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殺し屋「無念です……。」
[8] -25 -50 

1: ◆p1lPe6tSdk:2012/3/12(月) 22:53:20 ID:jXjtQP5wys
初SSです(・_・;)
マンネリなストーリー、読みにくい文章になってしまうかもしれませんが、何卒よろしくお願いします(´・ω・`)



176: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/26(月) 21:38:00 ID:no0TN9arUg
男「……。」

殺し屋「分かっていました……私みたいな汚れた人間が…男さんのそばに居続ける事なんて…できるわけ…無いって…。」
殺し屋の瞳が、再び潤む。

殺し屋「私が今、真実を告げなかったとしても…いつかは、必ずバレてしまう事……今までだってそうでしたから…。」
歯を食いしばって、涙を押し殺す。

殺し屋「私と…あなたの…関係も…ここまで…です。」
一雫の涙が零れる…。

殺し屋「けど…安心して下さい。…◯◯組の人達は、私が出来る限り始末してみせますから!!
だから、男さんは明日にでもここを発って、できる限り遠くに逃げてください。…それが、あなたを守れる私の最後の手段だから!!」
涙が殺し屋の顔を包む…。
それでも、彼女は男のために笑ってみせた。

殺し屋「だから…だから…



…さよならです…。」
この家から出て行くために、立ち上がる殺し屋。
177: ◆p1lPe6tSdk:2012/3/26(月) 21:59:09 ID:no0TN9arUg
ガシッ

殺し屋「えっ!?」


男の右手が殺し屋の左手を掴む…。
男「……。」


殺し屋「なっ何をしてるんですかっ!!?私に触れたら、男さんの手まで汚れて…」
男「ああ。さっきお前が俺の右腕に触れたせいで、俺の右腕はもう汚れちまってるけどな。」

殺し屋「ーっ。」
殺し屋の表情が悲しみの一色に染まる。


男「でも、俺の右手がお前に汚されたおかげで、汚れた者同士、お前に触れる事ができる。」

殺し屋「えっ…。」

男「お前をこうして引き止める事ができる。」

男「俺は………それが幸せだ。」
男が微笑む…。

男「お前とまだそばにいる事が、できるからな。」

殺し屋「あ…あ…ああ。」

殺し屋「うああ…うあああ…」

殺し屋「うあああああああああああああん」
178: 名無しさん@読者の声:2012/3/26(月) 22:02:46 ID:no0TN9arUg
泣いたわボケ

っCCCCCCC
179: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/26(月) 22:53:16 ID:no0TN9arUg
>>178
支援ありがとうございます!!

俺はそんな貴方の言葉に泣いた(T . T)
感動できる話を書けたらなぁ〜と、思っていたので本当に嬉しいです。
180: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/27(火) 17:43:24 ID:4LheqjRvZ2
男「落ち着いたか?」

殺し屋「…はい。ありがとうございます。」
ベッドの上で、俺と殺し屋が並んで座っている。

男「じゃあ、優しくするからな…。」

殺し屋「いや、何抱こうとしてるんですか!?/////」

男「えっ…だって、エロフラグ立ったじゃん?…ほら、俺のアソコもそれにちなんで立ってるし。」
股間を指差す男

ボンッ

殺し屋「なっにゃにをゆってるんです○◇▽◆◎*%っ!!?/////」

男「和むねぇ〜。」





181: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/28(水) 15:04:26 ID:hHMvkSkuVQ
男「ハハ。…やっぱりお前は、お前だよ。どんなクズの娘だろうが、それは変わらない。」

殺し屋「…男さん。」

男「俺…カッコいいだろ?」

殺し屋「…はい。……貴方を好きになれて…本当に良かったです…。」

男「えっ?」

殺し屋「えっ?」

182: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/28(水) 15:10:15 ID:hHMvkSkuVQ
男「お前…今、俺の事好きって…。」

殺し屋「…ちょっと待って下さい。まさか、気づいてなかったとか、言い出しませんよね?」

男「……////。」

殺し屋「何、顔赤くしてるんですか?コッチは割りと本気で怒ってるんですけど?」
183: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/28(水) 15:31:39 ID:hHMvkSkuVQ
男「いやぁ、すまない。まさかお前が俺の事を…。」ニコニコ

殺し屋「はぁ…本当にサイテーです…。サイテー鈍感童貞男です…。」

男「ありがとうな…。」

殺し屋「ふぇっ!?何でですか!?////」

男「んっ?嬉しかったから、なんとなく。」

殺し屋「…まったく貴方って人は…////」


184: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/28(水) 15:46:31 ID:hHMvkSkuVQ
男「あとさ、殺し屋に伝えておきたい話があるんだ。」

殺し屋「…何ですか?」

男「俺の親父の話だ。」

殺し屋「親父さんの…。」

男「ああ。もう、死んじまってんだけどな。…俺の親父はすげえ人間でさ、何でも出来て、周りからの信頼も厚かったんだ。…けど一番大事な仕事を目の前にして、愛人…母さんと恋をしちまったんだ。」

殺し屋「…。」

男「それのせいで仕事が、全部おじゃんになっちまってよ…。結果的に今まで積み上げてきた、功績も信頼も全部失っちまったんだ。」

185: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/28(水) 15:54:44 ID:hHMvkSkuVQ
男「その後、親父は病で倒れて、俺の顔を拝む前に死んじまったんだよな。」

殺し屋「…。」
殺し屋が表情を曇らせる。


男「俺の周りの人間は、口を揃えてこう言った「親父さんのようには、ならないようにな。」ってな。」

男「だから…俺は少し、女の人が怖いんだ…。恋をする事がいけない事って…ずっと言われてきたから…。」

186: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/28(水) 16:18:42 ID:hHMvkSkuVQ
男「でも、お前の好意は素直に嬉しい…。今だって平気な顔してるけど、心臓バックバクだ…。だけど…それ以上にお前と、これからどう接していいのか分からないんだ…。」

殺し屋「……。」

殺し屋「…ゆっくり考えていきませんか?」

男「…ゆっくり…?」

殺し屋「はい。私も少し…時間が欲しいんです…。本当は今すぐにでも、男さんに触れてみたいし、触れてもらいたい。…けど、やっぱり…どこか怖くて、それが出来ないんですよ…だから…ゆっくり考える時間が欲しいんです。」

男「あっ、さっき汚れちまったって言ったのは…」
殺し屋「分かってますよ。男さんの優しさは、これ以上ないってくらい理解してますから…。」
そう言って微笑む殺し屋。

187: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/28(水) 16:49:30 ID:hHMvkSkuVQ
殺し屋「だから…だからこそ…いつか、必ず…男さんに触れられるようになって…色んなアプローチをして、男さんをメロメロにさせてやるんですからね!」
腰に手を当て、胸を張る殺し屋。

男「……。」
意表を突かれた様な顔をする男。

男「…ハハハ。そうだな。そうだよな…。」
クスリと、笑う男。
188: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/28(水) 16:58:56 ID:hHMvkSkuVQ
男「あ〜あ。…まったく世の親父共は本当に大バカ野郎だな。子供に面倒なもん押し付けて、勝手に死んで行きやがってよぉ。…本当に大バカ野郎だぜ…。」

男「だからこそ…俺達は、先代の大バカ野郎を受け継がねぇように、幸せになんねぇとな。」
太陽の様な笑顔で笑う男。

殺し屋「…はい!」
それに、答える殺し屋。もちろん、笑顔を添えて…。
189: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/28(水) 18:35:25 ID:4MSejU.22U
書き忘れてましたが、画像スレに幹部と殺し屋の絵をうpしてあります(^^;;

興味のある方は是非( ´ ▽ ` )ノ
190: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/28(水) 20:09:35 ID:q830ITMIn6
翌朝。

ポフっ
殺し屋「(…ふう。)」

朝日が窓から射し込み初めたばかりの早朝。
音を立てないように、優しく布団を畳む殺し屋の姿が、そこにはあった。

殺し屋「…(男さんは……大丈夫。よく眠ってる。)」
背後のソファーで眠っている男の姿を確認し、ほっと胸を撫で下ろす。

殺し屋「…。」
男が起きないようにすり足で、玄関まで移動する殺し屋。

殺し屋「いってきます。」
男に向かって微笑む。
返事は期待していない。

ガチャッ

ドアが閉まった音のみが部屋に響いた…。
191: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 15:29:00 ID:3d.OhuWroU
殺し屋「…さよなら…じゃないですよ…。」
玄関前で呟く殺し屋。

殺し屋「ただいまを言うための…いってきます…です。」
彼女は踏み出す

…男を守るため。

◯◯組を潰すため。
192: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 17:24:26 ID:5mLEbpE8Bo
殺し屋「(…昨日の一件で◯◯組も、本格的に私達の事を始末しにくるだろう。流石に幹部が殺られて、黙っていられるはずがないし…。)」
大小様々な屋根の上を駆け抜ける殺し屋。

殺し屋「(…なら、コチラから仕掛けてやるまでだ…。)」
覚悟の眼差しを向ける。
視線の先は、◯◯組本部のビル…。

殺し屋「(よし…。依頼された時の場所から、移動してはいないみたいだ…。)」
ッ…。
音も無く、ビルの屋上に着地する。


殺し屋「…待ってて下さい。男さん…。貴方と私の時間を邪魔する者達を……今、消してきますから…。」



193: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 17:56:37 ID:oR9LTLZEIM
殺し屋がビル内に侵入してから数十分…



殺し屋「おかしい…。」
殺し屋がいるのはビルの駐車場……地下一階だ。

殺し屋「(人の気配を一切感じない…。)」
屋上から侵入し、最上階から地下一階まで、くま無く探したにも関わらず、人っ子一人見つける事が出来なかった。

殺し屋「(此処が本部では無いのか…?それとも、組員全員で何処かに……いや、それは無い…例えそうだとしても、此処に一人も組員を残しておかないのは、おかしい…。)」
駐車場の主柱の影で、熟考する殺し屋。

そこに……。



???「何をお探しですか?お嬢さん。」
殺し屋「ッ!!?」
殺し屋の耳元で不気味な低音が囁いた。
194: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 18:46:19 ID:oR9LTLZEIM
ドッ!
殺し屋「くッ…。」
地面を強く蹴り、バックステップで距離を取る殺し屋。

???「…不法侵入とは、あまり感心出来ませんねぇ〜。」

殺し屋「……。(まるで、気配を感じなかった…。この人一体…。)」
静かに包丁を構える。

???「おやおや。見た目によらず、やんちゃなんですねぇ。これは、少しお仕置きが必要なようだ…。」

コッコッコッコッ!

殺し屋「なっ!?」
複数の足音が徐々に大きくなっていく。こちらに向かって走ってきているようだ…。



???「あっ…と、自己紹介がまだでしたね。私は、◯◯組の…一般的に言えば、幹部と呼ばれる役職についている者です。」
にっこりと笑う幹部B。
その背後には数十人の、組員と思われる人間が、銃器を構えてコチラを睨んでる。

殺し屋「(人の気配は、まるで感じなかったはず!?なのに何で!?)」





195: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 18:51:13 ID:oR9LTLZEIM
幹部B「苦労したんですよ。貴方が此処に侵入して来ると聞いて、わざわざ外で、貴方が駐車場に入るまで、気配を消して待機していたんですから…。おかげで気の荒いウチの組員達は、相当ストレス溜まっちゃったみたいで…。」

殺し屋「…何で…私が此処に来る事が…。」

幹部B「ああ〜っそうそう!今日は、わざわざ貴方ごときを始末するために、ウチの組長まで来て下さったんですよ?」
殺し屋の言葉を遮り、ハツラツとした声で喋る幹部B


刹那
…ザッザッ
殺し屋の背後から、靴が地面を擦る音が聞こえてくる…。


殺し屋「…っ!!!?」
背後に振り返った殺し屋が、余りの真実に言葉を失う…。

幹部B「…あの方が…◯◯組の組長ですよ?ねぇ………


















…男さん?」

男「……。」
そこには、殺し屋の見た事無い表情をした、男が佇んでいた…。




196: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 20:21:02 ID:oR9LTLZEIM
殺し屋「…男…さん…?」

男「……。」

男「…よくやってくれたな…幹部B。」
冷酷な顔で言い放つ男。

幹部B「いえいえ。全ては貴方のご命令に従ったまで。」

殺し屋「…ねぇ…嘘…ですよね…?」

男「……。」

197: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 20:27:45 ID:oR9LTLZEIM

殺し屋「こんなの…何かの…間違い…」
男「俺がお前に接触したのには、ある理由がある…。」




男「お前から**の情報を引き出すためだ…。それ以外の何物でもない…。」

殺し屋「ーーっ。」
その言葉は殺し屋から全ての表情を奪った…。
198: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 20:45:28 ID:U.oXxyuD36

殺し屋「…嘘…だ…そんなの…。」
かすれ切った声で呟く殺し屋…。

男「…**は、2年前◯◯組の一員だったんだ。優秀な男でな、どんな危険な命令にも、平気で従い、完璧にこなして組に戻ってくる、◯◯組にとって重要な人材だった。…だが、ある仕事中にウチの組員達を惨殺し、◯◯組の軍資金である金を持ち逃げしやがったんだ…。」

男「俺たちは、まんまと出し抜かれた挙句、**の尻尾すら掴めねぇまま逃しちまった…。このままじゃ、組の面目は丸つぶれだ。俺たちは、どうにかして**に落とし前をつけようとした……



…そこに飛び込んで来たのが、娘であるお前の情報だ。」

殺し屋「…ッ。」
抜け殻だった殺し屋の心に、微かな火が灯る。

199: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 21:07:14 ID:U.oXxyuD36
男「俺は、その時思い出したんだ…。**が言っていた言葉を……。」


**『僕には、娘がいるんですよ。僕はその子の存在を、つい最近まで知らなかった…。こんなクズみたいな人間の子供に生まれたせいで、あの子は苦しんでいるという事も知らなかった…。だから僕はお金を貯めて、せめてもの償いとしてあの子に渡したいんです。』


男「**がこう言ってた事を思い出してな…。もしかしたら、その言葉が真実で、**が娘であるお前に何らかの接触を試みた可能性があると考えたんだ…。もちろん確証は無い。だが、コッチも藁にでもすがる様な思いだったからな。その可能性に賭けてみた…。」

殺し屋「……。」

男「…だと言うのに、まさかすでに亡き者になっていたとはな…。顔が割れてないという理由で、わざわざ組長である俺が、くだらんバイトなどをして、如何にもただの一般人を装ってまで、お前に接触したってのに…。」


男「まったく…時間の無駄だった。」

殺し屋「……。」
200: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 21:34:00 ID:U.oXxyuD36

殺し屋「……じゃあ…何で…私が**の…情報を漏らしてない時点で…もう一人の幹部が…襲ってきたん…ですか…。」

男「あれは、俺のミスだ。あいつは戦闘技術はあるが、いかんせん理性が無くてな。作戦内容を話したら、勝手に暴走して、計画をおじゃんにしちまうんじゃないかと思って、放置しといたんだが…。まさか、作戦内容も知らずに暴れ出すとは…。あそこまで愚かだったとは俺も思ってなかったんだ。まぁ、落とし前として、しっかり殺しといてやったから別にいいんだけどな。」
饒舌に語る男。

殺し屋「……。」

殺し屋「…全部…嘘…だったんですか…?」
殺し屋の瞳から涙が、溢れ出す。

201: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 22:06:21 ID:U.oXxyuD36
男「……。」

殺し屋「…私の為に叫んでくれた…あの言葉も嘘だったんですか…?」

男「……。」

殺し屋「…いつも私の事を…励まし続けてくれた…あの言葉達も…嘘だったんですか…?」

男「……。」

殺し屋「わだしの……だいすぎだった…おとこざんの笑顔は…ぜんぶウソだったんでずかぁああっ!!!」




男「…ああ。」

202: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 22:17:43 ID:U.oXxyuD36
殺し屋「うぁ…うぁああぁあ…ぁあぁあああっ。」

男「……。」


男「俺の事は…好きなだけ罵るといい………この大馬鹿野郎ってな。」

殺し屋「…ヒッ…グスッ…ッ。」

男「もう面倒だ…。」
トットット
一定のリズムで、ステップを踏む男。
キユッ
男「終わりにしよう…。」
ボクシングの構えを取る。

幹部B「そうですね。茶番は、このくらいにしていただけると、コチラとしても有難いです。」
チヤッガチャッチヤッ!
その言葉に呼応する様に、銃器を構える◯◯組の面々。


男「終わりにしよう…全部。」


203: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 22:23:02 ID:U.oXxyuD36
…ギュ
殺し屋「……。」
震える手で、包丁を構える殺し屋…。

幹部B「ほほう。まだ戦意があるとは…見上げた精神です。」

男「いくぞ…殺し屋…。」

ボガッ! ドッ!
地面を蹴飛ばす音共に、二人の距離が縮む。


…そして…。


204: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/29(木) 23:45:15 ID:MsRKeGtjjc
二人の足が交差する

ドカァアアアアンッ!!!
鼓膜が破れてもおかしく無いような、轟音が響き渡る。
それと同時に、悲鳴を上げる者がいた…
…それは……









組員達「がぁあああああああああッ!?」
爆発した様にふっ飛んだ組員達だ。

幹部「なッ!?…何をしてるんですかっ!?」
幹部が叫ぶ。矛先は…


幹部B「組長ッ!!!?」
男だった。

組員達をぶっ飛ばしたのは男だったのだ。

バサっ
殺し屋「…。」
殺し屋がキャッチしたのは、男が羽織っていた上着だ。
男が打撃を繰り出した際に、吹き飛んだのだろう。

男「ハハッ。」

男「なぁに……ついさっき言った事だろうがよ?」
皆の視線が男に集まる。

男「俺の親父は、女で人生を棒に振るような大バカ野郎だった……




俺も女で人生を棒に振るような、大バカ野郎って事だよ。」
http://ryu.boy.jp/up/uf/20120329233736834.JPG

殺し屋「…ほんと…男さんは……最高ですね…。」
205: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/30(金) 00:13:23 ID:MsRKeGtjjc
すいません。
画像は、画像スレに貼った方がいいと、ご助言を頂いたにも関わらず、自スレに貼ってしまって(/ _ ; )

でも、このssを書き始めた当初から、このシーンはどうしても絵で表現したかったので、自分の意志を突き通しました。

不快な思いをしてしまう方がいるのなら、真に申し訳ありません…。
恐らくこのssも、明日までには、完結すると思うので、何卒よろしくお願いします(*^^*)
206: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/30(金) 17:11:08 ID:IcBc8S6DnQ
幹部B「なっ……」
開いた口が塞がらない幹部B


殺し屋「…まったく…私がさっきの言葉で、どれだけ絶望したと思ってるんですか…。一瞬、自害しようとすら思ったんですからね…。」

男「うぅ…本当にすまん…。ホントはもっと早く裏切ろうとしてたんだが……俺が抱えている真実、罪をお前に話さないといけなかったから…。」

殺し屋「……。」

男「…ごめん…。俺は、お前を騙していたんだ…。許されていい事では無いって事くらい分かってる…。けど…」
殺し屋「許しません。」

男「うぁ…」

殺し屋「後で、たっぷりと甘えさしてくれないと……許してあげませんから…。」

男「……えっ。」

殺し屋「分かりましたかっ!?/////」
顔を真っ赤にして、詰め寄る殺し屋。

男「…はい。(お前は、本当に可愛い奴だよ…。惚れちまうわ…。)」
いつも通りの笑顔を見せる男。

207: ◆YkwVCqa05Y:2012/3/30(金) 17:53:47 ID:xfdaG0F/ts
幹部B「おい…。」

殺し屋「そもそも何ですか、あの分かりづらい合図は!?バカ野郎の一言で、今から裏切るって気付くわけないじゃないですか!」

男「…気付いたじゃん…。」

殺し屋「不安だったんですよ!もしかしたら、本気で私の事殺そうとして、突っ込んできてるかもしれないと思いましたし!!」

男「…突っこむ前に、優しく名前呼んだじゃん…。今から殺そうと、思ってる相手にそんな事しないだろ…?」

殺し屋「正座っ!!」
男「はいすいません…。」
素早く正座の体制に移行する男。

幹部B「…。」




208: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/1(日) 00:27:41 ID:rdW18zxtwc
パキュンッ!!

殺し屋「ッ!?」
男「ッ!?」

幹部B「…確認をとりますが、男さんは◯◯組を裏切るおつもりなんですよね?」
天井に銃弾を打ち込み、冷静に語る幹部B。

男「ああ。違いねぇ。」
とりあえず、立ち上がる男。


幹部B「そうですか…。それは好都合です。私としては貴方みたいな餓鬼が、元組長の御子息という理由だけで私の上司である事に、少々疑問を抱いていたので。…これで合法的に貴方を殺して、私が組のトップになる事が出来ますね。」
笑顔という仮面を被り、眈々と語る幹部B。

男「…奇遇だなぁ。俺もテメェの憎たらしい顔面に、一発かましてやりてぇと思ってたんだよ。」

殺し屋「…協力しますよ。」

男「ありがとよ…。
…それじゃあ…。」

209: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/1(日) 00:48:44 ID:rdW18zxtwc
男「すぅ〜っ…。」
目一杯、息を吸い込む男。


男「女で人生を棒に振るような、大バカ野郎の俺とぉ!!」
大声で叫び、殺し屋に目配せをする。
殺し屋「……っ。」

殺し屋「…人を殺しても、何とも思えない最低な私のっ!!」
楽しそうに大声で呼応する殺し屋。

男「全てを打ち明けた最低なカップルが送る、初めての共同作業っ!!!」
組員達「ーーつ!?」
男の大声に気圧される組員達



男「気を付けろよ。俺たちは最低たけど………最強のカップルなんだぜ。」
その声が開戦の合図だった。

210: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/1(日) 16:29:42 ID:CFRnI5aN7k

組員達「うっ…。」
男と殺し屋の凄まじい闘気に、一瞬たじろぐ組員達。

ダンッ!
男「よっと!」
男の瞬間移動を思わせる様な踏む込みで、組員達の懐に入る。

組員達「ヒッ!?」


男「…一つ教えといてやるよ。喧嘩っつーのはな、出だしでビビったら負けなんだぜ。」
ビュンッ!と、
男がダイナミックに右フックを振りかぶる。

ゴッ!!
組員a「がっ!?」
ゴッ!!
組員b「ぎっ!?」
ゴッ!!
組員c「ぐっ!?」
ゴッ!!
組員d「げっ!?」
ゴッ!!
組員e「ごっ!?」

1人、2人、3人、4人、5人と、男の拳が組員達の顎をかすめる。
それだけなのに、組員達は目玉をひっくり返し、竹トンボの様に回転しながら宙を舞う。


男「来いよ。優しくぶっ飛ばしてやる。」

211: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/1(日) 18:26:16 ID:GhAySW96io

組員f「クソッ!」
鼻息を荒くし、男に向かって拳銃をかまえる。

ヒュンッ!

組員f「ッ!」
黒い影が組員fの真横を通過した。

その瞬間…。

ビシャシャッ
地面に真っ赤な血飛沫が描かれる。
組員f「……何だ…コレ…?」

ドサッ
それが自分の血であると気付く前に、組員fの意識は途切れた。

殺し屋「…私の大切な人に、拳銃を向けるなんて……死んでも、文句は言わせませんよ…。」
静かな怒りが込もった殺し屋の包丁からは、血がしたたっていた。
212: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/1(日) 19:01:30 ID:GhAySW96io

男「ふしゅっ!しゅっ!しゅっ!」
激しい呼吸音と共にパンチを繰り出す男。

殺し屋「……。」
人と人との間をくぐり抜け、血飛沫を撒き散らす殺し屋。

組員の数も、みるみると減っていく。


幹部B「(…流石に圧巻ですね。化け物二人が暴れる姿は…。まぁだからといって、私の勝利に何ら変わりはありませんけどね。)」


213: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/2(月) 00:34:14 ID:Tat48qDSnk
ランキング驚きました…。

まさかの4位ヽ(;▽;)ノ

嬉しすぎて、涙涙です。
支援してくださった皆さん。
投票してくださった皆さん。

本当に本当に有難うございましたm(;▽:)m
214: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/2(月) 00:57:33 ID:Tat48qDSnk

組員z「ぐっ…えっ…。」
ドサッ

殺し屋「ふぅ…(これで、あらかた片付いたか…。)」
動きを止め、辺りを見回す殺し屋。



ギュっ

殺し屋「えっ!?」


何者かが、殺し屋の手を握った…。


215: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/2(月) 01:06:04 ID:Tat48qDSnk


幹部B「おやぁあ…?仲間の手を取ろうとしたら、間違えて汚物に触れてしまいましたぁ…。」
殺し屋の手を握ったのは、醜悪な笑みを浮かべた幹部Bだった。

殺し屋「いや…いやぁ…。」
それに気付いた殺し屋の表情が、恐怖で強張る。



殺し屋「いやぁああああああああああああっ!!?」
殺し屋を形作っていた精神が崩壊した。

男「殺し屋っ!!?」
殺し屋の悲鳴に、焦りを隠せない男。

幹部B「はい。終了。」

216: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/2(月) 01:18:30 ID:Tat48qDSnk
殺し屋「いやっ!!いやぁあぁあぁ…。」
泣き喚きながら、地面にうずくまる殺し屋。

幹部B「はぁ〜い、男さんはそこを動かないで下さい。」
殺し屋に拳銃を突き付けながら、子供を叱る様に男に呼びかける。

男「くっ!」
苦虫を噛み潰したような顔をする男。

幹部B「私も、貴方に一つ教えといてあげます…。喧嘩というのは、相手の弱点を沢山知ってる方が勝つんですよ。」

217: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/2(月) 13:48:56 ID:Nh6m/Hqols

男「…クズめ。」

幹部B「何とでも、言って下さい。どうせあなた達は、ここで死ぬんですから。」

殺し屋「あっあぁあぁ…。」
身体の震えを止める事が出来ない殺し屋。

幹部B「殴りかかろうとか、無駄な事考えない方がいいですよ?貴方の踏む込みの早さは、確かに異常ですけど、殴るスピードは恐るるに足りません。私に近付けたとしても、殴るまでには、私が引き金をひいてしまいますから。」

男「…っ。(クソッ…俺の弱点にも、気付いてやがったか…。)」

218: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/2(月) 19:05:53 ID:bCLqaW66Q2

幹部B「さて、どうしてもらいましょうか…。」
男達を殺すための策を練る幹部B。
それが、至上の喜びであるかの様に、口元をつり上げる。

男「……。」

男「…分かった…。お前を殴るのは、諦める…。」

幹部「?」

219: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/2(月) 21:56:34 ID:oN33TXhDVo

幹部B「…潔いですね。流石に人質をとられては、なす術無しですか?」

男「…いいや。それは、違う。」

幹部B「は?」




男「お前を倒すのは、俺じゃないからだ。」


パキンッ!
甲高い金属音が響いた。

幹部B「えっ?」
幹部の持っていた拳銃が、真っ二つに割れたのだ。

殺し屋「ふーっ…ふーっ…」
歯を食いしばりながら、熱い吐息を漏らす殺し屋。

その手には、強く握りしめられた包丁が鋭く光っていた…。

220: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/4(水) 14:37:27 ID:YVSkdv0S0I

幹部B「ばっ馬鹿な…。何故そんな顔ができる…。何故戦う事ができる!?貴方に刻まれそのトラウマは、そう簡単に克服できるものでは無いはずでしょうが!!?」
身体中から、嫌な汗が滲み出る幹部B。

男「簡単そうに見えるか…?」
奥歯を強く噛みしめる男。

ぽたっ…ぽたっ…。
水滴が落ちる音が聞こえる。


221: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/4(水) 17:52:03 ID:tJ1UmALaiU
ぽたっ…ぽたっ…。
殺し屋「ふーっ…ふーっ…」
殺し屋の瞳から、止めどなく涙が溢れ出る。


それでも、包丁を握り締めたまま離さない…。

幹部B「っ!?」

男「簡単そうに…見えるか?」
222: 名無しさん@読者の声:2012/4/6(金) 20:48:03 ID:ytdP67NXJk
C!

続きが気になる
223: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/7(土) 23:06:04 ID:SorX02mC0I
<<222

支援有難うございます!
すいません…最近、忙しくて全然更新出来てませんでした( ; ; )

気合入れ直して頑張ります(`_´)ゞ
224: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/9(月) 17:17:20 ID:5xCag8MhJg
男「そいつが今までどれ程の苦しみを味わって来たか……お前は知ってんのか?」

幹部B「…っ。」

男「俺でも理解できねぇのに…お前には分かんのか?」

幹部B「…っ。」

男「苦しむコイツを励ます事しかできねぇ俺が、こんな事言うのも可笑しいかもしれねぇがよ…。」



男「殺し屋の痛みを利用してんじゃねぇぞこのクズがぁあああああああ!!!」

幹部B「ヒッ!?」
男の怒声に情けない声を上げる幹部B
225: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/9(月) 17:31:11 ID:5xCag8MhJg
ドサっ!
幹部B「うぁ…ぁあ。」
腰を抜かして、尻もちをつく幹部B


ザっ……ザっ……
殺し屋「ふっー…。ふっー…。」
涙を流しながら…歯を食いしばりながら…それでも、一歩一歩と幹部Bに歩み寄る殺し屋。

男「(…何でだよ…本当は…身が裂けそうなくらい苦しい癖に…何でそんなに頑張れんだよ…。)」



男「(…なんだよ…お前は…もう…弱くなんかねぇじゃねぇかよ…。お前は…もう十分過ぎるくらい強えじゃねぇかよ…。)」


226: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/9(月) 17:40:28 ID:5xCag8MhJg
幹部B「来るなぁ…くっ来るなぁああっ!!」
恐怖で、震えた声を上げる幹部B。

殺し屋と幹部Bの距離が、1m程になった…。


スッ
殺し屋「ふっー…ふっー…。」
殺し屋が包丁を振り上げる。


その直後…。

ガチャっ
殺し屋の背後から、不気味な機械音が聞こえた。

227: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/9(月) 17:51:05 ID:5xCag8MhJg
男「なっ!?」
その音の正体に気付いた男が、驚愕の声を上げる。




倒れていた組員の1人が意識を取り戻し、殺し屋に向かって拳銃を構えていたのだ…。

殺し屋「ふっー…。ふっー…。」
殺し屋は、それに気付く事ができていない…。

ビュンッ!!
殺し屋「あぁああああっ!!」
幹部B目がけて、包丁を振り下ろす殺し屋。

幹部B「今だ!!やれぇええええ!!!」
組員に向かって叫ぶ幹部B。

男「ーーっ!!」




パァアン!
銃声が鳴り響いた…。
228: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/10(火) 20:38:34 ID:32m..MKD.M
ビシャシャッ!
2人の体から血が飛び散る…。


幹部B「ガヒッ…。」
1人は殺し屋の包丁によって、肩から腹部まで大きく切り裂かれた幹部B。




そして…もう1人は……


ポタタタッ
男「うっ…ぐっ…。」
銃弾から殺し屋を庇った男だった…。

229: 名無しさん@読者の声:2012/4/11(水) 04:40:06 ID:Gc30sO6xPA
前から読んでて続き楽しみにしてます
こっそり支援
つC
230: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/11(水) 17:33:51 ID:R.prheMCv.
<<229
支援ありがとうございます!!
前々から読んでいただけてるなんて、身に余る嬉しさです。
更新スピード落ちてしまってますが、必ず完結させます(^^;;

最後までお付き合いいただけたら、この上なく嬉しいです(//∇//)
231: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/11(水) 17:52:27 ID:YZuxArY2xI
ドサッ
幹部B「…。」
力なく地面に突っ伏す幹部B。


殺し屋「ハア…。ハア…。」
ドッ
力が抜けてしまったのか、倒れる様に地面に膝を付く殺し屋。


殺し屋「…ハァハァ…やった…。男さん…私やりましたよ…。」
男に向かって、歓喜の声を上げる。




男「…よく…やったな。」
男の目の前には、頭をかち割られた様に頭部から激しく出血している組員が力なく倒れていた…。

殺し屋「男…さん…?」
男の異変に気づく殺し屋。



男「ごめん…。」

ドサッ…
優しく微笑んだ男が、静かに地面へと沈んだ…。

殺し屋「…えっ?」

232: 名無しさん@読者の声:2012/4/11(水) 19:29:40 ID:PJaff4if8M
凄く面白い。

支援させて頂く。
233: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/11(水) 20:11:56 ID:YZuxArY2xI
<<232
何ともったいなきお言葉…ヽ(;▽;)ノ

マジ嬉しいです有難うございます!!
234: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/11(水) 20:50:49 ID:jqb8msR6tI
殺し屋「…男さん…?」
状況が理解出来ない殺し屋。

殺し屋「男さん…男さん…?」
男の倒れているコンクリートが赤く染まり出す…。


それに気付いた殺し屋が口を大きく開ける。



殺し屋「男さぁあああああああああああんっ!!!」

235: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/11(水) 21:04:48 ID:jqb8msR6tI
ズザッ!
殺し屋「男さん!!男さん!!しっかりして下さい!!」
男の元へ駆けつけた殺し屋が大声で呼び掛ける。

スッ…
男「…ハハ…わりぃ…ドジっちまった…。」
体を仰向けにし、情けなく笑う男…。

殺し屋「ーーっ!!」
男の腹部からの大量出血に声にならない悲鳴を上げる殺し屋。

男「…殺し屋…。」

殺し屋「…だっ大丈夫ですよ!いっ今救急車をよっ呼びますから!!だっ大丈夫に決まってますからっ!!」
そう言って男に笑って見せる殺し屋。
その瞳からは、大粒の涙が零れている…。




男「…殺し屋……


…聞いてくれ…。」

236: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/11(水) 21:21:49 ID:jqb8msR6tI
殺し屋「ーっ……。」
何かを叫ぼうとした殺し屋。
だが、男の表情を見てそれをやめる。

男「…ありかとう…。」
男が笑う。
その笑顔は優し過ぎた…。


男「…俺はさ…ヤクザの息子に…生まれちまったんだ…。」
静かに語り出す…。

男「…だから…今までいっぱい…酷い事してきた…。そうする事でしか、生きていけなかったんだ……。そうする事でしか…俺の存在を認めてくれなかったんだ…。」

殺し屋「……。」

男「…人を殺すために…拳を鍛え…悪徳な金の稼ぎ方を教わり…組長として恥じないようにと、心掛けて生きて来た…。自分が最低な事をしてるって事くらい理解してた…。けど、俺にはその生き方しか出来なかった…俺はその生き方しか知らなかった…。」

男「…だから…今回も一緒だと思ってた…罪悪感を抱きながらも、お前を騙し…組のために悪事を働こうとしていた…。…だけど…お前と過ごして…知っちまったんだ……





…人を好きになる幸せを…。」

237: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/11(水) 21:31:48 ID:jqb8msR6tI
殺し屋「ーーっ」
口元を抑える殺し屋。
涙を堪えるために…。

男「…お前と一緒にいると…体がふわふわして…心地よくて…。お前が近くに寄ると、心臓の鼓動が速くなって……幸せな気持ちになって…。俺……気付いちまったんだ……こんな幸せな…生き方…あったんだって……。」
男の瞳から涙が零れ始める…。



男「…あぁぁ〜……お前と…出会えて…お前を…好きになれて…本当に…幸せだったなぁあ…。」



238: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/11(水) 21:54:25 ID:jqb8msR6tI

殺し屋「…なっ…何を言ってるんですか……グスッ…これからは…ヒッ…そういう風に…生きられるんですよ…。」
嗚咽が漏れる殺し屋…。

男「……ぅっ…ヒッ…。」
涙を止める事が出来ない男と殺し屋…。

男「…ゲホッ!…ゴホッ!!」
喉に登ってきた血を抑えることが出来ず、吐血してしまう男。

殺し屋「おっ男さん!!」
男の身体に向かって、手を伸ばす殺し屋。

しかし、男の手に触れる直前に身体が硬直してしまう。

殺し屋「クッ!…ぅっ!!」
手に力を込めるが、本能がそれを拒絶してしまう。

殺し屋「何でよ!!何で触れる事が出来ないのよぉ!!ふざけんなよっ!男さんがこんな状態なのに、何怯えてんだよっ!!」
自分の不甲斐なさに、涙ながら憤慨する殺し屋。

殺し屋「私が汚れてるからって何だっ!!私が触れたら、男さんが汚れてしまうからって何だっ!!そんなの関係無いだろぉっ!!動けっ!!動けっ!!動けよぉおおっ!!」


男「…殺し屋……。」




239: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/11(水) 22:09:06 ID:jqb8msR6tI
男「……っ。」

男「……あっあのさぁ!!…おぼっ…覚えてるかぁっ…あの噂っ!!」
殺し屋に明るく問いかける男。

殺し屋「…ヒッ…グスっ…?」

男「…◯◯組は…戦死した組員の体を……生まれつき…身体の不自由な人や…事故で四肢を…失った人達に…ドナーとして提供するって…噂……あれ…本当なんだぜ…。」

男「…俺が…少しでも…自分の罪悪感を紛らわそうっつー…最低な理由で作った……特殊な制度なんだけどさ…。」

男「…俺も…そうしようと…思うんだ……。」

殺し屋「ーーーっ!」


240: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/12(木) 21:30:56 ID:3pGy78Zs8A

殺し屋「なっ…なんで…そんな…かなしいこと…いうんれすかぁあ…。」
悲しみで、崩れ落ちそうになる殺し屋…。

男「…だってさ…そうしたらさ……俺の代わりに…生きてくれるだろう…?」
表情を消して、呟く男。

殺し屋「なっ…なにを…」
男の真意が読めない殺し屋。


241: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/12(木) 21:59:14 ID:3pGy78Zs8A
男「…殺し屋…お願いだ……病院で…伝えてくれ…。」

男「…俺の体を…使ってほしいって…。」

殺し屋「…なんっ…なんで…。」


男「…だって…もし…俺の左腕を移植した人が…いるのなら…その人が俺の変わりに…困ってる人に…手を差し伸べてくれるかもしれない…。」


男「…もし…俺の両足を移植した人が…いるのなら…その人が俺の変わりに…困ってる人の元へ駆けつけてくれる…かもしれない…。」


男「…もし…俺の眼球を移植した人が…いるのなら…その人が俺の変わりに…助けを求めてる人を…見つけてくれる…かもしれない…。」


男「…いろんな…人が…最低な俺の変わりに……最高の事を…してくれるかもしれない…。」




男「…けど……だけど………だけどな……俺の右腕は……右腕だけは…移植しないでほしいって……伝えてく欲しいんだ…。」


殺し屋「…えっ…」


242: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/12(木) 22:19:08 ID:3pGy78Zs8A

男「…俺の右腕は……。」





男「…俺の右腕は……大好きなお前が……触れてくれた…この右腕だけは……





…死んでも…俺のもんだ…。




お前が触れてくれた…この右腕は…俺の誇りだから…。


誰にも…渡したく…ねぇんだ…。」



殺し屋「……… ああ……


『私は…汚れてるんですよ…』


『いやっ!いやぁあっ!?触らないでぇえええっ!!』


『私は…汚れてるから…男さんに触れたら……男さんまで…汚れてしまうから…。』


ああ…


あああ…


この人は……最期まで…




最期まで……私の事……励ましてくれるんだ……。

243: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/15(日) 13:54:31 ID:HiP0NopJqA
殺し屋「…まったく……貴方って…人は……。」
殺し屋が身を屈める。



殺し屋「最高に……大好き…です…。」
スッ…

殺し屋と男の唇が重なった。

男「っ!」




殺し屋「これで…男さんの唇は…一生……私のものですね…。」
最後に…殺し屋が男のために用意した表情は、ハジけるような笑顔だった。


男「……ハハ……それは…最高に幸せだなぁ……。」


男は本当に幸せな笑みを浮かべ、重いまぶたを閉じたのだった。


244: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/16(月) 21:03:24 ID:buiuwTdrrQ


そして…数年の時が流れた。

245: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/16(月) 21:09:34 ID:buiuwTdrrQ

殺し屋「……。」
一つの墓石の前で屈み込む殺し屋。

スッ…
殺し屋「…今日は…寒いですね。」
そう小さく呟きながら、花束を添える。


すると…


???「…やっぱりここか。」
後ろから誰かが囁いた。

殺し屋「…はい。」
それに短く答える殺し屋。



246: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/16(月) 21:30:03 ID:I21cfgmb12

???「…大丈夫か?」


殺し屋「…ふふ。有難うございます。でも大丈夫です。ちゃんと過去とは決別できましたから…。」

???「そっか…。でも、まさかお前がこの人のために墓を建てたいと言い出すとはな…。」

殺し屋「ハハ…自分でも信じられません…。でも、過去を認める事で私はこの人のために花を添える事が出来るんです。」

???「……お前は本当に…強くなったな…。もし、これが俺の墓であったとしても、お前は同じ事を言ってくれてたのかもな。」

殺し屋「それ…シャレになってませんよ。……まったく…





男さんは…。」
247: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/16(月) 21:48:39 ID:I21cfgmb12
男「すまん。すまん。最近ブラックジョークにハマってるからさ。」

殺し屋「黒さが尋常じゃないですよ…ったく、あの時私がどんな思いをしていた事か……反省して下さい。」
割りと本気で男を睨みつける殺し屋。

男「…すいません。」

殺し屋「シャレにもあの時、男さん一度心臓止まってたんですよ…なのに…ご臨終確定した直後に急に起き上がるんですから…医者の先生も驚きの余り卒倒してましたからね…。」

男「ほんとすいません…。」

殺し屋「…まぁ…こうして生きてくれているわけですから…許してあげますけど…。あの時本当に…私…死ぬ程悲しかったんですから…。」

男「…ごめん…。」

殺し屋「…もう絶対に…一人にしないで下さいよ…。」

男「…約束する。」

248: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/16(月) 22:08:35 ID:I21cfgmb12

男「…じゃあ…帰るか。」

殺し屋「…はい。」

男「あっ…と、ちょっと待って。」
ザッ
墓石の前に駆け寄る男。

殺し屋「?」

スッ
男「…。」
墓石に向かって手を合わせる。


そして…。

男「…あんたの娘は俺が幸せにする…。あんたには出来なかった事かもしれねぇが、俺には出来る。…俺はコイツの事が大好きだから…。俺にはそれだけの覚悟がある…。だからあんたの娘…貰うぜ。」
その墓石には**の名前が刻まれていた。

殺し屋「…男さん。」
微笑む殺し屋。
その頬は夕日と同じくらい赤みがかっていた。

男「それに…もうすぐ孫の顔も見せてやる予定だからな。楽しみにしてな。」


ボンッ『殺爆』

殺し屋「なっにゃにを言ってるんですかぁっ!?いやっその嫌なわけではにゃいですけどっ!確かに男さんにはいっぱい抱き締めてもらいたいわけですけどぉっ!!だからって//////」

男「ハハ。親父さんが嫉妬するくらい最高に幸せになろうぜ。」
そう言って殺し屋の手を握る男。

殺し屋「…うぅ……無念です…/////。」
二人の幸せ過ぎる日々はこれからも続くのでした。

おしまい。
249: ◆YkwVCqa05Y:2012/4/16(月) 22:17:24 ID:I21cfgmb12
いやぁあ…

本当に楽しかったです。
このSSを執筆するのが最近の一番の楽しみでした。

支援して下さった皆さん…
心よりお礼を申し上げます。
そして今回もまたランキングに入る事がてきました。
9位です。

まさか二度もランキングに入る事が出来るなんて思ってもいなかったので感謝感激感動たまりません。
本当に有難うございました。

また、ここでSSを書かして頂く事になるかもしれませんが、その時にもまたご一読願おうなんて…贅沢ですかね…。
…すいません。

ではまた。


250: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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