お題【イコール】
下記の順番でお願いします。
◆rVJzEQ7fWg
◆KCXDu/KctI
◆xT/7hZrSec
◆DPehMNPNeE
◆J43/PIljHc
34: ◆xT/7hZrSec:2012/3/9(金) 00:32:16 ID:oslv.5eYcU
A「何買うの?」
B「誕プレ」
A「誰か誕生日だったっけ?」
B「うん、友達のねー」
名前を言わないということは、自分の知らない友達なのだろう。
クラスも違うのだから当然だ。
姉にも妹の知らない友達はいる。
だが、なぜか違和感を姉は感じた。
それは、怒りや疎外感、嫉妬や孤独とは違う。
ただ言い様の無い違和感。
35: ◆DPehMNPNeE:2012/3/9(金) 01:18:49 ID:IOn2eWI1Hc
無理矢理言葉に起こすなら、なんだろう。
足場が緩やかにに崩れ始めたような。
勘違いに気付かされてしまった瞬間のような。
わっかと裸眼。妹と姉。昔と今。建前と本音。エラーエラーエラー。心の雑音が邪魔だ。
≠
A(全てがもっとわかりやすければ良いのに)
小物を物色している妹を眺める。近いようで遠い間隔と感覚。それはきっと、私には掴めない二人の距離を表していた。
B「…何?気分悪いの?また?」
妹に声を掛けられ、気持ちが急速に浮上する。不安は反転し、喜びに。
B「最近多いよね。病気なんじゃないの?」
返事を待たずに進める妹、ぎこちなく微笑む姉。
最近の私達の関係に。いや、違う。私自身に違和感が芽生えた。
36: ◆J43/PIljHc:2012/3/9(金) 08:08:24 ID:IZEwmfHPwo
妹「大丈夫だよ、お姉ちゃん」
妹は何が、とは言わなかった。
妹「私はずっと──だよ」
違和感が急速に膨らんでいく。脳が言葉を聴くことを拒絶する。妹を見ることも、触れることさえも拒否する。違和感という違和感が、感覚が、胸を頭を私を満たしていく。
そう、違和感が。違和感が、違和感が違和感が違和感が違和感違和カンイワカンイワカンイワカン──!
ハッと目を開くと妹の心配そうな顔があった。
37: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/9(金) 20:23:05 ID:jqvESfnE.I
B「やっぱりなにかの病気?病院とか行かなくても大丈夫?」
姉は答えずににこりと笑って見せた。
?「あれ、お前ら二人で出かけてんの?めっずらしー」
AB「えっ?」
男「俺だよ、俺、俺」
人懐こい笑みを浮かべたこの男、姉妹と同じ歳の幼なじみである。
男女の幼なじみには良くあることで、成長するにつれだんだん疎遠になってはいたが、小中高と同じ学校に通う正真正銘の幼なじみだった。
男「あー、でも、昔はよく二人で遊んでたよなー。俺がいてもなーんか仲間外れでさあ」
B「それ、あんたが女の子の中に入ってたのがおかしいのよ」
男「そういうものかねぇ」
妹と男は懐かしそうに笑い合う。思春期特有の男女の微妙な距離感を、気にするような素振りはなかった。
変わりつつあった。
38: ◆KCXDu/KctI:2012/3/9(金) 20:39:44 ID:zKUznGmCP6
すいません、ちょっと時間ないのでパスしてください。
39: ◆xT/7hZrSec:2012/3/10(土) 00:30:14 ID:vbxn/7iNoc
何かが変わりつつあった。
そう、きっとすれ違っていた妹との関係を変えようと行動したからだ。
だが元を辿れば、こいつの心無い言葉のせいではなかったか?
いや違う。
幼さ故の視野の狭さが原因で些細な言葉を馬鹿正直に捉えたのが悪い。
だがその言葉さえ無ければ…
いや違う…
妹は?
妹は何故、あんな風に笑えるの?
双 子 な の に、 何 故?
40: ◆DPehMNPNeE:2012/3/10(土) 02:14:50 ID:XgcHHaCXQY
妹は覚えていない?
妹は気にしていない?
風船からすは爆発した。
烏は不意に落ちて絶命した。
水玉看板に"らくらい"と書かれていた。
町の伝言板は雷が落ち黒焦げになった。
虹色の川を泳いでいた゛9゛の数字は゛3゛の数字を吸収した。
川を泳いでいた魚はより小さな魚を捕食した。
姉のわっか。
妹のわっか。
________
姉妹は仲違いした。
________
姉妹は勘違いした。
=
≠
ぼんやりと輪郭が掴めた。そんな気がした。ぶれていた焦点が合わさり、気分が落ち着く。
熱を持った頭に冷水の如く声が降る。男、名前は道下……正樹だったか。
41: ◆J43/PIljHc:2012/3/10(土) 15:58:20 ID:at390TEmh.
そうだ。そんな名前だった。道下本屋の次男だ。何度も漫画を買いに行った。
そしてあの日、彼の何気ない一言が私たちを変えた。
妹は変わらず正くんと話している。思うところはたくさんあるが、とにかく今は二人の会話に混ざろう。
すべてはその後だ。
42: ◆KCXDu/KctI:2012/3/11(日) 11:57:49 ID:phUFhS7wzc
12時間過ぎてるのでいきますね。
考えに耽る私を余所に、二人は思出話で盛り上がっている。
言い様のない疎外感。それを拭い取るように、強引に話を変える。
A「それで、正くんはどうしたの?男一人でこんな所に来ちゃって」
今いるのは女性向けの小物ショップ。男が一人でいるのなんて事は、なかなかない。
男「おまえらが見えたから恥ずかしいけど入ったんだよ」
B「なにそれ新手の口説き文句ぅ〜?」
はははと二人が笑い合う。
が、姉の心は別の方向を向いていた。
本当に、そんな理由?
何か、もっと別の何かがあるんじゃ?
外は、厚い雲に覆われ始めていた。
43: ◆xT/7hZrSec:2012/3/11(日) 16:57:31 ID:jGAH6tq0zg
男「なーんか、天気微妙だな」
B「本当だ」
男「じゃ、帰るわ!」
A「あ、うん。気をつけて」
男「おう!
ま た な
!」
今、あいつは何て言った?
B「…?……!………!!」
遠くに妹の声を聞きながら、姉の世界はぐるりと回転し、
ブラックアウトした。
44: ◆DPehMNPNeE:2012/3/11(日) 19:46:43 ID:PQAQ1mPGDA
キリトリセン
_________________
またなまたな
リフレイン。
またなまたな
音階を変え、行間を変えて繰り返す。
またなまたな
雨は水滴、海のしずく。
またなまたな
声は空気、空のかけら。
またなまたな
歌うように。
またなまたな
崩れた私、意識のきれはし。
またなまたな
心の水面は乱れ、波紋は広がる。
またなまたな
反転。
汚れた私はしまいましょう。畳んで畳んで、シワを伸ばして綺麗な箱に。仕上げにリボンで飾って出来上がり。
出来上がり。
_________________
キリトリセン
45: 何この回転率の早さと難しさw ◆J43/PIljHc:2012/3/11(日) 20:31:31 ID:7K8pCRrNtQ
姉はめまぐるしく流れていく記憶を眺める。ふと、走馬灯という言葉が浮かんだ。馬鹿馬鹿しい。
あの日の記憶が流れてきた。あの時の私が、妹が、彼が、笑い合っていた。
──遠い日の幻想。感情の錯覚。夢の想い出。
走馬灯を見るのは彼奴の方だ。絶対殺す殺シテヤル──!
あいつを殺せば私たちは、一つになれる。
46: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/11(日) 22:49:14 ID:fnmsbMb4Pg
ばらばら
ばらばら
B「ああ、雨だね」
妹の声が遠い。
B「傘、持ってきた?」
姉はゆっくり首を横に振る。
B「じゃああたし、この傘といっしょに誕プレ買ってくるよ」
そこで姉はやっと現実に引き戻された。
あたしいまなにをしようとしたの
B「じゃあA、帰ろうよ」
戻ってきた妹の手に傘は一本。
人はふたり。
B「せっかくの相合い傘なのにAが相手なんてつまんなーい」
妹が言う。
姉は、醜い自分を綺麗に隠すために一言いうだけで精一杯だった。
A「お互い様よ」
雨はいつしか本降りになっていった。
47: ◆KCXDu/KctI:2012/3/12(月) 10:17:53 ID:fnmsbMb4Pg
連休明けの朝、気だるい体を起こし、時計に目をやる。
珍しく、目覚ましが鳴る前に目が覚めた。
リビングに行くと、忙しそうに家事をしている母親が、姉を見て意外そうな顔をする。
母「珍しいじゃない、Aが早く起きてくるなんて。Bといい、今日は槍でも降るのかしら」
なんて笑いながら言う母。しかし、姉はある一点に引っ掛かった。
A「Bが、どうした……の?」
母「用事があるっていってもう出かけたのよ〜。あんた達2人とも、いつもこれくらいちゃんと起きてくれたら助かるんだけどねぇ……」
母の小言は、しかし、姉に届くことはなかった。
Bが、もう出かけている。その事実に、心がざわつく。
何か、大切な事を見落としている。そんな気がしていた。
48: ◆xT/7hZrSec:2012/3/12(月) 13:59:09 ID:IIyU6frlBI
姉の様子に、母は手を止めた。
A「何?」
母「二人が仲直りして良かったと思ってる」
A「いきなり何よ」
眉を寄せる姉に、母はまっすぐ視線をぶつけた。
母「悩みや不安があるならいつでも話して頂戴」
A「…別にっ」
そうして走り去った姉を、母は見送り溜め息をついた。
49: ◆DPehMNPNeE:2012/3/12(月) 17:53:13 ID:hA9AWfqbSg
ムカムカする。
八つ当たりなのは理解していた。だが、簡単に抑えられるようなら苦労はないだろう。
A(わかったようなこと言わないでよ。気休めじゃないの)
プレゼントを買った+不自然に早い朝=
イコールの先に私はいない。
それでも、願望に惹かれてけもの道に足を向ける。わっかを通して見た景色の中で妹はそこにいたから。
同じ気持ちなら。等しい気持ちなら。
=
既に答えが出ている式を頭に浮かべながら、延々と考える。
やがて、肩で風を切る勢いも弱くなる。疲れもあった。体の疲れか、精神の疲れか。はたまた両方なのか。
なにより近付く程に怖くなった。妹に、けもの道に。
答えを見るのに堪えられなくなり、私は学校へ向かった。
50: ◆J43/PIljHc:2012/3/12(月) 20:45:40 ID:NZ0gmpkD7I
沈んだ気分で席に着く。何人かの友達が挨拶してくれたが生返事を返しただけ。
─────────
みな不機嫌な事を察したらしく昼休みになっても誰も話しかけて来ない。嬉しいと言えばそえなのだが、考える内容は妹の事ばかり少々辛い。
A(私は妹とイコールで結ばれる事はないのだろうか……いや、ないか……)
答えはもう出ている。それを自覚している。
それが何。ほしい、ほしいよ。妹は誰にも渡さない。
私の覚悟はもう決まった……!
51: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/13(火) 09:19:19 ID:uqxtVPBJCA
椅子を蹴りたてて立ち上がる。随分大きな音がした。
まわりのクラスメイトは驚いた顔で姉を見る。
弁当は既に食べ終わった。
――この時間、Bは図書室か。
双子の勘と、今までの経験。それら二つを寄り合わせて居場所を割り出す。
そこに何があるか、は問題にしなかった。
均衡は崩れた。等号は不等号に。
姉の思いは重すぎた。
けれども少女は気づかずに、天秤をさらに傾ける。
A「B!」
52: ◆KCXDu/KctI:2012/3/13(火) 11:26:16 ID:IE9FPZTe0o
妹の名前を声に出す。
すれ違う子達が驚いているのが分かる。
そりゃそうだ、一心不乱に廊下を走ってるだけでも珍しいのに、さらに名前を叫んでるんだから。
だけど今はそんな事を気にしていられない。一刻も早く妹の元へ。
図書室に入り、中を見回す。目に入るところにはいない。と、いうことは奥の方か。
いた!
図書室の奥で本を探している姿が視界に入る。
A「B!」
B「ひゃっ!?って……なんだAか〜、ビックリさせ……ってちょっとなに!?」
妹の腕をつかみズルズルと引っ張っていく。
53: ◆xT/7hZrSec:2012/3/13(火) 16:56:10 ID:wIJeliMEjM
屋上に続くドアの前。
ドアは施錠されていて開くことはなく、人も滅多に来ない。
B「何よ」
ああ、こんなにも自分と同じ反応。
A「Bは私と一緒だよね」
B「はあ?」
A「同じだよね」
不可解な姉の言葉に眉を寄せて、妹は口を開く。
B「双子だけど、私はBでお姉ちゃんはAじゃん」
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