助手「今日は随分多いですねぇ」
係員「はい、並んで下さいね〜!」
司会「今日はどんな運命が決まるのかなぁ」wktk
助手「不謹慎極まりないですね」
241: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/24(金) 18:37:16 ID:9tzrAGDv/E
司会「ただいま〜」
助手「お帰りなさい。一体何だったんです?
急に神様から呼び出されるだなんて」
司会「…え、あぁっとね。
人間界での土産話を聞かせてくれって」
助手「暇潰しですか…」ハァ
司会「敬老の精神で何とか耐えるしかないねっ」
助手「それにしても、わざわざ呼び出すなんて。
いつもなら自分から足を運ぶ方ですのに…」
司会「……。」
助手「司会さん…?」
司会「……。」
242: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/24(金) 18:44:47 ID:9tzrAGDv/E
コンコン
閻魔「どうぞ」
助手「失礼します」ガチャ
閻魔「おや、助手さん。どうしたんですか?」
助手「閻魔様、司会さんがおかしいんです…」
閻魔「…おかしいのは前からだと思いますが…、
そういう意味ではなさそうですね…」
助手「何を聞いても上の空で、
何かをずっと考え込んでいる様なんです…」
閻魔「何かをずっと…?
ちなみに、それはいつからですか?」
助手「天国へと帰って来てすぐ、
神様に呼ばれて行った日から続いてます…」
閻魔「…成る程、どうやらあのジジイ…、
もとい、ジジイ…」
閻魔「神様が一枚噛んでいそうですね」
助手「…(あの言い間違え、絶対ワザとだ…)」
243: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/25(土) 04:19:17 ID:9tzrAGDv/E
閻魔「やれやれ…。では私の方で少し探りを入れてみましょうか」
助手「え…、協力して頂けるんですか?」
閻魔「えぇ。今からジジイ…に会いに行く用事もありますから」
助手「有難う御座います(…遂に訂正しなくなった…)」
閻魔「さて、何を企んでいるのやら…」
244: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/25(土) 04:28:16 ID:9tzrAGDv/E
コンコン
閻魔「失礼します」ガチャ
神様「…閻魔か」
閻魔「どうしたんです? いつになく真剣な眼差しと面持ちですけど」
神様「…うむ。少々厳しい決断をした後でのぅ…」
閻魔「…厳しい決断、ですか?」
神様「…のう、閻魔」
閻魔「はい」
神様「…刻限が迫っておるのじゃ」
閻魔「…ッ! そうですか…」
閻魔「ご愁傷様です。安らかにー」
神様「ーワシの寿命じゃないわい! そもそもワシは死なん!」
閻魔「…えぇ、そうでしたね」チッ
245: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/25(土) 04:37:45 ID:9tzrAGDv/E
神様「よもや本当に解っておらん訳ではなかろう」
閻魔「…早いものですね。今日ですか」
閻魔「あの前代未聞の騒動に、
漸く終止符を打つ形になる訳ですね」
神様「…そうじゃ。
恐らくもうすぐ、司会も動き出す頃かのう」
神様「…ワシは間違っておるのかの…」
閻魔「…神様。あの時、司会さんも今日と言う日が来る事は既に解っていた筈です」
神様「そうじゃな…」
246: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/25(土) 15:33:25 ID:9tzrAGDv/E
助手「…どうしたんでしょう? 今日は誰も来ませんね」
司会「…さ、始めよっか」
助手「……? ですが、まだ誰も…ー」
司会「ーもう、いるよ」
助手「…え…?」
司会「…助手ちゃん、そこの椅子に座って」
助手「ど、どういう事ですか? いくら暇とは言っても、この椅子は転生者の座る椅子ですよ?」
司会「……助手ちゃん、転生のシステムは解ってるよね?」
助手「し、司会さん…?」
司会「…生前の歴史を振り返ってー」
助手「ー司会さんっ!」
司会「…ッ! …助手ちゃん、座って…ッ」グッ
247: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/26(日) 01:18:57 ID:9tzrAGDv/E
助手「…私が転生…するんですか…?」
司会「……。」コクリ
助手「…何でですか…っ!? まだ私は…ー」
神様「ワシが決めたんじゃよ」スッ
助手「神様…っ!?」
神様「お主を司会の下に預かる時、ワシは司会に魂の刻限の話しをした」
助手「魂の刻限…?」
司会「…転生しないままの魂は、天国に居続けれない」
司会「転生するか、消滅するかしか…選択肢はない…」
助手「で、でも! それなら司会さんもー」
司会「ー私は、もう人間に転生は出来ない。助手ちゃんとは違うの…」
助手「……ッ」
神様「そしてもう、お主に残された時間はない。転生をせねば、消え去るのみになってしもうた」
248: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/26(日) 01:29:49 ID:9tzrAGDv/E
助手「…嫌です…。 転生するぐらいなら、消滅します…」
司会「…ダメだよ」
助手「忘れたんですかっ!? 私は生前、親に殺された! なのに、人間になんか…もう…!」
司会「…助手ちゃんはここに来て、色々な人を見て来たよね…」
助手「…え…」
司会「そういう人達を見ながら、助手ちゃんは何を感じた?」
助手「…ッ、それは…」
司会「…ここに来たばかりの頃と、今の助手ちゃんは違う…」
司会「今の助手ちゃんの魂なら、次の人生は絶対輝かしくなる。 だから私は、笑顔で見送るって決めた…!」
助手「…そんな事言いながら、もう泣いてるじゃないですか…ッ!」
249: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/26(日) 01:35:28 ID:9tzrAGDv/E
短いですが、本日はここまでにします〜。
このまま終わりに向かう予定ですので、
地文書きを増やす形になりますので、ちょっと雰囲気変わるかもしれません。
読んで頂いた方々、有難う御座います〜。
250: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/29(水) 02:47:14 ID:9tzrAGDv/E
助手「…少し、考えさせて下さい…ッ!」ダッ
司会「……うっ…ううぅぅ…」ボロボロ
神様「…(…司会、助手。奇縁によって出会った二人じゃと言うに、繋がりは深い…)」
司会「…うぅ…ッ、ひっく…ッ」
神様「…(…司会があそこまで泣く姿を、今日までに幾度見た事かのぅ…)」スッ
神様「…(…声をかけた所で、どうにかしてやれる術もなく、ただ傍に居る事しか出来ぬ…)」
神様「…(…無力なモンじゃ…ッ!)」ワナワナ
閻魔「追いなさい、司会さん」スッ
神様「…ッ、閻魔…」
251: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/29(水) 03:00:25 ID:9tzrAGDv/E
司会「…閻魔ちゃん…」
閻魔「やれやれ、神様がいると言うにも関わらず、一切解決してないとは…」ハァ
神様「ワシのせいっ!?」Σ
閻魔「こうしてる間にも、時は流れ続けます」
司会「うるさい…ッ! 閻魔ちゃんは悲しくないからそんな事言えるんだよッ!」
司会「助手ちゃんを私が預かるって決めた時も…ッ!」
司会「あの子がいなくなって、清々するとでもー」
閻魔「ーいい加減になさい!」
司会「〜ッ!」ビクッ
閻魔「…貴方が私の心をどう推測しようと勝手です」
神様「…閻魔…!」
閻魔「貴方に嫌われようと、私は何も思いません。助手さんがいなくなろうと、私は寂しくありません」
司会「ーな…ッ」
閻魔「ですが、貴方の今のやり方は不愉快極まりない!」
司会「え…」
252: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/29(水) 11:28:16 ID:9tzrAGDv/E
閻魔「精一杯、自分の気持ちを伝えたと、そう言えますか!?」
司会「ーッ」ハッ
閻魔「…その様子では、それすらも出来ていない様ですね…」
閻魔「貴方はいつから、そんなに有能になったつもりですか? 頭で理解していれば、納得せずとも仕事に徹するとでも言うつもりですか?」
司会「〜ッ!」
閻魔「少なくとも、私が知る貴方はそんな小手先の利口さを扱う程、賢くないですね」
司会「……。」
閻魔「不器用で強情で、周りを巻き込んででも気持ちを優先してきた貴方らしくもない」
神様「閻魔、司会は…ー」
閻魔「
253: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/29(水) 11:34:31 ID:9tzrAGDv/E
閻魔「もう二度と会えないかもしれないんですよ…、司会さん」
司会「…行かなきゃ…」ダッ
閻魔「……。」
司会「閻魔ちゃん」ピタッ
閻魔「はい?」
司会「…なかなかクサかっー」
閻魔「ーさっさと行きやがれ、小娘」
司会「ひぃっ」ダッ
閻魔「…まったく…って」
神様「……。」ズーン
閻魔「…何をイジけ顔で落ち込んでるんですか…」
神様「…良い所持って行かれたわい…」
閻魔「……。」
254: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/29(水) 11:59:25 ID:9tzrAGDv/E
司会「はぁ、はぁ…」
助手「…司会さん…」
司会「…離れるなんて…嫌だ…ッ!」
助手「ーッ!」
司会「でも…、今我慢すれば…! またここで会える筈だから…!」ぶわっ
司会「今の気持ちを我慢ずれば! まだ会えるがらっ!」ズビッ
助手「…司会さん…」ウルウル
司会「ひっく…スズッ」
助手「もう…、鼻ぐらいかんで下さい…」スッ
司会「うっ…うえぇ〜ん…」だきっ
助手「……。」ぽろぽろ
255: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/29(水) 14:15:33 ID:9tzrAGDv/E
どれだけ泣いた?
確かめる様に司会と助手が互いの顔を見つめ、思わずプっと笑いを零す。
「司会さん、グシャグシャですよ、顔…」
「そういう助手ちゃんこそ…」
互いに表情はグシャグシャだ。涙で強張った頬も、腫れてしまいそうな目の周りも、そんな顔で涙も乾かない内に生まれた笑顔も。
「…私の次の人生は、どういう人生になるんでしょうか…」
不意に助手がそう告げた言葉を、司会は確かめる様に助手の顔を見つめた。
「…助手ちゃん…」
256: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/30(木) 01:54:32 ID:9tzrAGDv/E
助手「私、転生します…」
司会「…うん」
助手「でも、人間かどうかは解らないんですよね」
神様「人間じゃ」
助手「か、神様…」
閻魔「ここでの仕事ぶりへの評価だけでも、得点基準は満たしますからね」
司会「二人共、追ってきてくれてたんだね」
助手「…はい…」
神様「…最期の挨拶をする時間じゃな…」
閻魔「…では、助手さん。お元気で」
神様「さらばじゃ、助手」
助手「…はい…! お世話になりました…!」
257: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/30(木) 02:01:32 ID:9tzrAGDv/E
司会「…助手ちゃん、楽しかったよ」
助手「…私もです…」
司会「次会う時は、私もナイスバディに…」
助手「似合いませんよ」クス
司会「そうかなぁ?」
助手「…司会さん、有難う御座いました」
司会「ん?」
助手「司会さんと過ごした時間は、私を変えてくれましたから…」
司会「…私も、だよ」ボソ
助手「え?」
司会「…ううん、何でもない。何年後になるか解らないけど、また会えるまで待ってるよ」
助手「…はい…!」
司会「死亡待ちだね!」
助手「非常に聞こえが悪いですね」
258: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/30(木) 02:16:25 ID:9tzrAGDv/E
「…時間だね」
司会が助手の身体を見つめる。金色に輝く光の粒がふわふわと助手の身体から舞い上がる。
「…最期に1つだけ、聞かせて下さい」
「ん?」
「次ここで会える時、私の今の記憶はあるんでしょうか?」
「…解らない…。前例がないから…」
司会が俯きながら答える姿を見て、助手は司会の手を取り、ギュッと握った。
「絶対、忘れません…! もし忘れてたら、思い出してみせます…!」
「…うん…!」
泣くだけ泣いた後なのに、二人の頬をまた涙が伝う。
「じゃあ、またね」
「はい…。また…」
助手が小さく返事をすると、身体から舞い上がる金色の粒が弾ける様に一斉に宙へと舞い、助手の姿は消え去った。
「……。」
司会はついさっきまで助手に握り締められた手を、再び自分の胸の前で強く握って目を閉じた。
まるで祈る様な姿でそのまま膝をつき、司会は暫くその場から動こうとしなかった…ー。
259: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/30(木) 02:22:59 ID:9tzrAGDv/E
----時は流れ----。
司会「ふわぁー…っ」
閻魔「退屈そうですね」
司会「あれ、閻魔ちゃん。どしたの?」
閻魔「ちょっとジジイに呼ばれまして、ついでに寄ってみただけですよ」
司会「労務に勤しむ私の姿を見に来たの?」
閻魔「あくびをして大口開いてる姿しか見れませんでしたが」
司会「そこに萌えた、と!?」クワッ
閻魔「いえ、それはないですね」
司会「ですよねー」
260: 怜司 ◆13QAQ5TO..:2012/8/30(木) 02:26:40 ID:9tzrAGDv/E
閻魔「では、仕事に戻ります」
司会「ありゃ、本当に寄っただけ?」
閻魔「えぇ。ちょうど来客の様ですしね」
司会「あ、本当だ」
司会「そこの台に立って下さい〜」
「はい」
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