

小龍「…はい。では」

ボワンッ

小龍「…まあ、山越えでも無いですし、悟能様も当分解放されないでしょうし……」

「これは驚きです。そんな魔法もあるのですね」
938: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/17(土) 20:39:25 ID:m4upFD38RM
小龍「っ!?」

悟空「はへっ!?」

フローレ「ふふ、隣国へ出る道はこれひとつ。待ち伏せさせて貰いました。しかしネズミを白馬にする話は聞いたことありますが、人が化けるだなんて、不思議な魔法です…!」

悟空「うわあああシャオくん隠れてぇぇえ!」

小龍「…いや、もう、遅っ……!」

沙悟浄「ア、アレかい!?とりあえず一発気絶させて記憶を」

八戒「よ、よし悟浄ソレじゃ!」

三蔵「アレでもソレでもねーよやめろ!」

フローレ「ふふ……そんなに警戒しないで下さい、大丈夫、わかっております。サンゾー様、ゴクウ殿、ハッカイ殿、ゴジョウ殿。………そして、シャオロン様……で、良かったでしょうか」

小龍「……!」

八戒「……全て、見抜いておいでであったか?」

フローレ「……騎士気取りの男勝り、そんなワタシでも、一応は女。……この身を抱き締められれば、気付きます。……ああ、あの人じゃ無い、って」

三蔵「女ってすげぇな、俺なんてタワシと悟空の違いもわかんねーのに」

悟空「このシーンでぶち込まれてもスルーしますよ」

フローレ「……きちんとお礼を言いに来たんです。国の危難を救っていただき、本当に……本当にありがとうございました!」

沙悟浄「……ああ、いや、うん………怒って、無いのかい?」

フローレ「…何の怒りがございましょう。あの男の邪な野望を砕いてくれた。ワタシの命を助けてくれた。感謝しか……ございません」

沙悟浄「そ、そうかい?いやぁ姫さん人が出来て」

小龍「……私は、貴女を騙しました」

沙悟浄「ちょ、シャオ?」

小龍「…私は、貴女の大切な方を装い、騙しました。主が命とは言え、他に幾らでもやり様はあったでしょう。しかし、私は最後まで……貴女を欺く事を選んだ」

悟空「シャオくん……」

小龍「……何故、怒らないのですか。憤らないのですか。怨まないのですか」

フローレ「………だって、貴方はそれを選んでくれた」

小龍「……?」
939: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/17(土) 20:40:37 ID:m4upFD38RM
フローレ「ワタシが一番、ワタシの心が一番救われる方法を、とってくれた」

小龍「……そんなこと」

フローレ「貴方は、王子の振りをしていたけど……本気で怒ってくれた。守ってくれた。本気で、優しく、してくれた」

小龍「……申し訳…」

フローレ「謝らないで?……嬉しかったの。この人は、彼では無いけれど。この人を、ワタシの元へ導いてくれたのは、きっと、彼だと……きっと……!」

小龍「…フローレさん……」

フローレ「……スンッ……ダメですね。これからは、ワタシがこの国を引っ張っていかなくてはならないのに。……もう、この甲冑姿も最後です。もう、騎士でも……姫でも無く………王に、なるのだから」

小龍「……あ、あの」

フローレ「……ありがとう、シャオロン様。貴方にフローレは、救われました」

小龍「………っ」

フローレ「……もし、それでも。王子を騙った事を、それでも気に病むと言うなら………ひとつだけ。ワタシの願いを、聞いて頂けますか?」

小龍「…勿論です。私に出来る事ならば」

フローレ「……最後に……姫として、最後に、もう一度だけ。……ワタシの王子に、なってください……」

スッ……

フローレ「……ローウン………」

小龍「……ん、むっ……」


沙悟浄「ひゅう♪だいた〜ん♪」

悟空「こんな綺麗なキスシーン、シャオくんしか出来ないね!」

三蔵「言ってて悲しくなんねーのかお前は。……お、流石に不機嫌か、八戒?」

八戒「ふん。………ま、これくらいは、の。許してやるわい」


フローレ「……必ずや、良い国にしてみせます。貴殿方が、また、訪れたくなるような。……また、来てくださいね……きっと」

小龍「……はい。また……きっと」



〜西遊後伝・王子と姫騎士〜

『百花白龍物語』
940: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/17(土) 20:43:59 ID:m4upFD38RM






八戒「むう………」

悟空「どしたの眉間にシワ寄せて。あ、やっぱ口は気に食わなかった?頬っぺくらいがラインだった?」

八戒「違う。……隠視術が、解けたのじゃ」

沙悟浄「はん?そりゃあ術者が消えたんだから、ねぇ。何言ってんだい姐さん」

八戒「じゃから違う。今さっき、解けたのじゃ。……小龍と姫君が接吻した辺りで、じゃ」

三蔵「……あ?それおかしくね?」

八戒「ウザったいから意識せんよーにしとったせいで、完全に忘れとったが、解けて気付いた。さっきまで術が掛かっておったのじゃ。……どういうコトじゃ……?術者はあの大臣では無かったのか……?」










〜天界〜

「天蓬水軍艦隊、残存五隻!八割方、墜とされてしまいましたぁ!」

「城内の衛兵も全て出せ!これ以上の突破を許してはならぬ!」

「絶対に下界へ行かせるな!天部官軍の意地にかけて止めるのだ!」
941: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/17(土) 20:44:42 ID:m4upFD38RM

天部武将「ぐぬぬぅ……戦況は一向に好転せぬか……!」

伝令「只今戻りました!」

天部武将「おお!任務御苦労!で、恵岸様はお連れしたのであろうな!?」

伝令「そ、それが……恵岸行者、木叉様………観世音様のマタニティスイミングに付き添うとの事で、参戦叶いませんでしたぁ…!」

天部武将「なにしてんのあのバカップル!?この非常事態に!!まだ生まれてもねぇガキの胎教より必死で戦ってる部下を気遣えよ!!てゆーか、てゆーかぁぁあ!!!」

伝令「お、落ち着いて下さい隊長…」

天部武将「オメーの弟だろうがぁぁぁぁあっっ!!!」




哪吒「ウチを下界へ行かせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええっっ!!!あの辺一帯、焼け野原にしたるんやぁぁぁあっっ!!!」

天兵「ナ、ナタ様!どうかお鎮まりをひでぶっ!!?」

哪吒「鎮まれるワケあるかぁボケナスがぁぁあ!!!ハグまでは、ハグまでは我慢した!ウチ我慢したぁ!」

天兵「なんの話でぐぼえっ!!?」

哪吒「でも!でもでも!キ、キキキ、キシュシュ……キスは許されへんんんんん!!!ウチのシャオ様の唇ををを……相手が誰や知らんけど、国ごと消し去ったるぅぅぅうう!!!」

天兵「いやいやナタ様!?国とか消しちゃダメですってうぎゃぁぁあ!!?」

哪吒「シャオ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっっ!!!うわぁぁぁぁんっ!!!」






おしまい。
942: 名無しさん@読者の声:2015/1/20(火) 01:35:00 ID:3B/Y4RmXm2
盗み見はお前かwww
943: ヨシュア【新春特番いまさら】 ◆.frSdr10QQ:2015/1/20(火) 15:25:28 ID:yH514xoAY.
〜西国、とある宿屋〜


悟空「あー!ダメだってば花瓶いじっちゃ!うあぁもうそんなもの口に入れちゃダメ!こらー!」

太上老君「ひょひょ……大変そうぢゃの、石猿」

悟空「そうだよ大変なんだよだからSOS飛ばしたんだよ何とかして!うわぁん!」

太上老君「ふぅむ……やはり原因は、如意金箍棒の暴走ぢゃな……籠められた仙力が不安定になっておる。漏れ出した力が、皆に影響を及ぼしたのであろうのう。そもそもこれは天海の支柱として造られ……」

悟空「そんな能書きはどうでも良いから何とかしてよ!痛たたた尻尾引っ張んないでってばぁ!」

さんぞー「しっぽモジャモジャしてやんのー!きもちわりー!」

はっかい「かびんをたおしたのはオヌシじゃからな!ワシはしらんぞい!」

ごじょう「ふ、ふえぇ……ちがうよう、ごじょーじゃないよぅ……!う、うぇぇ……!」

しゃお「……あぶ」

太上老君「……カオス此処に極まれり、って感じぢゃなぁ……お主が無事なのはアレぢゃろな、耐性がついとったのぢゃろう。皆々幼くなってしまわず良かったのう、それこそ儂とかに連絡も出来んかったしの」

悟空「冷静に解説してないで助けてよおやじさん!ぎにゃぁぁお師匠さま捻らないで千切れる!八戒ちゃん割ったら大変だから花瓶触らないで!悟浄ちゃんも泣き止んでってうわぁぁぁあシャオくん今何を口に入れたの!?ペッしなさいペッ!」

太上老君「一応、持ち帰って調べてみるかの、如意棒借りるぞい。まあいつものお主と同じで、時が経てば元には戻るとは思うが」

悟空「えええええおやじさん行っちゃうのぉ!?一人にしないでよぉせめて誰か連れてきてくれるとかっ!」

太上老君「いや、儂のような老体が居たところで、すぐに疲れて使い物にならんぢゃろし。かと言って、天部も危機的な人手不足ぢゃしのう……お、そうぢゃ、金角銀角姉妹ならば暇しとるからすぐにでも」

悟空「幼女増やしてなんになるってのさ、あぁぁん!?」

太上老君「冗談ぢゃ冗談ぢゃ、年寄りの胸ぐらを掴むでない。沙悟浄の嬢ちゃんみたいになっとるぞ、石猿。ひょひょひょ」

悟空「冗談じゃない状況で冗談言うなーっ!ううう、みんな元に戻ってよぉぉぉぉおおっ!!!」


『超短編・孫悟空の災難』
944: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/20(火) 15:26:50 ID:yH514xoAY.

悟空「……うう、本当に帰っちゃったよおやじさんめ……そりゃさ?如意棒のせいならさ?責任は私にあるかもしれないけどさ?もう少しこう、協力してくれる姿勢をしっぽぉぉぉお!!?」

さんぞー「あははは、しっぽひっぱるとさけぶ!へんなのー!」

悟空「離しなさいっ!ダメっ!ここデリケートなとこっ!くぅ、お師匠さまがこんっっな悪ガキだったとは……!」

さんぞー「なにおこってんだよ、おっとなげねー!こどものイタズラにおこるとか、そーゆーのウツワがちっさい、っていうんだぜー?」

悟空「ムッッカつくぅ……!ちょっと口が立つあたりがお師匠さまっぽいそれがムカつくぅ……!これはいっそ教育のし直しを」

ごじょう「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええんっっ!!!」

悟空「うるさっ!?」

ごじょう「ひっく……ひっく……ひぃぃぃんっ……!」

はっかい「ふん、すぐになきよってからに。なきむしなヤツじゃ、まったく」

悟空「ああもう泣き止んでよ悟浄ちゃん!あんまうるさいと宿屋さん追い出されちゃうからぁ!しかしまさか悟浄ちゃんが泣き虫キャラとか……まあでもちっちゃい頃はこんなだったのかもだよね、今やタダのヤンキーだけど。どこで間違えたんだか……そんで……」

ごじょう「うぇぇ……やーのぉ!やぁぁのぉぉぉお!ごじょーのパンツとっちゃイヤなのぉ!」

はっかい「じゃからパンツがほしいわけではないわい!そのなかみをみせろというとるのじゃ!かんねんせい!」

悟空「そんでなんでキミは全くもって一切ひとっつも変わらないかなぁ!?見た目もあんま変わってないけど中身も変わってないよ!?なに八戒ちゃんって子供の頃からそうなの!?性欲が具現化して生まれた何かなの!?」

しゃお「……あぶぅ」

悟空「おっとシャオくん。どしたの、抱っこ?……よいしょ、っと。軽いなぁ……だけど何故にシャオくんだけヨチヨチ歩きの赤ちゃんなのかなぁ。みんなだいたい人間で言う四、五才くらいなのに………うう、可愛いすごく可愛い。こんなうるさい中で赤ちゃんなのに泣かないし、唯一の癒しだよこの子は……」

しゃお「……だぁ……ぶっ」

悟空「そんで赤ちゃんってなんか暖かくて良いよね命を感じるよね……あったかい………うわぁっ!?なんかヤケに温かいと思ったらお漏らしだ!シャオくんストップストップ、そっかオムツとか必要なんだ……って」

しゃお「……あぶぅぅ……はふぅ……」ジョジョジョジョ

悟空「うわぁぁぁあ!?なんか床から草とかキノコとかめっさ生えてきた!シャオくんオシッコとめて!足下が大変な事になってる森の神様みたいになってる!」

さんぞー「すげー!もりだもりー!」

はっかい「おお、キノコじゃの。そうじゃしっとるか?キノコはの、パンツのなかのソコに入るんじゃぞ?」

ごじょう「う、うそだぁ!はいらないよぉ……こわいよぅ、やめてよぉ……!」

しゃお「……うぶ」ブルルッ

悟空「止めてお願いーっっ!!!」
945: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/20(火) 15:27:48 ID:yH514xoAY.



悟空「はあ……はあ……なんとか伐採したけど、やっぱ床下から突き抜けてたよ……どうしようコレ。弁償いくら掛かるんだろ、お金余ってたかなぁ……」

小龍「……すぅ……すぅ………」

悟空「あははは天使の寝顔だねぇ……宿屋の女将さんにオムツ貰えて良かった……しかもその上」

はっかい「うむ、びみじゃ!」

ごじょう「……にんじん、たべれない……」

さんぞー「もったいねーな、おれがたべてやるよ!」

ごじょう「あ、ありがとお……」

悟空「お昼予約してなかったのに、賄いのシチューまで出してくれるなんて……うう、子連れだと人の優しさが身に染みるね……!シャオくん用に粉ミルクも貰ったけど、寝てるし後で良いよね……さ、私も食べ」

ごじょう「うぁぁぁぁぁんっっ!!」

悟空「うえええ何よもうゴハンくらい静かに食べようよ私が言うのもなんだけど!」

はっかい「オヌシはスキきらいするからの、どーせコレもキライじゃろ?ワシがくうてやる!」

ごじょう「お、おにくはたべれるもん……う、うう…!」

悟空「うわぁもう、八戒ちゃん、八戒ちゃんがめんどくさぁい……!」

さんぞー「おい!おまえイジメっこだぞ!よわいヤツをなかすのはカッコわるいんだからな!」

はっかい「ふーんじゃ!ワシなんもしとらんもーん!べろべろばー!ぶたのけつー!」

ごじょう「あう、あう……」

悟空「……なにあれ。何あの構図。さっきまで私のことさんざ苛めてたクセにお師匠さまめ……あと八戒ちゃんはもうどーしよーもないね、根っから大魔王なんだね」

ごじょう「うう、ううう、おね、おねぇちゃあん……ぐすっ……」
946: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/20(火) 15:28:27 ID:yH514xoAY.
悟空「あよ、どったの悟浄ちゃん。……てかほんとオドオドしてるなぁこの悟浄ちゃんは……」

ごじょう「ケ、ケンカ……ごじょーのせいなの……!や、やめさせてあげてほしいの……!」

悟空「……う。やだなぁあの悪ガキコンビの間に入るの………うーん……ご、悟浄ちゃん?」

ごじょう「…ふぇ?な、なに?」

悟空「えっとほらアレだよ……うん。ケンカはやめて、って、まずは自分で言わなきゃ、ね?」

ごじょう「じぶんで……?」

悟空「そうだよー?悟浄ちゃんはケンカ嫌なんでしょ?じゃああの二人に、悟浄ちゃんから言うの。きっと止めてくれるよ?」

ごじょう「……でも、さっき、やめてっていっても、パンツぬがすのやめてくれなかったの……おにくも……」

悟空「あ、うん訂正訂正。あの仔豚ちゃんには言わなくていいや。お師匠……さんぞーくんに、言ってみな?」

ごじょう「うう……ごじょー、うまく、いえない……」

悟空「ダメだよそんなんじゃ!言いたい事はバシッと言うの!はっきりくっきり喋らなきゃ、気持ちは伝わらないんだよ!」

ごじょう「きもち……つたえる………わ、わかったの……ごじょー、いってくるの……!」

悟空「ふふふ……こうやって少しずつ成長していくんだね……頑張れ悟浄ちゃん!」

さんぞー「あんまりわるいことばっかりすると、ぶつぞ!」

はっかい「おんなにてをあげようとは、みさげはてたおとこじゃ!」

ごじょう「……ね、ねえっ!」

さんぞー「ん?なんだよじゃますんなよ!わるものをこらしめるんだから!」

ごじょう「えっとね……うんとね………!」

はっかい「なんじゃハッキリせんのうウジウジと!」

ごじょう「えと、えと………さ、さんぞーくんっ!ご、ご、ごじょーとけっこんして!」

悟空「おっとそこまで頑張れとは言ってないよ何の気持ちを伝えてんのよ」

さんぞー「お、おまえなー!け、けっこんとか、こどもはできないんだぞ!おっきくなってからなんだぞ!」

ごじょう「……じゃあ、じゃあ、おっきくなったら、してくれるの……?」

さんぞー「うっ……い、いいよ、べつに……」

悟空「あーあ了承しちゃった。お師匠さまダウトだね終了だね」
947: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/20(火) 15:29:28 ID:yH514xoAY.



さんぞー「……くぅ……くぅ…」

ごじょう「………んぅ……さんぞーくん……」

はっかい「……ほほ……きれいなマン」

悟空「八戒ちゃんその寝言ストップ!……っと、やばやば、起こしちゃう起こしちゃう……やっと寝てくれたんだしね、もう私も限界だしね……」

さんぞー「……うぅん……すぅ……」

悟空「……良いなあ私も眠いなあ………ちょ、ちょっとだけなら、良いかな?横になるだけ、横に……」

しゃお「……あぶ……あぅぅう」

悟空「うおっ?えええ起きちゃったのシャオくぅん……も、もっかい寝ようよ、ほら悟空お姉ちゃんが子守唄を」

しゃお「あ〜……ぶっ!あぅぅ、あうぅぅ」

悟空「ウソぉぉおここでシャオくんがグズるのぉ!?えっなにどしたの、オムツは平気っぽいし……あ!お腹すいたのか!そりゃそうだ!」

しゃお「あぅ、だぅぅう」

悟空「ごめんごめんシャオくん、今ミルク作ってあげるから待っててね……え?どしたのもう、ダッコ?わかったわかったから、泣かないでね〜?」

しゃお「……あぶ。……ぁんま。ぁんま」ゴソゴソ

悟空「へぅっ!?ちょ、シャオくん何を、ダメダメダメ、ほんと何してっ」

しゃお「……ぁんま、ぁんま。……ぅぶ」

ボロンッ

悟空「うわぁぁおっぱい丸出しにされた!……え?……あの、シャオくん?小龍さん?あなたまさか、いやあの、まさか」

しゃお「……ぁんま!」

悟空「だぁぁぁぁあ!ダメだよなんも出ないよそっからは!ミルク、ミルク作るから、あの、お願い、やめて」

しゃお「…あぁ〜」

悟空「ダメだってばシャオくん小龍×悟空とかやっちゃいけないカップリングだよ方々から怒られるよ主に私が!」


カプッ



悟空「はふん」
948: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/20(火) 15:31:40 ID:yH514xoAY.








三蔵「……つまり、俺らは幼児になってたと。いつもの悟空みたいに」

太上老君「うむ。記憶も飛んでおったからの、覚えては居らんぢゃろが。思うたより早く元に戻ったのう。……で、石猿は、疲れて爆睡ってトコかの?」

八戒「みたいじゃな。気が付いたら夕刻じゃし、姉者は寝こけとるし、全く意味がわからんかったわい」

小龍「しかし如意棒の暴走ですか……平時だから良かったものの、笑える話ではありませんね」

太上老君「ひょひょ、まあ心配には当たらんよ。これでもかと仙力を籠めてやったからの、向こう百年はこんなことはあるまいて。強く使う度に石猿が縮んでしまうのは、メカニズムがようわからんで直せんかったが」

沙悟浄「あ、それは良かったよぅ♪毎度あの女狐に頭下げてちっちゃくしてもらうのは、勘弁だからねぇ♪」

八戒「姉者も難儀じゃの……ま、ワシは根が品行方正じゃからの、手の掛かる幼子では無かったハズじゃが」

三蔵「それなら俺もだ。大人しく真面目な良い子だったと自負している」

小龍「……悟浄さんあたりが、お転婆で手を焼いたんじゃないですか?」

沙悟浄「否定は……出来ないけどねぇ。いやいや、アンタがちっこい火ぃ吹きまくってたとかじゃないのかい?」

小龍「……ありそうですね」

三蔵「あるのかよ怖ぇな龍族の子供」

八戒「何にせよ、たかが半日程度の子守りでへこたれるとは情けない姉者じゃのう、ほっほっほ」

悟空「……むにゃ………」
949: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/20(火) 15:32:36 ID:yH514xoAY.
太上老君「…………災難ぢゃったの、石猿や………。さて、と。御主ら夕食はまだぢゃろ?外に金と銀を待たせて居っての、一緒にどうぢゃ?今夜は儂が奢ろう」

三蔵「お、太っ腹だなジーサン。よし姉妹のどっちかは俺の膝の上に座らせろ」

沙悟浄「させないよ旦那様!そんならアタイが座る!」

八戒「なんぞ如何わしい店みたいになるのうソレ。ん?ほれ何しとる小龍、行くぞ?」

小龍「…あ、いえ。悟空さんに一応、書き置きをと思いまして」

八戒「ほ、マメな事じゃ。どうせ朝まで起きんと思うが。先に出るぞい」

小龍「…はっ。私もすぐに」

悟空「……むにゃ……うううん……」

小龍「…ええと、外食に出ます、起きられたら妖気を追って………うなされてますね。余程だったのでしょうか」

悟空「……うう……お師匠さま痛い痛い……悟浄ちゃん泣き止んで………八戒ちゃんいい加減にして……!」

小龍「……余程だったんですね……」

悟空「……むにゃ……シャオくん……」

小龍「………」

悟空「……もう……わかったよぅ………はい、おっぱいどうぞ……むにゃ……」

小龍「…っ!?」ピシッ

悟空「……乳首……そんなにしちゃダメだよシャオくぅん……んぅ……」

小龍「……………!!?…………………!!!??」




劇終。
950: 名無しさん@読者の声:2015/1/23(金) 12:30:12 ID:XGQVyVyYsw
とっても面白いです。
毎日更新チェックしてます!

個人的には悟浄ちゃんの幼児化がドツボ。
951: 名無しさん@読者の声:2015/1/24(土) 14:59:47 ID:oL58yhGGH6
幼女がもっと幼女になって幼女にキノコ入れようとするとか…毎度ありがとうございます
952: ヨシュア【新春特番そのに】 ◆.frSdr10QQ:2015/1/26(月) 22:51:14 ID:TpYefkOpa.
八戒「………ふむ」

カラッ

八戒「……何度財布を覗いても、スッカラカンはスッカラカンじゃのう………参った……」

ピィ…ヒョロロロロ……

八戒「……鳶じゃ、こっちにも居るんじゃな………空が青いのう……」


『超短編・猪八戒の休日』


八戒「大体じゃな、あの札遊びは肌に合わぬ!麻雀ほど場の流れを読める訳でなく、牌九ほど解りやすくもない!中途半端極まりないわ!」

…グゥゥ…キュルル…

八戒「……腹が空いたのう……朝からじゃからなぁ………宿に戻るか。……いや、しかし………多少、ほんの少し、ちろっとだけ駄々をこねて持ち出したカネを、全部スッたと皆に知れたら……」

三蔵『だから言ったろーが。お前ヘタの横好きなんだよギャンブル向いてねーよ』

八戒「ぐっ。言われる絶対言われる。ん、んなこと無いわい、そも博打は運否天賦、向く向かないの話では……」

悟空『そのぶん美味しいもの食べたほーが絶対に良いのに。もったいなーい』

八戒「るっさいわいんなコト負けた本人がいっちばん痛感しとるわ!やる前は勝つ気で居るんじゃ無くすとは思っとらんのじゃ!」

沙悟浄『ま、なんにせよ次に収入があるまで、お小遣いは無いからね八戒姐さん?だからってその辺で強盗とかしないどくれよ、馴れない土地で札付きになるのは勘弁だからねぇ』

八戒「えええい、最近の御主はワシをなんぞ諦めた目で見よる腹立つ!なぁにが強盗じゃ元盗賊に言われとうないわ!」

小龍『……………』

八戒「とうとう想像上じゃのにフォローが来ん!なんか言え小龍!……って、フォローが想像できんのはワシ自身がフォロー思い付かんからか、ほほ……」

少年「なに一人で騒いでんのオマエ」

八戒「……何とかカネを工面して、『ま、対して儲けは無かったが、まあまあ遊べたわい』くらい言いたい……!なんとか……!」

少年「おいってば。無視すんなよ」

八戒「ああん!?何じゃ餓鬼!ワシは今虫の居所が活火山なんじゃ、怪我せん内にとっとと去ねぃ!邪魔……」

キュルルルル……

少年「……サンドイッチならあるけど、食う?」

八戒「………食ってやらんでもない」
953: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/26(月) 22:52:13 ID:TpYefkOpa.
八戒「……むぐ……なかなか美味いではないか、はむっ」

少年「…オマエそのカッコ、どっかのお屋敷勤め?」

八戒「ん?……おお、このメイド服か?いやいや、ワシは旅の者じゃ。これは戒律での、我が師匠の教えで、基本着とらんと駄目でな」

少年「なにその師匠ヘンタイ?」

八戒「然り……んぐっ、なんぞ飲み物、無いかの?」

少年「ん、ほらよ」

八戒「おお葡萄酒!わかっとるのう小僧。……んく、んく……ぷはぁ。……しかし子供がこんな物を持ち歩くとは、誉められた話では無いのう、こぉの不良め」

少年「え?ワインだぞそれ。何言ってんのオマエ」

八戒「ほ?……ああ、そう言う風土か。食事の供な訳じゃったな、此処等では。確かに度も軽いしのう。小僧、おかわりあるかの?」

少年「あるけど……小僧小僧って、そっちも子供だろ、その呼び方止めろよ。てゆーか年下だろ多分」

八戒「ほほほ、御主の祖父、いや曾祖父でも足りぬぞ、ワシの齢は。……完全な人外、妖怪じゃからなぁ、ワシは」

少年「……ヨウカイ?え、じいちゃんより歳上って……大人なのかオマエ?」

八戒「ほほ……そうじゃ?サンドイッチでは足りぬのう……小僧……ワシに頭からガブリと喰われたくなければ、ちょろっとお小遣いの融資を」

少年「大人だとしたらとんだクズじゃねーかよ子供から巻き上げんなよ。へぇ、エルフなのか、初めて見た」

八戒「……えるふ?」

少年「エルフなんだろ?オマエらって見た目子供でも、百年とか生きてるって本当だったんだ。ふーん、角とか生えてるんだな」

八戒「……あぁ、そーゆー風土でもあったの……道理で賭場でも変な顔ひとつされんかったワケじゃ。居るんじゃの、そういう種族が…」

少年「……で、なんでこんな公園のベンチで騒いでたんだよ、オマエ」

八戒「ポーカーで有り金全部スッ飛ばして途方に暮れておった」

少年「とんだクズじゃねーか」
954: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/26(月) 22:53:11 ID:TpYefkOpa.


八戒「……ぷぅ、馳走じゃ。んー、腹にモノを入れたら、苛々もなんとなしに紛れたのう」

少年「全額使っちゃったってオマエ、旅の途中なんだろ?平気なのかよ」

八戒「ん、路銀は別の者が管理しておる。前にそれすら溶かして大目玉を食ろうたからの。……まぁ今日もそこから多少つまんで来た故、ちと帰り難い。ほっほっほ」

少年「オマエ本当に大人?」

八戒「それを言うならば小僧、御主も子供のクセに、こんな真っ昼間から何をしておる?その歳でニートは逆に笑えんぞい?」

少年「今日、学校休みなんだよ」

八戒「ほ、書生であったか。何を学んでおる?用兵か?政か?詩歌か?」

少年「魔法。そこの木、見てろよ?……フレアッ!」パチンツ

ゴオオオオオオッ!!

八戒「おお!?見事な火術じゃの。その学校とやらでは、童が此程の術を学ぶのか」

少年「習ったって、他のヤツは出来やしないよ。オレ、天才だから」

八戒「ほぉう……しかし天才小僧よ、標的はきちんと消し炭にせんと……雷よ!」

バッシャァァァンッッ!!

少年「っ!?」

八戒「燃え広がって、火事になってしまうぞい?」

少年「へえ……!」

「こらぁっ!!お前らそこで何してるっ!!」

八戒「ほ?」

少年「ヤバッ、衛兵だ。捕まったらまた説教されちまう」

衛兵「……んん?お前、例の魔法学校の問題児だな!?ちょっとこっちへ……」

八戒「……では、逃げるか♪」

少年「へ?……ちょ、おい、手ぇ……!」

八戒「雲よ!我が足と為し天駆けい!」

少年「うわぁぁぁあ!?」

ビュウウウウウウンッッ!!
955: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/26(月) 22:54:19 ID:TpYefkOpa.


少年「た、高い高い!なんだよこの魔法!?」

八戒「ほほほ、少しの間宙ぶらりんで我慢せい。雲に乗せてやりたいが、御主の歳で乗れたらそれこそ問題じゃからのう。……時に小僧、今『例の問題児』とか呼ばれとったな。やっぱり不良ではないか」

少年「…不良かは知んねーけど、問題児だよ。超問題児。……なんたって、上級生どころか、教師だって使えないレベルの魔法が楽勝なんだから、オレ」

八戒「ふむ」

少年「腫れ物扱いだよ、今だってもし衛兵に捕まっても、説教で終わりさ。本来なら退学モノだぜ、外で魔法を使って木を燃やすとか。親に連絡すら行かねーんじゃねぇの」

八戒「ところでチラリズムってあるじゃろ?あれワシ嗜好として解らんでも無いんじゃが、個人的には焦らされるより、見れるんなら中身全部見たいと思っちゃうんじゃが、どう思う?」

少年「なんの話だよ!そっちから振っといてオマエなんの話だよ!」

八戒「じゃって御主、せっかくワシがナンパされてやったと言うに、そんな詰まらん話するんじゃもん。モテんぞそれでは?」

少年「だからそっちが振った話題だろ!あと、ナ、ナンパじゃねーよバカ!」

八戒「ほ、まぁナンパでもガールハントでも何でも良いわい。どうせヒマじゃろ、ワシの憂さ晴らしに付き合えい。……うむ、この岩山で良かろ。ちぃと揺れるぞ、舌を噛むなよ?」

少年「へっ?」

八戒「……ひゅうう………掻き削れい九歯馬鍬ーっ!!」

ズガシャァァァァァァァアッッ!!!

少年「いいいいいいい!?」

…ガラッ……パラパラ……

八戒「…っと。うむうむ、思うた通り質の良い岩じゃ。ふむ、見晴らしも悪くない」

少年「……い、岩山を削って……平らにした……!」

八戒「真っ平とはいかんかったがの、まあ上出来じゃろ。……小僧、いつまでワシの手を握っとるか。もう地面じゃぞ?」

少年「…っ!オ、オマエなんなんだよ……こんな、オマエ、山って」

八戒「いや、大した技では無い。岩の点穴を的確に見極め、真横に気を広げて打ち込んだだけのコトじゃ。姉者なぞは膂力のみで壊せるが、ワシの細腕ではとてもとても……ん?どうした、ワシが怖いか?」

少年「こっ、怖くねーよ!ビックリしただけだよ!」

八戒「ほほ、ならば良し。さて、広場もこさえたコトじゃし、始めるかの」

少年「は、始めるって、何を」

八戒「憂さ晴らしの運動じゃ」
956: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/26(月) 22:55:21 ID:TpYefkOpa.
八戒「ほれっ。これを持て」ポイッ

少年「わっ、とっと……!さっきの武器……武器?農具?何だよコレ。てか、なんか思ったより軽いな」

八戒「九歯馬鍬、と言う。御主ら風に言うと、マジックアイテム、とでも呼ぶのかの。重量は、持ち主の腕力に馬鍬自身が合わせてくれておる。便利じゃろ?」

少年「何?くれんの?」

八戒「阿呆ぅ。流石にコレだけは質に入れた事無いんじゃぞワシも。やらん、貸すだけじゃ」

少年「……?で、オレこれで何すんの」

八戒「これからワシが、御主を襲う。あ、性的な意味では無いぞ?まあ童とは言え男じゃからの、多少の期待はあったかも知れんが残念ながらワシは女色で、あぁ女色と言うのはの、レズビ」

少年「ねぇぇぇよ!!オマエさっきからイイ加減にしろよ!!」

八戒「ほっほっほ、済まぬ済まぬ、からかいたくなる性質での。……ワシがこれより、御主に攻撃を仕掛ける。殴る蹴るはせんよ、全て術にて、じゃ」

少年「む、無理言うなよ、山壊すようなヤツの魔法なんて」

八戒「安心せい。ワシの攻撃からは、九歯馬鍬が守ってくれる。持っとる方の手の力、抜いておけよ。勝手に動く故、手首を捻るからのう」

少年「はあ……で、それで?」

八戒「ワシの攻撃の隙を突き、ワシに術を当てられれば小僧の勝ち。……そうじゃの、夕暮れ迄に一本取れなければ、ワシの勝ちじゃな」

少年「……三時間くらいか。勝ったらなんかあんの?」

八戒「頭を撫でてやろう」

少年「バカにすんな。……いいぜ、やるよ。ヒマだし。怪我しても文句言うなよ」

八戒「良い威勢じゃ。直ぐに疲れ果ててくれるなよ、小僧……ゆくぞ!」

少年「そっちこそっ!」

八戒「先ずは……雷撃よ!地走り敵を討てい!」

バリバリバリバリッ!!

少年「いきなり足元かよえげつねぇっ!!……って、うおっ!?」

バシュウッ!!

少年「おおお……ホントに防いでくれた……この変な武器、すげぇ……」

八戒「次は上じゃ!一斉落雷っっ!!」

少年「でえええええっっ!?」
957: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/26(月) 22:56:10 ID:TpYefkOpa.

少年「くそっ、グリン・アローッ!!」

八戒「光の矢か。面白いが、的の小さき相手に使う術では無いのう、若いっ!」

少年「うわぁぁ、また雷ぃ!」



八戒「ほれほれぃ!足元がお留守じゃぞっ!」

少年「あだっ!?オ、オマエ殴る蹴るはしないって」

八戒「転ばさんとは言うとらん♪」

少年「こっの……!」



少年「アルバ!!ブラスト!!ファウンテンッ!!!」

八戒「ほっほ多様じゃのう。しっかし当たらんのぉ〜?ほいっ」

少年「うわちっ!!ってかオマエ雷しか使えねぇの!?」

八戒「い、痛いトコ突くのう。九歯馬鍬が無いとその……るっさいわい!雷よっ!」

少年「うぁぁあ防いでくれても怖ぇぇえっっ!!」


…………………





八戒「ん〜っ、動いた動いた!おお、綺麗な夕陽じゃのう」

少年「……っそ……いっ……ぱつも………当たんなかっ……たぁ……!」

八戒「正直惜しいシーンも無かったの」

少年「うるせぇ!……はぁ……はぁ………疲れたぁ……」

八戒「……ほほ、ワシはそこそこ憂さが晴れたが、小僧はどうじゃ?」

少年「……わかんねーけど……なんか………全力とか久し振りで………気持ち良かった」

八戒「それは重畳。………当てれんかったが、ガンバったで賞をやろう。先の詰まらん話、続きを聞いてやっても良いぞ?」

少年「………オレさ。卒業したら、王宮に就職が決まってんだ。王宮魔導士って言や聞こえは良いけどさ……ウチの国、軍国だから」
958: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/26(月) 22:56:52 ID:TpYefkOpa.
八戒「体の良い、人間兵器か」

少年「言い方悪っ。はは、まあ間違ってねーや。有事の際は、この手で敵国の兵を殺すんだ。炎の矢で貫いて。氷の弾丸で頭を砕いて。風の刃で切り刻むんだ」

八戒「嫌なら逃げれば……ともいかぬわな。御主にも家族が居る」

少年「……ホントに頭良いな、オマエ。そう、オレが軍属になれば、父さん母さんに楽させてやれる。妹も居るんだ。それに、別にオレにこんな力が無くたって、戦争に巻き込まれないワケじゃない」

八戒「然り。戦は、外交のいち手段に過ぎぬ。起こらぬに越した事は無いが、目を逸らし逃げてはならぬ現実でもある」

少年「……分かってるんだけどさ………怖いんだよな……殺すのも、殺されるのも」

八戒「……受け入れろ」

少年「………」

八戒「受け入れ、敵を倒せ。敵軍を、政敵を、己の邪魔となる者すべてを」

少年「……嫌だな」

八戒「授かった力を、余さず使え。時に悪を為せ。利に走れ。情けを捨てろ」

少年「………悪いエルフだな、オマエ」

八戒「しかし、邪悪を憎め。欲を飼い慣らせ。人を愛せ」

少年「…難しいこと言うなよ」

八戒「清濁合わせ呑め、と言うコトじゃ。そうして大人になって行く。……きっと御主は、良い男になる」

少年「……頭撫でんのは、オレが勝ったらじゃなかったのかよ」

八戒「ほほほ……今は周りより頭抜けて居るやも知れぬが、このワシ一人とっても、御主では敵わぬ。まだ御主は、力に悩むほどの力を持っては居らぬ」

少年「……オマエが強すぎんだよ」

八戒「練磨を怠るな。強くなれ。そして比類無き術士となった暁に……この悪いえるふと、また遊ぼう」

少年「……また、会えるの?」

八戒「会って貰わねば困る。今撫でてやったのは、次の勝負の前借りじゃ。……次は、馬鍬は貸さぬからの?」

少年「………次は、もっと格好良くナンパするよ」

八戒「ほっほ、マセた事を言いおって!」
959: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/26(月) 22:58:41 ID:TpYefkOpa.

八戒「家まで送らんで平気か?小僧」

少年「バカにすんな。この公園でイイよ。……なあ」

八戒「うん?」

少年「……名前、教えろよ」

八戒「嫌じゃ。御主の名前も、要らん」

少年「ひっでぇな」

八戒「次、逢うた時も。『小僧』と呼ぶし『オマエ』と呼ばれてやる。……またの、未来の大魔導士殿♪」

少年「……またな!悪いエルフ!」




少年「……まずは、山を壊せるようになんないとな。……はははっ」







三蔵「お、帰ってきた」

沙悟浄「遅かったねぇ、八戒姐さん」

八戒「うむ。腹が減った。メシ、これからか?」

小龍「…お帰りなさいませ、悟能様。はい、近くに美味しい肉料理の店があるとかで」

八戒「おお、良いのう!ワシ昼にサンドイッチ程度しか食うて居らんで、よし早ぅ向かおう」

悟空「こんな時間まで何してたの?賭け事勝ったの?」

八戒「……ん、ちぃと運動とて……じゃな」

小龍「?」

八戒「……ワシも、恋をされてきた。ほほほほ♪」
960: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/26(月) 22:59:20 ID:TpYefkOpa.
悟空「なにそれ、どっかのフーゾク店の話?そーゆープレイ?さっそく下ネタ?」

沙悟浄「イメージプレイってやつかい?無駄遣いして……てか姐さんよくそーゆー店入れるね、そのナリで」

三蔵「『自分にベタ惚れプレイ』とかか。おい八戒、モテない中年のチョイスだろそれ、悲しい遊びすんなよ」

八戒「うぉい」

小龍「…お待ちください、皆さん」

八戒「うむ、フォローせい小龍」

小龍「…その辺で女性を襲わなくなっただけ、御成長されておりますので、遊郭遊びくらい問題ありません」

八戒「うぉーい?それフォローかのう小龍?うぉーい?」









八戒「あ、それはそれとしてスッカラカンになってしもうたので、小遣いの追加を」

悟浄「却下だよ」



劇終。
961: ヨシュア【大丈夫まだ一月特番】 ◆.frSdr10QQ:2015/1/30(金) 21:03:26 ID:IMo50X/CKw
沙悟浄「ごっくう姐さぁ〜ん♪」

ごくう「お、おかあさぁん……」

沙悟浄「むふふふぅ♪ああもう可愛いねぇ姐さんはぁ♪」

ごくう「え、えへ、えへへ……はぁ……」


八戒「ふぁぁあ……小龍、なんぞ飲み物を……」

小龍「…おはようございます、悟能様。只今お茶を」

三蔵「おはやくねーよ、お前もう昼過ぎだぞ。自由に生き過ぎだろ」

八戒「エエじゃろ、今日は出立せんのじゃし……ん、おい茶が熱い。フーフーせい、フーフー」

小龍「…は、お待ちください」

三蔵「この『子供が子供を介護してる不思議な光景』も見慣れたなぁ」

八戒「介護までいっとらんわい、人聞きの悪い。…慣れる慣れないと言えば、姉者も良い加減慣れるべきじゃろ、子供役に」

小龍「…悟能様、これくらいで如何でしょう。……確かに、いつも引き気味ですよね、悟空さん」

三蔵「げんなりしてるよな」


沙悟浄「はぁい姐さん、今度はこっちのおべべ着てみようねぇ♪」

ごくう「い、犬の着ぐるみパジャマ…?え、あのさ、わたしあんまり犬はすきじゃないかなぁ、ほら犬猿のなかって」

沙悟浄「ええ……そうかい?せっかくお父さんが作ってくれたのに……」

ごくう「なに余計なもんつくってんですかおししょーさま」

三蔵「睨むな睨むな」

沙悟浄「じゃあコッチ!可愛いおサルさんのパジャマだよぅっ♪」

ごくう「わたしがそれ着たらマトリョーシカになる!何着余計なもんつくってんですかおししょーさま!?」

三蔵「誉めるな誉めるな」


『超短編・沙悟浄の幸福』
962: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/30(金) 21:05:10 ID:IMo50X/CKw


悟空「もうイヤだ!もうやりたくない!」

八戒「ふわぁぁ……なんじゃ朝っぱらから騒がしい。発情期か?手伝うてやろうか?」

三蔵「おうおはよう八戒。今日はちゃんと起きたな。あ、見たくないから自慰は外で済ませろよ悟空」

悟空「朝から下ネタ自重して!……もう悟浄ちゃんの子供やるの嫌なの!」

八戒「……ん、小龍は居らんのか?」

三蔵「悟浄と買い出し。朝市があるらしくて。お茶は自分でいれなさい」

八戒「なら水で良い……ふあ」

三蔵「ダメ幼女め」

悟空「ねぇたまには私の話をきちんと聞いてくれてもバチは当たんないんじゃないかな!?」

八戒「んく……ぷぁ。しかしじゃな姉者。それをワシらに言うても始まらんじゃろ、本人に言えい本人に」

悟空「通常時に言っても流されるし、ミニ化してる時に言ったら悟浄ちゃん傷付くもん」

三蔵「良い子かお前は。……まぁアイツ、何気に情緒不安定だからなぁ」

八戒「不安定も不安定、と言うかアレは情緒が思春期じゃもの。実のところ小龍はともかく、ワシらの中で最も幼いのは悟浄やも知れぬ。……あ、末妹じゃからそれでエエのか」

三蔵「そもそも何がそんな嫌なんだよ。俺はもうママゴトだと割り切って付き合ってるぞ。前にお前も言ってたろ、『この姿の時は幼女ライフを楽しむ』とかなんとか」

悟空「……そこじゃないんです。別にそれ自体が嫌なんじゃなくて……なんていうか、悟浄ちゃんにとって、ちっちゃい私さえ居ればそれで良くて、この私は必要無いのかなぁとか……そんなことないとは思うけど、なんか寂しくて……」

八戒「………ああ」

三蔵「………うん」

悟空「そんなことないって言ってよ!なにその反応!?なにその何とも言えないみたいな感じ!」

八戒「じゃって思うたより理由が重うて……のう?」

三蔵「…なあ?まさに何とも言えねーよ」

悟空「ごめんね変な空気にして!」
963: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/30(金) 21:05:42 ID:IMo50X/CKw
八戒「まあ姉者の憂鬱はさておき、悟浄はやけに『家族』に拘るのう。師匠殿に関してもそうじゃ、彼女恋人ではなく、すっ飛ばして妻を名乗る」

三蔵「あー、確かに」

悟空「さておかないでよ!むぅ……そうなんだよね、なんかもうマジで母親やってるんだよね。この前ちっちゃくなってた時なんか、私クシャミして鼻が垂れちゃったんだけどさ。………口で吸い出そうとしたからね、私の鼻水」

三蔵「うわあ」

八戒「……赤子扱いじゃの、極まっとるわ。……で、吸うてもろうたのか?」

悟空「……抵抗……出来なかったんだ……」

三蔵「うわあ」

八戒「そのうちトイレの世話までされそうじゃの」

悟空「…………」

三蔵「おいコイツもうされてるぞ弟子たちがイケないプレイしてるぞ師匠としてどうしよう」

八戒「三姉妹で除け者は良くないのう、ワシも混ぜろ」

悟空「だいぶ姉弟子の、いや乙女の尊厳がボロボロな話なんだから茶化さないでやめて!」

三蔵「いや泣かんでも。まあアイツにもなんかあるんだろ、色々。それこそ姉弟子の度量で笑って許して……」

『いろいろ………知りたい……?』

悟空「ふへっ!?」

八戒「……何の用じゃ。帰れ」

ズズズ……

玉面公主「あら……いきなり帰れだなんて、ごあいさつね……はぁい、おひさ……」

悟空「うわ、玉面ちゃんだ」

三蔵「流石の俺も、アンタは警戒するぞ。幼女カテゴリで八戒と同じだし」

八戒「一緒にするな、反吐が出る」

玉面公主「…嫌われたモノね………まあ良いわ……ちょっと、新発明の実験をお願いしたいのよ……」

八戒「断る。姉者、客人がお帰りじゃ」

悟空「はいお出口こちらでーす。足もと段差お気をつけくださーい」

玉面公主「……嫌われたモノね……ほんと……」
964: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/30(金) 21:06:41 ID:IMo50X/CKw


八戒「……物質の記憶を写し出す、とな?」

玉面公主「……そう。よく言うでしょう…?モノには記憶が宿る、って……特に長年愛用された道具なんかだと、本当に記憶が残ってるのよ……それを映像化するのに成功したの……玉って天才……マジ仙界の諸葛孔明……」

八戒「我褒めも大概にせい。ふむ、大樹などならばともかく、命の宿らぬ道具に、のう…」

三蔵「嫌ってるわりにあの二人、話合いそうだよな」

悟空「似た者同士ですからね。でもあそこが本気で仲良くしたら世界が滅ぶと思う」

玉面公主「……そこで、貴女達の武器の記憶を見せて欲しいのよ………年代物でしょう……?」

八戒「ワシの九歯馬鍬は貸さんぞ。御主になぞ預けたくない」

悟空「じゃあ私の如意棒?」

玉面公主「……猪八戒のは要らないわ……どうせ肉欲に爛れた記憶しか無さそうだし………孫悟空のも、パパの混鉄棒の記憶と変わらない、血で血を洗うスプラッタ劇場しか映って無いだろうし………沙悟浄目当てだったんだけど……居ないのかしら…?」

八戒「ならば留守じゃ、帰れ帰れ出直せ」

悟空「でも悟浄ちゃんの武器なら、そこにあるよ?」

三蔵「あー、両手が塞がるだろうからって、置いてったなそういや」

八戒「……彼奴は禅杖が無くとも術を問題なく使えるからやも知れぬが、武人の魂を置いて行くか普通……?」

玉面公主「あらラッキーね……じゃ、この記憶読み取り装置、名付けて『後から盗撮君』の実験を……」

悟空「どうだろうそのネーミングは!えっ、そんなダメだよ勝手に」

玉面公主「……わかるかもよ……?なぜ沙悟浄が、家族に拘るかが……」

悟空「……うっ」




ジジ……ジ……

三蔵「お、なんか水晶に映った」

八戒「んん……天界じゃな。天帝宮っぽいのう」

悟空「うっわノリノリで観てるよこの二人。ごめんね悟浄ちゃん……」
965: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/30(金) 21:07:25 ID:IMo50X/CKw
『天帝陛下、御帰還!天帝陛下、御帰還!』

『玉座への道を清めよ!御帰還である!』


三蔵「どこも帝の周りってのは変わんねーな。ん?なんかこの兵隊さん達が持ってるの、悟浄とおんなじ杖じゃね?」

八戒「これは捲簾隊じゃな……では同じモノであろ。奴等の装備は一律された支給品じゃと聞いたことがある。……表に出ぬ部隊じゃから、あまり詳しくないが」

悟空「ねえ、それより、もしかしてこの人……」


覆面の女将『周囲の警戒を怠るな!羽虫一匹たりとて御陛下に近付けてはならぬ!』

『はっ!捲簾大将様!』


悟空「やっぱり悟浄ちゃんだ!……なんで顔隠してるの?」

八戒「顔、そして本名、出自すら他者に明かさぬのよ、奴等は。天帝の最も近くで警護するが役目じゃからのう、暗殺等を防ぐ為の一環じゃ。太上老君殿ですら、悟浄と面識が無かったであろ?」

三蔵「なんだその秘密戦隊……お、場面が変わった」

玉面公主「やはり途切れ途切れになるわね………仕方ないわ、記憶の欠片のようなモノだもの……」


『……ね、来週御到殿されるのって、どこの竜王様だっけ』

『えっと確か、東海……あれ、南海……?』

沙悟浄『そこ。私語を慎め。陛下のお膝元で、不敬だぞ』

『た、大将様!も、申し訳御座いません!』

沙悟浄『次は無いぞ。それと、何処の誰が宮殿に入るかなど、我等が知る必要も無い。余計な情報は捨てろ。我等はただ、陛下を御護りする事だけを考えて居れば良いのだ』

『こ、この命を賭してっ!』

沙悟浄『よし。持ち場へ戻れ』


悟空「誰あの優等生」

八戒「コテッコテのエリートじゃな……融通が利かなそうじゃ」

三蔵「今がヤンキーなだけにギャップがすげぇな」
966: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/30(金) 21:08:26 ID:IMo50X/CKw
悟空「しかしこれかなり観やすく映ってるね。すごいよ玉面ちゃん」

三蔵「使いようによっては女湯とか覗き放題だな。ダメだぞ八戒」

八戒「いや覗く必要無いじゃろワシは。元々女湯じゃ」

玉面公主「あら……ほんとにシャワーシーン始まったわね……」

悟空「おっと。一応お師匠さまはあっち向きましょうか」

三蔵「あ、うん。一応な」

八戒「おい玉面。湯気で肝心の部分が見えんぞ」

玉面公主「結局かぶり付きでまじまじと観るじゃないこのスケベは……消したかったら製品版を買って頂戴……」

悟空「売っちゃダメ!」


沙悟浄『ふんふふんふ〜ん♪赤い御髪の悟浄ちゃん〜♪今日もお仕事パーフェクト〜♪とっても素敵な女の子〜♪』


三蔵「……お、おい誰か、ツッコんでやれよ…!」

八戒「……あ、姉者……ぶふっ……」

悟空「……ご、ごめん、出来ない、ぷ、ぷくく……!」

玉面公主「……笑っては可哀想よ……?…あ、自室に戻ったみたいね……もう観ても平気よ……三蔵法師……」


沙悟浄『ぬいぐるみさん達、ただいまっ♪ママが帰ってきまちたよ〜♪』


八戒「く、熊のヌイグルミを抱き締めて……ぶふぉっ、チューまでしたのう……!」


沙悟浄『るんる〜ん♪あっ、そうだ、今日はお酒飲んじゃおっかな?うふふ、悟浄ったら不良なんだぁ〜♪』


悟空「こ、こんなん笑うなって方が、ちょ勘弁して悟浄ちゃ、お腹痛いお腹痛い…!」


沙悟浄『……でね?今日は部下の子たちに、悟浄怒っちゃったの。嫌われてないと良いなぁ……ヘイキダヨ!オシゴトナンダモン、ワカッテクレルヨ!……だよねだよね!真面目にやんないとだもんね!』


三蔵「アカンぬいぐるみと喋ってる……!ア、アテレコまでしてる……!ちょ、一旦停止してくれ、息が、息が苦しい…!」

玉面公主「その機能はまだ無いわね……検討してみるわ………しかしこれ、玉だったら自殺モンの黒歴史ね……」
967: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/30(金) 21:09:07 ID:IMo50X/CKw
『捲簾大将に問う。天が宝である玻璃の器。それをその手から落とし、破壊したのは貴様で相違無いか』

沙悟浄『……は。弁解も御座いませぬ。処分は如何様にも……』


悟空「ひぃ、ひぃ……あ、良かった場面変わった……」

八戒「……ふぅ……ふむ、天を追放される段かの」


『……反省もしておる、そして故意では無い……体を装っては居るが』

沙悟浄『……?』

『陛下の宝を、手を滑らせて落とすなど、武技の達人たる貴様には有り得ぬ』

『然り。これは正に、腹に二心を抱く表れ』

『此奴も、器と同じく地に落とすが妥当ぞ』

沙悟浄『なっ……!?』


三蔵「……コップ割っちゃっただけでって厳し過ぎんだろとは思ってたけど、こーゆー事か」

八戒「成る程の。失態に付け入られての追放か。地位の高いオナゴは、方々から軽んじられ、かつ疎まれるでのう」

悟空「あー、やっと落ち着いた……じゃあ八戒ちゃんも、周りに敵多かったの?」

八戒「や、多かったは多かったが、女だからと言うワケでは……そもそもワシ、あの頃は女扱いされとらんかったし」

三蔵「今もされてねーよ」


『元来、このような小娘に近衛の長を任せるが間違いであったのだ』

『所詮武に秀でただけの武骨者……その赤毛も、吉兆の赤などでは無かったな。破壊しか生まぬ、血の色であったわ』

『おお、なんと穢らわしい。陛下の御側に、血髪が賊を置いていたとは。今すぐに排除せねば』

沙悟浄『ぐ……!!貴様ら……!!』


三蔵「あーこりゃグレるわヤンキーにもなるわ」

八戒「初め軽く男嫌いっぽかったのも、この辺からじゃろな」

悟空「さっきのぶりっ娘キャピキャピからの落差がものすごいね…」
968: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/30(金) 21:11:43 ID:IMo50X/CKw
沙悟浄『明朝、追放……極刑を免れただけ、慈悲に感謝せよ、か……』

沙悟浄『は、ははは……ねぇ、くまちゃん……悟浄が、なに、したのかなぁ……?』

沙悟浄『規律だから……友達も作らずに……陛下のため……天界の平安のため……って、ただ、がんばって』

沙悟浄『…ママやパパの顔も知らないで、ちっちゃい頃から、腕を、術を、磨いて……悟浄、これしか、無いのに……!』

沙悟浄『ねぇ……こたえてよ………なんで、なにも、言ってくれないの……?…う、う、うあ、うああああ……!!』


八戒「……これはさっきとは違う意味で、観るに耐えんの」

三蔵「悟空、鼻をかめ。きたない」

悟空「ひぐ、えぐ、うわぁぁぁぁあ悟浄ちゃんかわいそうぅぅ……!」

八戒「繋がりらしい繋がりを持って来なかったからこそ、家族のような強い絆を求める、か。そのへん、姉者の涙腺を直撃したようじゃの。境遇で言うたら姉者のが余程きついと思うが」

玉面公主「……これでお仕舞いね……やはりランダムな一部しか読み込まない……もっと改良しないと、使いようがないわね………じゃ、玉はこれで……」

八戒「待てい女狐、協力してやったんじゃから礼金を」

玉面公主「……ばぁい」ズズズ……

八戒「…くっ、逃げ足のはやい……」

三蔵「しかしまあ、色んな意味で見なかったことに……悟空?」

悟空「う、うわぁぁぁんゴメンね悟浄ちゃん!えっと、肉まんになって如意棒っ!」

八戒「無理を言うな姉者」

ボワンッ

ごくう「ごじょーちゃぁあぁんっっ!」

三蔵「……そーゆー無理でもちっさくなれるんだな」

八戒「……なんか丸ーくなっとるな、如意棒。やろうとはするんじゃな、健気な棒じゃ」
969: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/30(金) 21:12:41 ID:IMo50X/CKw

沙悟浄「あぁん今日も姐さんがちいさい!かわいい!」

ごくう「えへへ、ごくう、おかーさんだいすきっ!」

沙悟浄「あぁぁぁんお母さんもだよぅ!」


小龍「……何があったんですか?」

八戒「……ま、色々じゃ」

三蔵「当分あのままなんだろな、あの感動毛玉は。食費が浮いて助かるじゃん」

八戒「他人事ではなかろ?あれを観たからには、師匠殿も腹を括って、ちゃあんと悟浄を娶ってやらねば」

三蔵「それはまた後で考えよう今を生きよう」

八戒「このクズめ」

三蔵「……お前に言われたくねぇ」

小龍「……?」




三蔵「悟浄、ここに居たのか」

沙悟浄「旦那様。ダメだよぅ、一人で出歩いちゃ」

三蔵「ベランダ出ただけだろ」

沙悟浄「最近は旦那様目当ての輩もあんま来ないけど、それでも用心に越した事は無いからねぇ。どしたんだい?寝れないのかい?」

三蔵「お前こそ。悟空は良いのか?添い寝してたろ」

沙悟浄「あはは、寝付いたところで元に戻っちゃったよ。今回短いねぇ」

三蔵「……あんまヘコんで無いんだな」

沙悟浄「そりゃ残念だよぅ、はやくまた小さくならないかねぇ………なんて。姐さんは姐さんさね。ちっちゃくなったらアタイの娘、ってだけ」

三蔵「……なんだ。悟空の取り越し苦労か」

沙悟浄「ん?なんの話だい?」
970: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/30(金) 21:14:04 ID:IMo50X/CKw


沙悟浄「………あっはは、変にナイーブなこと考えてたんだね、悟空姐さんらしいよ」

三蔵「やっぱ心臓にだけは毛ぇ生えてねーのかもな、豆腐メンタルだし」

沙悟浄「ひっどいねぇ旦那様、あはは。……それにしちゃヤケに今日、『お母さん』に甘えてくれたけど……他にもなんかあったのかい?」

三蔵「……いや、別に?」

沙悟浄「んぅ?あやしいねぇ……。ま、良いか。……そうさねぇ、どうしても娘扱いがイヤだ、ってんなら、方法が無いでも無いケドね?」

三蔵「当分平気だとは思うが……や、なんでもない。…方法?」

沙悟浄「んふふぅ♪……アタイにホントの子供が出来たら、姐さんも解放されるんじゃないかい?ねぇ旦那様?」

三蔵「おっふ」

沙悟浄「……なーんてね♪じゃ、アタイはそろそろ寝るよ。おやすみ、旦那様♪」

三蔵「……おう、おやすみ」



三蔵「……何だよ居るなら出てこいよ出歯亀」

八戒「…ほ、珍しく勘が冴えとるの。いつぞやの仕返しじゃい。……いやしかし、愛いのう悟浄は。なぁにが子供じゃ、生娘が耳まで真っ赤にして無理しよってからに、ほほほ」

三蔵「……なー、可愛いなー」

八戒「お?おお?何じゃ奇跡が起こったか?」

三蔵「俺がロリコンじゃなかったら、一発で落ちてるんだろうなぁ」

八戒「……このクズめ」

三蔵「お前に言われたくねぇ」



悟空「んぅ……おかあさん……」

沙悟浄「……おや、夢の中では娘の方なんだねまだ。……恋をして、みんな居て。幸せ者だね、アタイは。ふふ、姐さんは可愛いねぇ♪」

悟空「……いやでもおかあさんのおっぱいじゃ……あんまりないから無理じゃない…?……むにゃ……」

沙悟浄「起きなクソ姐ゴルァ」


終っ!
971: 名無しさん@読者の声:2015/1/31(土) 22:01:53 ID:J4I.nSkhJk
残りのスレ数、そして各キャラのショート…
もうすぐ終わりなんて言わずにもっと続いて!(私欲)

残り僅かですが、これ置いときますね。C
972: 名無しさん@読者の声:2015/2/1(日) 04:51:58 ID:jkvkHh/shU
いつも楽しみにしてます。
もっと続いて欲しいな。
CCC
973: 名無しさん@読者の声:2015/2/3(火) 12:54:09 ID:N.OnNK6csY
最後クソワロタw
作者さん作者さん、色々都合があるのは百も承知で言わせていただくけど、終わりにしないでほしいな。
974: ヨシュア【なんかわかんないけど特番】 ◆.frSdr10QQ:2015/2/4(水) 22:42:44 ID:k6sxJkXSBQ


ー此処ではない、何処かにてー



金吒「……ち、波長センサーには、なあんも引っ掛からんな……しっかし、見渡せど見渡せど森、森、森。んで居るんはでっかいトカゲばっか……うぅん、ここには居れへん気ぃするなぁ、金蝉子様……」

雀「金にーさまっ!食料調達してきたっス!お魚も果物もたくさんっス!偉いっスか?自分よくやったっスか?」

金吒「ああ?あー、ご苦労さんご苦労さん。えらいえらい」

雀「えへへ……褒められちゃったっス♪」

金吒「あぁもう、引っ付くなやウザい」

青「こら雀……金にーさまが嫌がっておいでだぞ…?離れようか…?ですよねぇ金にーさまぁ…?」ビキビキ

白「ほら雀ぇ、金にーさまのお仕事邪魔しちゃあいけねーよ…?金にーさまはお忙しそぉだからよぉ…!」ビキビキ

金吒「お前ら兄弟子に向かって殺気飛ばすん止めや。あとムサい野郎からの『にーさま』呼ばわりはキツい」

雀「ちょ、なんスか青兄さん、白兄さん!引っ張んないで欲しいっス!」

青「何だは此方の台詞だ雀!如何に恩人であり兄弟子だとは言え、年頃の娘が男に対して、ああもベタベタとスキンシップをしてはならぬ!」

白「そぉだぜ今回ばかりはアニキの言う通りだぜ!お前そこそこマブいんだからよ、あのメガネに食われちまうぜ男はウルフなんだぜ!?」

雀「そんなこと言われても……自分も女子っス、イケメンには弱いっス!」

青「い、いけめ……おいおい雀、真に男前と呼ぶはだな、某の様に威厳と風格を漂わせておる男だぞ?あのような線の細い優男のどこが良いのだ?」

白「バッカおめー、イケてる男子ってのはよ、俺みてーなヤツよ。あんなガリ勉臭いシャバ僧なんてお呼びじゃねーよ、男はこうビシッと尖ってキメてねーと」

雀「ええぇ……青兄さんとか白兄さんみたいなのは……」

青「ん?す、雀?なんだその奥歯に物の挟まったような物言いは。い、言いたい事があるならば言ってみよ」

白「そ、そーだぜ兄妹で遠慮は良くねーぜ。なんだ雀、兄ちゃん達はお前が何を言っても動じねーからよ?」

雀「……じゃあ………青兄さんみたいな人は嫌っス。男前は男前でも一昔以上前の男前っス。眉毛が太いっス全体的に暑苦しいっス海が似合いそうっス。イケメンってより若大将っスおばあちゃんにしかウケないっス」

青「がふっ」

雀「そんで白兄さんもちょっと……だって白兄さん、髪形とファッションで誤魔化してるだけで顔面偏差値は中の下っス、不良っぽいからモテてる田舎の学生みたいなもんス。都会じゃ通用しないっスむしろヤンキーとかもうダサいっス」

白「ぐはっ」

金吒「おいやめたれ、流石に可哀想や」
975: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/4(水) 22:43:32 ID:k6sxJkXSBQ
釈迦「あっはっは、新弟子達とも随分と打ち解けたな、金吒」

金吒「……そぉですねぇ。少なくともアンタよりかは社交性がありますよって」

釈迦「おいこらー?なっがいこと新弟子なんてとってなくて弱冠どう絡んで良いかお悩み中の師匠を苛めるなー?」

雀「お師匠もイケメンだから好きっス!でもなんかそーゆー目では見れないっス不思議と!」

青「す、雀……そんな娘に育てた覚えは……!」

白「ありえねぇマジ落ちるマジブルー……!」

釈迦「面食いもここまで明け透けとしていると気持ち良いな、あっはっは。そうだな、一応元仏陀だからな俺は。なんか悟っちゃったオーラ的な物が邪魔してるんだろうな。……お師匠、か。……まったく、何処に居るんだか……お前らの姉弟子は」


『超短編・三蔵法師の再会』


三蔵「ん〜っ、いーい天気だなあ……」

悟空「ですねぇ……」

三蔵「悟浄が居ないと左腕が楽で良い。外で腕を組まれない日は無いからな……」

悟空「うっわ言ってや……言わないですけどね涙目の悟浄ちゃんとか胸が痛くなるし」

三蔵「いやほんと肉体的な問題でだな、見ろ俺左右で腕の太さが」

悟空「わ、ホントだ左腕のが明らかに太い気持ち悪い」

三蔵「多分加圧トレーニング的な何かが起こってる怖い。しかし意外だな悟浄のヤツ、まさか虎さんとお出掛けとは」

悟空「お洋服とか見に行く約束だって言ってましたねー。私も今度、虎力ちゃんとボー……女性向け漫画を買いに行く約束してますよ」

三蔵「ボーイでラブな漫画だろもういいよ濁さなくて。で、八戒と小龍はカジノで、お前だけ余ったと。可哀想に」

悟空「護衛ですよみんな出掛けるワケに行かないじゃないですか失礼な!それに用事が無いのはお師匠さまもおんなじじゃん!」

三蔵「いや俺は重要な用事があってこのベンチに座ってる」

悟空「座ってグダってるだけじゃないですか」

三蔵「これから前の広場で、近所の子供会が運動会を催すらしい。気合いを入れてガン見せねばならん」

悟空「うわあ通報待ったなしだ!」
976: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/4(水) 22:44:56 ID:k6sxJkXSBQ

三蔵「お、開会式だ。うんうん、なんて平和な光景だろうか」

悟空「パッと見は本当に、無邪気な子供達を笑顔で見守る僧侶さまなのに、頭の中は性犯罪者なんですよね世の中は恐ろしいね」

三蔵「しっぽ?」

悟空「ノーしっぽ。あれおっぱい触られるより恥ずかしいし、おっぱい握り締められるより痛いんですから」

三蔵「ふむ。『じゃあ優しく触られるとおっぱいとどっちが感じるんだ?』みたいな質問が頭をよぎったが、お前にセクハラしても始まらんからやめた」

悟空「なんでそれを口に出すかなあ」

三蔵「うおおブルマーだ!わかってるね子供会!そうだよブルマーじゃなきゃダメだよ!」

悟空「はぁ……」

『最初の競技は……男女混合徒競走……男女混合徒競走……小等部の皆さんは……』

三蔵「なんだよ男子はいらねーよ、女子だけで走らせろよそんな男女平等はいらねーよ」

悟空「ふわぁ……そーですねぇ。男の子のが速いですもんねぇ」

三蔵「む、おい悟空、向こうのベンチに移るぞ」

悟空「へ?ここのがグラウンドよく見えますよ?」

三蔵「俺は走ってる幼女より、走り終わって息を切らした幼女が見たいんだよ。ほらあっちに一等とかの旗持ってる人がいるから」

悟空「すごい良い顔ですごいダメなコト言いますね!」

三蔵「んだよ、来ないなら一人で移るぞ俺は」

悟空「行くに決まってるじゃん合法的に事後のショタを拝めるんだからやべぇヨダレが止まらねぇ」

三蔵「………悟空?どうした、壊れたか?」

悟空「ごくう?……お、おおっ、三蔵さんだ!おお、じゃあこれ悟空ちゃんか!おっぱいデカっ!重ぉっ!」

三蔵「おいマジでどうした脳ミソに毛が絡まったのか?しっかりしろ悟空!」

悟空「しっかりしてるんですけど?しっかりとショタを堪能してる」

三蔵「ご、悟空…?」

悟空「ふっふっふ。悟空ちゃんじゃないよー?愛と正義と半ズボンの味方、金蝉子ちゃんだよ!おひさっ!」

三蔵「…………あ?」
977: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/4(水) 22:46:30 ID:k6sxJkXSBQ


三蔵「うおおおお何最近の創作ダンスってここまですんのかそんなに脚を広げたらぁぁぁあ!」

金蝉子「いやいやいやこれはやはり西国特有の開放的なアレじゃないかな今見えた!白いブリーフが見えたぁぁあ!」

三蔵「じゃねぇよ俺もナチュラルに対応してんじゃねぇよ」

金蝉子「自分にまで突っ込むとかレベル高いね三蔵さん」

三蔵「……わかりやすく説明してくれ。俺は理解力には自信があるが、如何せん知識に乏しい」

金蝉子「えっとね。私さ、魂すら無いからさ。意識の欠片みたいなのがあちこちに散らばってるんだよね。この大陸とか地球とかなレベルじゃなくて、もっと広範囲で。で、他の生物の生命力を寄り代に、なんとか存在してる、みたいな?この私も、本体じゃ無いと思う」

三蔵「ウイルスかなんかかよ」

金蝉子「あ、うん近い近い。だからね、いつもはこんなハッキリクッキリ意識を持てないのよ。でもさっすが悟空ちゃんだね……生命力がめっさ強いからかな、勢い余って身体乗っ取れちゃったよ」

三蔵「それ逆に弱くね?」

金蝉子「……あんま心配そーじゃないね。可愛い弟子の身体だよ?」

三蔵「アンタは俺らになんもしねぇよ」

金蝉子「……あっはは。相変わらず、なかなか悪くないね」

三蔵「……そりゃどーも」




金蝉子「ふぅん……お師匠が私を探して…………えへへへ、さびしんぼうだな、お師匠ったら」

三蔵「今呼んだり出来ねーのか?」

金蝉子「こんなちっさい欠片の私なんて、見つけてもすぐ消えちゃうよん。多分本体はそこそこ力があるはずだから、見つけられれば復活の可能性も……何百年、いや何千年……いや何万、何億……」

三蔵「スケールがデカ過ぎてついていけん」

金蝉子「あっはは。でもこんなお喋り出来るくらいに自由になれるのは、相当ラッキーチャンスだね……よし…!」

三蔵「…なに見てんだよ、俺は法力とか使えねーぞ」

金蝉子「あのショタクール君はどこっ!?ショタクール君!」

三蔵「……小龍か?あー、どこだろ、この街に居るかどーかすら」

金蝉子「えええええええええ!?こんなチャンスなのにぃ!?この姿なら、濃っっっ厚なオネショタが出来るのにサクランボのパイ包みが出来ちゃうのにぃぃっ!!」

三蔵「いやそのカップリングは止めとけ方々に怒られる。主に悟空が」
978: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/4(水) 22:47:30 ID:k6sxJkXSBQ
金蝉子「くっそぉぉぉ……せっかくの生身なのに……せっかくの爆乳なのに……!」

三蔵「マジ泣きとか。え、なに俺も端から見たらこんなんなのか」

金蝉子「うう……あっ!組体操やってる!汚れた膝小僧ってなんであんなセクシーなんだろう!」

三蔵「こんなんなのか……」

金蝉子「あ、次は女子のパン食い競争だって。女子限定とか変態かよ」

三蔵「女子限定とかわかってんじゃねぇか変態かよ!」

金蝉子「うわ双眼鏡。次貸して次」




三蔵「ふう……堪能したぜ……!」

金蝉子「これで我が国は十年は戦える……!脳内ベストショットなんだった?私綱引きのメガネの子!歯を食いしばってちょー可愛いの足ピーンってなってんのピーンて!」

三蔵「……お弁当の時間の、サンドイッチを頬張る幼女だ…!」

金蝉子「なっ…!」

三蔵「……みんなで外でお弁当を食べるのが、とても楽しかったんだろう……慌ててしまったのか、水筒のお茶を溢しちゃったりしてな……眼福、ここに極まれりだ……」

金蝉子「きょ、競技そのものでは無く、食事風景……!普段よりたくさん身体を動かして、より空腹な状態で迎える昼食……!三大欲求のひとつを満たすその姿は、どんな競技種目より幼さ故の素が出る……そういう事か……!」

三蔵「……ケチャップで汚れてしまった体操服を、こしこしして誤魔化そうとする姿なんて……萌えるしかねぇだろ?」

金蝉子「ぐううっ……!ま、敗けだ……今回は、私の敗けだ……!私は、私は上っ面のエロスしか見えてなかった……!小児嗜好で地を舐めるなんて、この金蝉子もヤキが回ったか……!」

男「あのー」

三蔵「ふふふ……はい?」

男「自治会の者なんだけど、アンタらどこの子の関係者?ちょっと親御さんから苦情が……」

金蝉子「……脚に自信は?」

三蔵「……ふ、ガキの時分、韋駄天の紅流と呼ばれた俺に愚問を」

金蝉子「よし」

ダダダッ!!!

男「おいっ!ちょっとアンタらっ!?こ、こら待てーっ!」

979: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/4(水) 22:48:42 ID:k6sxJkXSBQ

三蔵「あー、あー、走ったぁ……!」

金蝉子「さすがに……はぁ……人様の身体でお縄になるのはマズイからね…!」

三蔵「………お前、良いのか?」

金蝉子「んう?何が?」

三蔵「よくわかんねーけど、本当に色々チャンスだったんじゃねーの?こんなバカやってないで、お師匠さんに会おうと出来たんじゃねーのか?」

金蝉子「……うーん………ま、良いよ」

三蔵「あっちは必死で探してるだろうに、薄情だなオイ」

金蝉子「………だって、見つけてくれるもん」

三蔵「……む」

金蝉子「私のお師匠も、きっとまた私を見つけてくれる。三蔵さんが、悟空ちゃんを見つけてあげたみたいに、ね?」

三蔵「……声が変だな。時間か?」

金蝉子「……うん。今度こそ、うーん……あんま早くは会えないかな?あー、『子供がどの程度の性知識を持ってるのが萌えるか』、また語れなかったね」

三蔵「あー、言ってたなそれ」

金蝉子「ま、それも次ってコトで♪」

三蔵「……見つけてもらえよ、お弟子さん」

金蝉子「……そっちも、この子を見失っちゃダメだよ、お師匠さん」

シュウウ……

悟空「んぅ……はっ!へっ?どこココ!?えっ!?……ゆ、夕方!?なんで!?」

三蔵「お前歩きながら寝てたんだよ、すげえな」

悟空「スゴい!って絶対ウソだ!えっなに、怖い怖い、お師匠さまっ、どうなったの何があったの!?記憶が無いんだけど!私どうしてたの!?」

三蔵「ショタコンになってた」

悟空「いやワケがわからないよ!?」

三蔵「……こんだけ騒がしいヤツ、見失えって方が難しいっつの」

悟空「?」


終了。
980: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/4(水) 22:51:29 ID:k6sxJkXSBQ
>>971
>>972
>>973
とりあえずこのスレ綺麗に終わらせてからで。あんがと。
981: ヨシュア【特番おまけ】 ◆.frSdr10QQ:2015/2/8(日) 20:44:02 ID:cSLvU9Mz7A
オークの首領「……部下が随分と世話んなったらしいじゃねぇか……ナニモンだ、テメェら……?」

紅孩児「ふう、こっちじゃウチの名前も意味無いから、面倒臭いね。ビジネスの話をしに来たのさ。……大人しく僕らの傘下になるか、死ぬか。はい選んで?」

オークの首領「……おい兄ちゃんよ。オレぁ『ナニモンだ』って訊いたんだぜぇ…?喧嘩は売った方から名乗れや…!!」

紅孩児「……正論だね。僕は紅孩児、中華最きょ」

鹿力大仙「中華最強の俺らを知らねーたぁ、嘗められたモンだぜ!」

紅孩児「あの、まだ僕がしゃべっ」

羊力大仙「我輩達は、かの地最大の義侠集団、牛魔である!」

紅孩児「ちょ、羊力さんまで」

虎力大仙「知らないってんなら、身体に教え込んでやるわ!いくわよ!」

紅孩児「ねえ聞いて!?僕の話を聞いて!?……って、え、なになんでちょっと下がるの?」

虎力大仙「縞々模様は夢見る模様!貴方のキモチを知りタイガー!乙女全開プリティ妖仙、虎力大仙!」

鹿力大仙「雄々しき角は勇者の証!更なる強敵とディアいたい!筋骨隆々パワフル妖仙、鹿力大仙!」

羊力大仙「高貴な白は忠節の色!染まらぬ義心はトップシープレット!知将良将ダンディ妖仙、羊力大仙!」

虎力大仙「我ら!」

鹿力大仙「三妖そろって!」

羊力大仙「三・大・仙!」

ドドーン!!!

オークの首領「………おい、兄ちゃん」

紅孩児「……オンナノコだってば」

オークの首領「…ギューマってのは、サーカスの一座かなんかか?」

紅孩児「……そうだね、アニマル率は高いね……」



『超短編・牛魔の未来』
982: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/8(日) 20:45:09 ID:cSLvU9Mz7A

紅孩児「……君達三人に、言いたい事がある」

虎力大仙「ねぇコレ美味しくない?なんのお酒?」

羊力大仙「ふむ、恐らく洋梨であるな。甘過ぎず、良い仕事をしてるである」

鹿力大仙「ウメェけど、魚料理には少し合わねーな。いや、タレを工夫すりゃ変わっか…?」

紅孩児「だから僕の話を聞こう!?君らは悟空たちか!」

虎力大仙「一緒にしないでくんない?アイツらは結構ガチめで話聞いてないじゃないの。アタシらのは、無視よ」

紅孩児「よけいヒドイ!」

羊力大仙「酒の席に、なにやら仕事の話をしそうな雰囲気を出すからである。真面目も結構であるが、程好く抜いて生きるべきであるぞ?」

鹿力大仙「そーだぜ紅孩児。オメェ全然飲んでねーじゃん。打ち上げくらいパーッと騒げよ、今回は呼んでやったんだから。ほら、杯出せって」

紅孩児「う、羊力さんにそれを言われるとか……あ、ありがとう鹿力さん………ん?え、今なんて?『今回は』?『呼んでやった』?え?いつもやってるの打ち上げ?ぼ、僕初耳だよ?今日が初めてじゃないの?」

虎力大仙「だっていつもは家とか宿とかでだもん。その辺の店より鹿力のゴハンのが美味しいし。でも西国良いわね、面白い料理出るし」

羊力大仙「多少バタ臭いであるがな。それに紅孩児殿、内々で行うのは他に理由もあるのだ。……打ち上げ代、経費で落ちぬであるしな。や、玉面様の経営なさる店ならば、なんとかなるが……」

鹿力大仙「都の方ならウメェ店もあっけど、ココみてーに遠いと、ファミレスとかしかねーしなー」

紅孩児「ぼ、僕はそれでも、呼んでくれたら行くよ…?」

虎力大仙「え?アンタを家とか宿に入れるの?なんで?」

紅孩児「本気で不思議がらないで!ヘコむから!」

虎力大仙「あっはは、冗談よ冗談。アタシとはよく飲んでるじゃない」

紅孩児「そ、そうだけどさ」

羊力大仙「しかし玉面様、手広くやり過ぎではないか?我輩この前、狐のマークのコンビニの二階に狐のマークの本屋があるのを見て、何事かと思ったであるぞ」

虎力大仙「あ、フォックスマートと玉藻堂書店ね。たまに一緒になってるわよねー」

鹿力大仙「ふーん。コンビニは行くけど、本屋行かねぇからなー、俺」

紅孩児「鹿力さん、字ぃ読めないもんね……じゃなくて!言いたい事があるの!聞いて!」

虎力大仙「っさいわね……なによもう、わかったわよ聞くわよ座りなさいよ」
983: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/8(日) 20:46:14 ID:cSLvU9Mz7A
紅孩児「……コホン。はっきり言うよ。……あの、いつもやってる変な口上とポーズ、なんなの?」

虎力大仙「なんのこと?」

紅孩児「アレだよ!あの『縞々模様は〜』とか『なんちゃらタイガ〜』とかだよ!なにあれ恥ずかしい!」

虎力大仙「はあ?……名乗りが恥ずかしいって……意味わかんないんだけど。ねえ?」

羊力大仙「うむ。武人の礼であろう?紅孩児殿とて名乗りくらい上げるであろうに。なあ?」

鹿力大仙「おう。なにお前シャイなの?」

紅孩児「違うよアレは武人の名乗りじゃない!戦隊ヒーローとか美少女戦士の名乗りだよ!えっ!?自覚無いの!?アレが普通だとでも思ってるの!?」

虎力大仙「まさか。んなこと無いわよ」

紅孩児「よ、よかった……そうだよねワザとあーゆー感じにしてるんだよね。でも流石にアレは」

虎力大仙「普通より断然カッコイイわよね、アタシ達の前口上と決めポーズ」

鹿力大仙「羊力が考えてくれてんだぜ!まあ言葉の意味たまにわかんねーけどな!今日のキンコツリューリューってなんだ?」

羊力大仙「お前みたいなマッチョのことである。少しは言葉を学べ、まったく」

紅孩児「うわぁぁ素だったんだ手遅れだ……!しかも考えてるの羊力さんなの?羊力さんが『夢見る模様』だとか『プリティ』だとか考えたの?勘弁してよ笑えないよ……!」

虎力大仙「なによケチつけないでよ。アレ大変なのよ?最後の決めとか上手く合わせるの、タイミング難しいんだから」

羊力大仙「内容にも苦心してるであるぞ、やはり同じ文言はあまり使いたく無いであるからな。そろそろまた新しいのを考えなくては」

鹿力大仙「あと後ろの爆発も気ぃ使うよな。ほらよ、前に火薬の量間違えちまって」

虎力大仙「あはは、あったあった。それで崖崩れ起きちゃって。あん時は相手、かなりポカーンとしてたわねー」

紅孩児「楽しそうなとこ悪いけど、なんでそんな苦労してまでアレを……」

虎力大仙「……じゃあ逆に聞くけど、どんなんなら納得すんのよ紅孩児は。てかアンタの名乗りってどんなんだっけ?ちょっとやってみなさいよ」

紅孩児「こ、ここで……?うう、まあ良いけど……。ん、んっ………平天大聖が一子、名を紅孩児!牛魔が流儀において、お命頂戴仕っちゃうよ?………みたいな感じ、だけど」

虎力大仙「つっまんな」

羊力大仙「捻りが無いである」

鹿力大仙「中途半端だよな」

紅孩児「あれぇ!?ダメ出しするはずがされてる!おかしい!」
984: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/8(日) 20:47:51 ID:cSLvU9Mz7A
虎力大仙「ウチの世継ぎともあろう者が、こんっっなクソつまんない見栄しか切れないとか、由々しき問題ね」

羊力大仙「うむ。大軍勢を率いる将として、あまりにも簡素。これではついて来る兵もついて来なくなるである」

鹿力大仙「お前コレがカッコイイとか思ってたのか?」

紅孩児「おかしいおかしい!僕の感性が普通のはず!ええ?さ、最後のセリフとか、そこそこ僕らしくて良い感じだと」

虎力大仙「よし紅孩児、今からアンタのセリフとポーズ、作ってあげるわ!羊力が!」

羊力大仙「仕方ないであるな……ふぅむ、紅孩児殿ならば……炎、男装、キザ……」

鹿力大仙「後ろの爆発の色は赤だよな、やっぱ!えっと調合は……」

紅孩児「話がおかしな方向に!あとキザってひどい!そして爆薬担当は鹿力さんなんだほんと物作り上手いよね!」



虎力大仙「はい、拍手拍手〜♪新生紅孩児の名乗り上げ!」

羊力大仙「やんややんや、であーる!」

鹿力大仙「よっ、大統領!」

紅孩児「ぐ……三人揃って酔っぱらうと、ここまで厄介だとは……!や、やるよわかったよ、もうヤケだよ!あ、爆発はダメだからね鹿力さん!」

鹿力大仙「あ、そっか危ねっ」

紅孩児「まったく……じゃあいくよ……すぅ……」

ビュオッ!!

紅孩児「……地獄に咲いた、紅き徒花……燃える視線は、君の心に灯す花火か、全てを滅す悪鬼の業火か……牛魔が紅蓮、フレイム・オブ・ビューティー紅孩児!」

三大仙「…………」

紅孩児「反応してよ!せめて笑ってよ!やらせといて無言はもはや死刑に近いよ!?てゆーか何コレ!?ただの怪しいホストだよこの後『ご指名ありがとうございます』って言うよコイツ!!」

虎力大仙「カッコイイ……!!やるわね羊力!これは痺れるわ!」

羊力大仙「ふふふん、会心の出来であーる!やはり炎という単語は使いやすいであるな!」

鹿力大仙「もういっそ四人でのポーズも考えようぜ!」

紅孩児「考えるな!君らの感性はおかしい!」
985: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/8(日) 20:48:45 ID:cSLvU9Mz7A
虎力大仙「あははは、怒鳴らない怒鳴らない、アンタほんと可愛いわね」

紅孩児「可愛っ……ねえ君達、僕をバカにしてない!?世継ぎだよ!?いずれ主君になる相手だよ!?そりゃ親父に比べたら、威厳も無いだろうけど……」

虎力大仙「牛魔王様と比べること自体がムダよムダ」

羊力大仙「あれほどのお方、世に二人と現れるモノではないである」

鹿力大仙「怖ぇけど、あの人しかいねー感があるもんな」

紅孩児「くっ……どうせ僕は、頼りない二代目だよ!ふんだ!」

虎力大仙「……古株の幹部連は、まだまだアンタを認めてないもんね」

紅孩児「……君達みたいにバカにしたりもしないけどね!」

虎力大仙「…なに言ってるのよ。アタシは、アンタについて行くって決めてるわよ?友として、臣下として」

紅孩児「……え?」

羊力大仙「…我輩が主君と仰ぐは、今生において牛魔王様ただ御一人。ならばこそ、牛魔の威名を世に轟かせることが我が使命……その御子が為身命を賭す覚悟、この羊力、出来ているであるぞ」

鹿力大仙「俺より強ぇ。そんだけでじゅーぶんだぜ。なあ二代目?」

紅孩児「こ、虎力さん……羊力さん、鹿力さん……!」

虎力大仙「期待してんのよ、アンタに。自信持ちなさい、紅孩児!」

紅孩児「み、みんな……や、やるよ僕!中華最強どころか、世界最強にしてみせるからね、牛魔を!」

虎力大仙「その意気よ、未来のボス!」

羊力大仙「我輩らの希望であーる!」

鹿力大仙「よっ、大統領!……あれ俺これさっき言ったな」

紅孩児「うん頑張るよ僕!ありがとう!ありがとう!」

虎力大仙「きゃーボスかっこいい!ところでこの店の支払いなんだけど」

紅孩児「もちろん僕が持つよ!」

羊力大仙「あと、今回のボーナスの上乗せの相談なのであるが」

紅孩児「期待してて!ガッツリ出させるから!」

鹿力大仙「あ、タバコ切れた」

紅孩児「買ってくるよ!七星のボックスで良いんだよね!」
986: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/8(日) 20:49:20 ID:cSLvU9Mz7A
ダダダダダッ!!

虎力大仙「……酔ってるとは言え、ほんとチョロいわね。ウチの二代目」

羊力大仙「我輩らの未来は安泰であるな。牛魔の未来的には不安であるが」

鹿力大仙「バカだよな、最近はイイヤツだけどよ」

虎力大仙「アンタにバカって言われたらおしまいね。……ま、あんなんでも次期ボスなのは確かだから。なんとか助けてあげましょか、これからも」



紅孩児「……同じ夜空を、君も見ているかい、悟空!こーちゃんは、公私ともに充実しているよ!ふふ、あははははっ!」




悟空「えっきし!」

三蔵「なんだ誰かに陰口言われたか」

悟空「そこはウワサで良いじゃないですかもう……この感じは……こーちゃんだ」

八戒「解るものなのか、すごいのう」

悟空「ねちっこい感じがするんだよね、うん」

沙悟浄「そういや紅孩児のヤツ、久しく見てないね。まあ別段会いたかないけど」

小龍「…厄介事しか持ち込みませんしね」

悟空「うん来なくていい。疲れる」

八戒「好かれとると言うに、姉者は紅孩児に対して辛辣じゃの。実はかなり嫌いか?」

悟空「嫌いじゃないよ?……どうでも良い、がシックリくる」

三蔵「嫌いよりヒデーよ」




紅孩児「悟空ーっ!僕、頑張ってるよぉーっ!!」



めでたくなし、めでたくなし。
987: 名無しさん@読者の声:2015/2/9(月) 11:14:05 ID:T6UjurwLo2
こーちゃん…肉まんあげるよ(´;ω;`)
っ〇 それとCCCC
988: ヨシュア【スレ終了】 ◆.frSdr10QQ:2015/2/12(木) 15:27:39 ID:fr1T4ByreU

天地創造の理を解したくば、この物語を読むと良い。


神が、魔物が、仙人が。

未だ天地の境無く、君の隣にも、奇怪で奇妙で奇天烈な、そんな素敵が、あった頃。


頭の中を、空っぽにして読むと良い。


龍が、麒麟が、鳳凰が。

君の心にへばりつく、不安を不満を不公平を、ほんの一時、消せるから。



物語へと、いらっしゃい。
989: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/12(木) 15:28:30 ID:fr1T4ByreU
悟空「伸びて如意棒ーっ!」

山賊「ぐぎゃっ!?」

ドサッ…

悟空「っと!お師匠さまに、近付くなっ!」

三蔵「んにゃ、多分違うぞ悟空。コイツらが狙ってんのって」

山賊頭「へへ、さすがバケモノみてぇな強さだぜ……しかしテメェを殺せば、俺らは一躍有名人だ!」

悟空「えー?私ぃ?」

八戒「ほ、此処等でも悪名を轟かせたか。随分と世を狭く使っておるの、姉者」

山賊頭「……コスプレ姿のエルフ……テメェがチョハッカイだな?」

八戒「む。何じゃワシもか。しかし余程ワシはその、『えるふ』とやらに見えるんじゃのう。一度会うてみたいわ」

山賊頭「で、そっちの生意気そうなガキがシャオロン……赤毛の女がサゴジョーか。くく、盗賊ギルドにその首持ち込みゃあ、数年は遊んで暮らせるってもんだ!」

沙悟浄「はっ、裏で懸賞金を掛けられてたかい。少し賊を片付け過ぎたかねぇ」

三蔵「あっれー俺の名前が無い」

小龍「…先生、なにもしてないですし。…ちなみにいくら掛けられてるんですか?」

山賊頭「これから死ぬってヤツが、それを知ってもしょうがねぇだろうに。へ、テメェら全員合わせりゃ、金貨数百枚はくだらねぇよ!」

八戒「なんじゃそんなもんか」

沙悟浄「数年どころか、半年ぶんの食費にもならないじゃないのさ」

小龍「…そうですね、三ヶ月程度ですか」

山賊頭「テメェらのエンゲル係数どうなってんだよ怖ぇよ!」

三蔵「お前が食い過ぎるからなあ」

悟空「育ち盛りなんです」

三蔵「まだ生やすの?」

悟空「おっと毛の話じゃない」
990: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/12(木) 15:29:20 ID:fr1T4ByreU
山賊頭「緊張感の無ぇヤツらめ……野郎共、囲めぇ!」

ゾロゾロゾロゾロ……!!

八戒「ほっほ、百は超えとるな。此程の大人数は久しいの」

沙悟浄「そんだけ食いっぱぐれが多い、ってコトだろねぇ。西は戦が多そうだし、あんまり安定してないね」

小龍「…中華と違い、それぞれの国が、完全に独立しているからですかね。中華においての王は、帝の臣下ですし。…表向きは」

山賊頭「油断してくれてんなら、願ったり叶ったりだ!良いか、一人として逃がすんじゃねぇぞ!特にその、ムダに乳のデケェ女は逃がすな!一番の高額首だ!」

悟空「ム、ムダじゃっ……無いよ!?断じてムダじゃ無いよ!」

三蔵「強い否定が涙を誘うなあ」

山賊頭「やっちまえ野郎共!死にやがれ、ソンゴリラ!」

ウオオオオオオオッ!!

悟空「だっ……れが………ゴリラだぁーっっ!!!」

ブウウウウウウンッッ!!

山賊「「ぐあわぁぁぁぁあっ!!?」」

シュウウウウウ……

山賊頭「……ひ、一振りで……全、員……!?」

八戒「こら姉者ぁ!ひとこと言うてから振り回せい!危のうて敵わん!」

悟空「だって!だってコイツがゴリラって!名前間違うにしても!名前間違うにしてもぉ!」

沙悟浄「旦那様、大丈夫かい?」

三蔵「うん大丈夫だから下ろそうか、お姫様抱っこされてる俺とか絵面がよろしくない。なんだよ悟空、良いだろ別に。似たようなモンだろ?」

悟空「全然違いますよ石猿とゴリラは!肉まんとピザまんくらい違いますよ!」

小龍「…系統は同じだと認めてませんか、それ」
991: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/12(木) 15:30:39 ID:fr1T4ByreU



八戒「あんだけ偉そうに息巻いておったのに、迷い無く逃げて行ったのう、情けない頭目じゃ」

三蔵「目の前で百人以上吹っ飛ばされちゃ、戦意もクソも一緒に吹っ飛ぶだろ普通」

沙悟浄「旦那様の言う通りさね。ちったあアタイらにも残しといておくれってんだよ、まったく」

小龍「…悟空さん、腕、上がりましたよね」

悟空「え、そう?」

八戒「ほ、わかるか小龍。それならば御主も成長しておるの。うむ、以前より少し、力の運用に上達が見える。先の大振りも、せいぜい二分の力しか出しておるまい?」

悟空「んー、んん?」

沙悟浄「悟空姐さんはナチュラルに強いからね。そーゆー細かいアレはわかんないだろうねぇ」

悟空「それ誉めてるの?けなしてるの?」

三蔵「ふーん………あ、どうでも良いんだけどさ、お前らの中で一番強いのって、やっぱ悟空なのか?」

悟空「む」

八戒「…ほ」

沙悟浄「……一番、ねぇ」

三蔵「ん?どした?」

悟空「そうですねぇ……まともにやったら」

悟空「私かなぁ」

八戒「ワシじゃな」

沙悟浄「アタイだろうねぇ」

ビキキッ……!!

三蔵「……なんか俺、めんどいコト訊いた?」

小龍「…はい、ものすごく」

三蔵「……お前は混ざんねーの?」

小龍「…私は、お三方より弱いと自覚していますし」
992: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/12(木) 15:31:41 ID:fr1T4ByreU
八戒「ほっほっほ、二人とも、『まともにやったら』じゃぞ?そんなんワシに決まっとるではないか、武のみで戦が決まるとでも思うとるのか?」

沙悟浄「いやいや姐さん達、『まともにやったら』ってのは、正味の武技の優劣だろう?アタイ悪いけど、サシの喧嘩で負ける気はしないねぇ」

悟空「違うよ絶対私だよ!『まともにやったら』私だよ!私が一番大技持ってるし!長姉だし!」

ゴゴゴゴゴゴ……!!

八戒「……サシの喧嘩?大技?ほ、幼い幼い。何でもアリならば、ワシは指ひとつ触れさせず、御主らに地を舐めさせる事、容易じゃぞ?あと別のトコも舐めさせる」

沙悟浄「……あはは、八戒姐さんも冗談がキッツいねぇ。喧嘩の勝敗を決めるのは、根性と気合いさね。そんな奸計に頼った考えじゃあ、ねぇ?で、悟空姐さんはスペック頼りだし?あとドコ舐めさせる気だい」

悟空「スペックになんて頼ってないもん!確かに私の棒術は我流だけど、仙術とかはめっちゃ修行したもん!あとドコ舐めさせる気かジェスチャーしなくていいから八戒ちゃん!」

八戒「……目にもの見せねば、わからぬかのう……!」

沙悟浄「いっつも自分が上手だと思ってたら、大間違いさね……!」

悟空「姉弟子の凄さを、そろそろ教えとくべきかなこれは……!」

バチバチバチ……!!

小龍「……止めないんですか」

三蔵「はん?なんで?それよりこの北欧神話バトルカード、まだよくルールわかんねんだよ、なんか休憩っぽいし対戦しよーぜ対戦」

小龍「…この人は……」


八戒「良い機会じゃ!神算鬼謀の将と恐れられた、この天蓬元帥が手練手管……直に味わうが良いわ!!」

沙悟浄「たまには末っ子らしく、好き勝手させて貰うのも悪くないねぇ!捲簾大将の名は、伊達じゃあ無いよっ!!」

悟空「斉天大聖孫悟空っ!お姉ちゃんらしく、妹を暴力で黙らせてやるからねっ!!」


三蔵「んー?この『まじっくぽいんと』ってのは減ってくんだろ?じゃあ魔法カードを使う場合は」

小龍「…ですから、使用毎に数値が……あの、やはり遊んでいる場合では」

三蔵「いーんだよ、アイツらだって遊んでんだし」

小龍「…確かに悟能様は、遊びで乗っていますが……」

三蔵「耳がソワソワしてるしな」

小龍「……御存知でしたか」
993: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/12(木) 15:32:58 ID:fr1T4ByreU
三蔵「わからいでか。んで、悟浄は鼻だな、ピクピクする。意外に悟空がわかりにくいが、尻尾の付け根が、少しクイッと上がる。どっちも楽しかったり、嬉しかったりする時に出るクセだ」

小龍「……なんか気持ち悪いですよ、先生」

三蔵「そしてお前は、ツノを触るんだよな。そんな風に」

小龍「……っ」



八戒「ほほほっ!分身に幻術、ワラワラと煩いが……当たらなければどうと言う事は無いわい!凪ぎ払えい、九歯馬鍬っ!!」

沙悟浄「ち、二人してチョコマカと……!なら一人ずつ沈めてやるかね!散撃呪、らぁぁあっ!!」

悟空「おおっとお!どれがホンモノの攻撃かわかんないなら、全部弾いちゃえば済む話だねっ!よし、伸びて如意棒っ!!」

沙悟浄「うわっち!?……は、そんな真似が出来るのは」

八戒「姉者くらいのモンじゃな。ふざけた反射神経しおってからに」

悟空「そう?お兄ちゃんも同じコトできると思うよ?てりゃっ!」

八戒「牛魔王の奴や……よほっ!チェリー英雄あたりは、例外中の例外じゃ。比べるだけ無意味じゃて!ほれぃ足元っ!」

沙悟浄「させないよっ!そういや、虎のヤツから聞いたけど……八戒姐さん、ずいぶんヒッドイ倒し方したそうじゃないのさ、英雄さん……をっ!…あは、コレ避けるかい!」

悟空「いやけっこー危なかった!で、なにそれなにそれ。私にも教えて……って、ちょ、急に二人がかりはズッコイ!わ、わわわ!?」


三蔵「なー?お喋りしながらじゃれてるだけだよアレ。ううむ、やっぱスターターデッキじゃ俺好みのスタイルにならないな……」

小龍「…先生、一発逆転狙うタイプですもんね。……ですが皆さん、心持ちはどうあれ、本気でやり合ってはいます。見ているだけで勉強になる……!」

三蔵「そんなんよりカードカタログ見ようぜ俺このカード欲しい」

小龍「……自分でけしかけておいて、誰が一番か気にならないんですか?」

三蔵「うん全然」

小龍「……はあ…」

三蔵「四人とも、俺にとっちゃ一番だし。てかロリキャラ多いなこのカードゲーム。あんまり多いとありがたみ無くなるんだよなー、わかってねーなー」

小龍「……まったく、この人は」
994: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/12(木) 15:34:13 ID:fr1T4ByreU

悟空「……えへへ、『みんな一番』だって」

沙悟浄「むふ、むふふ……旦那様だねぇ♪」

八戒「はん、揃いも揃って締まりの無い顔をしおって。手合わせの最中に、聞き耳なんぞ立てとるで無いわ」

悟空「そーゆー八戒ちゃんだってニヤけてるじゃん」

沙悟浄「素直じゃ無いねぇ、この幼女は」

八戒「あ、阿呆ぅ!ワシはただ、惚けた御主らの顔を見て『これで白目を剥かせればアへ顔になるのう、成程こんな顔になるんじゃなあ』と想像し欲情しとったダケじゃ!」

悟空「照れ隠しが恥さらしになってるよ黙ろうか!」

沙悟浄「……悟空姐さん、先にこの人やっちゃおう」

八戒「えーワシ、姦られるより姦るほうが」

悟空「知ってるよ黙ろうか!」





三蔵「おーい、もう良いだろー?腹減ったよ、町に向かおうぜー」

小龍「…悟能様、日暮れも近いです、そろそろ」

八戒「む、そうじゃの。ほほ、助かった助かった」

沙悟浄「ったく……また今度だね。次は黙らせてやるからね」

三蔵「そうだ、またにしろ。飯食ったらカードショップ行きたいし。って小龍が」

小龍「…先生が、でしょう。…行きますけど」

悟空「……また今度。えへへ…♪」

三蔵「なんだニヨニヨと。後頭部でも強く打たれたのかお前」

悟空「いえ、なんか……『また』があるって、良いなあって…」

三蔵「なぜ急に陰毛の話を」

悟空「『股』の話じゃないですよ!」
995: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/12(木) 15:35:45 ID:fr1T4ByreU

物語は、始まったばかり。

天地創造の理を解したくば、真白き龍と、其を導こう。


それは、苦難を乗り越え、何事をも成し遂げる、強き力を得ることだ。

曰く、能(あた)うを悟れ。


それは、暗く淀み、濁り汚れた中にあっても、清んだ瞳を持つことだ。

曰く、浄(きよ)らかなるを悟れ。


そして、この世に在るものすべて、晴天の如き眩く、尊きものであると知ることだ。

曰く、空(くう)の心を悟れ。


天地創造の理を解したくば、真白き龍と、其を導こう。

優しき聖者が、君を導こう。



さあ往こう。共に遊ぼう。


西へ、西へ。



『西遊記』
996: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/2/12(木) 15:36:57 ID:fr1T4ByreU
読んでくれた人、コメントや支援くれた人、イラストまで描いてくれた人、ありがとうございましたー。

またねー。
997: 名無しさん@読者の声:2015/2/12(木) 16:12:37 ID:eB319qzgEA
ヨシュアさんお疲れさまでした!

締めが…締めが…何か泣きそうになったんですけど!!
楽しいSSをありがとうございました!
SSだけど、漫画読んでる気にさせてくれましたwww

気が早いかも知れませんが、次回作が楽しみです!
本当にお疲れさまでした&ありがとうございました!
998: 名無しさん@読者の声:2015/2/12(木) 18:12:38 ID:iivWwFL6Qc
これまとめに載せて欲しくなるなあ…
999: 名無しさん@読者の声:2015/2/12(木) 18:23:00 ID:bogumYyZB2

1000: 名無しさん@読者の声:2015/2/12(木) 18:25:06 ID:5YyML.wj9c
こんなに面白いと思えるSSは久し振りでした。ヨシュアさん、素敵な物語をありがとう!
1001: 1001:Over 1000 Thread
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ニニニ(゚Д゚∩コ
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   し´

えっ…と、
1001はここかな…と
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`ヽ   /)ニニニコ
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  ∧∧ ミ ドスッ
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