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猫又「聡依殿っ」
[8] -25 -50 

1: :2011/12/22(木) 21:41:43 ID:wu5lOnqMeM

初めてSSを書かせてもらいます。
一応江戸時代が舞台ですが、勉強不足なもので変なとこもあるかも。
そういうところは、SSだから!と広い心でスルーしてください。
幼稚な文で申し訳ないですが、そこもSSだから!とスルーしてください。
以上のことが大丈夫なイケメンであれば、最後までお付き合いください。

読みづらかったらごめんねっ!


101: :2012/1/6(金) 15:52:27 ID:X67jMh/RMg
バイトの前にちょこっと投下していきます
102: :2012/1/6(金) 15:53:54 ID:X67jMh/RMg

町外れにある妖が住みついていると噂される屋敷の主は、寝起きの機嫌がとても悪い。
特に昼寝を起こされた時などは最低で、誰であろうと容赦がない。
そんな時に客など来てしまったら、もう最悪である。

今日は何が悪かったのか、その最悪にあたってしまったようだ。

ちゃぶ台に肘をつく聡依。
いつものように襖の向こうに置かれたお茶を取りに行こうともせず、黙って客人を見つめている。
もてなす、という気が全く感じられない態度だ。

「で?」

彼の態度に怖気づいた客が言葉を発しないのを知ると、彼は一言、そう言うことで話を促した。つもりらしい。
余計に恐縮した客はおどおどと目をそらし、俯いてしまった。

「聡依殿……」

見かねた猫又である暁が小声で聡依に声をかける。
何? と優しさを微塵も感じない声で聞き返す聡依に、暁も体を小さくする。
聡依は浅く息を吐き、仕方がないと口を開いた。

「それで、どうしたんですか? このままだと単に私の安眠を妨害しに来ただけになるので、ぜひ話してください」

笑顔と言葉づかいだけを見ればとても丁寧で親切に見える。
しかし、その言葉は隠す気など無い嫌味が含まれており、客人はまた、恐縮した。
103: :2012/1/6(金) 15:54:41 ID:X67jMh/RMg


しかし、何も言わなければ嫌味がまた増えるだけだろう。
彼も腹をくくったらしい。

「実は、数日前から嫌な夢を見るんです。それに肩がとても重くて……。もしかして、私に何かついているんでしょうか」

真剣な顔で尋ねる味噌屋の小僧に、聡依はくすっと笑みを漏らした。
一体何を言っているんだ、という態度である。
そんな彼に、暁はため息を吐く。

「肩こりですね」

「いや、でも、緑青さま。夢見も……」

「肩こりですね」

「はぁ……」

ため息を吐く彼に、聡依はようやくお茶を持ってくると勧めた。
どうやら単に自分がお茶請けのまんじゅうを食べたかっただけらしく、客の前だというのにまんじゅうにかぶりつく。

104: :2012/1/6(金) 15:55:48 ID:X67jMh/RMg


「そんなこと、全部気のせいだと思っていればいいんですよ。体に支障はないんだし」

好物を食べているおかげで少しは機嫌が直ったのか、聡依はもぐもぐと口を動かしながら助言をする。
客人はやたらと恐縮し、ちゃぶ台に手をついて丁寧に頭を下げた。

「あ、そうだ。味噌屋さん」

彼は味噌屋と言う名前ではないのだが、どうやら聡依には名前がわからないらしい。
奉公先の名前すらわからないなんて、と暁は片手で額を押さえている。
頭が痛い、というところだろうか。

「肩に糸くずが」

ひょいっと腕を伸ばし、聡依は彼の肩をすっと撫でた。
糸くずを払うには少し優しすぎるものである。
それを見た暁が、琥珀色の瞳を細める。
105: :2012/1/6(金) 15:58:18 ID:X67jMh/RMg

「ありがとうございます」

「いやいや、たかがごみを取っただけですから」

まんじゅうでもいかがですか? と、聡依は勧めながらも、自分が食べたそうな顔をしている。
その手がすでに客人の分のまんじゅうを握っているのを見て、彼は苦笑いをした。

「いえいえ、それは緑青さまがお食べください」

「それはどうも」

言うが早いか、聡依はひょいっとまんじゅうを口に運び、嬉しそうに目を細める。
ついさっきまで不機嫌だった男とは別人のようだ。

「緑青さまの言うとおり、あまり気にしないことにします。そう思ったら肩も軽くなったような気がしました」

笑みを浮かべる客人に、聡依は単純だなぁ、と呟いた。いつもの5割増しで遠慮がない。
そんなことは気にせず、客人は笑みを浮かべたまま言葉をつづけた。

「くだらない与太話に付き合ってくださり、ありがとうございました」

「このくらいの話なら、いつでも付き合いますよ。ただ、この時間に来るのはやめてくださいね」

昼寝の時間なので、とにこやかに言う聡依。
よくもまぁ、働いている人に向かって言えるものだ。
暁は妙に感心し、戒めのつもりで聡依背中を軽く叩いた。


106: :2012/1/6(金) 15:59:31 ID:X67jMh/RMg
とりあえずおまけその1は終わりです。
こんな感じで短い話をちょこちょこ書いていきます(`・ω・´)
ではまたノシノシ
(バイト行きたくないよおおおお)
107: 1:2012/1/8(日) 14:02:27 ID:X67jMh/RMg

今日もちょこっと投下していきます
108: 1*日常:2012/1/8(日) 14:03:53 ID:X67jMh/RMg

近所で評判の妖屋敷の家主は、無類の甘い物好きである
。三度の飯よりも菓子が好き、とのたまう彼は、だし巻き卵ですら甘いものを好む。
多々ある菓子中でも彼は飴に目がない。飴売りを家に定期的に呼んでしまうほど好きなのだ。

そんな彼の飴に囲まれた幸せな生活に、この師走という季節が邪魔する。

「えっ、年明けまで来れないんですか?」

いつものように客間に飴売りの老人を通し、飴を選んでいた聡依が声を上げた。
何事かと隣で一緒に飴を見ていた家鳴りが彼を見上げる。

「えぇ、そうなんですよ。年末はほとんど飴が入ってこないからねぇ。ごめんね」

109: 1*日常:2012/1/8(日) 14:04:42 ID:X67jMh/RMg

「いやいや、いいんですけど……、そうですか」

項垂れる聡依。ごめんねぇ、と飴売りはもう一度謝った。

「今日はあるだけ持ってきたから。好きなだけ買い溜めてくださいな」

「えっ、でも、そんなことしたら年明けまでおじいさんが商売できないじゃないですか」

「いいんですよ。聡依殿はうちの一番の上客なんだから」

その言葉に嬉しそうに聡依は頷き、家鳴りと一緒になって再び飴を選び始めた。


「だからってこんなに買わなくてもいいじゃないですかにゃ」
大量の飴を目の前に、猫又の暁は渋い顔。
それを一つ口に入れ、嬉しそうに口を動かしている聡依はお小言など聞いちゃいない。
家鳴りたちも色とりどりの飴を前に嬉しそうである。

「だって、年明けまで飴がないと思ったら押さえられなかったんだもん」

110: 1*日常:2012/1/8(日) 14:05:23 ID:X67jMh/RMg


子供の様な言い訳をしながら、聡依は飴を数えている。実に30個以上はあった。

「これを一日一つずつ食べれば、年明けまで持つでしょう?」

何やら偉そうに胸を張る聡依に、暁は何も言えずため息を吐いた。

「もう勝手にやってくださいにゃ……」

苦々しい顔をする暁など露知らず、聡依は楽しそうに飴を色別に並べ始めていた。

しかし、年明けまで持つと思われた飴は意外な速さで無くなって行った。
聡依は家鳴りのことを考えていなかったのだ。
そして、聡依自身が飴を一日一つだけで我慢できるわけがないと言うことも。

「信じられないよ……」

111: 1*日常:2012/1/8(日) 14:06:58 ID:X67jMh/RMg
 
残り2つとなった飴を前にして、聡依は目を丸くする。
周りにいる家鳴りたちも危機を感じ取ったのか、きゅわきゅわと一斉に泣き出した。

「いったい誰が食べてしまったんだ」

一体彼は何を言っているのだろう。
食べたのは紛れもなく聡依と家鳴りたちであるのに。

それにしても、この飴が残り2個まで減ったのが飴を買って七日もたっていないと言うのがすごい。
本人たちに自覚はないだろうが、少し食べ過ぎだ。

「まったく、だから言ったじゃないですかにゃ」

後ろから聡依たちを見ていた暁が、深いため息を吐いてそう言った。
なにをっと勢い良く振り返り、涙目で暁を睨みつける聡依。普段と立場がまるで逆である。

「だって、あんなにあったのに!」

112: 1*日常:2012/1/8(日) 14:07:46 ID:X67jMh/RMg

「聡依殿、飴は食べればなくなるんですよ。当たり前じゃないですかにゃ」

「それくらい知っているって! だけど、一生なくなりそうにないくらいあったじゃいか」

「それを聡依殿たちがこの数日で食べてしまったんですよ。驚きましたにゃ」

正論を言われては返す言葉もない。
しゅん、と項垂れ、聡依は残りの飴を口に含んだ。
一つを砕き、家鳴りたちに分け与える。

「飴がないなら、もう何もやる気がしないよ……」

「普段から何もしないじゃないですか」

「うるさいよ、黙ってて」

ぐすん、と鼻をすすり、項垂れる聡依。
流石に気の毒になったのか、呆れていた暁も慰めようとその顔を覗き込むと、

「飴おいしい」

と呟く聡依に呆れ、結局何も言わずに天井を見上げて深くため息を吐きだした。

「こりゃだめだにゃ……」


113: :2012/1/8(日) 14:08:26 ID:X67jMh/RMg
恐ろしいまでのぐだぐだっぷり……。
今日の投下はこれで終わりです
ではではノシノシ
114: :2012/1/11(水) 00:34:19 ID:X67jMh/RMg
今日もちょこちょこあげていきます
115: 1*日常:2012/1/11(水) 00:37:57 ID:X67jMh/RMg


お夏がやってきた屋敷は以前よりも格段に食事の質が上がった。
以前は聡依はご飯と漬物、暁は鰹節がたっぷりかかったご飯のみ、という何とも質素な暮らしをしていたのだが、それを許すお夏ではない。

「今日から家事はあたしがやるから」

腰に手を当て、高らかに宣言するお夏。
台所を覗き、あまりの物のなさに聡依と暁は二人で叱られた後だった。
角が見える、と聡依が呟くと、途端に鋭い視線が飛んでくる。

「お買い物もあたしが行きたいけれど、残念ながらそれはできないからね。聡依、お使いに行ってもらえる?」

「やだ」

「やだ、じゃないの。行きなさい」

強い口調に変わったお夏に怯えたのか、暁が聡依の腕を引っ張る。
大人しく言うことを聞け、と言うことなのだろう。

「じゃあネコが行けばいいだろう。お前、化けられるんだから」

そう言った聡依に、あからさまに嫌な顔をする暁。
面倒くさいのは彼も同じらしい。

116: 1*日常:2012/1/11(水) 00:38:39 ID:X67jMh/RMg

「いやいや、あっしではボロがでるかもしれませんにゃ」

「いいよ、誰もそんなの気にしないし」

「聡依殿は気にしなくても、あっしは気になるんですにゃっ!」

「じゃあボロが出ないように気をつけなよ、バカだね」

「にゃんですってぇー!」

「ほら、短気。バカで短気で怖がりなんて、いいところないじゃないか。おまけにお使いもできない」

「にゃにゃにゃっ! それ以上言ったら、いくら聡依殿でも許しませんにゃああっ!!」

 途端に口論を始めた二人。そんな彼らは気付いていなかった。
一度落ち着いたはずのお夏が、再び般若に戻っていたことに。

「そんなにもめるんなら、二人で仲よく買い物に行ってきなさーいっ!!」

ビクッと体を震わせ、耳を伏せる暁。
その隣で聡依はあーあ、と呟いた。

117: 1*日常:2012/1/11(水) 00:39:32 ID:X67jMh/RMg

「イワシ、イワシ……、ネコ、イワシは八百屋か?」

「イワシは魚ですにゃっ! 聡依殿はそんなことも知らないんですかにゃ……」

浅葱色の着流しを着たまげを結わない男と山吹茶色の着流しを着た妙な男が並んで歩いている。
先ほどから人目を引いているのを全く気にせず、そんな会話を繰り広げているのは、もちろん聡依と暁の二人である。

「しっかし、お前は人の姿だと随分間抜けな顔になるんだね」

「にゃっ、なんですにゃっ! その言い草は」

「事実ですよ。大きな垂れ目なんて、アホにしかみえない」

お夏に渡された覚書を見ながら、聡依はしれっとそう言った。
その隣で怒りに身を震わせる暁。どうやら先ほどの喧嘩がまだ尾を引いているらしい。

「さて、それじゃあ魚屋にでも行くかね。イワシを買いに」

118: 1*日常:2012/1/11(水) 00:40:26 ID:X67jMh/RMg

ふわっと大きな口を開けて欠伸を一つ。
ふらふらと歩く聡依に暁はむくれた顔でついて行った。

いざ、魚屋についてみると、元が猫である暁の機嫌はころっと直ってしまう。
キラキラと目を輝かせ、並んだ魚と聡依の顔を見比べていた。

「だめだよ。イワシを頼まれているんだから。それ以外はいらないよ」

眉をしかめる聡依に、項垂れる暁。

「どうせ聡依殿だって、途中でお菓子買うじゃないですか」

「それとこれは別だよ」

「別じゃないですにゃっ!」

「別に決まっているじゃないか。誰が魚なんて欲しがるの」

それを魚屋の店先で言うのはどうかと思うが、常識もないのがこの男である。
呆れたようにため息を吐く聡依に、未だに諦める気配のない暁。

「お魚、食べたいですにゃ……」

「だめです。鰹節なら、まだ家にたくさんあったじゃない。それで我慢しなさい」

119: 1*日常:2012/1/11(水) 00:41:04 ID:X67jMh/RMg


「鰹節じゃなくて、お魚がいいにゃあ……」

大体まだたくさん買い物が残っているんだから。
聡依は呟きながら、覚書を暁に見せる。
暁はひょいとそれを覗き込み、その多さに目を丸くした。

「味噌、しょうゆ、大根、ゴボウ、春菊……、だっ、誰がこんなに食べるんですか……」

「知らないよ。この量じゃ、私の菓子も買えないかもしれない」

はぁ、とため息をついた聡依に、暁は目を光らせた。

「聡依殿、こうすればいいんですにゃ……!」

「えっ?」

120: 1*日常:2012/1/11(水) 00:42:01 ID:X67jMh/RMg


屋敷で二人の帰りを待つお夏はご機嫌だった。
もともと家事の中では一番料理が好きで、小料理屋に奉公に出たいと思ったこともあったくらいだ。

「今日は二人を驚かしてあげるんだから……」

鼻歌を歌いながら台所で鍋を磨く。
その後ろでは太助が彼女の呟きに耳を傾けながら、三味線を磨いていた。

「そんなにうまくいくかね。あの二人にお使いを任せて」

ふぅ、と息を吐く。そんな太助の心配がご機嫌なお夏の耳に届くことがなかった。

「ただいま帰りました」

玄関の方から声が聞こえる。
帰ってきたっ! と小さく声を上げ、鍋を放り投げてすっとんでいくお夏。
その様子を見ながら、太助は心配そうにそちらの方に顔を伸ばした。
その直後だった。

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