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幼い兄、進むはモノクローム
[8] -25 -50 

1: :2012/3/13(火) 20:41:31 ID:JCMcRY0PdY

とある森。

光を浴びた小さな草むら。

花の香りの染み付いた、朽ちた梯子は木にもたれ、その脇近くの土の上には虫が群がる。そこから少しの距離置いて、またも群がる小さな虫。

静かな森に二つの羽音が広がった。




2: :2012/3/13(火) 20:47:18 ID:JCMcRY0PdY
皆さん初めまして
このSSは「LIMBO」という、台詞が一つも無いゲームのシナリオに個人的解釈を加えたお話となります

そこでいくつかのご注意を
・このお話自体が重大なネタバレです
・グロ、鬱に耐性の無い方はお気をつけ下さい
・横スクロールのアクションゲームなので、ご都合主義なアイテムや罠が登場します。悪しからず
・ゲームのイメージを崩壊させてしまうかもしれません
・あくまで自分の解釈であり、これが正解というわけではありません


こんな感じで進めていきます
それではよろしくお願いします
3: :2012/3/13(火) 20:50:31 ID:JCMcRY0PdY

     * * *

少年は目を覚ましました。

ぽつんと一人、草むらに四肢を投げ出した幼い少年が。
彼のまなこに広がるは暗い暗いモノクロームの森。

さわりと揺れる空気に包まれて、
数度目をしばたいて
草と土の冷たい感触を手に感じ
ぱきりと小枝を足で踏み
少年は一人立ち上がる。

ある日突然ぽつりと消えた、妹を探しに。



4: :2012/3/13(火) 20:54:13 ID:dfutephwdY

あてなんてありません。
あるはずがありません。

だってこんな森、少年には見覚えがないのです。
しかし進むしかありません。
大切な妹に会うために、前へ前へ。

モノクロームの森の中
背中についた土を払い
きらきら光るその瞳で前見据え
帽子のつばをくいと引き、



歩き出すはLIMBOの世界。



5: :2012/3/13(火) 20:58:49 ID:dfutephwdY

巨大な木の脇くぐり抜け
折れた大木飛び越えて
下る坂道小さなトンネル暗い道。

抜けるとそこに船がありました。
その船には帆がありません。しかしそれ以外には何も問題の見受けられない、綺麗な木製の船でした。

少年は迷わず船に飛び乗って、
小さく見える向こう岸を目指し
じゃぶりじゃぶりと緩い流れの川を進みました。


大きな大きな川でした。
白く光る不思議な川でした。


向こう岸まで渡って船を降り、坂道滑って反る崖登り。身軽な少年ひょいひょい進む。


6: :2012/3/13(火) 21:03:04 ID:dfutephwdY

虫がわんわん飛んでいます。

風がふうふう吹いています。

歩を進めると草や砂利や小枝と靴がぶつかってじゃりりさくさく、音がします。


するときらり、森の中に無機質な光が見えました。
鮫の牙の様な鋭いとげを携えた、大きな金属の口がありました。


獲物を飲み込むのを今か今かと待っているかの如く


それは大口をあけています。



7: :2012/3/13(火) 21:06:15 ID:dfutephwdY


所謂とらばさみ、というものでした。



少年にはそれが何だかわかりませんでした。
危ない機械であることは、牙を見ればわかります。

しかし少年にはやはり、それがどんな風に危ない機械なのかはわからないのです。

気になった少年は足元の小石を拾い上げ
ひょいとそこに投げ入れてみました。


がしゃあん!!と金属のぶつかる音がしました



8: :2012/3/13(火) 21:07:13 ID:JCMcRY0PdY

静かな静かな森の中。
大きな大きな金属音が鳴り響く。


耳が痛くなる程のその音は純粋で真っ黒な
悪意があるように感じられました。

もし彼がそれを踏むならば、挟まれた部分を境目に、身体は二つになるでしょう。

そんな予感か確信か、
そんなものが顔を出す音でした。

だから少年は牙を踏まないように慎重に、しかし身軽に飛び越えます。

着地した振動に反応したのか、後ろでがしゃん、先程と同じと大きな音がしました。


9: :2012/3/13(火) 21:58:29 ID:Y94rLx4y/E

どうにかこうにか罠を抜けたことに安心し、さくさく進む少年の

目の前立ちはだかる小さな崖。


小さくとも崖は崖。

手を伸ばしてもへりに届きそうにありません。
仕方なく少年は何か崖を登るためのとっかかりを探し
ぐるりと周りを見渡しました。


すると崖に沿って生えた木々の中
とある木の枝しなる枝
そこには縄が垂れています
そこには何かが吊されいます

10: :2012/3/13(火) 22:03:39 ID:EkZRbngOOM

モノクロームの森の中
しかし少年はその“何か”が何なのか


鼻をつく腐臭でわかりました

わかってわからぬふりをしました



“何か”を吊した縄を登り
向かいの崖に飛び乗って
少年は続く坂道へ
知らんぷりして進みます。
11: 名無しさん@読者の声:2012/3/13(火) 22:07:11 ID:EkZRbngOOM

坂道を越えるとそこは大きな水溜まり
足をついて進むことは不可能そうです

泳いで進もうとした少年はざぶりと光る水へ足をいれました。


しかしなんだかおかしいのです。

なんだか水に入ったら力が抜けてゆくのです。

まるで水が、魂を吸い取るかのように。


不安になった少年は泳ぐのを諦め、なんとか渡る方法を探しました
12: :2012/3/13(火) 22:12:56 ID:EkZRbngOOM

ぐるりと見渡し何も見つからず
次は上を見上げると
大きな木の枝その先が
今にも折れそうになっていました。

少年は小さな枝を伝って
木の上へ上へと登りました。

そうしてその折れそうな枝へ辿り着くと
勢いよくそれを押し
その枝は下へ落ちてゆきました。


少年もまた下へと下りて落ちた枝を水辺に押して浮き島変わりにして
ようやく水溜まりを抜けました。
13: :2012/3/13(火) 22:47:18 ID:ss50EpOVDo
中々見やすいレイアウトにできない…
書きながら精進しようと思います

とりあえず今日はここまで!
少しでもこのゲームの雰囲気を伝えられるよう頑張りますので、明日からもよろしくお願いします
14: :2012/3/14(水) 19:14:35 ID:0yvaffDDhE

少年は何となく、上を見遣りました。

足元ばかりを気にして歩いていたので空を見たくなったのです。

見上げた空もまた
ただのモノクロームだったけれど


少年は見上げた視線のその端に
何かが枝に乗っていることに気がつきました

しっかり確認すれば、それはいつぞや道で見たのと同じ
凶暴な牙のとらばさみでした

15: :2012/3/14(水) 19:15:42 ID:0yvaffDDhE

今にもこちらへ落下してきそうで恐ろしく
少年は小走りにその枝をくぐってそこを後にしました


どんどん先に進もうとしました。


しかし進もうとしたとき
大きな針のような鋭い棒が

少年目掛けて突いてきました。


16: :2012/3/14(水) 19:17:43 ID:cm06SJ0Ur2

間一髪、

少年は尻餅ついて針から逃れ
どすりと鋭いそれは少年の脇
深く深く土に突き刺さります


鈍い音が地に響き

同時に軽い振動が
土から彼の身体へ広がりました

17: :2012/3/14(水) 19:19:46 ID:cm06SJ0Ur2

少年の背丈の何倍か
そこらの木の枝に負けず劣らず太い足

それを八本携えた
岩を彷彿とさせる丸い胴には
分厚く毛が生えおぞましい。

少年の目の前
道の真ん中

そこには巨大な


化け物蜘蛛が構えていました



18: :2012/3/15(木) 18:24:02 ID:XqHl8YDW7A

ここを進むには蜘蛛を退かすしかないようです

しかし今の少年に
自分の何倍もの大きさの
鋭い武器を八つ持った化け物に抗う手だてはどこにもない

少年は震える身体を叱咤して
武器を探しに踵を返し駆け出しました


幸い蜘蛛に、少年を追う様子はありませんでした

19: :2012/3/15(木) 18:31:45 ID:XqHl8YDW7A

先程少年が空を見上げたあたりに戻ってきました

そこには、
その時まで枝に乗っていたはずの
とらばさみ落ちていました

きっとあの振動の拍子に落ちたのでしょう

しめたと思って少年は
とらばさみを引きずり揚々と
巨大蜘蛛の元へ戻りました


20: :2012/3/15(木) 18:34:01 ID:5Mr.6/17SY

戻るとすぐさま鋭い足
少年目掛けてやってくる

少年は素早く身体を動かして
蜘蛛の足が落ちるであろうその場所へ
とらばさみ引きずり照準を合わせる


ひゅん、太い足が風を切る音がする

次にがきぃんと金属のぶつかる激しい音

同時にぐしゃり、何かが砕ける篭った音


それらが全て、一緒くたに
少年の耳に届いた


21: :2012/3/15(木) 18:43:31 ID:5Mr.6/17SY

見ると蜘蛛の鋭い針が一本
金属の牙に飲み込まれ
蜘蛛はがたがた足を動かします

しばらくするとようやくに
とらばさみの牙ぱかり開く

開いた中からあらわるは
おかしな所でぐにゃり曲がった黒い足

不自然に曲がったその足からは
液体がどろりと流れ、まずは一本


蜘蛛の足が落ちました。




22: :2012/3/15(木) 18:56:51 ID:XqHl8YDW7A

蜘蛛は足を一本失った
痛みと驚きで一瞬怯むも
すぐさま足を入れ替え突いてくる

少年もそれに応じてとらばさみ


きっと少年があの足に捕まれば
一気に串刺し
生きるすべなどのこりません

そんな恐怖にうち震え
一分の油断も許されず
体に鞭打ち蜘蛛と戦い

どれだけ経った頃でしょう

気づけば蜘蛛は三本の
鋭い足先失って


とうとう何処かへ逃げていきました


23: :2012/3/15(木) 18:58:36 ID:XqHl8YDW7A

逃げた蜘蛛見て少年は

ぽつりと一つ、笑みをもらします


幼い少年、
その心無垢ゆえ
足をもぐことを残酷と思えずに



敵を自らの力で追い払った
高揚おさえ
少年は蜘蛛が塞いでいた先の道へ

また、進み出しました



24: :2012/3/16(金) 19:53:47 ID:tZenqkdHEI

進んだ先にあったのは
殆ど光りの入らない
ひんやり土の匂いのたちこめる洞窟でした

暗い中の下り道を
恐る恐る降りていき
ようやく先に光がみえました

少年が見えた光のその方へ
進もうと駆け出します

そこはひどくぬかるんだ道でした

道の全面どろどろで、
避けて歩くことはできそうにありません
仕方なしに少年は
足をとられつつ歩を進めました


25: :2012/3/16(金) 20:04:57 ID:tZenqkdHEI

ずぶりずぶり、足を前へと押し出します

しかしもう少しというところで
完全に足がぬかるみから
抜けなくなってしまいました


少年が必死に足をだそうと暴れていると
後ろからかさり、小さな音が聞こえました
洞窟に反響しないくらいの
小さな小さな音でした

段々と、その音は少年に近づいてくるようにかさりかさり

気になった少年は動きを止めました


26: :2012/3/16(金) 20:09:59 ID:tZenqkdHEI
少年が振り返ろうとしたその瞬間

尖った棒状の何かが少年の背中に引っ掛かり
嵌まってしまったぬかるみから
引っ張り上げられました

少年は持ち上げられ、
足は地から離れて浮いたまま
横目でちらり後ろを見ると
それは先程少年が追い払った


蜘蛛の鋭い足でした

それを見留めたその瞬間、
少年の小さな身体は
死への恐怖と焦りで埋め尽くされます

27: :2012/3/16(金) 20:13:57 ID:CxAn0VppZI

少年の体は恐怖で固まって動きません
そのまま洞窟の天井まで
持ち上げられ
白くねばねばとした糸にくっつけられました


そしてぐるぐる
ぐるぐると、

身体を糸で絡められていきます
ここは蜘蛛の巣だったのでしょう

全身糸に巻き込まれ
少年が白い蓑虫のようになると
蜘蛛は満足したのか少年をそこに吊し
何処かへと去って行きました

28: :2012/3/16(金) 20:16:46 ID:tZenqkdHEI
蜘蛛が去ってしばらくして
少年は目を開きました

糸で包まれた視界は悪いが
見えないことは無い
少年は必死に、それこそ芋虫のように
くねくねくねくね
動いて暴れ続けました


しばらく暴れていたら
少年を吊していた糸がちぎれ
彼は蜘蛛の巣から落下し地面に着地しました

ねばねば糸は身体に絡み着いたままで手を使えませんでしたが

飛び跳ねれば、まだ先へ進めます

ただただ飛び跳ね
少年はまた奥へと進むのです



29: :2012/3/16(金) 20:17:33 ID:tZenqkdHEI



少年を動かすは妹に会いたい、

ただそれだけの理由




30: :2012/3/17(土) 14:08:09 ID:9tYPEGlSJY
使ってた携帯が修理に出てしまったのでちょっと更新が滞りそうです…
いないかもしれませんが読んでくださってた方はすみません!

3日くらいで戻ってくるはず
31: 名無しさん@読者の声:2012/3/18(日) 00:23:01 ID:2GDg/heUuA
みてるよ
32: :2012/3/19(月) 19:21:47 ID:2UILUP0WQg
>>31
読んで下さってる方がいるとわかって嬉しいです
ありがとうございます!

携帯修理あと二週間かかるらしいので開き直って更新します
一日一レスくらいしか進められないですが!
それではつぎから↓
33: 名無しさん@読者の声:2012/3/19(月) 19:35:53 ID:cjmz5touQo

穴を飛び越え
木の枝渡り、

さっきまでいともたやすくこなしていた動作が
狭い視界と自由の利かない身体では、ひどく難しいものに感じられました


先程までの軽い足取りはどこへやら、
いまは一歩進むのですら一苦労


少年は重い足取りで
先へと跳びはね進みます
34: :2012/3/21(水) 13:33:01 ID:9iFRvzsqLU
跳びはね跳びはね進んだ先、
なんだかゆがんだ地に足をつけました
すると地面がぐらり、
転がりはじめたのです

思いも寄らない地面の動きに
少年はバランスを崩し
転びそうになりましたが
なんとか持ちこたえ足元を見ました


ぼやけた視界で見るかぎり、
どうやらこれは丸い岩のようです
35: :2012/3/21(水) 13:37:09 ID:Tc4yOeK3GI

岩が転がると、ざぶり下から音がしました
下はあの水なのかもしれません
落ちるわけにはいかないようです


つまり向こうのへりまでたどり着くには、
この岩に乗って転がしながら
進むしかなさそうです

少年は少しずつ重心を前にずらし
慎重に前へ進みます

向こう岸が近づいてきた頃
後ろから
かさりかさりと音がしました。
36: :2012/3/21(水) 13:41:56 ID:9iFRvzsqLU

この音には聞き覚えがあります
先程の洞窟でぬかるみにはまった時にも
背後から同じ音を聞きました


きっと蜘蛛が追い掛けてきたのだ!
少年は背中に流れる冷や汗を無視し、急いでしかし慎重に
向こう岸へと。

ようやく岸につき、一歩を踏み出すと
後ろからしゅん、と
棒が風を切る音が聞こえました
37: :2012/3/21(水) 13:44:38 ID:Tc4yOeK3GI

きっと蜘蛛があの鋭い足で
少年を貫こうとしたのでしょう

しかし蜘蛛の足は空を切りました


少年は急な下り坂に転がり落ちたのです

坂に気づかず飛び跳ねて、
足を取られ、
幸い蜘蛛の鋭い足から逃げられました

そのかわり、
少年は受け身も取れず
地面に叩きつけられたけれど
38: :2012/3/21(水) 13:47:23 ID:9iFRvzsqLU

しかし
柔らかい土のクッションのお陰で
あまり痛みはありませんでした

数度瞬きをして起き上がると
さっきまで体に纏わり付いていた
あのねばねば糸は
無くなっていました

きっと転がり落ちた時に取れたのだ。

見える視界と
自由な手足が嬉しくなって


少年は駆け出しました。
39: 名無しさん@読者の声:2012/3/23(金) 07:32:14 ID:2r75fYVaHg

進んで進んで、
どこまで進んだ時でしょう

走り過ぎて疲れた少年は
立ち止まり、
息を整え前を見ました

そこにあるものを見留めた少年
大きなまなこを
さらに大きく見開いて
生まれた恐怖を
ため息にまぜて押し出します
40: 名無しさん@読者の声:2012/3/23(金) 07:38:59 ID:sdOKoiAXn.

あの大きな下り坂で
振り切ったはずなのに、
どうしてこれは
目の前に待ち構えているのだろう


道の真ん中どっしりと
またしてもたたずむは巨大蜘蛛

かくかく
ぎしぎし
音鳴らし、
一定に地面を突き刺します


撃退するにもとらばさみは
もうここにはありません。
41: 名無しさん@読者の声:2012/3/24(土) 18:13:02 ID:2UILUP0WQg

どうしたものかと悩む少年
蜘蛛の足から距離置いて
足の動きを目で追って
動くに動けず立ち往生

見ているうちに
おかしな事に気がつきました

蜘蛛の足は先程から
ただ同じ場所を同じ間隔で
刺したり引いたりするだけです

少年に鋭い切っ先を向ける様子はありません
42: 名無しさん@読者の声:2012/3/24(土) 18:34:38 ID:cjmz5touQo

かくんかくん、
足が動くリズムに合わせ
少年は一つ深呼吸

足が浮いた瞬間に
ぽかりと開いたその空間
その中目掛けて駆け出しました

しかし、足を一本くぐり抜けても
そこに丸くおぞましい
蜘蛛の胴体はありませんでした
43: :2012/3/25(日) 13:48:55 ID:uXoiEP5.4c
やっと携帯が帰ってくる!
ので、読んで下さってる方がいるかはわかりませんが今日の夜は多めに更新いたしますうひひ(^ω^=^ω^)
44: :2012/3/25(日) 19:23:20 ID:dlZnx.p94M

そこにあるは木製の台
それにつながる柱の先、
井戸にあるような滑車が繋がっていた

滑車に吊された光るワイヤーの先を辿れば
そこにはかくかく、力無い蜘蛛の足

少年はようやく合点がいきました
これは蜘蛛ではなかったのだ
木で出来た、
蜘蛛の足のマリオネット

誰かがこれを操っていたのだと


45: :2012/3/25(日) 19:32:03 ID:dlZnx.p94M

一体誰がこんな悪趣味なものを操っていたのだろう

疑問に思った少年が
人影探せば木の台に
少年より少し背の高そうな男の子

マリオネットを操るレバーを持ってひょろりと一人、立っていました

その男の子は
少年がこの森で目覚めてから
初めて会った人間でした


46: :2012/3/25(日) 19:52:05 ID:dlZnx.p94M

男の子は少年を一瞥すると
くるり踵をかえし
道の奥へと駆けて
去っていってしまいました


少年は彼がマリオネットを
操っていたことなどさっぱり忘れ

モノクロームの森の中、
ただ人間に会えたことの
嬉しさにかられて
男の子追いかけ走り出す

47: :2012/3/25(日) 19:59:04 ID:aX5d6WlBiY

彼を追いかけ進んだ先の坂道で
少年前を見据えれば
上から来たるは煙を上げたタイヤ

ごうごう炎を上げながら
焼けたゴムの不快な匂いを散らしながら
少年目掛けてごろりごろり、
勢いついたタイヤが迫る


48: :2012/3/25(日) 20:03:50 ID:aX5d6WlBiY

驚く少年、咄嗟に脇道にそれて
燃えるタイヤを避けました

避けた事に安心するもつかの間


息つく間もなく
今度は熱く焼けた石
しゅうしゅう音をたて
道の草を焦がし向かってきます

避ける時間はありません
タイミングを計り、
少年は石を飛び越えました


49: :2012/3/25(日) 20:07:45 ID:aX5d6WlBiY

誰がこんなことをするのかと
少年はタイヤや石が転がってきた先を見ました

するとそこには
先程の男の子ともう一人、
小柄な男の子が立っています

少年と目が会うと彼等は
脇に掛かった梯子を上り
逃げてしまいました


50: :2012/3/25(日) 20:11:35 ID:aX5d6WlBiY

おかしいな、と少年は思いました


何故彼等は少年に
悪意を向けるのでしょう
明らかな殺意を向けるのでしょう

どうして彼等の顔が、
少年には見えないのでしょう
目に光がないのです
逆光でもないのに陰って真っ黒
表情が見えないのです


51: :2012/3/25(日) 20:12:53 ID:aX5d6WlBiY

でもいくらそんな疑問を掲げても
考えてわかるはずがない


だって少年は
彼等ではないのですから



52: :2012/3/25(日) 20:21:07 ID:dlZnx.p94M
本日の投下はここまで!
お付き合い頂きありがとうございました(^ω^ω^)ブンレツ
尚、ゲームの中にある装置や罠の描写は多少省いたり変更したりしております
更に後半になるにつれますます省略・捏造部分が増える予定です
ご了承頂ければ幸いです

53: :2012/3/28(水) 18:49:58 ID:yVPaUx8QJg
すみません、最近リアルが忙しくて更新が遅くなりそうです
放置は絶対にしませんので、一週間ほどお待ち頂ければ幸いです
二連続で話以外のレスしてすみませんでした!それでは

54: 名無しさん@読者の声:2012/3/30(金) 00:05:23 ID:lrxbkT0NEQ
LIMBO好きだ
更新待ってる
55: :2012/3/31(土) 23:29:54 ID:dfutephwdY
>>54
ありがとうございます!
LIMBOの雰囲気が伝わるようがんばりますね

56: :2012/3/31(土) 23:31:27 ID:dfutephwdY

とにかく今は彼等を追い掛けようと
少年は急いで梯子を登りました

登った先に目についたのは
小さな小屋の
小さな集まり
集落のようなものでしょうか

しかし人の気配はありません


57: :2012/3/31(土) 23:32:40 ID:JCMcRY0PdY

不気味に思って進もうとすると
肩に二本の何かがぶつかりました

驚く少年
ぶつかったそれをまじまじ見れば
だらりと垂れ下がった
小さな二本の足でした

それは燃えたタイヤを
転がしてきた男の子


そのうちの一人の足でした


58: :2012/3/31(土) 23:39:50 ID:dfutephwdY

木の枝に垂らした縄に首をかけ
ぶらり、
四肢を投げ出した男の子


その姿はまるで、彼が操っていた

蜘蛛のマリオネットのよう



59: :2012/3/31(土) 23:50:10 ID:JCMcRY0PdY
短いけど今日はここまで。お付き合い頂きありがとうございました(^ω^=^ω^)
我慢出来ずに更新してしまいましたが、次の更新までまた少し時間があくかもしれません。申し訳ないです
それでは!
60: :2012/4/3(火) 17:31:58 ID:kD1o8hj8eY

彼はみずから
こうすることを選択したのでしょうか
今となってはわかりません

力無く垂れ下がった四肢を見ても
答えが返ってくるはずもありません

マリオネットになった彼になど
もはや興味ないのでしょう少年は
もうそちらになど目もくれず

小柄な方の男の子を追いかける為
先へと走り出しました

61: 名無しさん@読者の声:2012/4/4(水) 11:54:06 ID:fHZD34qxSE
なにこれ面白い
しえん
62: :2012/4/10(火) 19:08:49 ID:t48jc3UmG.
>>61
うわあああすごい嬉しいです支援ありがとうございます!!

課題に追われてなかなか更新出来ませんでした、すみません
それでは久しぶりに続きをば↓
63: :2012/4/10(火) 19:16:10 ID:H3fq3065b2

しかし探そうとはしたものの
当の男の子は既に何処かへ
隠れてしまったようです

集落の中にいくつもある
そんな小屋を一つ一つ回るには
どれほど時間がかかるだろうか

少年の本当の目的を、
妹を、
忘れるわけにはいきません


後ろ髪を引かれつつ、
仕方なしに追いかけるのを諦めて
少年はその集落を後にしました

砂利道を歩く音に混じり、
背中から、かさりと音が
聞こえたような気がしました


64: :2012/4/10(火) 19:43:17 ID:t48jc3UmG.

妹のためとは言いつつも、
終着点がわからぬまま
ただただ前へと進むしかない


あてのないその冒険は
次第に少年の足をひっぱって


65: :2012/4/10(火) 19:53:07 ID:H3fq3065b2

とぼとぼ進む少年の
目に留まったのは
道端にぽつりと一つ小さな切り株

思えばずっと、休みなく進んでいたきがします
意識すると途端に体は重くなり
踏み出す足が鉛のように感じられ
進む一歩が遠くなる

こんな状態ではこの先まともに進めない
少年は切り株に腰掛けて
一旦休憩することに決めました


66: :2012/4/13(金) 19:32:42 ID:jdXNiJlz7g

切り株にすとんと腰掛けて
こてりと足を投げ出して
ふうと一つため息を

少年は目を閉じました

閉じた瞼の裏側に、
ふいに一冊の絵本が思い浮かびます
よく妹と読んでいた、
男の子と女の子の冒険のお話です

67: :2012/4/13(金) 19:40:35 ID:ILwLABYTSg

いつかこの二人みたいに冒険しよう、そう妹と約束した絵本です
約束したときに見た妹の、
くしゃり笑ったその笑顔が鮮明に思い出されました

嗚呼、こうしてはいられない
早く前へと進まなくては


68: :2012/4/13(金) 19:42:32 ID:jdXNiJlz7g

疲れなんて吹き飛びました
ぐん、と切り株から立ち上がり
白と黒のこの世界
少年はまた、走り出す

だって、ずっと一人で冒険なんてしていたら
妹がすねてしまうから

早く早く、見つけてあげなくちゃ


69: :2012/4/15(日) 18:39:37 ID:PBJ4ro1lvE

駆け出した少年を待ち構えていたのは
底の見えない落とし穴
助走をつけても飛び越えられるかわからない、
そんな大きな落とし穴

安全にここを渡るため
なにか道具を探そうと
一旦引き返そうとした時です

ずん、と地面が揺れました

70: :2012/4/15(日) 18:55:14 ID:wkYGcb8/AU

突然の揺れに驚く少年振り返り
そこに広がる光景に
更に驚き目を見張る

そこにいたのは五本足の巨大蜘蛛
少年に三本足を奪われた巨大蜘蛛

この蜘蛛が集落の方向からやってきたことを
少年はすぐ理解しました

蜘蛛の鋭いその足に、
少年が探すのを諦めた
あの小柄な男の子が
深く深く、串刺されていたのです


71: :2012/4/15(日) 19:13:39 ID:PBJ4ro1lvE

その光景に愕然とする少年を
蜘蛛がいたわるはずもありません
串刺した男の子を
ぽいと後ろに投げ捨てて
少年へ向かって
一歩、一歩

道具を探す時間はもうありません
ためらう猶予もないようです

男の子が地面に叩けつけられるその音を引き金に
少年は助走をつけて土を蹴り
向こうのへりへと手を伸ばす

72: :2012/4/15(日) 19:39:48 ID:wkYGcb8/AU

縁ぎりぎりにつかまって、
小さな体は絶壁に叩きつけられます
少年は痛みをこらえて
素早くそこをよじ登り
穴から少し距離をおいてから
後ろを振り返って蜘蛛を見ました

蜘蛛も少年に続いて穴を渡ろうと
足をのばしました
しかし足をのせたその淵は
蜘蛛の重さに耐えられず
ぼろりと崩れ落ちました
足場をなくしたその蜘蛛は
ゆっくりゆっくり
深い穴に飲み込まれ

73: :2012/4/15(日) 19:52:11 ID:wkYGcb8/AU

完全に蜘蛛が見えなくなると
少年はすぐ走り出そうとしました

きっとすぐに蜘蛛が
追いかけてくるということを
少年はよく理解していました
だから今のこのうちに、
出来るだけ蜘蛛と距離を開こうとしたのです

しかし少年の目の前には
少し急な上り坂
そんな坂道の真ん中あたりに
力を加えればすぐに転がり落ちそうな、
ぐらぐら不安定な丸い大岩が
立ち塞がっていました


74: :2012/4/15(日) 20:03:40 ID:wkYGcb8/AU

あることを思いついた少年は
その大岩のもとへ走りました
そしてそこに到着すると
岩を力いっぱい押し出します

ぐらりと転がり始めた岩を
少年はその場で見送りました

ごろりごろり、
岩は少しずつ加速しながら
先程の落とし穴に近づきます


75: :2012/4/15(日) 20:10:43 ID:wkYGcb8/AU

その時、蜘蛛の足がひょっこりと
穴から現れました

それと同時に、加速した岩が
穴のもとへ到着しました

蜘蛛と岩がぶつかって
大きな音が響きます
そして少年の予想通り
蜘蛛は大岩に巻き込まれ
また深い穴へと落ちていきました
ぱきぱきと、
何かが折れる音と共に


76: :2012/4/15(日) 20:37:38 ID:PBJ4ro1lvE
本日はここまで!
いつもより長ったらしくなってしまって申し訳ないです

そしてこの場で皆様にお礼をば。
驚いたことに、このSSがランキング10位にランクインしました!
これもこのSSを読んで下さっている皆様のおかげです
いつも本当にありがとうございます!
そして、スローペースではありますがこれからもこのSSにお付き合い頂ければと思います
それでは!
77: 名無しさん@読者の声:2012/4/19(木) 15:03:24 ID:c.PAy4aP2I
これからどうなるのか!
しえん
78: :2012/4/19(木) 19:43:09 ID:dNUHC7bA7s
>>77
うひゃー!支援ありがとうございます!!
ゲームの方ではそろそろ怒涛の精神攻撃が始まります(^ω^=^ω^)
出来るだけそれらを皆さんに伝えられるよう、鮮明な描写をがんばります
それでは続きをば↓
79: :2012/4/19(木) 19:53:49 ID:n5h324VbgQ

大きな音と共に二つの大きな黒い影が穴に飲み込まれて行く所を
少年はじっと見ていました

光を湛えたそのまなこ
やはりそこには一抹の
罪悪感すらありもしない


それらが完全に穴に消えると
ようやく少年は坂道を上り始め、
その先に続く平らな道を進みます

80: :2012/4/19(木) 19:55:41 ID:dNUHC7bA7s

そこはいやに明るくて、
やけに開けた道でした
たまに羽虫が寄ってきますが
それ以外に変哲はありません

先程まで嫌というほど味わった
悪意や狂気
そんなものも感じません
平和で平和で
なんだかまるで、

嵐の前の静けさのような


81: :2012/4/19(木) 19:59:35 ID:n5h324VbgQ

平坦な道を何事もなく進んで行くと
やがて道に影がさし、
奥に小さく崖が見えてきました

崖の上に目をやると
男の子が二人立っていて
ただじぃっとこちらをみています
今はもういない
あの男の子達と同じように
真っ暗な顔でみています

82: :2012/4/23(月) 20:56:11 ID:b7asnwnZlE
こんばんは!
ただいま続きのプロット作成中の1です。更新遅くて申し訳ありません…
本日はちょっと皆さんにお聞きしたいことがありまして。
その聞きたい事と言うのはこのSSのレイアウトについてです。

今のレイアウトは見やすいか見にくいかを、皆さんに率直にご意見いただきたいのです。

他力本願で申し訳ありません。ずっと手探り状態で、文体が安定しないので、皆さんの力をお借りしたいと思った次第です。
それではSS更新でもないのに長文失礼いたしました。

83: 名無しさん@読者の声:2012/4/23(月) 22:17:43 ID:W7ixokyaCM
見やすい!
更新楽しみに待ってる
84: :2012/4/24(火) 18:43:36 ID:PBJ4ro1lvE
>>83
それなら良かったです!なんだか言わせてしまった感じになってすみませんwww
そして嬉しいお言葉をありがとうございます!これからも楽しんでもらえるよう頑張りますね
85: 1 更新遅くてすみません:2012/4/26(木) 19:49:02 ID:7sJIhLWkqA

少年は少したじろぎ身構えましたが、すぐにその崖へ向かって走りだしました
するとすぐに二人は奥へと走って行ってしまいます

崖は助走をつければ登れそうな高さです
この走っている勢いのまま崖へ飛びつけば、まだ二人を追えるかもしれない
そう判断した少年は、踏み込む位置を定めるため、視線を地面へ向けました

そしてすぐに、少年は足を止めます

86: :2012/4/26(木) 19:57:39 ID:xz8.PzNRTg

少年の目の前、つまりは崖の手前2メートル程度
そこには草が道に生えるかのように、さも当然のように、無数の鋭い棘が地面から突き出していました

棘に気づかないまま、あと少しでも崖に近づいて行ったなら、体は棘で穴だらけになっていたことでしょう
そんな最悪の想像をしてしまった少年は、さあ、と血の気が引きました


87: 名無しさん@読者の声:2012/4/29(日) 12:17:38 ID:dDBUflagxU
>>1の好きなように書けば良い
応援してる
88: :2012/4/29(日) 17:04:25 ID:Kyk1JTbzyw
>>87さんが男前すぎて辛い(^ω^=^ω^)
ご意見ありがとうございます
自分の書き方で書いて、楽しんで頂けるようがんばります!
そして応援もありがとうございました!

更新速度は遅いですが、これからもお付き合い頂ければ幸いです
89: :2012/5/2(水) 20:02:57 ID:vTEEKrBc4w

太さも長さもばらばらの、無数の棘は四方を向き、少年が先へ進むのを阻みます
いくら少年が身軽といえども、
この針を飛び越えることは出来そうにもありません

引き返して他の道を探すか、
ここを渡るための道具を探すか

90: :2012/5/2(水) 20:19:13 ID:vTEEKrBc4w

どうするべきかと少年は、迷い悩んで立ち往生

そうしていささかの時間、少年が無数の棘の前に留まっていると
後ろから、どうっと大きな音響き
足に伝わる地響きと、背中にかかる砂埃


91: :2012/5/2(水) 20:23:58 ID:SK4UkjkGQY

振り返った少年の目に映ったのは針を一本携えた、大きな岩のようなもの
太く鋭い針はずるずると、後ろに繋がった巨大な体を引きずって、ひどくゆっくり少年に近づいてきます


もぞもぞ動くその針が
蜘蛛の足だと気づくのに
かなりの時間がかかりました


92: :2012/5/2(水) 20:34:43 ID:vTEEKrBc4w

五本あった足が一本しか無いのは岩の巻き添えになったせいでしょう
あの時のあのぱきぱきという音は、関節が折れ、足がもげた音だったのです

今までずっと少年を追いかけ、少年を追い詰めてきたこの蜘蛛は今や見る陰もありません
これが近づいて来ることにもはや恐怖も感じません

だってその足は、あまりにも弱々しく、重い体を引きずっていたものですから


93: :2012/5/2(水) 20:38:26 ID:SK4UkjkGQY

少年は一歩、蜘蛛のもとへ近づきました
蜘蛛もずるり、体を引きずり少年に近寄ります

二つの陰のその距離は
蜘蛛の鋭い足の射程

蜘蛛はよろよろと切っ先を少年へと向け、そのまま小さな体を貫こうと突いてきました
しかし少年は、両手でやすやすと
蜘蛛の足をつかまえました

蜘蛛にはもう、
少年を貫くどころか振り払う力もありませんでした


94: :2012/5/2(水) 21:16:37 ID:vTEEKrBc4w

少年は掴んだ足を離さずに、力いっぱい自分の方へ引っ張りました
蜘蛛の胴体は自分の足をつなぎ止めることが出来ず
ずるり、ずるり、足が体から離れていきます
ぴくり、と小刻みに関節が痙攣します

体と足を繋いでいた細い繊維がぷつんと切れ、そこからどろりとした液体が飛沫をあげて飛び散って
少年は蜘蛛の足から手を離しました

95: :2012/5/2(水) 21:23:22 ID:SK4UkjkGQY

足は、足だったものは地面に落ちます
胴体と離れた事を理解していないのか
まだ生きていると主張したいのか
それはぴくぴくと動き続け、


そして、止まりました



96: :2012/5/2(水) 21:49:25 ID:SK4UkjkGQY

少年は足が止まるところを見届けると、蜘蛛だったもの、その胴体に近寄りました

足の繋ぎ目からは生温い液体が流れています
そっと、その黒くて丸い胴に触れました。触れた手からとくとくと微かに鼓動が伝わります

いびつに丸い体を強く押し、少年はそれを崖の棘のもとへ転がしはじめました
触れる度に伝わる鼓動なんて、知らん顔をして

97: :2012/5/2(水) 22:02:28 ID:SK4UkjkGQY

崖の前、棘の生えた所の手前まで蜘蛛を転がすと
少年は一度転がす手を止めました

一つ深く息を吸って
吐くのと同時にもう一度、強く、それを押し出しました

固くて重い蜘蛛の胴体はずぶりと音を響かせながら、無数の針をその体の中に飲み込んでいきました


98: :2012/5/2(水) 22:11:41 ID:SK4UkjkGQY

少年が針に刺さった大きなかたまりに手をつきました
さっきまで触れると伝わったはずの鼓動は、今はもう感じませんでした

少年はそれに近づいて、
大きく両手を広げると
黒いかたまりを抱きしめました

抱きしめたそれは大きくて、大きくて
はた目からすればただ、しがみついているようにしか見えなかったかもしれません


しかし少年は確かに、それを抱きしめたのです


99: :2012/5/5(土) 22:06:38 ID:QA/ZUctZDA

抱きしめるのをやめると少年は、それによじ登って踏み台にし、崖の上へ飛び乗りました

かたまりを少年が一瞥することは
もうありませんでした


幼い少年さくさくと、
モノクロームのその森の
いっそう奥へと消えていく


100: :2012/5/5(土) 22:08:01 ID:aV7MSwXkCY
蜘蛛さんの最期は更新し忘れた↑を含めて以上です。長い付き合いでしたね。
蜘蛛さんは最期になりましたが、精神攻撃はもう少し続きます。
読んでないとは思いますが、グロが苦手な方はすみません(^ω^;)
もし、グロを期待して読んでくださっていた方はしょぼくてすみません!

それはそうと、これで調度100レス目になりました!
お付き合いくださってる方、いつもありがとうございます!
更新ペースは相変わらず低速ですが、よければもう少しの間お付き合い頂ければと思います。
それでは、また。

101: 名無しさん@読者の声:2012/5/6(日) 13:23:27 ID:/Z2zYzpsb2
なんだかよくわからない感情だ!
でも好きです、このss!
支援です
102: :2012/5/6(日) 18:31:27 ID:LJlRNNysec
>>101
読後に何かしらの感情を持っていただける事ほど光栄なことはありません、ありがとうございます!
支援感謝です。


そして、前回に引き続き今回もランクイン出来るとは思っていませんでした…!
投票してくださった皆様、読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。
これからもお付き合い頂ければ幸いです。それでは、また。
103: :2012/5/8(火) 18:08:33 ID:buY.QArEr2

登った崖の奥には暗いトンネル
ぎゃあぎゃあ喚く鳥達の声

声はトンネル内部に反響し、少年の耳へ入り込む
わんわん響く鳥の声に耐え切れず
足早にトンネルを抜けました

104: :2012/5/8(火) 18:10:27 ID:KLMpaCsVQ2

少年は鳥達が何をしているのか気になって、たった今通り抜けたほの暗いトンネルを振り返ります

トンネルの中、うっすら見えたのは数羽の群れた黒い鳥
そのくちばしの先には白くうねったなにかの幼虫
きっとそれが食事なのでしょう

一匹しかないその芋虫を奪い合い、群れた鳥達ひた喚く

105: :2012/5/8(火) 18:22:57 ID:KLMpaCsVQ2

鳥達に引っ張らればらばらにちぎれた芋虫は
それでもなお、鳥の口の中に消えるまでうねっていました

それを見た少年は
大きさも形も何もかもが違うのに、なぜだかあの蜘蛛を思い出しました

ふう、と一つ息をつき
くるりと体の向きを変え
少年は洞窟を後にしました


106: :2012/5/12(土) 19:26:14 ID:7aF5ik90QM

洞窟を抜けて進んでしばらくたって
次に立ちはだかるのは深い大きな水溜まり
池といった方が良いくらい、大きな大きな水溜まり
水は相変わらず嫌な感じがします

そしてその水溜まりにはいやに沢山、羽虫が群がっていました

少年はそこに目をこらす
ぷかり浮かぶは二つの陰

107: :2012/5/12(土) 19:29:27 ID:7aF5ik90QM

一つは酷い腐臭がします
虫が群がりぶよぶよふやけて、元は生き物だったということしかわかりません

もう一つは崖でこっちを見ていた男の子でした
背中しか見えないけれど、少年には確かにそれがあの男の子だとわかりました


縦に並んだそれは二つとも
動く気配がありません
泳ぐのは極力避けたい少年は、これを浮き島変わりに渡ろうと思いました


108: 名無しさん@読者の声:2012/5/16(水) 21:44:53 ID:cw8wxtQdpE
面白い
つC
109: :2012/5/19(土) 16:35:06 ID:pYiNGEDLCU
>>108
うわあああ支援ありがとうございます!すごい嬉しいです!!
これからも楽しんで頂けるよう精一杯がんばりますね

そして長らく更新停滞していてすみません。只今予定が立て込んでいる状態でして、次の更新までもう少しだけお待ち頂くことになりそうです。
読んでくださっている皆様、お待たせしてしまって申し訳ありません。それでは、また。
110: :2012/5/22(火) 18:03:31 ID:SK4UkjkGQY
そうと決まれば助走をつけて地面を蹴り、ぴょいと少年身軽に跳ぶ

足を浮き島に着けると水のはねる音に重なって
ぐちゃり、腐った肉が潰れる音


その感触が体に伝わらないうちに
少年の重さで足場が沈まないうちに

足を踏ん張りもうひとっ跳び

111: :2012/5/22(火) 18:06:23 ID:vTEEKrBc4w

次は動かない男の子の背中に着地しました

ぐらりと数度浮き沈み、みなもに波紋が広がります
少年は落ちないように不安定な足場でバランスをとります

みなもが静かになった頃、少年はここから向こう岸までの距離を見ました
その距離は、少年の身長二つ分といったところでしょうか

いくら少年が身軽でも、助走無しの跳躍ではどうにも届きそうにありません

112: :2012/5/22(火) 22:06:29 ID:LlFVCsszw6

困ってしまって少年は一か八か向こう岸へ跳んでしまおうかと思いました

すると、水溜まりの向こうから足音が
少年が音の方へ目をやれば、頭を垂らした男の子がこちらに向かって歩いて来るのが見えました
今、少年の足場になっている男の子と一緒に崖にいた男の子でした

彼は目前の水溜まりなんてありもしないとでも言うように
ただただ真っすぐ、うなだれたまま進んできます

113: :2012/5/22(火) 22:10:20 ID:LlFVCsszw6

一歩、
音をたてて足が水に浸かります
一歩、
足から波紋が広がります
一歩、
腰から下はもう見えません


一歩、
一歩、
また一歩、
それでも男の子は歩みを止めません

そしてとうとう男の子は水の中に飲み込まれて行きいました


114: :2012/5/22(火) 22:16:35 ID:rBPFzPgsNU

それでもまだ、足を前へ動かしていたのでしょうか
男の子が沈んだあたりを中心に、波紋が広がり波打ちます

しばらくすると、そこからあぶくがこぽりこぽり湧き出てきました

そしてあぶくが無くなったみなもを眺めていると、ぷかり、男の子だったものが浮かんできました
男の子だったものをよく見ると、その頭に洞窟で鳥達の餌になっていた芋虫がくっついていました

115: :2012/5/22(火) 22:22:44 ID:LlFVCsszw6

うねる芋虫は四肢の生えた浮き島から離れ、しばらくすると水にのまれて沈んで行きました

少年は新しく出来た浮き島に跳び移り、そこから向こう岸に渡ることが出来ました


そして幼い少年は、次の関門へと進むのです


116: :2012/5/22(火) 22:30:20 ID:LlFVCsszw6
一週間以上も更新せず大変申し訳ありませんでした!とりあえず本日の更新はここまでです。
お付き合い頂きありがとうございます!それでは、また。
117: :2012/6/17(日) 09:51:46 ID:NZIGCpgE5A

皆様お久しぶりです、1です。
約一ヶ月も放置してしまいすみませんでした。
そして大変申し訳ないのですが、これからも当分予定がつまっていてなかなか執筆する時間がとれないのです。

満足に更新も出来ないのにずっと現行に居座っているのもおかしいと思うので、一旦このSSを未完庫に置かせて頂くことにしました。

来月か再来月には必ず戻って来ます。必ず完結まで持っていくので、また復帰した際にはお付き合い頂ければ嬉しいです。
それでは、また。
118: 名無しさん@読者の声:2012/6/19(火) 07:56:09 ID:6WEqWqJN4E
支援
119: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
120: 真・スレッドスターター:再開
再開しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
121: 1 お久しぶりです:2012/8/7(火) 18:22:57 ID:Vuxtltmhiw

進む道は洞窟で
進んだ先には落とし穴
穴は大きな正方形

それは確かに明らかに、
人が作ったとわかる金属の正方形

幅はとても広いけれど、深さは少年の腰くらい
そのまま進んでも支障など無い程度の穴でした

122: :2012/8/7(火) 18:27:30 ID:oEVCzzWWHs

しかしだけれど少年は
森にあるはずの無い、その無機質な光沢に少しの違和感と気味の悪さを感じました

何故でしょう?
洞窟のごつごつとしたいびつな岩の天井の中
その落とし穴の上だけが
きらりと平らな金属の天井だったせいかもしれません

123: :2012/8/7(火) 18:37:58 ID:Vuxtltmhiw

少年は少し考えます
一歩、落とし穴に近づこうと足を前に出しました

その時に、ちょうど足元の小石を蹴ってしまったのでしょう
小石がころころ転がって
穴の中へと消えました

そして聞こえた
かつん、堅いもの同士のぶつかる音
同時にかしゃん、金属の床がほんの少し上下して

するとするとどうでしょう
穴の上の天井までも、軽く上下したのです!

124: :2012/8/7(火) 18:41:17 ID:oEVCzzWWHs

そういうことか、

合点のいった少年は踵を返すと
先程まで少年がいた浮き島三つの水溜まり
そのほとりまで戻ってきました

そして水溜まりに浮かんだ三つのうち、少年に一番近い所にある浮き島の
ふやけた足を掴んでざぶり、陸地へと引き上げました

125: :2012/8/7(火) 18:45:41 ID:oEVCzzWWHs

そしてそのままずるずるずるり、
それの両足首をつかんで引きずります

ふやけた足首はやけに細く
硬い体はやけに重い
少年にそれを担ぐ力はありません

だからそのままずるりずるずる、
堅く冷たい落とし穴へ、
硬く冷たい男の子を引きずり進みます




126: :2012/8/7(火) 18:51:25 ID:oEVCzzWWHs

洞窟の中、
落とし穴まで戻ってきました

少年は一つ息を吐きます
引きずって来た男の子を一瞥し、
そして穴へと押し出しました

ぼとり、力無いそれは穴の中に落ちました
がしゃん、と金属の床が沈みました
それと同時に分厚い天井が落ちて来ます

今度は途中で止まらずに、天井は穴へと沈むのです


127: :2012/8/7(火) 18:53:27 ID:Vuxtltmhiw


ぐちゃり、



柔らかいものが潰れる不快な音が
静かな静かな洞窟に

何度も何度も反響しました



128: :2012/8/7(火) 19:02:48 ID:oEVCzzWWHs

穴に落とした男の子
彼は一体どうなったのか
そんなこと、想像せずともわかります
掴んだ足は、石の様に硬かったのに――

落とし穴は落ちて来た天井にふさがれて、ただの平らな道に変わりました

少年は金属の道を進みます
歩くたびに足元から伝わるぐちゃ、ごり、ぐちゅり、
そんな音など少年には聞こえていないかのように、進みます


129: :2012/8/7(火) 19:18:39 ID:Vuxtltmhiw
本日の更新分>>121-128

皆さんお久しぶりです!
覚えている方がいらっしゃるのか不安ですが、なんとか帰ってきました。

そして復帰早々死体をプレスするなんて所業に走ってしまってすみません!始める前にグロ注意くらい書けば良かったと後悔中(^ω^;=;^ω^)

毎日更新は出来ないかもしれませんが、放置だけはいたしません。皆さんに少しでも楽しんで頂けるよう頑張ります!
よければもう少しの間だけ、お付き合いくださいませ。
それでは、また。
130: 名無しさん:2012/8/7(火) 19:55:58 ID:4mtbQ2xT0g
物語の上がり下がりが無い…

重度のメンヘラが書いたような内容…
131: 名無しさん@読者の声:2012/8/7(火) 21:32:18 ID:96tNzcvs.g
待ってました

支援です
132: :2012/8/7(火) 21:35:57 ID:tJcEt8cdLA
>>130
出来るだけ淡々と進む原作の雰囲気を壊したく無かったので、起伏の無い文章にしていました。
折角目を通してくださったのに申し訳ないのですが、作風はこれからも変えることは無いです。
内容については、>>2で注意書きをしているのでご了承くださいませ。

不快に感じられたらすみません。ご意見ありがとうございました!
133: :2012/8/7(火) 21:38:16 ID:1jOFFSg.KI
>>131
待ってて下さってありがとうございます…!>>131さんに楽しんで頂けるようこれからも頑張ります。
支援ありがとうございました!
134: :2012/8/8(水) 22:12:38 ID:nOovXXZ/0c

洞窟の出口が奥の方に見えた頃
少年の頭上に何か小さなかたまりが落ちて来ました

べちゃ、と気味の悪い音が聞こえます

少年は何が落ちて来たのか確かめるため
恐る恐る、
頭に手をやろうとしました


135: :2012/8/8(水) 22:16:29 ID:nOovXXZ/0c

その瞬間、少年は軽いめまいにさいなまれました

ぐらり、視界が歪み
手は力が入らずに
ただだらりと垂れ下がり
足は前へと動き出しました

少年は驚きます
だって少年の足は、
少年の意思ではなく
独りでに動き出したのです

136: :2012/8/8(水) 22:20:11 ID:yYWADHzeSc

少年が止まろうとしても
足は言うことを聞きません

ちらりと目を前へやると
少年の前方、
洞窟の出口付近の天井に
騒がしく声を震わせる鳥達が見えました

137: 短いですが本日の更新は終了です:2012/8/8(水) 22:23:20 ID:yYWADHzeSc

勝手に動くその足は
ふらりふらりと覚束ない
けれど、だからといって
止まる気配はありません
自力での方向転換も出来そうにありません

ただただ前に足を動かす少年の
力無いその姿は
ぜんまい仕掛けの玩具の様で

一体、これを止めるには

ネジを止めるか、
玩具が壊れるか、

それ以外に方法などあるのでしょうか


138: 名無しさん@読者の声:2012/8/9(木) 00:09:02 ID:5m7vxPTq.w
この淡々とした文章が不気味さを幻想的にしていると思います

更新再開されて嬉しいC
139: :2012/8/9(木) 21:17:45 ID:Ow7SAWLc86
>>138
ふおお嬉しいお言葉をありがとうございます!
これからも>>138さんに楽しんで頂けるよう頑張りますね。
支援感謝です!
140: :2012/8/9(木) 21:32:50 ID:Ow7SAWLc86

少年は頭に神経を集中させました

頭上では、何か小さなものがうねっている感じがします
少年の頭に乗ったそれは生き物のようです
そして恐らく、それが少年の体を操っているのです

頭にそれが落ちてから、体の異変が始まったことは明らかでした

141: :2012/8/9(木) 21:40:33 ID:Ow7SAWLc86

ふと、少年は水溜まりでの出来事を思い出しました

迷わず入水していった、あの男の子の事です
たしか彼の頭にも虫が乗っていました
あれはただの自殺志願の少年では無かったのかもしれません

ただ体が操られ、
自由が利かず、
そのまま水溜まりに沈んでしまった
哀れな玩具だったのかもしれません

今まさに、足が勝手に前へ行く少年のように


142: :2012/8/9(木) 21:46:21 ID:Ow7SAWLc86

そして少年はもう一つ、思い出しました

ぎゃあぎゃあ喚く、
あの向こうにいる鳥達が
暗い暗い洞窟で
男の子を操っていたのと同じ虫を食べていた姿を

――それならば、一か八か


143: :2012/8/9(木) 21:51:37 ID:oGncu4DJc6

少年は鳥達のいる場所を確認しました

鳥は少年の背丈より少し高い所にいます
跳躍すれば頭が届く程度の高さです

少年はふらふら進む自分の膝を無理矢理に
ぐぐぐ、と屈め
ごろごろ口を開く鳥達の所まで飛び跳ねました

無理に跳んだその姿
非道く不格好な跳躍です
しかし少年は確かに高く跳躍し
頭は鳥達に近づきました

144: :2012/8/9(木) 21:52:45 ID:oGncu4DJc6

鳥の声が一層近くに聞こえます
頭上でぷち、と何かが潰れる音も聞こえました


145: :2012/8/9(木) 22:01:30 ID:Ow7SAWLc86

その瞬間、少年はまためまいに襲われました
視界が歪み、力は抜けて
受け身も取れず、体は固い岩の地面へと

少年は尻餅をついた痛みにたえながら、
ゆっくり腕を頭へやります
体はしっかり少年の言うことをきくようです

頭を触れば、虫はいない代わりに
ぬるりとした液体が手につきました

嫌なものを触ってしまったとばかりに、少年の皮膚は粟立ちました

146: :2012/8/9(木) 22:07:20 ID:oGncu4DJc6

少年は地面に液体をなすりつけ
何かを振り払うように頭を振り
ゆっくりゆっくり、
立ち上がります

操られていた体を無理に動かしたせいでしょうか
足はいやに重たく感じます
鉛のように重たく感じます

それでも、
足は自分の意志で動きます
少年にはそれだけで十分なのです
147: :2012/8/9(木) 22:09:02 ID:oGncu4DJc6

少年はほ、と息をつき
再び足を動かし始めました


自分の意志で、妹のために、

ただ、前へ


148: :2012/8/9(木) 22:22:31 ID:oGncu4DJc6
寄生虫編
>>134-137>>140-147
寄生虫さんの話は短くする予定だったのですが無駄に長くなってしまいました。申し訳ないです。

それでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします!
149: 名無しさん@読者の声:2012/8/10(金) 10:07:36 ID:96tNzcvs.g
支援です
150: :2012/8/13(月) 20:24:06 ID:yYWADHzeSc
>>149
支援ありがとうございます!嬉しいですウェヒヒ(^ω^=^ω^)

更新が遅れてしまい申し訳ありません。次↓から再開します。
151: :2012/8/13(月) 20:33:33 ID:nOovXXZ/0c

静かな静かな森の中
聞こえる音はじゃりりさくさく、
少年の足音進む音
森のなかにいるけれど
木々のざわめき一つ聞こえません

とぼとぼ歩く少年は
暗く重いモノクロームに包まれて
体引きずりひた進む

152: :2012/8/13(月) 20:41:32 ID:nOovXXZ/0c

その道はただただ暗く、
先を見据えても
ずっと平坦な道が続いていました

この道に終わりなど無いのではないか、という不安が
少年の体をむしばみます

それでも少年は、
足を前に、前に出す


153: :2012/8/13(月) 20:47:39 ID:yYWADHzeSc

どのくらい歩いた頃でしょう
ふと、少年の前方から
光が差し込んできました

地面を見ていた暗い顔を上げれば
目に入ったのは光を浴びた花畑

そこにはぽつり、
せっせと花を摘む女の子がいました

それは、少年が
少年がずっと探していた、
大切な大切な――


そこまで考えると、
少年は胸いっぱいに走り出しました

疲れなど、何処かへ吹き飛びました


154: :2012/8/13(月) 20:50:01 ID:nOovXXZ/0c

あと数歩進めば少女に触れる、
そんな距離まで来たときでした
目の前の木の枝をくぐったときでした、


べちゃり、


頭上に、聞き覚えのある音が落ちてきたのです



155: 名無しさん@読者の声:2012/8/17(金) 12:23:02 ID:96tNzcvs.g
面白くなってきた

支援です
156: :2012/8/18(土) 16:23:04 ID:EaS5gRLqBQ
>>155
いつも支援感謝です。
面白いと言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます!

更新遅くなってすみません!それでは次から再開いたします
157: :2012/8/18(土) 16:25:23 ID:EaS5gRLqBQ

少年はその音を聞いたことがあります
ついさっきの出来事です
この不快な音は、
虫が頭上に落ちてきた音です

少年の足の自由を奪う、芋虫の


少年の足が勝手に動き出します
光の差し込む花畑
まばゆい光りに驚いたのかその虫が
頭上で動く気配がしました
操られた少年の足がもつれます

足はそのままぐるりと方向転換し

少女に背を向け、
また暗い世界へ進み出しました


158: :2012/8/18(土) 16:26:23 ID:EaS5gRLqBQ

少年は焦りました
少女はもうすぐ近くにいたのに、
やっと見つけることが出来たはずなのに、

足はそれと逆方向に進むのです


待って、待って、お願い、戻って

叫びたいのに、声はでません
足だけがせわしく動き続けます


159: :2012/8/18(土) 16:28:55 ID:EaS5gRLqBQ

とにかく早くあの場所に戻りたい少年は
虫を食べる鳥を探します

その鳥は意外と早く見つかりました

少年の正面、
高い木の枝に一匹、
羽を休めてとまっています

しかし鳥は少年にも虫にも気づきません
虚空にむかって狂ったように
声を震わせているだけです

このままでは気づかれないまま
その木を通り過ぎてしまいます

160: :2012/8/18(土) 16:30:37 ID:EaS5gRLqBQ

少年は何かないかと周りを探りましたが何もありません

次にポケットに手を入れて
固く丸い何かを見つけます

ポケットから何かを出して見てみると
それは錆び付いた瓶の金口、
いわゆる王冠でした
何故それがポケットに入っているのか、少年には思い出せません

しかし今はそんなことどうでもいいのです

少年は異様に重い腕を振りかぶり
鳥にめがけ王冠を投げつけました
161: :2012/8/18(土) 16:35:27 ID:EaS5gRLqBQ

王冠は高く弧をえがき、鳥の羽に当たりました

驚いた鳥は光る目をこちらに向けます
そして羽を広げ、少年の頭にまっすぐ飛んで来ます
少年の頭をかすめたと思えば、
一瞬で鳥は飛び去りました

虫が潰れる、不快な音と共に

少年はまためまいに襲われ、
自分の体が虫から解放されたことがわかりました

それがわかるとくるり体の向きを変え
休む間もなく花畑へ、
体を引きずり走り出します


162: :2012/8/18(土) 16:37:02 ID:EaS5gRLqBQ

少年は急いでの場所に戻って来ました

そして、愕然とします


そこには壁
真っ白なかべ
ついさっき見たはずの光景はどこにもありません

淡い光の花畑も、
幼い少女の後ろ姿も、
何も、かも


163: :2012/8/18(土) 16:49:59 ID:EaS5gRLqBQ
少年、身も心もズタボロ編
>>151-154>>157-162

さて、とうとうこのお話の書き溜めが最後まで終わりました。明日からほぼ毎日更新する予定です。きっと来週には完結するはず。
LIMBOをプレイしたことがある方はわかるかと思いますが、ここから怒涛の捏造&シーンカットが始まります。

それでは、ここまで目を通してくださりありがとうございました!
あともう少しの間、お付き合い頂ければ幸いです。
それでは、また。
164: 名無しさん@読者の声:2012/8/18(土) 21:05:13 ID:P9bsPKuybc
LIMBOをやってみたくなりましたが、ゲームよりこちらの更新を楽しみにしたいのでもうちょい我慢します
更新楽しみに待ってますCCC
165: :2012/8/18(土) 22:52:09 ID:MMsYPQ7HG.
>>164
うわあああこっちを優先して下さってありがとうございます!すっごく嬉しいです…!!>>164さんに早くLIMBOを楽しんで頂くためにも更新頑張りますね!
支援感謝です。

完結してからいっぱい語ろうと思ってたのですが、ちょっとだけゲームについて語らせて下さい。
LIMBOはとにかくのグラフィックが綺麗です。エフェクトもサウンドも細かいし、この話ではカットしたギミックも結構あるので沢山楽しめると思います!ちなみにLIMBOはPCかXboxでプレイできます。
ただ、これいわゆる残酷描写満載の死にゲーで、17歳以上対象なんです。そこだけご注意くださいね。
対象年齢以上でやってみたいと思う方は、体験版で一度試してみると良いかもしれません!

長くなってしまいました。それでは、また明日。

166: 名無しさん@読者の声:2012/8/19(日) 07:29:05 ID:96tNzcvs.g
頑張って下さい

支援しています
167: :2012/8/19(日) 08:39:12 ID:SW8nJ9Dce2
>>166
いつも支援くださり本当にありがとうございます。
最後まで頑張って突っ走りますね!

それでは次から更新いたします
168: :2012/8/19(日) 08:42:39 ID:SW8nJ9Dce2

足の力が抜けました
疲れた体を動かしていた
原動力が、妹が

かげろうの様に消え去ったのです
白い壁になったのです

ふらり、
少年はその場に崩れ落ちます


169: :2012/8/19(日) 08:45:13 ID:SW8nJ9Dce2

ふと、蝶々が少年を横切り
その壁に寄ってきました

花の香りに
引き寄せられるように

花などないのに、それを探そうとする姿は滑稽に見えました
しかしその姿は蝶々のあるべき姿に見えました

花を探すのは、
蝶々にとって当然なのです

170: :2012/8/19(日) 08:50:04 ID:KNnaoH5aVo

進もう、
少年は思いました

少年は進まなければなりません
たとえ壁があっても
前に進まなければいけません

妹はこの森のどこかで待っているはずなのです


体は重いままですが、まだ足は動きます
大丈夫、先に進めます


171: :2012/8/19(日) 08:51:45 ID:KNnaoH5aVo

白くて固いその壁に
手をつく少年
先程の風景を思い出します

ここに少女がいたのは
本当に、ただの幻覚
だったのでしょうか

そのとき、脳裏に何かの情景が

――暗い大きな森の中
光を浴びた小さな草むら
妹は花を片手に寝そべって、
少年の目に広がるは――



172: :2012/8/19(日) 08:55:27 ID:SW8nJ9Dce2

それは色の付いた記憶でした
モノクロームに包まれて
色彩を忘れていた少年の

いつかのどこかの、その記憶
もう少しで届きそうなのに届かない


その記憶


必死でその記憶を探っていると、
いつの間にか少年が手をついていた壁は無くなっていました
代わりに、真っ暗で先の見えない
洞窟のような穴が目の前にありました
173: 早いですがこれで更新終了です:2012/8/19(日) 09:01:01 ID:SW8nJ9Dce2

少年は虚をつかれ、
ただ奥の暗闇を見据えることしかできません

ふいに吹いた突風が
少年を穴の奥へいざなって

その姿は暗闇に消えて行きました


174: :2012/8/19(日) 23:52:14 ID:ei5XHQhyKM
つい先程知ったのですが、なんとこの話が今回のSSランキングに入っているようです!
まさかランクインしているとは思っていなかったので、とても驚きました。

投票して下さった皆さん、ありがとうございます!!
自分が思っていたよりもこの話を読んで下さっている方がいると判り、ちょっと舞い上がっております。

改めて、この話に目を通して下さった皆さんに最大級の感謝を。本当にありがとうございます。
もしよければ、あともう少しの間お付き合い頂ければと思います。

それでは、また明日。失礼いたします。

175: :2012/8/20(月) 19:30:52 ID:pBtoJZVKDU

少年が飲み込まれた真っ暗な穴
その奥には森が広がっていました

突風に押されたその体は、ひんやり冷たい土の上
勢い良く叩きつけられます
その強い衝撃に、少年は意識を手放しました

気を失っていくばくか、


少年は目を覚まします

ぽつり、草むらに四肢を投げ出して
目を数度しばたかせ
土と草の冷たい感触を手に感じ
少年は一人、立ち上がります

視界にひろがるモノクロームのこの森は
少年がはじめに目覚めたあの景色と同じものでした
まったく同じものでした


176: :2012/8/20(月) 19:34:09 ID:fJfrMk8NYA

少年は振り出しに戻って来たのです

何故、どうして、
そんな疑問よりも真っ先に、少年の瞳には絶望の色が浮かびます


しかし少年はもう止まりません

だって、だって、
少年は妹に会いたいのです


177: :2012/8/20(月) 19:44:03 ID:pBtoJZVKDU

さわりと揺れる空気に包まれ
帽子のつばをくいとひき
ぱきり小枝を足で踏み
輝き変わらぬそのまなこは前見据え

数時間前と同じ景色の中
とにかく前へ前へと進みます


壁の前で一度見た、
脳裏にこびりついて離れない
でも思い出せないあの景色が何なのか
心の隅で考えながら

178: :2012/8/20(月) 19:52:48 ID:fJfrMk8NYA

少年はもう、初めの様に身軽に障害物を乗り越えて進むことは出来ませんでした
慎重に坂を下り、木々の凹凸を歩きます

小さな障害物を進んで行けば
もうすぐあの大きな川が見えるはずでした

しかし進めども進めども、数時間はあったはずのあの川にあたることはありません

同じ道を進んでいるはずなのに
段々と数時間前とは掛け離れた風景が広がっていくのです

そして、
進んだ先にあったのは、



179: :2012/8/20(月) 20:00:19 ID:pBtoJZVKDU

蝶々がはらりと飛び回り
花の香りがふらり漂う、
光を浴びた草むらです

そこには少女がいました

あそこで一度見かけた幻覚と同じ風景でした

木漏れ日にきらきら髪を輝かせ
綺麗な梯子のかかったその脇で
せっせと花つむ小さな少女

今度は幻ではないだろうか、消えてしまわないだろうか
少年は少し疑います

あの幻想は少なからず少年の恐怖になっていたのですから


180: :2012/8/20(月) 20:02:03 ID:pBtoJZVKDU

しかし花の香りは本当です
少女が動く度にさわりと揺らぐ、草の音も本当です

間違えるはずがありません

あれは、確かに
本当に探していた妹だ


大切な大切な、妹だ



181: 1 本日の更新はここまでです:2012/8/20(月) 20:04:25 ID:fJfrMk8NYA

踏みしめるように、

一歩、
また一歩と妹の元へ歩み寄ります

ふいに少女が、頭を上げました
驚いて少年は、立ち止まります


そして、少年は思い出しました



182: :2012/8/21(火) 19:06:00 ID:bEGGp0MEuA

      * * *


少年には妹がいます
無邪気で少し泣き虫な、大切な妹です

あるとき少年と妹は絵本を読みました
少年と少女が森を冒険するお話です

絵本の中の冒険に憧れた二人は目を輝かせ
いつか森へ行くことを指切りしました

183: :2012/8/21(火) 19:07:59 ID:nomryNie92

それから少しの時が経ち

二人はありったけのお小遣いを持ち合わせ
遠くを目指してバスへ乗り込みました

二人の家はコンクリートに囲まれた都会の真ん中
近くに森などないのです

幼い二人はこのささやかな遠出を冒険に見立て
綺麗な瞳を輝かせます

バスの終点、
大きな森のそのふもと
お金は何とか足りました


184: :2012/8/21(火) 19:08:51 ID:bEGGp0MEuA

今から始まる冒険に、
二つの小さなその胸は期待でいっぱいに膨らんで


これから起きる出来事を予期など、出来たはずがないのです



185: :2012/8/21(火) 19:10:06 ID:nomryNie92

木々が鬱蒼と生い茂る森の中
少年と妹は仲良く手を繋ぎ
さくさく地面をならしながら森の奥へと進みます

木の葉がそよぐその音が
青葉の間から漏れる光が
土から漂うひんやりとした空気が、匂いが

全てが二人には新しく
疲れも忘れて歩を進めます


186: :2012/8/21(火) 19:13:25 ID:bEGGp0MEuA

ふと少女が小さく悲鳴をあげました
少女の足に大きな蜘蛛が這い寄ってきていたのです

このままでは妹が泣いてしまう、

少年も虫が苦手でしたが
妹のために勇気を振り絞り、足元にあった太い木の棒を拾い振りかぶって
真っ黒な蜘蛛をめった打ちにしました


ばらばらになった後、
ぴくり、と一度動いた蜘蛛の足が不気味だったのを少年は覚えています

もはや粉々になった蜘蛛は見向きもせず、二人はまた手を繋いで歩きだしました



187: :2012/8/21(火) 19:16:02 ID:bEGGp0MEuA

少女は歩いては立ち止まり、森に落ちているものを珍しそうに拾い上げます

拾った物の一つの王冠を、嬉しそうに少年に手渡します
少年はそれを受け取ると大切そうにポケットにしまいました


はらり、白い蝶々が少年と少女を追い越して行きました
二人は森の随分奥に進んだようでした

二人は蝶々を追って走り出します

188: :2012/8/21(火) 19:25:07 ID:nomryNie92

少年が妹を引っ張り走って行くと、色とりどりの花々が目に入りました

気づくと二人は木漏れ日眩しい小さな花畑に出ていました

少女は少年の手を離しその中に駆け出します
花畑の真ん中でしゃがみ、にこにこしながら花を摘み始めます


花摘みに夢中になった妹が面白くない少年は、
その花畑の脇にある大木に近づくと木登りすることにしました

189: :2012/8/21(火) 19:30:07 ID:bEGGp0MEuA

ごつごつした幹の突起につかまり上へ、上へ
とても高い所まで登ります

少年は、分岐した枝の一つが妹のいる花畑の方に伸びている事に気づきました
元々身軽な少年はしなる細い木の枝を平均台のように渡り、
妹のちょうど真上に立ったのです

見下ろすと、下にいる妹がただの豆粒の様に見えてなんだか楽しくなりました
こんなに高い所まで来たのだと、妹を驚かそうと声を上げかけた時です


190: :2012/8/21(火) 19:33:02 ID:nomryNie92

みし、木の枝が嫌な音を立てました

少年は危機を察して枝の付け根に走って戻りました

少年が走ったその拍子
木の枝は少年の足場を残し、ばきり折れてしまいました


191: :2012/8/21(火) 19:34:01 ID:bEGGp0MEuA

折れた木の枝は真っ逆さま
太く鋭いその棘は
加速し静かに落ちてゆく
幼い少女はそれに気づかず花を摘む


少年ぱちりと瞬きをした、その瞬間


折れた木の枝少女を貫く


一拍おいて少女は倒れる
その手にあるのは赤一色の花二つ


192: :2012/8/21(火) 19:34:52 ID:nomryNie92

少年は声が出ませんでした

妹が赤に染まって横たわる姿を木の上から見ていることしか出来ませんでした

ただ、とにかく、

妹の元へ急がなくてはと思いました



193: :2012/8/21(火) 19:36:23 ID:nomryNie92

そして少年は足場から一歩歩き出し、足は空気を虚しく切って

体はぐるり、
真っ逆さまに妹の元へ


地面にたたき付けられた少年は妹から少し離れた場所にありました

痛みで視界が真っ赤に染まるその中に
木漏れ日と共にさされた
綺麗な梯子を見た気がしました



194: :2012/8/21(火) 19:37:21 ID:bEGGp0MEuA


      * * *

とある森。

光を浴びた小さな草むら。
花の香りの染み付いた、朽ちた梯子は木にもたれ、その脇近くの土の上には虫が群がる。そこから少しの距離置いて、またも群がる小さな虫。


誰に気づかれることもなく

静かな森に二つの羽音が広がった。



195: :2012/8/21(火) 19:39:26 ID:exBrIqN2oI

――――Fin.―


196: :2012/8/21(火) 19:49:48 ID:c68JX5smes

あっけないですが、お話はここで終わりです。200レス内に終わって良かった良かった。

短めのお話でしたが、完結までに約半年もかけてしまいました。
その間、長期にわたり更新を停止したりがありましたが、ランキングに何度もランクインしたり完結までもってこれたのは、偏に皆さんからの暖かい支援があったからです。
ここまでお付き合い下さった皆さんにありったけの感謝を。
ありがとうございました。

http://j2.upup.be/szNfjtiyZj


197: :2012/8/21(火) 20:10:04 ID:c68JX5smes

LIMBOについて、SSでは語れなかったことが少しだけあるので、それをちょっと補足してから削除依頼をしようと思います。

この作品へのご意見ご感想、また、腑に落ちない所や疑問などがございましたらお気軽に書き込みくださいませ!

それでは、また。
198: 名無しさん@読者の声:2012/8/21(火) 21:45:02 ID:3JGiE5H9x6
お疲れ様でした!ハッピーエンドになるのかと思いきや・・・。陰鬱なのに幻想的な世界観とテンポの良い文章の流れが好きでした。
ホントお疲れ様でした。
これで心置きなくゲーム探して購入してみようと思います!

199: 名無しさん@読者の声:2012/8/22(水) 12:35:26 ID:TELsTb9SoU
乙!
冒頭の文章が最後のシーンだったのか!面白かった。
削除しちゃうのか?
200: 名無しさん@読者の声:2012/8/22(水) 16:54:20 ID:96tNzcvs.g
200get

お疲れさまでした
ずっと応援させてもらっていましたがとても面白かったです。
乙でした
201: :2012/8/22(水) 22:54:44 ID:exBrIqN2oI
ふおおおご感想ありがとうございます!今日は時間があまりないので、LIMBO語りは明日からさせて頂きます。

>>198
暖かいお言葉をありがとうございます!
ハッピーエンドにしてあげたい気持ちもあったのですが、どうにも思いつかなくてこうなっちゃいました(^ω^ω^)
陰欝で幻想的な雰囲気はゲームのテーマなので、それが伝わっていたようで嬉しいです。
ゲーム楽しんでくださいね。そしていつか機会がありましたら語り合いましょう!

>>199
乙ありがとうございます!
そうなんです。ここら辺の構成もゲームに準じているという理由もあるのですが、一番は私が最初の文章で最後を締めるという演出に憧れていたもので。
なんだか保管庫はおこがましいかな…と思っていまして。削除じゃなくてもいいのでしょうか?

>>200
200getおめでとうございます!
>>200さんがいつも支援してくださっていたことが、とても心の支えになりました。面白いと感じて頂けて良かったです。
本当にありがとうございました!

皆さん嬉しいお言葉をありがとうございます。それでは一旦失礼いたします。
202: 名無しさん@読者の声:2012/8/23(木) 09:09:08 ID:maXqPY7hds
おつおつ
203: :2012/8/23(木) 19:32:15 ID:cIxHiF6d1.
>>202
うへへへー乙ありがとうございます!ここまでお付き合いくださり感謝です。


さて、次からLIMBOについての解説垂れ流しです。ぶっちゃけこれがやりたかった!


204: :2012/8/23(木) 19:33:33 ID:UPlzZm4aIQ
先ずは
・LIMBOという名前の意味
LIMBOとは日本語で辺獄、天国と地獄の間、ローマ・カトリックにおいて洗礼を受けず死んだ幼児の行き着く所とされています。更に詳しくはWikipediaにて。
この説明を聴くと、何故少年は無彩色の世界にいたのか納得がいきますね。幼い兄弟は命を落としこの辺獄に迷い込んでしまったのでしょう。
更に、少年を迎えた数々の悪意(例えばとらばさみ、巨大蜘蛛等)を見るに、限りなく地獄に近い場所なのかもしれません。
今回、物語の中に組み込まなかった描写が山ほどあります。その中に、少年が巨大な看板の上を渡るシーンがあります。その看板のスペルを(矢印も文字のLとして)入れ替えると、実はとある文章になるんです。その文章を見ると、ここは限りなく地獄に近い場所なのだと確信を持てるはず。このゲームは本当に細かい所まで凝ってます。

205: :2012/8/23(木) 19:48:30 ID:cIxHiF6d1.
・水について
この物語で水は立派な障害物になりました。少年は身軽で運動神経がありそうな印象なのに、何故か水に入ると沈んでしまうのです。これは私の仮説なのですが、少年はLIMBOに居ながらまだ生きていたからだと想像します。この仮説ならば、少年がこの世界で受けた数々の攻撃にも説明がつきます。
なんたって居てはいけない存在なのですから。殺しにかかる、ということは生きているということですしね。

次に続く
206: :2012/8/23(木) 19:58:11 ID:UPlzZm4aIQ
また、>>5で少年が渡った大きな川。他の場所とは違い、ここには綺麗な船がありました。これは日本で言う三途の川というやつでしょうかね。ここを渡ってしまえばもう、後戻り出来ませんでしたし。
しかしLIMBOは日本のゲームではありません。ので、川がどんな意味を持つのか調べてみました。なんだかそれっぽいのを見つけました。褒めて!
詩人として有名なダンテが、神曲の中でLIMBOをアケローン川(死者の魂を流す川の支流)の先として描いたそうです。正にこんな感じですね。

ちなみゲームではこの、水に入った時のサウンドがとにかく凄い!これは是非聞いてみて欲しいです。少年死んじゃうけども。

さて、今日はこの辺で。ここまでお付き合いくださりありがとうございます!
それでは、また。
207: :2012/8/25(土) 11:08:43 ID:ZI4.WP1J.c
・ギミックについて
このお話では舞台はずっと森でしたが、ゲーム自体はそんな訳でもありません。舞台は森から移動します。また、後半に行くにつれパズル要素が増していきます。
こちらでそれを省いたのは物語が単調になるのを防ぐためと、やっぱりこれからLIMBOをやる方に全部ネタバレしてしまったらつまらないと思ったからです。ので、このお話で登場した障害達の攻略法も一部改変してしまってます。あしからず。

208: 名無しさん@読者の声:2012/8/25(土) 12:51:10 ID:96tNzcvs.g
遭・遇・・?できたのかな?
関係ないけど保管庫希望です
支援
209: :2012/8/25(土) 22:02:43 ID:EaS5gRLqBQ
>>208
またお会いしましたね!わーい
保管庫希望してくださってありがとうございます!私も色々迷ったのですが、やっぱり初めて書いた作品だし残しておこうかな…と思っています。どうも、意思が弱い作者です。
支援感謝です!

210: :2012/8/25(土) 22:15:28 ID:EaS5gRLqBQ
・妹の側にあった梯子

何度か描写した梯子について。この梯子、明らかにその風景から浮いているんですよね。森の奥深くの場所に人工物があるんですから。
これは調べなくても想像がつきますよね。梯子は上へ行く道具。死後の世界を暗示している気がします。天国への階段とか言いますが、こちらでは天国への梯子でしょうか。
しかしこの梯子、ちょっと高い所にあるんです。少年が少女を肩車してようやく届く位の高さだと思います。
しかも梯子はボロボロなんです。二人も登れるとは思えません。

これはつまり、どういうことを意味するのでしょうかね。

211: :2012/8/25(土) 22:16:27 ID:EaS5gRLqBQ
・残る謎

LIMBOは>>2に書いた通り、台詞が一つもありません。与えられる情報はただ二つ。LIMBOというタイトルと、少年は妹を探していること。
多くが語られないからこそ謎があり憶測が飛び交います。正解はきっとありません。
どうとらえるかはプレイヤー次第。ここまでの話は全て私の憶測です。皆さんが当たっていると思っても違うと思ってもその通りです。
謎が謎のまま終わる、これもLIMBOの魅力です。人間、憶測とか大好きですからね!

少年は何故妹のためにここまで出来るのか?あの男の子達は何者なのか?あの罠達はどうしてそこにあったのか?妹の側にあった梯子は一体何の意味があるのか?
二人はちゃんと、ハッピーエンドを迎えられたのか?

ここからは、皆さんが考える番です。

212: :2012/8/25(土) 22:19:02 ID:EaS5gRLqBQ
・あとがき
本音を言うと、読者さんがちゃんといて、更にはランキング入りしたりして、初投稿したSSの割になんだか出来過ぎている気がします。これはLIMBO効果でしょうか。LIMBO万歳。

完結させることが出来た達成感ってすごいですね。書きつづけて本当に良かった。
くどいようですが、この作品を完結まで持ってこれたのは皆さんの暖かい支援があったからです。
改めてもう一度お礼を言わせてください。本当にありがとうございました。

213: :2012/8/25(土) 22:22:02 ID:EaS5gRLqBQ
後書きと言う名の自分語り乙。退屈させてしまってすみません。

長い後書きになりました。作者からは以上です。9月に入ったら保管庫依頼をさせて頂く予定です。
書き込みはどうぞ、お好きなように。

皆さん、ここまでお付き合い下さり本当にありがとうございました。
これにて、LIMBO好きのLIMBO好きによるLIMBO好きのためのお話はおしまいです。

それでは、また。
お会いするときまで。

214: 名無しさん@読者の声:2012/8/30(木) 19:17:42 ID:Ow7SAWLc86
何という出遅れ感……!

後れ馳せながら、お疲れ様でした。暗澹な雰囲気の中で、テンポのいい文章が詩を詠んでいるような気分にさせてくれる素晴らしいSSでした。
ラストに冒頭の文章が書かれていたのには鳥肌が立ちましたw

素敵なSSを読ませて下さってありがとうございました!また>>1さんの書くSSが読める日を楽しみにしています!
215: :2012/8/31(金) 18:02:16 ID:l.uGI75lzk
>>214
ふおお嬉しい感想をありがとうございます…!
文章のリズムの事も物語のラストもかなり意識していた部分だったので、そう感じて頂けて嬉しいです。

こちらこそ、ここまでお付き合い下さり本当にありがとうございました!またSSを書くことがありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
216: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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sage:


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