お題【家族】
下記の順番でお願いします。
キマラシ ◆0sHUq1EiMQ
枕 ◆t5ttWOhuII
乙潤 ◆nyan.ce4UM
寅午 ◆.eH7uaEVrQ
鬱岡 ◆CevUvUjMhQ
普乳 ◆kSd3h.IkGU
お姉様 ◆RO2jhvAC9Y
PK ◆UnV9.Bq5g.
7: 普乳 ◆kSd3h.IkGU:2012/3/5(月) 01:36:54 ID:ieSzhKrys2
「あ、ご主人様。その……確かに部屋には言ったのですが……、」
普段はハキハキと話すメイドの口は珍しく歯切れが悪い。
何かあったのか、数度問いかけたがメイドは口を閉ざしたままだった。
「えぇい、なら仕方ない。直接妻の部屋に行くまでよ」
「あ…!待って下さい!」
「だが断る!」
歩きながらメイドと口論する。直に妻の部屋が見えてきた。
「分かりましたご主人様…!話しますので部屋を開けるのはどうか…!」
メイドはそれほど私を部屋に入れたくないようであった。
「分かった。なら部屋には入らない。で、話とは?」
「は……、はい、その……奥様は、知らない殿方と一夜を過ごされたのです……」
目の前が真っ暗になった。
8: お姉様 ◆RO2jhvAC9Y:2012/3/5(月) 02:16:25 ID:Aqg/BSb8l.
時は遡り、妻との出会いは19年前の春、大学バンドのサークル仲間だった。
当時の妻は物静かで、大学では読書をしていることが多かった。
ただサークルでギターを弾いている時は最高の笑顔を見せる一面も持っていた。
私はそんな妻に恋心を抱き、想いを告げ、妻もそれに応えてくれた。
大学の4年間を終え、互いに就職も決まっていた。
私たちは同棲して1年が過ぎ、長女を妊娠、そして出産。
最初結婚を反対していた妻の両親も、孫の誕生と同時に和解し、結婚を承諾してくれた。
私たちは晴れて、夫婦となれたのだ。
私は妻の両親の経営する会社に転職し、今では副社長として会社の経営を任されるようになった。
長女が保育園の年長組に上がる頃、次女が産まれた。
妻は奥床しく、昼間は秘書として、私と会社経営を営み、二人の子供の育児、そして家事もメイドだけに任せっきりにせず手伝う、私にはもったいない出来た妻だ。
私は、順風満帆な人生に幸せを感じていた。
それ故、メイドの発した言葉がどうしても信じられなかった。
9: PK:2012/3/5(月) 02:38:58 ID:QfS7smOUok
「ええぃ、のけ!自分の目で確かめる!」
驚きのあまりに、語気が荒くなってしまう。どうしても信じられない。
「できません、旦那様!」
彼女がドアの前にたちはだかる。
「のけと言っとるのがわからんか!」
彼女を無理やりにドアから引きはがし、感情のままに扉を開ける。
それと同時に目に飛び込んできたのは
「……どっきり」
赤いプラカートを持った妻と、右手にビデオカメラを構える義母の姿だった。
10: キマラシ ◆0sHUq1EiMQ:2012/3/5(月) 03:26:02 ID:xjQJL6U.dM
次第に自分が盛大にからかわれた事に気付いて、さっきまで動揺していた自分が馬鹿馬鹿しくなった。
「イェーイ、ドッキリ大☆成☆功☆」
呆けている私のすぐ横でそう言いながら義母が妻とハイタッチをしていた(しかも義母は超ドヤ顔だった)
私は妻の寝室のドアをそっと閉めたのだった。
「さて、仕事を片付けてしまうか…いや、娘達と遊んでやるか……」
私が有意義な1日をすごすための予定を考えていると
「って無視すんなゴラァ!!」
そう言いながら義母がドアを勢いよく開けながら私にドロップキックをかましてきやがった。
流石に可愛い我が愛しの娘のドロップキックならば喜んで受けるが、相手は素手でライオンと殺りあった過去を持つチートババアだ。
蹴られたら今朝の朝食どころか臓物すらぶちまけかねん…
ここは全力で避ける!!
しかし次の瞬間私は義母のドロップキックによって意識を刈り取られたのだった
11: 枕 ◆t5ttWOhuII:2012/3/5(月) 07:20:11 ID:U6JcNKAVDk
「……ん?」
目を覚まして目に入ったのは天井と妻の顔だった。
「あ、起きられましたか、あなた?」
やや額に冷や汗を浮かべた彼女は、私の頭から手を退けた。
「お母様が膝枕をして差し上げれば起きると仰ったので、気持ち良いですか?」
言われてみれば、私の頭を受け止めている柔らかさがいつもの枕とは異なっている。
「気持ち良いよ、ありがとう」
私がそう言うと、妻の顔に花が咲く。そこで私が聞きたかったことを聞く。
「……今日がさ、何の日か覚えてる?」
妻はキョトンとして首を傾げるだけだった。
12: 乙潤 ◆nyan.ce4UM:2012/3/5(月) 09:26:10 ID:T5oBtfpACg
「本当に覚えてないのか?」
妻の柔らかさを肌で感じつつ非難めいた口調で問う。
「え、ええ。桃の節句は過ぎましたし……メイドさんの誕生日とかですか?」
どうやら妻は本当にわかっていない様子だ。
「あのだな……」
バアアアン
「うぇっ!?」
妻が可愛らしい悲鳴を上げる。
本日二度目の、扉が激しく開け放たれる音。
今朝の光景がフラッシュバックされ、思わず身構えた。
しかしそこにいたのはあの小さな可愛らしい悪魔では無く、メイドだった。
「そんなに焦ってどうしたのだメイドよ。」
どうしてこうも静かに扉の開け閉めを出来ないものなのかと嘆く間もなくメイドが言った。
13: 寅午 ◆.eH7uaEVrQ:2012/3/5(月) 10:59:58 ID:xZgsXzpN3.
「ご主人様ァ!!」
そのあまりの気迫に私はたじろいだ。
「だ、だから、一体どうしたというのだ」
「お、落ち着いてくださいメイドさん」
おののく私の後ろで妻は少し顔を赤らめていた。
おそらく膝枕を見られたからだろう。
大胆かと思えばふとした時に恥じらいを見せる、そんなところが愛らしいと思う。
「あなた…」
「おまえ…」
「そういう展開は結構ですから!」
メイドの一喝で話を戻す。
「それで一体なんの話だ?」
私が訊ねると、メイドは息を整え満面の笑みを浮かべた。
「坊っちゃんがお帰りになりました!」
14: 鬱岡 ◆CevUvUjMhQ:2012/3/6(火) 00:33:33 ID:uMelaGOOoQ
「ちゃーっすwただ今帰ったんすけどもぉww誰もいねーの?www」
メイドが壊したドアから聞き覚えのあるどこか間延びした声がここまで届いてきた。
私も妻も突然のことにびっくりしたもののつい顔が緩んでいる。
それも当然だろう、息子に会うのは数カ月ぶりなのだから。
膝枕は名残惜しいが早く迎えに行くとしようじゃないか!
「あ、久しぶりーっすw父さん母さん相変わらずラブラブだなww」
…ちょっと見ない間に外見がかなり変わったらしい。
最近の流行りなのだろうか、髪を茶色に染めて伸ばし、赤い眼鏡をかけている。
目を下に移せばよくわからないベルトの多い黒のジャケットと、何処に売っているのか和柄の龍のジーンズという不思議な組み合わせだ。
「ちょwそんなに目を丸くしてどーしたのwwこンくらいのカッコーフツーだよwww」
ううむ、これは学校が遠いからと預けた親戚の影響だろうか?
確かあそこには30前後くらいのウェブデザイナーをしているという子がいたはずだ…それか?
まぁいい、詳しくはゆっくり話を聞くとしよう。
「積もる話もあるだろうが、玄関で話すのもなんだろう。まずは荷物を置いてリビングへおいで」
「あいお!」
15: 普乳 ◆kSd3h.IkGU:2012/3/6(火) 00:57:56 ID:oJgqTZyDuc
─10分後─
「親父もお袋も元気そうでよかったっす!忙しくてなかなか連絡出来なくてさぁ……」
「本当に連絡の一つぐらい寄越しなさい。心配してるんだから」
「まぁまぁ、息子が元気にやれてる証拠なんだから構わないさ。ところで訊きたいのだがその格好は何だ?」
「あ、これぇ?流行りっスよ流行り〜!俺組に入ったんで!」
メイドが淹れてくれた紅茶を飲みながら息子の話を聴く。
組とは暴力団やらヤクザやらの組であっているのだろうか。いやいや我が自慢の息子の事だ、きっと町内の組合員などの事だろう。
─さらに40分後─
「それでさぁ、お金を一億ほど貸してほしいなー、なンて……」
ブチン、と何かが切れる音がした。
16: お姉様 ◆RO2jhvAC9Y:2012/3/6(火) 01:28:19 ID:omb4nJ7J3.
私「久しく帰ってきたと思ったら金を貸してくれ?ふざけるのは格好だけにしておきなさい」
息子「面白い事言うね親父www」
私「そもそも一億も何に使うつもりだ」
息子「ちょっと親父、いや親父の事じゃなくてうちの組の親父の事で親父の事じゃないからカンチしないでね」
この発言で私は確信を抱いた。息子は暴力団に入ったのだと…それにしてもカンチってなんだ?
火星と木星の軌道を公転している小惑星ではなさそうだ。
私「わかってる。で、親父がどうした」
息子「親父が新しく事業を起こすんだよ。貿易会社を設立するらしいんだけど、出資金が必要なんだよ。でも今色々かき集めてもあと一億足りなくてさー」
私「でも何でお前がその一億を出さなきゃいけないんだ」
息子「だって出したら俺支部長に慣れるらしいんだよね!大丈夫だって、お金は後で返すからさ!だから、ね?可愛い息子の為に投資してよw」
私「何が投資だ、話にならん。帰れ」
17: PK:2012/3/6(火) 01:49:09 ID:nqE4lLULaU
「おいおい親父頼むよーww可愛いかわいい息子のためだと思ってさぁww」
まったく……なぜこんな屑に育ってしまったんだ。
金持ちの息子はこうなってしまうというフラグに私もあらがえなかったか。
「……つまみ出せ。金輪際この家に近づけさせるな。……首輪を使っても構わん。離縁する」
そうメイドに命じる。
予想通り、クイクイと袖を引っ張る感触。
「あなた……それは……首輪だけは……」
泣きそうな顔をしている。
お前にこんな顔をさせたくはない。しかし、これもすべて息子のためだ。
「……では、お前があいつに一切金を渡さないと。そう誓うのなら……私に誓ってくれるのなら」
「っ……」
やはりそうだったのだろう。彼女は後でこっそりと金を渡すつもりだった。
しかし、それだけはやめさせねばならなかった。息子のためにも。
18: キマラシ ◆0sHUq1EiMQ:2012/3/6(火) 02:26:02 ID:tZu5oC2b9.
緊迫した空気が場を支配する。
「わた「ふざけんなぁー」
妻は何か言いかけたのだが義母がそれを遮り息子にキレていた
19: 枕 ◆t5ttWOhuII:2012/3/6(火) 07:27:28 ID:6xJ3UYyEi6
「こんな湿気た家なんかとは喜んで縁切ってやるさ!! 金であんたが後悔しても、俺は知らないからな!!」
そう言って息子は出ていった。
「ねぇ、おとーさま」
それと入れ替わりで小さい娘が部屋に顔を覗かせた。
「さっきの茶色い人、だれなの?」
彼がこの家に居た時、小さい娘とよく遊んでいた。
だが、そんな娘にも彼が誰だか分からなかったようだ。
金で後悔するのはお前だぞ、息子よ。
私は天井を仰ぎ見る。
何で今日に限って変なことばかり起きるんだ。
20: 乙潤 ◆nyan.ce4UM:2012/3/6(火) 12:13:26 ID:BbaxKm3gIw
「ッベーよ!マジヤッベーよ!超勢いで飛び出てきたけど、一億なんて金ぜってー用意出来ねぇし!
他に一億くれる様なダチとかいるわけねえしよっ!」
焦りと、一億が用意できないまま組へ行くことへの恐怖で、ヘルメットを被ることにすらもたつく。
いつもの倍はかけて、ようやく愛車のホンダ シャドウ750に乗り込む。
昔家を出る前に父親から買ってもらったバイクだ。
あの頃は
父『バイクなんで危険だからやめなさい!』
母『まぁまぁ、未だに移動手段が一輪車だなんて可哀相ですし、車輪が増えたほうが安定するじゃないですか〜』
何て事があって渋りつつもこいつを買ってくれたんだよな…
「なのに今回は渋る所か全否定しやがって。マジありえねーよ。ふざけんなよ糞親父が!」
半ば逆ギレしつつ愛車を走らせ、俺は館を後にした。
21: 寅午 ◆.eH7uaEVrQ:2012/3/6(火) 15:38:11 ID:tZenqkdHEI
…待てよ?
確かに、一億出すバカなんかダチにはいねえが。
俺は道路脇に愛車を寄せると、携帯を開きリダイヤルの先頭にきていた番号に発信した。
つ、つ、つ……という音に次ぎ、五回目のコールの途中で相手は出た。
「チッス、どうかしたんスか?」
「よお、例の一億の話だけどよォ」
相手の声色が、露骨に嫌そうなものへと変化した。
「マジでカンベンしてくださいよぅ、そんな金用意できませんて」
話を聞かない男に若干イライラしながら、俺は文句を遮り計画を話しだした。
「まあ聞けよ、カモは決まってんだ」
「…一億も出すようなバカがいるんですか?」
今度は相手の声色が怪訝そうなものへと変わった。
…確かに一億出すバカなんかダチにはいねえが。
「おう、サギの得意なお前に頼みてえんだ」
バカに一億出させるダチならいるわけだ。
「一体どんなヤツなんすか?」
俺はにたりと笑うとその質問に答えた。
「俺の親だよ」
22: 鬱岡 ◆CevUvUjMhQ:2012/3/7(水) 01:20:01 ID:uMelaGOOoQ
「メイド、ブランデーを濃いめで頼む。気付けでもせんとやってられんよ…」
かしこまりました、と言いリビングを出て行くメイドを横目で確認した後つい心の内を零してしまう。
「本当に…どうしてこんなことになってしまったのだろうな、やんちゃではあったが素直な心を持った息子だったのに…人を疑うということを教えずに育てたのが良くなかったのか」
「おとうさま?よくわかりませんがかなしそうです、げんきだして!」
そういえば、下の娘が今は隣にいたのだったな。
この程度のことも頭からすっかり抜け落ちている当たり、私も自分が思うほどに心に余裕はないようだ。
ところで義母は何故部屋の角でびっくりするほどユートピア!などと言っているのだろう?
気でも触れたのだろうか。
そんなことをぼんやりと霧がかかったような頭で考えていると、いつのまにかメイドが横へと控えていた。
「ご主人様、ブランデーをお持ちしました」
23: 普乳 ◆kSd3h.IkGU:2012/3/7(水) 06:59:08 ID:8uKbgHD6iE
「あぁ、ありが……ブラン、デー…?」
「はい。ブランデーで御座います」
メイドはにこやかに答えたが明らかにブランデーの色をしていない。何ゆえ緑色をしている。
「私、メイドオリジナルの抹茶ブランデーで御座います。なかなかいけますよ」
「そうか。ならウィスキーに変えてくれ」
「畏まりました」
相も変わらずメイドのボケにはついていけない。
訪れた問題とボケに腹立たしさと疲れを覚え、こめかみに指を当ててため息をついた。
24: お姉様 ◆RO2jhvAC9Y:2012/3/8(木) 00:14:42 ID:GriouPw.r6
すいませんパスでお願いします…
25: PK:2012/3/8(木) 00:29:34 ID:70VA5bn/Ag
ブランデーを受け取り、メイドを下がらせる。
これで部屋には私と妻と下の娘と、ユートピア中の義母。
「涼子、おばあちゃんとどこかで遊んできなさい」
下の娘に言いつける。はーいと元気よく返事をし、義母をパンツ一丁で部屋から連れ出していった。
これで部屋の中には私と妻と、義母のスカートのみ。
「なぁ……どこで、私は間違えてしまったのだろうな?」
妻に尋ねる。
「さぁ……?わかりません。あなたはずっと、結婚の時約束したままの、良き父でしたよ。
ずっとそばで見ていた私が言うんですから、間違いありません。きっと責任は」
「その先は言うな」
言葉が強くなる。その先は聞きたくない。間違いなく自分にも責任があるのだ。
それを彼女一人に背負い込ませてたまるか。
「これは、二人の問題だ。責任は二人にある。なに、いつも何とかなってきたんだ。私たちならできるさ」
根拠のない言葉だが、これがふさわしいような気がした。
涙をためながら、それでも笑顔で彼女が頷いてくれる。
ありがとう。
「さて、それならそうと決まったところで……作戦会議と行こうか?」
彼女が頷くと同時に、扉が大きな音を立てて開いた。
26: 枕 ◆t5ttWOhuII:2012/3/8(木) 17:46:19 ID:J77dTcstGk
「あ、ご主人様。結局、私特製のブランデーをお飲みになられたのですか」
ウイスキーを持ってきたメイドが言う。
「どうですか、お味は」
取り合えず、私は率直に言った。
「不味い」
その言葉に衝撃を受けたメイドは部屋を猛スピードで飛び出していった。
「人払いはできたな」
私は妻に向き直った。
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