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忘却線上の星
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1: 名無しさん@読者の声:2011/9/5(月) 01:09:18 ID:.gB2sDwzQY

自分を流れ星に例えた人が居た。光るのは一瞬だけ、あとは消えて忘れ去られるのがオチさって。あの人は明るく伝えてくれたけど内心は分からない。



女の子「星が綺麗です。」

謎の影「そうですね。」

女の子「私は忘れたくありません。だから、毎日夜空を見上げるのです。」

影「風邪を引く前に部屋に入りましょう。」

女の子「忘れるのは、哀しいです。」

影「そうですね。」

女の子「…冷たいです。」

影「今日は生憎の雨ですから。」

女の子「誰かが泣いているのですか。」

影「それは…─、」

────────



働く女とそれに付き従う男の話。生暖かい目でお付き合い下さいませ。


107: ◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:20:35 ID:YHSMbJRRo2
美月「早乙女!…どうした?」

彩月「あっ、あっ、…!美月先輩!ちょっと、あの、コンビニ行こうかな、って。」

美月「私も行こうかな、…なんか甘いもの食べたい気分だ。」

彩月「…何か、言われたんですか?」

美月「いや、ただの報告だ。早乙女こそどうした、何かあったか?」

彩月「いえ、…少し自分に甘かっただけです。やっぱり二人が居なきゃ楽しくなくて。」

美月「そうか。…今度の休暇は、あの…ショッピングセンターにでも行かないか?」

彩月(美月さんとデート!)

彩月「勿論です!美月さんの服、チョイスさせて下さい。」



叶わないと知りながらも、女の特権を生かすのはありだろう。と心中でほくそ笑む彩月だった。

彩月「やっぱり大好きです、美月さんっ!」
108:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:34:34 ID:yjsKgIJf5k
美月「なんだ急に、…照れるぞ。」

彩月「素直な気持ちです、受け取っちゃって下さい!」

───────

時計は12時を回り、辺りは昼時となった。

彩月「ケーキ美味しそう…!ありがとうね、椎名クン。」

陽人「美味しく召し上がっていただければ光栄です。」

彩月「あら、美月さんは?」

陽人「忙しいらしい、後でお昼にするって。」

彩月「そっか〜。…さて、どうだったの?初デート。」

陽人「…取り敢えず、うまくいった、のかな。…まだ、言えない事も有るし、結婚するわけじゃないから、なんとも。」

彩月「ふぅん、…私も男ならなぁ。美月さんを幸せにします…!とか言えるのに。」

陽人「早乙女さん、男には興味無いのか?」

彩月「んー…、今の所。全部表面上って感じかな。良い子で終わっちゃう。」

陽人「そっか、…なんなら俺の友達紹介しようか?」

彩月「今は遠慮しとく!美月さんでいっぱいいっぱいだから。」

幸せそうに笑う彼女の裏側を想像して、陽人の胸は痛んだ。しかし、自分も必死で、やっと掴んだ距離だった。早々手離す気は無いと心の中で告げる。
109:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 01:50:49 ID:YHSMbJRRo2
美月「もしもし、…あ、はい、はじめまして。」

主治医『はじめまして〜、上司君から話は聞いてるのよ。星川さんかしら?』

美月「はい。」

主治医『そんな沈んだ声出しちゃや〜よっ!あなたいつ頃来れそう?』

美月「すみません…っ、えっと…お時間指定して頂ければ何時でm『それなら今からが良いわ!上司君には適当に言っておくから!まってるわね〜。』

唐突に通話が終了を示す音が耳に伝わる。美月は暫し呆然としていた。

美月「あー…、もしもし椎名か。これからちょっと出るから後は頼む。すまない。…荷物は持ってるから、大丈夫だ。早乙女にも宜しく頼む。じゃ、」
110:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 02:29:26 ID:yjsKgIJf5k
頭が回らないので今日はここまでにします。本日もありがとうございました、お休みなさいませ。
111:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 15:24:06 ID:UHbjGnE77Q
美月(確かに、住所はここであってる。)

目の前に現れたのは病院ではなく一軒家。辺りを見回してみるが似たような家屋しか無く、病院は無さそうだ。

美月「間違ったら、謝れば良い。」

呼び鈴を指先で押す。足音が近付く、どうやら留守では無いらしい。

主治医「いらっしゃぁ〜いっ!美月ちゃんね、早く入って入ってぇ。」

扉を開けて貰うと其処には、性別不明の人が居た。

美月(やけにきれいだけど…、醸す雰囲気は男性。)

美月「お邪魔します。」


112:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/27(火) 15:28:37 ID:RXzqRISjrs
主治医「ん〜、そうねぇ。美月ちゃんは何飲む〜?」

美月「あ、…えっと、」

主治医「私の事は、みっちゃんって呼んで。」



柏木 光男(みっちゃん)
・上司の相棒。
・知る人ぞ知る、ヒーリングオカマ。
・以下不明
113:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 00:38:34 ID:ORGaFaQ3qo
美月「みっちゃんさん…、私、良くわからないまま此処に来てしまったんですが。」

み「ん〜、ミルクティーって気分ね。あらぁ、上司ちゃん、また説明無しに寄越したの?あの人も無責任よねぇ。思い当たる節は?」

美月「こころの問題、と言われました。…確かに、幼い頃から記憶する事、記憶を保つ事が苦手ではあります。最近また、不安定になってきていて。」

み「そうなのねぇ。ま、そんな緊張しなくて大丈夫よん。私はあなたのこと今は1ミリも知らないわ〜。憶測で喋る事も沢山ある、何か感じる事、反論があったらばんばん言って良いのよ。」

美月「…はい。でも、こころの問題って…。」

み「美月ちゃんは自覚が足りないのね、きっと恋愛でもそう。おニブさ〜ん!勿論、人間だもの、忘れるなんてしょっちゅうよ。でも美月ちゃんの場合は"消してる"に近いわねぇ。」
114: 名無しさん@読者の声:2011/9/28(水) 00:47:24 ID:ghHEmn560Q
これがオカマか…
脳内では眼鏡白衣の美人で再生されるのに
115:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:00:03 ID:ORGaFaQ3qo
美月「…消してる。」

確かに、陽人の件も有りその表現の方がしっくりくる。

み「はいはい、そう思い詰めた顔しないで〜!美月ちゃんに何があったかは、私には分からない。けど、小さな頃の美月ちゃんには抱えきれなかったのよねぇ。」

美月「…抱えきれなかった…?でも、私の幼少期は…。」

伝えようにも、記憶が断片的で、美月は息を飲む。記憶の中の其れは、ひどく平和な世界だった。
116:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:01:43 ID:ORGaFaQ3qo
>>114
見た目は美人さん設定です。女よりキレイなオカマさんでw
いつか、この子達を描いて頂けたらな、と夢見ております(*^ω^*)
117:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:12:17 ID:tL0ly3VaPU
み「ゆっくりで良いのよ。生憎診察代も要らないし〜。暇な私の相手してくれたら良いのよねぇ。何かあったらメールして、デートの御誘いも大歓迎っ。」

美月「私、…大事なこと、ばかり、…消してる、気が。」

み「美月ちゃんみたいなタイプは自分に圧力かけすぎなのよ〜。記憶もパンクしちゃうわ!」

美月「…そうなんですか。」

み「美月ちゃん、ガールズトークはお好き?」


118:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:20:44 ID:ORGaFaQ3qo
美月「ガールズトーク…、した事が、ありませんね。」

み「ならやりましょ!やりましょ!美月ちゃん、恋してるでしょ〜、中々順調ね?」

美月「…っ!?え、あの、恋っ…恋…と言うか、最近、つい、ほんの…はい。…恋?」

み「やっだ〜、赤くなっちゃってウブねぇ〜!食べちゃいたいわぁ。彼はどんな人?」

美月「年下で、犬…みたいです。気が付けば側に居て、何時も私の事を気にかけてくれて居ます。実際、彼が居なければ私は…─。」

み「素敵〜っ!互いに差さえあってる感じかしらぁ!年下捕まえるなんて中々やるじゃない、美月ちゃん。」

数時間、みっちゃんの巧みなトークスキルで話は盛り上がった。その中で美月は重大な事に気付く。

美月(…あいつに、好きって伝えてない…!)
119:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 01:27:46 ID:tL0ly3VaPU
み「さて、お仕事なのに無理矢理引っ張ってごめんなさいねぇ。またいらっしゃいな。」

美月「色々ありがとう、ございます。あの、恋愛の話とか…出来る相手が居なくて、助かります。あと、自分ともう少し向き合いたいので、力を「堅苦しいのはよせっていってるでしょう?」

み「気軽に気軽に、ね?ちゃんと彼に素直になるのよ、またね〜!」

一瞬、彼女の男性的部分が出た気がしたが美月は見なかった事にした。

車を発信する前に電話をかける。

美月「もしもし、椎名。…逢えるか?あの、話したい事が、少しあってな。」
120:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 15:02:37 ID:ByYHCP3s9Y

─────────

美月「…ありがとう、あの…それがだな。」

陽人「会社辞める、とか言わないで下さいね。あと、やっぱりお前とは付き合えないとか、ファッションセンスどうにかしろとか、加齢臭(以下略)」

美月「落ち着け、馬鹿。…私が、一つ、…伝えてない事がある。」

陽人(久しぶりに緊張で吐きそうだ。)

美月「椎名、好きだ。私の気持ちを曖昧にして悪かった…、でも今日改めてお前の大切さに…椎名?」

陽人「…っ、う…続けて下さい…っ。」

美月「ほら、ティッシュ。…泣く程ショック、だったか?」

陽人「…見て分かって下さいよぉ…、嬉し泣きです嬉し泣きっ!」

美月「…椎名からも、聞きたい。」

陽人「一緒ついていきます…!大好きです!」

美月「ここが車の中で良かったな…。」

平然と返答する美月の顔は、赤く染まっていた。少し心臓の鼓動が治まったのは、自分の曖昧さに一つけじめをつけたからだろうか。

陽人「美月さん…、顔赤いですよ。」

美月「う、うるさい…!27年間生きていてはじめてなんだ、緊張も羞恥も有るに決まってるだ……ん!」



二人の唇が重なりあったこの日を、記念日にした。薄暗くなる車内でロマンチックさの欠片も無いファーストだったが、互いの距離が一瞬に縮まった瞬間だった。
121:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/28(水) 15:17:29 ID:GaUGTF8VV2
美月「………。」

陽人「殴られる覚悟は有ります。」

美月「覚悟しろ、目を閉じて、力を抜け。」

陽人(我が生涯に一片の悔い無しっ…!!)

力を抜いた刹那、柔らかな感触が唇に伝わる。思わず目を見開くと直ぐ様美月の掌が視界を遮った。

美月「見るな…っ!…やられてばかりは性にあわないからな…っ、も、見るな…!」

陽人「わー、くらいよーこわいよー。」

陽人(俺、絶対今、幸せ。世界中の誰より幸せ。)
122:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:07:41 ID:0F6P3PjF1g
美月「半端な気持ちじゃ、無いからな…っ!」

陽人「分かってます。美月さんが真面目な人だって。」

美月「…そうか。」

陽人「そろそろ帰りましょうか。」

視線を下げる彼女を見て、陽人は頭を撫でた。自分が生きてきた中で、一番の幸せを噛み締めながら。
123:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:23:47 ID:0F6P3PjF1g
【半年後】

み「美月ちゃん、待ってたわぁ〜。」

美月「みっちゃんさん、こんにちは。」

み「さて、今日はそんな決心したような顔してどうしたのかしら?」

美月「そろそろ、…過去の自分とケリをつけようと思って。」

み「何か裏があるみたいね。でも、悪い事じゃ無さそうだわ。」

美月「…はい。私のこの不安定さは、どうしたら…治るんでしょうか。」

み「簡単よ〜?美月ちゃん自身が安定すれば良いの。」

美月「簡単そうで、難しいですね。」

美月は不安そうに笑う。みっちゃんはそれを包むように微笑み、見詰めた。

み「彼とはうまくいってるのかしら?」

美月「たまに、喧嘩もしますけど…何とか。」

み「そう、それなら焦る事は無いわ。彼と居ると、安定してるでしょ?」

美月「…はい、確かに。」

み「愛情、って私一番大事だと思うの。そりゃ、お金が無きゃ駄目だってのも間違いじゃないわ。でも、愛情があるからこそ…、人間って今日を生きて明日も頑張ろうってなっちゃう単純な生き物なのよ。」

み「その中で支え合うってとっても素敵。だから、美月ちゃん…今決心してる事は間違いじゃないわ。ただ、貴女から言うのは駄目ね。彼も同じ事、考えてるはずだから。」

美月「……!ばれてましたか、分かりました。みっちゃんさんありがとうございます、…もし、"その時"は絶対報告します。」

何かに吹っ切れた顔つきで、美月は実家へと車を走らせた。
124:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:29:06 ID:bN69lXYabc
美月「ただいま。仁己さん、春子さん。」

仁己「お帰りなさい、…その呼び方止めて下さい。お父さんが良いです。」

春子「美月ちゃんお帰りなさぁい!電話くれたらオムライス、作ったのに〜。」

美月「…今日は、話を聞いて貰いたくて。」

仁己「分かりました。陽人が何かしたなら話は早いんですけどね。」

美月「違います、…私の両親の事です。ずっと、聞けなくて、聞いてはいけない気がして。…でも、お願いします、教えて下さい両親の事を。」

春子「パパ、…良いわよね。」

仁己「もう、隠す必要も、無いでしょう。あのね、美月ちゃん。」


125:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:39:23 ID:0F6P3PjF1g

─────────

少女「そろそろ、帰らなきゃ、ね。」

少年「うん、楽しかった!ありがとう、美月お姉ちゃん。」

少女「かえりたく、ないなぁ…。」

少女は笑いながら溢す。公園の入り口には彼女の母親が迎えに来て名前を呼んでいた。

少女の肩が跳ね上がる。

少女「たすけて…、はるくん…っ…。」

少女の呟きも虚しく、痺れを切らした母親にずるずると引き摺られて行く。

少年は考えた、彼女は今助けを求めて入る。助けの声を聞いたら、駆け付けるのがヒーローだ。

少年は気付けば母親に体当たりをしていた。隙を与えず、少女の手を握る。

少年「僕が助けるから…っ!」

理由も知らず、少年はひたすら走った。母親の怒号が彼女の背中に浴びせられる。それすら聞こえなくなっても、二人は走った。



辺りは暗闇を纏いはじめる。
126:
◆Rfq4NUNFd6:2011/9/29(木) 02:47:53 ID:bN69lXYabc
少女「はっ、はっはっ…、りがと…はる…っくん…。」

物陰に隠れ、一先ず二人は腰を降ろした。しかし少女の呼吸が落ち着かない。どんどんと苦しそうになって行く。

少年「みつきお姉ちゃん…!!大丈夫?」

少女「ごめ…っ、おこらないで……っ!すぐ、すぐになおすから…っ、は、ひ…っ!」

少年「お姉ちゃん、大丈夫、僕だよ、はるだよ!怒らないからね、おちついてお姉ちゃん…!」

小刻みに震える身体を撫でていると、唐突に少女の身体が倒れた。震えは止まる様子が無く、か細い息しか聞こえない。

普段は見慣れた隠れ場所も、暗さを纏えば少年には恐怖でしかなかった。

?「見付けた。」
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名前:
sage:


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