お題【イコール】
下記の順番でお願いします。
◆rVJzEQ7fWg
◆KCXDu/KctI
◆xT/7hZrSec
◆DPehMNPNeE
◆J43/PIljHc
54:🎏 ◆DPehMNPNeE:2012/3/13(火) 18:40:02 ID:9gxDSVl8uA
軋む。転がる勢いに任せた感情は、躊躇なく私に負荷を掛ける。
A「同じじゃないの」
沈澱する重りを固めた言葉がするりと出た。淡々とした答え合わせ。甘いものが入る隙間など、ない。
B「Aは同じが良いんだ」
B「いつも、いっつもだ。わがままだよ。振り回してばっかり。私の気持ちを考えたことが一度でもあった?」
天秤の向こうにも重いものがあったようだ。内容が何であれ、嬉しい。
B「Aは私が大切じゃないんだ。だから簡単にそんなことを言える」
A「違うよ。勘違いしてる!!!」
大切じゃないだって?簡単だって?
怒りと悲しみと後悔がないまぜになって、偏り軋む。さっきの負荷とはベクトルが異なる負荷。
迷った挙げ句。
逃げたい。結局はいつもの考えに帰結する。
混乱した目に最初に映ったのは四方の柵だった。
手近な柵にしがみつく。その先など見えず、今はひたすら逃げたかった。
55:🎏 ◆J43/PIljHc:2012/3/13(火) 22:58:28 ID:sy4TdTqfb6
Bの横を走ってすり抜ける。Bの制止の声が聴こえた気がした。何も考えずただ走る。そして──
B「お姉ちゃんっ!!」
体が宙に舞う。空を飛ぶような感覚。蒼い、蒼い、真っ青な空だけが眼に映っている。風が少々寒い。
地上にはまだ到達しない。いっそ到達しなければいい。白ウサギの井戸のように。どこまでも奈落に……。
Aのすぐ下のコンクリートに真っ赤な緋い花が咲いた。人々の甲高い悲鳴は季節外れの開花を喜んでいるよう。
56:🎏 ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/14(水) 12:05:31 ID:n8fTcDe3SQ
まるで夢の中にいるようで、妹の足下はふらついた。
いや、最早、妹ではないのかもしれない。
騒ぎを聞きつけ野次馬たちが集まってくる。
少し遅れて教師がきて、それから、救急車の鳴る音。
屋上の壊れた扉の向こうに、倒れた妹がいた。
男「―――っ!」
彼女の体を揺さぶっても、ゆらゆらと力無く動くだけ。
双子は怪我などの痛みを分かち合うと言うから、まさか、と思った。
保体の授業を思いだし、脈と呼吸の有無を調べる。
呼吸も脈も安定していた。
一息ついて、彼女を背負う。とにもかくにも、保健室に運ばなければ。
57:🎏 ◆KCXDu/KctI:2012/3/14(水) 19:47:32 ID:S/.B8nd9vU
男「もうすぐ保健室に着くからな、辛抱してくれよ」
意識のないBに、一人言のようにそう呼び掛ける。
しかし、一人言のはずのその言葉に、予想してもいなかった言葉が返ってきた。
「……は渡さない」
男「えっ?」
だが、それ以上の言葉が返ってくることはなかった。
58:🎏 申し訳ないですが、十二時間ルール適用 ◆DPehMNPNeE:2012/3/15(木) 14:41:05 ID:97ObWMGE.2
妹はその日は早退した。
迎えに来たのは父親で、母親は病院に向かっていたそうだ。
錯乱して屋上からの落下。文句の付け処のない事故。事が事なので、警察も気を遣ったのか事情聴取は後日となった。
途中、木やプレハブの部室屋根に当たったおかげで姉は一命を取り留めた。と、夕方には学校にも連絡が届いた。
職員室に盗み聞きを仕掛けて拾った情報だ。居ても立ってもいられない気持ちはほんの少し落ち着いた。
なんとなく責任を感じて調べた成果はこれだけ。
「……は渡さない」
短い言葉に病的なものを感じられた。
自分は気付ける立場にいたのではないか?そもそも二人の間には一瞬たりとも入る事が出来なかった。
浮かんでは消える自責。
これが幼なじみとの距離。未だに姉と妹を間違えそうになるぐらいの。
男(ハッテン場にでも行こうかな)
59:🎏 前レスの男って道下正樹だよね?名前要らない? ◆J43/PIljHc:2012/3/15(木) 18:53:55 ID:BbaxKm3gIw
ちゃんとしたハッテン場を知らないため想像で書いております
─ハッテン場─
周りの男性たちを眺め、ため息をつく。どうにも気分が乗らないのだ。
これならバーで一杯引っ掛けてその後に適当な女を抱きに行った方が気が晴れただろう。自分の行動を後悔しまたため息をついた。
モブ1「なぁそこの兄さん。よかったら俺らと一発しない?」
モブ2「そうそう。兄さんさっきからため息ばっかじゃん?幸せ逃げるよ〜」
モブ3「2の家がすぐそこだしさ、シャワーも貸してあげるよ」
頭にノイズが入る。今は何も考えてはならない。考えたくない。考えたら、──自分は死んでしまう。
モブ達に大人しく着いていく男の頭に閃いた映像。それはAだった。
そして男は夜明けまで犯され続けた。
60:🎏 すみません忙しいから一文だけ(引越準備中) ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/16(金) 08:21:02 ID:X3/m/moTjA
アッー!
61:🎏 12時間ルール適用します ◆xT/7hZrSec:2012/3/17(土) 00:54:55 ID:YisBEfG4Ko
ーーーーーーーー
姉は眠り続けていた。
いや、目の前にいるのは自分の片割れ。
二人で一人。
故に彼女こそが妹なのかもしれない。
否…
B「私が、B。Aはお姉ちゃん1人なんだよ…」
思わず漏れ出た呟きは、涙を引き連れていたらしい。
頬が濡れていく感覚。
Aは、結果的には重傷で済んだ。
ただし、錯乱状態だったということで、一般病棟の個室にいることになった。
両親は一度家に帰り、着替えなどの準備をしている。
連絡を受けた父親は旅から直ぐ様戻り、混乱した母親を支えていた。
姉の意識が戻らないのは、心因的なものらしい。
B「私が、双子の妹だからこんなことになっちゃったの?」
62:🎏 ◇J43/PIljHcさんへ。その通りです。相談は無しって事なので、判断はお任せですわー。◇rVJzEQ7fWgさん、引越乙ですわ。 ◆DPehMNPNeE:2012/3/17(土) 07:25:44 ID:lQY/PDHNwE
B「同じだったら、触ることも話すことも出来ないのに」
体に障らないよう、髪の端にそっと指を重ねる。汗と血の脂を吸った髪は少しだけ重い。
看護士さんが温かいタオルで拭いてくれたけど、落とし切れなかったみたいだ。
B「振り回して、頑なになって。極めつけはこれ」
B「こんなのが二人になったら周りのみんなが困るよ。誰が面倒見るのさ」
生き写しの鏡を覗き込む。距離があるから見える。多分、同じだと見えない。
≠
B「Aの気持ちがわからないから知りたい、Aが私と違うから欲しい」
B「眺める事しか出来ないわっかの景色よりも、隣にいる貴女が大切で」
B「歪んだ想いと不条理は等しくて」
B「私は歪んだ想いを捨てた」
弱っていた。情けなく痛みを吐き出した。これは形にしてはならない言葉だ。
耳に返る痛みが更に妹を憂鬱にさせた。
63:🎏 ◇rVJzEQ7fWgさんお疲れ様です ◆J43/PIljHc:2012/3/17(土) 15:36:10 ID:Zl6/kKfzlY
この想いはどうすればいい?
姉の事故から二週間が過ぎた。三年生には受験特有の張り詰めた空気が戻っていた。
姉は相変わらず意識が戻らない。そして男──道下正樹もまたあれ以来学校に来ない。クラスメート達はいつもと変わらず談笑している。自分だけが周りから取り残される感覚に寒気を覚える。
世界が変わっていっているのか、私が変わっていっているのか、或いはその両方か。
64:🎏 ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/17(土) 20:21:31 ID:fE7XORbN5U
あ、と声が漏れた。
“自分だけが取り残された感覚”、それはもしかしたら、あの頃姉が感じていたことと似通っている気がしたからだ。
<道下正樹>を、<A>はずっと避けていた。
<B>と<道下正樹>は、幼なじみとして、それなりに仲は良かった。
<A>は、<A>と<B>を同じ物だと思っていた。
一度ずれた物を元に戻そうとし、元にもどっと思えばまたずれて。
それを繰り返すことを姉は拒み、あんな風に―――。
『Bは私と同じだよね』
同一であることを拒んだのは妹。きっかけを作ったのは道下正樹。同一であることに執着したのは姉。
では、綻びを広げたのは?
イコール、全員。
65:🎏 前回はすいませんっ! ◆KCXDu/KctI:2012/3/17(土) 21:51:38 ID:fAzrzYYGY6
誰が悪いとか誰は悪くないとか、そんな簡単な事じゃない。
最初は、気が付きもしないような小さなズレ。
だけど、小さなズレが重なれば、やがて大きなズレになる。
もっと早く気が付いていれば、もっと素直に姉からの歩み寄りを受け入れていれば。
後悔の念が、浮かんでは消えを繰り返す。
もう、どうしようもないのだろうか。元に戻るための扉は閉じられてしまったのだろうか。
66:🎏 私も以前やっちまったのでお気になさらず ◆xT/7hZrSec:2012/3/18(日) 00:32:42 ID:666H/dZvzI
溜め息を知らずについていたらしい。
それを聞いた母親がテーブルを挟んで正面に座った。
母「Aと、何かあったのね」
それは咎めるような口調では決してなかったが、妹は頷くのが精一杯だった。
母「昔ね、言われたの。なんでBと同じ顔なの?って」
妹は弾かれたように顔を上げた。
母「片割れだからよ。って、大事にしなさいね。って言ったわ」
B「…私たちは二人で一人ってこと?」
以前否定したことをひっくり返されたようで、問い掛けは非難めいたものになった。
だが、母親は首を横に振った。
母「1+1は1にはならないのよ…私の娘は二人だわ」
そして、母親はにっこりと笑った。
妹は安心して
大声で泣いた。
67:🎏 ◆DPehMNPNeE:2012/3/18(日) 07:02:47 ID:0xMxSIy0tQ
何故理解してくれないの?
心の中で繰り返し姉にしていた非難は、真っ直ぐ跳ね返って胸をえぐっていた。
あの時、柵を越えて責め立てたのは妹か姉か。
どちらであれ、溝は深く。いつかは訪れる災難だったに違いない。
頭で理解していても結果には納得がいかず。
怒りと悲しみでささくれ立った心に、母の穏やかな言葉が染み入った。
考えていたつもりが、自傷のような真似をしていたと気付かされて張り詰めた糸が切れた。
伸びをして強張った体を解そう。
腫れぼったい目を擦りながら、屈伸をする。
B「あ、擦ると余計に腫れちゃうんだっけ」
冷やして見るかと、冷蔵庫から氷嚢を拾いに行く。
さりげなく台所に食事が用意してあった。流石と言うかなんと言うか。
お目当ては見付けた。試しに氷嚢を直接当ててみる。
B「わっ、つめたー」
久しぶりに明るく素直な声が出た。間を置いてから笑みが零れる。
68:🎏 ◆J43/PIljHc:2012/3/18(日) 09:36:07 ID:67CEghovMM
明日は姉のお見舞いに行こう。行って自分の想いを話そう。姉はまだ目を醒まさないだろうけど、私の声はきっと届くから。
自然とそう思えた。妹はたった二週間とは言え、姉の元へ行くのをご無沙汰していた。
久しぶりに味わって食べた母の料理はしょっぱかった。
69:🎏 すいません、12時間ルールで ◆KCXDu/KctI:2012/3/19(月) 11:17:49 ID:U6JcNKAVDk
「Aさんですね。えっと502号室ですね」
こんな大きな病院に来たのは久しぶりだ。受付のお姉さんに部屋を教えて貰い、姉の元に向かう。
うっかり、母に部屋を聞くのを忘れていたのだ。
それにしても、病院というのは独特な雰囲気だ。生と死が交差しているからなのか。それともまた別の理由なのか。
なんて、姉とは関係の無いことを考えて落ち着こうとする。
姉を見舞うことに一抹の不安を感じているから。
寝たきりの姉を見て平静を保てるのか。自信は全くない。
70:🎏 ◆xT/7hZrSec:2012/3/19(月) 21:03:21 ID:nHzDh4Fv9o
病室のドアを開ける。
2週間前から変わらない停滞した空気。
あまりにも静かすぎるそれに圧倒されて、妹は泣くタイミングを逸した。
B「久し、振り」
口をついて出た声は掠れた。
それでも喉から絞り出すように言葉を続ける。
B「そういえば、昔お姉ちゃんの方が朝弱かったよね」
静かな寝息を立てて眠る姉。
その傍らに妹は座る。
B「やっぱ、同じじゃないじゃんね」
71:🎏 ◆DPehMNPNeE:2012/3/19(月) 23:26:10 ID:48jD1VNWUM
白く、雑菌どころか人間さえも遮る病室。姉にぴったりだと思った。
私はこうはなれない。いつも何処かで妥協して、灰色に染まってしまう。眩しさと切なさが胸を締め付ける。
B「ちょっとごめんね」
気を取り直して頭を切り替える。
容量だけが取り柄の不格好な鞄から着替えやタオルを一式取り出し、使用済みのものをビニールに包んで代わりに詰め込む。
何か作業をしていれば少しは楽だ。視線がそちらに固定されるから。
鞄の外ポケットからハンカチとコップ、歯ブラシを引っ張り出して仕上げだ。
B「出来上がり」
起きたらすぐに使えるように。
まあ、一階に売店だってあるし。そこまで不自由はしないだろうけれど。
お守りみたいな感覚なのかも。きっと元気に起きてくれる。準備を念入りにすればその分早く、と。
72:🎏 幸せは逃げるよ ◆J43/PIljHc:2012/3/20(火) 00:33:58 ID:0JZBd7ZYdQ
する事もなくなり、折り畳み椅子をベッドの傍に置いて座る。静かに眠り続ける姉の顔を見つめる。
「あっ……」
改めて観察してみると顔の造りは同じでも肌の色、黒子、睫毛の長さなど、僅かに違うのだと分かった。
私はBでお姉ちゃんはA、=にはならないんだ。
「ねぇお姉ちゃん、聞いてほしいの」
昨日から考えていた事、今気付いた事、ありったけの気持ちを、考えを伝えよう。
大丈夫、私たちはまたすぐに仲良くなれる。そう信じてる。だから聞いて──私の話。
73:🎏 ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/20(火) 20:27:57 ID:.GH.QQdHf2
やっべえすいませんパスで
前回今回とすいません。
24日が引っ越し当日なので、これからあんまり時間とれなさそうです。
12時間経っちまってたらどんどん飛ばしてください。
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