女「男!!好きだ!!愛してる!!結婚を前提に付き合ってくれ!!寧ろ結婚しよう!!」
男「・・・え、やだ」
女「な、何故だ!?」
男「だって、お前変態じゃん」
女「わ、私のどこが変態だというのだ!?」
男「お前、朝からの行動を思い返してみ?」
女「朝か?朝はまずお前にモーニングコールを10回して、おはようメールを5通送ったな」
男「同じ奴から何回も連絡を入れられる恐怖を考えろ」
女「その後、男の家に向かい、お前が登校したのを確認して後ろから背中を眺め回してハアハアしながら後をつけて…」
男「ストーカーも入っていたとはな」
女「そして男が教室に入る瞬間、偶然を装い一緒に入り今に至るというわけだ」
972: 1:2012/8/22(水) 14:21:49 ID:uG76tHGYho
裏山頂上
兄「・・・」
男「こんな所にいたのか」
兄「・・・何しに来たんだ」
男「隣いいか?」
兄「・・・」
男「凄いなここ、景色が一望出来るじゃねーか」
兄「お前は楽しく俺とお話しにきたのか?」
男「まあそんな所だ」
兄「呆れた奴だ。普通におかしいだろお前の彼女をあんな目に会わせた張本人が目の前にいるんだぞ?憎くないのか?」
男「憎いよ。なんだったらお前をここから突き落としても構わない」
男「でも、やらないし。したくない」
兄「は?」
男「たとえ演技だったとしても、仲良くなれた奴を殴りたくはない」
男「復讐なんて、やっても意味がないんだよ」
兄「・・・じゃあなんできたんだよ」
男「言ったろ、世間話」
973: 1:2012/8/22(水) 14:27:18 ID:uG76tHGYho
男「海ってさ、凄いよな」
男「見てるとなんか落ち着いてさ、自分がちっぽけな存在に思えて、悩んでるのがバカらしくなってくるんだよな」
兄「・・・つまり、何が言いたいんだよ」
男「んー、そんな気にするなって事だ」
兄「・・・馬鹿じゃねーの?」
男「多分な。でも、こんくらい馬鹿じゃないと、女と一緒にいれないからさ」
兄「・・・なんか、俺が駄目でお前がいい理由、わかった気がする」
男「何わかったか知らんが、早く戻れよ。主人さん心配してるから…あ、そうそう」
男「帰ったら女に謝れよ?謝んなかったら殴るかんな?」
男「じゃあなー」スタスタ
兄「本当、変な奴…」
974: 1:2012/8/22(水) 14:31:10 ID:uG76tHGYho
旅館
主人「この度は息子達が本当にすみません!!」
父「主人さん、頭をあげてください」
主人「いいえ!!一歩間違えてたらとりかえしのつかない事になっていたかもしれません!!」
母「でも…何もなかったですし…」
主人「お願いします…謝らせて下さい!!」
主人「そうしないと…情けなくて…」
弟「かあさん…」
弟「本当に、すみませんでした!!」
女「弟…」
ガラガラ
兄「・・・」
975: 1:2012/8/22(水) 14:38:05 ID:dWmEEQph1A
弟「兄ちゃん!!」
主人「兄!!どこに行ってたの!?早く謝罪しなさい!!」
兄「・・・」スタスタ
主人「兄!!」
兄「・・・」ピタッ
女「・・・」
兄「本当、お前らってわけわかんねー」
主人「!?」
兄「考えてる事普通じゃねーし、言動も行動もおかしいし」
兄「普通だって思ってた男も、結局はお前と似たような事ばっか言うから、うるさくてたまんねー」
女「・・・」
兄「でもさ…なんでかな…」
兄「言ってる事無茶苦茶なのに、何故か心に残る」
兄「本当に…悪かった」
女「・・・わかればいい」
976: 1:2012/8/22(水) 14:42:35 ID:uG76tHGYho
兄「この度は、本当に申し訳ありませんでした」
父「1ついい?」
兄「はい」
父「男君にはもう謝った?」
兄「まだ…です」
父「じゃあ、謝る相手が違うよね?」ニッコリ
兄「・・・」
母「(父君カッコいい父君カッコいい父君カッコいい父君カッコいい)」
ガラガラ
男「ふいー、やっと着いた…変に迷うな、あそこ」
兄「あそこ、地元民じゃないと迷うぞ」
男「え!?なんでお前俺より早くいんの!?」
兄「地元民なめんな」
977: 1:2012/8/22(水) 14:48:45 ID:uG76tHGYho
男「女には謝ったか?」
兄「ああ」
女「うむ」
男「そっか、良かった」
兄「ありがとな、気づかせてくれて」
男「な、なんだよ…急に」
兄「またさ…仲良くしていいかな?」
男「当然だろ?女は?」
女「友人としてなら大歓迎だ」
兄「・・・ありがとう」
978: 1:2012/8/22(水) 14:52:35 ID:dWmEEQph1A
女「主人、そういうわけだから。謝罪はもういい」
主人「わかりました…ですが、この二人には個人的に話があります」
兄「げ」
主人「来なさい!!みっちり説教です!!」
兄「え!?ちょ、そこは迷惑をかけてはいけないで締めくくる美談じゃ…」
主人「そんなお涙頂戴は今時流行りません!!」
弟「兄ちゃん…説教を受けようよ…」
兄「うへ〜」
979: 1:2012/8/22(水) 15:51:37 ID:5RvltjAJ0I
女「・・・」
男「どうした?心ここにあらずって感じだな」
女「あ、ああ…」
男「やっと一安心か?」
女「そうだな…」
男「本当は怖かったんだろ」
女「・・・かもしれん」
男「それでいいんだよ。下手に強がるより、よっぽどマシだ」
男「そうだな…信じてるからこそ、弱さを見せてもいいんじゃないか?」
男「俺はお前を信じてる。上手く言えないけど、お前は俺の前からいなくならないって」
女「・・・そうだな」
女「信じよう。私達の未来を…」
980: 1:2012/8/22(水) 15:59:49 ID:5RvltjAJ0I
男「ふー、ようやく一息つけ…」
父「男君?女さん?ちょっと」
男「・・・オレハライタイ」
父「片言で話しても無駄だからね?」
男「・・・はい」
女「お、お父様、男は私の為に」
父「女さんは少し黙ろうか」
女「・・・はい」
父「いいかい?二人が大人に近づくにつれて、行動に責任というものがのしかかるんだ。確かに男君の行動はけじめをつけるという点では良い行動かもしれない。でも周りに迷惑をかけるかけないの問題じゃなく、僕達は君達の一番の理解者なんだからね?今回は突発的に起こったから仕方のないことだろうけど、これからの二人の問題を二人だけで背負うんじゃなくて、もう少し、それこそ周りに相談しなさい」
男&女「・・・はい」
父「今日は色々あって、特に疲れてるだろうからこれくらいにしておくけど、二人は今日は外に出ちゃ駄目だからね?」
男「なん…」
父「何か、言った?」
女「な、なんでもありません!!」
父「さて母さん、お土産でも買いにいこうか…母さん?」
母「父君カッコいい父君カッコいい父君カッコいい」
父「・・・それじゃあ、行ってくるよ」
981: 1:2012/8/23(木) 00:38:54 ID:S8hgBGFHLQ
男「しかし、外出ちゃいかんのか…退屈だな」
女「まあお父様の仰有ることは一理あるからな」
女「それに、建前は外出禁止だが、裏を返せばゆっくり休めと言いたいのだろう…それに」
女「仲直りしてからの最初のスキンシップは重要だろう…なあ?」
ガラガラ
兄「・・・バレてた?」
女「気配でわかる」
男「うおっ、お前その顔どうした!?」
兄「ビンタされた」
女「随分と酷い顔だな…」
兄「大丈夫大丈夫、俺達がガキの頃はこんなんしょっちゅうだったから」
982: 1:2012/8/23(木) 02:58:08 ID:YnhHdkTLIo
兄「顔…ごめんな」
女「気にするな」
男「気にするなっていってんならあんま気にしなくていいぞ。てか、俺はお前の顔の方が気になるんだが」
兄「ほっとけ」
女「さて、聞かせてもらおうか?何故綺麗事を言う奴がムカつくんだ?」
兄「人間、皆汚れちまうからな…そんな風に綺麗に言われると…責められてる気がして…つい」
男「・・・」
女「なるほど、それは理解出来た」
女「確かに、綺麗に成長は出来ないだろう…だが、綺麗に成長しようと思うことが悪い事だとは私は思わない」
女「人の生き方など、千差万別だ。いちいち口を挟むだけ余計なお節介だよ」
兄「そんなもんかな…」
男「まああれだ…責められてると感じるって事は、少なからず自分の汚さを認めてるんだよ」
男「俺は凄いと思うな…俺だったら絶対に目を背けちまうから…」
女「安心しろ。私が無理矢理向かせてやる」
983: 1(投下終了):2012/8/23(木) 03:02:02 ID:YnhHdkTLIo
兄「なんか…お前らお似合いだよ。本当」
女「今更か?」
兄「全くだ」
男「まあ後1日だけの付き合いだけど、よろしく頼む」
兄「ああ…」
兄「じゃあな、仕事戻るわ」
ガラガラ
兄「・・・あいつらに会えて、変わったな、俺」
984: 1:2012/8/23(木) 23:21:26 ID:wA9RpEgro2
女「さて、ようやく二人っきりなわけだが」
男「だが断る」
女「まだ何も言ってないのだが」
男「お前の考えは大体わかるんだよ」
女「ほう?なら読んでみろ」
男「怪我人を逆手に取って好き放題俺を蹂躙」
女「・・・それもあったな」
男「なんか別の事を考えてたっぽい」
女「まあ折角提案してくれたのだ。やってみるか?」
男「おい」
女「なんだ?お前が言い出さなければ私は考えもつかなかったのだぞ?言い出しっぺはお前だ」
男「そこ言われたら何も反論出来ねぇ」
女「冗談だ。少しだけ横になる」
男「・・・おう」
985: 1:2012/8/23(木) 23:28:06 ID:Q2PfZzGuiU
母「ただいまー♪いっぱいお土産買ってきたよ〜」
男「お帰り」
母「あら、女ちゃん寝ちゃった?」
男「まあな」
母「それだったら静かにしなきゃだね…でも」
女「・・・」スースー
母「ああん!!もう!!なんで女ちゃんは天使の寝顔が出来るの!?可愛い!!食べちゃいたい!!」
男「母さん、そんな趣味があったの?」
母「失礼な、女ちゃん限定ですー」
母「あ、でも前に来た書記ちゃんも中々…」
男「あれだな、気に入った物を側に置いておかないと気が済まないタイプ」
父「そんなの、長年連れ添ってるから承知だよ」
父「ただ…逸れてしまった視線を元に戻すのが僕の役目だよ?」
男「おおこわいこわい」
986: 1:2012/8/23(木) 23:30:13 ID:z0U8ZQhYEg
母「男君」
男「ん?」
母「覚えてるとは思うけど…」
男「ああ、宿題ね」
母「うん」
男「うすらほんのり答えは出てるよ」
母「そっか…」
母「私を納得させなかったら…わかってるよね?」
男「もちろんさ」
男「後1日、真剣に考えてみるよ」
女「・・・」
987: 1:2012/8/23(木) 23:34:37 ID:Q2PfZzGuiU
女「・・・」ムクリ
男「お、起きたか」
女「お父様とお母様は?」
男「鬼ごっこ」
女「ああ…なるほど」
女「答えは出たのか?」
男「なんの?」
女「宿題だ」
男「んー、ぼんやり」
女「そうか」
男「疑わないのか?」
女「お前が出した結論に私は異論はない」
男「そっか…」
女「後1日…か」
男「・・・」
988: 1:2012/8/23(木) 23:41:06 ID:z0U8ZQhYEg
翌日
父「三日間、お世話になりました」
主人「いえいえ、こちらこそご迷惑をお掛けして…」
父「もういいですよ」
主人「本当にすみません」
兄「三日間、色々あったけどまあ、楽しかったよ」
男「そいつは良かった」
兄「また来てくれるか?」
女「気が向いたらな」
兄「こりゃ手厳しい」
兄「男!!」
男「ん?」
兄「女ちゃんを大事にしろよ!!」
男「・・・おう!!」
父「それでは」
主人「ご利用、ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」
兄「またなー!!」
989: 1:2012/8/23(木) 23:48:01 ID:z0U8ZQhYEg
車内
父「色々あったけど、楽しかったね」
母「うん♪お土産もいっぱい買ったし、満足♪」
男「そいやお前って土産を家に買った?」
女「土産話で十分だ」
男「・・・お前な」
母「二人ともー、撮った写真を何枚か現像するんだけど、好きなの選んでー」
男「母さん結構撮ってたからな…どれどれ」
女「いい写真だらけですね。困ってしまいます」
男「おい、なんだこれ」
母「夜に撮ったのよ、一緒に寝てるなんて本当に仲良しなんだから」
男「確か、この日は別々の布団で寝たはずだが?」
女「気のせいだ」
男「何布団にもぐりこんでんだてめー!!」
990: 1:2012/8/23(木) 23:53:00 ID:Q2PfZzGuiU
家
父「皆、着いたよ」
母「んー!!三日ぶりの我が家!!」
男「んな、懐かしがる事か?」
母「女ちゃん。三日間お疲れ様」
女「いえ、私も楽しむ事が出来ましたし、同行できて本当に良かったです…それと、あの」
母「例の写真ね、大丈夫!!現像したら真っ先に渡すから!!」
男「おい、例の写真ってなんだ」
女「ありがとうございます」
男「おい、例の写真」
母「宝物になっちゃうかもね〜」
男「おい」
女「それでは、私はこれで失礼いたします」
母「大丈夫?男君を送らせようか?」
女「いえ、お気遣いなく」
991: 1:2012/8/23(木) 23:55:55 ID:z0U8ZQhYEg
男「あー、なんか…母さんの言ってた事がわかった気がする…」
母「でしょー!?部屋に入ったらいよいよ大きくなるんだから!!」
父「えーと、これと…これと…」
男「父さんなにしてんの?」
父「女さんのご家族へのお土産」
男「しっかり買ってたんだな」
父「まあね、僕は渡してくるから…男君」
男「ん?」
父「頑張るんだよ」
母「・・・」
男「・・・あー」
男「了解」
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