自分を流れ星に例えた人が居た。光るのは一瞬だけ、あとは消えて忘れ去られるのがオチさって。あの人は明るく伝えてくれたけど内心は分からない。
女の子「星が綺麗です。」
謎の影「そうですね。」
女の子「私は忘れたくありません。だから、毎日夜空を見上げるのです。」
影「風邪を引く前に部屋に入りましょう。」
女の子「忘れるのは、哀しいです。」
影「そうですね。」
女の子「…冷たいです。」
影「今日は生憎の雨ですから。」
女の子「誰かが泣いているのですか。」
影「それは…─、」
────────
働く女とそれに付き従う男の話。生暖かい目でお付き合い下さいませ。
102: 名無しさん@読者の声:2011/9/26(月) 08:01:29 ID:iiildWft16
以上、スルースキル検定でした。
続けて作者様の『忘却線上の星』をお楽しみ下さい
103: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 14:22:23 ID:yKROkiQYYg
それでは本日も心を込めて描きます。ぺこり
─────オフィス
彩月「美月さんおはようございますっ…!」
美月「おはよう、早乙女。」
彩月「体調…、如何ですか?」
美月「大丈夫だ、心配かけて悪かったな。」
上司「星川、ちょっと。」
彩月「行ってらっしゃい!」
美月の背中を見送る彩月の視線は、少し複雑さを含んでいた。
104: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 14:30:31 ID:yKROkiQYYg
陽人「…おはよう、早乙女さん。」
彩月「椎名クン、昇進ってほんと?」
陽人「昇進、と言うか美月さんを補佐できるように無理矢理いれて貰った、ってとこかな。」
苦笑混じりに告げる彼に彩月の心のもやは爆発寸前である。
彩月「…二人が幸せになるのはぜんっぜん構わないけど、私だけおいてくのは嫌!三人で仕事したいのに、この数日間がめまぐるしくて…っ!」
二人が有給をとっている間、彩月は他の部署の仕事を手伝っていた。どこにでも顔がきき、愛嬌あるのが彼女の長所だ。
陽人の昇進を前に、彼女を他の部署へ引き抜く話も出ていた。
陽人「勿論、早乙女さんも一緒…と言うか実質俺等は変わりません。」
105: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 00:57:24 ID:YHSMbJRRo2
彩月「良かったぁ…!やんわり断る私の気持ちにもなってほしいわ!」
陽人「美月さんの事、好きなんですか?」
彩月「当たり前じゃない、尊敬してるし…勿論好き。」
陽人「それは…「勿論、椎名クンの思ってる通り。」
彩月「私だって、頑張って美月さんに近付いてるのに…。全部椎名クンに取られてさ。」
陽人「…ごめん。」
彩月「今日のお昼、ケーキ楽しみにしてるから!後、結果報告もね、予想はついてるけどさ。書類コピーしてくる!」
陽人(…先行き不安なのは俺だけなんだろうか。)
106: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:10:06 ID:YHSMbJRRo2
────────
上司「最近、どうですか。星川君。」
美月「昨日は有給を頂き、…優秀な部下に恵まれ、順調です。」
上司「最近の君の顔色はすこぶる悪かったからね。いい加減会社を恋人にするのはやめなさい。」
美月「…すみません。会社に居た方が落ち着くので、つい。」
上司「君らしいね。」
上司「さて、星川君。私の知り合いに医者がいるんだが…、少し身体を休めるつもりは無いかな?」
美月「それは、私が戦力外だと言う事ですか…っ!?それに、それに、…っ私は特に身体の不調は有りません…!仕事も出来ます、睡眠もとっています…!」
上司「こころ、の問題。と言えば早いかな。少しで良い、紹介するから寄ってみなさい。」
上司「君はこれからも会社の戦力だ。しかしこのままでは、……自爆しかねないよ?」
美月「分かりました。…失礼、致しました。」
机上に差し出された名刺を美月は渋々受けとる。上司の顔を見れぬ侭、退室した。
上司(これで良かったのかな、椎名君。)
107: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:20:35 ID:YHSMbJRRo2
美月「早乙女!…どうした?」
彩月「あっ、あっ、…!美月先輩!ちょっと、あの、コンビニ行こうかな、って。」
美月「私も行こうかな、…なんか甘いもの食べたい気分だ。」
彩月「…何か、言われたんですか?」
美月「いや、ただの報告だ。早乙女こそどうした、何かあったか?」
彩月「いえ、…少し自分に甘かっただけです。やっぱり二人が居なきゃ楽しくなくて。」
美月「そうか。…今度の休暇は、あの…ショッピングセンターにでも行かないか?」
彩月(美月さんとデート!)
彩月「勿論です!美月さんの服、チョイスさせて下さい。」
叶わないと知りながらも、女の特権を生かすのはありだろう。と心中でほくそ笑む彩月だった。
彩月「やっぱり大好きです、美月さんっ!」
108: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:34:34 ID:yjsKgIJf5k
美月「なんだ急に、…照れるぞ。」
彩月「素直な気持ちです、受け取っちゃって下さい!」
───────
時計は12時を回り、辺りは昼時となった。
彩月「ケーキ美味しそう…!ありがとうね、椎名クン。」
陽人「美味しく召し上がっていただければ光栄です。」
彩月「あら、美月さんは?」
陽人「忙しいらしい、後でお昼にするって。」
彩月「そっか〜。…さて、どうだったの?初デート。」
陽人「…取り敢えず、うまくいった、のかな。…まだ、言えない事も有るし、結婚するわけじゃないから、なんとも。」
彩月「ふぅん、…私も男ならなぁ。美月さんを幸せにします…!とか言えるのに。」
陽人「早乙女さん、男には興味無いのか?」
彩月「んー…、今の所。全部表面上って感じかな。良い子で終わっちゃう。」
陽人「そっか、…なんなら俺の友達紹介しようか?」
彩月「今は遠慮しとく!美月さんでいっぱいいっぱいだから。」
幸せそうに笑う彼女の裏側を想像して、陽人の胸は痛んだ。しかし、自分も必死で、やっと掴んだ距離だった。早々手離す気は無いと心の中で告げる。
109: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:50:49 ID:YHSMbJRRo2
美月「もしもし、…あ、はい、はじめまして。」
主治医『はじめまして〜、上司君から話は聞いてるのよ。星川さんかしら?』
美月「はい。」
主治医『そんな沈んだ声出しちゃや〜よっ!あなたいつ頃来れそう?』
美月「すみません…っ、えっと…お時間指定して頂ければ何時でm『それなら今からが良いわ!上司君には適当に言っておくから!まってるわね〜。』
唐突に通話が終了を示す音が耳に伝わる。美月は暫し呆然としていた。
美月「あー…、もしもし椎名か。これからちょっと出るから後は頼む。すまない。…荷物は持ってるから、大丈夫だ。早乙女にも宜しく頼む。じゃ、」
110: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 02:29:26 ID:yjsKgIJf5k
頭が回らないので今日はここまでにします。本日もありがとうございました、お休みなさいませ。
111: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 15:24:06 ID:UHbjGnE77Q
美月(確かに、住所はここであってる。)
目の前に現れたのは病院ではなく一軒家。辺りを見回してみるが似たような家屋しか無く、病院は無さそうだ。
美月「間違ったら、謝れば良い。」
呼び鈴を指先で押す。足音が近付く、どうやら留守では無いらしい。
主治医「いらっしゃぁ〜いっ!美月ちゃんね、早く入って入ってぇ。」
扉を開けて貰うと其処には、性別不明の人が居た。
美月(やけにきれいだけど…、醸す雰囲気は男性。)
美月「お邪魔します。」
112: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 15:28:37 ID:RXzqRISjrs
主治医「ん〜、そうねぇ。美月ちゃんは何飲む〜?」
美月「あ、…えっと、」
主治医「私の事は、みっちゃんって呼んで。」
柏木 光男(みっちゃん)
・上司の相棒。
・知る人ぞ知る、ヒーリングオカマ。
・以下不明
113: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 00:38:34 ID:ORGaFaQ3qo
美月「みっちゃんさん…、私、良くわからないまま此処に来てしまったんですが。」
み「ん〜、ミルクティーって気分ね。あらぁ、上司ちゃん、また説明無しに寄越したの?あの人も無責任よねぇ。思い当たる節は?」
美月「こころの問題、と言われました。…確かに、幼い頃から記憶する事、記憶を保つ事が苦手ではあります。最近また、不安定になってきていて。」
み「そうなのねぇ。ま、そんな緊張しなくて大丈夫よん。私はあなたのこと今は1ミリも知らないわ〜。憶測で喋る事も沢山ある、何か感じる事、反論があったらばんばん言って良いのよ。」
美月「…はい。でも、こころの問題って…。」
み「美月ちゃんは自覚が足りないのね、きっと恋愛でもそう。おニブさ〜ん!勿論、人間だもの、忘れるなんてしょっちゅうよ。でも美月ちゃんの場合は"消してる"に近いわねぇ。」
114: 名無しさん@読者の声:2011/9/28(水) 00:47:24 ID:ghHEmn560Q
これがオカマか…
脳内では眼鏡白衣の美人で再生されるのに
115: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:00:03 ID:ORGaFaQ3qo
美月「…消してる。」
確かに、陽人の件も有りその表現の方がしっくりくる。
み「はいはい、そう思い詰めた顔しないで〜!美月ちゃんに何があったかは、私には分からない。けど、小さな頃の美月ちゃんには抱えきれなかったのよねぇ。」
美月「…抱えきれなかった…?でも、私の幼少期は…。」
伝えようにも、記憶が断片的で、美月は息を飲む。記憶の中の其れは、ひどく平和な世界だった。
116: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:01:43 ID:ORGaFaQ3qo
>>114
見た目は美人さん設定です。女よりキレイなオカマさんでw
いつか、この子達を描いて頂けたらな、と夢見ております(*^ω^*)
117: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:12:17 ID:tL0ly3VaPU
み「ゆっくりで良いのよ。生憎診察代も要らないし〜。暇な私の相手してくれたら良いのよねぇ。何かあったらメールして、デートの御誘いも大歓迎っ。」
美月「私、…大事なこと、ばかり、…消してる、気が。」
み「美月ちゃんみたいなタイプは自分に圧力かけすぎなのよ〜。記憶もパンクしちゃうわ!」
美月「…そうなんですか。」
み「美月ちゃん、ガールズトークはお好き?」
118: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:20:44 ID:ORGaFaQ3qo
美月「ガールズトーク…、した事が、ありませんね。」
み「ならやりましょ!やりましょ!美月ちゃん、恋してるでしょ〜、中々順調ね?」
美月「…っ!?え、あの、恋っ…恋…と言うか、最近、つい、ほんの…はい。…恋?」
み「やっだ〜、赤くなっちゃってウブねぇ〜!食べちゃいたいわぁ。彼はどんな人?」
美月「年下で、犬…みたいです。気が付けば側に居て、何時も私の事を気にかけてくれて居ます。実際、彼が居なければ私は…─。」
み「素敵〜っ!互いに差さえあってる感じかしらぁ!年下捕まえるなんて中々やるじゃない、美月ちゃん。」
数時間、みっちゃんの巧みなトークスキルで話は盛り上がった。その中で美月は重大な事に気付く。
美月(…あいつに、好きって伝えてない…!)
119: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:27:46 ID:tL0ly3VaPU
み「さて、お仕事なのに無理矢理引っ張ってごめんなさいねぇ。またいらっしゃいな。」
美月「色々ありがとう、ございます。あの、恋愛の話とか…出来る相手が居なくて、助かります。あと、自分ともう少し向き合いたいので、力を「堅苦しいのはよせっていってるでしょう?」
み「気軽に気軽に、ね?ちゃんと彼に素直になるのよ、またね〜!」
一瞬、彼女の男性的部分が出た気がしたが美月は見なかった事にした。
車を発信する前に電話をかける。
美月「もしもし、椎名。…逢えるか?あの、話したい事が、少しあってな。」
120: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 15:02:37 ID:ByYHCP3s9Y
─────────
美月「…ありがとう、あの…それがだな。」
陽人「会社辞める、とか言わないで下さいね。あと、やっぱりお前とは付き合えないとか、ファッションセンスどうにかしろとか、加齢臭(以下略)」
美月「落ち着け、馬鹿。…私が、一つ、…伝えてない事がある。」
陽人(久しぶりに緊張で吐きそうだ。)
美月「椎名、好きだ。私の気持ちを曖昧にして悪かった…、でも今日改めてお前の大切さに…椎名?」
陽人「…っ、う…続けて下さい…っ。」
美月「ほら、ティッシュ。…泣く程ショック、だったか?」
陽人「…見て分かって下さいよぉ…、嬉し泣きです嬉し泣きっ!」
美月「…椎名からも、聞きたい。」
陽人「一緒ついていきます…!大好きです!」
美月「ここが車の中で良かったな…。」
平然と返答する美月の顔は、赤く染まっていた。少し心臓の鼓動が治まったのは、自分の曖昧さに一つけじめをつけたからだろうか。
陽人「美月さん…、顔赤いですよ。」
美月「う、うるさい…!27年間生きていてはじめてなんだ、緊張も羞恥も有るに決まってるだ……ん!」
二人の唇が重なりあったこの日を、記念日にした。薄暗くなる車内でロマンチックさの欠片も無いファーストだったが、互いの距離が一瞬に縮まった瞬間だった。
121: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 15:17:29 ID:GaUGTF8VV2
美月「………。」
陽人「殴られる覚悟は有ります。」
美月「覚悟しろ、目を閉じて、力を抜け。」
陽人(我が生涯に一片の悔い無しっ…!!)
力を抜いた刹那、柔らかな感触が唇に伝わる。思わず目を見開くと直ぐ様美月の掌が視界を遮った。
美月「見るな…っ!…やられてばかりは性にあわないからな…っ、も、見るな…!」
陽人「わー、くらいよーこわいよー。」
陽人(俺、絶対今、幸せ。世界中の誰より幸せ。)
122: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:07:41 ID:0F6P3PjF1g
美月「半端な気持ちじゃ、無いからな…っ!」
陽人「分かってます。美月さんが真面目な人だって。」
美月「…そうか。」
陽人「そろそろ帰りましょうか。」
視線を下げる彼女を見て、陽人は頭を撫でた。自分が生きてきた中で、一番の幸せを噛み締めながら。
123: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:23:47 ID:0F6P3PjF1g
【半年後】
み「美月ちゃん、待ってたわぁ〜。」
美月「みっちゃんさん、こんにちは。」
み「さて、今日はそんな決心したような顔してどうしたのかしら?」
美月「そろそろ、…過去の自分とケリをつけようと思って。」
み「何か裏があるみたいね。でも、悪い事じゃ無さそうだわ。」
美月「…はい。私のこの不安定さは、どうしたら…治るんでしょうか。」
み「簡単よ〜?美月ちゃん自身が安定すれば良いの。」
美月「簡単そうで、難しいですね。」
美月は不安そうに笑う。みっちゃんはそれを包むように微笑み、見詰めた。
み「彼とはうまくいってるのかしら?」
美月「たまに、喧嘩もしますけど…何とか。」
み「そう、それなら焦る事は無いわ。彼と居ると、安定してるでしょ?」
美月「…はい、確かに。」
み「愛情、って私一番大事だと思うの。そりゃ、お金が無きゃ駄目だってのも間違いじゃないわ。でも、愛情があるからこそ…、人間って今日を生きて明日も頑張ろうってなっちゃう単純な生き物なのよ。」
み「その中で支え合うってとっても素敵。だから、美月ちゃん…今決心してる事は間違いじゃないわ。ただ、貴女から言うのは駄目ね。彼も同じ事、考えてるはずだから。」
美月「……!ばれてましたか、分かりました。みっちゃんさんありがとうございます、…もし、"その時"は絶対報告します。」
何かに吹っ切れた顔つきで、美月は実家へと車を走らせた。
124: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:29:06 ID:bN69lXYabc
美月「ただいま。仁己さん、春子さん。」
仁己「お帰りなさい、…その呼び方止めて下さい。お父さんが良いです。」
春子「美月ちゃんお帰りなさぁい!電話くれたらオムライス、作ったのに〜。」
美月「…今日は、話を聞いて貰いたくて。」
仁己「分かりました。陽人が何かしたなら話は早いんですけどね。」
美月「違います、…私の両親の事です。ずっと、聞けなくて、聞いてはいけない気がして。…でも、お願いします、教えて下さい両親の事を。」
春子「パパ、…良いわよね。」
仁己「もう、隠す必要も、無いでしょう。あのね、美月ちゃん。」
125: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:39:23 ID:0F6P3PjF1g
─────────
少女「そろそろ、帰らなきゃ、ね。」
少年「うん、楽しかった!ありがとう、美月お姉ちゃん。」
少女「かえりたく、ないなぁ…。」
少女は笑いながら溢す。公園の入り口には彼女の母親が迎えに来て名前を呼んでいた。
少女の肩が跳ね上がる。
少女「たすけて…、はるくん…っ…。」
少女の呟きも虚しく、痺れを切らした母親にずるずると引き摺られて行く。
少年は考えた、彼女は今助けを求めて入る。助けの声を聞いたら、駆け付けるのがヒーローだ。
少年は気付けば母親に体当たりをしていた。隙を与えず、少女の手を握る。
少年「僕が助けるから…っ!」
理由も知らず、少年はひたすら走った。母親の怒号が彼女の背中に浴びせられる。それすら聞こえなくなっても、二人は走った。
辺りは暗闇を纏いはじめる。
126: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:47:53 ID:bN69lXYabc
少女「はっ、はっはっ…、りがと…はる…っくん…。」
物陰に隠れ、一先ず二人は腰を降ろした。しかし少女の呼吸が落ち着かない。どんどんと苦しそうになって行く。
少年「みつきお姉ちゃん…!!大丈夫?」
少女「ごめ…っ、おこらないで……っ!すぐ、すぐになおすから…っ、は、ひ…っ!」
少年「お姉ちゃん、大丈夫、僕だよ、はるだよ!怒らないからね、おちついてお姉ちゃん…!」
小刻みに震える身体を撫でていると、唐突に少女の身体が倒れた。震えは止まる様子が無く、か細い息しか聞こえない。
普段は見慣れた隠れ場所も、暗さを纏えば少年には恐怖でしかなかった。
?「見付けた。」
127: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:59:09 ID:bN69lXYabc
少女を落ち着かせる事へ必死で、忍び寄る足音に気づかなかった。懐中電灯の灯りが眩しい。
少年は少女を担ぎ、無理矢理突破した。暗く、もうどこを走って居るか分からない。どれくらい距離をおいたのかも分からない。
自分の体力の限界も有り、その場に座り込んだ。
?「陽人、無駄な抵抗は止めて下さい。」
?「ハル君、男前〜。」
少年「……っ!嫌だっ、嫌だっ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ!」
再度懐中電灯で照らされ、大きな影に恐怖心が募る。彼女を守らなければ、必死で抵抗を試みるも簡単に抱き抱えられてしまう。
仁己「…っ、帰ったら爪切りしなきゃいけませんね。」
春子「あら〜、パパ大丈夫?」
仁己「大丈夫です、…それより、美月さんは。」
少年「お姉ちゃんが…っ!お姉ちゃんが、苦しそうに、で、…僕がっ…守ってあげなきゃ…!だから、だからっ!離してぇ…っ!」
仁己「言う事を聞きなさい、今から家に帰りますよ陽人。」
懐中電灯で照らされた顔は、少年の父と母だった。もう誰が敵で誰が味方が混乱し、少年は父親の顔を凝視した。
春子「…さ、美月ちゃんも帰りましょう。」
仁己「陽人も落ち着きなさい、…良く頑張りました。」
128: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 03:08:58 ID:0F6P3PjF1g
────────
春子「あの後、美月ちゃんと美月ちゃんの家に行ったの。そしたらね、…美月ちゃんのママ、が。」
真剣に話を聞く美月の目を見て、普段は陽気な春子の瞳に涙が浮かぶ。
仁己「母さん、…俺が言います。美月さんの母親はあなたを要らない、と母さんに告げたんです。」
春子「…美月ちゃん、美月ちゃん、そのショックから、軽い記憶喪失になったの。美月ちゃん自身が混乱してて、記憶がごちゃごちゃで、断片的で。今すぐは治らない、って言われたの。」
仁己「1から、作り上げて行こうと春子と約束して、現在に至ります。養育費・生活費は美月さんの父親が出してくれていました。はじめは断ったんですけどね。」
美月「……ありがとう、ございます。…仁己さん、春子さん、本当に今まで、…沢山、色々、ありがとうございます…っ。」
129: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 03:14:35 ID:bN69lXYabc
春子「私、美月ちゃん大好きだもの。…お礼なんていらないわ!」
美月「…私、ちゃんと、お父さんとお母さんって呼べるようになりたいんです。」
仁己「……うちの愚息でよければ。」
春子「……!もしかして。」
美月「名字を椎名に、する日は近いと思います。」
大粒の滴を止めどなく溢れさせ、美月は今までの分も泣いた。春子も勿論貰い泣きした。仁己は穏やかな表情で、二人を撫でた。
130: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 12:23:58 ID:aB8gXMzUg2
仁己「美月さんの御両親は、まだ生きています。もし、逢いたいのなら連絡先を…」
美月「…私の両親は、此処に居ますから。」
春子「美月ちゃん…、今日は泊まって行く?」
美月「あ…、陽人さんに行こうかt」
陽人「ただいまー。」
美月「!?」
131: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 12:29:34 ID:sQ7xs5wTYI
陽人「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃーん、美月さん…聞いたの。」
美月「椎名っ…、その、っ……わたしっ…!」
陽人「大丈夫、僕が側に居るから、…なんて。母さんと父さんもありがとうございます、美月さんもお疲れ様。…美月さん。」
美月「本当に…、迷惑ばかり、…ごめんなさい、椎名。」
陽人「美月さん。…俺、美月さんの中から消されるのはもう勘弁です。だから、ずっと傍に居たいし、居て下さい。俺が、美月さんを守ります。」
陽人「結婚、して下さい。」
132: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 12:35:44 ID:sQ7xs5wTYI
仁己「…親の前で。」
春子「ハル君やっぱり男前。パパに似たのね〜。」
美月「…此方こそ、宜しくお願いします…っ!」
返事を言い切らぬうちに、美月は陽人の腕の中に引き寄せられていた。羞恥で顔が暑い。
仁己「さ、母さん。」
春子「やだパパ、恥ずかしい〜!」
陽人「父さん、母さん…、結婚します。」
仁己「どや顔で言われても。」
春子「おめでとう〜!椎名美月ちゃん、いらっしゃい…!」
美月「…椎名、そろそろ、離してくれないと御両親に顔が向けれない…!」
133: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 12:43:53 ID:aB8gXMzUg2
さて、寝落ちしながら書いたこの作品も終了に近付いて参りました。貴重な支援、本当にありがとうございます。
次はさっくり読めるギャグ多めを書いてみたいけどセンスがorz
これが完結したら、
後は番外編となります。
・妊娠発覚
・彩月の暴走
・孫誕生
・みっちゃんと上司
需要がなければはじめてのSSは削除願いへ出してきます(`ω´)b書いてて楽しかった反面、なんだか自己満な物語になってしまいましたorz
134: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/1(土) 13:31:16 ID:TZ5or1PSAM
─────────
春子「ハル君、…美月ちゃんねの事なんだけどね。」
陽人「大丈夫だよ!…あのねママ、僕、ぷろぽーずしたんだ。」
春子「あら、素敵!誰に…?」
陽人「美月ちゃんに…!」
──…今の、ママとパパ位になったら。
135: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/1(土) 13:40:03 ID:TZ5or1PSAM
少女は毎日お願いする。
流れ星が、消えませんように。
どうか、消えませんように。
まるで自分の曖昧な記憶と闘うように。何時かの約束を手繰り寄せ、離さないように。
────────
陽人「もう消えませんから。」
美月「もう消さないからな。」
忘却線上の星が、やっと見えた。其れは彼女が掴んだ中で一番の誇りで有り、温もりだった。
忘却線上の星::fin
136: 名無しさん@読者の声:2011/10/1(土) 13:49:30 ID:yP/F4NCETk
乙!
激しく保管庫希望!
137: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/1(土) 14:22:52 ID:SQsKa.TPWw
>>136
このような拙い作品を保管娘へ入れても良いのでしょうか(´;Д;`)ブワッありがとうございます。
終わる頃には、ちゃんと書き溜めてもっと彼等を動かしてあげたかったと後悔してしまいました。作者として未熟です。
支援、本当にありがとうございます。
138: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/2(日) 13:12:59 ID:SnP2cyRSbc
削除依頼する事に決めました、読んでくださった方本当にありがとうございます(´;ω;`)b
139: 名無しさん@読者の声:2011/10/2(日) 17:30:37 ID:8H6.ft1E.w
え、もう終わり…?
140: 名無しさん@読者の声:2011/10/2(日) 17:32:47 ID:BA4ZmfDMAk
削除依頼やめてぇえ!!!!!
お願いだからやめてぇえ!!!
削除したら卵投げるから!
フルスイングで卵投げるからね。・゜・(/Д`)・゜・。ウワァアアン!!
141: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/2(日) 18:42:47 ID:hPOCZiyTz6
>>139
ごめんなさい、…番外編に需要が無い気がして終わらせてしまいました。
>>140
もう、依頼してしまいました。本当にありがとうございます。泣きますよ…泣きますよ!(大事な事ry)
卵は投げるものではなく、己の懐で暖めて羽化させるものですよ(´ω`)なんて
続けても良いよ!
って方他にいらっしゃいますか…?
142: 名無しさん@読者の声:2011/10/2(日) 18:50:12 ID:aWkvQL1Wxc
はいノシ
俺はこの雰囲気が好きです!
143: 名無しさん@読者の声:2011/10/2(日) 19:02:30 ID:mLQbycA2bc
構ってちゃんくせーぞ!!削除は許さねー保管庫ったら保管庫に入れやがれー!!
144: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/2(日) 19:10:06 ID:iUqifnsgnc
>>142
雰囲気ですか…、ありがとうございます(*゚∀゚*)
なんだかもう…せっかちな自分殴りたいorz
>>143
構ってちゃん覚悟です。キリッ
なんて、皆様のお声が無ければ続ける理由が無いんです。ただでさえ自己満足な作品になってしまって、それを偉大なる保管庫だなんておおおえそれおおいいいうえう((((;;゚ж゚;;))))です。
やば、本気で泣きそうな私はなんなんだwww嬉しいのと感動でwww
(´;ж;`)
145: 140:2011/10/2(日) 19:54:45 ID:yY3nABhL3k
お願い!保存庫!
昨日から読み出してまだ読み終わってないんです。・゜・(/Д`)・゜・。ウワァアアン
それに今後も何回もみたいんです!!
今日の昼ご飯がオムライスだったのはこのSSのせいなんだから責任持って
保存庫へ(・`ω・)キリ!!!!
146: 名無しさん@読者の声:2011/10/2(日) 22:36:50 ID:PVFnxfxmws
保管庫よりも番外編をかいてほしい……
147: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 00:42:13 ID:W.VRo3TgFg
>>140
保管庫願いありがとうございます(´;ж;`)何度も読み返して頂けるような内容だと嬉しいです。
美月「そうか、なら私もオムライスを食べて責任を取ろう」
陽人「そんな期待の眼差しでみなくても作りますから。」
>>146
かしこまりました!こんな話が良い、ここはどうなったの?など有ればなんなりとお申し付け下さいませ(´`*)
私めも、御好意に甘え番外編を書く覚悟を致しました。本当にありがとうございます。
それでは寝る前に少し。
【妊娠発覚】
148: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 00:47:04 ID:1vEpWDI0fk
それは、美月と陽人が実家に帰っていた時だった。
春子「またね〜、二人とも。」
仁己「美月さん、今度美味しいオムライス食べに行きましょうね。」
美月「はいっ…!お邪魔しました。」
陽人「勿論俺m「早く帰りなさい。」
陽人(俺だって最近忙しくてデートしてないのに…!)
陽人「さ、帰りましょう美月さん。」
149: ◆PNH1xCGbTU:2011/10/3(月) 00:49:03 ID:Kv92L3edQ2
春子「二人が居なくなるとやっぱり静かね、パパ。」
仁己「これで孫でも授かったら、また楽しくなるんでしょうね。」
春子「……ふふ。」
仁己「どうしたんですか母さん?」
春子「何でもないわ〜、パパ…未来のお爺ちゃんね。」
150: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 00:55:38 ID:1vEpWDI0fk
【とある日のオフィス】
時刻は午後23時、オフィスには二人しか居なかった。
陽人「美月さん。」
美月「なんだ。」
陽人「良い加減にして下さい。」
美月「何がだ。」
陽人「そろそろ潮時です。」
美月「……、駄目か。」
陽人「当たり前です。」
美月「でも一人だと不安で仕方無いんだ。春子さんや仁己さんには仕事が有る、なるべくこの場にいたいんだ。」
151: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 01:03:06 ID:Kv92L3edQ2
陽人「俺、頼りないですか?」
美月「…え?」
陽人「俺に、仕事任せられないですか?」
美月「あの、そう言うわけじゃないんだ椎名…!」
陽人「それなら、安心して休んで下さい。」
美月「お前か、上司に色々吹き込んでるのは。最近、休め休めとうるさいんだが。」
陽人「さぁ、なんのことやら。」
152: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 01:14:23 ID:Kv92L3edQ2
今日はこの辺で、お休みなさいませ(*゚ω゚*)ノ
153: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 23:18:48 ID:OTGYPq8VP.
美月「…分かった、…分かった。」
陽人「拗ねないで下さい。」
美月「拗ねてない。」
陽人「…帰りましょうか。」
美月「そうだな、明日上司に言うよ。」
陽人「今日、俺の家来ませんか?」
美月「…どうした?」
陽人「美月が淋しくて寝れないかなー、と。」
美月「あぁ、転がり込む。」
陽人(…本気で淋しくいのか。)
154: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/4(火) 00:06:08 ID:S6BEHeF2Xw
美月(……美月?呼び捨て、呼び捨てしなかったかこいつ。)
社外に出て、ふと空を見上げると今夜は月が霞んで居た。
155: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/4(火) 00:17:14 ID:3eZP0LpeFc
美月「上司さん、お時間頂けますか?」
上司「うん、良いよー。」
美月「私、…実は妊娠5ヶ月目に入ってるんです。」
上司「それはびっくりだね。もっとお腹が膨らむものだと思ってた。」
美月「私も心配したんですが、…順調みたいです。」
上司「確かに、笑顔が素敵になったね星川くん。」
156: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/4(火) 00:32:48 ID:ochZEk/WO.
美月「…ありがとう、ございます。」
美月「引き継ぎは、椎名と早乙女にお願いします。」
上司「復帰に関しては、良く椎名くんと話すと良いよ。はい、これ、産休と育休の用紙ね。」
美月「復帰はさせて頂きます。」
上司「ははっ、君ももうすぐわかるよ。家族ってどんなものなのか。」
157: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/4(火) 01:49:25 ID:tMXuJA2ahY
────────
美月「とは言われたものの。…─今日から仕事しなくて良いのか。変な気分だ。」
腹部を圧迫しない服装になるとやはり目立つ。最近は少し胎動を感じるようになった。
美月「さて、我が子よ今日は何を聴くか。」
美月「…そうだな、一人じゃ無かった、君が居たな。ごめん。」
腹部を撫でながら一人呟く。きっと、産まれてくるこの子が、何かを紡いでくれるそんな気がした。
158: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 19:52:17 ID:K9qNJO3ZaM
お久しぶりです(´・ω・`)ノ皆様の忘却の彼方へ飛んでいるであろう私ですww
妊娠発覚はこれにて終わり。
番外編2
「みっちゃんと上司」
行きたいと思います(`ω´*)
159: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 19:59:15 ID:wnLpg.lGXw
彼女(?)の心臓は破裂寸前、身体全体が時限爆弾になったかのように鼓動が響く。手汗が止まらない。
男「…そっかぁ。」
み「───。」
男「あのね、みっちゃん。」
み「何よ。」
男「ごめんなさい。」
み「わ、…分かってるわよ!そんな事!はじめっから…っ!」
男「ううん、僕はね君とずっと友達で居たいんだ。」
み「分かったからこれ以上傷を抉らないで頂戴。」
ひたすら勉強して見付けた、自分なりの化粧をした、秘密の引き出しに仕舞い込んだ服を着た。誰よりも私は女の子だった。
ただあなたに見て欲しかった。
160: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:08:04 ID:K9qNJO3ZaM
それはもう、昔の話。
───────
み「なぁんて時もあったわねぇ…。」
お気に入りのソファーに身体を預け天井を見詰める。手入れを怠る事無く伸ばし続けた黒髪はさらりと重量に従った。
携帯を耳に当てる。
み「…もしもし〜?」
美月「あ、みっちゃんさん…あの。」
み「どうしたの、喧嘩でもした?」
美月「授かった、みたいなんです。…今、四ヶ月目で。」
み「あら!御祝いしなきゃ〜!身体大事にするのよ〜、おめでとう。また顔見せに来てネ。」
他愛の無い会話で通話を終了した。うまくやっているようで安心だ。
み「好きな人の子供授かれるなんて、女って憎いわぁ〜、羨ましい、…─やんなっちゃう。」
今の私は醜いわね、ブスだわ、彼女(?)は小声で吐露する。素直に喜べない、自分が居た。
161: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:15:02 ID:wnLpg.lGXw
こんな時は未だに彼の声が聴きたくなる。まだ、仕事かもしれないが臆する事無く通話ボタンを押した。
上司「はい、もしもし。」
み「あのカップル、うまくやってるみたいねぇ。」
上司「みっちゃん、どうしたの?」
み「美月ちゃんが四ヶ月だそうよ、アナタにはまだ報告来てないのかしら?」
上司「まだだね。相変わらず仕事してる。」
み「─…そう。ちゃんと見ててあげなさいよ。」
上司「ありがと、みっちゃん。今回もお世話になりました。今度、みっちゃんの好きな中華食べに行こうか。」
み「何よ、デートの御誘い?」
自然と笑みが浮かぶ。気付けば不細工な自分は隅に追いやられていた。彼の声は魔法でもかかっているのだろうか。
162: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:19:24 ID:K9qNJO3ZaM
一時期、徹底して男で居た。変な話ではあるが、兎に角周囲の意識に溶け込んだ。
み「俺は、男。」
鏡の中の人は完璧に他人の求めるそれだった。内面は後からついてくれば良いと、泣きそうな自分に言い聞かせる。
163: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:23:14 ID:K9qNJO3ZaM
男「みっちゃん、…やけに気合い入ってるね?」
み「そ、そんなことないぜ!これが当たり前なんだから!」
男「…そっかぁ。みっちゃんって男前だよね。」
み(やだ、全然嬉しくないわ…!)
み「まぁな…!」
気付けば彼女が出来た。相手からの告白。しかし、女の子への接し方が良く分からなかった。
友達以上になれない。
164: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:27:11 ID:K9qNJO3ZaM
カテゴリーは誰もが羨むハズの彼女なのに、違和感が生じるのはそう遅くは無かった。
彼女「…みーくんは、私の事嫌いなのかな?」
み「そんな事ねぇよ、大好きに決まってんだろ?」
彼女「…みーくんは、優しいからね。でもね、私他に好きな人が出来たの。」
み「だから、別れよう。」
彼女「……え?」
み「ごめんな、大事にしてやれなくて。新しい人と、幸せに、な。」
あぁ、やっと解放される。
彼女も自分も。
165: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:29:57 ID:wnLpg.lGXw
男「みっちゃん、別れたんだって?」
み「おう、…俺じゃ幸せにできないから。」
男「そっかぁ…。みっちゃん、気合い入れたんじゃなくてずっと無理してたんだねぇ。」
み「…は?」
男「無理しなくて良い時がきっと来るよ。みっちゃんはみっちゃんだから。」
み(…私にも好きな人が出来たって断ったのは伏せようかな。)
166: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:32:19 ID:wnLpg.lGXw
─────────
上司「久しぶり、みっちゃん。」
み「相変わらずね。あ、餃子5人前追加で。」
上司「最近どう?」
み「特に何も無いわ。あのカップルの行く末を見守るくらい、…そうね、石焼きビビンバも食べたいわ。」
上司「みっちゃんも相変わらずだね。」
167: 名無しさん@読者の声:2011/10/8(土) 21:16:41 ID:EXjY2ApqEg
きたー!
倍プッシュつG
168: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 23:32:39 ID:IrfKoGehyE
み「女の子の身体はデリケートなのよ。気を付けてあげなさいよね。」
上司「まぁ、それは彼がやってるからね。」
み「…─はぁ。」
上司「そんな顔してたら餃子、僕が食べちゃうよ。」
み「別に良いわよ。」
上司「え。」
169: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 23:45:23 ID:OKTsxd6gOQ
み「…何よ。」
上司「みっちゃん、また無理してる。」
み「別に〜。」
上司「みっちゃん。」
み「羨ましいだけ。」
こんな事言っても、アナタを悩ませるだけなのに。
み(私も馬鹿よねぇ…。)
170: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/9(日) 00:43:46 ID:ClSXzuKyZs
み「アンタ、何時結婚するわけ?」
上司「そうだなぁ…、なるようになると思ってるから。」
み「そのまま童貞拗らせて死ぬわよ。」
上司「あはは、それは嫌だなぁ。」
171: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/9(日) 00:54:06 ID:ClSXzuKyZs
み「部下に先越されてどうすんのよ。」
上司「はは、結婚ってそんなにあせるものなのかな。」
み「そりゃそうだけど…!」
さっさとアンタが幸せになって、アンタが愛した奥さんとの間に授かった愛する子供をその手に抱いてる姿を見なければ、きっとこの気持ちに区切りは付かない。
み「どうせただのお節介よ!悪かったわね…!」
上司「みっちゃん、僕は今のみっちゃん好きだよ。」
み「な、何よ、急に…っ!」
上司「凄くみっちゃんらしいから、見てて安心する。」
172: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/9(日) 00:59:56 ID:D40Af.WWi2
確かに、あの時の自分の気持ちは偽りだらけで。他人にも自分にも嘘を付いていた。しかし開き直ってからと言うもの、視野は広がり世界に色が付いた。
み「そうね、確かに私は私だわ。とっても楽。」
あの日からずっと、一番大切な思いに蓋をしている。これを開ける日は何時くるのだろうか。嘘偽り無い自分がそこに有る。
み「私、アナタの事好きよ。」
上司「ふふ、ありがとう。」
み&上司「「でも僕達は男同士だからね。」」
友達以上にはなれない。君との関係を壊したくは無いから。
み「馬鹿ね、友達としてって意味よ。」
173: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/9(日) 01:02:05 ID:D40Af.WWi2
>>167
ありがとうございます(´;ω;`)!!!
上司とみっちゃん、これにて終わりです。次は彩月の恋模様を描こうかと(`ω´*)
皆様もう暫くお付き合い下さいませ。
174: 名無しさん@読者の声:2011/10/13(木) 08:03:07 ID:xYHv2yZO6M
age
175: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/13(木) 10:33:07 ID:GHouc4qzko
このような拙い作品を読んで頂き本当にありがとうございました。海外研修へ行くため、これ以降の更新が出来なくなるのでこれにて終了とさせて頂きます。
もっと深く、自分の作った彼等を動かしたかったのですが残念です(´・ω・`)
保管庫希望を頂いていたので、御言葉に甘えさせて頂きます。
本当にありがとうございました(´;Д;`)ノシ
176: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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