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忘却線上の星
[8] -25 -50 

1: 名無しさん@読者の声:2011/9/5(月) 01:09:18 ID:.gB2sDwzQY

自分を流れ星に例えた人が居た。光るのは一瞬だけ、あとは消えて忘れ去られるのがオチさって。あの人は明るく伝えてくれたけど内心は分からない。



女の子「星が綺麗です。」

謎の影「そうですね。」

女の子「私は忘れたくありません。だから、毎日夜空を見上げるのです。」

影「風邪を引く前に部屋に入りましょう。」

女の子「忘れるのは、哀しいです。」

影「そうですね。」

女の子「…冷たいです。」

影「今日は生憎の雨ですから。」

女の子「誰かが泣いているのですか。」

影「それは…─、」

────────



働く女とそれに付き従う男の話。生暖かい目でお付き合い下さいませ。


2: 名無しさん@読者の声:2011/9/5(月) 01:14:53 ID:aqZvmbwtMY

男「…ん……な…さっ…!女さんっ!」

女「うおっ!…お、おぉ…おはよう。ごめん、」

男「つかれてるみたいですね、午後のスケジュール大丈夫ですか?」

女「あぁ、大丈夫大丈夫。外せない会議あるし、それ終わったら飲みにでも行くか!んーっ(身体を伸ばす)」

男(様子が一瞬おかしい、変な夢でも見たんだろうか。)

女「あ…!化粧崩れてない!?崩れてるよね、ちょっと直してくるから先外でまっててー!」

男「いってらっしゃーい。」

男「男には良くわかりませんが…、必要な書類を確認して車出しておこうかな。」


3: 名無しさん@読者の声:2011/9/5(月) 01:24:13 ID:aqZvmbwtMY
女「…微妙な夢を見た、暫くは仕事で忙しくて見る暇も無かったのにな…、はぁ。」

女(男が居ると何かが駄目だ、優秀な部下だけど。だけどもだけど。)

女「おまたせー。」

男「それじゃ、△△会社までご案内〜!」

女「胃が痛いわ。」

男「もう出発しちゃいました。」

女「うん、知ってる。」

男(鋼鉄の精神の持ち主の女さんが胃が痛い…だと?)

男「…あのー、さっき変なゆm「そういえばさ!」

女「男って何が一番哀しい?」

男「そうですね、女さんが会社辞めること。」

女「うん、今日は私の奢りで良いや…って何かが違う。」

男「俺は常に本気です。」

女「分かったから前向いて!」

男「とか言ってたらもうすぐ到着ですよ。」

女「胃が痛い。」
4: 名無しさん@読者の声:2011/9/5(月) 01:34:29 ID:aqZvmbwtMY
【会議終了】

女「何か今日は疲れる一日でした、まる。」

男「さっさと書類纏めて帰りますか。」

女「そうしようか。」

【オフィス】

男「女さんは何が一番哀しいんですか。」

女「えっ。」

男「教えてくれないんですか?」

女「笑われそうだから、ちょっと。」

男(もしや俺だけが知れる女さんの秘密…!?)

女「ま、まぁ…別に言っても良いんだけどさ。」

男「<●><●>」

女「視線痛い、手を動かせ若者よ。」

女「忘れられるのが、哀しい、うん。」

男(今すぐ抱き締めてえええええ!)キーボードカタカタカタカタカタッ

女「指の動き気持ちわるっ!」

男「確かに、それは哀しいですね。あの人は今!とかもありますし。」

女「うん、そだね。」

男(そっけねえええええ!)
5: 名無しさん@読者の声:2011/9/5(月) 01:41:19 ID:aqZvmbwtMY

さて、今夜はこの辺で。
近々もっと二人を近付ける予定、です。拙いですが宜しくお願い致します。

スペック

男の上司。所謂キャリアウーマン、出来る女。過去に色々あった模様。
容姿
27/170/55
黒髪ロングを一つくくり。営業スマイルはお手のもの。


女の部下。形容出来ない何かに惹かれてひっつき虫。優秀である、仕事に関しては。
容姿
25/183/体重謎
黒髪短髪、大型犬タイプ。

それでは皆様良い夢を!
6: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 09:26:41 ID:yKROkiQYYg
地の文無いとやはり寂しいですねorz

…………

不意に、彼女の黒髪が揺れる。雑に束ねられた其れをほどくときは、業務終了のサインだ。

女「帰る。」

男「飲みに行くんじゃ無いんですか。」

女「家が呼んでるんだ。」

男「何かあったんですか。」

女「別になんもないよ。残りの仕事は優秀な部下に任せようかと。」

男「それって…、」

女「もしもし部下女ちゃん、頼みたい仕事があるんだけど。」

男「」



ずっと彼女を見てきたはずなのに、まだ踏み込めない。いや、まだ俺に踏み込む権利が無い。もしかすると、一生この距離感、いや、それだけは阻止、したい。

この燻る気持ちを何時伝えようか…、電話する横顔を一瞥しながら思案する。

女「じゃ!後は頼んだ。」

男「本気ですか。」
7:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 09:36:08 ID:BtmjvHsnqo
男「もうすぐ終わりますから、部下女さんは呼ばなくて良いですよ。」

女「いや、明日の分頼んだだけだから家でできるヤツ。」

男「そうですか、お疲れ様でした。」

ちら、と去り行く彼女の背中を見る。相変わらず綺麗な背筋だ、誰が見ていようといまいと其れは変わらない。

男「最後確認して、俺も終わるかn「はいコーヒー。」

男「!?」

女「帰るわけないじゃん。」

男(補習をさぼろうとしたけど結局捕まるあの頃の気持ちに近い。)

女「これ飲んだら今日は終わりかな。お疲れ様。」

男「でーきたっ!仕上げはおんーなさんっ。」

女「懐かしいな。よし、帰ろう。」
8:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 09:57:37 ID:BtmjvHsnqo
男「お疲れ様でした、また明日。」

女「あぁ、また明日。」

男「…女さん何で動かないんですか。」

女「レディファーストの時代は終わったんだ、先に行け。」

男「…はぁ、分かりました。」

女(今日は会社に残るなんて言ったらこいつも一緒になりかねないからな。)

女「あれ、…忘れものしたみたいだ、先に帰ってくれ。」

男「了解です、気を付けて帰って下さいね。」

男(ただでさえ調子わるそうだし。)

女「あぁ、男もな。」

親切設計の扉は音を吸い込む様に閉まり、要所に明かり灯るオフィスには女だけとなる。

女「まずは仮眠だな。」

もうすぐ、日付が変わろうとしていた。
9:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 15:39:13 ID:ByYHCP3s9Y
少女「最近おかしいんです。」

少女「記憶がたまに抜けます。」

少女「本当にあったことなのか、はたまた私の妄想なのか。区別がつきません。」

影「……。」

少女「もっと詰め込まなきゃ、沢山沢山忘れてしまいます。」

少女「怖いです。」



影「大丈夫です。」

少女「…何故?」

影「それは…─、」
10:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 15:49:55 ID:BIGHQVtaBA
女「……っ!まただ、また…っ。」

時刻は午前2時。
気ダルい身体を立たせ窓を開ける。今夜は星空だった、吹き抜ける風も心地良い。

女「怖くなんか無いさ、此処まで来たんだ。」

不意に懐中電灯が女を照らした。驚愕の所為で身体が一瞬強張る、だがこれは何時もの光景。

見回り「また頑張ってるんですか女さん。無理は禁物でしょう。」

女「すみません、…部下が頑張ってくれているので私も負けていられないんです。」

見回り「もう、貴女が倒れたら皆心配するんですからね、勿論僕も。」

男「そして俺も。」

女「!?」
11:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 15:58:25 ID:BIGHQVtaBA
見回り「流石の僕もびっくりです。」

女「男…っ!帰ったんじゃないのか!」

男「さ、見回りさんはお仕事に戻って頂いて良いですよ。後はこの、ジェントルマン男にお任せ下さい。」

女(…良い匂いがする。)

見回り「はいはい、二人とも夜だからって張り切っちゃ行けませんよ、仕事的な意味で。」

女「あぁ、ありがとう。お疲れ様です。」

男「お疲れ様です。」

女「なぁ、…その手に持ってる奴、なんだ?」

男「聞いて驚け、特製オムライスin俺の愛情。」

女「深夜にオムライスか。」

男「ちょっと作りすぎたので。」

女「誰もデリバリーは頼んで無いぞ。」

男「食べてくれないなら捨てるまでです。」

女「…食べるに決まってるだろう…!」

女(それは私の大好物なんだから…!)
12:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 16:06:51 ID:BIGHQVtaBA
男「深夜に食べると太っちゃう…!」

女「そんなもの気にしない。美味しいものがもったいないだろ。」

男「相変わらず、男前。」

男(オムライスが美味いって事で良いのか…?)

男「さて、」

女「ん?」

男「残業するような仕事有りましたっけ。」

女「……。まぁ、計り知れないくらい。」

男「貴女のモットーは?」

女「仕事はなるべく残さない引き摺らない完璧にこなす。」

男「あの後、倒れでもしたんじゃないかって、不安でした。」

女「休みはちゃんと貰ってる、さっきだって二時間程寝た。」

男「はいはい、わかりましたよ。」

女「男は今日どうするんだ。」

男「女さんと付き合います。」

女「接続詞。」

男「女さんに付き合います。」

男(地味に振られた…?)
13:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 16:26:37 ID:ByYHCP3s9Y
男「さぁ、今夜は寝ましょう。」

男が仮眠用ソファーに座り自身の膝を叩く。

女「そんな気色悪いことできるか…っ!」

男「でも寝ましょう。人間寝ている間に記憶を整理しているんですよ。」

女「あぁ…、だからか。」

男「ほーら段々眠くなってくる。」

女「食べた後に寝ると太る。」

男「食べた後は乙女なんですね。」

女「まぁな…、ふぁあ。」

女「やはり睡魔には勝てないな、少し寝る。…こっちのソファーで。」

男(寝顔が見れれば何だって良いんだ。)

女(変な夢ばかりで寝た気がしない…、ちゃんと寝れます様に。)

男「良い夢を、」

その晩、男は飽きもせず女を見守り続けた、見続けた。

たまに頭を撫でたのは、また別の話。



男「好きです、女さん。」

独り言は朝日が射し始めたオフィスに溶けた。沢山のふせんが張られた特製ファイルを片手にソファーに身体を預ける。

また一日が始まろうとしていた。
14:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 16:34:48 ID:ByYHCP3s9Y
女「最近、忘れる事が減ってきた。」

影「本当に?」

女「あぁ、…優秀な部下が出来て尚更だ。」

影「随分成長しましたね、貴女も。」

女「まぁな、もう私みたいな奴の事をアラサーと言うらしい。」

影「ご両親から結婚を急かされるのではないですか?」

女「…両親?私に両親などいたか…?」

影「それは…─」
15:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 16:46:25 ID:ByYHCP3s9Y
男「…えい。」

男の中に目覚ましの前に出来心と言うものが働いた。ふ、と手を握ってみる、軽く、ほんの軽く。

男「…お、おぉ。」

本能だろうか、相手からも軽く、反応が有る。だがしかしこのままではいけない、起床を告げなければ。

その瞬間、女のデスクから大音量のアラームがなり響いた。

男「!?」

女「…朝か。」

寝惚け眼でデスクへ向かう女、足取りは危険だ。

男「おはようございます…。」

女「おはよう。男は寝れたのか、」

男「はい、さっき起きました、そのアラームで。」
16:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 17:11:37 ID:ByYHCP3s9Y
ここいらで何かアドバイスはあるでしょうか。需要無いとばっさりきって頂いても構わないで候(⊃ж゚ヽ)チラッ

書き溜め0の即興文、ただ頭の中に展開はあります。そろそろ動かさないと流石にgdってつまらないですよねorz

読者様のお声お待ちしております。
17: 名無しさん@読者の声:2011/9/5(月) 19:08:27 ID:33A37KNxe.
おもしろひ支援
アドバイスは思い付かん
18:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 19:33:48 ID:SQiBWmtl1g
>>17
ありがとう御座います(´;ω;`)!今後何かありましたらばしばし言ってやって下さいませ。

男「女さん、続行が決まりました。」

女「当たり前だ、途中放棄等許さん。」
19:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 19:44:15 ID:vHGA7SRHJw
女「さぁ、そろそろ皆出社してくる頃かな。」

男「俺ちょっと顔洗ってきます。」

女「あぁ、いってらっしゃい。」

徐々にオフィスに賑わいが灯り始める。開始は7時、重役になると30分後にはほうれんそうミーティングがはじまる。大の大人が決めた名前にしては可愛いらしい。

女「朝の報告・連絡、相談…、昨日纏めた書類があったはず。」

女「見付からないな、まぁ…書類が無くとも大丈夫か。」

ミーティング席に着々と人は集まり、開始の言葉を社長秘書が告げる。

秘書「それではこれより各々のほうれんそうを行って下さい。…女さん。」

女「はい、まずは昨日の…─。」

女(この感覚…、嫌な予感しかしない。)

秘書「顔色が思わしくないですが、大丈夫ですか?」

女「…あ、あぁ、大丈夫だ。申し訳無い。」
20:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 19:49:06 ID:vHGA7SRHJw

男「失礼致します、女さんに重要書類を渡しに来ました。」

男が差し出したそれは、書き足しだらけの中、重要事項に赤印を付けられた用紙だった。

女「…有り難う、助かった。」

男「いえ、俺はこれで。」

女「貴重な時間を止めて申し訳御座いません、昨日の会議は…─、」



薄々気付いていた。

私は男が来てからこの紙無しでは発言出来ない。来る前迄は簡単なメモを取っていたが、それすら忘れる時も数回あった。

一歩上へ踏み出せないのは、そんな私の危うさに周りも気付いているからだろう。
21:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/5(月) 20:55:51 ID:/QVXvET/rc
会議終了、女は胸中に抱えた広がる不安を消せないでいた。

女(昨日は、ちゃんと…会議に行ったよ、な。男と、一緒に、…それから、──)

何が本当で、何が夢なのか区別がきかなくなり始めている。あの日と同じ虚無感に思わず女の身体に鳥肌が立った。

男「女さん」

女「…どうした。」

男「顔色、悪いですよ。」

女「さっきも言われた…、気にするな。一過性のものだ。」

男「最後に休暇を取ったのは、何時ですか。」

女「昨夜沢山寝た。」

男「そう言う意味では無くて「仕事が有る、女部下も待ってるから…またな。」

疲労は確実に彼女を蝕んでいる。完璧な人間などこの世に居ないのだ。しかし、それでもぶれない後ろ姿に 、男は感嘆の溜息を溢した。
22: 名無しさん@読者の声:2011/9/5(月) 23:56:13 ID:wFl/HVTu/I
おもしろい
っC
23:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 00:16:24 ID:lrFmj5/bxM
>>22
支援有り難うございます(´;ω;`)ぶわっ

女「当初はこんなシリアスでは無かったんだがな。」

男「女さんの側に居られればなんだって嬉しいです。」
24: 名無しさん@読者の声:2011/9/6(火) 00:22:19 ID:qIrVN1pmJs
なんか引き込まれる物語だ
支援!
25:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 00:23:16 ID:/QVXvET/rc
部下女「女先輩…!もとから色白なのは羨ましいんですけど、今は顔面蒼白ですよ!?」

女「そんなにか…。あ、書類有り難う。」

部下女「少し休憩を取った方が良いんじゃないですか…?」

女「一刻一刻と人の感情は動く、それに乗じて仕事も動く、うかうかしてられない。」

部下女「男くんが心配しますよ。」

女「あいつは関係無い。」

部下女「そろそろ女先輩も結婚を考える時期だったり。」

女「部下女には関係無い。」

部下女「御両親も御孫さんの顔みたいですよ、きっと。」

女「…両親は、居ない。」

部下女「え…?」

女「居ない、…良いから手と頭を動かせ。」
26:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 00:25:49 ID:lrFmj5/bxM
>>24
なん…だと(`;ω;´)有り難うございます、頑張ります。

男「女さんの魅力なら俺が一晩かけt「うるさい黙れ。」

女「支援有り難う、見守ってやってくれ。」
27:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 00:34:11 ID:/QVXvET/rc
小さい頃から、両親の記憶が無い。しかし私を形成して居る遺伝子は何処かに存在して居るはず。ずっと信じて来た、忘れかけては夜空を見上げた。

両親と言うものも、一瞬しか光らないのだろうか、だとしたら私の番はいつくるのだろう。

女「部下女」

部下女「…は、はい!」

女「男の事、どう思う。」

部下女「女先輩のベストパートナーだと思います。」

男「キャー!私もおもってたー!」

不意に耳障りな裏声が響く。

女「…神出鬼没だな、男。」

部下女「男くん!」

女「丁度良い、後は頼んだ。お言葉に甘えて少し休憩してくる、すぐ戻るから。」

男「女のお役に立てるなら…!」

部下女「ごゆっくり…!」

優秀な部下の顔を見据える、そう考えると私は幸せな人間だ。少し外の空気を吸ったら、この虚無感ともおさらば出来るだろう。
28:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 00:45:46 ID:/QVXvET/rc
部下女「何時にも増して調子悪そうだね、女先輩。」

男「まぁな。」

部下女「男くんなんかした?」

男「手を握ったくらi…何でもない、気にしないでくれ。」

部下女「此処まで尽くしてるのに告白しないの?」

男「女ってのは唐突だなぁ…。告白は、近々、多分。」

部下女「良いレストラン紹介するよ。」

男「有り難く受け取るよ。でも俺は側でサポート出来れば良い。」

女「今の関係を壊したくない…、社内恋愛あるあるだね!」



何故同じ会社を選んでしまったんだろう、とは時折思う。ただ、あの頃は誰よりも近くで彼女を支えたかった、それだけで動いていた。

結果、良いのか悪いのか分からないが…自分の気持ちにケリをつけるのは、本当に、近々…予定している。
29:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 00:49:52 ID:/QVXvET/rc
支援有り難うございます…!アドバイスも受け付けております。

今夜はここまで。
ありがとうございました、お休みなさいませ。
30:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 14:55:48 ID:kl3KLDxpjk
女(おかしい…、足元が覚束無い。これは感覚の問題だろうか…。)

オフィス外のベンチに腰掛け缶珈琲片手に青空を仰視する。忙しなく歩く人、一喜一憂を抱え赴く人、空を見上げてしまえば何も見えない。

女(男から持ち運び出来る音楽プレイヤーをすすめられたがどうもイヤホンが苦手で無理だったな…。)

しかしこの景色に自分の好きな音が付けば何れ程素敵だろう、と感じた女だった。それならば、と目蓋を閉じる。

女(この浮遊感…、悪くは無いな。)


缶珈琲が小さな音を立てて、女の足元に落ちた。
31:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 15:02:28 ID:kl3KLDxpjk
部下女「女先輩、…帰って来ないね。」

男「大体缶珈琲一本、だからなあの人の目安は。」

部下女「流石に30分過ぎるのは…おかしいよね。」

男「外、見てくるわ。」

部下女「電話も出てくれないや。」

部下女が憂慮の溜め息を吐き出す頃には、男はその場に居なかった。もしもの場合を考慮し、部下女はその場に待機を決めた。

男「…嫌な予感しかしない。」
32:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 15:12:30 ID:kl3KLDxpjk
男「女さん、…そろそろ現実逃避から帰って頂きますよ。珈琲こぼしてるし…女さん?」

女の反応は無い。はたから見れば心地好い風に吹かれて寝てしまった成人女性である。

男「女さん、起きて下さい…女さんっ、」

肩を掴み軽く揺すると、ぐらりと彼女の身体が揺れる。呼吸はある、しかし、何かがおかしい。



あの時と同じだ。

男は慣れた手付きで某所へ連絡を入れた。彼女を理解出来るのは此処しか無い。

男「女さん調子悪いみたいだからこのまま帰らせる。俺も付き添うから、後は頼んだ…ごめん。」

部下女「任せて任せてー!今日は定時に上がるから心配しないでね、勿論仕事終わらせるし。」



自分が傍に居ながらこの体たらくだ、男の視界は良好では無かった。女を担ぎ自身の車へ向かう。
33:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 15:35:48 ID:VDKZMqcALE
?「女さんじゃ無いですか、お久しぶりですね。」

男の存在を無視して背後に担がれた彼女を見破る相手、男が一歩踏み出せない最大の原因である。

男「どうも。」

?「さ、ベッドに寝かせて下さい。何時ものように安静第一、起きたらオムライスと…さて何でしょう!」

男「オ「オレンジジュースでした、100%のね。」」

男「キッチン、貸しt「材料は勿論オレンジジュースも無いですよ。」

男「買ってきます。女さんに手を出したら鼻からウインナー突っ込みますからね。」

?「男くんの破廉恥、行ってらっしゃい。」

?(スーツが様になってますね男くん。さて…、)

寝台に身体を預ける女の傍へ近付き、労りを込めそっと頭を撫でる。

?「本当はキスとかしちゃうとこなんですけど、男くんが怖いので止めておきますね。」

大人の余裕の笑みを浮かべ、その人物は呟いた。

彼は彼女の父親である。
血は、繋がって居ない。
34:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 15:44:21 ID:VDKZMqcALE
父「泣いてるのは、貴女ですよ。」

女の子「私は泣いていません。」

父「オレンジジュース用意してますから、帰りましょう。」

女の子「こんな時間に飲んだらおねしょをしてしまう、と昨日言ったのはあなたですよ。」

父「良い加減敬語止めて良いですよ。」

女の子「あなたの真似をしているだけです。」

父「そうですか、それは光栄です。」

女の子「…あなたのこと、何て呼べば良いですか。」

父「救世主さん、なんていかがでしょう。」

女の子「良いですね、救世主さん。」

父「…ごめんなさい冗談です。」

──────

女「救世主…さん、」
35:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 15:57:16 ID:VDKZMqcALE
女(此処は…、この感触。…でも良い匂いがする。)

父「おはようございます、我が愛しの女さん。」

女「…何故、私が此処に?」

声を張り上げて問い質したい所だが、まだ視界は曖昧で身体に力が入らない。

父「さぁ、…第2の救世主さんでしょうか。」

女「あなたが料理を作れるはずありませんからね。…この匂い、」

男「女さん、おはようございます…っ!愛情込めてデミグラスソースで作ってみました、いつでも温めるので食べたくなったら言って下さいね。」

女「何故、男がここを知ってるんだ。私の実家、プライベートだぞ…?」

女は上半身を起こし怪訝と男を見詰める。男は墓穴を掘った気がしてならなかった、デミグラスソースの余りの出来映えに浮かれていたのが事実だ。

父「まぁ、その話しはあとd「後で必ず教えて貰うからな。」

男「ずっと隠すつもりも、有りませんでしたから。お父さん娘さんを僕に「百年早いです。」

男「あ、スーツついでにクリーニング出しておきました。珈琲染みてたので。」

女「だっ…、脱がしたのは誰だっ…!!」

父「勿論、母さんです。」
36:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 16:10:07 ID:VDKZMqcALE
母「女ちゃぁああああんっ、起きた起きた起きたっ?今、洗濯物干してきたのよ、ふふ、相変わらず可愛いわね。」

女「母さん…、お久しぶりです。」

父「そろそろ女さんも回復して来たんじゃ無いですか?晩御飯の準備してますから、ゆっくりおいで。」

男「何故家族分作った事がばれて…。」

父「未来の息子の事も僕は把握ずみさ、なぁんてね。」

男「お父さんと呼ばせて下さい。」

父「だが断る。」

母「女ちゃん、ご飯食べたらお風呂もあるからね。今日はゆっくりしていきなさい、そして私と寝るの、ふふ。」



視界が眩む。何故、男はこんなに溶け込んで居るんだ。何故、この親は何時もこうなんだ。全てが温かい、無理が無い。しかし女にとっては未だ、落ち着かない空間だった。

胸の綻びが取れたのか、僅かに瞳が滲む。
37:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 19:45:00 ID:UHbjGnE77Q
リビングに降りると大好物の匂いが更に広がった。空いている席へ腰を降ろす。

母「私、女ちゃんの隣っ!」

男「おれも御一緒して良いんですか。」

父「まぁ、土下座してくれるなら良いですよ。」

母「パパったらドS〜!」

女「男が作ったんだ、食べる権利は誰よりもある。」

父「はい決定です。せーの、」

全員「いただきます…!」

父「本当、昔から料理上手ですね。こっち方面の仕事考えなかったんですか?」

男「…ただの趣味なので、料理は。」

母「パパも今度料理教えてあげようか?」

父「食材が可哀想なので遠慮しておきます。」

男「……そんなに美味しいですか、女さん。」



女「え?」
38:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 20:04:28 ID:RXzqRISjrs
男「さっきから一言も話さずに食べてるから…。」

女「え、あ…美味しいよ、勿論。愛ある料理は美味い。」

父(嘘、地味にデレた。)
母(女ちゃんやっぱり可愛い…!)
男(君を見てると僕のハートDO☆KIDO☆KI揺れるおもいはry)

父「食欲は相変わらずのようで、良かったです。」

女「まぁ…はい。お騒がせしました。」
39:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 20:20:18 ID:RXzqRISjrs
父「何を」

男「言っている」

母「のよ、女、ちゃぁああああん!もっと実家帰ってくれば良いのよ実家の意味私が辞書でひこうか?そうしたら半年に一回とか淋しい事しない?私だって女ちゃんと買い物とかしたいの!パパのセンスじゃちょっと、駄目なのよね。」

父「すみませんでした。」

女「仕事が、落ち着いたらまた顔を出すようにします。」

父「未だに他人行儀ですね。」

男「俺も女さんと買い物したいです。」

父「もっと高給取りになってから贅沢させてあげて下さいね。」

女「御二人には、感謝してます。」

父「なら早く孫の顔でもみたいですね、母さん。」

母「そうね、でも結婚は急いじゃ駄目よ。」

女「…それは、もう少し待って下さい。」

男「娘さんを僕に下さい。」

父「4年は早いですね。」

母「パパ厳しいわね〜。」

男「最近、俺に昇進の話が来ています。」

母「あら。」

女「私も上司から聞かされていた。男さえその気になればどうか、と。」

男「給料としては問題有りません、…貯金もあります。」

女「私の意見を聞け、誰か。お願いだから。」
40:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 20:44:43 ID:RXzqRISjrs
女「男、少し落ち着け…目が怖い、本気過ぎて怖い。」

男「言ったでしょう、俺は何時も本気です。」

母「小さい頃、男くんって女ちゃんにプロポーズしてるもんね。」

父「…詳しく聞きましょうか。」

母「女ちゃんも嬉しそうだったのよ〜。」

男「母さん…、そ、その話は…!」

刮目した男の頬が羞恥に染まる。小さい頃、と言われても女の脳内は男の記憶などさっぱりだった。

父「女さんをたぶらかすなんて年下にしてはやりますね。」

女「……何の、話だ。男、お前は一体なんなんだ。」

なんなんだ、胸中でもう一度反復する。私は何を忘れて居るんだ、…何を。言い知れぬ不安が再び女を襲った。吐き気がする。
41:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 20:58:59 ID:RXzqRISjrs
男「俺は、……。」

父「女さんに聞く勇気と元気有る?」

女「あります…、聞かせて下さい。」

母「そっか〜、ならパパお願い。」

父「男くんはうちの息子だよ。」

女「え…?」

男「そうなんです、俺は、二人から産まれました。」

女「小さい頃、…男…、居た、か?私が"忘れてる"だけなの、か?」

父「うん、ずっと居た。でも女ちゃんは離れた大学行っちゃって、少し距離離れた事もあったね。」

母「ドラマみたいな話だけどね、…私達は女ちゃんの御両親から女ちゃんを預かってただけなの。」

女「悪い…男、何故か記憶が抜けてるんだ。」

男「流れ星ですから、俺。」

女「流れ星…、もしかして。」
42:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 21:09:42 ID:RXzqRISjrs
目の前の少年は自分を流れ星に例えた。光るのは一瞬、その後は消えて忘れ去られて行くのがオチだと。

少女は首を左右に振る。忘れたりはしない、私は夜空を見上げる。だから忘れたりは、しない。

少年ははにかんだ。君が忘れても、俺は忘れない。君が怖い思いをしないよいに、俺が忘れない。一瞬だけ光ってあげる。大丈夫、君が願えば何度だって現れるさ。

少女は安心した。それなら、大丈夫だ。思わず笑みが溢れる。

少年「だから、今のパパとママみたいな年齢になったら、ずっと俺の傍に居てほしい。そうしたら君も、俺の事忘れないだろ?」

少女は頷く、ただひたすら頷いた。何故か涙と共に笑顔も浮かぶ、嬉しいような、切ないような。まるで少年を忘れてしまう事が、絶対起こりうる事の様で。
43: 名無しさん@読者の声:2011/9/6(火) 21:16:37 ID:bN69lXYabc
わあぁあああ!!
支援!支援!
44:
◆266c16tTwk:2011/9/6(火) 21:18:00 ID:UHbjGnE77Q
女「…そう、か。」

父「ませガキですね男くん、誰に似たのやら。」

男「と言うわけで俺は本気です。正式に…俺等の家族になりませんか。」

母「両親がいる前でプロポーズなんて、ムードの欠片も無いわね〜。」

女「…断る。」



女は席を立ち、自室へと足を歩めた。記憶の整理が追い付かない、大きな波の用に氾濫している。この家族の一員に、正式に…。女にはそんな勇気が、まだ無かった。
45:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 21:31:26 ID:RXzqRISjrs
>>43
貴重な支援ありがとうございます!ぶっとばしていきますよ\(^o^)/

────────

女(私はどうすれば良いんだ…!)

女は葛藤していた。人間として真面目な告白をあんな一つ返事で返答して良かったのか。寝台の上に腰掛け頭を抱える。伸びた黒髪が五指に絡まった。

あの日の私は、忘れる事が悲しくて、忘れられる事が哀しくて。必死で。

でも彼はもっと必死で、気付けば傍に居てくれた。

女(…最悪だな、人間として、私は。)
46:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 21:41:30 ID:UHbjGnE77Q
母「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃーん!」

女「!?」

母「下二人は男同士、ここは女同士で…どうよ?」

女「母さん…、私。」

母「黄色いオムライス。本当はグレープフルーツジュースが良かったけど、苦くて飲めなくて…、ちょっと似てるオレンジジュースにしたんだよね〜。」

女「懐かしい、ですね。」

母「男くん、ちょっとごり押し過ぎた?」

女「いえ、私が臆病なだけで、まだこの家にすら馴染めないのに…、お礼も…」

母の優しい声音が、女の震える声を遮る。

母「今からでも、遅くないでしょう?正式に名字も同じにしちゃって、本当の実家になっちゃえば女ちゃんが気負う事なんて何にも無くなるのよ。だって、家族だもの。」

今までのボーダーラインが、逆に消えちゃいます。と母は最後に付け足した。

女「私…何かが、良いんですか。」

母「大好きな女ちゃんと、大好きな男くん。そのこから授かる子供なんて、もっともっと大好きになっちゃうわ。」

女「………。」
47:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 21:55:42 ID:RXzqRISjrs
その瞬間、人一人が倒れる音がした。視線の先を辿ってみると、本当に180を越える男が投げ捨てられて居る。

父「母さん、こいつ埒があかないので放り込みますね。バトンタッチして下さい。」

母「男くんハイタッチ〜!何があったか知らないけど頑張ってね!」

女「大丈夫か、男…っ!」

男「大丈夫です、投げられただけなので。」

女「…お前の大丈夫の基準が分からん。」

男「俺は、本気ですから。」

女「有り難う、男。」





女「どうやら、私には男がいないと駄目みたいだ。後…、父さんと母さんも、な。」
48:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 22:03:34 ID:RXzqRISjrs
※捕捉

黄色いオムライスとグレープフルーツジュースは小さな頃の女にとってお星様を連想させるもの=好物

これ見て下さってる方いたら挙手願います…!ラストスパートへの励みです(`・ω・´)

即興文、なので話もあれよあれよと変化しております。もう少しのお付き合い、お願い致します。г●ペコリ
49: 名無しさん@読者の声:2011/9/6(火) 22:46:07 ID:8716w8b2Xg
みてるぜー!
50: 名無しさん@読者の声:2011/9/6(火) 22:59:31 ID:/W08sWJM1I
めっちゃみてるノ
51: 名無しさん@読者の声:2011/9/6(火) 23:43:39 ID:VRXjpgMd3g

もうラストスパートか!?
頑張れ!

52:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/6(火) 23:57:59 ID:MxOS5ew99c
父「マリア様よりみられてる予感がします。良かったですね。」

母「やっと結ばれたみたい、良かった〜。」

父「ちなみに今はラストスパートですが、女の両親、そして孫、何より、孫…等イベントはありますのでお付き合い下さい。」

母「宜しくお願い致します。」


53:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/7(水) 00:05:35 ID:MxOS5ew99c
男「………!」

女「もう忘れないから。」

男は女の隣に腰掛け、優しく抱き寄せた。あんなに立派に見えた背中を、こんなに頼りなく小さく感じた事は無い。

何よりも涙を堪えたその笑顔に、誰よりも女を守りたいと再確認することが出来た。

男「大丈夫です、俺が傍に居ます。これからもずっと。」

女「……っ、ありがとう。」

男「こちらこそ。」

男の胸中に身を預けた女は、男が僅かに泣いていたなんて一生知るよしも無い。

54:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/7(水) 00:45:26 ID:yr6EEq7SPg
父「さて、足音がします。」

母「どうだったのかなぁ…。」

父「…泣かせたとはどう言う了見ですか。」

女「違う、違うんです。…お父さん、お母さん…これから、もお世話になります。」



父「中々、やりますね男くん。」

母「女ちゃん…!」

母がひしと女を抱き締める。母親と言うのはこんなにも安心するものなのか、女は自ら腕を回し体温を共有した。

男「さっき、息子を放り投げた人に抱き着けと。」

父「良くやりました、男くん。」

父が両手を広げ男を待ち構える。男は渋々といった感じで父の懐におさまった。

男「シュールです。」

父「そうですね。女ちゃん、オレンジジュース冷えてますよ。」

母「私は梅酒かな。」

男「父さんはビールですか?」



女「皆、ありがとう。」

新しい一家の誕生と共に、日付は新しい今日を告げた。
55:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/8(木) 01:52:16 ID:vHGA7SRHJw

皆様のおかげで一段落致しました。ここからは二人の恋愛模様や結婚、出産などゆっくり書いて行こうと思います。

何か要望等御座いましたら書いてみますのでお気軽に\(^o^)/

女「支援ありがとう。」

男「ぱっと思い付きでここまで来れるんですね。」

女「最後は少々甘くなりすぎた…、不覚だ。」

男「俺は全力で萌えました。」

女「お父さん、後は頼みました。お母さん、買い物いきませんか?」

母・父「喜んで!」
56:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/8(木) 01:59:11 ID:vHGA7SRHJw
父「それは、貴方の傍には常に男くんがつきまとって居るからです。」

少女「…!」

父「だから大丈夫ですよ。僕達も少女さんの味方です。」

少女「ごめんなさい。」

父「謝る必要なんて有りません。さ、帰りましょう。」

一番大切なものから忘れてしまう。本当に大切だったのかも曖昧になって行く、彼等の存在が唯一の少女の存在理由。

───────

女「………はっ、」

女(………!?)

昨夜一人で床に着いた筈か隣には男の姿があった。見上げると安らかな寝顔がある。

女は久しぶりに穏やかな朝を迎えた。

女(沈まれ沈まれ…っ、沈まれ心臓…!)

安堵と引き換えに、妙な胸の動機を覚えてしまった女だった。男を蹴り飛ばそうと思案した結果、僅に寄り添い目を閉じた。

今日は二人で有給休暇だ。
57: 名無しさん@読者の声:2011/9/8(木) 23:34:10 ID:lrFmj5/bxM
っC
58:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/10(土) 00:41:46 ID:sGskfbDDd6
中々更新出来ずすみませんorzそして支援ありがとうございます…!おっと目からオレンジジュースg(ry
59:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/10(土) 02:35:29 ID:eJTSDc8Acg
女「後…5ふん。」

男「家でまったりコースも良いかも知れないですね。ツ●ヤでDVDでも借りてきましょうか。」

女「置いていったら怒る。」

男(萌え過ぎて、なんかもう…!)

女「わかった…、起きる、起きるから。」

女「なぁ…男。」

女「ちゅう、シよう?」



────────

男「と言う夢を見たのさ。と、言うわけで女さん…!」

女「右の頬を差し出した後に左も差し出しだせ。」


60:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/11(日) 18:33:06 ID:aqZvmbwtMY
男「おはようございます。」

女「あぁ、おはよう。」

男「今日、何処か行きたいとありますか。」

女「…分からない。普通の女子じゃなくて申し訳無い、な。」

男「いえ、俺は女さんと行けるなら会社でも宇宙でも未来でも良いんです。」

女「えらく大規模だな。」

女「そして男。」









女「ちゃっかり私の隣で寝ていた理由を説明して貰おうか。」
61:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/11(日) 18:40:55 ID:aqZvmbwtMY
男「…あ。」

女「なんだ。」

男「いえ、特に。さて、今日は女さんのお洋服でも見に行きましょうか…!」

女「服…。」

男「気分、転換に。」

女(確かに昨日の今日で頭はついていかない。しかもまだ隣にこいつは居る、起きなければいけないのはわかっていながら何故か離れられない…!)

女「…分かった。特に好みは無いからお前のコーディネートを見たい。」

男(私を貴方色に染めて…だと。)

男「わ、わかりました。お任せ下さい。俺も準備してきます、お邪魔しました。」

瞬間、男の大きな手が女の頭に触れる。寝癖混じりの黒髪が絡まる中女は微動だにしなかった。

女(……な、なんだっ、また動機が…!)

咄嗟に頭頂部を押さえ暫し呆然する女の姿を誰も見る事は無かった。

女「…─、こう言う時はどんな服を着れば良いんだ。」
62: 名無しさん@読者の声:2011/9/11(日) 23:23:35 ID:X2EqQYRtaw

女は何故記憶を失うかとかはこれから物語で語られるのかー?
63:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/11(日) 23:54:10 ID:n9/skE8h1M
>>62
そうですね、はじめが少々軽く行き過ぎたので女の記憶については後々書いて行こうと思っています。

ゆっくり更新になりますが、宜しくお願い致しますг●
64:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/12(月) 00:44:27 ID:TYJ7JJGGPs
女「お母さ…、ん。今日は居ないのか。…ん?」

リビングの机上には一枚の紙。筆跡から見て母のようだ。

女「今日は男くんとデートだね。女ちゃんの服、用意しておきました!適当にアレンジして着てね〜(はあと)」

視線をクローゼットにやると確かに女物の服がハンガーに掛けられている。私を着ろ、と圧迫されている気分に陥りそうな女は取り敢えず其れを手に取り部屋へ戻った。


65:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/12(月) 00:56:57 ID:TYJ7JJGGPs
表現上の理由も有り、キャラクターに名前を付けたいと思います。


星川 美月(ホシカワ ミツキ)
以下:美月


椎名 陽人(シイナ ハルト)
以下:陽人


椎名 仁己(シイナ ヒトミ)
以下:父


椎名 春子(シイナ ハルコ)
以下:母

部下女
早乙女 彩月(サオトメ サツキ)
以下:彩月



宜しくお願い致しますг●
今日はお休みなさいませ。
66:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/12(月) 22:10:02 ID:IVsp/xntKY
数分後

陽人「美月さん、行きましょうか。」

美月「待たせたな。椎名、…これ変じゃ無いか…?」

ベージュの刺繍レースのブラウスに膝が隠れる程度の濃緑のタックスカート、何より黒髪を下ろした姿が新鮮で陽人は其れだけで満足だった。

陽人「髪、巻いたら良かったのに。」

美月「私にそんな技術有ると思ってるのか。」

陽人「さぁ、出発しましょう!車に乗って下さい。」

美月「おい。」



着なれたスーツは何より楽だと思っていたが、中々私服と言うのも気持ちが楽になる。女は自然と笑みを溢していた。


67:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/12(月) 22:33:13 ID:UHbjGnE77Q
陽人「さて、つきました。」

二人が赴いたのは有名なショッピングモール。デート初心者、には最適な場所である。



美月「私は此処に居るから後は任せた。」

陽人「そんな真顔で頼まれても、服ってのは見た目良くても着てからのシルエットが重要なんです。よって、本人が居なきゃ駄目。俺が、駄目。はいはい、後でオムライス屋さんに行きますから…!」

美月「誰がシェフの気紛れオムライスを食べたいなんて言った?…─変なの選んだら許さないからな。」

陽人「大丈夫です、…美月さんなら。」

陽人(着せたい服なら沢山ある、なんて言ったら変態扱いされるだろうか…。)

陽人は徐に携帯画面を一瞥する。取り敢えず失敗の無いよう、早乙女に相談をしていたのだ。その際色々問われたが、それは近所のケーキ屋のショートケーキと共に伝える、と言う事で決着がついた。

男「そうですね、…取り敢えず此処行きましょう。」

陽人は然り気無く、美月の手を取った。
68:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/16(金) 01:10:13 ID:yKROkiQYYg
美月「……っ!」

陽人「…駄目、でしたか。」

美月は自身の一瞬の動揺に耐え兼ね手を離してしまった。見上げれば大の男が眉を八の字にしている。

美月「…いきなり、は、…昨日の今日だしな、私も、…慣れない。」

微妙な隙間を空け美月は呟く。この年になって酷く滑稽な姿だと、自分を嘲笑してしまいたかった。

陽人「分かりました、…手を繋いで下さい。離れたら嫌なので。」

陽人の骨格がしっかりとした大きな手が差し出された。美月にだけ聞こえる声で、そっと。

ぎこちない手つきで、美月は其の指先を掴んだ。

陽人(少しずつ少しずつ…、一日0.5歩。よし。)



その後服選びは進み。美月の混乱を他所に、陽人は着々と自分色に染めて行くのだった。

69:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/17(土) 00:33:18 ID:eJTSDc8Acg
美月「………。」

陽人「オムライスを目の前に眉をしかめてどうしたんですか?」

美月「いや、美味しい。やはり玉子にチーズは合うな、味も私好みだ。」

美月(しかし…何かが足りない。)

陽人「俺の秋の風物詩オムライスも美味しいですよ。はい、あーん。」

美月(昔、仁己さ…お父さんにつれていって貰ったファミレスのオムライスより違和感がある、何故だ?)

陽人「美月さーん?」

美月「………ん。」



無意識に何の躊躇いも無く美月はオムライスを口へ運んだ。頭の中にはこの違和感を払拭する事しか無かったからである。

陽人(あれ、照れない。)

美月「和風も美味しいな、今度作ってみてくれ。」

美月(………!)

美月(こいつのオムライスを食べはじめてからか…!?)

陽人「勿論です!また、愛情たっぷりで俺頑張りますから。」

美月(愛情…。駄目だ、何だか顔が…、また動悸がっ…!)

陽人(今更照れてるのか…?)


70:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/17(土) 02:02:17 ID:YUVBSm0k6o
美月「服、ありがとう。」

陽人「次のデートはあれ着て下さいね。」

美月「……何時になるか分からないけどな。」

陽人「大丈夫です。俺の忍耐力は美月さんが一番知ってるハズですから。」

美月「なぁ、…椎名。」

陽人「はい?」

美月「…何で私は椎名を思い出せなかったんだ。」

陽人「俺が昔より男前になったからですかね。」

美月「…そうか。」

陽人(あれ、目からオレンジジュースが。)

美月「…私が落とした記憶はどれくらいあるんだろうな。思い出そうにも無いものは「人は忘れる生き物です。」

陽人「今、こうして傍に居れるだけで俺は幸せなので。美月さんは美月さんのままで居て下さい。」



陽人は押し留めている記憶を邂逅した。今が、幸せで有れば良いのだ、そう言い聞かせる。きっとあれを思い出せば彼女は、今以上に記憶に固執してしまうから。
71: 名無しさん@読者の声:2011/9/17(土) 07:46:00 ID:yboG2oVRjw
念のため言っておくが邂逅ってのは出会うってことなんだぜ?
つまり記憶「を」邂逅じゃなくて記憶「と」邂逅が正しい使いか支援支援
72:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/17(土) 12:31:25 ID:yKROkiQYYg
>>71
御指摘と支援ありがとうございます(´;ω;`)見て頂けている証なので感動しております。

また何か有りました、宜しくお願い致しますorz
73:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/17(土) 12:35:39 ID:BIGHQVtaBA
?「そこ、どいてくれるかな。」

?「──ちゃんに迷惑かかるからさ。」

陽人「嫌だ、…っ!」

?「困ったわねぇ…。」

?「言う事聞きなさい。」

小さな少年は背後に匿った少女を、その小さな背中で隠した。少女の意識は途切れ、彼にそれを助ける手立ては無かった。小さな世界にはただただ、全てが敵にしか見えなかった。


74:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/17(土) 19:05:46 ID:ZPUj/J6KUY
美月「椎名、…ありがとう。」

陽人「俺が好きでやってる事ですから。」

美月「…あの、だな。」

氷が溶け、小さな音を立てる。こんな風に簡単に、昔の確執や壁や偏見も、記憶も、溶けてしまえば良いのに。美月は眉間に皺を寄せ願う。

美月「勿論、いきなり結婚、なんて無いよな…?」

至極不安気な美月の表情が、陽人の視界を占領した。

思わず口元が弛む。

陽人「勿論です。…っは、…く、……ふ、…!」

美月「な、なんだ!?今の質問に笑う要素なんかあったか!?」

陽人「ゆっくりで、良いですから。俺ももっと美月さんの事知りたいです。」

美月「わ、分かった、変な質問して悪い。」

プレゼントされた服の入った袋を抱き締め美月は立ち上がった。
75:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/19(月) 20:36:18 ID:17t3Rt4P0A
陽人「そろそろ出ましょうか。先、外出てて下さい。」

美月「…御手洗い、行ってくる。アソコで待ち合わせしよう。」

陽人「分かりました。行ってらっしゃい」

陽人は目印のポスターを一瞥後清算へと向かい、美月は足早に御手洗いへ足を進めた。

陽人(美味しいケーキ屋は調査済み、家に帰ってからのまったりタイムも大丈夫かな。)

清算を終えポスターの近場に有る椅子に座る。未だ姿を現さない彼女を想い、女子のトイレ長い説を思い出した陽人だった。





美月「待たせたな。」
76:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/19(月) 20:53:21 ID:TYJ7JJGGPs
陽人「あ、え…それ、もしかして。」

美月「…気が、早かったか?」

美月は先程陽人が選んだコーディネートで現れたのだ。椅子から立ち上がるのも忘れまじまじと完成度の高さに見惚れる。

美月「やっぱり、変か。ごめん。」

陽人「いっ、いやいやいや!違います違います違います!似合ってます、流石俺!」

美月「私も、こう言うのは嫌いじゃない。…また服選び頼む。…近いうちにな。」

それと、と美月が紡いだ。鞄の中を探り古びた、星のキーホルダーを取り出す。

陽人「これ…。」

美月「流れ星じゃない、…星だ。小さな頃、仁己さんが渡してくれた。御守りみたいな物だ、…椎名が消えないように持ってろ。」

陽人「良いんですか、そんな大事なもの。」

美月「………っ!」

美月は周りを見渡す、勿論他人も利用する場所だ。この言葉を伝えるには、流石に視線が痛い。

美月「場所を変えるぞ!」

くるりと陽人に背を向け、美月は慣れぬ場所にも関わらず一歩踏み、行き場も決めず歩みを始めた。

陽人「美月さん……っ!ちょっと、待って下さい、あの、…っ!」
77:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/23(金) 01:58:04 ID:rjF1TwFr3s
美月「何だ…?」

陽人「今日はデートです。」

美月「それがどうした。」

陽人「次の行き先は決めてあります、行きますか行きませんか。」

美月「…分かった、人気の少ない所で椎名と話せるなら其処に行く。」

陽人「とっておきの場所です。」

幾らか時間が経過した。陽は橙色から赤へ移り姿を消す準備に入る。
78:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/23(金) 02:10:59 ID:K4FUVeqavI
美月「うちじゃないか。」

陽人「じじゃーん!」

美月「!!」

到着したのは実家、目の前に有るのは甘美な甘味。美月の視線が其れに釘付けになるのを陽人は見詰めた。

陽人「ココア入れますね、…ゆっくり話しましょう。」

美月「…何でだ、」

陽人「はい?」

美月「何で、私は、いけしゃあしゃあと、椎名に、仁美さんに、春子さんに…おんぶに抱っこ、してるんだろうな。」

陽人「それは…。」

美月「まだ、私は家族じゃないのに。」
79:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/23(金) 02:26:58 ID:rjF1TwFr3s
陽人「美月さん。」

美月「ごめん、やっぱり直ぐに整理なんか付かないんだ。…ただこの年になって"聞き分けが良くなった"だけ。情けないだろ、こんな上司。」

陽人は息を止めた。ケトルの沸騰する音と心拍が同調する。

ドラマの様な言葉しか浮かばない、しかし今伝えなければ、意味が無い。もう恥など無かった。後は、彼女さえ受け取ってくれれば、どんな陳腐な台詞も救われるのではないだろうか。



陽人「俺が今話してるのは、星川美月です。上司でも他人でもなく、俺が一生ついていくって決めた、美月さんなんです。だから、自分を追い込まないで、下さい。ゆっくりで良いから、俺は知りたい。もっと美月さんを知りたい。」





流れ星は、切なかった。
気付かれない事を承知で光り、視界に入らない事を承知で流れる。彼女の願いを叶えられる可能性も僅かだった。たった、一瞬。

ただひたすらに現れては消え、現れては消え。そうして行くうちに、何時か覚えてくれるだろうかと。少年は未来に想い馳せた。

一番星になれば彼女に見付けて貰えるだろうか。
80:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/23(金) 02:55:47 ID:K4FUVeqavI
美月「お前みたいな奴なら、私なんかより貰い手沢山居るだろうに。」

陽人「俺は美月さんじゃないと駄目なんです。」

美月「………ココア、早く。」

美月「…私も、椎名の傍に居る。」

慣れた手付きでココアを作る陽人の作業が停止する。当の本人は羞恥もあり陽人の方を見ては居なかった。

部屋にカカオの匂いが広がる。



陽人(この唐突なデレが美月さんの魅力とか言ったら殴られるだろうか。)
81:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/23(金) 03:10:22 ID:K4FUVeqavI
美月「明日からまた仕事だと思うと、何か変な感じだな。」

陽人「そうですかね?あ…!もう、無理はさせませんからね。」

美月「優秀な部下のお陰で昔より楽させて貰ってるよ。」



その後は他愛の無い会話が紡がれた。まだまだ、距離は遠い。気を抜けばきっと消えてしまう、其れは互いに危惧していた。
82:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/23(金) 03:12:16 ID:K4FUVeqavI

─────────

少年は走る、ひたすら走る。辺りは暗く、何時か見たお化けの本が頭を過る。もしも本からお化けが出たら自分は今度こそおしまいだ。

少女の身体は軽い。そして先程から動かない。暗闇は不安を助長する。少年は足を止め、その場に腰を降ろした。暗闇は不安を助長し、潤む視界で夜空は歪む。

隠れなければ見付かる、見付かれば僕らはどうなる?ヒーローなんか居ないヒーローなんか居ないヒーローなんか居ないヒーローなんか居ない。

少年は呪いのように呟いた。



足音が迫る。


83:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/23(金) 03:14:47 ID:rjF1TwFr3s
軌道修正しなきゃgdって参りました、読んで下さっているかたありがとうございます。

何かアドバイス、ご意見御座いましたら宜しくお願いします(´・ω・`)

何せギャグ要素取り入れにくいので伏線を張ることで楽しんで頂けたら幸いです…!お休みなさいませ。
84: 名無しさん@読者の声:2011/9/24(土) 01:34:06 ID:AyC0sCuso.
っC
85: 名無しさん@読者の声:2011/9/24(土) 11:25:16 ID:jJ8Za.c18g
アドバイスとかは、出来ないが、中々好きだぜ、作者さん

しぇーん
86:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/24(土) 12:28:51 ID:49alcId.kY
>>84
あ、ありがとうございます(´;ω;')ブワッ

>>85
ありがとうございますうういうう(`;Д;´)

この支援を胸に抱き、今日も更新致します!



美月「なんとかしろ、椎名。」

陽人「俺等を動かしてる人がてんぱってちゃどうにも。取り敢えずさっさとキスフラグを(ry」

美月「お父さん!こっちです。」

仁己「母さん、裁縫道具を。」

春子「ハル君逃げて〜。」

陽人「母さんっ、笑いながら言わないで下さいよ…!」

美月「ほっぺくらいなら良いぞ。」

仁己「」

陽人「」

春子「あら。」

春子「続きはWEBで!うふふ」
87:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/25(日) 00:18:21 ID:zTwgW56MmU
美月「………。」

陽人(嘘だろ…、この状況…!)

美月の好きなアニメのDVD鑑賞で時を過ごした二人。しかし今、陽人にピンチなチャンスが訪れていた。美月の身体が隣の陽人へ寄りかかっているのだ。何となく異変は気付いては居たが、熟睡の今となっては全体重が陽人に託されている。

陽人「み、みつきさーん…。」

そっと呼んで見るも返答は無い。シャンプーの仄かな香りや小さな寝息、その無防備さは燻る男心を揺らす。

陽人(このまま寝かせる…!腕枕、そうだ腕枕しよう、)

仁己「ただいまー。」

春子「ただいま美月ちゃん、ハル君〜!」

陽人「!?」


88:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 01:19:20 ID:zTwgW56MmU
仁己「飲み物に何か薬を入れて今から頂こうとしていたんですね、分かります。…成敗します、父の名にかけて。」

陽人「今、俺を動かしたら美月さん起きますよ。おかえりなさい。」

春子「今、毛布持ってくるわね〜。それと、二人にお土産あるからパパに聞いて下さい。」

陽人「ありがとう母さん。今日はここで寝るよ、俺が居ないと美月さん淋しがると思うし。」

仁己「いや、逆に寝にくいと思いますよ。図体でかいですし。」

陽人「若い二人が寄り添って寝るのを邪魔するなんて父さんにしては無粋ですね?」

仁己「…一気にふてぶてしくなりましたね陽人。僕はただ美月さんが可愛いだけですよ、育ての父として。」

陽人「まだ俺に任せては貰えませんか?」

仁己「いえ、君に託しています。僕の遺伝子ですからね。」

春子「パパ〜、私達もお風呂入って寝ましょうよ〜。」

脱衣場から春子の声が響く。仁己が一瞬動揺するのが伺えた。

陽人「お土産、ってなんですか?」

仁己「ケーキです。朝にでも持って行きなさい。」


89:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 01:31:38 ID:gsVt2taCKs
そう言い残し仁己は廊下へと姿を消す。去る寸前に室内の電灯を消灯して。

陽人(俺の腕がごつごつしてて起こしたらどうする…。)

暗闇の中一か八か、緩慢な動作で丁寧に美月を寝かせる。幸い寝息が止まる様子は無い。

陽人(近い、な。…何か良い匂いする。)

美月に毛布を掛け、陽人も目蓋を下げた。


90: 名無しw:2011/9/26(月) 01:32:53 ID:g5F5ygixAc
訳わからんー笑
2ちゃんねるの人ら
おもろ過ぎー笑
91:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 01:39:21 ID:gsVt2taCKs

──────────

少年は必死に頭を振る。危険だ、大人は危険だ、でもこの状況も危険だ。抵抗虚しく軽々と身体が抱えあげられる。

?「っ…、後で爪切りしなきゃ駄目ですね。」

?「大丈夫?」

?「少々抉られたけど大丈夫。」

陽人「……せっ!離せ離せ離せ離せ離せ離せっ!嫌だっ、嫌だっ…ぁ!」

もう一人がぐったりとした少女の身体を慣れた手付きで抱えた。

駄目だ、彼女が死んでしまう。消えてしまう。少年の目から涙が止まる事は無い、精一杯の抵抗で泣き喚いた。

騒がしい夜が4人を包む。

?「泥だらけじゃない。」

?「色々と、忙しくなりそうですね。」
92: 名無しw:2011/9/26(月) 01:40:19 ID:bJDHG8BGmI
↑うっさい(´_ゝ`)
93: 名無しさん@読者の声:2011/9/26(月) 01:42:09 ID:yQM7sYVCM6
支援しとるで
94:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 01:44:32 ID:zTwgW56MmU
>>90
確かに、gdりは否めないし確信をつかなきゃ意味がわからないと思います。それは作者自身痛感してます。

しかし2ちゃんねると此処は違います。2ちゃんねるが良いなら是非、そちらを見て下さい。

>>92
同一の方でしょうか?こんなSSでも貴重な支援を頂いておりますので、「はい止めます。」なんて事はしません。

うるさい、と言うのは分かりかねる表現ですが。以後、私のSSを無視して頂ければ幸いです。
95:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 01:47:28 ID:zTwgW56MmU
>>93
ありがとうございます(´;ω;`)

沢山の秀逸なSSを拝見し、日々精進で落ち込んでます。しかし貴重な支援を胸に、ゆっくりですがお話を進めて行きますね(`ω´)シャキーン
96: 名無しさん@読者の声:2011/9/26(月) 01:48:49 ID:ADK/dMn24w
>>94
たぶんだけど>>92>>90のことをいったんだと思うよ?
97: 名無しさん@読者の声:2011/9/26(月) 01:51:04 ID:SreLzOfR6w
いや、普通にコテ一緒だしうっさいって言ったの>>91のことだろ
てかスルーでいいよ続き期待してんだから
98:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 01:51:55 ID:gsVt2taCKs
そうでしたら>>92さん申し訳無いです、ごめんなさい。名前欄が同じだったので噛み付いてしまいましたorz

>>96さんご指摘ありがとうございます。
99:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 02:00:27 ID:gsVt2taCKs
>>97
ヌクモリティに(´;∀;`)ブワッ

ちなみにアドバイス・ご指摘でしたらばっちこいですので。

気を取り直して行きます。

――――――――――

陽人「……ん。」

時刻は午前6時。社会人になってからは自然とこの時間帯に目が覚めるようになった。

陽人(可愛いなぁ…。)

自然と自身の胸元に収まる形で寝ている彼女を見詰め朝から頬が緩む。

陽人「美月さん、美月さん…お仕事はじまりますよ。」

美月「…るさい、んー。」

陽人「でも起きなきゃ。温かいココアとケーキ、ありますよー。」

美月「私の眠りを妨げる奴は生クリームが喉に詰まって息耐え……ろ、すー。」

陽人「」

彼女が会社で寝ている理由が少し、分かった気がした陽人だった。

陽人(寝起きが悪いの自覚してるんですね、美月さん。)
100: 名無しw:2011/9/26(月) 02:03:03 ID:.YZ.qJC/tM
ど〜もぉ〜♪
色々言っていただき
ありがとうっすw笑
MOTHER FUCKER

あんまこう言うとこの
常識わかってないからさw
101:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 02:22:50 ID:zTwgW56MmU
>>100
面白いSSをお探しなら、SSの方と雑談スレに行ってみて下さい。ここの事を知りたいのなら、なおさらです。

次、荒らし紛いの書き込みをされた場合は此方も不愉快ですので管理人さんに報告させて頂きます。

夜更かしはお肌の天敵ですよ、私は寝ます。皆様お休みなさいませ。

102: 名無しさん@読者の声:2011/9/26(月) 08:01:29 ID:iiildWft16
以上、スルースキル検定でした。
続けて作者様の『忘却線上の星』をお楽しみ下さい
103:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 14:22:23 ID:yKROkiQYYg
それでは本日も心を込めて描きます。ぺこり

─────オフィス

彩月「美月さんおはようございますっ…!」

美月「おはよう、早乙女。」

彩月「体調…、如何ですか?」

美月「大丈夫だ、心配かけて悪かったな。」

上司「星川、ちょっと。」

彩月「行ってらっしゃい!」

美月の背中を見送る彩月の視線は、少し複雑さを含んでいた。
104:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/26(月) 14:30:31 ID:yKROkiQYYg


陽人「…おはよう、早乙女さん。」

彩月「椎名クン、昇進ってほんと?」

陽人「昇進、と言うか美月さんを補佐できるように無理矢理いれて貰った、ってとこかな。」

苦笑混じりに告げる彼に彩月の心のもやは爆発寸前である。

彩月「…二人が幸せになるのはぜんっぜん構わないけど、私だけおいてくのは嫌!三人で仕事したいのに、この数日間がめまぐるしくて…っ!」



二人が有給をとっている間、彩月は他の部署の仕事を手伝っていた。どこにでも顔がきき、愛嬌あるのが彼女の長所だ。

陽人の昇進を前に、彼女を他の部署へ引き抜く話も出ていた。

陽人「勿論、早乙女さんも一緒…と言うか実質俺等は変わりません。」

105:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 00:57:24 ID:YHSMbJRRo2
彩月「良かったぁ…!やんわり断る私の気持ちにもなってほしいわ!」

陽人「美月さんの事、好きなんですか?」

彩月「当たり前じゃない、尊敬してるし…勿論好き。」

陽人「それは…「勿論、椎名クンの思ってる通り。」

彩月「私だって、頑張って美月さんに近付いてるのに…。全部椎名クンに取られてさ。」

陽人「…ごめん。」

彩月「今日のお昼、ケーキ楽しみにしてるから!後、結果報告もね、予想はついてるけどさ。書類コピーしてくる!」

陽人(…先行き不安なのは俺だけなんだろうか。)
106:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:10:06 ID:YHSMbJRRo2

────────

上司「最近、どうですか。星川君。」

美月「昨日は有給を頂き、…優秀な部下に恵まれ、順調です。」

上司「最近の君の顔色はすこぶる悪かったからね。いい加減会社を恋人にするのはやめなさい。」

美月「…すみません。会社に居た方が落ち着くので、つい。」

上司「君らしいね。」


上司「さて、星川君。私の知り合いに医者がいるんだが…、少し身体を休めるつもりは無いかな?」

美月「それは、私が戦力外だと言う事ですか…っ!?それに、それに、…っ私は特に身体の不調は有りません…!仕事も出来ます、睡眠もとっています…!」

上司「こころ、の問題。と言えば早いかな。少しで良い、紹介するから寄ってみなさい。」

上司「君はこれからも会社の戦力だ。しかしこのままでは、……自爆しかねないよ?」

美月「分かりました。…失礼、致しました。」

机上に差し出された名刺を美月は渋々受けとる。上司の顔を見れぬ侭、退室した。

上司(これで良かったのかな、椎名君。)
107:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:20:35 ID:YHSMbJRRo2
美月「早乙女!…どうした?」

彩月「あっ、あっ、…!美月先輩!ちょっと、あの、コンビニ行こうかな、って。」

美月「私も行こうかな、…なんか甘いもの食べたい気分だ。」

彩月「…何か、言われたんですか?」

美月「いや、ただの報告だ。早乙女こそどうした、何かあったか?」

彩月「いえ、…少し自分に甘かっただけです。やっぱり二人が居なきゃ楽しくなくて。」

美月「そうか。…今度の休暇は、あの…ショッピングセンターにでも行かないか?」

彩月(美月さんとデート!)

彩月「勿論です!美月さんの服、チョイスさせて下さい。」



叶わないと知りながらも、女の特権を生かすのはありだろう。と心中でほくそ笑む彩月だった。

彩月「やっぱり大好きです、美月さんっ!」
108:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:34:34 ID:yjsKgIJf5k
美月「なんだ急に、…照れるぞ。」

彩月「素直な気持ちです、受け取っちゃって下さい!」

───────

時計は12時を回り、辺りは昼時となった。

彩月「ケーキ美味しそう…!ありがとうね、椎名クン。」

陽人「美味しく召し上がっていただければ光栄です。」

彩月「あら、美月さんは?」

陽人「忙しいらしい、後でお昼にするって。」

彩月「そっか〜。…さて、どうだったの?初デート。」

陽人「…取り敢えず、うまくいった、のかな。…まだ、言えない事も有るし、結婚するわけじゃないから、なんとも。」

彩月「ふぅん、…私も男ならなぁ。美月さんを幸せにします…!とか言えるのに。」

陽人「早乙女さん、男には興味無いのか?」

彩月「んー…、今の所。全部表面上って感じかな。良い子で終わっちゃう。」

陽人「そっか、…なんなら俺の友達紹介しようか?」

彩月「今は遠慮しとく!美月さんでいっぱいいっぱいだから。」

幸せそうに笑う彼女の裏側を想像して、陽人の胸は痛んだ。しかし、自分も必死で、やっと掴んだ距離だった。早々手離す気は無いと心の中で告げる。
109:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:50:49 ID:YHSMbJRRo2
美月「もしもし、…あ、はい、はじめまして。」

主治医『はじめまして〜、上司君から話は聞いてるのよ。星川さんかしら?』

美月「はい。」

主治医『そんな沈んだ声出しちゃや〜よっ!あなたいつ頃来れそう?』

美月「すみません…っ、えっと…お時間指定して頂ければ何時でm『それなら今からが良いわ!上司君には適当に言っておくから!まってるわね〜。』

唐突に通話が終了を示す音が耳に伝わる。美月は暫し呆然としていた。

美月「あー…、もしもし椎名か。これからちょっと出るから後は頼む。すまない。…荷物は持ってるから、大丈夫だ。早乙女にも宜しく頼む。じゃ、」
110:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 02:29:26 ID:yjsKgIJf5k
頭が回らないので今日はここまでにします。本日もありがとうございました、お休みなさいませ。
111:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 15:24:06 ID:UHbjGnE77Q
美月(確かに、住所はここであってる。)

目の前に現れたのは病院ではなく一軒家。辺りを見回してみるが似たような家屋しか無く、病院は無さそうだ。

美月「間違ったら、謝れば良い。」

呼び鈴を指先で押す。足音が近付く、どうやら留守では無いらしい。

主治医「いらっしゃぁ〜いっ!美月ちゃんね、早く入って入ってぇ。」

扉を開けて貰うと其処には、性別不明の人が居た。

美月(やけにきれいだけど…、醸す雰囲気は男性。)

美月「お邪魔します。」


112:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 15:28:37 ID:RXzqRISjrs
主治医「ん〜、そうねぇ。美月ちゃんは何飲む〜?」

美月「あ、…えっと、」

主治医「私の事は、みっちゃんって呼んで。」



柏木 光男(みっちゃん)
・上司の相棒。
・知る人ぞ知る、ヒーリングオカマ。
・以下不明
113:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 00:38:34 ID:ORGaFaQ3qo
美月「みっちゃんさん…、私、良くわからないまま此処に来てしまったんですが。」

み「ん〜、ミルクティーって気分ね。あらぁ、上司ちゃん、また説明無しに寄越したの?あの人も無責任よねぇ。思い当たる節は?」

美月「こころの問題、と言われました。…確かに、幼い頃から記憶する事、記憶を保つ事が苦手ではあります。最近また、不安定になってきていて。」

み「そうなのねぇ。ま、そんな緊張しなくて大丈夫よん。私はあなたのこと今は1ミリも知らないわ〜。憶測で喋る事も沢山ある、何か感じる事、反論があったらばんばん言って良いのよ。」

美月「…はい。でも、こころの問題って…。」

み「美月ちゃんは自覚が足りないのね、きっと恋愛でもそう。おニブさ〜ん!勿論、人間だもの、忘れるなんてしょっちゅうよ。でも美月ちゃんの場合は"消してる"に近いわねぇ。」
114: 名無しさん@読者の声:2011/9/28(水) 00:47:24 ID:ghHEmn560Q
これがオカマか…
脳内では眼鏡白衣の美人で再生されるのに
115:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:00:03 ID:ORGaFaQ3qo
美月「…消してる。」

確かに、陽人の件も有りその表現の方がしっくりくる。

み「はいはい、そう思い詰めた顔しないで〜!美月ちゃんに何があったかは、私には分からない。けど、小さな頃の美月ちゃんには抱えきれなかったのよねぇ。」

美月「…抱えきれなかった…?でも、私の幼少期は…。」

伝えようにも、記憶が断片的で、美月は息を飲む。記憶の中の其れは、ひどく平和な世界だった。
116:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:01:43 ID:ORGaFaQ3qo
>>114
見た目は美人さん設定です。女よりキレイなオカマさんでw
いつか、この子達を描いて頂けたらな、と夢見ております(*^ω^*)
117:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:12:17 ID:tL0ly3VaPU
み「ゆっくりで良いのよ。生憎診察代も要らないし〜。暇な私の相手してくれたら良いのよねぇ。何かあったらメールして、デートの御誘いも大歓迎っ。」

美月「私、…大事なこと、ばかり、…消してる、気が。」

み「美月ちゃんみたいなタイプは自分に圧力かけすぎなのよ〜。記憶もパンクしちゃうわ!」

美月「…そうなんですか。」

み「美月ちゃん、ガールズトークはお好き?」


118:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:20:44 ID:ORGaFaQ3qo
美月「ガールズトーク…、した事が、ありませんね。」

み「ならやりましょ!やりましょ!美月ちゃん、恋してるでしょ〜、中々順調ね?」

美月「…っ!?え、あの、恋っ…恋…と言うか、最近、つい、ほんの…はい。…恋?」

み「やっだ〜、赤くなっちゃってウブねぇ〜!食べちゃいたいわぁ。彼はどんな人?」

美月「年下で、犬…みたいです。気が付けば側に居て、何時も私の事を気にかけてくれて居ます。実際、彼が居なければ私は…─。」

み「素敵〜っ!互いに差さえあってる感じかしらぁ!年下捕まえるなんて中々やるじゃない、美月ちゃん。」

数時間、みっちゃんの巧みなトークスキルで話は盛り上がった。その中で美月は重大な事に気付く。

美月(…あいつに、好きって伝えてない…!)
119:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:27:46 ID:tL0ly3VaPU
み「さて、お仕事なのに無理矢理引っ張ってごめんなさいねぇ。またいらっしゃいな。」

美月「色々ありがとう、ございます。あの、恋愛の話とか…出来る相手が居なくて、助かります。あと、自分ともう少し向き合いたいので、力を「堅苦しいのはよせっていってるでしょう?」

み「気軽に気軽に、ね?ちゃんと彼に素直になるのよ、またね〜!」

一瞬、彼女の男性的部分が出た気がしたが美月は見なかった事にした。

車を発信する前に電話をかける。

美月「もしもし、椎名。…逢えるか?あの、話したい事が、少しあってな。」
120:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 15:02:37 ID:ByYHCP3s9Y

─────────

美月「…ありがとう、あの…それがだな。」

陽人「会社辞める、とか言わないで下さいね。あと、やっぱりお前とは付き合えないとか、ファッションセンスどうにかしろとか、加齢臭(以下略)」

美月「落ち着け、馬鹿。…私が、一つ、…伝えてない事がある。」

陽人(久しぶりに緊張で吐きそうだ。)

美月「椎名、好きだ。私の気持ちを曖昧にして悪かった…、でも今日改めてお前の大切さに…椎名?」

陽人「…っ、う…続けて下さい…っ。」

美月「ほら、ティッシュ。…泣く程ショック、だったか?」

陽人「…見て分かって下さいよぉ…、嬉し泣きです嬉し泣きっ!」

美月「…椎名からも、聞きたい。」

陽人「一緒ついていきます…!大好きです!」

美月「ここが車の中で良かったな…。」

平然と返答する美月の顔は、赤く染まっていた。少し心臓の鼓動が治まったのは、自分の曖昧さに一つけじめをつけたからだろうか。

陽人「美月さん…、顔赤いですよ。」

美月「う、うるさい…!27年間生きていてはじめてなんだ、緊張も羞恥も有るに決まってるだ……ん!」



二人の唇が重なりあったこの日を、記念日にした。薄暗くなる車内でロマンチックさの欠片も無いファーストだったが、互いの距離が一瞬に縮まった瞬間だった。
121:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 15:17:29 ID:GaUGTF8VV2
美月「………。」

陽人「殴られる覚悟は有ります。」

美月「覚悟しろ、目を閉じて、力を抜け。」

陽人(我が生涯に一片の悔い無しっ…!!)

力を抜いた刹那、柔らかな感触が唇に伝わる。思わず目を見開くと直ぐ様美月の掌が視界を遮った。

美月「見るな…っ!…やられてばかりは性にあわないからな…っ、も、見るな…!」

陽人「わー、くらいよーこわいよー。」

陽人(俺、絶対今、幸せ。世界中の誰より幸せ。)
122:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:07:41 ID:0F6P3PjF1g
美月「半端な気持ちじゃ、無いからな…っ!」

陽人「分かってます。美月さんが真面目な人だって。」

美月「…そうか。」

陽人「そろそろ帰りましょうか。」

視線を下げる彼女を見て、陽人は頭を撫でた。自分が生きてきた中で、一番の幸せを噛み締めながら。
123:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:23:47 ID:0F6P3PjF1g
【半年後】

み「美月ちゃん、待ってたわぁ〜。」

美月「みっちゃんさん、こんにちは。」

み「さて、今日はそんな決心したような顔してどうしたのかしら?」

美月「そろそろ、…過去の自分とケリをつけようと思って。」

み「何か裏があるみたいね。でも、悪い事じゃ無さそうだわ。」

美月「…はい。私のこの不安定さは、どうしたら…治るんでしょうか。」

み「簡単よ〜?美月ちゃん自身が安定すれば良いの。」

美月「簡単そうで、難しいですね。」

美月は不安そうに笑う。みっちゃんはそれを包むように微笑み、見詰めた。

み「彼とはうまくいってるのかしら?」

美月「たまに、喧嘩もしますけど…何とか。」

み「そう、それなら焦る事は無いわ。彼と居ると、安定してるでしょ?」

美月「…はい、確かに。」

み「愛情、って私一番大事だと思うの。そりゃ、お金が無きゃ駄目だってのも間違いじゃないわ。でも、愛情があるからこそ…、人間って今日を生きて明日も頑張ろうってなっちゃう単純な生き物なのよ。」

み「その中で支え合うってとっても素敵。だから、美月ちゃん…今決心してる事は間違いじゃないわ。ただ、貴女から言うのは駄目ね。彼も同じ事、考えてるはずだから。」

美月「……!ばれてましたか、分かりました。みっちゃんさんありがとうございます、…もし、"その時"は絶対報告します。」

何かに吹っ切れた顔つきで、美月は実家へと車を走らせた。
124:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:29:06 ID:bN69lXYabc
美月「ただいま。仁己さん、春子さん。」

仁己「お帰りなさい、…その呼び方止めて下さい。お父さんが良いです。」

春子「美月ちゃんお帰りなさぁい!電話くれたらオムライス、作ったのに〜。」

美月「…今日は、話を聞いて貰いたくて。」

仁己「分かりました。陽人が何かしたなら話は早いんですけどね。」

美月「違います、…私の両親の事です。ずっと、聞けなくて、聞いてはいけない気がして。…でも、お願いします、教えて下さい両親の事を。」

春子「パパ、…良いわよね。」

仁己「もう、隠す必要も、無いでしょう。あのね、美月ちゃん。」


125:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:39:23 ID:0F6P3PjF1g

─────────

少女「そろそろ、帰らなきゃ、ね。」

少年「うん、楽しかった!ありがとう、美月お姉ちゃん。」

少女「かえりたく、ないなぁ…。」

少女は笑いながら溢す。公園の入り口には彼女の母親が迎えに来て名前を呼んでいた。

少女の肩が跳ね上がる。

少女「たすけて…、はるくん…っ…。」

少女の呟きも虚しく、痺れを切らした母親にずるずると引き摺られて行く。

少年は考えた、彼女は今助けを求めて入る。助けの声を聞いたら、駆け付けるのがヒーローだ。

少年は気付けば母親に体当たりをしていた。隙を与えず、少女の手を握る。

少年「僕が助けるから…っ!」

理由も知らず、少年はひたすら走った。母親の怒号が彼女の背中に浴びせられる。それすら聞こえなくなっても、二人は走った。



辺りは暗闇を纏いはじめる。
126:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:47:53 ID:bN69lXYabc
少女「はっ、はっはっ…、りがと…はる…っくん…。」

物陰に隠れ、一先ず二人は腰を降ろした。しかし少女の呼吸が落ち着かない。どんどんと苦しそうになって行く。

少年「みつきお姉ちゃん…!!大丈夫?」

少女「ごめ…っ、おこらないで……っ!すぐ、すぐになおすから…っ、は、ひ…っ!」

少年「お姉ちゃん、大丈夫、僕だよ、はるだよ!怒らないからね、おちついてお姉ちゃん…!」

小刻みに震える身体を撫でていると、唐突に少女の身体が倒れた。震えは止まる様子が無く、か細い息しか聞こえない。

普段は見慣れた隠れ場所も、暗さを纏えば少年には恐怖でしかなかった。

?「見付けた。」
127:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:59:09 ID:bN69lXYabc
少女を落ち着かせる事へ必死で、忍び寄る足音に気づかなかった。懐中電灯の灯りが眩しい。

少年は少女を担ぎ、無理矢理突破した。暗く、もうどこを走って居るか分からない。どれくらい距離をおいたのかも分からない。

自分の体力の限界も有り、その場に座り込んだ。

?「陽人、無駄な抵抗は止めて下さい。」

?「ハル君、男前〜。」

少年「……っ!嫌だっ、嫌だっ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ!」

再度懐中電灯で照らされ、大きな影に恐怖心が募る。彼女を守らなければ、必死で抵抗を試みるも簡単に抱き抱えられてしまう。

仁己「…っ、帰ったら爪切りしなきゃいけませんね。」

春子「あら〜、パパ大丈夫?」

仁己「大丈夫です、…それより、美月さんは。」

少年「お姉ちゃんが…っ!お姉ちゃんが、苦しそうに、で、…僕がっ…守ってあげなきゃ…!だから、だからっ!離してぇ…っ!」

仁己「言う事を聞きなさい、今から家に帰りますよ陽人。」

懐中電灯で照らされた顔は、少年の父と母だった。もう誰が敵で誰が味方が混乱し、少年は父親の顔を凝視した。

春子「…さ、美月ちゃんも帰りましょう。」

仁己「陽人も落ち着きなさい、…良く頑張りました。」
128:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 03:08:58 ID:0F6P3PjF1g

────────

春子「あの後、美月ちゃんと美月ちゃんの家に行ったの。そしたらね、…美月ちゃんのママ、が。」

真剣に話を聞く美月の目を見て、普段は陽気な春子の瞳に涙が浮かぶ。

仁己「母さん、…俺が言います。美月さんの母親はあなたを要らない、と母さんに告げたんです。」

春子「…美月ちゃん、美月ちゃん、そのショックから、軽い記憶喪失になったの。美月ちゃん自身が混乱してて、記憶がごちゃごちゃで、断片的で。今すぐは治らない、って言われたの。」

仁己「1から、作り上げて行こうと春子と約束して、現在に至ります。養育費・生活費は美月さんの父親が出してくれていました。はじめは断ったんですけどね。」

美月「……ありがとう、ございます。…仁己さん、春子さん、本当に今まで、…沢山、色々、ありがとうございます…っ。」

129:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 03:14:35 ID:bN69lXYabc
春子「私、美月ちゃん大好きだもの。…お礼なんていらないわ!」

美月「…私、ちゃんと、お父さんとお母さんって呼べるようになりたいんです。」

仁己「……うちの愚息でよければ。」

春子「……!もしかして。」

美月「名字を椎名に、する日は近いと思います。」

大粒の滴を止めどなく溢れさせ、美月は今までの分も泣いた。春子も勿論貰い泣きした。仁己は穏やかな表情で、二人を撫でた。
130:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 12:23:58 ID:aB8gXMzUg2
仁己「美月さんの御両親は、まだ生きています。もし、逢いたいのなら連絡先を…」

美月「…私の両親は、此処に居ますから。」

春子「美月ちゃん…、今日は泊まって行く?」

美月「あ…、陽人さんに行こうかt」

陽人「ただいまー。」

美月「!?」
131:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 12:29:34 ID:sQ7xs5wTYI
陽人「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃーん、美月さん…聞いたの。」

美月「椎名っ…、その、っ……わたしっ…!」

陽人「大丈夫、僕が側に居るから、…なんて。母さんと父さんもありがとうございます、美月さんもお疲れ様。…美月さん。」

美月「本当に…、迷惑ばかり、…ごめんなさい、椎名。」

陽人「美月さん。…俺、美月さんの中から消されるのはもう勘弁です。だから、ずっと傍に居たいし、居て下さい。俺が、美月さんを守ります。」



陽人「結婚、して下さい。」
132:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 12:35:44 ID:sQ7xs5wTYI
仁己「…親の前で。」

春子「ハル君やっぱり男前。パパに似たのね〜。」

美月「…此方こそ、宜しくお願いします…っ!」

返事を言い切らぬうちに、美月は陽人の腕の中に引き寄せられていた。羞恥で顔が暑い。

仁己「さ、母さん。」

春子「やだパパ、恥ずかしい〜!」

陽人「父さん、母さん…、結婚します。」

仁己「どや顔で言われても。」

春子「おめでとう〜!椎名美月ちゃん、いらっしゃい…!」

美月「…椎名、そろそろ、離してくれないと御両親に顔が向けれない…!」
133:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 12:43:53 ID:aB8gXMzUg2
さて、寝落ちしながら書いたこの作品も終了に近付いて参りました。貴重な支援、本当にありがとうございます。

次はさっくり読めるギャグ多めを書いてみたいけどセンスがorz

これが完結したら、
後は番外編となります。

・妊娠発覚
・彩月の暴走
・孫誕生
・みっちゃんと上司

需要がなければはじめてのSSは削除願いへ出してきます(`ω´)b書いてて楽しかった反面、なんだか自己満な物語になってしまいましたorz
134:
◆Rfq4NUNFd6:2011/10/1(土) 13:31:16 ID:TZ5or1PSAM

─────────

春子「ハル君、…美月ちゃんねの事なんだけどね。」

陽人「大丈夫だよ!…あのねママ、僕、ぷろぽーずしたんだ。」

春子「あら、素敵!誰に…?」

陽人「美月ちゃんに…!」



──…今の、ママとパパ位になったら。
135:
◆Rfq4NUNFd6:2011/10/1(土) 13:40:03 ID:TZ5or1PSAM


少女は毎日お願いする。



流れ星が、消えませんように。

どうか、消えませんように。

まるで自分の曖昧な記憶と闘うように。何時かの約束を手繰り寄せ、離さないように。



────────

陽人「もう消えませんから。」

美月「もう消さないからな。」



忘却線上の星が、やっと見えた。其れは彼女が掴んだ中で一番の誇りで有り、温もりだった。



忘却線上の星::fin
136: 名無しさん@読者の声:2011/10/1(土) 13:49:30 ID:yP/F4NCETk
乙!
激しく保管庫希望!
137: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/1(土) 14:22:52 ID:SQsKa.TPWw
>>136
このような拙い作品を保管娘へ入れても良いのでしょうか(´;Д;`)ブワッありがとうございます。



終わる頃には、ちゃんと書き溜めてもっと彼等を動かしてあげたかったと後悔してしまいました。作者として未熟です。

支援、本当にありがとうございます。
138:
◆Rfq4NUNFd6:2011/10/2(日) 13:12:59 ID:SnP2cyRSbc
削除依頼する事に決めました、読んでくださった方本当にありがとうございます(´;ω;`)b
139: 名無しさん@読者の声:2011/10/2(日) 17:30:37 ID:8H6.ft1E.w
え、もう終わり…?
140: 名無しさん@読者の声:2011/10/2(日) 17:32:47 ID:BA4ZmfDMAk

削除依頼やめてぇえ!!!!!

お願いだからやめてぇえ!!!

削除したら卵投げるから!
フルスイングで卵投げるからね。・゜・(/Д`)・゜・。ウワァアアン!!
141:
◆Rfq4NUNFd6:2011/10/2(日) 18:42:47 ID:hPOCZiyTz6
>>139
ごめんなさい、…番外編に需要が無い気がして終わらせてしまいました。

>>140
もう、依頼してしまいました。本当にありがとうございます。泣きますよ…泣きますよ!(大事な事ry)

卵は投げるものではなく、己の懐で暖めて羽化させるものですよ(´ω`)なんて

続けても良いよ!
って方他にいらっしゃいますか…?
142: 名無しさん@読者の声:2011/10/2(日) 18:50:12 ID:aWkvQL1Wxc
はいノシ
俺はこの雰囲気が好きです!
143: 名無しさん@読者の声:2011/10/2(日) 19:02:30 ID:mLQbycA2bc
構ってちゃんくせーぞ!!削除は許さねー保管庫ったら保管庫に入れやがれー!!
144: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/2(日) 19:10:06 ID:iUqifnsgnc
>>142
雰囲気ですか…、ありがとうございます(*゚∀゚*)

なんだかもう…せっかちな自分殴りたいorz

>>143
構ってちゃん覚悟です。キリッ

なんて、皆様のお声が無ければ続ける理由が無いんです。ただでさえ自己満足な作品になってしまって、それを偉大なる保管庫だなんておおおえそれおおいいいうえう((((;;゚ж゚;;))))です。

やば、本気で泣きそうな私はなんなんだwww嬉しいのと感動でwww

(´;ж;`)
145: 140:2011/10/2(日) 19:54:45 ID:yY3nABhL3k
お願い!保存庫!
昨日から読み出してまだ読み終わってないんです。・゜・(/Д`)・゜・。ウワァアアン
それに今後も何回もみたいんです!!
今日の昼ご飯がオムライスだったのはこのSSのせいなんだから責任持って
保存庫へ(・`ω・)キリ!!!!

146: 名無しさん@読者の声:2011/10/2(日) 22:36:50 ID:PVFnxfxmws
保管庫よりも番外編をかいてほしい……
147:
◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 00:42:13 ID:W.VRo3TgFg
>>140
保管庫願いありがとうございます(´;ж;`)何度も読み返して頂けるような内容だと嬉しいです。

美月「そうか、なら私もオムライスを食べて責任を取ろう」

陽人「そんな期待の眼差しでみなくても作りますから。」

>>146
かしこまりました!こんな話が良い、ここはどうなったの?など有ればなんなりとお申し付け下さいませ(´`*)

私めも、御好意に甘え番外編を書く覚悟を致しました。本当にありがとうございます。

それでは寝る前に少し。

【妊娠発覚】
148: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 00:47:04 ID:1vEpWDI0fk
それは、美月と陽人が実家に帰っていた時だった。

春子「またね〜、二人とも。」

仁己「美月さん、今度美味しいオムライス食べに行きましょうね。」

美月「はいっ…!お邪魔しました。」

陽人「勿論俺m「早く帰りなさい。」

陽人(俺だって最近忙しくてデートしてないのに…!)

陽人「さ、帰りましょう美月さん。」
149: ◆PNH1xCGbTU:2011/10/3(月) 00:49:03 ID:Kv92L3edQ2
春子「二人が居なくなるとやっぱり静かね、パパ。」

仁己「これで孫でも授かったら、また楽しくなるんでしょうね。」

春子「……ふふ。」

仁己「どうしたんですか母さん?」

春子「何でもないわ〜、パパ…未来のお爺ちゃんね。」


150: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 00:55:38 ID:1vEpWDI0fk
【とある日のオフィス】

時刻は午後23時、オフィスには二人しか居なかった。

陽人「美月さん。」

美月「なんだ。」

陽人「良い加減にして下さい。」

美月「何がだ。」

陽人「そろそろ潮時です。」

美月「……、駄目か。」

陽人「当たり前です。」

美月「でも一人だと不安で仕方無いんだ。春子さんや仁己さんには仕事が有る、なるべくこの場にいたいんだ。」


151: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 01:03:06 ID:Kv92L3edQ2
陽人「俺、頼りないですか?」

美月「…え?」

陽人「俺に、仕事任せられないですか?」

美月「あの、そう言うわけじゃないんだ椎名…!」

陽人「それなら、安心して休んで下さい。」

美月「お前か、上司に色々吹き込んでるのは。最近、休め休めとうるさいんだが。」

陽人「さぁ、なんのことやら。」
152: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 01:14:23 ID:Kv92L3edQ2
今日はこの辺で、お休みなさいませ(*゚ω゚*)ノ
153: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/3(月) 23:18:48 ID:OTGYPq8VP.
美月「…分かった、…分かった。」

陽人「拗ねないで下さい。」

美月「拗ねてない。」

陽人「…帰りましょうか。」

美月「そうだな、明日上司に言うよ。」

陽人「今日、俺の家来ませんか?」

美月「…どうした?」

陽人「美月が淋しくて寝れないかなー、と。」

美月「あぁ、転がり込む。」



陽人(…本気で淋しくいのか。)
154: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/4(火) 00:06:08 ID:S6BEHeF2Xw
美月(……美月?呼び捨て、呼び捨てしなかったかこいつ。)



社外に出て、ふと空を見上げると今夜は月が霞んで居た。
155: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/4(火) 00:17:14 ID:3eZP0LpeFc
美月「上司さん、お時間頂けますか?」

上司「うん、良いよー。」

美月「私、…実は妊娠5ヶ月目に入ってるんです。」

上司「それはびっくりだね。もっとお腹が膨らむものだと思ってた。」

美月「私も心配したんですが、…順調みたいです。」

上司「確かに、笑顔が素敵になったね星川くん。」
156: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/4(火) 00:32:48 ID:ochZEk/WO.
美月「…ありがとう、ございます。」

美月「引き継ぎは、椎名と早乙女にお願いします。」

上司「復帰に関しては、良く椎名くんと話すと良いよ。はい、これ、産休と育休の用紙ね。」

美月「復帰はさせて頂きます。」

上司「ははっ、君ももうすぐわかるよ。家族ってどんなものなのか。」
157: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/4(火) 01:49:25 ID:tMXuJA2ahY

────────

美月「とは言われたものの。…─今日から仕事しなくて良いのか。変な気分だ。」

腹部を圧迫しない服装になるとやはり目立つ。最近は少し胎動を感じるようになった。

美月「さて、我が子よ今日は何を聴くか。」

美月「…そうだな、一人じゃ無かった、君が居たな。ごめん。」

腹部を撫でながら一人呟く。きっと、産まれてくるこの子が、何かを紡いでくれるそんな気がした。
158:
◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 19:52:17 ID:K9qNJO3ZaM
お久しぶりです(´・ω・`)ノ皆様の忘却の彼方へ飛んでいるであろう私ですww

妊娠発覚はこれにて終わり。

番外編2
「みっちゃんと上司」

行きたいと思います(`ω´*)
159: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 19:59:15 ID:wnLpg.lGXw
彼女(?)の心臓は破裂寸前、身体全体が時限爆弾になったかのように鼓動が響く。手汗が止まらない。


男「…そっかぁ。」

み「───。」

男「あのね、みっちゃん。」

み「何よ。」

男「ごめんなさい。」

み「わ、…分かってるわよ!そんな事!はじめっから…っ!」

男「ううん、僕はね君とずっと友達で居たいんだ。」

み「分かったからこれ以上傷を抉らないで頂戴。」



ひたすら勉強して見付けた、自分なりの化粧をした、秘密の引き出しに仕舞い込んだ服を着た。誰よりも私は女の子だった。

ただあなたに見て欲しかった。
160: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:08:04 ID:K9qNJO3ZaM

それはもう、昔の話。

───────

み「なぁんて時もあったわねぇ…。」

お気に入りのソファーに身体を預け天井を見詰める。手入れを怠る事無く伸ばし続けた黒髪はさらりと重量に従った。

携帯を耳に当てる。

み「…もしもし〜?」

美月「あ、みっちゃんさん…あの。」

み「どうしたの、喧嘩でもした?」

美月「授かった、みたいなんです。…今、四ヶ月目で。」

み「あら!御祝いしなきゃ〜!身体大事にするのよ〜、おめでとう。また顔見せに来てネ。」

他愛の無い会話で通話を終了した。うまくやっているようで安心だ。

み「好きな人の子供授かれるなんて、女って憎いわぁ〜、羨ましい、…─やんなっちゃう。」

今の私は醜いわね、ブスだわ、彼女(?)は小声で吐露する。素直に喜べない、自分が居た。
161: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:15:02 ID:wnLpg.lGXw
こんな時は未だに彼の声が聴きたくなる。まだ、仕事かもしれないが臆する事無く通話ボタンを押した。

上司「はい、もしもし。」

み「あのカップル、うまくやってるみたいねぇ。」

上司「みっちゃん、どうしたの?」

み「美月ちゃんが四ヶ月だそうよ、アナタにはまだ報告来てないのかしら?」

上司「まだだね。相変わらず仕事してる。」

み「─…そう。ちゃんと見ててあげなさいよ。」

上司「ありがと、みっちゃん。今回もお世話になりました。今度、みっちゃんの好きな中華食べに行こうか。」

み「何よ、デートの御誘い?」



自然と笑みが浮かぶ。気付けば不細工な自分は隅に追いやられていた。彼の声は魔法でもかかっているのだろうか。
162: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:19:24 ID:K9qNJO3ZaM
一時期、徹底して男で居た。変な話ではあるが、兎に角周囲の意識に溶け込んだ。

み「俺は、男。」

鏡の中の人は完璧に他人の求めるそれだった。内面は後からついてくれば良いと、泣きそうな自分に言い聞かせる。
163: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:23:14 ID:K9qNJO3ZaM
男「みっちゃん、…やけに気合い入ってるね?」

み「そ、そんなことないぜ!これが当たり前なんだから!」

男「…そっかぁ。みっちゃんって男前だよね。」

み(やだ、全然嬉しくないわ…!)

み「まぁな…!」



気付けば彼女が出来た。相手からの告白。しかし、女の子への接し方が良く分からなかった。

友達以上になれない。
164: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:27:11 ID:K9qNJO3ZaM
カテゴリーは誰もが羨むハズの彼女なのに、違和感が生じるのはそう遅くは無かった。

彼女「…みーくんは、私の事嫌いなのかな?」

み「そんな事ねぇよ、大好きに決まってんだろ?」

彼女「…みーくんは、優しいからね。でもね、私他に好きな人が出来たの。」

み「だから、別れよう。」

彼女「……え?」

み「ごめんな、大事にしてやれなくて。新しい人と、幸せに、な。」

あぁ、やっと解放される。
彼女も自分も。
165: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:29:57 ID:wnLpg.lGXw
男「みっちゃん、別れたんだって?」

み「おう、…俺じゃ幸せにできないから。」

男「そっかぁ…。みっちゃん、気合い入れたんじゃなくてずっと無理してたんだねぇ。」

み「…は?」

男「無理しなくて良い時がきっと来るよ。みっちゃんはみっちゃんだから。」



み(…私にも好きな人が出来たって断ったのは伏せようかな。)
166: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 20:32:19 ID:wnLpg.lGXw

─────────
上司「久しぶり、みっちゃん。」

み「相変わらずね。あ、餃子5人前追加で。」

上司「最近どう?」

み「特に何も無いわ。あのカップルの行く末を見守るくらい、…そうね、石焼きビビンバも食べたいわ。」

上司「みっちゃんも相変わらずだね。」
167: 名無しさん@読者の声:2011/10/8(土) 21:16:41 ID:EXjY2ApqEg
きたー!
倍プッシュつG
168: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 23:32:39 ID:IrfKoGehyE
み「女の子の身体はデリケートなのよ。気を付けてあげなさいよね。」

上司「まぁ、それは彼がやってるからね。」

み「…─はぁ。」

上司「そんな顔してたら餃子、僕が食べちゃうよ。」

み「別に良いわよ。」

上司「え。」
169: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/8(土) 23:45:23 ID:OKTsxd6gOQ
み「…何よ。」

上司「みっちゃん、また無理してる。」

み「別に〜。」

上司「みっちゃん。」

み「羨ましいだけ。」



こんな事言っても、アナタを悩ませるだけなのに。

み(私も馬鹿よねぇ…。)
170: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/9(日) 00:43:46 ID:ClSXzuKyZs
み「アンタ、何時結婚するわけ?」

上司「そうだなぁ…、なるようになると思ってるから。」

み「そのまま童貞拗らせて死ぬわよ。」

上司「あはは、それは嫌だなぁ。」


171: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/9(日) 00:54:06 ID:ClSXzuKyZs
み「部下に先越されてどうすんのよ。」

上司「はは、結婚ってそんなにあせるものなのかな。」

み「そりゃそうだけど…!」



さっさとアンタが幸せになって、アンタが愛した奥さんとの間に授かった愛する子供をその手に抱いてる姿を見なければ、きっとこの気持ちに区切りは付かない。

み「どうせただのお節介よ!悪かったわね…!」

上司「みっちゃん、僕は今のみっちゃん好きだよ。」

み「な、何よ、急に…っ!」

上司「凄くみっちゃんらしいから、見てて安心する。」
172: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/9(日) 00:59:56 ID:D40Af.WWi2
確かに、あの時の自分の気持ちは偽りだらけで。他人にも自分にも嘘を付いていた。しかし開き直ってからと言うもの、視野は広がり世界に色が付いた。

み「そうね、確かに私は私だわ。とっても楽。」



あの日からずっと、一番大切な思いに蓋をしている。これを開ける日は何時くるのだろうか。嘘偽り無い自分がそこに有る。



み「私、アナタの事好きよ。」

上司「ふふ、ありがとう。」

み&上司「「でも僕達は男同士だからね。」」



友達以上にはなれない。君との関係を壊したくは無いから。

み「馬鹿ね、友達としてって意味よ。」
173: ◆Rfq4NUNFd6:2011/10/9(日) 01:02:05 ID:D40Af.WWi2
>>167
ありがとうございます(´;ω;`)!!!

上司とみっちゃん、これにて終わりです。次は彩月の恋模様を描こうかと(`ω´*)

皆様もう暫くお付き合い下さいませ。
174: 名無しさん@読者の声:2011/10/13(木) 08:03:07 ID:xYHv2yZO6M
age
175:
◆Rfq4NUNFd6:2011/10/13(木) 10:33:07 ID:GHouc4qzko

このような拙い作品を読んで頂き本当にありがとうございました。海外研修へ行くため、これ以降の更新が出来なくなるのでこれにて終了とさせて頂きます。

もっと深く、自分の作った彼等を動かしたかったのですが残念です(´・ω・`)



保管庫希望を頂いていたので、御言葉に甘えさせて頂きます。

本当にありがとうございました(´;Д;`)ノシ
176: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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