SSスレです。内容はどちらかというとシリアスが中心になります。
では、よろしくです。
>>0
2: 名無しさん:2011/6/15(水) 22:57:48 ID:BDKRTRECcU
(´^し_、^` )
にげと
3: 名無しさん:2011/6/15(水) 22:59:04 ID:pob3n5xHUo
トトロと聞いて。
4: 名無しさん:2011/6/15(水) 22:59:32 ID:tC2Fo0C.cE
チェケラッチョ
5: 名無しさん:2011/6/15(水) 22:59:47 ID:wsAD9074xU
とろろ?
6: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/15(水) 23:05:27 ID:xmOAAvkvQo
6月某日(水)
ザアアァ
少女「まぁ、梅雨なんぞこんなものか」
少年「…あ!」
少女「!」
少年「あの…は、初めまして!」
少女「…」
少年「えっと…」
少女「何か用か?」
少年「ん…キ、キレイな髪の毛だねっ!」
少女「長髪がそんなにめずらしいか」
少年「う…」
7: 名無しさん:2011/6/15(水) 23:07:32 ID:BDKRTRECcU
進撃の巨人のジャンとミカサが初めて話したとこみたい
8: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/15(水) 23:10:11 ID:BDKRTRECcU
ザアアァ
少年「ぇっと…か、可愛い傘だねっ!」
少女「ただの黄色い傘じゃろう」
少年「くぅ…っ…えと…」
少女「まだ何か?」
少年「…ぐすっ」
9: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/15(水) 23:18:49 ID:Dsu7jkcuyE
少女「…」
少年「なんか…ごめん…」
少女「…」
少年「その…っ、友達に、なり」
少女「ことわる」
少年「……そ……か…」
少女「名前も名乗らず、いきなり友になれは無いじゃろう。小僧、名は?」
少年「!…あ、えと、りく!佐藤陸!!」
少女「りく…なんというか…ありきたりな名じゃな」
陸「ひど…っ!…君の、名前は?」
少女「ひみつ」
陸「えっ!」
10: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/15(水) 23:27:39 ID:NgAEs4NAMk
少女「ふ…冗談じゃ。わら…私の名は、」
少女「千代、じゃ」
陸「チヨジャ…ちゃん?外国人?」
千「違う!ち・よ!」
陸「チヨ…ちゃん?」
千「そうじゃ。生まれも育ちも東北の、れっきとした日本人。あとちゃん付けはやめろ」
陸「千代ちゃんは、こんなところで何してるの?」
千「人の話を聞けバカ者っ」
11: 名無しさん:2011/6/15(水) 23:38:32 ID:PtnBJHNVv6
あめーさんさんとー
12: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/15(水) 23:40:12 ID:xmOAAvkvQo
千「おぬしこそ…この公園で何をしておったのじゃ?」
陸「ん…おにごっこ」
千「一人でか?」
陸「……うん」
千「一人で走り回るのはただの『まらそん』じゃろ。友達はおらぬのか?」
陸「…皆…僕のこと、好きじゃないから…」
千「…」
陸「だから、いつも独りなんだ……あ!でも、別に寂しくないよっ」
千「…」
陸「一人でいるの、嫌いじゃ…ないし…」
千「…かくれんぼだったら、」
陸「え?」
千「付き合ってやっても、いい」
陸「!…うんっ!!」
千「…いいから、さっさと隠れろ!はいさーん、にーい、」
陸「ちょ…早っ!」
13: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/15(水) 23:47:33 ID:MtEPDD/kP2
―――
ザアアァ
陸「あー楽しかった!こんな風に誰かと遊んだの、すごく久しぶり…」
千「…良かったの。…さ、もう遅い。家に帰る時間じゃ」
陸「…うん、今日は…ありがとう…」
千「どうした?」
陸「…あの、さ…」
千「?」
陸「もし…良かったら、友」
千「だめじゃ」
陸「」
14: 名無しさん:2011/6/15(水) 23:49:17 ID:J/pYDrIQLY
C
15: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/16(木) 00:03:17 ID:MtEPDD/kP2
千「…と、思ったが…まぁ、たまーになら遊んでやっても良いぞ」
陸「っ!ほんと!?本当にっ!?」
千「(そんなにはしゃぐ事か…)あ、ああ…本当じゃ」
陸「じゃあ…はい!!」
千「?…これは?」
陸「折り紙だよ。何か分かる?」
千「…かえる」
陸「当たり!…友達の、しるし」
千「!」
陸「またね、千代ちゃん!!」バシャバシャ
千「…わらしをちゃん付けにするな、バカ者が…」ボソッ
千「…友達、か…懐かしい響きじゃ…」
(わしら、ずーっと友達でいよう。約束じゃ!)
(うんっ!)
千「…」
?「情でも移った?」
千「…」
?「あんま深入りしない方がいいよー。所詮人間なんだからさ」
千「…分かっておる…」
16: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/16(木) 00:26:40 ID:Dsu7jkcuyE
ザアアァ
陸「ただいまー!」
犬「ワン!ワンワン!」
陸「ただいま、ベル」
父「お帰り。遅かったなぁ」
陸「お父さんただいま!…遅くなってごめんなさい」
父「いいや、無事に帰ってくれてホッとした。学校は楽しかったかい?」
陸「……うんっ!もちろんっ」
父「そうか…それは何よりだ」
陸「…あのねお父さん、今日僕、新しい友達が出来たんだ!」
父「それは良かったね!…さあ、その話は後でゆっくり聞こう。早くカッパを脱いでシャワーを浴びて来なさい。今日の夕飯は陸の大好きなハンバーグだ」
陸「本当?やったー!!」トタトタ…バタン
父(…陸が良い子に育ってくれて、お父さんは嬉しいよ。
これでもう少し気が強ければ言うこと無いんだけど…それは高望みだろうね。
陸は君にそっくりの優しい子だよ、理恵…)
父「さて、と…ベルもごはんにするかい?」
犬「ワンっ!」
TV「…6月初めに発達した梅雨前線は、去年の数倍の勢力で全国に大雨をもたらしています。このままですと7月、8月も同様に大雨の可能性が…」
ザアアァ
17: 名無しさん:2011/6/16(木) 00:31:50 ID:dB0.cNFUyk
またSSか……
18: 名無しさん:2011/6/16(木) 00:34:16 ID:pYDFDfKhpo
ロリババア!!ロリババア!!
19: 名無しさん:2011/6/16(木) 00:41:22 ID:aSIlGt8xq.
支援つC
20: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/16(木) 00:49:05 ID:QLq5.Ixv3Y
6月某日(木)・弱雨
赤香町・ふれあい公園
サアアァ
陸「…あっ」
千「む」
陸「えへへ…また会えたね」
千「…わざわざこの雨の中来たのか…つくづく変わった奴じゃの」
陸「なんだか、会えるような気がしたんだ…今日は何して遊ぶ?」
千「…?…おぬし…」
陸「?」
千「その顔は…どうしたのじゃ?」
陸「!…ぇ…えと、か、階段で転んで…」
千「…陸。わら…私は、嘘は大嫌いじゃ。相手を悲しませる類のものは、特にの」
陸「う…」
千「誰にやられた?」
陸「…」
千「言うてみい。ほれ」
陸「…学校の、友達に…」
千「顔にあざが出来るほど殴るのが…友達か?」
陸「…っ」
21: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/16(木) 01:06:04 ID:G8lHzL2u4M
―――
サアアァ
千「そうか…いじめ、というやつじゃな」
陸「…きらいに、なった?」
千「?」
陸「僕のこと…」
千「何故じゃ?」
陸「だって、男のくせに弱いし…やり返すことも出来ない…情けないよ…」
千「男も女も関係ないじゃろ」
陸「…っ」
千「誰にでも得手不得手はある。確かにおぬしは人より気の弱いところがあるやもしれん。他人に殴られ、悔しい思いもするじゃろう」
陸「…」
千「じゃが、そこでやり返す事をせんのはおぬしの優しさ故。それを情けなく思う必要など、あるわけがない」
陸「そう…かな」
千「バカ者。もっと自信を持て」ナデナデ
陸「うん…ありがとう、千代ちゃん」
千「じゃからちゃん付けは…はぁ…もう良い。好きに呼べ」
陸「へへ…うん!」
22: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/16(木) 01:09:35 ID:QLq5.Ixv3Y
今夜はここまで。レス下さった皆さん、ありがとうございます。
(*^^*)
23: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/17(金) 21:44:25 ID:l7FkHhEbE2
千「さて…顔でそれなら、体はもっとあざだらけなんじゃろうな…今日は安静にしておれ。走り回るのは禁止じゃ」
陸「え…でも、それじゃ…」
千「体を使うものだけが遊びではない。例えば…そこのあずまやで、私に昨日の…かえるの折り方を教える…とか」
陸「えっ」
千「べ…別にあれが気に入ったとかでは無いぞ!?気分じゃ。そういう気分なんじゃ!!」
陸「気に入ってくれたの?わー!嬉しいな!」
千「じゃから人の話を」
陸「行こ、千代ちゃん!」バシャバシャ
千「…はぁ…まあ良いか…」
サアアァ
24: 名無しさん:2011/6/17(金) 21:48:25 ID:2HTPjV.xsc
面白い。
25: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/17(金) 21:57:40 ID:G8lHzL2u4M
千「なかなか難しいな…」オリオリ
陸「紙用意してたんだね…好きなの?折り紙」
千「…ふむ、まともに折れるのは鶴くらいじゃが…嫌いではない」
陸「そっか!僕も好きだよ。千代ちゃんは、誰かに教えてもらったの?」
千「ああ…昔、な…。おぬしこそ、どうやって折れるようになったんじゃ?」オリオリ
陸「僕は…教えてもらったんだ…お母さんに」
千「母上殿に?」
陸「うん。とっても優しくて、あったかい人なんだ…」
千「ほう…おぬしの優しさは母譲りか。ご両親は息災か?」
陸「お父さんは元気だよ。お母さんは…分かんない」
千「?」
26: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/17(金) 22:06:39 ID:tC2Fo0C.cE
陸「5年前…僕が4歳の時に、いなくなっちゃったんだ…」
千「…そうか…」
陸「うん。…でも、お父さんがいるから平気。…あ、ほら!そこを折れば、かえるの完成だよっ!」
千「む…できた!出来たぞりく!!」
陸「おめでと!」
千「よーし…あと百匹じゃ!」
陸「ちょっ…!」
27: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/17(金) 22:13:47 ID:jY3AzaRTlY
サアアァ
千「む…暗くなってきたな。陸、そろそろ帰る時間じゃ」
陸「もうそんな時間かぁ…千代ちゃんといると、あっという間だね」
千「…すまんの。おかげで蛙がますたーできた」
陸「ううん、とっても楽しかったよ。…そういえば千代ちゃんて、どこに住んでるの?」
千「知りたいか?」
千「私が住んでいる場所はの…」
28: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/17(金) 22:25:30 ID:vmvGe1KNEw
千「ひみつじゃ」ドーン
陸「えー」
千「…心配せずとも、ちゃんと帰る家はある」
陸「また…明日会える?」
千「ふむ。会ってやらんこともない」
陸「やったー!!…はい、これ」
千「!…これは…」
陸「今日のはアヤメ。…また明日ね!」
千「あぁ…また、明日」
サアアァ
千「ふふ…友達のしるし、か…」
?「深入りするなって言わなかったっけ?」
29: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/17(金) 22:35:47 ID:Dsu7jkcuyE
千「仕方ないじゃろう『からかさ』。わらしらのおる場所に来るんじゃ。相手をせぬ訳にもいくまい」
傘「分かってないな〜…人間だよ?相手してどうするつもり?」
千「…放っとけないんじゃよ…何故かな」
傘「そりゃ、君は子供のために生まれた妖怪、『座敷わらし』だもの。気になって当然さ」
千「…」
傘「子供はいつまでも子供じゃない。彼らに忘れられる苦しみは、もう嫌というほど味わったでしょう?」
千「…そうじゃな」
傘「ったくも〜…あ。そうだ言い忘れてた」
千「?」
30: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 09:14:17 ID:NgAEs4NAMk
>>24
ありがとうございますっ
31: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 09:23:13 ID:G8lHzL2u4M
傘「今日の夜、『雪ん娘』がこの町に着くってさ」
千「…これで全員…いよいよ、か…」
傘「なんか乗り気じゃないね…まぁいいけど」
千「…からかさは…後ろめたくはないのか?」
傘「別に?だって僕『妖怪』だもん。僕を捨てた人間なんて、どうなろうと知らないさ」
千「…」
傘「顔合わせは夜中の2時から。僕らには…お似合いの時間だよね」
千「…そう、じゃな…」
サアアァ
32: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 09:37:50 ID:G8lHzL2u4M
赤香町・佐藤家
陸「ただいまー」
犬「ワン!ワンワン!」
父「おかえりー。今日も遅かっ……陸!?どうしたんだその怪我!!」
陸「う、うん…学校の、階段で…」
―『…嘘は大嫌いじゃ。人を悲しませる類のものは、特にの…』―
陸「…」
父「?…陸?」
陸「…っ、ごめん…お父さん」
父「…」
陸「僕…本当は、学校でいじめられてて…」
父「…」
陸「頑張って…仲良しになろうとするんだけど…上手くいかなくて」
父「…」
陸「それで…新学期からずっと、無視されたり、物を隠されたり…でも今日、初めてこんなにいっぱい殴られたり、蹴られたりした…」
父「…陸…」
33: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 09:53:32 ID:tC2Fo0C.cE
陸「ごめんお父さん。うそついてて…ごめ、っ!?」
父「…っ」ヒシッ
陸「!お父さん、濡れちゃうよ…」
父「陸は謝らなくていい。謝らなくちゃいけないのは、お父さんの方だ」ギュッ
陸「…お父さん…」
父「ごめん。陸がこんなに苦しんでるのに気付けなくて…本当に、本当にごめんな」
陸「…」ギュッ
父「今まで、独りで辛かったろうね」
陸「…ううん。そんなことないよ。1人だけ…『自信を持て』って、はげましてくれる子がいたから…」
父「?」
陸「その子…千代ちゃんと出会えたから、辛いのなんか…吹っ飛んじゃったよ!」
父「千代ちゃん…昨日話してくれた女の子かい?」
陸「うん!」
父「そうか…陸は、その子のことが大好きなんだね!」
陸「えへへ…うん。大好き」
犬「…クゥーン…」
ザアアァ
34: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 10:05:09 ID:MtEPDD/kP2
6月某日(金)・雨
赤香町・無人の屋敷
ザアアァ
?「さてと…それでは、始めましょうか皆さん」
?「つーか…なんでおめぇが仕切ってんだよ」
?「相変わらずうるさい男ですね…ただでさえ暑苦しいっていうのに」
?「あ!?喧嘩売ってんのか伊達メガネ」
?「これだから筋肉馬鹿は…」
傘「はいストップ。いい加減にしようね〜、『夜叉』に『鎌いたち』」
35: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 10:18:56 ID:NgAEs4NAMk
夜「これは私としたことが…申し訳ない」クイッ
鎌「…ふんっ」
?「ウフフ…男ん子は血の気が多いどすなぁ」
千「…全く…」
夜「おや…そういえば、雪ん娘さんはどちらに?」
傘「彼女は後から来るってさ」
?「アラ…雪ちゃん、具合が悪いんどすか?」
傘「心配しないで、『濡れ女』。多分、恥ずかしがってるだけだから」
千「…からかさ、その姿では不便じゃろう」
傘「ああ…そうだね」スゥッ
濡「あらぁ…相も変わらず、人型はずいぶん可愛らしいこと」ヒラヒラ
傘「さてと…皆初対面ってわけでも無いし、自己紹介はいらないよね。
僕らが集まった目的はただ一つ…『人間』に、復讐する為」
千「…」
36: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 21:03:48 ID:vmvGe1KNEw
傘「ここに集まってもらったのは、それぞれ人間に恨みを持った妖怪たちだ。
皆も知っての通り、人間はどうしようもなく汚くて愚かな生き物…いや、生き物と呼ぶことすら、他の動物たちに失礼かもね…。
地球の資源を食い荒らし、僕たちを勝手に生み出したあげく…酷く裏切った。彼らは言わば、この星に巣くう『病原体』だ」
濡「…」
千「…っ」
傘「今回の計画には、世界中の妖怪・精霊が賛同してる。そして先陣を切るのがここ、東京の外れ…桜田市」
鎌「…なぁ、なんで最初っから首都を狙わねぇんだ?その方が手っ取り早いだろ」
夜「はぁ…貴方は脳みそまで筋肉なんですね」
鎌「ああっ!?」
夜「今回の計画は言わば、テストケースなんですよ。だからこそ、人口50万人以下の中規模都市を狙った…データをとる為に」
傘「そういうこと。
桜田市はその名の通り、桜の花の形をした市だ。中心にここ赤香町、周りの花びらに当たる場所には、北から時計回りに銀朱町・青丹山・瑠璃岬・藤ヶ丘・白練台がある。皆には、この六ヶ所を壊滅させてもらいたい…それぞれの能力でね」
37: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 21:15:57 ID:BDKRTRECcU
傘「分かるかい?僕らの行動が、地球を救うんだよ!」
夜「可哀想な人間たち…いっそ安らかに眠ってもらいましょう」
鎌「ふん…興味ねぇな。俺は、派手に暴れられさえすりゃ何でもいい」
夜「…これが本当の戦闘バカですね…」ボソッ
鎌「…あんだとコラ」
濡「フフフ…ほんでもまぁ、憎い人間がやっといなくなるかと思うと、うれしーような、さみしーような…座敷はんはどない思う?」
千「…」
濡「座敷はん?」
千「本当に…これでいいんじゃろうか…」
夜「?」
鎌「あ!?」
傘「……はぁ…」
38: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 21:29:13 ID:xmOAAvkvQo
千「確かに、人間は汚くて愚かかもしれん。じゃが、それはほんの一部のはず。中には心の清い者も…」
傘「いい加減にしてもらえる?どれだけ人間に裏切られれば気が済むわけ?」
千「…からかさ、」
傘「もう散々…50年以上も僕らは話し合ってきたよね。そしてこれが結論だ!今さらそれは無いんじゃないの?」
千「…じゃが、やはりこんな方法は間違っておる。
わらしらがやろうとしておることは、『地球の為』という大義名分に隠れて、ただ己れの恨みを晴らそうとしておるだけではないか!!」
傘「…………!」
傘「あ〜…なるほどね…」
千「…?」
39: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 21:38:29 ID:jY3AzaRTlY
傘「あの子供が原因でしょ?やっぱり情が移ったんだね」
千「違っ…陸は関係ない!」
夜「?…なんの話ですか?」
鎌・濡「…?」
傘「深入りするなって、あれほど言ったのに…っ」
千「…あの子を…陸を、悲しませたくないんじゃ…」
傘「たかが2日でそこまで感情移入できるなんて、さすが座敷わらしだね!ほんっとどうかしてるよ」
千「…」
傘「…分かった…どうやら一番最初にすべきことは、あの子を消すことみたいだね…」
千「!止めろ、からかさ!!」
40: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 21:53:05 ID:vmvGe1KNEw
?「…やめて…2人とも…」
傘「!」
千「…『雪ん娘』…」
雪「…今は…けんかしてる時じゃ…ない」
千「…」
傘「…確かにそうだね。何しろ計画実行まで、あと1ヶ月もないんだから」
雪「…おらも…迷ってる…人間が、ほんとに…ひどい生き物なのか…」
夜・鎌・濡「…」
雪「本当に…救うに値しない…のか」
千「雪ん娘…」
傘「はぁ…じゃあどうするの?このままで良いはず無いじゃん。それに、これは僕たちだけの問題じゃないんだよ」
濡「…なるほどなぁ…だいたい分かりましたわ。要はその『陸』ちゃんに、座敷はんが惚れてしもたんどすなぁ…」
千「な…ち、違うっ!//」
夜「そうなんですか!?…それはまた…」クイッ
鎌「あんだと!?座敷、お前…」
千「…時間を…くれぬか」
傘「…」
41: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/18(土) 22:03:42 ID:MtEPDD/kP2
千「10日…いや、一週間でいい!それまでに、妖怪皆に納得してもらえる方法を見つける…じゃから…」
傘「…無理に決まってるじゃん、そんなの」
千「…頼む」ペコッ
傘「はぁ…皆の意見は?」
夜「私はどちらでも。まぁしかし、人間を救うべきだとは思いませんがね」
鎌「ふん…座敷には恩があるからな…待ってやるよ」
濡「フフ、座敷はんのたっての頼み…断る理由はあらへんなぁ」
雪「…」ニコッ
千「!…みんな…」
傘「…分かった、一週間あげる…ただし、条件が一つ」
42: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/19(日) 20:03:19 ID:LYdCTbqa1c
傘「彼…佐藤陸に、自らの正体を明かし…受け入れさせること」
千「…!」
傘「そこまで言いきるんだったら、やってごらんよ。まあ、きっと妖怪だって分かっても、優しい陸くんなら友達のままでいてくれるはず…だよね?」
千「…ああ。わらしは、そう信じておる…」
傘「…決まりだね。じゃあ、今夜はこれでお開きにしよう。
皆には、しばらくの間待機してて欲しい。幸いこの屋敷の持ち主は今海外にいるから、好きに使ってかまわないよ。
じゃ、みんなまたね〜」スゥッ
夜「了解しました」シュッ
濡「そんなら、皆はんお休みよし…」スルッ
雪「…」フワッ
鎌「…」
千「?鎌いたち…どうした?お主も行かぬのか?」
43: 蝶・専半島:2011/6/19(日) 20:13:25 ID:sjK4Tuv5aE
こい牛鬼!
44: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/19(日) 20:16:18 ID:NgAEs4NAMk
鎌「座敷…いや、『千代』…お前、本気で人間の味方するつもりかよ?」
千「…」
鎌「忘れたのか?お前は昔、人間に…」
千「『疾風(はやて)』!」
鎌「!」ビクッ
千「それ以上は…言うなっ…!」
鎌「…わりぃ…」
千「とにかく…わらしはあの子を…陸を信じる。それだけじゃ…」フゥッ
鎌「…行っちまったか…」
鎌「『子供のために生まれた妖怪』、座敷わらし…なんでお前はいつも、自分が一番辛ぇ道を…選んじまうんだろうな…」
ザアアァ
45: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/19(日) 20:19:59 ID:NgAEs4NAMk
>>43
おうっ!!レスして頂けるなんて…ありがとうです。
(T_T)
46: 名無しさん:2011/6/19(日) 20:21:12 ID:GW4bkIoi/Q
先の展開が気になる支援
47: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/19(日) 20:25:28 ID:l7FkHhEbE2
?「…一週間?」クルクル
?「はい。時間が欲しいそうです」
?「ふ…まぁいいか。まだ時期ではないし…それにもう、何をしようと手遅れなのだからな…」クルクル
?「…そうですね」
48: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/19(日) 20:42:22 ID:Dsu7jkcuyE
赤香町・ふれあい公園
サアアァ
陸「…あれぇ…今日遅いなぁ、千代ちゃん…」
?「あ〜…やっぱりここにいたのか」
陸「?……っ!!」ザワッ
少年A「ったく…てめぇの親が学校に言いつけたせいで、昼間は散々怒られたんだけど」
少年B「どうおとしまえつけんだよ、あっ!?」
少年C「…」オドオド
陸「な、なんで…ここに…」
A「あ?…くくっ、当然だろ。学校じゃ有名だぜ?この公園で、毎日てめぇが独り寂し〜く遊んでるってよ」スタスタ
B「独りじゃあさみしいだろ?…おれらと遊ぼうぜぇ」ザクザク
C「…」
陸「ぅ…あ…」ガタガタ
49: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/19(日) 20:45:38 ID:MtEPDD/kP2
>>46
支援ありがとうです!とても励みになりますっ
50: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/19(日) 20:56:43 ID:LYdCTbqa1c
A「そうだな〜サッカーはどうだ?俺たちが選手で、ボールはもちろん、お前」ニヤッ
陸「…っ」ダダッ
A「おっと」ダッ…ガシッ
陸「!」
B「はっ…バカかお前!?Aは空手黒帯だぜ?運動おんちのてめぇが、逃げられるわけねぇだろ!!」
A「そういうことだ…なっ!っと」ドカッ
陸「わっ!」ドサッ
A「ん…なんだこりゃ?」カサッ
陸「…!」
51: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/19(日) 21:18:22 ID:NgAEs4NAMk
B「ぷっ…ははっ!なんだ?てめぇ男のくせに、折り紙なんかしてんのか?ダッセ〜!」
A「はっ…しかも今時、紙飛行機なんて作ってんのかよ?」
陸「っ…返せっ!」
A「…ふん…」グシャ
陸「!」
A「ちょっとは頭使えよ…
返すわけねぇだろ!!この俺が!」ニヤニヤ
B「いいぞA!あっはははっ!」ゲラゲラ
C「…っ…」オドオド
陸「…なんで…っ」
A「あ?…てめぇが気持ち悪いからに決まってんだろ」
陸「…っ」
A「俺たちが裏山でいじめてた子犬勝手に助けたり、担任のサイフ盗んだの知ってたり…目障りなんだよ、お前」
B「なぁー、早くコイツやっちまおーぜ」
陸「…っ」ジリッ
A「ふん…せいぜい泣けよ。こんな雨だ、どうせ誰も来な…」
?「おい」
52: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/20(月) 21:35:28 ID:jY3AzaRTlY
A「…っ!」
B「な、なんだ!?どっから声が…」
陸「!」
鎌「昼寝の邪魔だ…静かにしろ」
A「なんだコイツ…ずっと木の上にいたのか!?」
B「…っなんだよ!おめぇ、なんか文句あんの…」
鎌「…失せろ」ギラッ
B・C「…ひ…っ」ダダッ
A「あ、おいてめぇら!…くそ、おい陸!覚えとけよ。今度会ったらボコボコにしてやるからなっ!!」ダッ
陸「…」
鎌「…」
陸「…ぇと」
鎌「…」
陸「…あ、ありが」
鎌「なんで抵抗しねぇ?」
53: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/20(月) 21:46:52 ID:BDKRTRECcU
陸「えっ」
鎌「…」シュッ…スタン
陸「わっ!」
鎌「やられっぱなしでいいのか?…チビ。あのガキ共、多分また襲ってくるぞ」
陸「…む…チビじゃ、ない…」
鎌「チビだろ。俺の腰くれぇしかねぇし」
陸「でも…チビじゃないもん…」
鎌「ふん…お前、弱いだろ」
陸「!」
鎌「お前みたいにビクビクオドオドしてるヤツを見ると、苛々すんだよな…」
陸「…たしかに、僕はケンカは弱い…けどっ!」
鎌「…!?」
陸「心までは…弱く、ないっ!」
54: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/20(月) 22:01:07 ID:LYdCTbqa1c
鎌「…へぇ…!言うじゃねぇか。だったら、それが本当かどうか確かめてやるよ」
陸「え…?」
鎌「鍛えてやるってんだ。どうせ当分ヒマだしな」
陸「…えっと…ニート?」
鎌「ちっげぇし!ただヒマなだけだアホっ!」
陸「あはは…でも、僕は…」
鎌「なんだ…強くなりたくねぇのか?誰か守りたいヤツはいねぇのかよ?」
55: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/20(月) 22:09:50 ID:jY3AzaRTlY
陸「…!…いる」
鎌「へえ…彼女か?チビのくせに…」
陸「む…だから、チビじゃ…」
鎌「ははっ、まあいいや。よろしくな、チビ」
陸「むぅ……そういえば、お兄さんの名前は?」
鎌「なんでもいいぜ。好きに呼べよ」
陸「じゃあ…にー(と)さん」
鎌「却下」
陸「プーさん」
鎌「却下っ!てめぇ遊んでるだろ!!」
陸「えへへ…じゃあ…『兄ちゃん』」
鎌「…!」
56: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/20(月) 22:23:28 ID:Dsu7jkcuyE
(疾風兄ちゃんはえー!)
(いいなー。おれたちも、早く兄ちゃんみたいになりてぇや!)
陸「…?」
鎌「兄ちゃんか…悪くねぇな」
鎌「よし、じゃあ強くなるための特訓だ。俺の指導は厳しいぜ…?」ニヤッ
陸「よ、よろしくお願いします…」ペコリ
鎌「んじゃ、場所移動すっか。雨ん中で風邪引かれても困るしな」
陸「え…どこに?」
鎌「俺んち」
陸「うーん…でも知らないおじさんに着いてっちゃいけないってお母」
鎌「だ〜れが『おじさん』だって!?」ゴォッ
陸「ひぃ…冗談ですっ…」ガタガタ
サアアァ
57: 名無しさん:2011/6/20(月) 23:57:16 ID:IeeBRjbEJo
ワクワク(≧∇≦)
更新楽しみにしてます!!
58: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/21(火) 22:35:52 ID:l7FkHhEbE2
>>57
ありがとう…っ
(T_T)
とっても嬉しい言葉です…!
拙いSSだけど、少しでも楽しんでくれたら幸せです。
59: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/21(火) 22:47:33 ID:G8lHzL2u4M
白練台・市立中央図書館
千「…(人間は汚くて愚か…か。確かにからかさの言う通り、奴らの歴史は血と欲にまみれておる)」パラ…
千「(じゃが、それだけではない…植林活動や環境保護…彼らも気づき始めたはずなのじゃ…地球は人間の所有物ではなく、彼らもまた地球の一部なのだと)」パラ…
千「人間は地球無しでは生きられぬ…そして我ら妖怪もまた、人間無しでは存在し得ない…何故もっと早く気付けなんだか…」ブツブツ
濡「あらぁ座敷はん!」ヒラヒラ
60: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/21(火) 23:04:47 ID:l7FkHhEbE2
千「濡れ女…!こんなところで会うとはの」
濡「雪ちゃんが絵本をぎょうさん読みたいやろと思って、連れてきたんどす。ほら、あのこ毎度雪山にこもってはるし…」
千「そうか、雪ん娘も…」
濡「雪ちゃんやけちゃいますえ?夜叉はんも一緒どす」
千「夜叉が?珍しいな、あやつが外をうろつくとは」
濡「なんやら『究極のレシピ』を探して、図書館中の料理本を漁ってはりますわ…。うちら妖怪は御膳の必要あらへんのに、ほんまけったいな人どすなぁ…」ヒラヒラ
千「…そうか…不思議じゃな」
濡「?」
千「人間の書いた本に、彼らを憎んでおるはずの妖怪が夢中になる…矛盾しておるとは思わんか?」
濡「そらちゃいます…なんしろ皆、ほんまは人間が大好きなんどすから」
61: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/22(水) 12:53:00 ID:Dsu7jkcuyE
千「…!…」
濡「うちらは人間によって生まれ、一緒に長い時を暮らしてきた…嫌いになれるわけあらへん」
千「…なら、」
濡「そやさかい、余計許すわけにはいかへんのどす。座敷はんも知ってるやろ…人間がうちに何を与え、何を奪ったのか」
千「…可愛さあまって憎さが百倍、か…」
濡「そういう事どすなぁ…哀しいことやけど」
62: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/22(水) 13:04:49 ID:NgAEs4NAMk
濡「うちやけではおまへん…ほとんどの妖怪は、人間を愛していると同時に、殺したいほど憎んでもいるはずどす。その感情は、大雨を降らす黒雲のごとく皆の心を覆っている…それを晴らすのは、簡単な事やないどすえ?」
千「ああ…痛いほど分かっておる」
濡「ふう…ほんでも座敷はんなら、きっと全員が幸せになれる方法を見つけられる…うちはそう信じてますわ」
千「…かたじけない。やはりおぬしは優しいのう、濡れ女よ」
濡「て、照れること言わんといて//人型が保てんようになってまう//」ヒラヒラ
千「ふふ…」
63: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/22(水) 13:19:31 ID:tC2Fo0C.cE
夜「ついに見つけましたよ濡れ女さん!これぞ究極のカレー…あれ、座敷わらしさん!こんなところで何を?」
千「おう夜叉。ちょっと調べものをな」
夜「座敷わらしさんが…ですか?なぜ?」クイッ
濡「そうそう、うちも気になってたんや…。
座敷はんなら、一度見た本の内容は一瞬で頭に入るし、絶対に忘れへんやろ?この図書館にある何倍もの本の記憶を持ってるはずやのに、わざわざここに来てページめくるんはどうしてどす?」
千「うむ。個人的に、少しこの市の歴史に興味があってな。それに、人間をより深く知るためには彼らと同じすぴーどで読むのが大切なんじゃ…時間はかかるがの」
傘「…そんなこと言って、ただの時間稼ぎなんじゃないの?」
64: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/22(水) 21:02:22 ID:xmOAAvkvQo
千「!…からかさ…お主も来ておったのか」
傘「まさか、忘れたわけじゃないよね?君が妖怪だってこと、早くあの子供に言いなよ」
濡「…からかさはん…」
夜「…」クイッ
千「わ、分かっておる!…っ」
傘「そうだ、ちょうどいいから今言いに行こうよ。彼は今、僕らの屋敷で鎌いたちと一緒にいるし」
千「陸が鎌いたちと!?なぜ…」
傘「知らない。
…さて、人間と妖怪がどれだけ歩み寄れるか、お手並み拝見といこうか…まぁ、もう結果は見えてるけどね」
千「…っ!」
サアアァ
65: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/22(水) 21:13:52 ID:BDKRTRECcU
夜「行ってしまいましたね…」
濡「…」
雪「…」トテトテ…クイクイッ
濡「!あら、雪ちゃんどないしたん?」
雪「…これ…読んで…」
夜「ほう、絵本ですか。タイトルは…『雪おんな』。雪ん娘さんの、お母様の話ですね」
濡「雪女はんの話には、哀しい結末も多いけど…この本はハッピーエンドやから、雪ちゃんのお気に入りなんやもんね?」
雪「…みんな、しあわせ…だから…好き」
濡「フフフ、そうやんなあ。ほんまに…この絵本みたいに、人間と妖怪が共に助け合い、幸せに暮らしていけたらどんなにええか…」
夜「…」クイッ
66: 名無しさん:2011/6/22(水) 21:30:01 ID:j4BNa9nGck
支援
67: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/22(水) 21:38:32 ID:vmvGe1KNEw
赤香町・佐藤家
サアアァ
TV「…本日も、雨足は衰える気配を見せません。一体この雨はいつまで続くのでしょうか…」
父「〜♪」カタカタ
父「さて…一区切りついたし、そろそろ夕飯の支度を…」
ピンポーン
父「?…なんだろう…宅配便かな?」
犬「…グルルル…」
?「…」フゥッ…ガチャ
父「!あれ…鍵は閉めたはずなのに、ドアが…」
?「やぁ…久しいな、草介」
父「!…お前は…碌(ろく)…!」
碌「おいおい呼び捨てかよ…一応先輩だぞ、おれ」
父「…何しにきた…!」
碌「陸に会いに来たんだが…いないようだな」
父「いまさらあの子に会ってどうする!お前は…」
碌「なんだ…父親が実の子に会うのに、部外者であるお前の許可が必要なのか?」
父「…っ」
68: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/22(水) 21:41:22 ID:vmvGe1KNEw
>>66
ありがとうございます!
69: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/22(水) 21:57:50 ID:l7FkHhEbE2
碌「まぁ、いないなら仕方ないか…」
父「お前…9年間も子供を放っておいて、今さら父親気取りか!?ふざけるな!!」
碌「ふっ…父親気取りはお前の方だろう」
父「!」
碌「まぁいい…どちらにせよ、近いうち迎えに来るつもりだったからな」
父「…陸はお前なんかには渡さん!さっさと帰れ!!」ドンッ
?「…!」
?「…っ」ブワッ
父「うっ!…なんだ…体に、力が…入らな…」
碌「あーあー…フフ、じゃあな…草介…」スタスタ
?「…」パサッ
父「…ぅ…り、…りく…逃げ…っ…」ガクッ
犬「ワンっ!ワンワンっワンっ!!」
サアアァ
70: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/22(水) 22:23:38 ID:Dsu7jkcuyE
赤香町・無人の屋敷
鎌「オラどうした!こんなもんかチビ!」
陸「ハア、ハア…ぐっ…ぷはあっ!」
鎌「ふん、やっと終了か…本来なら腹筋一万回やらせる所を、大まけにまけて40回にしてやったんだ…ありがたく思え」
陸「はぁ、それでも…多いよっ…はぁ…」ゼエゼエ
鎌「そうか?…まぁいい、大体チビのことは分かった。お前…左利きだろ?」
陸「えっ…!なんで…」
鎌「見りゃ分かんだよ、重心がずれてるしな。
ついでに体力は無し、身体は堅い、握力は並み以下…これじゃ、体育の成績はビリだろうな」
陸「う…」
鎌「唯一の救いは反射神経…これはかなり良い線いってるぜ。俺が鍛えりゃ、そこそこ戦えるようになんだろ」
陸「…戦う、か…」
鎌「心配すんな、ちゃんと強くしてやっから。
…さて、まずは…チビ、ちょっと立ってみ」
陸「?」
71: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/24(金) 19:43:31 ID:MtEPDD/kP2
鎌「まず最初は、自分の身体を知ることからだ。そうすりゃ、いざって時自分の思い通りに動かせるようになるし、相手の弱点も分かる」
陸「からだを…知る…?」
鎌「まぁ、言っても分かんねぇよな…見てろ」スッ
陸「?」
鎌「自らの力を最大限に活かすためには、ただ漠然と拳を突き出すだけじゃダメだ。
自分が今殴ろうとしているのはなんなのか、どこに当てれば一瞬で仕留められるのか…よく考えろ」
陸「…殴る…」
鎌「そうだ。呼吸を浅く、常に神経を張りつめて……ここだと感じた瞬間、突く!」ドンッ
72: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/24(金) 19:59:57 ID:tC2Fo0C.cE
ゴオオォッ!
ドゴオォーン!!…ガラガラ…
鎌「…」
陸「…ぇ」
鎌「…(ゃ…やっべ…!力抑えんの、忘れた…)」オロオロ
陸「…」ポカーン
鎌「えっ…と…」
陸「…わ…わー!兄ちゃんすごいね!カメ○メ波みたい!」アセアセ
鎌「お…おお!すげえだろ!?どうだ、鍛え続けりゃこんな技もだせるように…」
傘「…ねぇ…これは…なに…?」ゴゴゴ…
鎌「!」
73: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/24(金) 20:20:34 ID:jY3AzaRTlY
サアアァ
鎌「…こ、これはだな…その、突然空から隕石が!」
傘「…」ギロッ
鎌「…すんませんした」シュン
傘「はぁ…まったくもう…」
陸「あ…えと…初めまして!」
傘「…やあ、今日は陸くん」
陸「あれ…なんで、僕の名前を…」
鎌「…(…りく?…どっかで聞いたよーな)」
千「…」
陸「あ!千代ちゃん!なんでここに?」
千「(陸…本当に鎌いたちとおったのか…)」
鎌「千代……!あーお前!陸ってチビのことだったのか!!」
傘「てゆーか知らないで一緒にいたんだ…」
陸「?…えっと…」
千「…」
傘「ホラ、何か陸くんに言わなきゃいけない事があるんじゃないの?」
千「…っ。陸、あのな」
陸「?」
千「実は、わらしは…」
74: 名無しさん:2011/6/25(土) 11:43:46 ID:dXoWFF7u4w
続き気になる!
支援っC
75: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/25(土) 22:03:40 ID:NgAEs4NAMk
>>74
支援うれしいです!
ありがとう…っ
(T_T)
76: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/25(土) 22:10:11 ID:xmOAAvkvQo
犬「ワンッ!」ピョンッ
傘・鎌・千「!」
陸「ベル!え…どうしてここに…なんで外に出て…」
犬「ワンッ!…っワンッ!!!!」
―キイィン…―
父(…りく……っ…)
陸「!!」
陸「お…父…さん…?」
77: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/25(土) 22:17:49 ID:NgAEs4NAMk
千「…陸?」
陸「…お父さんっ!!」ダダッ
犬「ワンワンッ」ダッ
鎌「な…!おいチビっ!!お前どこ行くんだ!」
千「…なにか胸騒ぎがする…。
鎌いたち!わらしを連れて、陸を追ってくれ!」
鎌「お…おう分かった…乗れ!」
千「うむ!」ガシッダダッ
サアアァ
傘「…(今のは…一体…)」
傘「…まさか、ね…」
78: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/25(土) 22:42:48 ID:QLq5.Ixv3Y
陸「…っはあ、はあ…」ダダッ
――
父『ごめんよ陸…父さん、その日はどうしても会社にいかないと…』
陸『…あ…ううん!言ってみただけだから、全然大丈夫!そっか…お仕事がんばってねっ!』
父『…り』
陸『大丈夫!…だいじょぶだから…あ、食器片付けてくるね!』カチャカチャ
父『…』
―――
陸「はあ、……っ!!」ダダダッ
――
陸『…』モグ…モグ
父『やあ、お待たせ』
陸『!お父さん!?え…だって、運動会来れなかったんじゃ…』
父『あーそのことなんだけど…お父さん、仕事辞めてきた』
陸『えっ…』
父『今度は、家でも出来る仕事を見つけたよ…息子と一緒にお弁当も食べられないんじゃ、父親失格だからね』
陸『…お父さん…』グスッ
父『…今までごめんよ陸。今日からは、毎日一緒に晩ごはんたべような』
陸『…うん!』
―――
陸「…っ、お父さんっ!」バンッ
陸「!!」
79: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/26(日) 18:41:03 ID:Dsu7jkcuyE
赤香町・佐藤家
千「陸っ!…!」
犬「…クゥーン…」
陸「お父さんっ!?お父…う…」ユサユサ
千「…!…落ち着け陸…大丈夫じゃ、息はある」
陸「!、ほんとに!?…よかった…よかっ…うぅっ」ヘタ
鎌「…チビ…っ」
千「疾風、救急車を頼む。至急じゃ!」
鎌「お、おう!チビ、電話はどこだ?」
陸「…ぐすっ…ぅ…」
鎌「…っ…てめぇ男だろうが!!泣いてるヒマねぇんだ、しゃきっとしねぇか!!」
陸「!…っ、うんっ!電話、こっち!」ドタドタ
千「…一体、何があったというのじゃ…」
カサッ
千「む?…これは…折り紙?」
千「!…闇色の折り鶴…!…まさか…」
ザアアァ
80: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/26(日) 19:01:34 ID:MtEPDD/kP2
――
?『…ひっく…うぅ…っ…ひっ…』
?『お〜千代、こんなとこにおったか』スタスタ
千『…っ、弥一…』
弥『また…あいつらにやられたのか?』
千『…』コクッ
弥『くっそ…身よりのない子らを育てるふりして、奴隷のようにこき使いおって…もう我慢できん!!あいつらただじゃ…』
千『よせ弥一!…おぬしはまだ子供じゃ。危ないことは…せんでくれ…』
弥『む…おぬしこそ子供ではないか!…千代はいいのか!?このままではおぬしの姉上のように、死ぬまであやつらにいたぶられ続けるのだぞ!?』
千『…わらしは…弥一とは違う…』
弥『…?』
81: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/26(日) 19:13:39 ID:xmOAAvkvQo
千『弥一は、あの父様と母様の…実の子ではないか…わらしらとは、違う』
弥『…違わん…』
千『いいや。…それに、おぬしは「をとこ」じゃ…悪いのは、「おなご」に産まれてしもうたわらしらが…』
弥『〜っ…をとこもおなごも関係あるかっ!!』ゴォッ
千『…!』ビクッ
弥『何故…なにゆえそのような哀しいことを言う!?実の子じゃないとか、そんなことも関係ねぇ!!
「千代」は「千代」じゃろうが!!!!』
千『!』
82: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/26(日) 19:24:57 ID:QLq5.Ixv3Y
弥『おぬしはわしの大切な…っ大切な友達なんじゃ!!その友達に手を上げるようなやつぁ…わしが成敗してくれりゅっ!!!!』
千『…』
弥『…』
千『………りゅ?』
弥『ぅ…そ、そこは聞き流す所じゃろうが!!千代のあほうっ!』
千『…ぷっ…あははは!』
弥『…//』
千『くくっ…す、すまぬ…』
弥『…ふ、やっと笑ったな…千代。やっぱりわしは、おぬしの笑っとる顔が大好きじゃ』ニカッ
千『…//…な、なにを言うとる…』
弥『ふ、ふん…//…そうじゃ、おぬしに良いものを見せてやろう…これじゃ!』デーン
千『!こ、これはなんじゃ!?』
83: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/26(日) 19:45:35 ID:BDKRTRECcU
弥『これはな千代、ここよりずうっと北の土地に住んどる、「つう」という鳥を模したものじゃ。その名も折り紙!どうじゃ、かっこいいじゃろう!!』
千『…ほー…』キラキラ
弥『…ほれ!』カサッ
千『!…く、くれるのか!?こんな高価なものを…』
弥『もちろんじゃ。…ただし、条件がある…』
千『…?』
弥『もう二度と、独りで泣くのは止めろ。泣くならわしのとなりで泣け。…胸くらいは、貸してやる』
千『…!…』
弥『…っ//…分かったのか!?へんじっ!』
千『…っおう!…ありがとう…弥一…』
―――
ーっ!
…代っ!
鎌「千代っ!!」
千「っ!」ビクッ
鎌「どうしたんだ千代、ボケっとしやがって…お前らしくもねぇ」
千「あ、ああ…すまぬ。ちと、昔を思い出しておってな…どうした?」
鎌「おう…チビの親父、もうすぐ目を覚ましそうだ。意識が徐々に浮かんでくるのを感じる…」
千「!…まことか…今いく!」スッタタッ
84: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/27(月) 19:14:20 ID:LYdCTbqa1c
銀朱町・市立さくら病院
父「…ん…ここは…」
陸「!お父さんっ!!」
千「!…」ホッ
鎌「気がついたか…」
父「陸…?私は、一体…」
医「ここは病院です、佐藤草介さん。貴方はご自宅で気を失っていたんですよ」
父「…病院…」
医「…何も覚えてませんか…無理もありません。おそらく日頃の疲れがたたったんでしょう。一週間ほど、こちらで安静になさっていて下さい」
陸「お父さん…うっ…うわぁん!」ヒシッ
父「陸…!…ごめんよ、心配させたね」
陸「う…ひっく…」
医「では、私はこれで…何かありましたら、こちらのナースコールを押してください」スタスタ
鎌「…千代、俺らも出るぞ」
千「…?」
鎌「バカ、男は女に涙見せたくねぇもんなんだよ…ほら行くぞ!」グイッ
千「お、おう…?」スタスタ
85: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/27(月) 19:23:41 ID:jY3AzaRTlY
鎌「しっかし、何だったんだありゃ…医者の話じゃ、体はどこも悪くねぇのに、まるで山ん中を何日もさ迷ってたように衰弱してたらしい…絶対変だぜ」
千「…」
鎌「千代?」
千「はっ…な、なんじゃ?」
鎌「どうしたよさっきから…心ここに在らずじゃねぇか」
千「…少し、気になることがあってな…」
鎌「気になること?なんだ?」
千「うむ。実は…」
?「…」ツカツカツカ…バンッ!!
千・鎌「!」
86: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/27(月) 20:19:00 ID:LYdCTbqa1c
?「…ふう…なんだ、生きてたんだ…驚かさないでよ、兄さん」
父「!葉子…どうしてここに」
陸「…おばさん…」
葉「元気?陸。…病院から電話があったのよ、突然倒れたって。全く…かんべんしてよね。忙しいのよ、あたしは」
父「…すまないな、わざわざ」
葉「別に。…パパとママも、顔には出さないだけで心配してるわ…例え勘当したとしても、息子は息子なのね」
父「…葉子、頼みがあるんだ」
葉「?」
父「私の代わりに、一週間くらい陸を預かってもらえないか…?」
葉「はあ!?…ムリよ。兄さんだって知ってるでしょう?うちの会社、今経営厳しいんだから…」
父「そこをなんとか頼む。頼れる身内は、お前しか…」
葉「えぇそうでしょうとも!!勝手なことして実家を追い出されたのよ?そんな兄さんに、誰も関わりたくないに決まってるじゃない!!」
87: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/27(月) 20:29:56 ID:l7FkHhEbE2
葉「パパの決めた相手放っといて、どこの馬の骨とも分からない女に熱上げて…その子だって、兄さんと血は一滴もつながって無…」
父「葉子!」
葉「!」ハッ
陸「…」
葉「…っ、と、とにかく、あたしは忙しいのよ!居なくなった兄さんの代わりに、社員7千人の会社を任されてるんだから!…帰る!」バンッ…ツカツカツカ…
千・鎌「…」
父「…陸…」
陸「…お父さん、のどかわいたでしょ?お茶買ってくるね!」ニコッ スタスタ
陸「…」ガラガラ…パタン
鎌「…チビ…」
陸「…」
千「…行こう、陸。自販機はこっちじゃ」
陸「……うん!」スタスタ
88: 名無しさん:2011/6/28(火) 01:53:16 ID:Yq8Nc6ra.g
深夜の支援あげ
89: 名無しさん:2011/6/28(火) 13:04:25 ID:vzB7b47Bik
支援!
90: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/28(火) 21:54:17 ID:jY3AzaRTlY
>>88
支援サンクスです。深夜までお疲れ様ですっ
(>_<)
>>89
支援嬉しいです〜。最近暑いですね(汗
91: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/28(火) 22:27:54 ID:LYdCTbqa1c
赤香町・無人の屋敷
ザアアァ
傘「…それで…これはどういう事か説明してもらえる…?」ワナワナ
陸「…っ!おいし…このカレーすっごくおいしい!」
夜「……フッ…」バタン
陸「!あれ?だ、だいじょうぶですか!?」
濡「気にせんといて陸ちゃん。この人、料理は作っても他の人に食べさせたことあらへんから…美味しいちゅう言葉に、嬉しすぎて気絶してもうたんどすわ」ヒラヒラ
夜「う、うーん…幸せの極み…//」ゴロゴロ
鎌「…アホめ」ボソッ
夜「なんですってー!?」ガバッ!!
鎌「うおっ!てめぇ、相変わらず耳良すぎだろ!!」
濡「それにしても…可愛いなあ陸ちゃんは//今夜お姉さんと一緒にちゃいちゃい(お風呂)入れへん?」
92: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/28(火) 22:29:37 ID:Dsu7jkcuyE
陸「…え、…えっと…」アセアセ
雪「…」ムッ
濡「あ〜かんにんや雪ちゃん!もちろん、雪ちゃんもとーっても可愛いどすえ?」ナデナデ
鎌「…風呂……//」
夜「何赤くなってるんですか気持ち悪い」クイッ
鎌「な…っばかやろう!赤いのはカレーが辛すぎるからで…」
夜「ちゃ〜んと甘口にしましたー。やーいスケベ親父」ベー
鎌「…のやろっ!」
濡「あら…疾風はんも一緒に入る?」
鎌「…!」
濡「なんてな…冗談どす」ヒラヒラ
鎌「…ぐっ…//」
傘「…」ムスッ
千「えーっと、その…じゃな、からかさ。これには深ーい訳があって…」
93: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/28(火) 22:51:26 ID:BDKRTRECcU
―――
千『陸くんをうちに?…もちろん構いませぬが…お父上はそれでよろしいのですか?』
父『はい。…ご覧の通り、私は満足に体を動かすことも出来ません。
もしご迷惑でなければ、私が退院するまで陸を千代さんのお宅に置いては頂けないでしょうか…』
鎌『俺らはもちろんいいっすけど…大丈夫なんすか?初対面の相手信用して…』
千『これ、疾風!』
鎌『いや、だってよ…』
父『はは…大丈夫です。これでも私、人を見る目には自信があるんですよ。あなた方はとても良い人たちのようだ…。
それに千代さん。息子から、貴女のお話は聞いております。とっても可愛らしいお友達ができたと…』
千『…//』
陸『ちょ…お父さんっ!』
父『はは、ごめんよ陸。
…どうでしょうか?図々しいお願いとは思いますが…』
千『…分かりました。息子さんは、我々が責任をもって預かりましょう』
――
千「…という訳なのじゃ」
傘「ふ〜ん…言うことはそれだけ?」イライラ
94: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/29(水) 22:40:04 ID:Dsu7jkcuyE
千「…すまぬ、勝手に決めてしもうて…」
傘「ちょっと目を離すとこれだもの…
分かってる?僕たちはこれから日本を、そして世界を滅ぼそうと…」
濡「なあ陸ちゃん。うちのことは、流華(るか)お姉ちゃんってよんでな」
鎌「俺は疾風(はやて)だ。まあ、今まで通り『兄ちゃん』で構わねえよ」
雪『おら…深雪(みゆき)…よろしく…』ペコッ
夜「私は月夜(つくよ)です。…それより陸さん、お代わりあるのでたくさん食べて下さいね!
今日のカレーは玉ねぎをじっくり炒めて、カレー粉にはシナモン・グローブ・パプリカをバランス良くブレンドした私の自信作…」
鎌「誰も聞いてねっつの」ボソッ
夜「なんですとーっ!?」ガタン
鎌「ふん、この地獄耳…って冷たっ!水かけんなアホ!!」
濡「陸ちゃんサラダ食べ?お冷やも飲む?」ニコニコ
陸「あ、はい!いただきますっ」
濡「そんな〜敬語なんてよして?…でも礼儀正しいわあ…お父様の教育がよろしいんどすなあ…」
雪「…」モグモグ
夜「よっっっぽど私を怒らせたいようですね!!いいでしょう、受けて立ちますよ!!」ガタッ
鎌「あ?ケンカなら買うぞコラ。俺に因縁ふっかけてタダで済むと…」ガタッ
濡「…うっさいなぁ…」ボソッ
95: 名無しさん:2011/6/29(水) 22:46:20 ID:m0.OUcgNh2
雨々ふれふれもっとふれ
96: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/29(水) 22:53:17 ID:xmOAAvkvQo
夜・鎌「…っ…」ビクッ
濡「お2人はん…ほんのちびーっとだけ黙っとこか?」ニッコリ
夜・鎌「ご…ゴメンナサイ…」ガタガタ
陸「…えっと…」
雪「…」クイクイッ
陸「?」
雪「…あとで、絵本…読んで…?」
陸「あ…うん、いいよっ」
雪「…」ニコッ
傘「…なにこの家族団欒」
千「はは…」
傘「…」ギロリ
千「う…っ」
傘「…はあ……まぁ、過ぎたことは仕方ないか…何か知らないけど、皆楽しそうだしね」
千「…からかさ」
傘「だけど、勘違いしないでよ?妖怪と人間は決して相容れない…計画の変更なんてしないから」
千「…」
97: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/29(水) 22:59:06 ID:xmOAAvkvQo
>>95
私のいい人連れてこいー
98: 名無しさん:2011/6/29(水) 23:00:00 ID:Q2aLegoeTs
面白い!
支援
99: 名無しさん:2011/6/29(水) 23:08:46 ID:TSVlBJhcN.
全力で支援します!
100: ◆AhbsYJYbSg:2011/6/29(水) 23:23:24 ID:MtEPDD/kP2
傘「まあ、その代わりと言ってはなんだけど…
彼に正体を明かすのは、約束の最終日でもいい事にしてあげるよ」
千「!…からかさ」
鎌「おーい、おめぇらそんな隅っこで何話してんだよ。こっちで一緒に食おうぜ!」
傘「はいはい今行くよ…」シブシブ
千「…ふふ」
陸「えっと、君の名前聞いてなかったよね…何君っていうの?」
傘「あー、そういえばそうだったね…
僕は晴(はる)。よろしく、陸くん」
陸「晴くんかあ…素敵な名前だね!」
傘「…そ、そうかな…//」
陸「…はい!」カサッ
傘「!?…折り鶴?」
陸「さっき皆にも渡したんだ…友達のしるしだよ!」
傘「…友達、…」
鎌「へ〜、巧いもんだな。」シゲシゲ
千「陸は、折り紙を母上殿に教えて貰ったんじゃったな」
陸「うん!……あ、いや…」
千「?」
陸「このつるの折り方だけは、違うんだ…
ずーっと昔…誰か別の人が教えてくれた…そんな気がして…
でも、それが誰だったのか…今でも思い出せないまま…」
ザアアァ
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