とある森。
光を浴びた小さな草むら。
花の香りの染み付いた、朽ちた梯子は木にもたれ、その脇近くの土の上には虫が群がる。そこから少しの距離置いて、またも群がる小さな虫。
静かな森に二つの羽音が広がった。
2: 1:2012/3/13(火) 20:47:18 ID:JCMcRY0PdY
皆さん初めまして
このSSは「LIMBO」という、台詞が一つも無いゲームのシナリオに個人的解釈を加えたお話となります
そこでいくつかのご注意を
・このお話自体が重大なネタバレです
・グロ、鬱に耐性の無い方はお気をつけ下さい
・横スクロールのアクションゲームなので、ご都合主義なアイテムや罠が登場します。悪しからず
・ゲームのイメージを崩壊させてしまうかもしれません
・あくまで自分の解釈であり、これが正解というわけではありません
こんな感じで進めていきます
それではよろしくお願いします
3: 1:2012/3/13(火) 20:50:31 ID:JCMcRY0PdY
* * *
少年は目を覚ましました。
ぽつんと一人、草むらに四肢を投げ出した幼い少年が。
彼のまなこに広がるは暗い暗いモノクロームの森。
さわりと揺れる空気に包まれて、
数度目をしばたいて
草と土の冷たい感触を手に感じ
ぱきりと小枝を足で踏み
少年は一人立ち上がる。
ある日突然ぽつりと消えた、妹を探しに。
4: 1:2012/3/13(火) 20:54:13 ID:dfutephwdY
あてなんてありません。
あるはずがありません。
だってこんな森、少年には見覚えがないのです。
しかし進むしかありません。
大切な妹に会うために、前へ前へ。
モノクロームの森の中
背中についた土を払い
きらきら光るその瞳で前見据え
帽子のつばをくいと引き、
歩き出すはLIMBOの世界。
5: 1:2012/3/13(火) 20:58:49 ID:dfutephwdY
巨大な木の脇くぐり抜け
折れた大木飛び越えて
下る坂道小さなトンネル暗い道。
抜けるとそこに船がありました。
その船には帆がありません。しかしそれ以外には何も問題の見受けられない、綺麗な木製の船でした。
少年は迷わず船に飛び乗って、
小さく見える向こう岸を目指し
じゃぶりじゃぶりと緩い流れの川を進みました。
大きな大きな川でした。
白く光る不思議な川でした。
向こう岸まで渡って船を降り、坂道滑って反る崖登り。身軽な少年ひょいひょい進む。
6: 1:2012/3/13(火) 21:03:04 ID:dfutephwdY
虫がわんわん飛んでいます。
風がふうふう吹いています。
歩を進めると草や砂利や小枝と靴がぶつかってじゃりりさくさく、音がします。
するときらり、森の中に無機質な光が見えました。
鮫の牙の様な鋭いとげを携えた、大きな金属の口がありました。
獲物を飲み込むのを今か今かと待っているかの如く
それは大口をあけています。
7: 1:2012/3/13(火) 21:06:15 ID:dfutephwdY
所謂とらばさみ、というものでした。
少年にはそれが何だかわかりませんでした。
危ない機械であることは、牙を見ればわかります。
しかし少年にはやはり、それがどんな風に危ない機械なのかはわからないのです。
気になった少年は足元の小石を拾い上げ
ひょいとそこに投げ入れてみました。
がしゃあん!!と金属のぶつかる音がしました
8: 1:2012/3/13(火) 21:07:13 ID:JCMcRY0PdY
静かな静かな森の中。
大きな大きな金属音が鳴り響く。
耳が痛くなる程のその音は純粋で真っ黒な
悪意があるように感じられました。
もし彼がそれを踏むならば、挟まれた部分を境目に、身体は二つになるでしょう。
そんな予感か確信か、
そんなものが顔を出す音でした。
だから少年は牙を踏まないように慎重に、しかし身軽に飛び越えます。
着地した振動に反応したのか、後ろでがしゃん、先程と同じと大きな音がしました。
9: 1:2012/3/13(火) 21:58:29 ID:Y94rLx4y/E
どうにかこうにか罠を抜けたことに安心し、さくさく進む少年の
目の前立ちはだかる小さな崖。
小さくとも崖は崖。
手を伸ばしてもへりに届きそうにありません。
仕方なく少年は何か崖を登るためのとっかかりを探し
ぐるりと周りを見渡しました。
すると崖に沿って生えた木々の中
とある木の枝しなる枝
そこには縄が垂れています
そこには何かが吊されいます
10: 1:2012/3/13(火) 22:03:39 ID:EkZRbngOOM
モノクロームの森の中
しかし少年はその“何か”が何なのか
鼻をつく腐臭でわかりました
わかってわからぬふりをしました
“何か”を吊した縄を登り
向かいの崖に飛び乗って
少年は続く坂道へ
知らんぷりして進みます。
11: 名無しさん@読者の声:2012/3/13(火) 22:07:11 ID:EkZRbngOOM
坂道を越えるとそこは大きな水溜まり
足をついて進むことは不可能そうです
泳いで進もうとした少年はざぶりと光る水へ足をいれました。
しかしなんだかおかしいのです。
なんだか水に入ったら力が抜けてゆくのです。
まるで水が、魂を吸い取るかのように。
不安になった少年は泳ぐのを諦め、なんとか渡る方法を探しました
12: 1:2012/3/13(火) 22:12:56 ID:EkZRbngOOM
ぐるりと見渡し何も見つからず
次は上を見上げると
大きな木の枝その先が
今にも折れそうになっていました。
少年は小さな枝を伝って
木の上へ上へと登りました。
そうしてその折れそうな枝へ辿り着くと
勢いよくそれを押し
その枝は下へ落ちてゆきました。
少年もまた下へと下りて落ちた枝を水辺に押して浮き島変わりにして
ようやく水溜まりを抜けました。
13: 1:2012/3/13(火) 22:47:18 ID:ss50EpOVDo
中々見やすいレイアウトにできない…
書きながら精進しようと思います
とりあえず今日はここまで!
少しでもこのゲームの雰囲気を伝えられるよう頑張りますので、明日からもよろしくお願いします
14: 1:2012/3/14(水) 19:14:35 ID:0yvaffDDhE
少年は何となく、上を見遣りました。
足元ばかりを気にして歩いていたので空を見たくなったのです。
見上げた空もまた
ただのモノクロームだったけれど
少年は見上げた視線のその端に
何かが枝に乗っていることに気がつきました
しっかり確認すれば、それはいつぞや道で見たのと同じ
凶暴な牙のとらばさみでした
15: 1:2012/3/14(水) 19:15:42 ID:0yvaffDDhE
今にもこちらへ落下してきそうで恐ろしく
少年は小走りにその枝をくぐってそこを後にしました
どんどん先に進もうとしました。
しかし進もうとしたとき
大きな針のような鋭い棒が
少年目掛けて突いてきました。
16: 1:2012/3/14(水) 19:17:43 ID:cm06SJ0Ur2
間一髪、
少年は尻餅ついて針から逃れ
どすりと鋭いそれは少年の脇
深く深く土に突き刺さります
鈍い音が地に響き
同時に軽い振動が
土から彼の身体へ広がりました
17: 1:2012/3/14(水) 19:19:46 ID:cm06SJ0Ur2
少年の背丈の何倍か
そこらの木の枝に負けず劣らず太い足
それを八本携えた
岩を彷彿とさせる丸い胴には
分厚く毛が生えおぞましい。
少年の目の前
道の真ん中
そこには巨大な
化け物蜘蛛が構えていました
18: 1:2012/3/15(木) 18:24:02 ID:XqHl8YDW7A
ここを進むには蜘蛛を退かすしかないようです
しかし今の少年に
自分の何倍もの大きさの
鋭い武器を八つ持った化け物に抗う手だてはどこにもない
少年は震える身体を叱咤して
武器を探しに踵を返し駆け出しました
幸い蜘蛛に、少年を追う様子はありませんでした
19: 1:2012/3/15(木) 18:31:45 ID:XqHl8YDW7A
先程少年が空を見上げたあたりに戻ってきました
そこには、
その時まで枝に乗っていたはずの
とらばさみ落ちていました
きっとあの振動の拍子に落ちたのでしょう
しめたと思って少年は
とらばさみを引きずり揚々と
巨大蜘蛛の元へ戻りました
20: 1:2012/3/15(木) 18:34:01 ID:5Mr.6/17SY
戻るとすぐさま鋭い足
少年目掛けてやってくる
少年は素早く身体を動かして
蜘蛛の足が落ちるであろうその場所へ
とらばさみ引きずり照準を合わせる
ひゅん、太い足が風を切る音がする
次にがきぃんと金属のぶつかる激しい音
同時にぐしゃり、何かが砕ける篭った音
それらが全て、一緒くたに
少年の耳に届いた
21: 1:2012/3/15(木) 18:43:31 ID:5Mr.6/17SY
見ると蜘蛛の鋭い針が一本
金属の牙に飲み込まれ
蜘蛛はがたがた足を動かします
しばらくするとようやくに
とらばさみの牙ぱかり開く
開いた中からあらわるは
おかしな所でぐにゃり曲がった黒い足
不自然に曲がったその足からは
液体がどろりと流れ、まずは一本
蜘蛛の足が落ちました。
22: 1:2012/3/15(木) 18:56:51 ID:XqHl8YDW7A
蜘蛛は足を一本失った
痛みと驚きで一瞬怯むも
すぐさま足を入れ替え突いてくる
少年もそれに応じてとらばさみ
きっと少年があの足に捕まれば
一気に串刺し
生きるすべなどのこりません
そんな恐怖にうち震え
一分の油断も許されず
体に鞭打ち蜘蛛と戦い
どれだけ経った頃でしょう
気づけば蜘蛛は三本の
鋭い足先失って
とうとう何処かへ逃げていきました
23: 1:2012/3/15(木) 18:58:36 ID:XqHl8YDW7A
逃げた蜘蛛見て少年は
ぽつりと一つ、笑みをもらします
幼い少年、
その心無垢ゆえ
足をもぐことを残酷と思えずに
敵を自らの力で追い払った
高揚おさえ
少年は蜘蛛が塞いでいた先の道へ
また、進み出しました
24: 1:2012/3/16(金) 19:53:47 ID:tZenqkdHEI
進んだ先にあったのは
殆ど光りの入らない
ひんやり土の匂いのたちこめる洞窟でした
暗い中の下り道を
恐る恐る降りていき
ようやく先に光がみえました
少年が見えた光のその方へ
進もうと駆け出します
そこはひどくぬかるんだ道でした
道の全面どろどろで、
避けて歩くことはできそうにありません
仕方なしに少年は
足をとられつつ歩を進めました
25: 1:2012/3/16(金) 20:04:57 ID:tZenqkdHEI
ずぶりずぶり、足を前へと押し出します
しかしもう少しというところで
完全に足がぬかるみから
抜けなくなってしまいました
少年が必死に足をだそうと暴れていると
後ろからかさり、小さな音が聞こえました
洞窟に反響しないくらいの
小さな小さな音でした
段々と、その音は少年に近づいてくるようにかさりかさり
気になった少年は動きを止めました
26: 1:2012/3/16(金) 20:09:59 ID:tZenqkdHEI
少年が振り返ろうとしたその瞬間
尖った棒状の何かが少年の背中に引っ掛かり
嵌まってしまったぬかるみから
引っ張り上げられました
少年は持ち上げられ、
足は地から離れて浮いたまま
横目でちらり後ろを見ると
それは先程少年が追い払った
蜘蛛の鋭い足でした
それを見留めたその瞬間、
少年の小さな身体は
死への恐怖と焦りで埋め尽くされます
27: 1:2012/3/16(金) 20:13:57 ID:CxAn0VppZI
少年の体は恐怖で固まって動きません
そのまま洞窟の天井まで
持ち上げられ
白くねばねばとした糸にくっつけられました
そしてぐるぐる
ぐるぐると、
身体を糸で絡められていきます
ここは蜘蛛の巣だったのでしょう
全身糸に巻き込まれ
少年が白い蓑虫のようになると
蜘蛛は満足したのか少年をそこに吊し
何処かへと去って行きました
28: 1:2012/3/16(金) 20:16:46 ID:tZenqkdHEI
蜘蛛が去ってしばらくして
少年は目を開きました
糸で包まれた視界は悪いが
見えないことは無い
少年は必死に、それこそ芋虫のように
くねくねくねくね
動いて暴れ続けました
しばらく暴れていたら
少年を吊していた糸がちぎれ
彼は蜘蛛の巣から落下し地面に着地しました
ねばねば糸は身体に絡み着いたままで手を使えませんでしたが
飛び跳ねれば、まだ先へ進めます
ただただ飛び跳ね
少年はまた奥へと進むのです
29: 1:2012/3/16(金) 20:17:33 ID:tZenqkdHEI
少年を動かすは妹に会いたい、
ただそれだけの理由
30: 1:2012/3/17(土) 14:08:09 ID:9tYPEGlSJY
使ってた携帯が修理に出てしまったのでちょっと更新が滞りそうです…
いないかもしれませんが読んでくださってた方はすみません!
3日くらいで戻ってくるはず
31: 名無しさん@読者の声:2012/3/18(日) 00:23:01 ID:2GDg/heUuA
みてるよ
32: 1:2012/3/19(月) 19:21:47 ID:2UILUP0WQg
>>31
読んで下さってる方がいるとわかって嬉しいです
ありがとうございます!
携帯修理あと二週間かかるらしいので開き直って更新します
一日一レスくらいしか進められないですが!
それではつぎから↓
33: 名無しさん@読者の声:2012/3/19(月) 19:35:53 ID:cjmz5touQo
穴を飛び越え
木の枝渡り、
さっきまでいともたやすくこなしていた動作が
狭い視界と自由の利かない身体では、ひどく難しいものに感じられました
先程までの軽い足取りはどこへやら、
いまは一歩進むのですら一苦労
少年は重い足取りで
先へと跳びはね進みます
34: 1:2012/3/21(水) 13:33:01 ID:9iFRvzsqLU
跳びはね跳びはね進んだ先、
なんだかゆがんだ地に足をつけました
すると地面がぐらり、
転がりはじめたのです
思いも寄らない地面の動きに
少年はバランスを崩し
転びそうになりましたが
なんとか持ちこたえ足元を見ました
ぼやけた視界で見るかぎり、
どうやらこれは丸い岩のようです
35: 1:2012/3/21(水) 13:37:09 ID:Tc4yOeK3GI
岩が転がると、ざぶり下から音がしました
下はあの水なのかもしれません
落ちるわけにはいかないようです
つまり向こうのへりまでたどり着くには、
この岩に乗って転がしながら
進むしかなさそうです
少年は少しずつ重心を前にずらし
慎重に前へ進みます
向こう岸が近づいてきた頃
後ろから
かさりかさりと音がしました。
36: 1:2012/3/21(水) 13:41:56 ID:9iFRvzsqLU
この音には聞き覚えがあります
先程の洞窟でぬかるみにはまった時にも
背後から同じ音を聞きました
きっと蜘蛛が追い掛けてきたのだ!
少年は背中に流れる冷や汗を無視し、急いでしかし慎重に
向こう岸へと。
ようやく岸につき、一歩を踏み出すと
後ろからしゅん、と
棒が風を切る音が聞こえました
37: 1:2012/3/21(水) 13:44:38 ID:Tc4yOeK3GI
きっと蜘蛛があの鋭い足で
少年を貫こうとしたのでしょう
しかし蜘蛛の足は空を切りました
少年は急な下り坂に転がり落ちたのです
坂に気づかず飛び跳ねて、
足を取られ、
幸い蜘蛛の鋭い足から逃げられました
そのかわり、
少年は受け身も取れず
地面に叩きつけられたけれど
38: 1:2012/3/21(水) 13:47:23 ID:9iFRvzsqLU
しかし
柔らかい土のクッションのお陰で
あまり痛みはありませんでした
数度瞬きをして起き上がると
さっきまで体に纏わり付いていた
あのねばねば糸は
無くなっていました
きっと転がり落ちた時に取れたのだ。
見える視界と
自由な手足が嬉しくなって
少年は駆け出しました。
39: 名無しさん@読者の声:2012/3/23(金) 07:32:14 ID:2r75fYVaHg
進んで進んで、
どこまで進んだ時でしょう
走り過ぎて疲れた少年は
立ち止まり、
息を整え前を見ました
そこにあるものを見留めた少年
大きなまなこを
さらに大きく見開いて
生まれた恐怖を
ため息にまぜて押し出します
40: 名無しさん@読者の声:2012/3/23(金) 07:38:59 ID:sdOKoiAXn.
あの大きな下り坂で
振り切ったはずなのに、
どうしてこれは
目の前に待ち構えているのだろう
道の真ん中どっしりと
またしてもたたずむは巨大蜘蛛
かくかく
ぎしぎし
音鳴らし、
一定に地面を突き刺します
撃退するにもとらばさみは
もうここにはありません。
41: 名無しさん@読者の声:2012/3/24(土) 18:13:02 ID:2UILUP0WQg
どうしたものかと悩む少年
蜘蛛の足から距離置いて
足の動きを目で追って
動くに動けず立ち往生
見ているうちに
おかしな事に気がつきました
蜘蛛の足は先程から
ただ同じ場所を同じ間隔で
刺したり引いたりするだけです
少年に鋭い切っ先を向ける様子はありません
42: 名無しさん@読者の声:2012/3/24(土) 18:34:38 ID:cjmz5touQo
かくんかくん、
足が動くリズムに合わせ
少年は一つ深呼吸
足が浮いた瞬間に
ぽかりと開いたその空間
その中目掛けて駆け出しました
しかし、足を一本くぐり抜けても
そこに丸くおぞましい
蜘蛛の胴体はありませんでした
43: 1:2012/3/25(日) 13:48:55 ID:uXoiEP5.4c
やっと携帯が帰ってくる!
ので、読んで下さってる方がいるかはわかりませんが今日の夜は多めに更新いたしますうひひ(^ω^=^ω^)
44: 1:2012/3/25(日) 19:23:20 ID:dlZnx.p94M
そこにあるは木製の台
それにつながる柱の先、
井戸にあるような滑車が繋がっていた
滑車に吊された光るワイヤーの先を辿れば
そこにはかくかく、力無い蜘蛛の足
少年はようやく合点がいきました
これは蜘蛛ではなかったのだ
木で出来た、
蜘蛛の足のマリオネット
誰かがこれを操っていたのだと
45: 1:2012/3/25(日) 19:32:03 ID:dlZnx.p94M
一体誰がこんな悪趣味なものを操っていたのだろう
疑問に思った少年が
人影探せば木の台に
少年より少し背の高そうな男の子
マリオネットを操るレバーを持ってひょろりと一人、立っていました
その男の子は
少年がこの森で目覚めてから
初めて会った人間でした
46: 1:2012/3/25(日) 19:52:05 ID:dlZnx.p94M
男の子は少年を一瞥すると
くるり踵をかえし
道の奥へと駆けて
去っていってしまいました
少年は彼がマリオネットを
操っていたことなどさっぱり忘れ
モノクロームの森の中、
ただ人間に会えたことの
嬉しさにかられて
男の子追いかけ走り出す
47: 1:2012/3/25(日) 19:59:04 ID:aX5d6WlBiY
彼を追いかけ進んだ先の坂道で
少年前を見据えれば
上から来たるは煙を上げたタイヤ
ごうごう炎を上げながら
焼けたゴムの不快な匂いを散らしながら
少年目掛けてごろりごろり、
勢いついたタイヤが迫る
48: 1:2012/3/25(日) 20:03:50 ID:aX5d6WlBiY
驚く少年、咄嗟に脇道にそれて
燃えるタイヤを避けました
避けた事に安心するもつかの間
息つく間もなく
今度は熱く焼けた石
しゅうしゅう音をたて
道の草を焦がし向かってきます
避ける時間はありません
タイミングを計り、
少年は石を飛び越えました
49: 1:2012/3/25(日) 20:07:45 ID:aX5d6WlBiY
誰がこんなことをするのかと
少年はタイヤや石が転がってきた先を見ました
するとそこには
先程の男の子ともう一人、
小柄な男の子が立っています
少年と目が会うと彼等は
脇に掛かった梯子を上り
逃げてしまいました
50: 1:2012/3/25(日) 20:11:35 ID:aX5d6WlBiY
おかしいな、と少年は思いました
何故彼等は少年に
悪意を向けるのでしょう
明らかな殺意を向けるのでしょう
どうして彼等の顔が、
少年には見えないのでしょう
目に光がないのです
逆光でもないのに陰って真っ黒
表情が見えないのです
51: 1:2012/3/25(日) 20:12:53 ID:aX5d6WlBiY
でもいくらそんな疑問を掲げても
考えてわかるはずがない
だって少年は
彼等ではないのですから
52: 1:2012/3/25(日) 20:21:07 ID:dlZnx.p94M
本日の投下はここまで!
お付き合い頂きありがとうございました(^ω^ω^)ブンレツ
尚、ゲームの中にある装置や罠の描写は多少省いたり変更したりしております
更に後半になるにつれますます省略・捏造部分が増える予定です
ご了承頂ければ幸いです
53: 1:2012/3/28(水) 18:49:58 ID:yVPaUx8QJg
すみません、最近リアルが忙しくて更新が遅くなりそうです
放置は絶対にしませんので、一週間ほどお待ち頂ければ幸いです
二連続で話以外のレスしてすみませんでした!それでは
54: 名無しさん@読者の声:2012/3/30(金) 00:05:23 ID:lrxbkT0NEQ
LIMBO好きだ
更新待ってる
55: 1:2012/3/31(土) 23:29:54 ID:dfutephwdY
>>54
ありがとうございます!
LIMBOの雰囲気が伝わるようがんばりますね
56: 1:2012/3/31(土) 23:31:27 ID:dfutephwdY
とにかく今は彼等を追い掛けようと
少年は急いで梯子を登りました
登った先に目についたのは
小さな小屋の
小さな集まり
集落のようなものでしょうか
しかし人の気配はありません
57: 1:2012/3/31(土) 23:32:40 ID:JCMcRY0PdY
不気味に思って進もうとすると
肩に二本の何かがぶつかりました
驚く少年
ぶつかったそれをまじまじ見れば
だらりと垂れ下がった
小さな二本の足でした
それは燃えたタイヤを
転がしてきた男の子
そのうちの一人の足でした
58: 1:2012/3/31(土) 23:39:50 ID:dfutephwdY
木の枝に垂らした縄に首をかけ
ぶらり、
四肢を投げ出した男の子
その姿はまるで、彼が操っていた
蜘蛛のマリオネットのよう
59: 1:2012/3/31(土) 23:50:10 ID:JCMcRY0PdY
短いけど今日はここまで。お付き合い頂きありがとうございました(^ω^=^ω^)
我慢出来ずに更新してしまいましたが、次の更新までまた少し時間があくかもしれません。申し訳ないです
それでは!
60: 1:2012/4/3(火) 17:31:58 ID:kD1o8hj8eY
彼はみずから
こうすることを選択したのでしょうか
今となってはわかりません
力無く垂れ下がった四肢を見ても
答えが返ってくるはずもありません
マリオネットになった彼になど
もはや興味ないのでしょう少年は
もうそちらになど目もくれず
小柄な方の男の子を追いかける為
先へと走り出しました
61: 名無しさん@読者の声:2012/4/4(水) 11:54:06 ID:fHZD34qxSE
なにこれ面白い
しえん
62: 1:2012/4/10(火) 19:08:49 ID:t48jc3UmG.
>>61
うわあああすごい嬉しいです支援ありがとうございます!!
課題に追われてなかなか更新出来ませんでした、すみません
それでは久しぶりに続きをば↓
63: 1:2012/4/10(火) 19:16:10 ID:H3fq3065b2
しかし探そうとはしたものの
当の男の子は既に何処かへ
隠れてしまったようです
集落の中にいくつもある
そんな小屋を一つ一つ回るには
どれほど時間がかかるだろうか
少年の本当の目的を、
妹を、
忘れるわけにはいきません
後ろ髪を引かれつつ、
仕方なしに追いかけるのを諦めて
少年はその集落を後にしました
砂利道を歩く音に混じり、
背中から、かさりと音が
聞こえたような気がしました
64: 1:2012/4/10(火) 19:43:17 ID:t48jc3UmG.
妹のためとは言いつつも、
終着点がわからぬまま
ただただ前へと進むしかない
あてのないその冒険は
次第に少年の足をひっぱって
65: 1:2012/4/10(火) 19:53:07 ID:H3fq3065b2
とぼとぼ進む少年の
目に留まったのは
道端にぽつりと一つ小さな切り株
思えばずっと、休みなく進んでいたきがします
意識すると途端に体は重くなり
踏み出す足が鉛のように感じられ
進む一歩が遠くなる
こんな状態ではこの先まともに進めない
少年は切り株に腰掛けて
一旦休憩することに決めました
66: 1:2012/4/13(金) 19:32:42 ID:jdXNiJlz7g
切り株にすとんと腰掛けて
こてりと足を投げ出して
ふうと一つため息を
少年は目を閉じました
閉じた瞼の裏側に、
ふいに一冊の絵本が思い浮かびます
よく妹と読んでいた、
男の子と女の子の冒険のお話です
67: 1:2012/4/13(金) 19:40:35 ID:ILwLABYTSg
いつかこの二人みたいに冒険しよう、そう妹と約束した絵本です
約束したときに見た妹の、
くしゃり笑ったその笑顔が鮮明に思い出されました
嗚呼、こうしてはいられない
早く前へと進まなくては
68: 1:2012/4/13(金) 19:42:32 ID:jdXNiJlz7g
疲れなんて吹き飛びました
ぐん、と切り株から立ち上がり
白と黒のこの世界
少年はまた、走り出す
だって、ずっと一人で冒険なんてしていたら
妹がすねてしまうから
早く早く、見つけてあげなくちゃ
69: 1:2012/4/15(日) 18:39:37 ID:PBJ4ro1lvE
駆け出した少年を待ち構えていたのは
底の見えない落とし穴
助走をつけても飛び越えられるかわからない、
そんな大きな落とし穴
安全にここを渡るため
なにか道具を探そうと
一旦引き返そうとした時です
ずん、と地面が揺れました
70: 1:2012/4/15(日) 18:55:14 ID:wkYGcb8/AU
突然の揺れに驚く少年振り返り
そこに広がる光景に
更に驚き目を見張る
そこにいたのは五本足の巨大蜘蛛
少年に三本足を奪われた巨大蜘蛛
この蜘蛛が集落の方向からやってきたことを
少年はすぐ理解しました
蜘蛛の鋭いその足に、
少年が探すのを諦めた
あの小柄な男の子が
深く深く、串刺されていたのです
71: 1:2012/4/15(日) 19:13:39 ID:PBJ4ro1lvE
その光景に愕然とする少年を
蜘蛛がいたわるはずもありません
串刺した男の子を
ぽいと後ろに投げ捨てて
少年へ向かって
一歩、一歩
道具を探す時間はもうありません
ためらう猶予もないようです
男の子が地面に叩けつけられるその音を引き金に
少年は助走をつけて土を蹴り
向こうのへりへと手を伸ばす
72: 1:2012/4/15(日) 19:39:48 ID:wkYGcb8/AU
縁ぎりぎりにつかまって、
小さな体は絶壁に叩きつけられます
少年は痛みをこらえて
素早くそこをよじ登り
穴から少し距離をおいてから
後ろを振り返って蜘蛛を見ました
蜘蛛も少年に続いて穴を渡ろうと
足をのばしました
しかし足をのせたその淵は
蜘蛛の重さに耐えられず
ぼろりと崩れ落ちました
足場をなくしたその蜘蛛は
ゆっくりゆっくり
深い穴に飲み込まれ
73: 1:2012/4/15(日) 19:52:11 ID:wkYGcb8/AU
完全に蜘蛛が見えなくなると
少年はすぐ走り出そうとしました
きっとすぐに蜘蛛が
追いかけてくるということを
少年はよく理解していました
だから今のこのうちに、
出来るだけ蜘蛛と距離を開こうとしたのです
しかし少年の目の前には
少し急な上り坂
そんな坂道の真ん中あたりに
力を加えればすぐに転がり落ちそうな、
ぐらぐら不安定な丸い大岩が
立ち塞がっていました
74: 1:2012/4/15(日) 20:03:40 ID:wkYGcb8/AU
あることを思いついた少年は
その大岩のもとへ走りました
そしてそこに到着すると
岩を力いっぱい押し出します
ぐらりと転がり始めた岩を
少年はその場で見送りました
ごろりごろり、
岩は少しずつ加速しながら
先程の落とし穴に近づきます
75: 1:2012/4/15(日) 20:10:43 ID:wkYGcb8/AU
その時、蜘蛛の足がひょっこりと
穴から現れました
それと同時に、加速した岩が
穴のもとへ到着しました
蜘蛛と岩がぶつかって
大きな音が響きます
そして少年の予想通り
蜘蛛は大岩に巻き込まれ
また深い穴へと落ちていきました
ぱきぱきと、
何かが折れる音と共に
76: 1:2012/4/15(日) 20:37:38 ID:PBJ4ro1lvE
本日はここまで!
いつもより長ったらしくなってしまって申し訳ないです
そしてこの場で皆様にお礼をば。
驚いたことに、このSSがランキング10位にランクインしました!
これもこのSSを読んで下さっている皆様のおかげです
いつも本当にありがとうございます!
そして、スローペースではありますがこれからもこのSSにお付き合い頂ければと思います
それでは!
77: 名無しさん@読者の声:2012/4/19(木) 15:03:24 ID:c.PAy4aP2I
これからどうなるのか!
しえん
78: 1:2012/4/19(木) 19:43:09 ID:dNUHC7bA7s
>>77
うひゃー!支援ありがとうございます!!
ゲームの方ではそろそろ怒涛の精神攻撃が始まります(^ω^=^ω^)
出来るだけそれらを皆さんに伝えられるよう、鮮明な描写をがんばります
それでは続きをば↓
79: 1:2012/4/19(木) 19:53:49 ID:n5h324VbgQ
大きな音と共に二つの大きな黒い影が穴に飲み込まれて行く所を
少年はじっと見ていました
光を湛えたそのまなこ
やはりそこには一抹の
罪悪感すらありもしない
それらが完全に穴に消えると
ようやく少年は坂道を上り始め、
その先に続く平らな道を進みます
80: 1:2012/4/19(木) 19:55:41 ID:dNUHC7bA7s
そこはいやに明るくて、
やけに開けた道でした
たまに羽虫が寄ってきますが
それ以外に変哲はありません
先程まで嫌というほど味わった
悪意や狂気
そんなものも感じません
平和で平和で
なんだかまるで、
嵐の前の静けさのような
81: 1:2012/4/19(木) 19:59:35 ID:n5h324VbgQ
平坦な道を何事もなく進んで行くと
やがて道に影がさし、
奥に小さく崖が見えてきました
崖の上に目をやると
男の子が二人立っていて
ただじぃっとこちらをみています
今はもういない
あの男の子達と同じように
真っ暗な顔でみています
82: 1:2012/4/23(月) 20:56:11 ID:b7asnwnZlE
こんばんは!
ただいま続きのプロット作成中の1です。更新遅くて申し訳ありません…
本日はちょっと皆さんにお聞きしたいことがありまして。
その聞きたい事と言うのはこのSSのレイアウトについてです。
今のレイアウトは見やすいか見にくいかを、皆さんに率直にご意見いただきたいのです。
他力本願で申し訳ありません。ずっと手探り状態で、文体が安定しないので、皆さんの力をお借りしたいと思った次第です。
それではSS更新でもないのに長文失礼いたしました。
83: 名無しさん@読者の声:2012/4/23(月) 22:17:43 ID:W7ixokyaCM
見やすい!
更新楽しみに待ってる
84: 1:2012/4/24(火) 18:43:36 ID:PBJ4ro1lvE
>>83
それなら良かったです!なんだか言わせてしまった感じになってすみませんwww
そして嬉しいお言葉をありがとうございます!これからも楽しんでもらえるよう頑張りますね
85: 1 更新遅くてすみません:2012/4/26(木) 19:49:02 ID:7sJIhLWkqA
少年は少したじろぎ身構えましたが、すぐにその崖へ向かって走りだしました
するとすぐに二人は奥へと走って行ってしまいます
崖は助走をつければ登れそうな高さです
この走っている勢いのまま崖へ飛びつけば、まだ二人を追えるかもしれない
そう判断した少年は、踏み込む位置を定めるため、視線を地面へ向けました
そしてすぐに、少年は足を止めます
86: 1:2012/4/26(木) 19:57:39 ID:xz8.PzNRTg
少年の目の前、つまりは崖の手前2メートル程度
そこには草が道に生えるかのように、さも当然のように、無数の鋭い棘が地面から突き出していました
棘に気づかないまま、あと少しでも崖に近づいて行ったなら、体は棘で穴だらけになっていたことでしょう
そんな最悪の想像をしてしまった少年は、さあ、と血の気が引きました
87: 名無しさん@読者の声:2012/4/29(日) 12:17:38 ID:dDBUflagxU
>>1の好きなように書けば良い
応援してる
88: 1:2012/4/29(日) 17:04:25 ID:Kyk1JTbzyw
>>87さんが男前すぎて辛い(^ω^=^ω^)
ご意見ありがとうございます
自分の書き方で書いて、楽しんで頂けるようがんばります!
そして応援もありがとうございました!
更新速度は遅いですが、これからもお付き合い頂ければ幸いです
89: 1:2012/5/2(水) 20:02:57 ID:vTEEKrBc4w
太さも長さもばらばらの、無数の棘は四方を向き、少年が先へ進むのを阻みます
いくら少年が身軽といえども、
この針を飛び越えることは出来そうにもありません
引き返して他の道を探すか、
ここを渡るための道具を探すか
90: 1:2012/5/2(水) 20:19:13 ID:vTEEKrBc4w
どうするべきかと少年は、迷い悩んで立ち往生
そうしていささかの時間、少年が無数の棘の前に留まっていると
後ろから、どうっと大きな音響き
足に伝わる地響きと、背中にかかる砂埃
91: 1:2012/5/2(水) 20:23:58 ID:SK4UkjkGQY
振り返った少年の目に映ったのは針を一本携えた、大きな岩のようなもの
太く鋭い針はずるずると、後ろに繋がった巨大な体を引きずって、ひどくゆっくり少年に近づいてきます
もぞもぞ動くその針が
蜘蛛の足だと気づくのに
かなりの時間がかかりました
92: 1:2012/5/2(水) 20:34:43 ID:vTEEKrBc4w
五本あった足が一本しか無いのは岩の巻き添えになったせいでしょう
あの時のあのぱきぱきという音は、関節が折れ、足がもげた音だったのです
今までずっと少年を追いかけ、少年を追い詰めてきたこの蜘蛛は今や見る陰もありません
これが近づいて来ることにもはや恐怖も感じません
だってその足は、あまりにも弱々しく、重い体を引きずっていたものですから
93: 1:2012/5/2(水) 20:38:26 ID:SK4UkjkGQY
少年は一歩、蜘蛛のもとへ近づきました
蜘蛛もずるり、体を引きずり少年に近寄ります
二つの陰のその距離は
蜘蛛の鋭い足の射程
蜘蛛はよろよろと切っ先を少年へと向け、そのまま小さな体を貫こうと突いてきました
しかし少年は、両手でやすやすと
蜘蛛の足をつかまえました
蜘蛛にはもう、
少年を貫くどころか振り払う力もありませんでした
94: 1:2012/5/2(水) 21:16:37 ID:vTEEKrBc4w
少年は掴んだ足を離さずに、力いっぱい自分の方へ引っ張りました
蜘蛛の胴体は自分の足をつなぎ止めることが出来ず
ずるり、ずるり、足が体から離れていきます
ぴくり、と小刻みに関節が痙攣します
体と足を繋いでいた細い繊維がぷつんと切れ、そこからどろりとした液体が飛沫をあげて飛び散って
少年は蜘蛛の足から手を離しました
95: 1:2012/5/2(水) 21:23:22 ID:SK4UkjkGQY
足は、足だったものは地面に落ちます
胴体と離れた事を理解していないのか
まだ生きていると主張したいのか
それはぴくぴくと動き続け、
そして、止まりました
96: 1:2012/5/2(水) 21:49:25 ID:SK4UkjkGQY
少年は足が止まるところを見届けると、蜘蛛だったもの、その胴体に近寄りました
足の繋ぎ目からは生温い液体が流れています
そっと、その黒くて丸い胴に触れました。触れた手からとくとくと微かに鼓動が伝わります
いびつに丸い体を強く押し、少年はそれを崖の棘のもとへ転がしはじめました
触れる度に伝わる鼓動なんて、知らん顔をして
97: 1:2012/5/2(水) 22:02:28 ID:SK4UkjkGQY
崖の前、棘の生えた所の手前まで蜘蛛を転がすと
少年は一度転がす手を止めました
一つ深く息を吸って
吐くのと同時にもう一度、強く、それを押し出しました
固くて重い蜘蛛の胴体はずぶりと音を響かせながら、無数の針をその体の中に飲み込んでいきました
98: 1:2012/5/2(水) 22:11:41 ID:SK4UkjkGQY
少年が針に刺さった大きなかたまりに手をつきました
さっきまで触れると伝わったはずの鼓動は、今はもう感じませんでした
少年はそれに近づいて、
大きく両手を広げると
黒いかたまりを抱きしめました
抱きしめたそれは大きくて、大きくて
はた目からすればただ、しがみついているようにしか見えなかったかもしれません
しかし少年は確かに、それを抱きしめたのです
99: 1:2012/5/5(土) 22:06:38 ID:QA/ZUctZDA
抱きしめるのをやめると少年は、それによじ登って踏み台にし、崖の上へ飛び乗りました
かたまりを少年が一瞥することは
もうありませんでした
幼い少年さくさくと、
モノクロームのその森の
いっそう奥へと消えていく
100: 1:2012/5/5(土) 22:08:01 ID:aV7MSwXkCY
蜘蛛さんの最期は更新し忘れた↑を含めて以上です。長い付き合いでしたね。
蜘蛛さんは最期になりましたが、精神攻撃はもう少し続きます。
読んでないとは思いますが、グロが苦手な方はすみません(^ω^;)
もし、グロを期待して読んでくださっていた方はしょぼくてすみません!
それはそうと、これで調度100レス目になりました!
お付き合いくださってる方、いつもありがとうございます!
更新ペースは相変わらず低速ですが、よければもう少しの間お付き合い頂ければと思います。
それでは、また。
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