┌──────────┐
1.拾った猫が女の子になった……。助けて……(45)
2.犬ミミとネコミミ、あなたはどっち!?(861)
3.父親が悪の組織のボスになっちゃったwwどうしよう(459)
└──────────┘
「ふぅ、やっぱ駄目か〜」
PCでスレを建ててみたものの、猫が女の子になることが常識的に考えて、
「妄想乙ww」やら「糞スレだ」とか言われるのがオチなのに何をボケていたのだろうか……。
738: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 07:37:07 ID:iW5aYs19Do
何が起こった?
心臓が今までにない早鐘を打っている。
「大好きですよ、主人」
俺は周りの物を退け、破竹の如く後退する。
「もしかして、初めてでしたか、主人?」
ファが不敵に笑った。
しかし、初めてではない。あの時のことを思いだしつつ、平静を取り戻す。
「い、いや、二回目かな」
ファは、その言葉によって、ピシリと固まってしまった。
739: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 07:43:50 ID:ZaNjet47sY
「だ、だだだだだ誰に盗られたのですか!? しかも、いつの間に!?」
ファの悲痛な叫びが木霊する。俺はあえて、そこに爆弾を投下した。
「えーと、6月の多尾先輩の家に行ったときの夜に、風に不意打ちで……」
プツンと、何かが切れた音が聞こえた。
そこから先は、俺が発狂した猫を取り押さえられるまで苦労したと言っておこう。
740: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 07:50:58 ID:ZaNjet47sY
「よし、腕は完治し、これで退院だな」
そう言われた瞬間、ファは感情を隠さずにぴょんぴょんと跳ねていた。
夏休み最終日、彼女の腕は完全に元通りになった。
「主人、なんとか間に合いましたね!?」
「ああ、まったくだ」
俺たちは医者に一礼をし、白い建物から出ていった。
741: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 17:31:33 ID:RKZQZp1hME
「主人、ちょっと行きたい所があるのですが……、一緒にどうですか?」
唐突だった。
「まあ、いいけど」
そう言うと、彼女は目を輝かして俺を引っ張って行った。
742: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 17:40:05 ID:RKZQZp1hME
「ここって……」
見覚えのある町並みだった。
「そうですよ。主人の前に住んでいた町ですから」
俺たちは歩みを進める。
あの公園でよく遊んでいたな。遊んでいた友達、まあ1人だが、そいつは今もこの町に居るのだろうか?
「こっちですよ、主人」
ファの足が速くなる。俺は彼女を追い抜かしそうな程のスピードで進んでいた。
743: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 17:54:13 ID:RKZQZp1hME
次に来たのは空き地だった。
「猫の声が聞こえるな」
「はい。猫の集会場ですよ、ここは」
俺の疑問にファが答えた。
頭に引っ掛かったことが1つ。
「ここで……猫を拾ったけな」
どんな色の猫か忘れたけど、小さい猫だった。
連れて帰ったら、母さんに戻してこいって言われたっけ。でも、父さんが仕事の時は1人寂しいだろうって言って飼うことになったんだ。
「前に住んでた家に行っていいか?」
「はい、大丈夫ですよ」
彼女は頬を緩めて言ってくれた。
744: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 18:43:41 ID:Xh00wEirNs
「懐かしいな……」
俺は目の前の一軒家を見て呟く。
標識には『空藤』とあり、別の住人がいることを示している。
745: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 18:51:14 ID:1h4sU4ikJI
猫を雪の降る庭に無理矢理連れ出したり、一緒の布団で寝ていたら猫を体の下敷きにしてたり、色々あったな……。
「それだけを聞いてると、猫が可哀想ですよね」
感傷に浸っている最中にファが茶々を入れる。
「う、うるさいぞ!」
俺は顔を真っ赤にして叫んでいた。
そこを中学生に見られ、脱兎の如く逃げる俺だった。
746: 名無しさん@読者の声:2011/12/12(月) 19:00:32 ID:vQn24bs7N.
リアタイやで( ̄^ ̄)ドヤ←
つC
747: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 22:58:56 ID:1h4sU4ikJI
>>746
?(・ω・`)
支援さんくす(・ω・´)
今日か明日には終わらせれるかな?
748: 名無しさん@読者の声:2011/12/12(月) 23:00:52 ID:qcDttONIGI
リアルタイムだと思って
書いたが更新なかった(;´д⊂)
749: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 23:05:45 ID:Xh00wEirNs
恥ずかしさのあまり、逃げ出してきた俺たちは人気の多い交差点に出ていた。
俺の目の前をトラックが通りすぎる。
「あ……」
幻覚が見えた。黒猫がトラックで轢かれる瞬間が。
「……っ!?」
青になった瞬間、俺は、また走り出した。
750: 枕:2011/12/12(月) 23:08:21 ID:1h4sU4ikJI
>>748
すまないね……
今、更新してるから
751: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 23:15:44 ID:1h4sU4ikJI
「し、主人!? 何処に!?」
ファの焦りを他所に、俺はある場所へと走った。
そこに墓があるはずだ。
俺は迷いながらも、ある場所に辿り着いた。
そこは今も河原が残っていた。一時期はよく通っていた川だ。
「ここ辺りにあるはず。…………あった!」
752: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 23:23:38 ID:1h4sU4ikJI
それは小さな墓で、墓標もアイスの棒を使った、簡素にも程がある墓だった。
棒は、腐っていないし、新しい。まるで誰かが取り替えてるような感じがした。
そこに書いてあったのは、
『僕の大好きな猫、ファのお墓』
俺は背後にいる猫に言う。
「ファは、何時死んだんだ? そして、お前になった?」
753: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 23:33:45 ID:Xh00wEirNs
「飼い猫が死んだのは5年前、私として生まれたのは3年前です」
振り返ったそこには、黒猫がいた。
「何で言わなかったんだ」
「言って信じられましたか?」
無理だな。少なくとも、今も疑っているぐらいだ。
「なら、鈴と写真はどうですか?」
黒猫は俺の胸に飛び込んでくる。そして、鳴らない鈴を鳴らした。
754: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 23:40:45 ID:1h4sU4ikJI
尻尾の鈴を丁寧に取る。
「この鈴は私の機嫌がいい時などに鳴るようになっています」
本当か確かめるために振る。が、音は出ない。
「私から離れているので鳴らないですよ」
「う、うるさいぞ! 写真は?」
猫の手を借りて、俺は鈴の上半分を取り外す。
「寂しい時にはよく見てましたね、写真は」
そこには、幼い俺とやや小さめの黒猫が確かにいた。
755: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/12(月) 23:51:21 ID:Xh00wEirNs
猫から元の状態に戻ったファと河原に寝転がる。
「何で忘れてしまわれたのですか?」
「多分、引っ越した後の忙しさのせいかな?」
ファの問いに俺はそう答えた。
その回答に彼女は不服らしく、頬を膨らます。
「私は引っ越しごときで忘れ去られる存在だったのですかー!!」
昔はそうだった。でも、今は違うと思う。
「病院の時のお返しだ」
そう言って彼女の騒ぐ口を塞いだ。
顔全体がトマトのように染まった彼女に言った。
「俺はファが大好きだ」
756: 名無しさん@読者の声:2011/12/12(月) 23:53:21 ID:9CD5Lm6VSI
まさかとは思うがもうすぐ終わりじゃないだろうな…('A`)
757: 枕 ◆gTg4MOyrUY:2011/12/13(火) 00:08:31 ID:Xh00wEirNs
「流石、若いの。熱いねー。ひゅーひゅー」
いきなりの声に俺たちは電流が流れたように離れた。
「ふ、風!? 貴女、なんでここに!?」
不敵に微笑む彼女は全て見てましたと言わんばかりの笑みだ。
「あんた達を見てると、僕の方が恥ずかしくなるわ」
那由多までいた。風がいたから予想はできたが。
「いつも英雄さんは色を好むから仕方ないかな。なら、二番目にでも……」
そう呟く多尾。
日本では一夫多妻制はないですよー。
「悪に法はない」と風。
「いっその事、うちに来る?」とカフルス団に勧誘してくる那由多。
「それなら私も入ったら、大地君を……」と危険な発言をする多尾。
思わず笑いが漏れる。隣のファも一緒だった。
「主人なしの生活は、私たちには考えられないみたいですね」
俺も今がないのは考えられないでいる。
多分、これからもそうだろう……。
─fin─
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