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チーム:ハリュー【出会い】
[8] -25 -50 

1:🎏 名無しですが何か?:2012/3/4(日) 10:56:44 ID:1lvOPQUkic
お題【出会い】

下記の順番でお願いします。

◆WfagbE5V86
ゆこ ◆Ryuko..Wy.
繭 ◆TFyL7CT/Mk
龍 ◆RYU....FU.
すに ◆cjb8xYwtrY

>>1-10 >>11-20 >>21-30 >>31-40 >>41-50


31:🎏 すに ◆cjb8xYwtrY:2012/3/14(水) 10:10:41 ID:MvIrjkqYcM
祖母「2人とも、お茶菓子の用意が出来ましたよ」

彼女のおばあさんは温かい緑茶と芋羊羹を出してくれた。

俺「ありがとうございます。いただきます」

快くサービスを受けながら、俺はどうしたら良いものかと思考を巡らせていた。

彼女の家庭事情は複雑過ぎる。他人の俺で助けになるのだろうか…。

祖母「さて、今日はどうしたの?何か用があって来たんでしょう?」

彼女「ううん、特に用事は無いよ。おばあちゃん元気にしてるかなあって思って。今日は友達も一緒なんだ」

祖母「そう」

彼女とおばあさんがにこやかに会話を進める中、俺はそれを観察する。

一見普通のおばあさん、だよな。凄くお金持ちなところと叔父さんが居る以外全くもって普通だ。

ピーンポーン

突然インターホンが鳴った。おばあさんは僅かにうんざりした表情で立ち上がり、モニター越しに受話器を取る。

祖母「あら、あなたまた来たの?」

?『奥様!何かお変わりありませんか!?』

祖母「昨日も無いって言ったでしょう?大丈夫よ。そんな毎日様子見に来なくても平気。あなたこそ毎日来て大変ね」

?『奥様に万が一のことがあれば旦那様に合わせる顔がありません』

祖母「夫はもう9年も前に亡くなったのよ。いつまでも私の面倒なんて見なくていいの」

俺「ねえ、相手の人って…」

俺は小声で彼女に訊ねた。

彼女「きっと会社で雇っているボディガードね。毎日様子を見に来るみたい。年を取っているから余計に心配なんじゃないかしら」

続けて彼女が喋り出す。

彼女「会社を引き継いだ父の弟である叔父さんも、心配で毎日来させているんじゃないかしら」

そうだよな、財産もまだまだあるみたいだし、そりゃあ心配にもなる。ましてやご老体だ。

ボディガード『しかし御子息もとても心配なさっていて…!』

祖母「なら伝えて頂戴。私は元気だから、心配なんかしてないで仕事頑張りなさいって」

ボディガード『しかし奥様…』
32:🎏 龍 ◆RYU....FU.:2012/3/16(金) 07:08:47 ID:1lvOPQUkic
祖母はボディーガードと話し込んでいる。
いまのうちに叔父となんとか話せないだろうか。
彼女を連れて行くのは気が引けたので、彼女にトイレへ行ってくると告げた。

部屋の気配を探りながら歩いていると、人の気配がしたのでトイレを聞く振りでもしようと襖を開けた。

俺「あ、申し訳ないです。トイレがわからなくなってしまって」

叔父「……」

ジッとこちらを観察するように見た後、顔を背けて無視をされた。
感じが悪い男だ……。

俺「彼女さんの母方の叔父さんですよね?話は聞いてました。友人の俺です。よろしくお願いします。」

叔父「……」

俺「母方の叔父さんなのに父方の祖母と同居しているんですね。何か理由でもあるんですか?」

さすがにこれはまずかったか。
叔父の足が貧乏揺すりの様にカタカタ揺れ苛立っている様に感じた。
さすがに空気に耐えられず、トイレへ向かい作戦を練ることにした。

トイレへ向かおうと後ろを振り返ったが……






ガスッ






後ろを振り返った後すぐに叔父のいた方向から後頭部に鈍い感触と共に……

かすかな音だが脳内では大きく響き渡り俺は気を失った。
33:🎏 すに ◆cjb8xYwtrY:2012/3/16(金) 19:01:22 ID:e87X55SWVs


遅い…遅過ぎる…。

彼がトイレに立ってからもう15分が経つのに、未だ帰ってくる気配がない。広い家だけれど、トイレにそんなに時間は掛からないはず。

「お友達遅いわねぇ」

ボディーガードをうまく追い返した祖母も心配なようだ。

「ちょっと私見て来るね」

私は不安になって彼を探しに立った。


…居ない。

トイレの前まで来たが明かりは点いていない。一体どこに行ったの。

そういえば彼はトイレの場所を聞かないで行った。
そこまで考えてはっとした。
まさか…あいつに会いに行ったの…?

急に不安になった。あいつと彼が二人きりで無事なんて保証は無い。あいつは何をするか分からないもの。早く見つけなきゃ。

少々長い廊下を早足で進みながら、面している部屋を一つ一つ見て行った。

突き当たりの部屋に人の足が見えた。
彼かもしれない…!
急いで入ると案の定彼が倒れていた。

居た…!

側に駆け寄り揺すってみるが、起きない。もう一度揺すってみると苦しそうな顔をして彼は目を覚ました。

「いったっ…」

頭を抑えて起き上がろうとするのですかさず支える。

「一体どうしたんですか!?」

「それが…」

「俺だよ」

優しい声が聞こえて振り返ると、そこにはあいつが居た。

「久しぶりだね姪っ子ちゃん。また美人になったね。それはそうと、ずっと気になってたんだよ。その男はだあれ?」
34:🎏 ゆこ ◆Ryuko..Wy.:2012/3/16(金) 23:07:52 ID:1lvOPQUkic


俺「あんた、なにが目的なんだ?」

後頭部がズキズキと痛む。状況さえ許してくれるなら、とりあえず布団でも敷いてもらって横になりたい。
タンコブだけじゃ済まないだろーなと思いながら患部に手をやると、ぬちゃりとした不愉快な感触。
手を見ると血が付着していた。まぁこの程度なら問題ない。頭部は血がよく出るものだ。

叔父「目的?それは俺が聞きたいね。そうだろう?ここは俺の住まいであって、得体の知れない男が俺の住まいを探り歩いている」
俺「探り歩くなんて・・・」

彼女は一瞬俺に視線をやったが、すぐにまた冷たい目を叔父に向けた。

彼女「『俺の住まい』なんてどの口が言ってるの?ここはアンタの出入りしていい場所じゃない。出てって」

言い終わるやいなや、俺の手を引いて客間のほうへズンズンと歩いて行く彼女。
叔父「あー姪っ子ちゃん、あの話考えといてね。いい返事期待してるよ」
背後から追ってきた叔父の声が、彼女の手に力をこめさせた。ちょっと痛い。いや結構痛い。


_________________

祖母「あらあらあらあら。どうしたのその怪我は」
俺「いや、ちょっと転んでしまってハハハ」

おばあさんに傷口を消毒してもらいながら横目で彼女の様子を伺うが、何を思っているのかは全く読めない。
あの話とはなんだろうか。

おばあさんが薬箱を片付けに部屋を出て行ったとき、言うべきかと逡巡していた言葉を思わず吐き出してしまった。
それはきっと、叔父に殴られたことで俺は「糸が見える仲間」から「彼女の抱える問題の関係者」へとジョブチェンジしたと意識できたからだと思う。
もっと足を踏み入れていいはずだ。彼女の悩みを共有する権利があるはずだ。そう思った。

俺「おばあさん、糸ないんだけど」


彼女「え?」
俺「叔父さんにも、糸なんてなかった」
彼女「なにを言って・・・あの二人は赤い糸で繋がってるじゃない!嘘つかないで」


目に涙を溜めながら真っ直ぐに俺を見据える彼女。彼女が嘘をついていないことがわかる。
でも、俺も嘘はついていない。俺たちの見える糸には違いがあるのかもしれない。

俺「叔父さんの言っていた『あの話』とは?」
彼女「言ったでしょう、叔父は金に汚い男だって。私に、よ... 祖母「あなたは心配しなくていいの」

彼女の言葉を遮るように、いつの間にか部屋に戻って来ていたおばあさんが、少し大きな、そして反論を許さない響きを持った声で制した。


35:🎏 繭 ◆TFyL7CT/Mk:2012/3/17(土) 23:39:07 ID:P2/yVcR/xs



「心配しなくていいから、今日はもうゆっくりなさい。友人さんも、今日はどうぞお泊りになってくださいな」

「あ、いえ俺はお暇させて頂こうかと…」

「そう? でも今から帰ると時間も遅いし、お夕飯も大変でしょう?」

嬉しい申し出ではあるものの、何となく居座ってしまうのは色々とよくないと感じた。
特に、さっきのこともある。
もちろん、お祖母さんにはいえないから察してくれたらしい彼女と一緒にお暇することになった。

俺たちを見送るお祖母さんのまた来てね、という声に柔らかく笑っている彼女をチラリと見た。
本当にあの叔父はなんだったのか、と妙な不安も覚えるが考えても分からない。
見送りに顔を出すこともなく、あの後一切顔を見なかったのでとりあえずは気にしないことにした。


***


帰り道、相変わらず自分には見えない彼女の叔父と祖母を繋いでいるという小指の糸。
彼女と俺に見えてる糸の違いが、一体何なのかが気になっていた。
祖父母を繋いでいたのに、離れて全く関係ない男とつながってしまった糸とは一体…。

しかし、考えてもみれば最初からそんなことは頭になかったわけだ。
お互いの糸が見えるという情報は、あくまでも自分の目に写ってる糸がどうということしか分からないのだから。
きっとこんなふうに直接的に見る機会がなければ、気づかないまま過ごしていたような気もするし。


俺「一つ、確かめてみないか?」

彼女「…何を?」

俺「気になってたから……同じ人の小指を見て、糸があるかないかを確かめるんだ」

彼女はしばらく俺の言葉を頭で考えているらしい。
少しすると、お祖母さんの家で俺たちの見える糸に違いがあるということを思い出したらしく頷いてくれた。


俺「じゃ、えーっと……あっちの人から」

俺が指を差した方向を見た彼女が、俺の指差した人の左手を見つめていた。
36:🎏 すに ◆cjb8xYwtrY:2012/3/19(月) 12:14:03 ID:e87X55SWVs
彼女「あります」
俺「うん俺にも見える」
続けて隣の人を指差す。
彼女「この人もある」
俺「俺も見える」

そうして何人か調べたが、結果は一つ残らず一致した。全員「ある」これは何百人、何千人調査しても結果は同じかもしれないな。ふとある疑問が浮かんだ俺は、それを確かめるべくして必要な道具を買う為に百円ショップに向かった。

彼女「一体何を買うんですか?」
俺「うん、ちょっと知りたいことがあって」

全く答えになっていなかった。俺は目当ての商品を素早く買ってしまうと、その場で開封し始めた。

彼女「紙と…色鉛筆?」
俺「そう見ての通り紙と色鉛筆!」

俺と彼女、同時に使うので2セット用意した。

彼女「描けと…?」
俺「こりゃ話が早い」

俺がおどけて言うと、彼女はまあ良い提案ですねと微笑んで準備をしてくれた。俺がよしじゃあ目の前のレジの人と言うと彼女は無言で描き始めた。俺も倣って描き始める。

俺「…まじか」
彼女「嘘…」

完成した絵を見て二人とも驚いた。同じものを見ていたと思っていたけれど、彼女が見ているものは俺とは大きく異なっていた。

俺「糸が…二つ?赤と…青?」

これでは何人調査しても分からないはずだ。あんな『あるかないか』だけの調査なんかでは。

彼女「あなた…見えないの?あの青い糸が見えないの?」

驚きのあまり敬語が無くなっているよ。そんなツッコミをする余裕すらない程俺も吃驚していた。

俺「青い糸ってなんだよ!?」

冷静でいられなかった。今まで見ていたものが全てだと思っていたのに。それだけじゃないんだと知らされて、まるで高い塀に囲まれた巨大迷路に迷い込んでしまったような不安を覚えた。

彼女「多分…その人の死の原因に最も関わる人と繋がってる」
俺「死の原因…?」
彼女「中には青い糸がない人が居るんです。きっとその人は、寿命をまっとうして死ぬ人」
俺「病気の人は…?」
彼女「医者と繋がっていることが多いです。だから医者の方は指が見えないくらい沢山の糸が絡んで…なんだか見ていられないです」
彼女「私9年前、叔父と祖母は赤い糸で繋がったと思ってました。でも違った。今日見たら青い糸でした」
俺「…ということは」

彼女は頷くように俯いて、押し殺したような、泣きそうな、そんな声で言った。

彼女「あいつにおばあちゃんを殺させない…」
37:🎏 ◆WfagbE5V86:2012/3/19(月) 17:34:43 ID:Q.qnbvRKxQ

と言ってもまだ確定ではない。青い糸が繋がっているという事は叔父に祖母を殺すという意志があり、また殺せる力があると言うこと。そしてもう1つの可能性。

彼女「おばあちゃんを守る…絶対…」

………とてもじゃないが言い出せない。

彼女「捻って…縛って…裂いて…2つ共二度と使い物にならないようにしてやる…いや、いっそのこと引きちぎる…?」

いやいやいや物騒過ぎんだろ!殺人より危ないというか今度は君から青い糸が叔父にのびるよ!それに何故視線が下にあるんだ!

俺「………」

何やら下っ腹周りに彼女の殺気を感じる。具体的にこれ以上どことは言えない。

俺「と、にかく…今日はこの辺でいいですよ」

彼女「…握り潰して……え!?あ、そうですね…でも、念のため駅まで一緒しますよ。ほら、どうせ見えてますし」

店の窓からは確かに駅がみえている。案外近くだったようだ。あとどうでもいいのかよくないのかわからないが彼女は些か発想が物騒だ。口も悪いし。
まあその辺の生い立ちは後々知るとしよう。


店をでて並んで歩きだす。お互いに会話は無い。話すには二人共混乱しているし、正直今の彼女をあんまり刺激したくない。若干ピンチだし。いやいやどことは言わないよ?

そしてなんやかんやで駅の前につく。よくやった、俺。

彼女「今日は色々ありがとうございました
またわかったことあったらメールしますね」

俺「わかりました、まってます。俺もなんかあったらメールしますんで」

挨拶もそうそうに別れる。改札を通り、電車を待つ。
待ちながら俺はさっき行きついてしまった発想について考える。

彼女には青い糸がみえている。それは死に関すること。だけど彼女にはどちらがどちらの死に関しているのかはわからない。

つまり、お祖母さんが叔父を殺す可能性もあるということ。

だけどこれはあり得ないだろう。あの性格、力、諸々考えても無理だな。

彼女には言わないでおこうと結論がでて、電車がくる。

偶然か必然か、この駅は彼女と出会ったあの駅だった。


38:🎏 ゆこ ◆Ryuko..Wy.:2012/3/19(月) 23:38:59 ID:1lvOPQUkic
車掌「当駅にて少々停車します。ご乗車になりましてお待ちください------」

電車に乗り込み、車掌の声を聞き流しながら先程の新事実について思いを巡らす。

彼女は青い糸が見えている。そしてそれは人の死に関係するらしい・・・。
今までずっと俺も彼女も「赤い糸」と言ってきた。
それで会話に支障はなかったし、俺が「赤い糸」と最初に発言したときも、糸が見えることには驚いていたようだが、その糸が赤いことには動揺した様子はなかった。

ということは、彼女は、赤も青も見えているんじゃないだろうか?
世界の人々の幸も不幸も見続ける彼女の世界は、どんなにか辛いものだろうか。

まだ開いたままのドアからホームを眺める。いくつかの路線が乗り入れる大きな駅なだけあって、たくさんの人間がせわしなく通り過ぎて行く。
そういや、人身事故があったのはここだよな。数時間前のことなのに、駅はもういつもと何も変わらない顔で・・・

------彼女と次に会ったのはどこだった?
俺の自宅最寄り駅だ。なんでそんなところにいた?
今朝の人身事故が自殺じゃなく過失あるいは他殺だったとしたら、彼女は青い糸の片割れを追っていたんじゃないか?

まさかな。考え過ぎだ。
だが、元恋人と連絡をとろうとしないことの説明はつく。彼は「青い」糸で誰かと繋がっていたんだろう。だから。。。


車掌「間もなく発車いたします。ご利用のお客様は-------」



ほんとに、いろいろありすぎた1日だったな。。。
でも、素直に帰ればいいのに電車を飛び降りちまった俺の1日はまだ終わらねぇ。。。やべ、俺テラハードボイルド。
降りたところで何をすりゃいいのかわかんねーけどな。とりあえず、ばあさんちに戻るか。戻りながら考えればいい。




結局、最前のイヤな考えが頭から離れない。

おばあさんと叔父さんとが繋がった、死を司る青い糸。どちらがどちらの死を願っているのか。
順当に考えれば叔父がおばあさんを、だろう。
だが叔父は現在おばあさんの家で何不自由ない暮らし。彼女の話を鵜呑みにするならば、おばあさんから金銭の援助も得ていると推察できる。
保険金をかけている可能性は十分にあるが、別に殺す必要はないな。自然死でも問題ないはずだ。

『あなたは心配しなくていいの』
おばあさんの言葉が脳裏に蘇る。叔父さんは彼女に何らかの話を持ちかけていて、おばあさんは孫である彼女を守ろうとする。。。か。

おばあさんと話をしてみるか。。


ようやくおばあさんの家が見えてきたころ、門前の電信柱に人影を認めた。
小柄な、長い髪。

俺「帰ったんじゃないんスか」
39:🎏 繭 ◆TFyL7CT/Mk:2012/3/20(火) 16:18:23 ID:mGQ5RRjDh2

俺が声をかけると、電柱からスッと思った通りの姿が出てきた。

彼女「…ええ、もちろん帰ろうと思いましたよ」

彼女であったことに安堵すべきなのか、何故彼女もここにいるのかと問い詰めるべきなのかは判断しかねる。

彼女「でも、面倒くさい貴方の性格からいうと……糸のことを気にして、戻ってくるんじゃないかって」

当たりだったみたいですね、といつもの様子で近づいてくる彼女に不穏な気配は感じられなかった。
しかし、昼間から引っ掛かっていたことも考えると彼女の意思を汲み取るのは難しい。なにせ彼女からすれば大事な身内だ、不審な叔父はともかく。

未だに嫌な予感は拭えない、彼女には糸が繋がっていないなら彼女が何かすることはないだろう。
……一か八かだが、思い切って彼女に伝えてみようと思った。単なる知り合いから糸が見える仲間と呼んでくれた彼女なら、信じられるから。

「……こんなことを君に言うのも失礼かと思うけど、お祖母さんが叔父さんを殺すかも知れないと思ったんだ」

「……どうしてそんなこと思うんですか? 普通なら、逆でしょう?」

「お祖母さんは、君を叔父さんから守ろうとしてるように感じる」

彼女は黙っていた。視線を逸らすことも無く真剣な瞳で見つめられると、こちらも同じく黙ってしまいそうになるがそれでは進まない。

「もしかすると…君が見た青い糸が繋がった最初は本当に叔父さんの殺意から糸が繋がったのかも知れない。でも…今は君に危険が及ばないようにと考えたお祖母さんが叔父さんを殺そうとしてる」

「だから、確かめに?」

「あぁ……君と叔父さんの間に何があったのかは分からないけど、あの人(叔父さん)は少しおかしかったように思うから」

俺の返事に彼女は軽く俯いてから小さく頭を振る。諦めと悔しさが複雑に混じった、彼女からの返事だった。


「…あの卑劣な叔父のことなら、お祖母ちゃんはちゃんと分かってます」

「……え?」

「お祖母ちゃんがいなかったら、私が今頃あの叔父にどうされていたか分からない」

「それって…」

彼女は顔を上げて頬を伝う涙も気にせずに軽く笑った。どういうことなのか、一気に不安が押し寄せる。


「もう、遅いかも」


40:🎏 龍 ◆RYU....FU.:2012/3/20(火) 18:14:47 ID:1lvOPQUkic
不安と言う感覚が背中から頭に一直線に走る。
毛が逆立つような感覚にザワザワし、叔父がいた部屋まで走った。




そこには血だらけの叔父が倒れていた。

近くに祖母が座り込んで、目は遠くを見ていた。

俺「祖母さん……。こ、これは……。」

祖母「仕方なかったのよ。あの子を、"麻衣"を守る為に……。後悔はしてないわ」

もしや殺…え、彼女は麻衣と言うのか……と思った瞬間ッ!!!
今、なんて!?麻衣?麻衣と言ったのかッ!!!

繋がった、俺の中で彼女と繋がった。
今まで俺しか見えてないと思ってた糸が、初めて見えるという彼女と出会い……。
彼女の母が養子、そして俺と彼女だけ見える事に何故気づかなかったのか。



そうか……彼女は……いや、麻衣は俺の従……。



ドンッ



ん?何かが背中にぶつかった、後ろを振り向くと彼女がいた。

俺「あ、君は、いや、麻衣のお母さんのいた施設って……」

混乱の中、独り言の様に呟いているのか彼女に聞いているのかわからない状態で話しかけたが、
何か背中が熱い。

手を触れて見るとヌルリと気持ち悪い感触が。

赤い……糸の様に…真っ赤な色に染まった手……。

彼女「お、おばあちゃんを守らないと。し、知られちゃいけない。」



俺は倒れ、お風呂の中にいるように温かく感じながら、彼女のガタガタと震え真っ青な顔を見ながら、
次第に凍える様に寒くなり、深い…深い…闇へ意識が落ちていった……。
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名前:
sage:


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