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少女「止まないのう…雨」
[8] -25 -50 

1: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/15(水) 22:57:24 ID:l7FkHhEbE2
SSスレです。内容はどちらかというとシリアスが中心になります。

では、よろしくです。
>>0


472: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/11(土) 15:59:01 ID:aFLpXIlUeE

千「―っぁああっ!!」ジュウッ

姉「どうじゃ…赤く熱した鉄を、無理矢理押し付けられたかのようじゃろう?
あらゆる『不幸』を現実とする…それがわしの能力じゃ。
そう、例えば…」スッ

千「…ぐ…。

…っ!?」バッ


…ガシャンッ!


姉「『天井から割れたガラスが大量降ってくる』…とかのう…」ニヤッ

千「…っ…!!」ザクザクッ

姉「…もう諦めろ、千代…お主では、わしには勝てぬ…」

千「…わらしはっ…負ける、わけには…」ハアハア

姉「何を必死になっておるのじゃ…っ。なぜお主は、腐り果てた人間共をかばう!?
忘れた訳ではあるまい?わしや千代を下らぬ願望の為に犠牲にしたのは、他ならぬ人間ではないか!!奴らを救う価値など、一片たりとも無いわ!!」

473: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/11(土) 16:11:39 ID:EKSJzxcqmM

千「…そう、かも…しれませぬ。
確かに世界には、腐った人間たちが…山のようにおります…」ググッ

姉「…やっと理解したか千代。そうじゃ、だからこそ奴らを駆逐…」

千「だからこそ!
そのどうしようもない人間達のせいで、苦しんでおる人々も山のようにいるはずじゃ!!
戦争や虐待…みんな、腐った人間が生み出す『負』の連鎖じゃ。断ち切る事は難しい…。
じゃが、これだけは言える…難しいからといって、全てを無に帰すのは間違っておる!!一方的に奪われる命など、決してあってはならないんじゃ!!」ハア…ハア

姉「…意志は岩よりも硬い、か…。ふん、つまらん奴よ。
あの馬鹿…弥一は、簡単にわしの口車に乗ったというのに…」ボソッ

千「…?
姉様…口車、とは…?」


474: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/14(火) 21:36:29 ID:FM94wc4.O6

姉「ふ…大した事ではないよ。
わしの復讐の為に、あ奴を操り利用しただけじゃ…あの頃は、わし独りでは『奴ら』を殺せなかったから、な…」

千「…?…復讐…?
『奴ら』とは、一体誰の…」

姉「鈍いやつじゃな…。

弥一の両親…あの腐った陰陽師夫婦を殺したのは、このわしだと言うとるんじゃ。
千代を喪い、悲しみにくれる弥一の心に取りついてのう…」クックッ

千「…」

姉「全く、あの時は傑作じゃったよ!想像できるか?自らの両親を手にかけたあ奴は、次の瞬間ぶるぶると震えだし泣き出したんじゃ!!あの時の絶望の顔、今でも思い出しただけで笑いが…―」






475: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/16(木) 15:23:07 ID:1Z/UsIW8Is




―…もう二度と、独りで泣くのは止めろ。泣くならわしのとなりで泣け。…胸くらいは、貸してやるー


―わしは、その血に染まった「つう」と一緒じゃ…汚らわしい人間の一人…。
大好きな友達の一人も守れなかった、ただの屑じゃ…―


―千代…お主は勘違いをしとる。命はお主が思うほど美しくはないし、尊くもない。
人を殺して平然としとるような奴など…死んだほうがましなんじゃ―



―…千代…だからこそ、お主は生きろ。そして…不幸な子供たちを、救ってやってくれ…。
わしのように…道を…踏み外す、前…に…―





『…千代。

…あ、り…が…』



―ありがとう…―







千(あぁ、そうか…)


姉「―…の後、わしはあの夫婦の魂を喰らい、強大な力を身につけたという訳じゃ。…分かったか千代。お主はどう足掻いてもわしには、…?……聞いとるのか千代?」


…ォオオ…


千「…やっと分かったよ…弥一。
本当の『屑』は…このわらしだったんじゃな…」フオオ…

姉「…?…」

476: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/19(日) 07:52:45 ID:cSpAHp.McE

姉「ふん…よう解らぬが…まぁいい。
そろそろお主も、永い時をたゆたう不毛な人生から解放されたいじゃろう?
わしが冥土へ送ってやる。安心して死ぬるがいい」クックッ

千(そう…かもしれぬ。
姉様を救えず、弥一を疑ったわらしなど…このまま現世に留まった所で、醜態をさらすだけ…)フオオ…

姉「…さあ、楽になるがいい!『お主は元から、存在しなかった』んじゃ!!」ギュンッ


ブワッ!


千(…あぁ、それでも…)



―…また必ず会おう、千代ちゃん…


千「…わらしの頭にこだまする優しい声が、まだそれを許してはくれないんじゃ!!」ザリッ


ザンッ!!

…バチッ!


姉「!?
お主、一体何を…!」
477: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/19(日) 08:11:34 ID:.F.3lH/78g

フオオ…


千「…座敷童となった時…わらしは弥一と、不幸な子供達を出来るだけ多く救う、という約束をした…じゃがその為には、誰よりも永い時を生きる必要があった」フオオ…

姉(こ奴…先刻わしが落とした硝子で、自らの黒髪を…切り落としおった…!)

千「じゃからわらしは…余った霊力を『髪』に封じ、なるだけ使わないようにしてきたんじゃ。未練たらしく『寿命』を延ばす為にな」フオオ…

姉「…ほ、ほう…今のお主は、これ迄とは違うようじゃな…だが、それも無駄な事!」バッ


…ガサガサッ


姉「見るがいい!わしの身体は、闇色の折鶴…霊力の宝庫、式神で出来ておるんじゃ!!
それにどうせ、おぬしの幸運ではわしの不幸には叶わ…」


…フオンッ


姉「無い……っ!?」ガクッ
478: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/19(日) 08:39:22 ID:1Z/UsIW8Is

姉(…馬鹿な…!)ググッ

千「…言い忘れておりましたが…わらしは千年、この髪に力を溜め込んできました。
姉様の式神と、どちらが強いでしょうな…?」フオオ

姉「…っふざけるでない!!このような事が…あってたまるか!!
わしがどれだけ独りぼっちで苦しんで来たと思っておる!?お主や女児を、いくら自分が辛くとも励まし、自分の分の食事も分け与え…そのあげく、一番最初に殺されて…っ!
それに引き替え、お主の周りには常に誰かがおる…っ!…んで…なんで、いつもお主ばかりが…!!」ワナワナ

千「…姉様、貴女は…。

ずっと、寂しかったのですね…」ツウッ

姉「っ泣くな!…お主に…何が分かるというのじゃ!何が…」

千「…解ります。

…姉様は、弥一の事が…」

姉「っ……。

…っだまれぇええええ!!!!」ブワッ!!

千(…それくらい分かる。だってわらしは、

2人とも、大好きだったから…)ポロッ


スッ


…フオオンッ!!


――
479: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/19(日) 08:57:14 ID:g/4JcTXXFc




?「おい」

陸(…)

?「おいコラ糞餓鬼」ケリッ

陸「痛っ!…あれ?ここは…?」パチッ

?「テメ、誰に許可もらって俺んちに入ってんだコラ。ぶっとばすぞ!」シュッシュッ

陸「…(僕がいる)」パチクリ

ペタペタ


?「なっ…気安くさわんなチビ!」ケリッ

陸「ふぐっ!

……あ…違った。僕こんなに髪クルクルじゃないし」ポンポン

?「なっ…!
て、天然パーマはオレのコン…チャームポイントだぞ!!」

陸「コンプレックス?」

?「チャームポイントだっ!」

陸「コンプレックス?」

?「ふぅっ…ちゃ、チャーム…ポイントぉ…っ…うぅ」ポロポロ

480: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/19(日) 09:07:04 ID:XUvetU6So.

陸「えっと…とりあえず、君は誰?」

?「テメ、人に名を聞きたきゃまずは自分から名乗るのが筋ってもんだろ!」グイッ

陸「チャームポイント?」

?「ふぅっ…ろ、ろく…六ですっ…!」グスッエグッ

陸(ろく…じゃあこの子は、父さんの分身なんだ…)グッ

陸「ねぇ六くん…君はどうして、人間が嫌いになったの?」

六「…」

481: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/19(日) 09:15:57 ID:FM94wc4.O6

六「だって…虐めんだもん」シュン

陸「六くんを?…確かにいじめは辛いよね…でもだからって、みんなを滅ぼすなんて…」

六「ちげぇ!そんな単純な問題じゃねんだ。
これ、見てみろ」ポンッ

陸「!これは…地球儀?」

六「そだ。オレの宝物の一つ。あと2つあってな、それは」

陸「で、これがどうかしたの?」シレッ

六「えぐぅっ!…こ、これを見てみろ…ふぅっ…」スッ


ギュウンッ
482: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/19(日) 09:37:16 ID:cSpAHp.McE


―ギャオオオ…!!


陸「!これは…」

六「すげぇだろ?これはどんな時代の、どんな場所でも体験出来んだ。
ここは6700万年前の北アメリカ…ちょうどティラノサウルスが狩りの真っ最中だ」ニヤリ

陸「…この時代に、君が人間を嫌う原因が…?」キョロキョロ

六「ちゃう。ただ観たかっただけ〜」キラキラ

陸「…」イラッ

六「う…ま、まぁそう焦んなって。今度こそ、目的の時間だからさ…」スッ


ギュウンッ!


483: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/19(日) 14:39:22 ID:g/4JcTXXFc

かなーり遅れてしまいましたが、>>470さん支援ありがとうございます!
つ冬のくちどけ

保守してくださった方々も、ありがとうございました!
484: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/19(日) 14:53:25 ID:SFi0c66N7.


碌『…結婚してくれ。きっと幸せにする』スッ

母『!…でも、あたしには…』

碌『妖怪の血が流れてる?それなら、俺だって普通の人間とは違う。
…ずっと一緒にいて欲しいんだ、理恵…いいだろ?』

母『…はい…//』ポッ







陸「」

六「これが12年前、お前の両親が夫婦になった瞬間だ。さすがオレだな、男らし〜い!」エッヘン

陸「…なっ…なっ…」フルフル

碌「んあ?」

485: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/19(日) 15:09:17 ID:g/4JcTXXFc

陸「なん…//なんでこんなもの見せっ!」カアッ

六「こんなんで照れるなんて、まだまだ甘いぜ。こっからさらにキ」

陸「っ早送りっ!!」ギュウンッ

六「あっ…チェ、いいとこだったのに…」ブツブツ

陸「ていうか、六くんは恥ずかしくないの…?」ゼエゼエ

六「なんで?だって恥ずかしいのは大人の碌で、オレじゃないじゃん」サラリ

陸(…同情するよ父さん…)

六「そろそろだな…こっからが肝心だ。目ぇかっぽじってよっく見とけよ!」スッ

陸(んな事したら死んじゃうけどね…)


ギュウンッ

486: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/20(月) 17:34:33 ID:aFLpXIlUeE


母『―てよ…どうして…っ!』ドンッ

碌『…』



六「あちゃ、ちと行きすぎちまったな…」ポリポリ

陸「…ぇ…(父さんの服に、黒い染みがついてる……まさか…!)」



ポタッ…

母『もう、あの力は遣わないっていったじゃない!!なんでよ…なんで…っ』ギュッ

碌『…奴らは、お前と陸を…殺そうとした。
理由なら、それで充分だ…』ポタッ


487: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/20(月) 17:37:13 ID:XUvetU6So.


六「ま、いっか…。
これはな、お前が産まれてしばらく後の事件。
妖怪の血を引くお前を守るため、夫婦はある小さな村で暮らすようになったんだ…。だけど、幸せな日々は長くは続かなかった」

陸「…」

六「バレちったんだな〜…これが。『妖怪』が村にいる、ってさ。当然、ブルった村人たちは武器を持って押し寄せた…」

陸「だから…父さんが怒った」ギュッ

六「そゆこと。まぁ碌にかかりゃ、村人の30や50屁のかっぱだしな。さすがはオレ、これが強いのなんのって…」

陸「…どう…して…?」

六「…ん?」

陸「どうして…こんなことに…」

六「…それはなー…、


『お前』が原因なんだぜ?陸」

488: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/20(月) 17:52:48 ID:AZN8vEPq8w

陸「!」

六「お前の力は、産まれた時から『覚』の域を越えてた。村人が近づいただけで、手当たり次第そいつの心を乗っ取り…意識を奪うほどだ。
たぶん、妖怪と陰陽師の血がうまい具合に作用しちまったんだろうな…そりゃま、バレないほうがオカシイ…」

陸「…の、せい…」カタカタ

六「…へ?」

陸「僕のせいだ…お母さんが寂しい思いをしたのも、碌父さんが人を殺したのも…全部」ガタガタ

六「お…おいちょい待ち、まだ続きが…」

陸「やっぱり…僕は、産まれなかった方がよかっ」



ズドンッ!
489: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/20(月) 21:18:17 ID:aFLpXIlUeE

陸「…っっっ………



…ったああああっ!!」ガバッ

六「うるせぇこの石頭!殴る方だって痛いんだぞぉっ!」グスッ

陸「なっ…なんでいきなり…っ!」ジンジン

六「お前が最後まで話し聞かねっからだろが!
いーか!まず第一に、村人は1人も死んじゃいねぇ!」ビシッ

陸「…ふぇ?」キョトン

六「たしかに碌は、式神で奴らを倒した。だけんど、そりゃただ単に気を失わせただけ。服についた血は、奴自身のもんだ」

陸「…そっ…か」ホッ

六「第二にぃ!!」ビシッ

陸「!」ビクッ
490: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/20(月) 21:36:47 ID:EKSJzxcqmM


六「……産まれてこなきゃ良かったなんて、言うなよ」

陸「…」

六「確かに、村を追われた原因はお前だ。でもそりゃ、きちんと対策を講じなかった碌(オレ)が悪ぃ。
どんな力を持って産まれようが、『産まれない方がいい人間』なんていねんだよ」

陸「…ん…」

六「殺人鬼だろうが大泥棒だろうが、親の育てかた次第じゃ総理大臣にだってなれたかもしんね〜。だから、全部を自分一人で背負おうとすんな。どうせ背負えるわけないんだから」

陸「…」

六「何のために、家族〜だの友達〜だの、やたらとこっ恥ずかしいモンがいると思ってんだよ。ありゃ着せ替え人形か?ちげーだろ。

お前に足りないのはなぁ、『人に頼る勇気』だよ、陸」
491: ◆AhbsYJYbSg:2012/2/21(火) 11:27:25 ID:vs1J6Bpbok

陸「…君(父さん)に、そんな事言われるなんて…思わなかった」

六「へ…お前(碌)が言うな、ってか?
そーだな…誰よりも人を頼ろうとしてないのは、他でもないオレ自身だ。だから、お前はそーなるんじゃね〜ぞ?
独りで背負うのは楽だけんど、時々死にたくなるからさ」

陸「…ん…」

六「ん。

さて…この事件をきっかけに、碌はある考えにたどり着いた。
つまり、妖怪の血を引く理恵と陸を守るには…」

陸「…守るには?」

六「『妖怪しかいない世界』を創りゃいい。要するに、全人類の抹殺だ」

陸「!じゃあ、碌父さんは…」

六「そ。奴は『家族』の為に計画を進めてんだ。
だから…強ぇ」ニヤッ
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名前:
sage:


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