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チーム:SS板【イコール】
[8] -25 -50 

1: 名無しですが何か?:2012/3/4(日) 10:54:46 ID:1lvOPQUkic
お題【イコール】

下記の順番でお願いします。

◆rVJzEQ7fWg
◆KCXDu/KctI
◆xT/7hZrSec
◆DPehMNPNeE
◆J43/PIljHc



14: ◆xT/7hZrSec:2012/3/6(火) 14:06:47 ID:EP08C/NP8w
姉はそれから歩み寄る努力を重ねた。
あれほどタイミングをずらしていた行動パターンも徐々に重ねていった。
妹は最初は訝っていたが、今ではそういうものだと思うようにしたようだ。
拒否をしない妹の姿勢もまた嬉しいものだった。
だが、それは見えない壁の存在を浮き彫りになることでもあった。


15: ◆DPehMNPNeE:2012/3/6(火) 15:46:44 ID:y0La/lnEkw
壁が教えてくれる。双子で容姿が似ていても二人は違う人間だということ。
わっかの中の景色も、夢の中の記憶も。姉と妹の現実も全て違う。

A(私のわがままなのかな)

フォイフォイフォイフォ♪フォイフォイフォぴー♪

A「え……目覚まし!?ってなによ、時間まだじゃない」

フォイフォイフォイフォ♪フォイフォイフォぴー♪

フォイフォイフォイフォ♪フォイフォイフォぴー♪

A「ああもう、うるさい!!!考え事ぐらいさせてよ!もう」

何故か明後日の方向にある目覚まし時計を足で乱暴に止めた。
16: ◆J43/PIljHc:2012/3/6(火) 19:51:24 ID:BbaxKm3gIw

 再び沈思に陥る。結局私の行動は私だけの我が侭なのか。
 そうではないと信じたい。しかし妹もまた同じ考えであるなんてことはない。
 頭では分かっていても期待してしまっている自分がいる。

「……フォイ……」

 小さくため息を吐き……ん?今私フォイって言った……?勘違いか?
 いや、勘違いなどではない。確実に言った。何か、恥ずかしい。
 昨日男がフォイフォイ言いながら中二なラノベを書いていく小説を読んだ影響か……。

「もっかい寝よ……」

 幸い今日は三連休の一日目だ。いつもより寝ても大丈夫だろう。
17: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/6(火) 20:43:22 ID:lXkAgHmQqs
━・━・━・━

「AちゃんとBちゃんってちょっとさ、へんだよね」

『え?』

「だっていっつも、いっしょだもん」

『べつにへんじゃないもん。ふたごだから』

「でもへんだよ。はなすときだって、ふたりでおんなじこというし」

『そんなことない!』

「ほら、またさあ」

「ちがうもん」「ちがうもん」

「へんだよ。ぼくもおにいちゃんいるけど、ふたりっきりであそんだりなんかしないし」

「それはふたごじゃないからよ」

「あたしたちふたごだもん」

「へんだよー、ばーかばーか」

『ばかっていったほうがバカだし!』

「じゃあ、りゅうさんのようにばーか」「すかしっぺ大明神」

『りゅうさんはばかじゃないし、変態だし!』

「誰だ今の」

━・━・━・━
18: ◆KCXDu/KctI:2012/3/6(火) 21:48:01 ID:ElXyDhEUa6
「夢……か……」

二度寝から目を覚ます。
額に手を当てると、掌に水分が付着する。

嫌な夢だった。昔の記憶。
だけど、この前見たような楽しい記憶ではなかった。
嫌な思い出、思い出したくない記憶。
何故か、実際に無かった事も混ざってたけど。
た、たぶん寝る前に見てた掲示板の影響だろう、うん。

「はぁ……、ちょっとネットに影響され過ぎね……」

自嘲気味にそう呟く。

19: ◆xT/7hZrSec:2012/3/6(火) 23:17:40 ID:pujcQVYvg2
呟いたことで現実が確かなものとなり、姉は冷静さを取り戻した。

A「変じゃないもん…」

呟く。
だが、既に冷静さを取り戻した頭では、虚しいものとなった。
その虚しさはじわりと広がり、姉は飲み込まれるかのような感覚に陥る。
まるで、吸い込む空気が固体のように感じる。

A(…たすけて)

自然に浮かぶ言葉。

B「…何?気分悪いの?」

その瞬間、空気は気体へと戻った。
20: ◆DPehMNPNeE:2012/3/6(火) 23:46:52 ID:OHNAmGN8GQ
A「見ての通りです」

汗を吸って重たくなったパジャマを扇いでアピールする。姉としてのちょっとした見栄。

大丈夫。まだ平気。弱った姿なんて見せたくないもん。

B「涙」

素っ気なさを装った言葉の後、私の頬に手が伸びて来た。

A(ああ、拭い切れてなかったか)

考えている間に指先が頬を掠め、また戻る。本能的に指を目で追い掛けると、薄く朱い唇にたどり着いた。

B「しょっぱいね」

B「この意地っ張り」

私は妹を真っ直ぐ見られなかった。
21: ◆J43/PIljHc:2012/3/7(水) 06:50:27 ID:67CEghovMM

 妹から視線を逸らす。蹴飛ばした目覚まし時計が見えた。可哀想なことをしたな、なんてぼんやり思った。
 妹が動く気配がした。部屋に帰るのだとばかり考えていると、目元に柔らかさと温かさを感じた。

A「B……?」
B「何」

 若干不機嫌そうに答えるも目元を舐めるのは止めない。
 それは不器用な妹の、妹なりの慰め方だった。
22: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/7(水) 08:48:26 ID:8V9cXB7trM

A「これはちょっと、変じゃない?」

B「双子だから、変じゃないって言ったのはAでしょう」

A「それでもこれは変だって……っ」

ふ、と妹の息が姉の耳にかかる。

驚いた姉の体が縮こまると、妹はその耳を舌で舐めあげた。

A「んぁ……」

B「A……」

心のどこかでこんな展開を期待していた気がする。姉は切なそうに妹の顔を見た。








話は全部     |
聞かせて貰ったよ!|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\| ̄ ̄
 |┃三
 |┃   @@@
 |┃ ≡ @# _、_@
_|ミ\__(  ノ`)←母親
 |┃=__ ^  \
 |┃ ≡ )  人 \
23: ◆KCXDu/KctI:2012/3/7(水) 12:18:22 ID:xZgsXzpN3.
AB『あっ』

母「ふふん、やっぱり思った通りだったわ。あんた達はカモフラージュの為に仲が悪いふりをしてた。そうでしょう?」

A「え、えっとこれは……」

母「皆まで言うな、皆まで言うな。否定してもだーめ、私には分かるわ。この部屋の空気は百合の味がすると!!」

呆然とする姉妹を無視して、母親の話は続く。

母「私は高校時代、お姉さまと後輩たちから呼ばれていた過去を持つ女。そんな私からすれば、あんた達が百合姉妹だって事は一目瞭然!!」

部屋に衝撃が走る!
ドヤ顔の母親!話に着いていけない姉妹!
もうやめて!姉妹のライフはもう0よ!

だかしかし、母親のターンはまだ続く!

母「大丈夫、私は決して止めはしないから安心して。ただし……条件があるわ!」

ゴクリ。母親の気迫に押される二人。

そして母親は、荘厳に口を開いた。

母「次からは、私も交ぜなさい!」

AB『…………………………』

母「なんなら、お姉さまと呼んでもいいわ」

A「……顔洗ってこよーっと」

B「……お茶のんでこよーっと」

母「えっ、ちょ、ちょっと待ちなさい!まだ話は終わってないわよ!あ、ちょ、ま、待ってぇぇぇえええ」

━・━・━・━

後に、その時の事を振り返って母親はこう語る。

「そうですね、あの後から二人が私の目を見てくれなくなった気がします。私、なにか間違ったことしたでしょうか?」

ある意味、幸せな人である。

━・━・━・━
24: ◆xT/7hZrSec:2012/3/7(水) 12:56:51 ID:mH7YBHqpN6
B「別に、そういう対象としてはみてないからね」

A「あ、う、うん…」

B「なんかさ、ノリっていうか」

A「ドキドキしたよ!」

B「私も。でも、お母さんにはウケたよね」

A「確かにね!」

B「私も、本当は変なのかもとか、不安だったよ」

さらりと言われた言葉に、思わず聞き返した。

A「…え?」
25: ◆DPehMNPNeE:2012/3/7(水) 14:52:31 ID:SCVpaFk/8g
B「これからも一緒でいいよね」

A「……え。どういう、意味?」

B「マルマル♪フォイフォイ♪みんなフォイフォイ ♪」

A「……え!?」

B「寝言」

B「ねえ、なんでマルフォイなの?修造さんじゃ駄目なの?」

A「……ええ!?」

B「修造さんはあんなに格好良くて、熱くて、運動神経良くって、熱くて、うざいのに」

A「マ、マルフォイだって……………マルくて、マルくてまあるい、よ?」

B「はあ?もっと熱くなれよ!!!濡れたパジャマ脱いだ脱いだ」

脱がされた。お腹がまあるい。後にトラウマになりそうなセリフを吐かれてしまった。
26: ◆J43/PIljHc:2012/3/7(水) 19:27:59 ID:0JZBd7ZYdQ

B「何だその気の抜けた顔はぁ!?いいか、マルフォイなどわけのわからん物に傾倒するのはなぁ、お主の精神が弱いからだぁ!!」

B「だからお主は強くならなければならないっ!!その為には毎日腹筋背筋腕立てジョギングオナニーを一万回するんだぁ!!」

B「そして【自主規制】を忘れるでないぞ」

 私のあの大人しかった妹は何処へ……。
27: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/7(水) 21:34:25 ID:cD.fRJy5J2

けれども、こんなに屈託なく話せたのは久しぶりだ。
姉はにっこりと微笑んだ。

A「Bが、お手本を見せてくれたらやるよ」

B「やだ」

妹もにっこりと微笑んだ。

母親「私がやろう」

母親はにんまりと口角をつり上げた。

A「やだ気持ち悪ぅい」

B「ちょっとおかしいんじゃなぁい?」

今ドキのJK2人に極めて冷静に言われ、母親はおおいに凹む。

母親「そんな……っ。今更反抗期だなんて………っ。認めん………認めんぞぉぉぉおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

そんな風に笑い合いふざけ合って、彼女らは本来の仲良し家族に戻ったかのように見えた。
否、少なくともこの瞬間はそうであった。





父親「(´・ω・`)」
28: ◆KCXDu/KctI:2012/3/8(木) 01:29:04 ID:/vrrKtI4eI
三人『お父さん!?』

父「お父さんです……」

母「今までどこに行ってたの!?というかその格好はどうしたの!!」

ヨレヨレの服にボサボサの髪、伸びまくりの髭。妻が驚くのも当然だ。

父「ははっ。ちょっと色んな事に巻き込まれちゃってね、世界を5周くらいする羽目になっちゃって……」

A「なんで連絡しなかったの!?半年くらい経ってるよ!?心配……はそこまでしてなかったけど」

B「うん、心配はしてなかったね」

反抗期姉妹、ボロボロの父親に容赦なし。

父「AちゃんもBちゃんもそんな冷たいこと言わないでよ……」

がっくりとうなだれる父親。流石にかわいそうと思ったのか、母親が助け船を出す。

母「お父さん、違うの、二人ともツンデレさんなのよ。」

AB『誰がツンデレやねん!!』

この姉妹、なんだかんだで息ぴったりである。

29: ◆xT/7hZrSec:2012/3/8(木) 12:07:06 ID:swgGWexsOc
久しぶりの家族団欒。
ふと、父親が呟いた。

父「良かったなあ…」

それは誰に聞かせるでもない言葉だったのだろう。
だが、だからこそ、何気ない言葉は胸に深く響いた。
30: ◆DPehMNPNeE:2012/3/8(木) 13:16:00 ID:0E6ReCWvZk
父「おお、そうだ土産があるんだった」

黒ずんだ布袋を黒ずんだ指で漁る。出て来るのはがらくたの山、生活感溢れる品々。

母「今回は何?きのこの山?タケノコの里?」

A「きのこ」

B「タケノコ」

父「にょっきっき」

言うと同時に目当てを見つけた。

父「栗の花だ、ほれ母さん」

AB『私たちのは?』

父「お前らが男に花を貰うには10年早い」

母「たまには父親らしい事をしなさいよ」

父親撃沈。それからしばらくは、無言で次の旅先を模索していた。
31: ◆J43/PIljHc:2012/3/8(木) 14:41:48 ID:oJgqTZyDuc

 朝。三連休三日目。父親はもう既に旅に出たらしい。
 部屋から出ると妹と出くわした。

「はよー」
「んーおはよ」

 一緒に階下に行く。たんたん、とリズムよく階段を下りる。
 一日暇なので何をしようかあれこれ考えるが今一つ気が乗らない。すると妹が口を開いた。

「姉ちゃーん今日買い物行こー」
「買い物?」
「うん」

 まぁ仲直り……になるかは分からないけどまた仲良くなれたし、買い物、行こっと。
32: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/8(木) 19:30:29 ID:ltdTWDWnq2
すみません、パスで
33: ◆KCXDu/KctI:2012/3/8(木) 21:55:43 ID:MjTo0WShvc
妹に歩みより始めて一ヶ月、登下校は一緒にするようになっていたものの、休日に一緒に行動するのは初めて。
姉の心は喜び半分、不安半分。
これを機に、より近付きたいと思うものの、もっと時間をかけた方が……という思いも大きい。

B「ほらー、早く行くよ〜」

玄関から、妹が呼ぶ声が聞こえてくる。

A「大丈夫、大丈夫。きっと上手くいく」

姉は、そう自分に言い聞かせ、玄関に向かった。
44.54 KBytes

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sage:


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