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ダンガンロンパ・フェイク
[8] -25 -50 

1:🎏 :2013/7/4(木) 01:04:59 ID:GdDqM49c02
モノクマ「えー、このスレを開いたオマエラ、ボクは学園長のモノクマです」

モノクマ「皆さんにボクの学園がどんなに愉快か知ってもらおうと思ってスレ立てしました!」

モノクマ「スレタイの通り、原作とは違う偽物なんだけどね!うぷぷぷぷ!」

モノクマ「そうそう、入学の際には>>2を読んでからお願いします。守れない生徒にはおしおきしちゃうぞー!クマー!」


2:🎏 :2013/7/4(木) 01:06:24 ID:GdDqM49c02
モノクマ「はい、ちゃんと読んでくれてるみたいですね。ボクは嬉しいです!」

モノクマ「ゆとりのオマエラでもこれくらいは出来るんだね!見直しちゃったよ!」

モノクマ「さてと、それじゃあ学園長のボクから重要なお知らせをするよ」

モノクマ「このSSはゲーム、ダンガンロンパの二次創作なんだよね」

モノクマ「ゆとりの素人がオリキャラなんかでやっちゃった、痛ーいSSだよ!うぷぷぷぷ!」

モノクマ「オリキャラでやっちゃうような、原作とは関係ない痛いだけの偽物だからスレタイがフェイクなんだよ」

モノクマ「それでね、このゲーム、公式で第一章より後のネタバレは禁止してるんだよ」

モノクマ「アニメがどうなるか知らないけど、とりあえずゲームの方はネタバレ厳禁なのです」

モノクマ「だからネタバレOKの第一章までの情報で作ってるから、謎なんかも最後まで解けないんです」

モノクマ「謎が解けないまま終わるとか、最低のSSだよね!誰が読むんだろうね、こんなの!」

モノクマ「あ、でもゆとりのオマエラにはこれでいいかもね!女の子でハアハアできればいいだけだもんね!白いの出したいだけだもんね!」

モノクマ「それはいいとして、そんな偽物で胸糞でグロいだけのオマエラ用SSがこのスレなのです!」

モノクマ「オマエラの中で、ボクはこんな低俗なSSで楽しめるほど安い人間じゃないぞ!と強がりたい生徒がいましたら、帰った方がいいんじゃないでしょうか?」

モノクマ「あと支援なり批判なりのレスがあっても、ボクは特に関与しません。過度な介入をしないで生徒の自立を促す、立派な学園長だね!」

モノクマ「そんな感じなんでヨロシク!ちゃんと忠告までしてあげるボクってどこまで優しいんだろうね!」

モノクマ「……残ったオマエラは入学希望ってことでいいんだね?」

モノクマ「それじゃあ学園生活を楽しむために、残ったオマエラは[#]次20を押して、本編に進んでください」

モノクマ「愉快な学園生活を楽しんでくださいね!うぷぷぷぷ!」
3:🎏 :2013/7/4(木) 01:07:42 ID:GdDqM49c02
希望ヶ峰学園って知ってるか?
あらゆる分野の超一流高校生を集めて育てようっていう超エリート校だ。
この学園を卒業すれば、人生において成功したも同然……そんなレベルのとんでも学園だ。

そんな学園に入るための条件ってのが二つある。
「現役の高校生であること」
「各分野において超一流であること」
この二つの条件がクリアできれば、入試なんかすっとばして、学園側からスカウトされるってわけだ。

希望ヶ峰学園のエリートたる所以を教えてやったわけだが、そんな学園にこの度俺の入学が決まった。
4:🎏 :2013/7/4(木) 01:08:40 ID:GdDqM49c02
そんな学園からスカウトされる俺って凄いと思うか?
凄くねえんだな、これが。
希望ヶ峰学園に間もなく仲間入りするこの俺、左雨瑞樹(ささめみずき)の超一流部分を教えてやったら皆も同意出来ると思うぜ。
俺がスカウトされた理由である超一流の部分……それは「超高校級の貧乏くじ」である。

……確かに幼少の頃から俺の人生は面倒事で成形されていた。
家族から、友達から、果てには見知らぬ誰かから、あらゆる面倒事を頼まれたり押し付けられてきた。
それに応えたところで報酬や好感度アップはなく、ただただ疲れて終わるだけ。
そんな人生を謳歌して、俺はついてないだけの一般人だと思ってきた。だが、希望ヶ峰学園からすれば、それは違うみたいだ。
何と言っても「超高校級の貧乏くじ」としてスカウトしてくるくらいだからな。

我ながら思う。そんなの育てて何になるんだ?
5:🎏 :2013/7/4(木) 01:10:01 ID:GdDqM49c02
こんな肩書きを引っ提げて入学するのも如何なものかと思うが、先ほど言った通り、この学園を卒業することは大きなステータスとなる。
だったら笑い者になっても構わねえ。この才能を存分に活かして人生をバラ色にしてやろうじゃないか。

そんな思惑の下、今の俺は噂の学園の門の前に立っているのである。
バカでけえ学園だ。エリート様の学園はでかさもエリートってか。そんなエリートに今日から俺も仲間入りするんだ。
入学生は玄関ホールに朝8時集合となっているそうだ。いつまでも門前で臆してるわけにはいかねえしな。そろそろ入るとするか。
6:🎏 :2013/7/4(木) 01:11:08 ID:GdDqM49c02
……後から思うのは、入学なんてするんじゃなかったってことだな。
人生に後出しなんてないが、俺の場合はある程度予想できるんだよ。
何せ、誰かからの誘いなんて厄介事でしかねえんだから。俺は超高校級の貧乏くじなんだぜ?
誰かの誘いごとや頼みごとに応じて良い結果になったことなんてありゃしねえ。
そんな不運な俺が、わざわざスカウトされたんだ。行先はバラ色の人生なんかではなく、めんどくせえトラブルだと疑うべきだった。
一瞬だけ浮かれて不注意になったせいで……

俺は最低な猟奇的生活に巻き込まれちまったんだ。

プロローグ
「門の向こうは、最低の檻でした」
7:🎏 :2013/7/5(金) 00:40:58 ID:GdDqM49c02
「……ん?ここは……」

気がつくと俺は机に突っ伏して寝ていた。顔を上げると黒板やらが映り込み、教室で寝ていたことを俺に把握させた。
何だこれ?俺は玄関ホールに向かったはずだが。まさかあれは全部夢か?
いや、でもこの教室自体見覚えがない。うちの学校ではないのは確かだし、もしかしたら希望ヶ峰学園の一室かもしれない。
でも、何でだ?門から入った直後からここまでの記憶がすっぽ抜けて、いきなり教室にいるとか意味がわからん。
くそ、本当にわけがわからん。誰か人はいないのか?ていうか情報はないのか?本当にここは希望ヶ峰学園でいいのか?
8:🎏 :2013/7/5(金) 00:42:40 ID:GdDqM49c02
教室を見回して思うのは、その特異な光景が不安感を煽っていい気がしねえ。
まず、監視カメラが設置されている。まあでも金持ちのエリート校としては、防犯の意識の高さとして当然なのかもしれない。俺は平凡な学校の出だから詳しく知らんけどな。
しかし、特異な光景ってのはそれだけじゃねえ。
教室の側面にある窓、それらが鉄板で打ち付けられているのだ。
開けようとしてみても、うんともすんとも言わない。叩いてみてもびくともしない。鉄板だから当然外も見えねえ。
もはや窓としては微塵も機能してなく、完全に外の光を遮っている。この部屋を照らしているのは電気照明だけだ。
なんだか外部と切り離されて閉じ込められたようで、俺の不安は増すばかりだ。
9:🎏 :2013/7/5(金) 00:43:43 ID:GdDqM49c02
「くそ!何なんだよ!」

行儀悪く机を蹴っとばした。わりいのはわかってるんだが、こっちも錯乱してるんだ。勘弁してくれ。
勢いよく机が倒れると、引き出しのとこからひらひらと一枚の紙切れが舞った。
地に落ちたそれを拾って見てみると、次のようなことが書いてあった。

入学案内
新しい学期が始まりました
心機一転、これからは、この学園内がオマエラの新しい世界となります

……なんだこれ。オマエラって……もうちょい言葉遣いどうにかならんかったのか?
10:🎏 :2013/7/5(金) 00:45:19 ID:GdDqM49c02
怪しさは拭えないが、一応ここは希望ヶ峰学園ってことでいいのだろうか。
見知らぬ教室に、入学案内。一応は断定できそうな情報が揃ったしな。両方とも異和感たっぷりだが。
気が付いたらここにいたっていう謎は謎のままだが、まあエリート校に気圧された俺が気絶して、ここに運ばれたのかもしれない。
自分で言ってて無理があるとは思うけど、そうでもしないと説明つかないしな。

時計に目をやる。二つの針が8時であると示している。

「やべ、皆もう集まってるかな?」

とりあえず俺は教室を出ることにした。じっとしてても始まらないしな。
11:🎏 :2013/7/5(金) 00:47:45 ID:GdDqM49c02
教室を出ると、豪勢な廊下が俺を出迎えた。さすがはエリート校。構造からして違うな。
だけど俺は廊下にも不安を覚えた。何でだろう……なんか不気味に感じる。配色が紫だったりなんだったり……普通の廊下の色じゃないからか?
ただ、根拠は微塵もないのだが、それが不安の原因ではないような気がした。
しかし根拠がないのだ。自分にただの気のせいだと言い聞かせながら、俺は玄関ホールを探して歩き出した。

「……ここか?」

どうにか玄関ホールと思われる場所に辿り着くと、そこには多くの人影があった。
何人かは知ってる奴もいるからわかる。彼らは希望ヶ峰学園に入学する超高校級の生徒達である。
12:🎏 :2013/7/5(金) 00:49:00 ID:GdDqM49c02
「お前も新入生か?」
坊主頭の細マッチョが俺に問いかける。雑誌か何かで見たことあるはずだけど、実物と対面するとオーラが違うなって思う。
この坊主頭に限らず、皆が皆凄いオーラを醸し出している。ぶっちゃけ圧倒されてしまいそうだ。

「ああ、そうだ。……どうやら俺が最後のようだな」
ほとんど凡人みたいなもんである俺だが、気圧されてはいけない。こういうのは最初が肝心だからな。
自分なりに大物ぶって返したわけだが、それに関して特に反応がなくって少しさびしい。
ていうか、さびしいとか思ってる場合じゃねえ。一番最後で遅れてきたわけだし、ここはちょっと謝っといた方がいいかもしれない。
13:🎏 :2013/7/5(金) 00:50:10 ID:GdDqM49c02
「俺は左雨瑞樹だ。悪い、何故だか校内で寝ていたようでな。遅れてしまったよ」と俺が言えば。
「あれ、君もそうなんだー?」とデブが言い。
「ほんまけったいな話やな。どないなっとんねん、これ!」と関西弁女が続く。

ちょっと待ってくれ。君もそうって、何がそうなんだよ?
俺がそれを問おうとしたその時、活発そうな女が割って入ってきた。

「ちょっと待ってよ!左雨くん、今来たばっかりなんだから、改めて自己紹介しよう!お互いのことがわからないと話し合いも出来ないよ!」

超高校級達はそれに応じ、かくして遅れてきた俺のために自己紹介が始まるのだった。……なんか申し訳ない。
14:🎏 :2013/7/6(土) 01:14:44 ID:GdDqM49c02
「言いだしっぺだし、私からいくね!私は本田川佑子!よろしくね!」

本田川佑子(ほんだがわゆうこ)……超高校級のサッカー選手である活発な女の子だ。
未来のなでしこ候補とかいう感じでテレビで見たことがある。何でも、ずば抜けてサッカーがうまいんだと。
ポジションは基本MFとのことだが、実際どこでも守れるそうだ。攻守に渡って活躍できる選手だそうで、日本の女子サッカー界の未来は彼女にかかってる、なんてこともよく聞く。
日本のサッカーは男女ともにレベルが上がって来てる。日本代表の世界的地位をいよいよ確固たるものにするためには重要な存在だと言えるのだろう。
俺とは違って確実に日本に貢献する逸材だろう。メダルも夢じゃないだろう。そう考えると、すごいのを前にしてるんだなって緊張してきた。

「あはは、私は単なるサッカー馬鹿だから!そんなに緊張しなくていいよ!」

……見抜かれてるし。一流のスポーツ選手は相手の心境とかもある程度読めるのかよ。
15:🎏 :2013/7/6(土) 01:15:47 ID:GdDqM49c02
「よっしゃ次はうちやな!うちは場明日虎美や!よろしゅうな」

場明日虎美(ばあすとらみ)……超高校級の阪神ファンの女子だそうだ。
こいつは知らないなって思ってたけど、知るわけねえだろ。ていうか、そんなんありかよ。
とか言いながら、俺も俺で超高校級の貧乏くじだった。人のことは言えねえな。
まあそれはともかく。とにかく野球の阪神が大好きらしい。
阪神好きが高じて、野球も詳しくなり、独特の観点で綴るブログが有名になって、野球本として発売されるまでになったそうだ。
というわけで、阪神ファンはもちろん、野球ファンの中でもけっこうな有名人らしい。何でも極めてみるもんだな。

「左雨も野球見る時は阪神の応援頼むで!」

野球はそんな興味ないし、強いて言うなら俺は楽天ファンだ。残念だったな。
16:🎏 :2013/7/6(土) 01:17:14 ID:GdDqM49c02
そんな虎美の自己紹介に割って入った男がいた。
「阪神なんて野蛮なチームなんか応援する必要はない。野球は我が読売巨人軍の試合を見ればいいんだ」

こんなことを言い出したこの男の名は、黒魔帝兎(くろまてぃうさぎ)というらしい。こちらは超高校級の巨人ファンだそうで。
こちらもこちらでブログ等を通じて野球ファンの間じゃ有名人らしい。ライバル球団ということで虎美とは衝突を繰り返しているようだ。
兎の場合は男性であることを活かして実際に巨人入団を企んでいるらしい。愛するがあまり自分もそこに加わりたいと願っているそうだ。
だが、この男は超高校級の巨人ファンであって、超高校級の野球選手ではない。その実力はスカウトの御眼鏡に適うものではないみたいだ。
残念だったな兎。大人しくファンの一人でいることだ。

「なんやねん、自分!成金球団はだまっとれや!」
「そういう御宅も最近は補強に夢中のようだが?まったく若手がかわいそうだよ」

はいはいごちそうさまです。
17:🎏 :2013/7/6(土) 01:18:25 ID:GdDqM49c02
野球バカが痴話喧嘩を始めたので、無視して他の奴の自己紹介に耳を傾ける。

「俺は中村闘球っていうんだ。ラガーマンで、ポジションはスクラムハーフだ」

中村闘球(なかむらとうきゅう)……超高校級のラガーマンとのことだ。
ラグビーというスポーツは日本じゃあまりメジャーじゃないが、それでも俺はこの坊主頭の細マッチョを知っている。
何でも既に世界で戦える技術を持っており、その将来に期待されてると言うことで、雑誌か何かで特集されているのを見たことがある。
あとは成長に伴ってフィジカルをどうにかすれば、世界に羽ばたく大器だそうだ。世界で戦う力を得るために、日本のラグビー業界はこいつの成長待ちだとか何とか。

「それにしても、ラガーマンっていうくらいだから、もっと大柄なのを想像してたけどな」
「俺はバックスで、その中でも主にパスを担うポジションだからな。体型が全てじゃないから、左雨だって今からやればスター選手になれるさ!」
「いや、俺は遠慮しとくよ……」
18:🎏 :2013/7/6(土) 01:19:36 ID:GdDqM49c02
「次は僕だねー。僕は肉丸健太っていうんだよー」

肉丸健太(にくまるけんた)……超高校級の大食いとのこと。
名は体を表す、この言葉通りの存在だ。とにかくデブだ。デブ。
最近の大食いというと細見の人物が目立つように思うが、そういう最近の傾向に逆らうように、大柄な大食い野郎を地で行くような、そんな男だ。
俺はそういう番組をあまり見ないから知らないが、大食いタレントとして既にテレビ等で活躍してるらしい。

「……ああ、左雨くんはそういう顔してたんだねー」
「何だ?視力悪いんか?じゃあメガネでもしろよ」
「メガネしちゃうと熱々の料理食べる時に曇るじゃないかー」
「……じゃあコンタクトでいいだろ」
「駄目駄目、料理は目でも楽しまなくっちゃー。僕は料理は絶対に肉眼で楽しみたいんだー」
(それは裸眼っていうんじゃないのか?)
19:🎏 :2013/7/6(土) 01:21:05 ID:GdDqM49c02
「お次は自分がいきましょう!自分は中岡笑といいます!」

中岡笑(なかおかしょう)……超高校級の芸人という男だ。
こいつは俺も見たことがある。年齢制限のないアマチュアでも参加できるお笑い大会で好成績を残していたのをテレビで見た。
俺もけっこうお笑いが好きだから、こいつはテレビで見かけることが多い。雛壇とかで大物司会者に怯まず絡んで行く姿にはけっこう好感が持てる。
ちなみに衣装は決まっているらしく、いつ見ても同じ服装をしている。ていうか、今もだ。おい、制服はどうした?

「自分にとっての征服はこれですからね!三年間、この格好を貫きますよ!」

……そうかい。まあ精々頑張ってくれ。

「駄目駄目、駄目ですよ左雨くん。せいふくの漢字ちゃうやろ!ってつっこまないと。せっかく初対面だからわかりやすくボケたのに……」

生憎だが俺は笑いを取ろうって人種じゃないんでな。ていうか、普通に俺の心を読むのをやめてくれ。
20:🎏 :2013/7/6(土) 01:22:10 ID:GdDqM49c02
「次は私ですね。私は百目鬼良子っていいます」

百目鬼良子(どうめきりょうこ)……超高校級のプロレスラーである女子だ。
プロレスラーなだけあって、けっこう体は大きく筋肉質だが、それでも顔とスタイルは整ってると言っていいだろう。ぶっちゃけけっこう綺麗だ。
ていうか、待ってくれ。確かこいつ、デビル百目鬼って名前で顔にペイントいれたあくどい奴だったはずなんだが、その割に礼儀正しくないか?

「プロレスって台本のあるエンターテイメントのショーですからね。私は今は悪役であるヒールをやってるだけですから」
「うわあ、すげえぶっちゃけたな。そういうのって言っちゃっていいのか?」
「海外の団体は台本の存在や書いてる人を公表してるとこもありますから。でも、相手の攻撃が痛いのは本当ですからね」
「痛いって知っててわざと攻撃受けたりしてんのか?」
「そうして出来あがる話に魅せられるお客様がいますから。かく言う私も魅せられた一人で、レスラーにまでなっちゃいました」

……大変な職業なんだな。
21:🎏 :2013/7/6(土) 01:23:49 ID:GdDqM49c02
「あの、私も自己紹介させていただきますね。私は白鳥輝穂と申します」

良子に続いて礼儀正しく自己紹介してくれたのが、白鳥輝穂(しらとりてるほ)だ。この子は俺も普通に知っている。俺は健全な男子学生だからな。
輝穂は超高校級の癒し系として知られている。その綺麗な容姿に落ち着いた雰囲気から放たれる癒しオーラはテレビ画面越しでも神々しい。
というのも、その癒しオーラを見込まれて芸能界にスカウトされて、今やお茶の間の人気者である。俺も彼女はチェックしてた。
肩書きはタレントになるわけだが、アイドル業や俳優業の彼女も見てみたいものだ。……歌声や演技力の程は知らんが。

「あの、皆さん凄い方ばかりで、私なんかがここにいていいのかなって思うんですけど」
「希望ヶ峰学園の仲間になったからには、皆さんの仲間として恥ずかしくないように頑張りたいと思います」
「未熟な私ですが、左雨さんさえよければ仲良くしてください。お願いします」

天使だなあ、この子は。超高校級の貧乏くじでよければ喜んで仲良くするよ。
22:🎏 :2013/7/6(土) 01:24:38 ID:GdDqM49c02
「次は俺だな。俺は水留崇。俺がこの学園に来ることになった理由は……」

勝手に自分の過去を語り始めたこの男は水留崇(みずとめたかし)というらしい。
この男はマジでまったく知らなかったのだが、過去話に付き合う過程で何者かが判明した。崇は超高校級のフラグ建築士だそうだ。
要するに、確実に俺系列の人種だ。育てたところで何になるの?っていう感じの才能。
だけどフラグ建築士ってことは、うまいこと発言や行動をコントロールすれば、望む結果を生み出せるかもしれない。
そう考えると、貧乏くじよりはいい才能って言えるのかもしれないな。くそ、俺の立場がないぜ。

「……ここだけの話だけどな、俺には恋人がいるんだ。俺、ここを卒業したら結婚するんだ」

……こいつ、この学園生活で死ぬんじゃないか?
23:🎏 :2013/7/6(土) 01:25:52 ID:GdDqM49c02
「次は私が自己紹介します。私は夜桜愛梨と申します、糞野郎」

いきなり人を糞野郎呼ばわりしたこの女は夜桜愛梨(よざくらあいり)という。
メイド服なんか着ているわけだから予想も簡単にできるわけだが、予想通り超高校級のメイドだそうだ。
しかし、超高校級のメイドのくせして、あの失言はどうなんだ?普通に謝罪ものだろ。

「ボランティアじゃないんですから、私は大金はたいて雇っていただいたご主人様にだけご奉仕致します」
「だから私を雇っていない人間共は等しく糞野郎です。その辺のゴミと同じように扱っても問題ないのです」
「逆にこんなに可愛い私なんですから皆さんがご奉仕してほしいくらいです」

糞みたいな性格だなこいつ。まあ……悔しいがマジで可愛いけどな。
24:🎏 :2013/7/6(土) 01:27:15 ID:GdDqM49c02
「次は私か。私は中後小百合っていうんだ。まあよろしく頼むよ」

中後小百合(なかうしろさゆり)……超高校級のピアニストだという女子だ。
女性のピアニストと聞くと、俺はおしとやかというか上品というか、そういう性格を想像するのだが。
小百合はフランクな感じがする。なんていうか、到底ピアノなんて扱いそうにもないような、そんな印象。
嘘つく理由なんてないだろうから本当なんだろうけど、本当にピアニストかよって疑いたくなる。
未成年だから駄目なのはわかってるが、煙草吸ってた方がよっぽど映えるような、そんな容姿だぞ。

「失礼だな。これでも本物のピアニストさ。肉丸のように分かりやすい見た目じゃなくとも、ピアノは弾けるさ」

まあ確かに、見た目で全てを決めるのはよくないか。
25:🎏 :2013/7/6(土) 01:28:01 ID:GdDqM49c02
ここまでが話の通じる奴の自己紹介だ。
あとまだ三人残ってるわけだが、こいつらはマジで話が通じない。

「自己紹介ってさっきもやっただろー!話しを聞いてないのかー!?馬鹿なのかー!」
「遅れてきた者に合わせることはない。時の流れは我々を待つことなど知らないのだからな」
「……」

それぞれの台詞がこれだ。三者とも種類は違えど自己紹介する気がないのは一緒のようだ。
これでは俺が三人のことを知ることが出来ないので、彼らについては佑子から聞きだすこととなった。
26:🎏 :2013/7/6(土) 01:30:29 ID:GdDqM49c02
「まず、髪の毛が跳ねてる女の子が相田鳥子(あいだとりこ)さん。超高校級の馬鹿なんだって。……別に悪口言ってるわけじゃないよ?」

ああ、あのアホ毛がそうか。まあ確かに馬鹿そうではある。「話し」と「話」の使い分けも出来てないっぽいし。
こいつもまた俺系列の才能だな。まあでも最近はお馬鹿タレントが活躍する時代である。
けっこう可愛いし、こいつも一応将来性はある才能なのかもしれない。

「あっちの気難しいことばっかりいってるのがキングくん。超高校級の……中二病?なんだって。よくわかんないけど」

無駄に長い髪の毛で顔が隠れつつあるあの野郎がそうか。これは初めて俺が勝てるような才能なんじゃないか?
中二病と貧乏くじなら貧乏くじの方がいいんじゃないか?中二病に将来性も糞もないだろうしな。
いや、でもその妄想力を創作に使われたら、独自の良作が出来あがるかもしれねえ。糞、俺の才能はどうしたら勝つんだ。

「……ていうか、キングって何だよ?本名じゃないだろ?本名は何て言うんだ?」
「それが……頑なに教えてくれなくて。全てを司りし王だからキングと呼べって」

うん、中二病だな。
27:🎏 :2013/7/6(土) 01:31:52 ID:GdDqM49c02
最後はあの無口な女の子についてだな。佑子、よろしく頼むぜ。

「それが……私達もよくわからないの。名前はどうにか氷室エリカ(ひむろえりか)だって聞き出せたけど、才能については……」

まあ確かに、私に構うなムードがピリピリしていて近寄りがたい。俺としては名前だけでもよく聞き出せたなって思う。
才能に関してはわからないままだが、まあ今焦らなくても後々知る機会はあるだろう。案外そのまま超高校級の無口だったりしてな。

……とまあ、こんな感じでようやく全員の紹介が終わった。自己紹介だけでけっこうなレス数を使ってしまったなあ。急がねえと。
28:🎏 :2013/7/6(土) 01:33:12 ID:GdDqM49c02
相田鳥子「話しを戻すのか!?ようやくか、長かったな!で、何の話しをしてたっけ?」

左雨瑞樹「……俺が遅れた理由を言うと、健太が君もか、みたいなことを言ったんだよ」

場明日虎美「せやねん!うちら全員な、自分みたいに寝てたんや!」

左雨瑞樹「全員って……全員、玄関ホールで気を失ったのか!?」

百目鬼良子「はい。突然気を失って……気がつけば校内で寝ていました。何故、全員が揃ってそのようなことに……」

キング「これは、世界を統べし俺への攻撃!世界転覆を狙う、第三組織の仕業に違いない……」

黒魔帝兎「お前、ちょっと黙ってろ」

中岡笑「そもそも第二組織がまだ出てきてませんからね……」

本田川佑子「とにかく、何かおかしいんだよ。全員揃って気を失うなんて、普通じゃないよ」

中後小百合「普通じゃないのはそれだけじゃないさ」

相田鳥子「あれだな!あたしのお腹が異常に減ってるのがおかしいんだ!」

肉丸健太「相田さん、ちょっと静かにしててもらっていいかなー?いつかキャンディでもあげるからさー」

相田鳥子「おー!マジでかー!?デブは良い奴だなー!」
29:🎏 :2013/7/6(土) 01:34:52 ID:GdDqM49c02
中村闘球「話を戻すけど……普通じゃないのは校内の窓だろ?」

中後小百合「そうだ。分厚い鉄板が頑丈に打ち付けられてる。これじゃまるで閉じ込められたみたいじゃないか」

夜桜愛梨「いい気はしませんね。これではご主人様に頼まれたおつかいもできません」

白鳥輝穂「それに、荷物もなくなってます。どこでなくしちゃったんでしょう?」

水留崇「おかしいのはそれだけじゃない!見ろよ、この玄関ホールを!」

水留崇「入口は窓と同様に鉄で塞がれ、天井からはガトリングのような物が設置されてるじゃないか!」

水留崇「おかしいじゃないか!何でこんなことになってるんだ!誰か助けてくれよ!」

場明日虎美「やめや!あんたが錯乱したらマジで死亡フラグやないかい!」

中村闘球「まあでも、おかしいのは本当だよな。本当に何らかの事件に巻き込まれた可能性はあるだろう」

キング「だからこれは第四組織がこの俺を狙った蛮行であり……」

場明日虎美「黙っとれや、もずくヘア!」

中岡笑「組織も新しいのになってるよ!回転率高いな!」

黒魔帝兎「……とにかく、俺達は事件に巻き込まれ、閉じ込められてる可能性がある。各々、警戒しておくことだな」

相田鳥子「ふむふむ……要するにどういうことだー!?」

左雨瑞樹「今まとめたところだろ……」
30:🎏 :2013/7/6(土) 01:36:14 ID:GdDqM49c02
それぞれが異常な状況に気を引き締め直した、その時だった。
キーンコーンカーンコーンと、学校定番のチャイムが鳴ったかと思うと、玄関ホールに設置されているテレビが突然映り出した。
画面には砂嵐が映るだけで、他の映像は流れない。わずかに何かのシルエットがあるようにもみえるが、ぶっちゃけよくわからん。
しかし音声の方はしっかりとしており、次のような言葉が耳に届いた。

「あーあー、マイクテスッ、マイクテスッ!校内放送、校内放送……」
「聞こえてるよね?えー、では新入生の皆さん、これから入学式を行います」
「至急、体育館までお集まりくださーい!ってことで、ヨロシク!」

それは、この異常な状況には不釣り合いな、飛びぬけて明るい声だった。
普通に聞いたら安心感すら抱くような声なのだが、こんな状況では逆に不安を募るような、そんな明るさを秘める声だった。
入学式を行うことを知らせて、テレビはぷつんと切れてしまった。
31:🎏 :2013/7/6(土) 01:37:20 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「……どう思う?」

中村闘球「この状況の説明も無しに呼び出しだけか。怪しいが、従うより他はないだろう」

本田川佑子「そうだね。ちょっと怖いけど、それしかできなさそうだよ」

中後小百合「それに体育館で状況説明する可能性もあるしな。新入生への質の悪いジョークであると信じたいよ」

夜桜愛梨「そうですね。事件でも何でもない、糞野郎の糞みたいな冗談であると願いたいものです」

水留崇「何でもいい!いつまでもこんなところにいられるか!俺は体育館に行かせてもらうぞ!」

肉丸健太「素直に行くことで決定みたいだねー。じゃあ皆で行こー」

こうして不安は拭えぬまま、校内放送に則って俺達は体育館へと向かうのだった。
小百合や愛梨の言うように、センスのないジョークで迎え入れただけであると願いたいところだ。
32:🎏 :2013/7/7(日) 01:06:46 ID:GdDqM49c02
体育館に入ると、新入生の人数分だけパイプ椅子が置かれていた。

百目鬼良子「……これで殴りあえってことでしょうか?」

中岡笑「何でだよ!?普通に座るんでしょ!」

百目鬼良子「あ、そっか。すみません、職業病ってやつですね、あははは……」

という、心底どうでもいいやりとりはほっといて、だ。
入学式と考えると、至って普通の光景である。これに座って入学式をやり過ごせって、そういうことだろう。
だが俺達は、ようやく出会えたこの普通と即座に別れることになるのであった。

「ようやく集まったみたいだね。それじゃ始めるとしようか!」
校内放送の時と同じ声がした。不気味さを十二分に秘めた明るいあの声。思わず身構える。
33:🎏 :2013/7/7(日) 01:07:39 ID:GdDqM49c02
壇上の床から突然何かが発射された。それで俺は更に身構えるわけだが、その何かが襲う気配はなくて身構え損である。
上空に投げ出されたそれは、最高点まで到達すると重力に従って落下を開始し、そのまま壇上の机に着地した。
ようやく止まったそれの姿を確認して俺はこう呟いたのだった。

「……熊のぬいぐるみ?」
「ぬいぐるみじゃないよ、モノクマだよ!この学園の学園長なのだ!」

熊のぬいぐるみと思われたそれが一人で喋って、モノクマと名乗って、更には学園長なのだ。
……どういうことだ、これ?
34:🎏 :2013/7/7(日) 01:08:53 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「な、何でぬいぐるみが喋っとんねん!?」

モノクマ「だからぬいぐるみじゃないって言ってるでしょ!モノクマなのです!学園長なのです!」

場明日虎美「な、何でぬいぐるみが動いとんねん!?」

キング「これは、邪悪なるものがぬいぐるみに宿った結果だ!ということは、あの組織が動き出している……!?」

モノクマ「組織っていうか、ボクは無所属だよ!だからって、今時政治犯として二年投獄もされてないよ!」

モノクマ「プリティなクマで、オマエラの学園長!それ以上でも以下でもない、ボクはモノクマなのです!」

本田川佑子「自分でプリティと言いきっちゃうんだ……」

中後小百合「体の中心を境に左右でデザインが違ってて……何だか不気味だぞ」

モノクマ「不気味とか言うなー!ボクはせんとくん路線で売り出してるんじゃないんだぞ!失礼だクマー!」

モノクマ「まあいいや、許してあげるよ。ではでは、学園長のボクがオマエラのために入学式を始めてやります!」

黒魔帝兎「……結局お前は何者なんだよ?」

モノクマ「もー、ボクのことなんかどうでもいいじゃない!大切なのはオマエラのこれからの生活だよ!」

モノクマ「今の台詞、よくなかった?金曜八時の先生も真っ青の良い先生っぷりだよね!」

中岡笑「いいから入学式始めろよ!どんだけ脱線させんだよ!」
35:🎏 :2013/7/7(日) 01:10:02 ID:GdDqM49c02
モノクマ「えー、オマエラはその才能を見込まれてこの学園にやってきました」

モノクマ「優れた才能を誇るオマエラは世界の希望と言い切っても過言ではありません!それを預かるんだから、ボクも大切に扱わないとね!」

モノクマ「というわけで、オマエラを大切に保護するために、一生この学園内で過ごしてもらうことにしました!」

左雨瑞樹「……は?」

モノクマ「オマエラには、この学園で終わりのない共同生活をしてもらいます」

モノクマ「危険な世界からオマエラを守るには、そんな世界と切り離してしまえばいいのです!さっすがボク!あったまい〜!」

本田川佑子「ふ、ふざけないでよ!一生ここで過ごせなんて、そんな無茶が通ると思ってるの!?」

モノクマ「それが通っちゃうのです。大丈夫、予算はあるからオマエラは不自由なく過ごせるよ。安心して!」

中岡笑「……駄目ですよ学園長。そんな冗談は笑えもしませんよ」

モノクマ「冗談じゃない!ボクはいつだって正直に生きてるんだぞ!」

モノクマ「オマエラだって見たでしょ?窓とか玄関ホールとか」

モノクマ「オマエラを一生ここで生活させる準備は整っています。汚れた世界とは決別して、皆で仲良く生きていこうではないですか!」
36:🎏 :2013/7/7(日) 01:11:37 ID:GdDqM49c02
水留崇「ふざけるなよ熊野郎!誰がそんなのに従うかよ!」

水留崇「確かに窓等は鉄板で頑丈に打ち付けられてたが……そんなもん、ぶっ壊してやるよ!」

水留崇「こんなところで一生を終わらせるつもりはねえんだよ!絶対に帰ってやるからな!」

モノクマ「君は実に馬鹿だなあ。出ていくことなんて出来るわけないのに」

モノクマ「少なくとも、オマエラの力だけじゃ出ていくことはできないよ。ボクの力があればお家に帰れるけどね」

白鳥輝穂「お家に帰れるのですか?学園長はそれを許可してくれるのですか?」

モノクマ「ボクは鬼じゃなくてクマだからね。帰りたいとか出たいとか言う奴がいると思って、こんなルールをつくってあげたのです」

モノクマ「それは卒業というルールなのだ!オマエラも学生だもんね、やっぱり卒業は目指さないとね」

モノクマ「じゃあこの学園で一生を過ごさないといけないオマエラが卒業して帰るにはどうすればいいのでしょう?」

相田鳥子「どうすればいいんだー!?」

モノクマ「誰かを殺せばいいんだよ」

肉丸健太「……こ、殺す?」

モノクマ「殴殺刺殺撲殺斬殺焼殺圧殺絞殺惨殺呪殺……殺し方は問いません」

モノクマ「誰かを殺した生徒が卒業して外に出られる、単純にして明快なルールなのです!」

モノクマ「オマエラも学生なんだから卒業目指して精々努力してくださいね!」
37:🎏 :2013/7/7(日) 01:12:37 ID:GdDqM49c02
中村闘球「……なあ、そろそろふざけるのはやめないか?」

モノクマ「だからふざけてなんかないよ!これだけ真面目なクマは今時珍しいよ!」

中後小百合「馬鹿馬鹿しい。何で私達がそんな殺し合いをしなければならないんだ?」

モノクマ「何でって、強いて言うなら楽しいからかな?」

本田川佑子「た、楽しい?」

モノクマ「世界の希望と言っても過言じゃないオマエラが、殺し合って未来を奪うような絶望的シチュエーションなんて……」

モノクマ「想像だけでも興奮しちゃうよ!楽しすぎて笑いが止まらないね!うぷぷぷぷ!」

夜桜愛梨「あなただけはお金をもらってもご主人様には成り得ませんね」

夜桜愛梨「ふざけたことばかり言ってないで、さっさと私達を帰しなさい、糞野郎!」

モノクマ「……ふざけてるのはどっちだよ。出たいって言うから出れるルールをつくってあげたのにさ」

モノクマ「オマエラゆとりはちょっと現実にぶつかれば嫌だ嫌だと我儘言っちゃってさ」

モノクマ「少しは現実と戦う勇気を持てよ!人を殺せば出られる、簡単なことじゃないか!」

モノクマ「邪魔者は消してしまえばいいのです。住み心地の良い世界にしようではありませんか!」
38:🎏 :2013/7/7(日) 01:13:59 ID:GdDqM49c02
水留崇「殺せば出られるんだな?わかった」

モノクマ「おお、君は物分かりがいいね!そうです、遠慮なんて必要ない……」

モノクマ「って、ギャー!可愛い学園長の首を握りしめないでー!」

水留崇「殺せばいいんだろ?今ここで、お前を殺して外に出るっていうんだよ!」

モノクマ「人を殺せばいいんだよ!ボクはクマだし、そもそも中身は機械だし……って、何言わせるのさ!」

モノクマ「とにかく、学園長に危害を加えるのは校則違反だよ!放してー!」

水留崇「人を殺すのは法律違反だろ!犯罪に手を染める気はねえんだよ!」

モノクマ「……」ピッ・・・ピッ・・・

水留崇「急に黙ってどうした!?それとも死んだか!?機械がこれくらいで壊れることはないよなあ!」

モノクマ「……」ピッ・・・ピッ・・・

水留崇「俺は帰って彼女と結婚するんだ!今ここで、お前をぶっ殺してなあ!」

モノクマ「……」ピッピッピッ

左雨瑞樹「おい……崇、何か変な音がモノクマからしてるぞ」

水留崇「関係ない!ここで確実に仕留めるんだ!やったか!?……あっ?」
39:🎏 :2013/7/7(日) 01:15:06 ID:GdDqM49c02
崇がモノクマの首を絞め、モノクマが黙る代わりに妙な機械音を発し始めてから数秒後のことである。
モノクマから眩い光が放たれたかと思うと、次の瞬間には爆発を起こした。
崇の両手は、激しい爆発で消し飛ばされ、全身は間もなく爆炎が包み込んだ。
凄まじい光景を見せつけおいてから、それらは一旦爆発の煙で姿を消した。
煙も晴れる頃には、俺達はまた違う衝撃映像を目撃することとなった。
肘から先が消失した、人の形をして焦げてるそれ。今の流れを見てるのだから、それが何かは考えるまでもない。
……横たわる水留崇の遺体。俺達はモノクマが、崇を殺すところをしっかりと見届けてしまったのだ。
40:🎏 :2013/7/7(日) 01:16:23 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「水留くん!?いやああああ!」

中村闘球「嘘だ……嘘だよな、これ……」

モノクマ「ところがどっこい、現実なのです!」

場明日虎美「ひっ!?じ、自分、爆発したんとちゃうんか!?」

モノクマ「したよ。たぶんボクは二頭目だと思うから……」

モノクマ「モノクマは何度でも蘇るのです!だから殺そうとしたって無駄だからね!」

黒魔帝兎「校内に何体も設置されてるということか……」

中後小百合「それよりも……お前は今人を殺したんだぞ?法に触れる犯罪だ。気は確かか?」

モノクマ「確かに決まってんじゃん。それにここ希望ヶ峰学園ですから。法とか関係ありません!」

モノクマ「この学園生活では校則こそが全てです。水留くんみたいに校則違反をすると、今みたいにきっついおしおきしちゃうから気を付けてね」

モノクマ「学園内の至る所に監視カメラがあるでしょ?さらにボクも至る所に出てくるから!」

モノクマ「万全の態勢で、皆が行儀よく過ごしてくれるか見てるから、安心してね!」

夜桜愛梨「……滅茶苦茶ですね、この糞野郎は」
41:🎏 :2013/7/7(日) 01:18:29 ID:GdDqM49c02
モノクマ「入学早々に水留くんが死んじゃいましたけど、それはそれってことで」

モノクマ「最後に入学祝としてこれをオマエラにあげちゃいます」

肉丸健太「これって、生徒手帳ー?」

モノクマ「その通りです。カッコイイでしょ?」

モノクマ「電子化された生徒手帳なので、名前は電子生徒手帳なのです!」

中岡笑「まんまじゃないですか!」

モノクマ「こういうのは捻らない方がシンプルにカッコイイんだよ!」

モノクマ「この電子生徒手帳はこの学園生活において大切な物だから、大事に持っててね!モノクマからのお願いだよ!」

モノクマ「起動すると自分の名前やデータが詳しく表示されますので、確認しといてください」

モノクマ「あと、水に浸けても衝撃与えても壊れない、超高性能なのです。いわゆる秘密道具、みたいな」

モノクマ「そして何より、この学園生活の校則が載ってますので、清く正しく生活できるよう目を通しておいてください!」

中後小百合「なるほど……確かにそれは重要だ。お前から身を守るためにも、後で校則は一応見ておくとするよ」

モノクマ「むっ、嫌な言い方してくれるね。いい?共通のルールを守るから皆平和に生きていけるんだよ」

モノクマ「そんなルールを無視して、秩序を乱す者には当然罰が執行されます!そんなの常識だよね!」

中後小百合「学園長に刃向かうのが死刑であることに常識などないと思うが……」
42:🎏 :2013/7/7(日) 01:19:58 ID:GdDqM49c02
「まあとにかく、入学式は以上でおしまい!ではでは、有意義な学園生活できるように頑張ってねー!」

そう言ってモノクマは消えてしまった。
入学したら閉じ込められてて殺し合いを強要される。
まさしく意味のわからない展開ではあったが、それが嘘でも何でもなく、現実であるのはわかる。
何故かって、実際にもう死人が出ちまったんだからな。
水留崇……間違いなく俺達と一緒に生きていた彼が、目の前で命を散らした。
モノクマは本気なのだとわかる。つまり俺達は本気で選ばなければならないんだ。
殺すことなく皆とここで一生過ごすか、生きて出るために誰かを殺すか。
二つに一つだ。
最低の檻の中で腐った学園生活を強いられた俺達の絶望的な物語はこうして始まったわけだ。

プロローグ
「門の向こうは、最低の檻でした」
おしまい

生き残りメンバー:14人
43:🎏 :2013/7/9(火) 01:09:03 ID:GdDqM49c02
チャプター1
「仲間の価値は」

モノクマが消えてからしばらく経つが、俺達はその間ずっと呆然としていた。
目の前で人が死んだショック。そしてこれから自分も死ぬかもしれない不安。誰が殺してくるのかって疑心暗鬼。
理由は様々だが、あまりの恐怖に支配されて、行動するのも何だか怖くなっていた。
だが、いつまでも死体の転がる体育館で突っ立ってるわけにもいかないのも事実で、佑子が次のように切り出した。

「……み、皆!えっと、水留くんが殺されちゃって、怖いのはわかるけど……でも、私達がじっとしてるわけにもいかないよ!」
「皆で協力して、脱出できるところを探そう!皆で協力すればきっと見つかるよ!」
「全員で生きて外に出て、警察に知らせて、あの殺人犯を逮捕しないと!皆で水留くんの仇を取ろう!」

……確かにそうだ。突きつけられた異常に気圧されて失念してたが、選択肢は二つに一つではなかった。
協力して、脱出の術を探す。そういう選択肢だって確かにあるのだ。絶望の中で煌めいた希望あふれる選択肢に俺達の心は躍る。
44:🎏 :2013/7/9(火) 01:11:09 ID:GdDqM49c02
「そうだな。ここでくよくよしてても始まらない。俺達で協力して脱出してやろうぜ!」

こう叫んだのは闘球である。超高校級のラガーマンがいると何とも頼もしい限りだ。
それだけじゃない。超高校級のサッカー選手にプロレスラーだっている。
正直、俺も含めて役立たずっぽい才能の奴もいるが、ここには超高校級のエリート達が揃っているんだ。
そんなエリート達が協力すれば、あの窓や玄関ホールだってどうにかできるような気がする。
それに他の脱出口も見つかるような気がする。そうだ、あのくそったれ学園長に強いられるからって、俺達が殺し合いをする必要はないんだ。
こんな糞みたいなルールに従ってられるか!俺達は俺達のやり方で外に出るんだ!

「行動するのはいいが、校則とやらは確認しておいた方がいい。勝手に行動して、知らぬ間に校則違反を犯し、モノクマに殺されてもいいなら止めはしないが」

と、小百合が唐突に発言した。
……。
ま、まあ確かにルールはね、守らないとね。崇みたいになっちゃったら、崇の仇も取れなくなるし。
45:🎏 :2013/7/9(火) 01:12:46 ID:GdDqM49c02
わけのわからないクマに従うのもムカつくが、自分の身を守らなければならないのも事実だ。
モノクマから身を守るためにも、校則はチェックしておいた方がいいと思う。というわけで電子生徒手帳を起動。
最初に俺の名前が表示されて、その後メニューが細かく表示された。
その中から校則のアイコンを選ぶ。すると、画面上に文章が表示された。こいつが校則で間違いないだろう。
俺は表示された校則を正確に把握するため、入念に目を通すことにした。
46:🎏 :2013/7/9(火) 01:15:56 ID:GdDqM49c02
1:生徒達はこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。
2:夜10時から朝7時までを夜時間とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。
3:就寝は寄宿舎エリアに設けられた個室のみで可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。
4:希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。
5:学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。
6:仲間の誰かを殺したクロは卒業となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはなりません。
7:なお、校則は順次増えていく可能性があります。

以上がこの学園のくそったれ校則である。
……原作から丸々文章をお借りしたけど、ネタバレOKの部分だし大丈夫だよな?こういう時はメタフィクション的発言に限る。
それは置いといて、校則の実態を知った面々は、それぞれの反応を示していた。
47:🎏 :2013/7/9(火) 01:18:14 ID:GdDqM49c02
相田鳥子「なるほどー!つまりどういうことだー!?」

肉丸健太「どういうことって……今見たでしょー?」

相田鳥子「漢字が読めねえ!変わりに読め、デブ!」

肉丸健太「代わりに、だねー。仕方ないなー、読んであげるよー」

中後小百合「……あの二人はほっといて、だ。とりあえず校則はわかったな」

場明日虎美「脱出口を探すのは問題なさそうやな。調べることに関して制限は無しっちゅう話やしな」

黒魔帝兎「立ち入り禁止区域も気になるが、まあそれは夜になってから考えればいいか」

本田川佑子「とにかく、これで問題なく探索できるよ!」

中村闘球「校則さえ守れば、逆にモノクマは手出しができないしな」

本田川佑子「そういうこと!皆で協力して、ここから脱出しよう!」

白鳥輝穂「おー!」

左雨瑞樹(天使だなあ)
48:🎏 :2013/7/9(火) 01:19:31 ID:GdDqM49c02
かくして俺達14人による希望ヶ峰学園探索が始まった。
……正直に言うと、俺は怖かったんだ。この中の誰かが、自分だけが出るために、モノクマの話に乗っかるんじゃないかと思って。
でも、今の展開から察するに、誰もが皆一緒の脱出を望んでいるみたいである。
恐らく、崇がモノクマに殺されたのが大きかったのだろう。
確かに出会って間もない俺達ではあるが、希望ヶ峰学園の新入生同士であり、今回の事件の被害者でもある。
そういう共通部分が、仲間意識を生み出したのだろう。そして、そんな仲間が無情理に殺されたのだ。
仲間を殺した奴に乗っかって自分だけが助かるよりも、そいつに対抗して全員で生きて帰りたい気持ちが勝ったのだろう。
それが佑子の「水留くんの仇を取ろう」発言に表れている。
モノクマは俺達が仲間同士で殺し合うのを期待して、この監禁事件を起こしたみたいだが。
残念だなあ。お前の思惑通りにはいかないぜ、クマ野郎。
49:🎏 :2013/7/10(水) 00:30:27 ID:GdDqM49c02
そういうわけで、俺達はまとまって校内を探索したわけだが……結果から先に言ってしまおうか。
探索の結果、俺達が行動できる範囲は大きく分けて二つだと判明した。
まずは……学校エリアとでも言おうか。俺が寝てた教室や異質な玄関ホールに体育館等々、如何にも学校な施設が揃ってるのがこっちだ。
お次は寄宿舎エリアだ。電子生徒手帳の校則のとこでも書いてあったな。詳しくは後述とするが、俺達の寝泊まりする部屋や、食堂などがある、日常生活を支えるエリアだ。
探索を決意して体育館を発った俺達は、必然的にまず学校エリアから探すこととなったのである。それじゃ探索の詳しい内容でも話すとしようか。
50:🎏 :2013/7/10(水) 00:31:34 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「よし!それじゃ探索を開始しよう!」

夜桜愛梨「探索は個々に行いますか?それとも、皆でまとまって行いますか?」

黒魔帝兎「……皆でやろうか。俺達は知り合って間もない。一丸となってモノクマに対抗するには交流も必要だろう」

場明日虎美「何勝手に仕切っとんねん!成り金球団の手先が!」

黒魔帝兎「今そんなことを言ってる場合じゃないだろう。これだから関西の野蛮で馬鹿なチームのファンは困るんだ」

場明日虎美「何やとぉ!やるんか、自分!?」

白鳥輝穂「お、落ち着いてください。喧嘩はよくないですよ」

本田川佑子「そうだよ!それこそモノクマの思う壺だよ!仲良く協力してモノクマに抗うんだよ!」

場明日虎美「せやかてこいつが……!」

百目鬼良子「仲良くしてくれないのなら、私が仲裁して技をかけます!」

場明日虎美「わ、わかった!わかったから、超高校級のプロレスラーの技とか、ほんま勘忍してーな!」

百目鬼良子「よかった、仲良くしてくれるんですね」

左雨瑞樹「……これは仲良くなったとまとめていいのか?」
51:🎏 :2013/7/10(水) 00:32:59 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「もう、話が脱線しすぎだよ!とにかく学校を調べてみよう!」

中村闘球「この辺となると……やはり玄関ホールや教室を調べるのが主になるだろうな」

肉丸健太「他にも調べてない部屋もあるからねー。そこも調べる必要があると思うよー」

キング「更には時空の歪みによる隠し部屋が出現する可能性も……」

中岡笑「ないよ!ハリーポッターじゃないんだから!」

中後小百合「ハリーポッターと絶望の学園ってわけか」

本田川佑子「……なんか本当にありそうなタイトルだね」

相田鳥子「それで結局あたし達はどこに行くんだー!?」

黒魔帝兎「まずは玄関ホールに向かおうか」

場明日虎美「だから何で自分が仕切んねん!」

百目鬼良子「……」

場明日虎美「わかったから、良い笑顔でこっち見んといてーな……怖いでほんま」
52:🎏 :2013/7/10(水) 00:34:30 ID:GdDqM49c02
夜桜愛梨「玄関ホールに到着しましたね、糞野郎」

中後小百合「相変わらず天井にはガトリング設置か。校則違反者をあれで殺す気なんだろうな」

本田川佑子「こ、怖いこと言わないでよ、中後さん……」

中村闘球「ここで試すのは一つだ。入口を塞ぐこの鉄の扉……これをどうにか突破できないか」

中岡笑「出来ないんじゃないですか?こんな大事件起こすような奴が、そんなへまするとは思えないんですけど」

中村闘球「だが、今の俺達には超高校級のプロレスラーがいる。彼女の力なら壊すことも可能かもしれない」

相田鳥子「こわしていいのかー?デブが呼んだルールにはそういうのダメっぽいこと書いてたぞー」

中村闘球「呼んだじゃなくて読んだ、だ。校則違反に当たるのは学園長への暴力と監視カメラの破壊だ。それ以外なら問題ないだろう」

百目鬼良子「なら私の出番ですね!今はヒールレスラーやってるんで、ラフファイト、パワーファイトはお任せください!」

左雨瑞樹「頼りになるな。それじゃいっちょ頼むよ」

百目鬼良子「いきますよ!はああ!」

場明日虎美「はー、すごい打撃やなあ。技かけられんでほんまよかったわ……」

黒魔帝兎「打撃は確かに凄いが……問題の鉄の扉はびくともしてないな」

百目鬼良子「……ごめんなさい。これ、どうしようもなさそうです……」

白鳥輝穂「ど、ドンマイです、百目鬼さん……」
53:🎏 :2013/7/10(水) 00:36:59 ID:GdDqM49c02
百目鬼良子「し、しかしこれではプロレスラーとして面目が立ちません!見ててください、廊下や教室の窓を塞ぐ鉄板くらいはどうにかしてみせます!」

本田川佑子「あ、行っちゃった。どうする?追いかける?」

中村闘球「本人がせっかくやる気になってるんだし、廊下や教室の窓の調査は任せてみようか」

中岡笑「調査っていうか、破壊ですけどね」

中後小百合「それじゃ私達はまだ行ってない部屋の調査をするとしようか」

白鳥輝穂「そうですね。百目鬼さんが頑張ってくれてるんですから、私達も頑張らないと!」

キング「……待て」

場明日虎美「……何やねん?」

キング「この玄関ホールを封じる鉄の扉……俺の中に眠りし黒龍の力を以てすれば、あるいは……」

相田鳥子「マジでか!?すげーな、ロン毛!」

中後小百合「それじゃ私達はまだ行ってない部屋の調査をするとしようか」

中岡笑「しれっと流してテイク2!?」

中後小百合「キングの愉快な世界観に付き合ってる暇はないと思うんでね」
54:🎏 :2013/7/10(水) 00:38:07 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「ここは……」

中村闘球「購買部だな」

本田川佑子「購買部!?やった、プロテインとか売ってるかな!?」

中岡笑「学校の購買部で売ってるようなものじゃなくないですか!?」

中後小百合「スポーツ系の超高校級生徒は意識が根本から違うな」

白鳥輝穂「購買部……でも、私達、学園長に荷物を取り上げられてるので、お金持ってませんよ?」

左雨瑞樹「お金だけは返してもらわないとどうしようもないな……」

肉丸健太「それに、ここから出られないんじゃ、返してもらってもお金がすぐなくなっちゃうよー」

場明日虎美「購買部があるっちゅうて、あんま期待しすぎん方がええいうわけやな」

本田川佑子「それじゃ効率的なトレーニングが出来ないよ……」
55:🎏 :2013/7/10(水) 00:39:37 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「ここは……視聴覚室か」

黒魔帝兎「視聴覚室があるということは、何か映像が見られるということか?」

場明日虎美「ほんまか!?ほんなら阪神戦見ようやないか!」

黒魔帝兎「馬鹿か貴様は?野球を見るなら巨人戦に決まっているだろう!」

肉丸健太「アツアツだね、二人ともー」

場明日虎美「そっ!そんなんちゃうわ、アホ!」

本田川佑子「……ちょっと気になってたけど、二人って前々からの知り合いなの?」

場明日虎美「せやね。お互いネット上ですごい野球ファンがおるで、いうて有名やったさかい」

黒魔帝兎「だからネット上で交流を図ってみたんだ。確かに野球知識は凄い物があったが、応援する球団が阪神ではな……」

場明日虎美「こっちの台詞や、アホ!何が巨人や!」

肉丸健太「アツアツだね、二人ともー」

場明日虎美「せやからそんなんちゃう言うとるやろが!アホか、この豚まんは!」

中後小百合「……話を戻してまとめるが、DVDか何かがないと、この部屋は無意味と言っていいだろうな」

中岡笑「購買部でそういうの売ってないんでしょうか?お笑いのDVDが見たいですよ、自分は」

夜桜愛梨「とにかく、脱出に関しては関係なさそうですね。他を探しましょう」
56:🎏 :2013/7/10(水) 00:40:48 ID:GdDqM49c02
白鳥輝穂「他にも部屋が二つありましたが、そこは入れませんでした……」

中村闘球「入れない部屋の一つは何かの教室として、もう一方は明らかに他の部屋のドアとは違う雰囲気だったな」

本田川佑子「並々ならぬ雰囲気だったよね。扉の色も赤くて、いかにもただ者じゃない!って感じで」

中村闘球「俺が肩からぶつかって、びくともしないんだ。壊して入るのは諦めた方がいいな」

黒魔帝兎「一応後で百目鬼にも攻撃してもらおうか」

左雨瑞樹「その前に、破壊を頼まなきゃいけない代物が他にあるっぽいけどな」

夜桜愛梨「そうですね。上階へと続く階段。これは無視できません」

肉丸健太「だけどさー、この階段、シャッターがあるから進めないよー」

中村闘球「これは俺と百目鬼で破壊を試みるしかないな。誰か窓の破壊を試みてるであろう百目鬼を呼び戻してくれ」

白鳥輝穂「わかりました。それでは私が呼んできますね」

相田鳥子「呼ぶじゃなくて読ぶじゃないのかー?」

肉丸健太「相田さん、今のは呼ぶ、でいいんだよー」
57:🎏 :2013/7/10(水) 00:42:31 ID:GdDqM49c02
百目鬼良子「はあ……はあ……」

黒魔帝兎「……一応聞いといてやる。窓の鉄板はどうにかできたか?」

百目鬼良子「駄目でした……タイトル戦のように気合いを入れて技をかけましたが……」

中村闘球「お疲れのところ申し訳ないが、もう一仕事だ」

百目鬼良子「え?あっ……もしかしてこのシャッターですか?」

中村闘球「そうだ。上階へと探索範囲を広げられると、脱出の糸口も見えるかもしれない。やるぞ!」

百目鬼良子「わかりました。プロレスラーの誇りにかけて、このシャッターを破壊してみせます!」

本田川佑子「始まったね。中村くんと百目鬼さんのダブル攻撃」

左雨瑞樹「さすが超高校級のラガーマンとプロレスラーだな。迫力満点だ」

中後小百合「だが、シャッターの方もさすがに頑丈だ。正直なところ、破壊できそうにはないな」

相田鳥子「なあなあ、ロン毛のふしぎパワー使えばどうにかなるんじゃねーのか?」

肉丸健太「相田さん、それは忘れようかー。そっとしておいた方がいいこともあるんだよー」
58:🎏 :2013/7/10(水) 00:43:17 ID:GdDqM49c02
夜桜愛梨「やっぱりと言うべきでしょうか。破壊はできませんでしたね」

百目鬼良子「私はプロレスラーを名乗っていいのでしょうか……」

左雨瑞樹「そんな落ち込むなよ、良子。プロレスラーらしい、見事な暴れっぷりだったぜ」

百目鬼良子「そうですか?ありがとうございます!」

中岡笑「普通の女の子なら怒る台詞でしょうけどね……」

黒魔帝兎「彼女は超高校級のプロレスラーだからな」

白鳥輝穂「いろいろ調べましたけど……脱出の糸口は掴めませんでしたね」

中後小百合「ふむ。では、そろそろこっちは切り上げて、未知なるエリアを探すとしようか」

左雨瑞樹「未知なるエリア?」
59:🎏 :2013/7/10(水) 00:45:28 ID:GdDqM49c02
中後小百合「教室や玄関ホールのある校舎は調べて何も出なかった。となると、調べる校舎を変えるべきだ」

黒魔帝兎「……電子生徒手帳にも書いてあった寄宿舎エリアとやらか」

中後小百合「その通りだ。教室前の廊下、その向こう側を我々はまだ調べていない。恐らくそっちが寄宿舎エリアとなってるのだろう」

中後小百合「今日中の脱出ができない場合、我々は寝泊まりする必要がある。しかし、そこは校則にかかわる部分だ」

中後小百合「校則違反にならないで就寝できる個室とやらを確認しておいた方がいいだろう」

黒魔帝兎「……そうだな。モノクマ自身が校内を自由に調べていいと言うほどだ。俺達をこの学校に閉じ込めておく自信が大きいと見える」

黒魔帝兎「故に脱出は困難を極めるだろう。一日でどうこうできる問題ではないと容易に想像できる」

黒魔帝兎「ならば休める個室は早急に確認すべきかもな。意図的に個室以外で寝るのは校則違反となり、モノクマに殺されてしまう」

本田川佑子「は〜……何だか頭良い感じの会話してるねえ」

中村闘球「とにかく、やることは決まったな。それじゃ、そっち方面を調べるとするか」
60:🎏 :2013/7/11(木) 01:46:46 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「寄宿舎エリアとやらに来てみたけど……」

中岡笑「個室、即座に見つかりましたね」

中後小百合「ははは、いらぬ心配だったな」

白鳥輝穂「部屋の前にそれぞれプレートが貼ってあります。可愛らしいイラスト付きですよ」

夜桜愛梨「私達のイラストですね。よく描けてると思いますよ」

場明日虎美「ほんならイラスト通りに部屋分けしていったらええんか」

黒魔帝兎「そうなるな。よし、全員分の個室の確認も出来たし、寄宿舎エリアの本格的な探索を始めてみようか」

白鳥輝穂「こっちで脱出の糸口がつかめるといいですね!」
61:🎏 :2013/7/11(木) 01:48:05 ID:GdDqM49c02
中村闘球「……調査結果だけパッとまとめると」

中村闘球「寄宿舎エリアには個室の他に食堂・厨房・ランドリールーム・トラッシュルームがあるわけだな」

本田川佑子「いろいろ入れない部屋もあったけどね。とりあえず調べられたのはそれらの部屋だよね」

肉丸健太「食堂があるのは嬉しいなー!僕、いっぱい食べちゃうよー!」

場明日虎美「やめんかい!確かに厨房にアホほど食料はあったけど、それでも限りはあんねんで!」

中岡笑「場明日さん、ツッコミチャンス奪うのやめてくれません?」

場明日虎美「じゃかあしいわ!お笑いやっとんなら自力でどないかせえ!」

黒魔帝兎「野蛮人め……」

中後小百合「今の愉快なやり取りの通りだ。食料に限りはある。各自、脱出が遅れての長期滞在に備えて、暴飲暴食は控えてほしい」

肉丸健太「……僕に死ねって言うのー?」

中岡笑「いや、言ってないよ!普通になら食べていいんだから!」

場明日虎美「普通なツッコミやの。自分、あんまセンスないんとちゃうか?」

中岡笑「ひいいい!」
62:🎏 :2013/7/11(木) 01:49:18 ID:GdDqM49c02
夜桜愛梨「ランドリールームでは、その名の通り、洗濯が可能ですね」

白鳥輝穂「何日か寝泊まりするようになった時、衣服の洗濯ができないと辛いですもんね。よかったです」

本田川佑子「日常生活に必要なことはある程度できるんだね。でも、これらに世話になることなくさっさと脱出したいよね!」

黒魔帝兎「そうは言っても、ランドリールームに脱出の手がかりはなかったけどな」

相田鳥子「この洗濯機のけたら秘密基地の入り口があるとか?」

黒魔帝兎「ない。そもそも秘密基地みつけてどうするんだ?」

キング「この洗濯機の中に次元の歪みが発生してて、秘密の部屋に繋がってるとか?」

黒魔帝兎「歪んでいるのはお前の頭だ」

中岡笑「夫婦一緒になって自分の仕事を取らんといてくださいよー」

黒魔帝兎「場明日とはそのような関係ではない!」

中岡笑「ひいいい!」
63:🎏 :2013/7/11(木) 01:59:35 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「最後に、トラッシュルームだね!」

中村闘球「入ってすぐにシャッターがしてあって調べられなかった。以上だな」

本田川佑子「……そんな簡単にまとめなくても」

中村闘球「事実だろ。無駄に長く引き伸ばしても無駄だしな」

肉丸健太「ゴミ捨て場となるこの部屋が、シャッターで閉まってあったら、僕らが出すゴミとかどうすればいいのかなー?」

夜桜愛梨「食べればいいのではないでしょうか、糞野郎」

肉丸健太「いや……さすがの僕もゴミは食べないよー」

黒魔帝兎「シャッターで思い出したが……階段前のシャッターはどうなった?」

本田川佑子「ああ、寄宿舎エリアでも上へと続く階段があって、シャッターで通れなかったんだよね。百目鬼さんが破壊を試みてるんだっけ?」

百目鬼良子「……」

場明日虎美「噂をすればっちゅうやつやな。どやった?」

百目鬼良子「私、もうプロレスラーを引退します……」

場明日虎美「ちょっ!?」

本田川佑子「……駄目だったみたいだね」
64:🎏 :2013/7/11(木) 02:05:53 ID:GdDqM49c02
……以上が探索結果である。
脱出の糸口を探すという名目ではあったが、結局それは見つからなかった。
わかったのはモノクマの用意周到さだけである。一生ここで過ごさせるという狂気染みたことを言い出すだけあって、日常生活の備えはバッチリみたいだ。
そして俺達を閉じ込めるというのも本気なのが探索でひしひしと伝わってきた。超高校級のプロレスラーに引退を決意させるほどの強固な鉄板で封じこんでいるんだから。
つまり、一通り調べて判明したのは、限りなく脱出不可能に近いレベルで俺達を監禁しているということだけだ。
一生という果てしなく長い時間の学園生活を強いるつもりでいるのでそれなりの設備は整っているものの、小百合が先にも言ったように食糧問題もある。
脱出可能なのか、食糧問題はどうなるのか、不安だけが募るような結果に終わったわけだ。
絶望の中で見つけた煌めく希望も、たった一日で曇ってしまった。

一日をかけて虚しい結果に辿り着いた俺達は、今後のことを話し合うという名目で食堂に集まったものの、正直話す空気にはならなかった。
65:🎏 :2013/7/12(金) 00:36:31 ID:GdDqM49c02
夜桜愛梨「……結局、脱出はできそうもないですね」

本田川佑子「で、でも!まだ一日目だしさ!これからまた探していけば、どうにかなるよ!」

黒魔帝兎「探せるところは細かく探した。入れない部屋はドアを攻撃しても入れない。階段のシャッターも、窓の鉄板も同じだ」

黒魔帝兎「現状で探せる部分は全て探して、それで駄目だったんだ。どうにかなるなら根拠も教えてもらわないとな」

本田川佑子「……」

白鳥輝穂「これから探索を続けていくにしても、食料に限りはあります。私達、どうなっちゃうんでしょう……」

モノクマ「どうしたの?なんかすごいしょぼくれてるじゃん」

中岡笑「そりゃしょぼくれもしますよ。一日探して脱出口が見つからないんですから」

中岡笑「って、何であんたがここにいるんですか!?」

中村闘球「モノクマ!お前、どこから現れた!?」

モノクマ「どこからでも現れます。モノクマを一頭見つけたらあと三十頭はいると思った方がいいよ」

モノクマ「って、こんなに可愛いクマをゴキブリ扱いしないでよ!」

中岡笑「自分で言い出したんでしょうが!」
66:🎏 :2013/7/12(金) 00:37:51 ID:GdDqM49c02
モノクマ「ボクが何頭いるかとか、そんなのはどうでもいいんだよ!」

白鳥輝穂「どうでもいい話ではないような気がしますけど……」

モノクマ「それよりどうだった?今日一日探してみて、脱出できそうだと思った?」

本田川佑子「……」

モノクマ「無言の肯定ってやつだね!だから言ったでしょ?ここを出るには殺すしかないんだよ!」

モノクマ「そのルールに則らない限り、脱出なんて無理無理!パーッと殺っちゃって、パーッと出ちゃえばいいんだよ!」

中後小百合「だからそれをすれば殺人だ。法に則って、そんな誘いに乗るわけにはいかない」

モノクマ「君は実に馬鹿だなー。ここでは校則が全てだって、何でわかんないかなー」

モノクマ「あと何回言えば理解するの?十回?百回?千回?」

中後小百合「何度言われても乗らんぞ。犯罪者はお前一人で十分だからな」

モノクマ「ボクはクマだから数え方は一頭だよ!中後さんは頭が悪いなー」
67:🎏 :2013/7/12(金) 00:39:04 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「それよりモノクマ!自分、うちらを一生閉じ込めるつもりちゃうんかい!」

モノクマ「オマエラが殺しをしないならそうなるね」

キング「しかし、厨房の食材はとても人の一生を補えるほどの量ではなかった。貴様、それはどう説明するつもりだ?」

百目鬼良子「……キングさんがまともなこと言ってると、何だか不安になりますね」

中岡笑「気持ちは分かりますけど、今はスルーしましょう」

モノクマ「何?飢え死にするとでも思ったの?この日本で?うぷぷ、いつ時代の話をしてるんだよ!」

黒魔帝兎「しかし、言い分としては間違えてないだろう!」

モノクマ「もー、皆もちゃんとボクのことを信用してよ!予算はあるからオマエラは不自由なく過ごせるって言ったでしょ!」

モノクマ「食料はきちんと補充していきます。そこのふざけたくらいに太ったおデブちゃんが狂ったように食べたって、なくなることはないんです!」

肉丸健太「本当!?僕はいっぱい食べても大丈夫なのー!?」

場明日虎美「どんだけ食いつくねん!」

モノクマ「とにかく、ごはんに関しては心配しなくていいよ!オマエラは清く正しくコロシアイ学園生活のことだけ心配してればいいんです!」

本田川佑子「私達は殺し合いなんてしないよ!」

モノクマ「言うだけならタダだからね。守れないマニュフェストほど無価値な物はないよ!うぷぷぷぷ!」
68:🎏 :2013/7/12(金) 00:40:38 ID:GdDqM49c02
モノクマ「この際だから日常生活で気になることがあったら聞いとくよ。さあ、学園長に遠慮なく質問してください!」

中村闘球「そんな長い間ここの世話になるつもりはないけどな」

モノクマ「強がらなくていいのにね。素直になれなきゃ愛しいあの子も振り返ってくれないぞ!」

中村闘球「……その心配は俺には不要だと思うが」

黒魔帝兎「何故そこで俺を見る!?」

白鳥輝穂「……一つよろしいでしょうか?学園長」

モノクマ「おー、キミの態度は生徒の鑑だね!何だかボク興奮してきちゃうよ!」

中後小百合「今のどこに興奮する要素があるんだ?」

モノクマ「興奮する要素しかないじゃない!何だか下半身の一部が固くなってきちゃいました!」

中岡笑「そういう意味で興奮してるんだ!?確かに可愛いけども!」

相田鳥子「お前ら一体何語で話してんだー?」

中岡笑「言語からわかんないんだ!?とりあえず知らないなら知らないままでいいから!」

白鳥輝穂「……」

左雨瑞樹「おい……そろそろ輝穂の話を聞いてやれよ」
69:🎏 :2013/7/12(金) 00:42:04 ID:GdDqM49c02
モノクマ「それじゃ話を戻しましょう。話って何なのさ?」

白鳥輝穂「えっと、トラッシュルームのシャッターが閉まってあって、使用できないんです」

白鳥輝穂「ゴミの処理ができないのでは、日常生活に支障が出てしまいます。どうすればいいのでしょう?」

モノクマ「何だ、そんなことか。テレレレッテレー!さて、これは何でしょう?」

中後小百合「……鍵か?」

モノクマ「そう、トラッシュルームのシャッターを開ける鍵です!オマエラの中で掃除当番をちゃちゃっと決めちゃってよ!」

モノクマ「そしたらそいつに鍵を渡しとくからさ。今後はその人にまかせっきりでもいいし、オマエラで交代しながらでもいいよ」

中後小百合「掃除当番を決めて、ゴミの処理は私達に押し付けるってわけか」

モノクマ「押し付けるとは何だよ!自分達が出したゴミは自分達で片づける、常識だろ!」

左雨瑞樹(あーあ……超高校級の貧乏くじの出番かなあ)

白鳥輝穂「えっと……掃除当番、私が頑張ります」

左雨瑞樹(おっ?)

モノクマ「ありゃ、やる気じゃん。誰の使用済みティッシュが目的なの?それともトラッシュルーム絡みの殺害トリックでも思いついた?」

白鳥輝穂「そ、そんなのじゃありません!……私、脱出の役には立てそうもありませんから、こういう部分で皆さんを支えていきたいんです」

左雨瑞樹(……天使だなあ)
70:🎏 :2013/7/12(金) 00:43:35 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「ついでだから聞いとくよ。モノクマ、購買部あったけど、あれは意味あるの?」

百目鬼良子「可能ならばプロテインを購入したいと思ってるんですけど」

中村闘球「確かにプロテイン無しでトレーニングするのは勘弁願いたい」

中岡笑「スポーツ組、必死ですな……」

肉丸健太「ファンからプロに移りたがってる黒魔帝くんも加わった方がいいんじゃないのー?」

黒魔帝兎「ふざけるな!読売巨人軍は紳士であるべきだ!だから俺はそんな物に手出しはしない!」

左雨瑞樹(ドーピングとプロテインを混同してんのかな……)

モノクマ「あの購買部は原作以上に品揃え豊富にするつもりだから、たぶんプロテインもあると思うよ」

夜桜愛梨「原作って、何を仰ってるのですか、糞野郎」

モノクマ「気にしない気にしない!とにかく、いろいろ揃えとくよ!中には殺害に役立つ物も売っちゃうかもね!うぷぷぷ!」

本田川佑子「後半は聞かなかったことにして……私達、お金持ってないんだよ?どうやって買えばいいの?」

モノクマ「それはね、じゃじゃーん!このコインを使えばいいのです!」

中村闘球「……何だ、そのコインは?」

モノクマ「これはね、モノクマメダルと言います!この学園内でお金となるコインなのです!」

モノクマ「このコインを学園の至る所に隠しておりますので、暇だったら探して、殺害道具でも買ってってね!」

場明日虎美「んなもん誰が買うかい!ドアホが!」
71:🎏 :2013/7/12(金) 00:47:37 ID:GdDqM49c02
モノクマ「質問はこれくらいかな?」

場明日虎美「うちからも一つあるで」

場明日虎美「寄宿舎エリアで入られへん部屋ん中に、大浴場っぽいのあったんやけど、浴場入られへんとかどういうことやねん!風呂どないしろ言うねん!」

モノクマ「ありゃりゃ?オマエラ、まだ個室も調べてないの?」

本田川佑子「え?個室?」

黒魔帝兎「俺達は脱出方法を探して校内を探索していた。まだ各々の個室には入っていない」

モノクマ「なんと、ゆとりのくせに馬鹿真面目だね!それともゆとりだから指示を馬鹿みたいに守ることしかできないのかな?」

相田鳥子「何だとー!馬鹿にするなよー!」

中岡笑「いや、あなたは馬鹿ですからね」

モノクマ「ともかく、脱出はできないんだから校内探索なんて無駄だよ。それよりボクは部屋で休んでほしいと思います」

モノクマ「大丈夫、トイレとシャワー付きの部屋だから!女子のシャワー室はちゃんと鍵までついてます!」

キング「男子には付いてないのか?念力で封じろということか?」

モノクマ「ふざけるのは髪型だけにしてよ!男子のシャワーシーンを覗いたって何の意味もないでしょ!」

モノクマ「ああ、でも白鳥さんは使用済みティッシュが欲しいほどの男子がいるみたいだから、少しは需要あるのかもね」

白鳥輝穂「だ、だからそういう意味で掃除当番やるんじゃないですよ!」
72:🎏 :2013/7/12(金) 00:49:22 ID:GdDqM49c02
モノクマ「とにかく、質問は以上でいいかな?それじゃボクはこの辺で失礼します!ではでは!」

白鳥輝穂「あっ……消えちゃいました。神出鬼没って感じですね」

中村闘球「殺しに関する発言は流すとして……確かに今日はもう探索はやめにするべきかもな」

本田川佑子「一日中探索してすっかり遅くなったからね。外と切り離されてるから、あんまり実感ないけど」

相田鳥子「おい、お前。今何時何分だー?」

左雨瑞樹「俺か?この部屋、時計あるんだから見ればいいだろ」

相田鳥子「だから見てくれって言ってんだー!馬鹿かー!?」

左雨瑞樹「……もしかして時計の見方、わからんのか?」

相田鳥子「馬鹿にするなよー!それぐらい知ってんぞー!ただ、針が三つあるからどれがどれかわかんねーんだ!」

左雨瑞樹(超高校級の馬鹿……恐るべし!)

中後小百合「今は夜中の七時だ。確かにそろそろ探索を切り上げるべきだな」

夜桜愛梨「それでは部屋に戻りましょうか。部屋に脱出の手がかりがないとも限りませんしね」

百目鬼良子「あまりそれは考えられないですけどね……」
73:🎏 :2013/7/12(金) 00:50:41 ID:GdDqM49c02
こうして探索を切り上げた俺達は、その後を自由行動とした。
そのまま食堂に残って食事をしようとする者、さっさと部屋に戻って明日に備える者、行動は様々だ。
俺はと言うと、部屋に戻る方のグループである。何て言うか、食欲がなかった。
今日一日でいろんなことが起こりすぎた。監禁事件の被害に始まり、水留崇の殺害事件に一日かけての校内探索。
非現実的な現実を突きつけられ、更には行動しっぱなしで心身ともに疲れていた。正直、すぐにでも寝たい気分だ。
そういうわけで、俺のイラスト付きネームプレートがある部屋に到着。そのドアノブを捻った。
74:🎏 :2013/7/12(金) 00:52:56 ID:GdDqM49c02
部屋の中も十分異質な光景だった。
やはり窓には鉄板が打ち付けられている。良子の攻撃でびくともしないんだから、俺が何をしたって結果は見えてるだろう。
そしてやはりというか、ここにも監視カメラが設置してある。
自室であっても、校則違反者がいないかどうかモノクマが見張ってるわけだろう。プライベートも糞もあったもんじゃない。
テレビっぽいものもあるにはあるが、当然のように公共の電波はキャッチしない。入学式を呼び掛けた忌々しいあの校内放送、それのためだけのテレビと思って間違いないだろう。
こんな何もない部屋でやることもないだろう。俺はさっさとベッドに横になって目を瞑った。
……が、寝られない。十二分に疲れてるはずだし、気分的には寝たいわけだが、眠れる気配がしない。
突拍子もなく巻き込まれてしまった異常な事件を前にして、平常でいられなくなってるのだろうか。仕方ないので体を起こした。
75:🎏 :2013/7/12(金) 00:54:39 ID:GdDqM49c02
部屋を改めて見回して気付いたのは、二つ。
まず、テーブルの上に置いてあった鍵のことだ。ホテルの鍵みたいにキーホルダーのついてる鍵。そこには俺の名前が書いてある。
まあ難しく考えずに、俺の部屋の鍵ってことだろう。
もう一つのことは、部屋の壁に貼られてた紙のことだ。そこには、次のように書かれていた。

モノクマ学園長からのお知らせ
部屋の鍵には、ピッキング防止加工が施されています
鍵の複製は困難な為、紛失しないようにしてください
部屋には、シャワールームが完備されていますが、夜時間は水が出ないので注意してください
また、女子の部屋のみ、シャワールームが施錠出来るようになっています
最後に、ささやかなプレゼントを用意してあります
女子生徒には女子らしく裁縫セットを
男子生徒には男子らしく工具セットをご用意しました
裁縫セットには人体急所マップも付いているので、女子のみなさんは、針で一突きするのが効果的です
男子の工具セットを使用する場合は、頭部への殴打が有効的かと思われます
ドントシンクだ!フィールだ!レッツエンジョイだ!
76:🎏 :2013/7/12(金) 00:56:28 ID:GdDqM49c02
……俺はもうその紙に書かれた文章を二度と読まないと心に誓った。
校則内容と同じく原作から丸々文章を使ってるが、公開OKのところだからと自分に言い聞かせる。
まあそれはいいとして、だ。一応その工具セットとやらを探してみた。そしたらベッド付近にある机の引き出しにそれらはあった。
新品である。うん、感想はそれだけだ。誰がこんなものを使うのかって話だよ。俺は即座に引き出しの奥底にそれを封印した。
以上の二点に気付いたわけだが、ぶっちゃけるとそれだけである。それを見つけて楽しいとか、そんなわけもなく、なんつーか暇だ。
娯楽も何もない部屋で、世界で俺だけ取り残されたように静かなんだ。何て言うか、気持ちがおかしくなってしまう。
ていうか、静かすぎだろ。隣の音とか聞こえてもいいんじゃねえのか?何か本当に不安になってくるから、俺以外が発する音を聞きたい。
精神的に不安定になってきた俺は、とりあえず落ち着くためにシャワーを浴びることにした。
77:🎏 :2013/7/12(金) 00:57:54 ID:GdDqM49c02
ふいー。気持ち良かったー。
シャワーを浴びて少しは身も心も洗われただろうか。これで寝れるようになってればいいけど。
とりあえずシャワー室には監視カメラはなかった。輝穂にセクハラするクマだから、しっかりとそこも監視してると思ってたのだが。
変なところで常識はあるらしい。……よし、性欲処理はどうにかなりそうだな。
体を洗って温めた俺は、改めてベッドに横になる。それと同時に、突然チャイムが鳴った
それに合わせるようにテレビが点く。そこにはワイングラスを持つモノクマの姿があった。

「校内放送でーす。午後10時になりました」
「ただいまより夜時間になります」
「間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となりまーす」
「ではでは良い夢を。おやすみなさい……」

それだけ告げてテレビは消え、部屋には再び静寂が戻った。
78:🎏 :2013/7/12(金) 00:59:09 ID:GdDqM49c02
何て言うか、今日はもう本当に疲れた。非日常的生活に巻き込まれて不安になってた俺の心も、シャワー効果で少しは和らいだ。
今なら寝れる気がする。さっさと夢の中に入っちまおう。
……夢、ねえ。寝て起きたら愛しい我が家、なんてオチはないかなあ。
だって、非現実的すぎるだろ。監禁されて、出るためには殺しが必要で、おまけに超高校級の貧乏くじが掃除当番を免れたんだ。
こんなわけわからん出来事、夢として片付けたくもなるだろ。
水留崇も死んでなくて、俺はまだ希望ヶ峰学園に入る前で、皆と普通の生徒として仲良くなれるような。
目が覚めたら、そういう普通に戻ってないかなあ。
そんなことを思いながら、横になって目を瞑ってる俺の意識はだんだんと遠のいていくのだった。
79:🎏 :2013/7/12(金) 01:00:29 ID:GdDqM49c02
〜モノクマ劇場〜

無駄に長い説明が終わって、いよいよ学園生活がスタートしました。
ボクが素晴らしい学園生活を用意してあげたというのに、新入生はそれを拒もうとします。
何と悲しいことでしょう。これが反抗期というやつでしょうか。
しかしボクは諦めません。ボクには学園長として、彼らを立派な生徒に育て上げる義務がありますから。
清く正しく殺し合う。某少年ジャンプ漫画のような生徒を育て上げてみせると誓います!
まあ殺害対象はボクじゃないんですけどね。うぷぷぷぷ!
80:🎏 :2013/7/13(土) 01:28:24 ID:GdDqM49c02
キーンコーンカーンコーン……
「オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよー!」
「さて、今日も張り切っていきましょー!」

……という校内放送で目が覚めた。糞、やっぱり現実かよ。
太陽の光が遮断された校内なので実感は湧かないが、朝になったらしい。
しかし、俺の体はだるいままである。無視して寝続けてやろうかと思ってた、その時だった。

ピンポーン、とチャイムが鳴った。それは校内放送のそれとは異なるチャイム音。間もなくドアの方からノックの音がするのを確認した。
どうやらこの部屋、インターホン付きのようだ。超高校級同級生達の中の誰かだろうか。俺は気だるい体を無理やり起こして、のそのそとドアの方へ向かった。
81:🎏 :2013/7/13(土) 01:30:09 ID:GdDqM49c02
「おはよー、左雨くん!良い天気……なのかは知らないけど、とりあえず朝だよ!」

俺を迎えてくれたのは、超高校級のサッカー選手である本田川佑子だった。
輝穂や愛梨には劣ってるとは思うが、基本的には皆美少女であり、それは佑子も例外ではなく、そんな美少女が迎えに来たことで少し心が躍る。

「朝っぱらから何だよ……こっちはまだ眠たいんだよ」

と、俺別に美少女来たからって動じてねえしアピールをかましておいたが、そんなことは関係なく佑子は続けた。

「いいからいいから!皆で朝ごはん食べようよ!」
「いいよ……俺、朝は食べないんだよ」
「駄目だよ!朝からしっかりエネルギーを取っとかないと一日を元気よく活動できないよ!」
「それに、昨日の晩に何も食べてない人だっているんだし。左雨くん、さっさと部屋に戻ってたし、左雨くんもきっとそうでしょ?」
「それは……まあ確かにそうだけど」
「食べないのは体に毒だよ!それに、食べるのもトレーニングだよ!しっかり食べないと体は作れないよ!」
「俺はスポーツやってないからどうでもいいのに……」
82:🎏 :2013/7/13(土) 01:31:11 ID:GdDqM49c02
こんな感じで押し込まれ、朝食を食べる運びとなった。
佑子は皆一緒に朝食を食べるつもりのようで、他のメンバーを起こしに行く作業を手伝わされた。
こうして佑子は全員を叩き起こし、そのまま全員を引き連れて食堂へと向かった。
食堂の時計を確認すると7時30分頃だった。14人もいると起こすだけでも時間がかかって一苦労である。

キング「俺達を集めて何をするつもりだ?まさか禁忌の呪文を唱えるつもりか?」

中岡笑「どういう考え方をすればその結論に辿り着くんですか?」

本田川佑子「さっきも言ったけど、皆で朝ごはん食べようって思って。食べなきゃ体も音を上げるからね」

本田川佑子「それに、触れ合いの時間も必要かなって。モノクマに対抗するには、私達が一丸となって挑まなきゃ!」
83:🎏 :2013/7/13(土) 01:32:43 ID:GdDqM49c02
黒魔帝兎「つまり食事を通じてコミュニケーションを図り、仲良くなろうって話か」

本田川佑子「まあそういうことだね」

場明日虎美「無理やな。うちは成り金球団とだけは仲良くなるつもりはないで」

黒魔帝兎「それはこちらの話だ。紳士たる読売巨人軍と言えど、我慢の限界はある」

中後小百合「夫婦喧嘩は犬も食わないってね」

黒魔帝兎「……中後、何か言ったか?」

中後小百合「いいや。気のせいじゃないか?」

肉丸健太「どうでもいいけど早く食べよう!食べ物は僕達を待ってはくれないんだよ!」

中岡笑「いや、いくらでも待ちますよ!」

白鳥輝穂「あ、あの、私が何か作りましょうか?簡単なのしか作れませんけど」

百目鬼良子「私も手伝います。白鳥さんだけに押し付けるわけにはいかないです」

本田川佑子「私も手伝うよ!よーし、皆でさっさと作っちゃおう!」
84:🎏 :2013/7/13(土) 01:34:35 ID:GdDqM49c02
中村闘球「……皆で作るとは言っても、やはり三人では時間がかかるな」

キング「他の女共も手伝ってやったらどうだ?」

場明日虎美「うちは駄目やな。たこ焼き作るんでも焦がすような女やで?あかんやろ」

中後小百合「私もパスだ。家事の出来る夫を捕まえないと将来が危ういような女でね」

夜桜愛梨「私は私を雇ってくれるご主人様のためだけに働きます。タダ働きは御免です」

相田鳥子「料理は食べるものだろー!作るの手伝うって、何言ってんだー!馬鹿かー!?」

中岡笑「……うん、これは諦めた方がよさそうですね」

中後小百合「女にだけ任すんじゃなくて男共も手伝ってやったらどうだ?」

黒魔帝兎「あの三人と一緒に料理作れるんだから、男の中で料理出来る奴がいたらとっくに名乗りを上げてるだろう」

左雨瑞樹「そういうことだ。俺達は大人しく待つとしよう」

中村闘球「ただ待つのも時間が勿体無い。本田川の言うように交流を図るとしようぜ」
85:🎏 :2013/7/13(土) 01:36:29 ID:GdDqM49c02
中後小百合「一応確認しておこうか。部屋の中で何かあったか?」

黒魔帝兎「殺害に使えって道具以外は何も」

中後小百合「同じか。どうやら誰の部屋にも脱出の糸口はなかったみたいだな」

夜桜愛梨「脱出には関係ないですが、気になることはありましたよ、糞共」

中岡笑「すごいナチュラルに毒舌ぶっこんできますね……」

夜桜愛梨「室内が凄い静かだとは思いませんでしたか?」

左雨瑞樹「あっ、それ俺も思った。隣の音も聞こえないで、けっこう不安を覚えたよ」

場明日虎美「防音加工がしてるんかもしれんな。うち、六甲おろし歌ったのに、誰も気づかんかってん」

中岡笑「何でそんなの歌ってんですか、あなたは?」

場明日虎美「うちにとっての聖歌やからや、アホ」

キング「つまり俺が呪文を唱えても、誰にもばれることはないということだな」

中村闘球「そんなのを聞かなくて済むなら防音加工に感謝だな……」

本田川佑子「お待たせ!簡単なのだけど朝ごはんできたよ!」

肉丸健太「待ってましたー!」

中後小百合「とりあえず飯をつつくとするかね……」
86:🎏 :2013/7/13(土) 01:38:31 ID:GdDqM49c02
佑子達が作ったのは、トーストに目玉焼きの乗ってるいわゆるラピュタパンと、たっぷり野菜が使われたコンソメスープだった。
適当でごめんね、と天使な輝穂は謝ってたが、朝食を抜くのが当たり前な俺にとっては十二分に立派なメニューである。ありがたく食べさせてもらおう。
料理は言うまでもなくうまかった。冴えない俺が女子から料理作ってもらえる機会は今までなく、そんなだから輝穂達が作ってるって事実だけでごちそうなのさ。
それに、皆でワイワイ食べるのは本当に楽しかった。食事の僅かな時間でも、狂気的事件に巻き込まれている事実を忘れることが出来た。
勝手な憶測だが、それは皆も一緒ではなかろうか。
皆と一緒にいると楽しい。ひと癖ふた癖ある連中だが、皆根っこの部分では優しくて、その優しさに触れてると、この狂った環境の中、救われたような感覚になる。
俺、皆と知り合えて、仲間になれてよかったなって思う。死亡フラグみたいだけど、マジで思ってる。
だから俺は本当の学園生活を皆と一緒に送っていきたい。
そのためには、まずは脱出だ。これから皆と協力して、脱出方法を探していくんだ。
皆との和やかな朝の食事会で、俺はシリアスにそのようなことを考えていたのだった。
87:🎏 :2013/7/13(土) 01:40:11 ID:GdDqM49c02
食事が終わると、自然と今日一日はどうするかという話になった。

本田川佑子「ごはんをしっかり食べれたね!さて、今日はどうしよっか?」

黒魔帝兎「昨日は結局脱出の糸口を掴めなかった。今日も今日で探索をする必要があるだろう」

黒魔帝兎「ただ、今日からは個々の探索でいいだろう。各自が気になることを調べてみるといい」

中村闘球「そうだな。個々で調べた方が効率良いと思うし、交流は十分果たせたと思うからな」

黒魔帝兎「そういうことだ。それに、朝の食事会は続けていくつもりだろ?」

本田川佑子「うん!体にもいいし、皆の心も一つになるからね!」

中後小百合「モノクマに対抗すべく一丸にはなれたようだな。さあ、脱出といこうかね」

中村闘球「今日の探索結果は明日の朝にでも報告してくれればいいよな。それじゃ探索に移るか!」

こんな感じでそれぞれ自由に探索することとなった。
88:🎏 :2013/7/14(日) 00:29:50 ID:GdDqM49c02
兎や愛梨のように一人で行動する奴もいれば、佑子・良子・輝穂のように組む奴もいた。この三人は料理同盟として深い友情でも芽生えたのかね。
さて俺はどうしようか、なんて考えてると、佑子が俺の方へ駆け寄ってきた。ハーレム結成の御誘いが来たのかと思って期待半分に身構える。

「ねえねえ、左雨くん」
「何だよ?」
「ちょっとお願いがあるんだよね」
「っ!……何だよ、そのお願いって?」
「今日これからさ……氷室さんと付き合ってくれないかな?」
89:🎏 :2013/7/14(日) 00:30:55 ID:GdDqM49c02
氷室。フルネームは氷室エリカ。読んでる人がいたとして、その中でマジで忘れてる人もいるんじゃなかろうか。とりあえず俺は忘れてた。
エリカは名前以外名乗らなかった、才能も謎のままの無口少女である>>27

「氷室さんとも仲良くしなきゃとは思うんだけど、何故か忘れてしまうというか。雰囲気も何か近寄りがたいし……だから左雨くんにお願いしたいの!」

って感じのことを佑子は言った。あー……ここで俺の貧乏くじ体質が来るのかね。
いや、女子と一緒にいれるのは嬉しいかもだけど、エリカって本当に私に関わるなムードを発してて、どう接すればいいのかわからん。
かといって、エリカとだけ仲良くなれないのは問題だし、佑子の頼みを断るのも嫌だし。
そんなわけで、貧乏くじな俺は謎のミステリアス少女と絡むことにしたのだ。
90:🎏 :2013/7/14(日) 00:32:16 ID:GdDqM49c02
「あー、エリカ。今日さ……俺と一緒に探索しないか?」
「……」
「ほら、俺達、エリカのことよく知らないままだしさ。一丸となってモノクマに挑むためには交流が必要だと思うぜ?」
「……」
「えーっと……俺、何かエリカを怒らすようなことしたか?」
「……」
「ごめんなさい。何か……もう本当にごめんなさい」

絡んだ結果がこれである。もう惨敗以外の適切な言葉が見つからないほど悲惨なことになってる。
これはあかんて。この調子で一日一緒にいたら俺の精神が死んでまう。というわけで、ギブアップの意思を込めて佑子の方を見る。
しかし佑子は「頑張って!」的なファイティングポーズを返してきた。こうなると何かもう断れないんだよなあ。

こうして俺は無言の少女を引き連れて気まずい探索を開始したのだ。
91:🎏 :2013/7/14(日) 00:33:43 ID:GdDqM49c02
探索と言っても、きちんとした探索は昨日皆で済ましてしまった。なので俺が今後出来ることはあまりないと思う。
新発見は、俺達の中で言えば兎や小百合みたいな賢そうなオーラを醸し出してる奴がするような気もするし。
破壊活動は闘球や良子の出番であって、俺の出る幕はないだろう。
更には、主人公に適してそうな前向きで諦めない姿勢の佑子が脱出の糸口を掴んだりしそうな、そういう根拠のない考えまで浮かぶ始末で。
そういうわけで、俺は探索というの名のただの散歩をしている。
その間ずっとエリカに話しかけていたのだが、オール無視で、俺の心は既に数回折れていた。
だから散歩中は気まずいし、モノクマメダルが順調に集まるだけで、もう今すぐ終わらせたい気持ちに駆られてた。

というわけで、何か知らんがけっこう集まってしまったモノクマメダルを処理しようと、俺はエリカと購買部に向かった。
92:🎏 :2013/7/14(日) 00:34:33 ID:GdDqM49c02
購買部に辿り着くと、
「いらっしゃーい!殴殺から呪殺まで、殺しを見つめるモノクマです!ガオー!」
忌々しい監禁殺戮学園の学園長が出迎えてくれやがった。

モノクマ「あれあれ?左雨くん、デート中ですか!?青春真っ最中だね!」

左雨瑞樹「うるせえ、殺すぞ」

モノクマ「何と!学園長に手を出そうというのですか!これは水留くんのようにおしおきが必要だね!」

左雨瑞樹「言っただけだ、軽く流せよ。それよりあのコイン持ってきたから、購買部の物を何か売ってくれよ」

モノクマ「承りました!原作じゃモノモノマシーンで運頼みだけど、今回は普通に売ってあげますから安心してくださいね!」

左雨瑞樹「原作?お前、一体何を言ってんだ?」

モノクマ「メッタメタな発言だよ!ワクワクドキドキしちゃうよね!」

モノクマ「それで結局何買うの?どんな殺しのアイテム買っちゃう?あ、それともコンドーム?」

左雨瑞樹「本当に殺すぞ、この野郎」
93:🎏 :2013/7/14(日) 00:35:39 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「お前の計画には乗らんから、殺しのアイテムなんぞ買わねえよ」

モノクマ「しょぼーん……優しい学園長がこんなに環境を整えてるのにまだ殺し合いしないとか言ってるんですか。これがゆとりか……」

左雨瑞樹「言ってろ。普通の日常生活で役立ったり楽しめる道具は何があるんだ?」

モノクマ「各種コスプレ衣装とかどうよ?金髪ツインテや黒髪ロング等のカツラとかもあるし、氷室さんを好みにコーディネートしちゃいますか!?」

左雨瑞樹「もういい、お前に聞いた俺が間違いだった。自分で見て選ぶから黙ってろ」

モノクマ「しょぼーん……」

左雨瑞樹(……でも、正直あんまり欲しいのがないな)

左雨瑞樹「エリカ、何か欲しいのあるか?」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「いや、何かもう本当にすみません……」

モノクマ「あれれー?お二人は倦怠期なのかな?それじゃやっぱりコンドームで情熱的な夜を過ごす必要があるよね!」

モノクマ「そしてボクは監視カメラでしっかりと見ちゃうのです!覗きはいけない、でも若さゆえの一夜の過ちを防ぐためにも監視は必要だよね!はあはあ!」

左雨瑞樹「脱出したらお前は必ず死刑台に送ってやるからな」

モノクマ「しょぼーん……」
94:🎏 :2013/7/14(日) 00:37:04 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹(結局皆が喜びそうなのばっか買っちまった……)

左雨瑞樹(後でそれぞれプレゼントでもしてやるかな)

左雨瑞樹「……もう昼か。食堂に行って飯にするか?」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「……食堂に行って飯にするからな」



左雨瑞樹「……健太、お前探索してねえだろ?」

肉丸健太「違うよ!僕は食堂と厨房をメインに探索してるだけだよ!」

左雨瑞樹「ひたすら食ってるだけじゃねえか、馬鹿野郎」

場明日虎美「まあええんとちゃう?」

左雨瑞樹「虎美か。いいのかよ?」

場明日虎美「ぶっちゃけ、こういうのの手がかりは中村や本田川、中後あたりがどうにかしそうやんか。自分、相田やキングに期待できるか?」

左雨瑞樹「あー、あの二人はまあ厳しいだろうなあ」

場明日虎美「そういうことや。うちもあんたもあのデブもたぶん同類やろうから、うちらの探索は気楽にやってええやろ」

左雨瑞樹「これを話にしても俺達は主人公になれそうもないしな」
95:🎏 :2013/7/14(日) 00:39:12 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「さて、昼やから食堂に来たけど、料理トリオがおらんがな。うちはどないしたらええねん?」

肉丸健太「僕のように素材のまま食べればいいんだよー。素材そのものの味を共に楽しもうよー」

場明日虎美「じゃかしいわ。ちゃんとしたもん食いたいねん、こっちは」

左雨瑞樹「ちゃんとしたもんかは知らんが、よければこれやろうか?」

場明日虎美「ん?おお、カップ麺やん!あれ、厨房にそんなんあったかいな?」

左雨瑞樹「俺が購買部で買っといたんだよ。俺とエリカの分もあるから気にせず貰っとけよ」

場明日虎美「貰う貰う!何や自分ええやっちゃなあ!あの成り金糞球団も見習えいう話やで!」

肉丸健太「よければ僕も欲しいな!」

左雨瑞樹「お前は食材を素材のまま食べるんじゃなかったのか?」

肉丸健太「正直に言うと、食べる専門だから調理出来ないだけだよ!」

左雨瑞樹「食べるの好きなら調理も出来るようになっとけよ……」
96:🎏 :2013/7/14(日) 00:40:17 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「うまいわあ!この安っぽい味がええねんなあ!」

肉丸健太「どれだけ高級なうまいものを食べても、最後は食べなれた味に行きつくと僕は思うよー」

左雨瑞樹「好評なようでよかったよ。やっぱカップ麺の安い感じは何かいいよな」

場明日虎美「しかし自分、よう金見つけたな。うちも単独で探索しとるんやけど見つからんねん。どこにあんの?」

左雨瑞樹「いや、そう言われても何となく調べてみたら見つけたって感じだしなあ」

場明日虎美「超高校級のモノクマメダル見つけやな」

左雨瑞樹「嫌な才能だな、それ。ていうか、モノクマメダル見つけって何だよ?語呂悪いな」

左雨瑞樹「……なあ、虎美」

場明日虎美「ん?何や?」

左雨瑞樹「お前ってさ、何で阪神が好きになったの?」

場明日虎美「何や、藪から棒に」

左雨瑞樹「いや……こうして才能として自他共に認められるほどのめり込んだ理由って何なんだろうなって気になって」

場明日虎美「ふうん……まあええわ。カップ麺のお礼に話したるわ。そんな隠すような話でもないしな」
97:🎏 :2013/7/14(日) 00:41:37 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「話し方でわかる思うけど、うち生まれは大阪やねん」

肉丸健太「余裕で想像できるねー」

場明日虎美「せやから地元はもう阪神狂いや。そりゃうちも阪神に染まるわな」

左雨瑞樹「そうだな。……えっ、それだけ!?」

場明日虎美「それだけって何やねん!うちにとっては大事なことなんやで!」

場明日虎美「……スポーツってな、勝負の一瞬に選手一人一人のドラマが垣間見えんねん」

場明日虎美「血のにじむような努力でプロの世界に入り、そこで真剣勝負をするわけやろ」

場明日虎美「そうなると絶対に勝者と敗者にわかれるわけや」

場明日虎美「努力が実って勝てた時の喜び、涙……」

場明日虎美「努力も空しく負けた時の悲しみ、涙……」

場明日虎美「それらによって出来あがる物語は、全ての観戦者に大いなる感動を与えるもんや」

場明日虎美「スポーツには、それを見るうちらに感動と活力を与えるような、そういう力が隠されてるんや」

場明日虎美「そしてそのプロスポーツで、うちにとって一番身近な存在やったのがプロ野球の阪神や」

場明日虎美「せやからうちは、うちに感動と活力を与えてくれる阪神が大好きなんや」

場明日虎美「そんな阪神を応援することで、うちだって阪神の選手の活力になりたいんや。以上が好きな理由や。文句あるか?」

左雨瑞樹「……いいや、ねえよ。しっかりとした理由があったんだな」
98:🎏 :2013/7/14(日) 00:42:47 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「ありがとな。いい話聞かせてもらったよ」

場明日虎美「ほんまか?うちの阪神好きのきっかけ話しただけやんか」

左雨瑞樹「俺は本当にいい話だったと思ってるぜ」

左雨瑞樹「そんで健太は何かいいエピソードねえの?」

肉丸健太「ないよー。場明日さんの話の後で振らないでよー」

肉丸健太「僕はもう、ただ単に食べるのが好きなだけだよー」

場明日虎美「しょうもなっ!何やねん、自分!ええ話ないんかい!」

肉丸健太「面目ないよー……」

左雨瑞樹「……食ったな。それじゃそろそろ探索再開としますか」

場明日虎美「よっしゃ、腹も膨れたことやし、こっから脱出する方法を適度に探すとしよか!」

肉丸健太「僕は引き続き食堂を調べておくよ」

場明日虎美「ええから校内幅広く探さんかい、このデブ!」

左雨瑞樹「お前ただ単に飯食ってたいだけだろ!」

肉丸健太「面目ないよー……」
99:🎏 :2013/7/14(日) 00:44:04 ID:GdDqM49c02
肉丸健太「仕方ないなー、口惜しいけど、食堂を発つとするよー」

場明日虎美「おう、それがええ。捜査の基本は足やで!」

肉丸健太「だから左雨くん、一枚モノクマメダルくれないかなー?」

左雨瑞樹「何がどうなって「だから」なんだよ?」

肉丸健太「購買部でキャンディでも買おうかなって思ってさー」

場明日虎美「食堂を後にするから、移動しながらでも食えるもん買おういう魂胆かい?」

肉丸健太「いや、僕、相田さんにキャンディあげる約束してるからさー」

左雨瑞樹「……ああ、してたな。確かに」

肉丸健太「相田さん覚えてないかもしれないけど、それを理由に約束破りたくもないからねー」

肉丸健太「だからお願いだよー。僕がコイン見つけたら返すからさー」

左雨瑞樹「……いや、いいよ。やるよ、これ」

肉丸健太「え、いいのー?」

左雨瑞樹「女のためにって聞かされちゃ、コイン一枚を女々しく引きずる気にもならんわな。これで鳥子を喜ばせてやれよ」

肉丸健太「ありがとー!恩に着るよー!」
100:🎏 :2013/7/14(日) 00:45:47 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「……行ったな、あのデブ」

左雨瑞樹「なあ、健太と鳥子ってどう思う?」

場明日虎美「どう思うって?」

左雨瑞樹「けっこうあの二人、絡んでる印象あるんだけど、恋愛感情なのかなって」

場明日虎美「それはないんちゃう?仲ええっぽいけど、愛情やなくて友情いう奴やで、あれは」

左雨瑞樹「男女の友情って成り立つか?」

場明日虎美「成り立つやろ。うちだって……友情やないけど、あの糞成り金と腐れ縁やっとんやから」

左雨瑞樹「お前らだって恋愛感情だろうに。何を謙遜してんだ」

場明日虎美「お前を殺してこっから出てもええねんで?」

左雨瑞樹「すみません。……まあでも素直になることも覚えたらいいよ」

場明日虎美「せやからそんなんちゃう言うとるやろが……まあええわ。一応覚えとくわ」

場明日虎美「……うちもそろそろ行くわ。さっさと脱出して、一緒に阪神戦でも観戦しに行こうや!」

左雨瑞樹「それはデートのお誘いか?夢が広がるな」

場明日虎美「この場明日虎美様と一緒に居れる幸せを噛みしめるんやな。ほななー!」

左雨瑞樹(……虎美、健太と少しは仲良くなれたかな?)
101:🎏 :2013/7/16(火) 00:42:18 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「さて、俺も午後の探索と行こうかね……」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「うおお!?……わりい、ちょっと忘れてたというか何と言うか……」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「相変わらずか……まあいいや、一緒に午後の探索と行こうぜ」



左雨瑞樹(午後の探索を始めたはいいが、相変わらずモノクマメダルを見つけるだけの散歩状態で)

左雨瑞樹(エリカは喋ろうとしないから気まずくて)

左雨瑞樹(あーもう誰かのとこに避難してえわ)

左雨瑞樹「ということで、教室にやってきました」

本田川佑子「あ、左雨くん!どう?脱出口は見つかりそう?」

左雨瑞樹「いーや、お手上げ状態だな。そっちは?」

本田川佑子「今ね、百目鬼さんが窓の鉄板の破壊を試みてるけど……」

百目鬼良子「はあ!てや!せい!」

白鳥輝穂「百目鬼さん、頑張ってー!」

本田川佑子「百目鬼さんの攻撃+白鳥さんの応援でも駄目っぽいから、こっちもお手上げかな」

左雨瑞樹「綺麗なドロップキックかますなあ、良子……」
102:🎏 :2013/7/16(火) 00:43:38 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「そろそろ休憩したらどうだ?あんまり根詰めて挑んでも辛くなるぞ」

本田川佑子「そうだね。百目鬼さん、白鳥さん、休憩にしよー!」

白鳥輝穂「え?あ、はい。わかりました」

百目鬼良子「プロレスラーなのに窓の一つも破壊できなくてすみません……」

本田川佑子「あんだけ頑丈だったら仕方ないよ!気にしないで」

本田川佑子「……休憩はいいけど、やることないね」

左雨瑞樹「じゃあこれでリフレッシュしたらどうだ?」

本田川佑子「え?……ああー!サッカーボールじゃん!何これ、どうしたの!?」

左雨瑞樹「モノクマメダル大量に見つけて、購買部にあったから買ってみたんだ」

本田川佑子「うわーありがとう!サッカーボールだ、嬉しいなー!」

左雨瑞樹「喜んでもらえたようで、よかったよ」

本田川佑子「あと、プロテインとか適当に買ってるから、佑子も良子も欲しけりゃ貰ってくれ」

本田川佑子「神だ……閉ざされた学園に一人の神が舞い降りてきたよ……」
103:🎏 :2013/7/16(火) 00:45:51 ID:GdDqM49c02
百目鬼良子「左雨さん、私も貰ってもいいですか?」

左雨瑞樹「いいよ。俺が持ってても宝の持ち腐れだしな」

百目鬼良子「ありがとうございます。左雨さんって優しいんですね」

左雨瑞樹「普通だよ。これくらいの男ならどこにでもいるさ」

白鳥輝穂「そんなことないですよ!こんなに優しい殿方はいませんよ!」

左雨瑞樹「そんな語れるほど男を知ってんのかよ?」

白鳥輝穂「い、いや、そういうわけではないですけど……もう、意地悪しないでくださいよ」

左雨瑞樹「ははは、ほらな、優しくなんかないだろ」

白鳥輝穂「もう、左雨さんなんか嫌いです!」

左雨瑞樹「悪い悪い。ほら、この香水あげるから機嫌直してくれよ」

白鳥輝穂「えっ?」

左雨瑞樹「購買部で売ってあったんだ。何でも揃っててわけわかんねえ購買部だよ」

左雨瑞樹「……ん?ポカンとして、どうしたよ?香水のにおい、嫌いだったか?だとしたらすまんな」

白鳥輝穂「いえ……やっぱり優しいですよ」
104:🎏 :2013/7/16(火) 00:47:08 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「……佑子、すっげー嬉しそうにリフティングしてんなあ」

百目鬼良子「さすが超高校級のサッカー選手ですね」

左雨瑞樹「……なあ、良子って何でプロレスラーになったんだ?」

百目鬼良子「え?自己紹介の時にも簡単に言いましたけど、プロレスに魅せられてですね……」

左雨瑞樹「それだけならファンでいるだけでもいいだろ。そっからマジでレスラーになる奴ってあんまりいないと思うし」

百目鬼良子「そうですか?憧れの対象があれば、それに近づきたいと思い、努力するのは当然だと思いますけど」

左雨瑞樹「あー……そういうとこが超高校級と普通の違いなのかもなあ」

左雨瑞樹「いろんなプロの凄技を見て、憧れたり俺もやってみたいって思いはするけど、いざそれを目指して努力し始めると、過酷すぎて挫折するんだよ」

左雨瑞樹「だから大抵は憧れるだけで終わっちまうんだよな。そこから実現するまで挫けずに努力した良子は凄いよ」

百目鬼良子「あ、ありがとうございます……」

左雨瑞樹「……せっかくだからさ、プロレスのこと詳しく教えてくれよ。俺、あんま見ないからさ」

白鳥輝穂「私も百目鬼さんのお仕事の話、聞いてみたいです」

百目鬼良子「わかりました。それではお話させていただきますね」
105:🎏 :2013/7/16(火) 00:49:53 ID:GdDqM49c02
百目鬼良子「プロレスって、台本のあるエンターテイメントなんですよね」

百目鬼良子「ベビーフェイスっていう善玉とヒールっていう悪玉のレスラーに分かれまして、試合を通じたストーリーを展開するものなんですね」

左雨瑞樹「良子は確か今はヒールやってんだよな」

百目鬼良子「はい。悪の限りを尽くしてお客さんからブーイングを貰うような役目ですね」

百目鬼良子「そういう選手が大一番でヒーローにやっつけられるのは、お客さんも見てて気持ちいいでしょう」

白鳥輝穂「でも、ブーイングされるのは辛くありませんか?百目鬼さん、本当は心優しい御方なのに……」

百目鬼良子「でも、悪役がいないとショーが成り立ちませんからね。大事な役柄を任せていただいてるので、そういう意味では嬉しいですよ」

左雨瑞樹「試合内容も全部台本で決められてるのか?」

百目鬼良子「団体によって多少異なりますが、勝敗さえストーリーに沿っていれば試合内容は大体レスラーに任せてもらえますね」

百目鬼良子「ただ、ストーリーの展開に沿うように、試合内容を指定される場合もありますけどね」

白鳥輝穂「へ〜……しっかりとお話の内容や展開を決めてあるんですね。何だかドラマみたいですね」

百目鬼良子「そうですね。一発撮りの格闘技を題材にした本物の痛みで彩るドラマって思っていただければ」

百目鬼良子「だから、八百長みたいな、真剣勝負じゃないといけない競技で不正を働いてるように言われると、大人気なく悔しく思ってしまいますね」

百目鬼良子「しかし……日本のプロレスでは台本の存在を公にしない傾向にありますし、近年では人気も低迷して、理解者は減るばかりです」

百目鬼良子「プロレスとは一体どういう物なのか、どう楽しめばいいのかを、プロレスの人気を取り戻しつつ皆さんにお伝えできればと思ってます」

左雨瑞樹「……立派な志を持ってんだな」
106:🎏 :2013/7/16(火) 00:51:05 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「いい話が聞けたよ。ありがとう、良子」

百目鬼良子「いえいえ、私も話を聞いていただけて嬉しかったです。ありがとうございました」

左雨瑞樹(……皆の才能に関する話を聞くの楽しいな)

白鳥輝穂「……左雨さん、どうしました?ボーッとしてたみたいですけど」

左雨瑞樹「いや、何でもないよ。それより、お互い休憩はそろそろ切り上げた方がいいんじゃないか?」

左雨瑞樹(まあ休憩を切り上げたところで俺は散歩しかできないけど)

百目鬼良子「そうですね。では……本田川さん、探索に戻りましょう」

本田川佑子「ちょっと待って!私まだリフティングしていたいんだよ!」

左雨瑞樹「いや、もう十分だろ……どんだけボールが友達なんだよ……」

白鳥輝穂「では私も再び応援します!左雨さん、香水ありがとうございました!」

百目鬼良子「私も白鳥さんの応援を力にして、破壊活動を頑張ります!プロテイン、ありがたく飲ませていただきます!」

左雨瑞樹「いやいや。それじゃ俺は行くから、そっちはそっちで頑張ってな」

左雨瑞樹(……三人と仲良くなれたような気がする。気のせいじゃありませんように)
107:🎏 :2013/7/16(火) 00:52:06 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹(皆の話を聞いて親交を深めるの、何か楽しいよなあ)

左雨瑞樹(今回は良子の話がメインになったけど)

左雨瑞樹(いつか輝穂や佑子の話も聞いてみたいもんだな)

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹(そしてナチュラルにエリカのことを忘れてたよ、俺……)

左雨瑞樹(まあでもこいつとも話をして、いつか仲良くなれたらいいなあ)

その後、俺はいつまでも無口な氷室エリカを引き連れて探索兼散歩を続けた。
しかしモノクマメダルが見つかるだけで、脱出の糸口は見つからない。
そうして時計の針は夕暮時を示すようになったので、その日の探索は終わりにした。
食堂で適当に食った後、部屋に戻って夜を過ごす。購買部で携帯ゲーム機買っておいたから暇は潰せる。
そうこうしてるうちに、例の夜時間を知らせるモノクマの校内放送を聞いてから、俺は夢へと突入したのだった。
108:🎏 :2013/7/16(火) 00:53:21 ID:GdDqM49c02
〜モノクマ劇場〜

何なんでしょうか、これは。
ボクはコロシアイ学園へと誘ったはずなんですがねえ。
殺しそっちのけでイチャイチャしてるだけではありませんか!
いつからこれはグロ系胸糞SSからギャルゲーイチャイチャSSになったんですか!
学園長としてこれは見過ごせません!
だってそうでしょう?うらやま……けしからんですから!
学生の正しい性教育のためにも、モノクマ学園長は立ちあがります!
ボクの何が立つのかは皆さんの想像にお任せします。うぷぷぷぷ!
109:🎏 :2013/7/17(水) 02:04:02 ID:HKT.6or5os
モノクマの朝を告げる校内放送で目が覚める。
眠気はまだある。今時の高校生が夜10時から寝てられっかよってことで、ゲームで夜更かししているからだ。
もうちょっとまどろんでいたいのだが、昨日と同じように来訪者が現れるのだった。
部屋の呼び鈴が鳴る。だるい体を起こして出てみれば、

「おはよう、左雨くん!朝ごはん食べに行こうぜー!」

佑子の朝から元気な声が俺を刺激した。
これ、毎日続けるのか?俺は俺のペースで一日を始めたいとも思うのだが。

「いいからいいから!早寝早起きに朝ごはんをちゃんと食べる!こんなにいいことってないんだからさ!」

すまん、俺は既に早寝から達成してないんだ。しかしそんなことは知らねえと、佑子は他の皆も同様に起こして回った。
そうして全員を起こしてから、皆で一緒に食堂へと向かう。昨日と全く同じパターンである。
110:🎏 :2013/7/17(水) 02:04:54 ID:HKT.6or5os
昨日と同じく食堂に入り、昨日と同じく7時半で、昨日と同じ三人が食事作りにかかる。
リプレイかよ、と思うほどに同じ展開だったのだが、これから始める会話の内容はさすがに異なっていた。

中後小百合「さて、昨日は個々で探索してみたわけだが、何か発見はあったか?」

相田鳥子「デブがあたしにキャンディくれたぞー!嬉しいぞー!」

中後小百合「そうか、よかったな」

キング「昨日は原因不明の頭痛に襲われた。連中のサイキック攻撃かもしれん……皆も気をつけろ!」

中後小百合「そうか、大変だったな。……結局発見は無しってことか」

中岡笑「衝撃的なスルースキルですね……」

黒魔帝兎「まともに取り合ってたらそれだけで日が暮れそうだからな」

肉丸健太「しかし見事な閉じ込めっぷりだよねー。どうやって学園をこんなのにしたのかなー?」

中村闘球「それについては少し思うところがあるな」

夜桜愛梨「それは何ですか、糞野郎」

中村闘球「ここは本当に希望ヶ峰学園なのか?ってことだ」
111:🎏 :2013/7/17(水) 02:06:14 ID:HKT.6or5os
相田鳥子「ここが学校じゃないって、何言ってんだー!馬鹿かー!?」

中村闘球「俺達は玄関ホールに朝8時集合として希望ヶ峰学園へとやってきた」

中村闘球「それに間に合うようそれぞれが早めに登校し、そこで気を失った」

中村闘球「そして皆が気がついたのは8時頃だったから、長めに計算しても一時間程度の余裕しかなかったはずだ」

中村闘球「その僅かな間で希望ヶ峰学園の出入り口を全て塞ぐというのは無理があるだろう」

中岡笑「閉じ込める準備だけは事前に済ましていたってことでは?」

中村闘球「それじゃ既に在学している上級生達にばれるだろ。その時点で事件は発覚、俺らが監禁される前に警察が解決してるはずだ」

中村闘球「どうにか監禁の準備がばれずに出来たとしても、希望ヶ峰学園なんて有名学校で人質取っての立て籠りなんかしたら事件はすぐ発覚するだろう」

中村闘球「だったら警察も即座に動きだしてるはずだ。今なお警察の救助がないのは不自然に感じる」

場明日虎美「ここ希望ヶ峰学園ちゃう思うんはそういう理由か。ただ、気になることもあるで」

中後小百合「ほう、それは何だ?」

場明日虎美「うちらが気絶しとったんは、長くても一時間程度やで?そっから他の監禁場所まで連れてけるんか?」

場明日虎美「それに、ここが希望ヶ峰学園ちゃうんなら、じゃあここどこやねん?こんな広い学校、そうそうないで?」

場明日虎美「一時間で拉致監禁は無理あるし、こんな建物他に用意できるんかいな?」
112:🎏 :2013/7/17(水) 02:07:58 ID:HKT.6or5os
中村闘球「建物に関しては確かに疑問は残るが、時間に関しては問題ないと思うぞ」

場明日虎美「ほんまか?一時間でそんなんでけへんやろ」

中村闘球「一時間ならな。ただ、一日近く気を失ってたとしたら、どうだ?」

場明日虎美「一日?」

中村闘球「時計を見て、記憶のある時間から一時間ほど進んでいたから、気絶時間は一時間だと錯覚したが」

中村闘球「実際は一日気を失ってたとしたら、希望ヶ峰学園で気絶した俺達を別の監禁場所に移すことは可能だ」

黒魔帝兎「しかしそんな長い時間気絶させておくことは可能なのか?一日も目を覚まさないなんて、相当だぞ?」

中村闘球「まあな。でも、それを言うなら俺達の意識を一瞬で奪ってるのも異常だからな」

中村闘球「麻酔か、あるいは何か別の方法があるのか……詳しくはわからんが、俺達に気付かれないまま即座に意識を奪うなんてただ事じゃねえ」

中村闘球「少なくとも、相当強烈だってことは確かなんだから、その効果が一日続いてもおかしくはないんじゃないか?」

中後小百合「……ここが希望ヶ峰学園でも、そうでなくても、両方無理のある推測に思えるな」

中後小百合「前者ならどうやって事件の準備を済ましたか、何故まだ警察が救助に成功してないのか」

中後小百合「後者なら建物をどう用意したのか、どうやって長時間気を失わせたか、疑問が残る」

中岡笑「難しい話ですけど、結局は現段階では謎だと片づけてよさそうですね」

相田鳥子「解決だなー!」

左雨瑞樹「いや、解決はしてねえよ」
113:🎏 :2013/7/17(水) 02:09:17 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「ごはんできたよ!」

中後小百合「飯が出来たか。さあ気難しい話は終わりだ。どちらにせよ監禁されてる事実は変わらないからな」

中後小百合「私達に出来るのは、自ら脱出するか、警察の助けを待つことだ」

モノクマ「警察なんか何の役にも立たないけどね!うぷぷぷぷ!」

場明日虎美「おわあ!?モ、モノクマ!?」

夜桜愛梨「いきなり湧いて出て何のつもりですか、害獣野郎」

モノクマ「ボクがどこで何をしようがボクの勝手だろ!」

中村闘球「せっかく首謀者が現れたんだから直接訊いてみるか。ここは本当に希望ヶ峰学園なのか?」

モノクマ「ここがどことか、そんなのどうでもいいじゃないですか」

モノクマ「ボクのような素晴らしい学園長がいて、殺し合える素敵な学園生活があって、それだけでいいじゃないですか!」

中岡笑「どこから突っ込めばいいんだろうか……」

モノクマ「誰から突っ込めばいいんだろうね?白鳥さん?夜桜さん?まあ誰に突っ込んだとしても避妊はちゃんとしようね!」

夜桜愛梨「糞野郎」

中岡笑「シンプルに毒吐いてる……」

中後小百合「まあ今のは致し方ないだろう……」
114:🎏 :2013/7/17(水) 02:11:00 ID:HKT.6or5os
モノクマ「そんなことよりも早くごはんを食べようよ!ボクもうお腹ぺこぺこなんだから!」

場明日虎美「お前も食うんかい!」

白鳥輝穂「す、すみません。学園長の分は作ってないんです……」

モノクマ「なんと!ボクのだけ作ってない!?これがクマ差別か……」

白鳥輝穂「す、すみません……」

黒魔帝兎「謝らなくていい。こいつ曰く、中身は機械だ。食事の必要なんてない」

モノクマ「遅れてるなー黒魔帝くんは!青い猫のロボットだってごはん食べるじゃない。今やロボットも食事をする時代なのですよ!」

本田川佑子「でもやっぱり食べる必要はないと思うけど……」

モノクマ「もー!何で皆でボクをいじめるかなー!もう怒っちゃったもんね!」

モノクマ「ボクは戻って一頭で寂しく食事を楽しむとするよ。引き止めたってもう遅いよ!じゃあね!」

モノクマ「……ちらっちらっ」

場明日虎美「ええから帰れや!」

モノクマ「しょぼーん……」

中村闘球「やっと消えてくれたな……」

本田川佑子「気を取り直して食事にしよう……今日は和食だよ」

左雨瑞樹「米に味噌汁に焼き魚……日本人の朝はこうあるべきだよなあ、うんうん」
115:🎏 :2013/7/17(水) 02:12:19 ID:HKT.6or5os
黒魔帝兎「……食事は終えたな。では今日も各自で調べるとしよう」

左雨瑞樹「探索開始か。やっぱ今日も……」

本田川佑子「お願いね、左雨くん。私達じゃどうしようもなさそうだから」

左雨瑞樹「ですよねー。仕方ない、それじゃ……」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「今日も一緒に行きますか……」

本田川佑子「じゃあ百目鬼さん、白鳥さん、今日も一緒に行こう!」

百目鬼良子「はい!」

左雨瑞樹(俺もあっちに混ざりてえなあ)
116:🎏 :2013/7/18(木) 00:34:33 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「さて、俺達も行くとしようか」

氷室エリカ「……どうして?」

左雨瑞樹「やっぱ今日もだんまりか。じゃあついてきて……あれっ!?」

氷室エリカ「左雨くんはどうして、私に構ってくれるの?」

左雨瑞樹「喋った!?こ、これは散歩してる場合じゃない!ちょっと食堂で話そう!」

氷室エリカ「わかった」



肉丸健太「あれー?左雨くん、探索しなくていいのー?」

左雨瑞樹「その言葉、そっくりそのまま返すよ。お前、ここで食材食ってるだけじゃねえか」

肉丸健太「すごいでしょー。昨日も夜時間ギリギリまでここで食べてたよー」

左雨瑞樹「開き直りやがった……夜時間だと食堂は立ち入り禁止になるよな」

肉丸健太「だから命がけだよー。でも、僕は食べることになら命かけられるよ!」

左雨瑞樹「もっと命を大切にしろよ……」
117:🎏 :2013/7/18(木) 00:35:39 ID:HKT.6or5os
肉丸健太「じゃあ僕は厨房で食べてるからねー」

左雨瑞樹「たまには探索もちゃんとしろよ。……さて」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「俺らは俺らで話をしようか」

左雨瑞樹「一日の気まずい散歩を経てようやく喋ってくれたわけだが……結局お前は何なんだよ?」

氷室エリカ「……名前は氷室エリカ」

左雨瑞樹「知ってるよ」

氷室エリカ「超高校級の孤独としてこの学園にやってきた」

左雨瑞樹「超高校級の……孤独?」

氷室エリカ「そう。超高校級の孤独」
118:🎏 :2013/7/18(木) 00:36:44 ID:HKT.6or5os
氷室エリカ「両親は私が生まれてすぐに事故で亡くなった」

氷室エリカ「間もなく私は児童養護施設に入所した」

氷室エリカ「だけどそこでも周りの子や施設の大人とは仲良くなれなかった」

氷室エリカ「誰も私を認識しようとしない。こっちから話しかけても誰も話を続けようとしない」

氷室エリカ「私にそういう能力があるのかわからないけど、事実として確かに周りは私を遠ざける」

左雨瑞樹「……確かに、俺もお前のことはいつの間にか忘れちまうし、話しかけるのも相当きつかったからなあ」

氷室エリカ「しかしあなたは、それでも私に話しかけてくれた。それを続けてくれた」

氷室エリカ「何故なの?本田川さんが頼んだから?」

左雨瑞樹「……まあそうなるわな。佑子が俺に頼んでなかったら、ここまで絡むことはなかっただろうよ」

氷室エリカ「超高校級の貧乏くじだから?」

左雨瑞樹「そう。厄介事でも、頼まれると何故だか断れねえんだな」

氷室エリカ「厄介事とは私のこと?」

左雨瑞樹「うーん……まあ今回だとそうなるわな」
119:🎏 :2013/7/18(木) 00:37:56 ID:HKT.6or5os
氷室エリカ「ごめんなさい。私のせいで迷惑をかけてしまった」

氷室エリカ「もう構わなくていい。私は孤独。誰からも必要とされない存在」

氷室エリカ「児童養護施設だってそう。希望ヶ峰学園から案内が来た時、即座に私を追い出した」

氷室エリカ「希望ヶ峰学園にも居場所はなかった。私は自然と皆に忘れられ、遠ざけられてる」

氷室エリカ「無理に近づいたあなたにも迷惑をかけている」

氷室エリカ「誰もが私と関わりたくない。誰もが私を遠ざけたい」

氷室エリカ「私は孤独。孤独は誰かと関わってはならない。関わることで迷惑になるから」

氷室エリカ「だからもうあなたは私と関わるべきではない。今までありがとう。そしてごめんなさい」

左雨瑞樹「……やっぱ面倒だよなあ、お前って。喋ったら喋ったで糞面倒だよ」

氷室エリカ「自覚している。だから関わるべきではないと言ってる」

左雨瑞樹「知らねえよ、馬鹿」

氷室エリカ「……え?」
120:🎏 :2013/7/18(木) 00:40:09 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「確かに誰かと関わるのは面倒だよ。エリカだけじゃなくて、誰と絡んだってそうだ」

左雨瑞樹「特に俺は超高校級の貧乏くじだからか、問題児を押し付けられることも珍しくねえ。だから糞ほど面倒臭い人生を送ってる」

左雨瑞樹「でもな、だからってそいつらを拒絶する気は毛頭ねえぞ、俺は」

左雨瑞樹「一人一人が違う人間で、それぞれ違う個性があるから様々に振り回されるけどよ、そんなんが拒絶の理由にはならねえよ」

左雨瑞樹「関わるのが難しくて、くだらんことですれ違って、怯えながら相手を窺う、糞ほど面倒臭い存在でも」

左雨瑞樹「それでも仲良く在ろうと手を差し出せるのが友達だろ」

左雨瑞樹「そりゃまあ佑子に頼まれたからっていう最低な部類の理由ではあるけどよ、お前と仲良くなりたい気持ちは嘘じゃねえ」

左雨瑞樹「何の因果か同級生になって被害者仲間になってんだからよ。仲良く団結してモノクマの企みを壊してやろうぜ」

左雨瑞樹「様々な面倒事を乗り越えて心を開いた親友ほど、素晴らしいもんはないと思うんだよ。だから俺はお前に関わる」

左雨瑞樹「迷惑とか知らねえ。お前が迷惑に思うなら考えなきゃいかんかもしれんが……俺が迷惑に思う分には遠慮なく関わってやるからな」

左雨瑞樹「だからこれからも覚悟してくれ、超高校級の孤独さんよ。俺がお前の才能全否定してやるよ」

氷室エリカ「……いいの?それで迷惑がかかるのは左雨くんなのよ?」

左雨瑞樹「いいんだよ。人と関わるのはそれだけで迷惑で、でも素晴らしいんだよ。孤独じゃなくなったら嫌でもわかるさ」
121:🎏 :2013/7/18(木) 00:41:32 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「エリカとしてはどうなんだ?人と関わるのは嫌か?」

氷室エリカ「わからない」

左雨瑞樹「わからない?」

氷室エリカ「私は誰かと仲良くすることなんて許されないと思っていた。だからそんなこと考えたこともなかった」

左雨瑞樹「じゃあこれから考えればいいんだよ。どうだ?俺や佑子、輝穂に闘球……皆と仲良くしてみたくないか?」

氷室エリカ「……仲良くしてみたい。あなたが話しかけてくれると心が温まる。これがきっと人の温もり……」

氷室エリカ「私はもっとこの温もりを知りたい。だから可能ならこれからも仲良くしてほしい」

左雨瑞樹「可能だよ。俺達はきっと仲良くなれる。少なくとも、俺はこれからも仲良くする」

氷室エリカ「……ありがとう」

左雨瑞樹「いえいえ。……仲良くしたいんなら、エリカからもっと話しかけたりしないとな」

氷室エリカ「確かにそう。でも、私はどう話しかければいいのかわからない」

左雨瑞樹「わからないって……決まりごとじゃないんだから適当でいいんだよ」

氷室エリカ「適当でいいと言われても、適切な方法が浮かばない」
122:🎏 :2013/7/18(木) 00:43:21 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「仕方ないな……無機物相手に発声練習とかしたら?」

氷室エリカ「無機物?」

左雨瑞樹「ほら、このぬいぐるみをやるよ」

氷室エリカ「あ、昨日購買部で買ってた……」

左雨瑞樹「女子にでもやろうかと思ってたんだよ」

左雨瑞樹「部屋は防音なんだし、自室でこっそりそいつ使って会話練習してみればいいさ」

氷室エリカ「……ありがとう。私、このぬいぐるみは好き」

左雨瑞樹「そいつはよかった。部屋に片付けに行ったらどうだ?」

氷室エリカ「いい。このまま持ってる」

左雨瑞樹「いいのか?あげといてこう言うのもあれだけど……持ち歩くと恥ずかしくないか?」

氷室エリカ「迷惑でも私に関わるのがあなたの勝手なら、恥ずかしくても持ち歩くのだって私の勝手」

左雨瑞樹「そう言われると立場がねえや。じゃあ探索に連れてってやるか」

氷室エリカ「アイビーも何だか嬉しそう」

左雨瑞樹「アイビー?」

氷室エリカ「ぬいぐるみの名前。名付け親は私」

左雨瑞樹「……お前実はけっこう愉快なキャラじゃねえのか?」

氷室エリカ「その辺は未知数」
123:🎏 :2013/7/18(木) 00:44:29 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「……話してたら、けっこう経っちまったな」

氷室エリカ「そう」

左雨瑞樹「少し早いけど昼飯にして、午後の探索に備えるか?」

氷室エリカ「それがいい。私も頑張る」

左雨瑞樹「じゃあ飯にしようぜ。購買部で弁当売ってたから買ってくるよ」

氷室エリカ「いい」

左雨瑞樹「は?」

氷室エリカ「私が何か作る」

左雨瑞樹「マジっすか!?」

氷室エリカ「マジっす。……左雨くん、急に怒鳴ってどうしたの?」

左雨瑞樹「いや、女子に料理作ってもらうのなんて、モテない男子の夢みたいなもんなんだよ」

氷室エリカ「毎朝本田川さん達が作ってるけど」

左雨瑞樹「いや、俺個人のために作ってくれるのがいいんだって!」

氷室エリカ「男子って、よくわからない生き物」

左雨瑞樹「エリカに言われたくねえよ」

肉丸健太「……君達、まだいたのー?」

左雨瑞樹「お前はまだ食ってたのかよ……」
124:🎏 :2013/7/19(金) 01:30:03 ID:HKT.6or5os
エリカが作ってくれた飯をありがたくたいらげてから、俺達は午後の探索を開始した。
相変わらずただの散歩状態だが、昨日と違ってエリカが話してくれる分、気は楽である。
でもそれは探索効率には一切関係なく、脱出の糸口はつかめないまま、モノクマメダルだけが集まるだけだった。

左雨瑞樹「……またモノクマメダルだよ」

氷室エリカ「左雨くんはモノクマメダルを見つけるのが上手」

左雨瑞樹「だから何だって感じもするけどな」

氷室エリカ「アイビーが買えた。それだけでも意味はある」

左雨瑞樹「アイビー気に入ってんな。……それにしても探索手詰まりだわ。食堂でちょっと休んでいくか?」

氷室エリカ「それがいい。正直これ以上探しても無意味に感じる」

左雨瑞樹「いっそ気持ちいいほどのぶっちゃけ具合だな。じゃあ休憩にして食堂に行こう」
125:🎏 :2013/7/19(金) 01:31:22 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「……ん?何かランドリールームが騒がしいな」

氷室エリカ「行ってみる?」

左雨瑞樹「まあ何かもめてるみたいだしな。行くしかないっぽいな。はあ……」



左雨瑞樹「おい、どうした?」

本田川佑子「あ、左雨くん!ちょっとキングくんを出して!」

左雨瑞樹「出して?」

本田川佑子「何か……邪悪なる物?っていうのに……何か、サイコキネシス的な何かで攻撃を受けて?それで、えっと、洗濯機の中に入っちゃって」

左雨瑞樹「……とりあえず面倒事なのはわかるわ。まあ確かに出てもらわないと洗濯に支障が出るもんなあ」

本田川佑子「何か……この聖域で俺は一生を生き抜くとか言いだしちゃって」

左雨瑞樹「安い聖域もあったもんだよ……」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹(エリカは喋らないか。まあ喋るの苦手なんだし、いきなりは難しいよな)
126:🎏 :2013/7/19(金) 01:32:20 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「それで、他に誰か来てないのか?」

本田川佑子「えっとね、中村くんと中後さん、あと場明日さんもいるよ」

左雨瑞樹「それだけの面子がいるなら大丈夫だろ。俺の出る幕はないんじゃないか」

本田川佑子「そうかなあ?」

左雨瑞樹「そうだよ」

キング「俺はここで超能力的攻撃を防ぐ!この聖域は誰にも侵させはしない!」

中後小百合「あー、キング。マジでそこから出てくれ。皆の洗濯に支障が出るんだ」

中村闘球「出ないとお前ごと洗濯するぞー。いいのかー?」

キング「やめろ!俺の中に眠りし漆黒の呪いは、螺旋の鎮魂歌でも解き放たれることはないのだ!」

場明日虎美「ええから出ろや!どんだけ愉快な頭しとんねん、お前は!」

キング「いてててて!髪を引っ張るな!わかった!出るから!」

場明日虎美「うっわ、ギットギトやん!最悪や!髪伸ばすんなら手入れくらいちゃんとせえや!」

左雨瑞樹「……ほらな?」

本田川佑子「解決しちゃったね。私も左雨くんも来た意味なかったね……」

左雨瑞樹「そうだな……」
127:🎏 :2013/7/19(金) 01:33:49 ID:HKT.6or5os
場明日虎美「えー……今回は事が大きくなる前に解決したわけやけど」

場明日虎美「自分、ほんまええ加減にせえよ!不思議ワールドでうちらに迷惑かけんなや!」

中村闘球「まあまあ。男はな、何歳になってもガキっぽいところがあるんだよ」

中後小百合「そうそう。彼の場合はやりすぎかもしれんが、仕方ない部分もあるんだ。許してやってくれ」

場明日虎美「出た出た!男のロマンとかそういう奴!女にはわからんとか言って正当化すんなや!」

場明日虎美「ていうか中後は何で男側やねん!?」

中後小百合「まあ怒って関係が悪くなるのも考えものだからな。呆れるのはいいが、怒るのは勘弁してやってくれ」

場明日虎美「ちっ!まあええわ、もう!男共はそのアホによう言い聞かせえや!」

左雨瑞樹「えっ、マジで?」

場明日虎美「マジや、マジマジ大マジやで!頼むからそのアホの奇行減らさせや!」

中後小百合「そういうことだ、男子達。男のロマンをうまいことコントロールしてやってくれ」

本田川佑子「私も百目鬼さんと白鳥さん待たせてるから行くね!」

中村闘球「……行っちゃったな」

キング「ふん、このエネルギーすら感知できない一般兵め!聖戦の中で召されし堕天使になるがいい!」

左雨瑞樹「これ、俺らが説くのか?マジでか?」

中村闘球「こんなん、男のロマンでも何でもないよな……」
128:🎏 :2013/7/19(金) 01:35:04 ID:HKT.6or5os
中村闘球「あー……キング、そういうくだらないことを考えたりやったりするのは楽しいかもしれない」

中村闘球「俺も昔やってたポケモソカードとかを大掃除の時に見つけたりしたら、年甲斐もなくはしゃいだりするよ」

中村闘球「雪が積もったりしたら友達呼んで巨大雪だるま作ったりするような馬鹿な男子だから、気持ちはわからんでもないんだよ。設定作ったりとか楽しいよな」

左雨瑞樹「設定作ってキソ肉マソ消しゴムとかで遊んだりしてな」

中村闘球「あーやるやるww……とにかく、そういうのを考えるのはいいけど、実行までして他人を巻き込むと迷惑になることもあるんだ。わかるか?」

キング「なるほど。つまり異空間を生み出し、次元の狭間に取り残されれば俺は救われるわけだな?」

中村闘球「あ、駄目だこれ。左雨、パス」

左雨瑞樹「どんなキラーパスだよ!?俺を殺しにかかるな!」

中村闘球「扱い難しいよなあ……そっとしとくか?」

左雨瑞樹「そっとしとこう。虎美には悪いが、騒動起こす度に解決を図る方針でいこう」

中村闘球「それがよさそうだな……」

中村闘球「じゃあ探索再開といくか。……でも正直そんな気分じゃなくなってんだよな」

左雨瑞樹「休憩したらどうだ?俺達も休憩するとこだったんだよ」

中村闘球「あー、じゃあそうしよう。俺も休憩しよう」
129:🎏 :2013/7/19(金) 01:36:04 ID:HKT.6or5os
中村闘球「そういうわけで、男三人で食堂でたむろってか」

左雨瑞樹「一応エリカもいるんだけどな」

氷室エリカ「……」

中村闘球「うおっ!?き、気付かなかった……」

キング「その気配の消し方……貴様、第七組織の手先か!」

肉丸健太「ちなみに僕もいるよー」

中村闘球「食堂大人気だな……」

左雨瑞樹「健太はいい加減マジで探索すべきだと思うんだけど、どうよ?」

肉丸健太「冗談きついよー。僕が食べるのをやめる時って、それはきっと死ぬ時だよー」

中村闘球「……なんつーか、曲者揃いだよな。俺達の同級生は」

左雨瑞樹「同意だな。まあでも悪い連中ではないさ」

中村闘球「ああ。俺もそう思うよ」
130:🎏 :2013/7/19(金) 01:37:49 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「闘球、ラグビーってどうなんだ?」

中村闘球「急だな。ざっくりした質問だし。何がどうなんだよ?」

左雨瑞樹「いやあ……俺ラグビーってあんまり詳しくないからさあ」

中村闘球「ああ、まあ日本じゃ人気スポーツとは言えないもんな」

キング「ラグビー……それは天界の神達が使いし古の兵器……」

中村闘球「キング、頼むから黙っててくれ」

中村闘球「そうだなあ……ラグビーは相手のインゴールまでボールを運んだり、バーの間にボールをキックしたりして得点し、その点数で競うスポーツだ」

中村闘球「なかなか危険な競技だから事細かにルールが定めてあり、それを覚えるのも一苦労だが、男くさい良いスポーツだと思うぞ」

中村闘球「やるのは大変だけどやっぱ楽しいし、見るだけでも十分楽しめると俺は思うぞ」

左雨瑞樹「いやあ、俺は見てるだけでいいかな。興味本位で手出したら大怪我しそうだ」

中村闘球「怪我を危惧してるのなら、比較的安全なラグビーだってあるぞ」

中村闘球「タッチラグビーとかタグラグビーっていうのがそうだ。タグラグビーの方はちょっとした小道具がいるから、やるならタッチラグビーかな」

左雨瑞樹「いや……正直俺はやる気ないから、どれだけ誘われてもやらないと思うけどな」
131:🎏 :2013/7/19(金) 01:38:33 ID:HKT.6or5os
中村闘球「そう言うなよ。何事も経験だぞ?」

中村闘球「……ボールがあればパスくらいは教えてやれるんだがな」

左雨瑞樹「あっ、俺ラグビーボール持ってるぞ。あげようか?」

中村闘球「何で持ってんだよ!?」

左雨瑞樹「いや、購買部で売ってあったからさ。闘球辺りが欲しがるかなーって」

中村闘球「……俺、モノクマメダル探してもなかなか見つからないんだけど、何でそんな簡単に見つけられるんだ?」

左雨瑞樹「何でだろう?普通に探索してる感じなんだけどな」

キング「そのコインなら俺も見つけている。これが百枚溜まる時、第二の俺が誕生するであろう……」

左雨瑞樹「マリオかよ!」

中村闘球「キングもモノクマメダル見つけるの上手いのか……意外だな」

肉丸健太「左雨くんとキングくんが占領してるから僕達はあんまり購買部で買い物できないんだねー」

左雨瑞樹「嫌な言い方するなよ……」
132:🎏 :2013/7/19(金) 01:40:16 ID:HKT.6or5os
中村闘球「まあいいや。パスを教えてやるよ」

左雨瑞樹「まあ投げ方くらいならいいか……」

中村闘球「キングも肉丸も来いよ。教えてやるから」

肉丸健太「僕はいいよー。食べてる方が幸せだもん」

キング「俺も断る。貴様のその指先を守りし包帯、それは黒龍を封じる物だろう?貴様の正体は第十組織の幹部なんだろう?」

中村闘球「お前と一緒にするなよ!これはティアライトテープっていう便利アイテムなんだよ!」

左雨瑞樹「普通のテーピングとは違うのか?」

中村闘球「ティアライトテープは滑り止め効果や伸縮性に優れて、パスやキャッチを助けてくれるんだ」

中村闘球「俺のポジションはスクラムハーフっていう、特にボールを扱うポジションだし、常に指につけるようにしてるんだ」

左雨瑞樹「……俺らさ、モノクマに荷物取り上げられてるけど、何で今もつけられてんの?」

中村闘球「……衣服の一部だと思われて取られなかったんだと思う。皆だって衣服はそのままだっただろ」

左雨瑞樹「え、じゃあ、あれから同じのつけっぱなしなのか?」

中村闘球「……同じのを大切に大切に使ってます」

左雨瑞樹「もうこのモノクマメダルあげるから新しいの買ってきなよ」

中村闘球「いいのか!?ていうか、あの購買部に売ってあんのか!?」

左雨瑞樹「あの購買部、マジで何でもあるからな。たぶんあるんじゃないかな」
133:🎏 :2013/7/19(金) 01:41:39 ID:HKT.6or5os
その後は闘球に感謝されつつ、ラグビーのパス練習をやってみた。
平パスだとかスクリューパスみたいな、パスだけでも複数種類があるみたいで、本当に複雑なスポーツなんだなってのが率直な感想だ。
日本のラグビーなら高校から始めても十分スターになれる、なんて誘い文句で闘球に勧められたが、やっぱり本格的にやるのは勘弁願いたい。死にそうだしな。
そうして休憩は終了、さっそく何とかテープを買いに行った闘球を見送った。
キングはいつの間にか消えてた。あいつの特殊な力でも使ったのだろうか。なーんて。
それはともかく、健太に見送られて俺はエリカと共に食堂を後にしたのだった。
そうして探索を再開したが、やはりというか脱出の糸口は見つからず、徒に時間が過ぎて夜になってしまった。
エリカと一緒に夕食を済まし、やることもないのでさっさと部屋へと戻る。
結局この日も何の進展もなかった。やがて部屋に夜時間を知らせる放送が鳴り響く。

モノクマによって強いられた猟奇的学園生活。
今のところ、それに乗っかる様子は皆からは見られない。
しかし、既に水留崇という犠牲者も出ているし、脱出の糸口も掴めない、警察も救助に来ない。
このままだと俺達はどうなるのだろう。本当に一生ここで過ごさないといけないのだろうか。それとも、出たい一心で過ちに手を出してしまうのだろうか。
拭えぬ不安を抱えたまま、俺の意識は眠りの中に吸い込まれていった。
134:🎏 :2013/7/19(金) 01:42:47 ID:HKT.6or5os
〜モノクマ劇場〜

人間とは甘える生き物なのです。
やっちゃいけないことでも、言い訳ができればそれをやってしまうのです。
赤信号を渡ります。でも車は走ってないから渡ったっていいじゃないですか。
掲示板を荒します。でも荒してるのボクだけじゃないからいいじゃないですか。
クレームをつけます。でもお客様は神様なんだからいいじゃないですか。
ブログを炎上させます。でも正しいのはボク達だから批判や暴言で自殺に追い込んでもいいじゃないですか。
そして誰かを殺します。でもボクには学園を出なくちゃいけない理由があるから人を殺したっていいじゃないですか。
こうして人間は言い訳によって自分を甘やかしながら、一歩一歩を踏み出していくのです。
まあ、この学園内なら殺しはやっていいことなんですけどね。
135:🎏 :2013/7/20(土) 01:12:32 ID:HKT.6or5os
モノクマの朝を知らせる放送で目覚めた。慣れてきている自分に腹が立つ。
そして間もなく佑子が迎えに来る。こちらももう定番の流れになっていた。
そうして皆が集まり、ぞろぞろと食堂へと向かう。その途中、俺はエリカに話しかけていた。

「おはよう。そのぬいぐるみ、まだ持ってんのな」
「お気に入り。アイビーは私の友達」
「そのアイビーとの会話練習はうまくいったか?」
「正直絶望的。何て話しかければいいのか見当もつかない」
「だろうな。何となく想像してたわ。だったらさ、佑子達に……って言ってみ?」
「え?」
「それだけできっとだいぶ仲良くなれるからさ」
「信じられないけど、あなたがそう言うなら信じてみる」
「そりゃよかった」
136:🎏 :2013/7/20(土) 01:13:30 ID:HKT.6or5os
っていう会話をしてたら、あっという間に食堂である。いつも通りの7時半。
いつものようにそれぞれが席に着き、いつもの三人は朝食の準備に向かう。
そんな中、俺が背中を押してやったエリカが、いつもとは違う行動に移るのである。

氷室エリカ「……ねえ。ごはん作るの、私も手伝っていい?」

本田川佑子「っ!……うん、もちろんいいよ!」

百目鬼良子「皆さんの分の朝食をつくるのは大変ですから、本当に助かります」

白鳥輝穂「ありがとうございます、氷室さん」

氷室エリカ「いい。私の方こそ感謝がしたいくらい」

氷室エリカ「左雨くん、ありがとう。あなたの言う通りにしたら、本当にうまくいった」

左雨瑞樹「だろ。誰かと仲良くなるのなんて、最初の一歩だけ勇気だせば、後はどうにでもなるもんだよ」

左雨瑞樹「ほら、アイビーは俺が持っててやるから、早く厨房に行っちまえ。美味しい朝食を頼んだぜ」

氷室エリカ「任せて。頑張って、皆に喜んでもらう」
137:🎏 :2013/7/20(土) 01:14:41 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「……行ったか」

中後小百合「氷室が喋ってるっていうのは珍しいな」

夜桜愛梨「とことん無口ですからね、あの雌豚は」

左雨瑞樹「エリカは喋るの苦手っぽいけど、本当は皆と仲良くなりたいんだよ」

左雨瑞樹「ああやって自分から頑張ってきっかけ作ってんだし、俺らももっと自分から関わって仲良くしようぜ」

中村闘球「そうだな。一致団結してモノクマに対抗するためにも、仲良くなるのは必要だからな」

黒魔帝兎「紳士たる読売巨人軍としても、女性を助けるのは当たり前だ。仲良くなりたいのなら、俺は手を差し伸べよう」

場明日虎美「へえ、女性を助けるのは当たり前言うんか。せやったら、うちのためにも消えてくれへん?」

黒魔帝兎「お前は女性としてカウントしてない。むしろ人としてカウントしてない」

場明日虎美「何やと我コラァ!」

中岡笑「仲良くしようと言ったそばからこれですよ……」

中後小百合「あの二人はこれでいいんだよ」

相田鳥子「ひだりあめー!何ぬいぐるみ抱えてんだー!?馬鹿かー!?」

左雨瑞樹「俺にもエリカにも色々あんだよ。ていうか、ささめって読むんだよ」
138:🎏 :2013/7/20(土) 01:15:36 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「ごはんできたよー!」

氷室エリカ「頑張った」

肉丸健太「待ってたよー!それじゃ食べるとしようよー!」

モノクマ「そうだね、プロテインだね!」

夜桜愛梨「出ましたね、糞野郎。おかげで私は不愉快になりましたよ」

左雨瑞樹「昨日今日と朝から何の用だよ?」

モノクマ「よくぞ聞いてくれました!ボクはね、先生らしく生徒を説教しに来たのです!」

白鳥輝穂「え?私達、怒られるようなことをしましたか?」

モノクマ「しまくりだよ!しまくってるよ!しまくってるんですよ!」

モノクマ「オマエラさあ、いつになったらコロシアイするの?ボクもう待ちくたびれてんだよ!」

黒魔帝兎「何を言いに来たかと思えば、そんなことか……」
139:🎏 :2013/7/20(土) 01:17:58 ID:HKT.6or5os
モノクマ「いいですか?いかにも気違いSSっぽい注意書きしておいて、どうしてまだ事件が起こらないんですか!」

モノクマ「まだ水留くんが校則違反でおしおきされただけですよ!」

モノクマ「SSにはテンポっていうのがあるんだよ。グダグダ長引かせてもうざいだけなの」

モノクマ「ましてや、こんだけ書いといてまだ事件が起こってないとか、それはもう異常なの!これこそ事件だよ!」

モノクマ「日常パートとかもういいし!いい加減キャラ覚えたし!ていうか事件に巻き込まれたのに、オマエラ落ち着きすぎだっつーの!」

モノクマ「そういうリアリティに欠ける描写しちゃうとさあ、通ぶってる読者が自慢げに批判しだすから厄介なんだよ。わかる?」

中岡笑「あの、言ってる意味が全くわかりませんけど」

モノクマ「メタフィクションという奴なのです。オマエラは別に何のことかわからなくていいんだよ」

場明日虎美「じゃあわかるかどうか聞くなや!」

モノクマ「そんなのどうでもいいんだよ!とにかく、コロシアイを始めないオマエラにご立腹なんだよ!」

モノクマ「オマエラが動いてくれなきゃ面白くないし、SSとしてもどうかと思うんだよ!」

モノクマ「動け、動け、動いてよ!今動かなきゃ、皆読むのやめるんだ!ボクそんなの嫌なんだよ!」

モノクマ「と、捲し立ててみましたが、たぶんオマエラは動いてくれないでしょう」

中村闘球「よくわかってるじゃないか。俺達は自力で脱出口を探すし、見つからなくてもいつかは警察が助けてくれるさ」
140:🎏 :2013/7/20(土) 01:20:19 ID:HKT.6or5os
モノクマ「それですっ!!」

本田川佑子「うわ、びっくりした!急に叫ばないでよ……」

黒魔帝兎「それとは、何を指して言っている?」

モノクマ「出たいと思ってるオマエラに、出れる条件を示してやったというのに、乗っからない理由はそこにあるのです」

モノクマ「自分で脱出口探せばいいやとか、警察(笑)がいつか助けてくれるとか、そういう気長な姿勢がよろしくないとボクは言っているのです!」

モノクマ「将来の夢は公務員とか言っちゃうような夢もやる気もないオマエラの「明日から外に出る」っていう無気力な姿勢が気にくわないのです!」

モノクマ「でもね、ゆとりってそういう生き物でしょ?金曜八時の先生や元不良のグレートな先生が力説したところで無気力は直らないのです」

モノクマ「そういう生徒には自主性なんて問わず、無理やりにでも動かざるを得ない環境をつくってあげるのが正しい教育法だと思いませんか?」

百目鬼良子「あの、結局どういうことでしょうか?」

モノクマ「ボクが皆に「今すぐにでも出なくちゃ!」って思えるような、素晴らしいプレゼントを用意してあげました!」

左雨瑞樹「プレゼントだと?」

モノクマ「うぷぷぷぷ!視聴覚室に行ってごらん!そこにはモノクマサンタからオマエラへのプレゼントがあるから!」

モノクマ「それによって、オマエラがコロシアイに目覚めてくれることを願っています!」

モノクマ「そういうことだから。それじゃボクは戻るよ。アデュー!」

本田川佑子「消えちゃった……」

中後小百合「モノクマのプレゼントか。ろくな物ではないんだろうな」

中村闘球「しかし確認しないわけにもいかないよな。飯食ったら視聴覚室に行ってみようぜ」
141:🎏 :2013/7/22(月) 01:09:37 ID:HKT.6or5os
朝飯をたいらげて、アイビーをエリカに返して、俺達は視聴覚室へと移った。
言うまでもなくモノクマのプレゼントとやらを確認するためだ。
曰く「今すぐにでも出なくちゃ!」と思うような代物とのこと。
そしてモノクマが前々から示している外に出る方法とは、誰かを殺すことだ。
嫌な予感がする。嫌な予感しかしない。しかし、今の俺達にはそれを確認するしか出来ない。
不安を抱えたまま校舎エリアへと移って、俺達は視聴覚室に足を踏み入れた。
するとそこには見慣れない段ボール箱が置いたあった。中には大量のDVD。
それらをよく見ると、ラベルにそれぞれの名前が書いてある。もちろん俺の名前も。
恐らくこれがプレゼントなのだろう。外に出たくなる理由がこのDVDにあるというわけだ。
俺達は自分のDVDを取り、視聴覚室の席について、各席についてる再生機能を用いてそれぞれ映像を確かめた。
142:🎏 :2013/7/22(月) 01:11:42 ID:HKT.6or5os
DVDを再生して画面を食い入るように見つめる。鬼が出るか蛇が出るか。しかし出てきたのは、俺にとっては意外な物だった。

「おふくろ?親父も……」

俺は思わず小さくこぼしていた。映し出されたのは他ならぬ実の両親だったのだ。
内容は希望ヶ峰学園に入学する俺への応援のビデオレターである。
久しぶりに見聞きした両親に俺は安堵感を覚えた。そして尚更外の世界が恋しくなった。
これがモノクマの言う、出なくてはいけない理由だというのか。確かに出たいとは思うが、殺しをしてまで出ようとは思わない。
そう思っていると、突然画面が暗転した。一瞬だけ砂嵐になったかと思うと、次の瞬間には絶望が映し出されたのだ。
そこには、何者かに追い詰められ、必死に助けを求める母親の姿があった。
心臓が一気に脈打つ。
謎の人影が母親に覆いかぶさってる。その人影の形は、刃物を振りかぶっているようにも見える。
そうして人影が大きく動きだし、母親が悲鳴をあげたところで、画面はプツンと消えて、黒色を映すのみとなった。
143:🎏 :2013/7/22(月) 01:13:02 ID:HKT.6or5os
終わったのかと思ったが、そうではないらしい。画面は真っ黒のまま、あの忌々しい声が流れてきたのだ。

「左雨瑞樹くんの御家族による温かなメッセージを収録しましたが、その後に何やらハプニングがあったみたいですね」
「お母さんは無事なのでしょうか?お父さんは映ってませんでしたが、どうなったのでしょうか?」
「両親の身に一体何があったのでしょうか?正解発表は卒業の後で!」

それだけ一方的に告げて、今度こそ本当に終わったみたいだ。

「……何だよ、これ?」

スッと出てきた本音の言葉だった。本当にこれは何なんだ?
真っ先に浮かんだ現実逃避は、どうせCGか何かの偽物だという考えである。
しかし、どう見ても本物の映像としか思えなかった。CGやそっくりさんでは片づけられないリアルさであった。
次々と今見た映像を否定するよう考えたが、どう足掻いても俺の本心は本当の出来事だと結論付ける。
つまり、モノクマは大切な俺の家族にまで手を出したんだ。既に崇を殺した糞野郎だ。あのような凶行に出ても不思議ではない。
144:🎏 :2013/7/22(月) 01:15:05 ID:HKT.6or5os
「出なくちゃ……」

俺は無意識に呟いていた。今すぐここを出て、おふくろと親父の無事を確かめなくてはならないという気持ちに支配された。
他の連中もざわついている。恐らく似たような映像を見せられたのだろう。
超高校級の孤独であるエリカにだけはDVDがなかったり、超高校級の馬鹿である鳥子は見方がわからなかったりと、一部例外はあるがほぼ全員が同じ絶望を味わったのだ。
そんな中、俺からすれば意外な人物が突然取り乱し始めた。

「もう嫌!こんなのもう耐えられない!」

そう叫んだのは、中後小百合だった。
彼女は落ち着いてて男っぽいフランクな性格だと思っていたが、この絶望の中で密かに追い詰められてたのかもしれない。
そこに、あの映像である。皆の内容はわからないが、恐らく家族だったり仲間だったりと、大切な誰かを傷つけられるような内容には違いない。
それがとどめとなって、彼女の怒りや恐怖が爆発したのだ。叫んでから、彼女はどこかに走り去ってしまった。
145:🎏 :2013/7/22(月) 01:16:24 ID:HKT.6or5os
「左雨、追いかけてこい!」

超高校級の貧乏くじであるが故か、すごいナチュラルに兎に命令された。周りを見ても、皆同じ感じで見ている。
まあでも仲間のための貧乏くじならいいか。俺は走り去った小百合を見つけるべく、視聴覚室を後にした。

彼女は玄関ホールにいた。固く閉ざされた出口を叩き続けている。

「開けて!開けてよ!ここから出してよ!」

叫びながら叩き続けるが、当然ながらびくともしない。
どう見ても無駄な行為だし、これ以上は小百合の手が心配になってくる。激しく叩き続ける小百合の手を俺は後ろからがっちりと掴んだ。
146:🎏 :2013/7/22(月) 01:19:52 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「やめろ!お前が叩き続けたところで意味はない!手を痛めるだけだぞ!」

中後小百合「うるさい!ほっといてくれ!私は今すぐここを出なくちゃならないんだ!」

中後小百合「私にピアノを教えてくれた先生が危ないのに、こんなところでじっとしてられるか!」

左雨瑞樹「出るために今まで脱出口を探してきたんだろ!それに、いつか警察も助けてくれるはずだ!」

中後小百合「その警察だって、私達が閉じ込められて数日経ったのに、まだ助けてくれないんだぞ!」

中後小百合「先生だってあんな事件に巻き込まれたのに、何故助けてくれないんだ!警察なんて、もう信じてられない!」

中後小百合「出してよ!私をここから出して!出してよっ!!」

中後小百合「……そうか。殺せばいいんだ。殺したら、モノクマがここから出してくれる」

中後小百合「今からお前を殺せば……私は先生のところに行ける……!」

左雨瑞樹「しっかりしろ!それこそがモノクマの狙いだろ!モノクマなんかと同類になっていいのか!?」

左雨瑞樹「殺人なんか犯して、お前の恩師が喜ぶとでも思うか!?」

中後小百合「っ!」

左雨瑞樹「お前の手は殺すためでも痛めつけるためでもなく、ピアノを弾くためにあるんだろ!自分を見失うな!」

中後小百合「……じゃあ私は、どうすればいいんだ……」
147:🎏 :2013/7/22(月) 01:21:32 ID:HKT.6or5os
呟いて小百合は涙を流し始めた。先生とやらへの想いが強いのだろう。そんな恩師への暴挙が、小百合の心を追い詰めたのだ。
普段から強く在り、俺達を引っ張ってくれていた小百合をモノクマはここまで傷つけた。
小百合だけじゃない。他の皆だってそうだろう。俺だって例外ではない。小百合が取り乱したおかげで幾分か冷静になれたが、内心穏やかではない。
もしかしたら俺が小百合のような行動を取っていたかもしれない。俺の中でも、確かな怒りが燃えているのだ。
許せない。俺達の心を踏みにじるモノクマが許せなくて、激しい怒りが込み上げる。
しかし、それでも俺達は待つしかないのだ。怒りに身を任せて、モノクマが強いた最低のルールに乗るわけにはいかない。
DVDで窮地を知らせれた大切な誰かを助けることも、この腐った檻から解き放たれることも許されず、ただ待つしか出来ないのである。
怒りをぶつける矛先もなく、悔しさに唇を噛みしめつつ、俺はただただ泣いてる小百合を見つめていた。
148:🎏 :2013/7/22(月) 01:23:18 ID:HKT.6or5os
しばらく泣いていた小百合だったが、ようやく落ち着きを取り戻してきたようだ。
そうして彼女は、一瞬でも俺を殺そうと考えたこと、自棄になって心配をかけたことを謝ってきた。

中後小百合「すまない、左雨。恩師への暴挙を映した映像で、錯乱してしまった」

左雨瑞樹「いや、いいよ。ああいうのを見せられて、怒らない奴はいないと思うし」

中後小百合「……悔しいのは皆同じなのに、私だけが取り乱した。本当にすまない」

左雨瑞樹「いいって。正直俺だって怒り狂いそうになったよ。小百合は悪くない。ただ、モノクマが悪いだけだ」

中後小百合「優しいんだな、左雨は」

左雨瑞樹「普通だよ。仲間を想いやるのは何か特別なことか?」

モノクマ「左雨くん、今度は中後さんですか?ハーレムでも作る気ですか?」

中後小百合「出たな、モノクマ……!」

左雨瑞樹「お前、よくもあんなことをしてくれたな!」

モノクマ「気に入ってくれました?これで皆の殺る気もあげあげ間違いなし!」

中後小百合「先生をどうした!?私をここから出せ!」

モノクマ「中後さんはお馬鹿だね。相田さんとそう変わりないんじゃないの?」

モノクマ「正解発表は卒業の後だし、出たいならお隣の左雨くんでも殺せばいいじゃない」

モノクマ「そうだ!場明日さん、百目鬼さん、白鳥さん、氷室さん、そして中後さんと、次々攻略を試みる左雨くんなんか殺せばいいんだよ!」

モノクマ「ボクはハーレムエンドなんか許さないぞ!誠死ね!どっちの誠も死ね!」
149:🎏 :2013/7/22(月) 01:25:02 ID:HKT.6or5os
モノクマ「とにかく、皆の殺る気をあげるのには成功したと思います」

左雨瑞樹「そうだな。俺は今、猛烈にお前をぶっ殺してやりたい」

モノクマ「ひゃー怖い!これがキレやすい最近の若者ですか!ルールも守らずに酷いことを試みるもんですね!」

モノクマ「わかってるの?ボクに手を出すのは校則違反だよ。水留くんみたいになっちゃうよー!?」

左雨瑞樹「……屑が」

中後小百合「モノクマ。例えお前がどれだけ卑劣なことをしようと、私達はお前には乗らない。仲間と共に正義を貫いて、希望を勝ち取る」

モノクマ「あーはっはっはっ!中後さんは本当に面白いことを言うね!中岡くんより笑いのセンスあるよ!」

モノクマ「仲間?正義?希望?そんなもの、オマエラには残されてなんかないよ。あるのは絶望。それだけだよ」

中後小百合「言うだけなら簡単さ」

モノクマ「その言葉、そのままお返しします!綺麗事を繰り返すオマエラの本心を楽しみにしてるよ!」

モノクマ「それじゃあボクはこの辺で。希望同士のコロシアイ、楽しみに待ってるからねー!」

左雨瑞樹「……消えたか。糞、本気であの熊をぶっ殺してやりたい」

中後小百合「私達も戻ろう。皆に謝りたいし、辛い時こそ仲間で励まし合わないとな」

左雨瑞樹「そうだな、戻ろうか」
150:🎏 :2013/7/22(月) 01:26:41 ID:HKT.6or5os
こうして俺は小百合を連れて視聴覚室へと戻った。
やはりというべきか、皆のテンションはどん底まで堕ちていた。あんな映像を見せられては無理もない。
今日は精神的ショックが大きいだろうからという理由で、探索も特に課さない自由行動の日となった。
つまりは、モノクマの暴挙で著しく傷つけられた心を、今日一日は回復に当てろということだ。ありがたい決定かもしれない。
俺だって、家族の無事を確かめたいけど、どうすることも出来ないで、ただただ心が乱れている。今日一日をかけて、心を落ち着かせる必要がある。
逆に考えよう。モノクマがこの学園の外であのような犯罪行為を犯したとなれば、これでより警察が動く可能性も高くなった。
もう少し探索をすれば脱出口が見つかる。もう少し待っていれば警察が助けてくれる。両親は、皆の大切な誰かはきっと無事だ。自分にそう言い聞かせて、耐えよう。
そんな感じで自分を励まし、モノクマの悪意を前にしても冷静で在るために、俺は部屋にこもってゆっくりすることに決めた。
151:🎏 :2013/7/22(月) 01:28:36 ID:HKT.6or5os
部屋にこもると決めた俺だが、そんなことで簡単には落ち着きはしない。あれほど悪意に満ちた映像を見せられて、ぼーっと考え事するだけで解決するはずないしな。
時間をかけてゆっくりしたので、映像を見た直後と比べて精神状態は幾分ましにはなってる。だが、これだけで不安を、怒りを全てなくせるわけがなかった。
かといって、これ以外の解決法を俺は知らない。もやもやとした気持ちのままベッドに横たわって、時間を無駄に浪費していた。
飯も食わずに引き籠って、いつしか時計は午後9時を示していた。
突然部屋にチャイムの音が鳴り響いた。校内放送ではく、ドアの方だ。体を起こしてドアへと向かう。
するとそこには、
「こんばんは。夜遅くだけど迷惑じゃない?」
アイビーを抱えたエリカの姿があった。
迷惑であるもんか、と言った俺に「そう」とだけ反応して部屋へと入る。遠慮ってものがねえな。しなくていいけど。
152:🎏 :2013/7/22(月) 01:30:40 ID:HKT.6or5os
無口系女子を招き入れたはいいが、会話が弾まない。故に無口系女子なのだが、気まずくてしょうがない。
そんなエリカがしばらくしてからようやく喋った内容は次の通りだった。

「私は生まれてからずっと孤独。大切な誰かなんていない。それを失う痛みも知らない」
「だけどその痛みは、孤独のまま生きていく苦しみと似ていると予想している。そこから、左雨くんの痛みを想像した」
「辛いかもしれないけど、自棄にならないで。あなたは私とは違う。あなたには希望ヶ峰学園の仲間がいる」
「出るために殺人をしてしまったら、きっとあなたは出た後に孤独になってしまう。仲間と共に頑張って、道を間違えないで」

珍しく捲し立てたエリカ。その内容に俺は思わず呆然としてしまった。
エリカは俺の心中を察して励ましに来てくれた。俺のために、人と喋るのが苦手なエリカが勇気を振り絞ってくれたのだ。
それを思うと俺は嬉しくてしかたなかった。
エリカの言う通りである。俺には今、苦しい時や悲しい時に、それを分かち合い手を取り合える仲間がいる。
一人で処理しようとした苦しみは、エリカのおかげで消し去ることができた。
ありがとう、エリカ。お前みたいな仲間が俺にはたくさんいるんだって思えば、モノクマの悪意にも耐えられそうな気がするよ。
153:🎏 :2013/7/22(月) 01:32:17 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「エリカ。一つだけ言わせてくれ」

氷室エリカ「え?」

左雨瑞樹「お前は俺と違わない。お前にも、俺が、希望ヶ峰学園の仲間がいる」

左雨瑞樹「お前はもう孤独なんかじゃない。エリカだって、仲間と共に頑張って、道を間違えるなよ」

氷室エリカ「私が、孤独じゃない?」

左雨瑞樹「そうだよ。エリカはもう孤独じゃない。俺達の仲間だよ」

左雨瑞樹「崇は残念だけど……皆でここを出て、警察に動いてもらって、崇の仇を取ろう」

左雨瑞樹「そして今度は本当の学園生活を送って、孤独とはかけ離れた人生を送ろうぜ」

左雨瑞樹「そのためには、エリカを失うわけにはいかないからな。エリカも自棄になって、あの熊の悪事に乗っかったりするなよ」

氷室エリカ「……ありがとう」

左雨瑞樹「は?何がだよ?」

氷室エリカ「心がとても温かい。これが人の温もり。確かにこれは孤独では味わえないものだと思う」

氷室エリカ「生きてきて初めて知る感情。生きてることが嬉しい。生きてることが楽しい。この気持ちをくれたのはあなた」

氷室エリカ「だから私はあなたに感謝したい。ありがとう」

左雨瑞樹「そっか……絶対に皆生きたまま脱出してやろうな!」

氷室エリカ「私もそれを望んでいる」
154:🎏 :2013/7/22(月) 01:33:21 ID:HKT.6or5os
一通り喋ってから、エリカは自室へと帰っていった。
エリカのおかげで今日の精神的ダメージはどうにかできそうだ。
エリカに助けてもらったし、エリカも俺の言葉で励まされたみたいで、よかったよかった。
間もなくモノクマの夜時間を知らせる放送が鳴り響き、俺は眠りにつくことにした。
俺には仲間がいるんだ。モノクマの卑劣な行為はこれからも続くのだろうが、その全てを仲間と共に乗り越えてやる。
決意を胸に、俺は明日を迎えに行くのだった。
155:🎏 :2013/7/22(月) 01:34:09 ID:HKT.6or5os
〜モノクマ劇場〜

きっかけは些細なものでいいのです。例えば石を投げつけたとか。
一見立派なダムでも、その実適当な造りなので、これでひびが入っちゃいます。
そしてそういうとこから徐々に壊れていって、大決壊を起こしちゃうわけです。
溜めこんだ分、勢いは凄いですよ。誰にもそれは止められません。
人間は、そう言った流れに逆らえず、飲まれていくしかないんですね。
そういう場面って見たくないですか?ボクは死ぬほど見たいです!
ボクの予想では、そろそろ壊れる頃合いですよ!いや、もしかしたらもう壊れてるかも!?
156:🎏 名無しさん@読者の声:2013/7/22(月) 22:49:45 ID:VGvqLp8QEA
元ネタ知らないけど楽しんで読んでます!

っCCCCC
157:🎏 :2013/7/23(火) 01:59:04 ID:HKT.6or5os
忌々しいモノクマの放送で眠りから覚めた。これがいつものことになってしまった。
まだまだ寝ぼけており、この状態でごろごろしてるのが最高に気持ちいいのだが、そういうわけにもいかない。
というわけで、これまたいつも通り佑子が迎えに来た。

「おはよー!左雨くん、朝だよー!飯食い行くぞー!」
「朝からうるせえなあ……ボリューム下げてくれ」

照れ隠しも込めて悪態をつく俺ではあるが、内心嬉しい。女子がわざわざ起こしに来てくれるんだぞ?
それに、昨日は精神状態的に食事を避けた。勝手にプチ断食を決行した結果、今は腹ペコである。密かに朝飯が楽しみであった。
こうしていつも通りメンバーを集めていく佑子。だが、ここでいつも通りじゃないことが起こった。
158:🎏 :2013/7/23(火) 02:00:13 ID:HKT.6or5os
「おかしいなあ」

それぞれの部屋を回って皆を起こしていた佑子だったが、とある部屋の前で困っていた。
その部屋は良子の部屋である。どうした、と訪ねてみれば、彼女は次のように返してきた。

「インターホン鳴らしても、ドアをノックしても反応がないんだよ。鍵も閉まってるから中の確認もできないし……」
「一足早く食堂に行ってるんじゃないか?」
「そうかもね。悪いけど左雨くん、先に食堂行って百目鬼さんいないか確かめてくれない?」
「へいへい、わかりましたよ」
「ありがとう。私はお寝坊さんパターンに備えて、インターホン連打攻撃を仕掛けるよ。百目鬼さん、起きろー!」

佑子が世紀末を思わせる連打攻撃をインターホンに仕掛けたのを見てから、俺は一人食堂へと向かった。
食堂の中を覗くと、そこに良子はいた。
159:🎏 :2013/7/23(火) 02:01:17 ID:HKT.6or5os
良子を発見すると同時に、俺の思考は止まってしまった。

「嘘……だよな?」

嘘だと信じたかった。
食堂の床には良子がうつ伏せに横たわっていた。それだけなら寝ているだけと思えたかもしれない。
だが、良子がただ寝ているだけではないのは明確だった。何故なら、横たわる良子の制服は真っ赤に染まっていたのだから。
背中の部分の服がボロボロになってて露出していた。その露出している部分もまた、刺し傷でボロボロだ。体の中まで見えて、気持ち悪くなってしまった。
そして良子の傍に落ちている包丁。これまた真っ赤に染まっている。
これを見て嘘だと思える奴はよっぽどの馬鹿だ。それほど悲惨な現実が唐突に俺の前に現れた。

百目鬼良子が、何者かに背部をめった刺しにされて、死んだ。
160:🎏 :2013/7/23(火) 02:02:44 ID:HKT.6or5os
「うあああああああ!」

気付けば俺は叫んでいた。叫ばずにはいられなかった。
そんな俺の叫び声を聞いて、他のメンバーが駆け付ける。そして各々が待ち受けた現実に恐怖し、取り乱した。
中でも一番取り乱していたのは、普段から仲良くしていた佑子である。

「百目鬼さん!?百目鬼さん!いやあああああ!」

死体を前にして佑子は泣いた。激しく取りみだす彼女を俺達はただただ見つめることしかできなかった。
佑子の泣き声だけが響く重苦しい空気の食堂。そんな空気をぶっ壊す放送の音が耳に届いた。
言うまでもなくモノクマの放送だ。しかし、今回は少し様子が違っていた。
161:🎏 :2013/7/23(火) 02:04:34 ID:HKT.6or5os
ピンポンパンポーン、といういつものチャイム音とは違うものが流れた後に、

「死体が発見されました!」
「一定の自由時間の後、学級裁判を開きまーす!」
「あ、そうそう。今回、初めての学級裁判となりますので、説明したいと思います!」
「というわけでオマエラ。至急体育館に集合してください。待ってまーす!」

という、モノクマの放送がモニター越しに流れた。
それだけを告げて、モニターはプツンと切れてしまった。
学級裁判だか何だか知らないが、昨日どうにか抑えたはずの怒りがまた蘇ってしまった。
俺達希望ヶ峰学園の仲間が、誘いに乗って殺し合いなんかするはずがない。こんなもの、モノクマがやったに違いないんだ。
体育館に呼び出すということは、あいつが直接出てくるのだろう。この怒りをぶつけたくて仕方なかった俺は、足早に体育館へと向かった。
意図は知らんが、他の皆も体育館へと歩を進めている。こうして俺達は体育館へと向かった。
……崇の死体を見たくなくて、あれから避け続けていた体育館。俺達は今、あの体育館に再び足を踏み入れた。
162:🎏 :2013/7/24(水) 00:19:53 ID:HKT.6or5os
体育館に入って驚いたのは、崇の死体が消えていることだった。
それだけじゃない。崇を死なせたあの大爆発の痕跡すらきれいさっぱりなくなっていた。
まるで、最初から何事もなかったかのように。

「学園長が片づけたのかな……」

輝穂がそんなことを呟いた。たぶんそうだろう。俺達は死体を前にして恐怖し、体育館に入ることすら躊躇っていた。
しかしモノクマは違う。自ら殺しをするような、いかれた糞野郎だ。死体の処理だって臆せずやってしまうだろう。
そんなモノクマが今度は良子を殺したんだ。許せねえ。絶対に許せねえ。

「皆集まったー?それじゃ、学園長いっきまーす!」

という声がしたと思ったら、神出鬼没に噂の糞野郎が現れた。
それと同時に俺はモノクマに殴りかかった。しかし、その拳がモノクマを吹き飛ばすことはなかった。闘球が俺を止めたのだ。

「やめろ、左雨!校則違反は得策じゃねえ!今はこいつの話を聞け!」
「止めんな!こいつが、こいつが良子を!」

闘球に止められてる俺を冷やかに見ながらモノクマは喋りはじめた。
163:🎏 :2013/7/24(水) 00:22:34 ID:HKT.6or5os
モノクマ「あのねえ、左雨くん。前々から言ってるけど、ボクは校則違反以外でオマエラを殺したりはしないよ」

モノクマ「ましてやボクは希望同士のコロシアイを楽しみにしてたんだよ!そんな萎えることなんかしないっつーの!」

左雨瑞樹「黙れ!俺達は仲間なんだ!仲間同士でそんなことするわけないだろ!」

本田川佑子「百目鬼さんを返して!返してよっ!!」

黒魔帝兎「俺達の仲間をまた一人殺して……紳士の風上にも置けぬ奴だ!」

中村闘球「左雨を止めはしたが、俺だって気持ちは左雨と一緒だ。モノクマ、絶対に許さねえぞ!」

場明日虎美「ほんまやらかしよったの、自分。道頓堀に沈めたろか、ああ!?」

中後小百合「外道とはわかっていたが、ここまでとはな。恥と言う物を知ってもらいたいものだ」

夜桜愛梨「胸糞悪いですね。こんな糞野郎と同じ空間にいるだけで、吐いてしまいそうです」

キング「こいつはどうしようもない邪気だ……今すぐにでも滅せられるべき悪だ!」

相田鳥子「死んでるの怖かったじゃねーかー!馬鹿かー!?」

モノクマ「……うぷぷぷぷ。あはははは!」

中岡笑「何がおかしいんですか!?」

モノクマ「おかしいに決まってんじゃーん!あまりの熱演っぷりにボク満足!」

肉丸健太「ど、どういうことー?」

モノクマ「簡単だよ。ボクがやってないなら、オマエラの誰かがやったんだよ」

モノクマ「百目鬼良子を殺したのは、オマエラの中の誰かなんだよ!」
164:🎏 :2013/7/24(水) 00:25:16 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「嘘だ!そんなの信じねえ!」

モノクマ「信じないなら信じないでいいよ。その時はオマエラ終了のお知らせなだけですから」

白鳥輝穂「あの、学園長さん。それってどういう意味ですか?」

モノクマ「白鳥さんってば、本当に良い子だね!ちゃんとボクの話を聞いてくれるんだから!」

モノクマ「今回、オマエラの中の誰かが百目鬼さんを殺しました!」

中後小百合「……それが本当なら、そいつは卒業のルールに則って、ここを出れるのか?」

モノクマ「やだなあ、ちゃんと校則を読んでよ。クロだとばれちゃ駄目なんだってばよ!>>46

モノクマ「それに、これから卒業に関する補足ルールを説明するんだよ!クロの方はまだ卒業が決まったわけじゃないですから!残念!」

黒魔帝兎「補足ルールだと?」

モノクマ「うん。今クロはばれちゃいけないって言ったよね。でも、そんなのどうやって確認すんの?」

モノクマ「なんて思ってるそこの奥さん!ここだけの話、便利なシステムがあるんですよ!」

本田川佑子「もしかして……それが……」

モノクマ「そう!学級裁判ってわけだよ!」
165:🎏 :2013/7/24(水) 00:27:04 ID:HKT.6or5os
モノクマ「死体が発見されたってアナウンスがあったでしょ?」

モノクマ「あれは、誰かが殺されてから、三人以上が死体を発見することで流れるアナウンスなんだよ」

モノクマ「それが流れた数時間後に、殺害したクロとそれ以外のシロによる議論を学級裁判にて繰り広げてもらうのです!」

モノクマ「オマエラは、誰がクロかを考えないといけません」

モノクマ「そして各々が思うクロを学級裁判の最後に投票してもらうのです」

モノクマ「そうして投票された人は、多数決によって一人だけに絞ります」

モノクマ「その人が正しいクロだった場合、秩序を乱した罰としてクロだけがおしおきとなります。残ったオマエラは引き続き学園ライフを楽しんでね!」

モノクマ「逆に、その人がクロじゃない場合、クロはめでたく卒業となり、代わりにオマエラがおしおきとなります。学園ライフも終了です!」

モノクマ「学級裁判のルールは以上だよ!愉快痛快な学級裁判で、ボクを楽しませてね!」
166:🎏 :2013/7/24(水) 00:29:27 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「おしおきって言うのはやっぱり……」

モノクマ「うん。水留くんにやったような、そういうおしおきだよ。あの世直行でござーい!」

白鳥輝穂「うぅっ……やだぁ……もう怖いよぉ……」

本田川佑子「大丈夫だよ、白鳥さん。やったのはあいつだよ。あいつがクロだと言って、終わらせればいいだけだから」

モノクマ「どうしてオマエラはボクを犯人に仕立てるかなあ?仕方ないなあ、スペシャルヒントだよ」

モノクマ「クロは100%オマエラの中にいます。ボクをクロとして投票したら、シロは全員お陀仏だよ!」

モノクマ「それでいいならボクは止めませんけどね。シロ達が壮絶に死んでいくとこも見てみたいし!」

モノクマ「まあシロさん方が死にたくないなら、学級裁判までにいろいろ捜査して、クロの目星をつけたらいいんじゃないすか?」

モノクマ「そうそう、捜査に当たって便利な物を用意したっすよ、先輩!」

中岡笑「なんですか、その急な後輩キャラは……」

モノクマ「テレレレッテレー!モノクマファイル〜!」

中村闘球「モノクマファイル?」

モノクマ「死体状況に関して詳しく記したファイルだよ。死亡時刻や死因など、情報満載!」

夜桜愛梨「その情報は正確なんでしょうね?」

モノクマ「何のために監視カメラがあると思ってんのさ!殺し方もクロも何もかも完璧に把握してまさぁ!」

モノクマ「だからボクは学級裁判を公平にジャッジします!その辺はオマエラも安心してていいよ」
167:🎏 :2013/7/24(水) 00:31:14 ID:HKT.6or5os
モノクマ「まあそういう感じだから。それじゃ捜査の方、頑張ってね」

モノクマ「学級裁判、本当にマジでスーパーウルトラ楽しみにしてっから!じゃあね〜!」

場明日虎美「……消えよった」

白鳥輝穂「学園長の言う通り、私達の中に犯人がいるのかなあ……」

場明日虎美「気にせんでええって!どうせやったんはあいつやで!」

中後小百合「しかし間違った犯人を指摘すれば、モノクマは我々を殺すと言っている。そう簡単に決めつけていいのか?」

左雨瑞樹「捜査しよう。犯人がモノクマなら、捜査してそれを確固たるものにすればいいだけだ」

左雨瑞樹「生き残るためにも……俺達はこの殺人の真相を知らなくてはならないんだからな」

本田川佑子「左雨くんの言う通りだよ。皆で捜査を頑張って、百目鬼さんの仇を取ろう!」

中後小百合「そうだな。どちらにせよ捜査は必要だろう。皆で生き延びるためにも、な」

中村闘球「よっしゃ!モノクマが殺したっていう、決定的な証拠を掴もうぜ!」
168:🎏 :2013/7/25(木) 01:19:38 ID:HKT.6or5os
相田鳥子「捜査だー!何をすればいいんだー!?」

中後小百合「まずはモノクマファイルとやらを見てみよう」

黒魔帝兎「奴の残した情報など信用できるのか?」

中後小百合「さあな。しかし、今はこいつに頼るしかないんじゃないか?我々は警察じゃない。捜査は不慣れだからな」

この提案によって、俺達はモノクマファイルに目を通した。そこに記された内容は次の通りだ。

被害者は百目鬼良子。
死亡時刻は昨日の午後8時45分。
刺殺により死亡。犯人は包丁で背部を複数回刺した模様。
死体発見現場は食堂。発見時刻は午前7時40分。
死体発見時の被害者の所持物は自室の鍵と電子生徒手帳のみ。

以上である。
169:🎏 :2013/7/25(木) 01:20:59 ID:HKT.6or5os
中後小百合「これを元に捜査するしかあるまい」

キング「死亡時刻は午後8時45分……昨日の夜に、既に事件は起こっていたのか!?」

黒魔帝兎「そのファイルを信じるならな」

夜桜愛梨「では、昨日の夜8時45分前後のアリバイを確認してみるべきですね」

本田川佑子「そうだね。……なんかさ、推理物のアニメとかでこういうのあるよね」

中村闘球「だけどこれはアニメじゃない。本当のことだ」

中岡笑「ZZみたいなこと言わんといてください」

中後小百合「とにかくそういう流れでいこう。それぞれの証言から、犯行可能な人物を絞り込もう」

白鳥輝穂「やはり、私達の中に犯人がいるのでしょうか?」

中後小百合「モノクマの発言を信じるならばな。こっちも命がかかってる。あらゆる可能性は考えておいた方がいい」

場明日虎美「ほなアリバイ聞くんは左雨にお願いしよか」

左雨瑞樹「俺かよ……」

左雨瑞樹「それじゃ、それぞれ事件発生時刻の前後に何をしてたか教えてくれ。一人の場合はアリバイ無しとして、一応犯人候補になってもらうからな」
170:🎏 :2013/7/25(木) 01:22:47 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「じゃあ俺から……俺は9時から後はエリカと一緒にいたが、8時45分頃は自室で一人だった。つまりアリバイはない」

氷室エリカ「私も左雨くんと大体同じ。9時に左雨くんの部屋に行ったけど、それまでは自室に一人でいた」

本田川佑子「私は8時半から9時半まで相田さんと一緒にいたよ。ランドリールームで話してたんだ」

相田鳥子「そうだー!サッカー女と一緒にいたぞー!間違いないぞー!」

肉丸健太「僕は夜時間ギリギリまでずーっと食堂にいたよー。その間はずっと一人だったなー」

場明日虎美「うちは……何となく学校エリアの教室行ったら成り金球団が居ってん。気分最悪やったわ」

黒魔帝兎「気分が悪いのはこっちだ。黒板を使って巨人のデータをまとめていたのに。それはともかく、あれは確か8時から9時の間だったな」

中村闘球「俺は中岡と洗濯しにランドリールームに行った。そこで長く話をして……確か8時から9時くらいのことのはずだ」

中岡笑「そうですね。それくらい話してましたね」

夜桜愛梨「私は8時頃から9時頃まで何となく寄宿舎エリアを散歩していました。何人かに会いましたが、一人の時間が多く、少なくとも犯行時刻の時のアリバイはありません」

キング「俺は犯行時刻の時、購買部にて悪魔対策の聖水を購入していた。モノクマが応じたから、彼に聞けば確かな証言だとわかるだろう」

モノクマ「呼ばれた気がしたのでズバッと参上!確かに中二くんは購買部で買い物してたよ。あれ?これってボクのアリバイも成立しちゃった!?」

白鳥輝穂「私は、あの……掃除当番なので、皆さんから預かったゴミ袋をトラッシュルームまで運んでました。一人だから……アリバイはありません」

中後小百合「私も一人だったな。犯行時刻頃は適当に寄宿舎エリアをぶらぶらって感じだ。アリバイはないよ」
171:🎏 :2013/7/25(木) 01:24:40 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「アリバイを聞いてみたら、佑子・鳥子・虎美・兎・闘球・笑・キング・モノクマのアリバイはあるってことになったな」

場明日虎美「ありえへんやん!モノクマが犯人なんやろ!せやったら何でアリバイあんねん!?」

モノクマ「これを言うのは何度目だろうね。ボクは犯人じゃないって言ってんじゃーん!馬鹿かー!?」

相田鳥子「あたしの真似すんじゃねーよ!馬鹿かー!?」

中後小百合「いわゆる中の人がモノクマ本体を同時に複数操作できるとしたらどうだ?少なくとも、キングの相手と事件の目撃を同時にしているみたいだしな」

モノクマ「中の人なんていません!ボクは生まれてからずっとサファリパークのアイドルなんだよ!」

中岡笑「猟奇的なアイドルもいたもんですよ……」

夜桜愛梨「……あの、私、気付いてしまったのですが」

左雨瑞樹「気付いたって、何にだよ?」

夜桜愛梨「ご主人様以外に報告する気はありません。お金で雇って下さいませ、糞野郎」

左雨瑞樹「金取るのかよ!?」

場明日虎美「ええやん。自分、モノクマメダルめっちゃ持っとるやん。何をケチケチしとんねん」

左雨瑞樹「まったく……ほら、これで報告してくれ」

夜桜愛梨「かしこまりました、ご主人様。死体発見現場は食堂ですが」

夜桜愛梨「それなら犯人は肉丸くんで間違いないのではないでしょうか?」
172:🎏 :2013/7/25(木) 01:29:41 ID:HKT.6or5os
肉丸健太「えっ!?ぼ、僕が犯人!?」

夜桜愛梨「だってそうでしょう?死体発見現場は食堂。そしてあなたはずっと食堂にいた。他に誰がいますか?」

肉丸健太「で、でも僕は本当に一人で食べてただけなんだ!死体なんて見てないよ!」

夜桜愛梨「犯人ならそう言うに違いありません。ですが、データはあなたが犯人だと示していますよ」

肉丸健太「し、真犯人が死体を食堂まで運んだんだよ!だって、ファイルには殺害現場とは書いてないもん!」

夜桜愛梨「あの夜、私は寄宿舎エリアを散歩していました。それに、出歩いてる人は他にもたくさんいたようです」

夜桜愛梨「そんな中で、誰にも見られず、食堂にいるあなたにすら発見されずに死体を運べるとお思いですか?」

肉丸健太「ぼ、僕は夜時間になったら帰った!それに、その時刻だと大体皆部屋で休んでるでしょ!その時に運んだんだ!」

夜桜愛梨「食堂は夜時間になれば立ち入り禁止となりロックがかかります。>>77そしてそのまま朝7時まで開くことはありません>>46

肉丸健太「じゃ、じゃあ……朝、誰も起きてない時に運べばいいんだよ!」

夜桜愛梨「朝は本田川さんがすぐに起きて、皆を起こします。すぐに目撃証人が出来る環境なので、それも無理でしょう」

左雨瑞樹「確かに……あの日の朝も佑子はすぐに起こしに来た。佑子や俺達が起きる前に死体を食堂まで運び、自室まで戻るのは無理がある」

肉丸健太「7時になる前からすごい早起きしておいて、死体だけ先に運んでたんだよ!」

夜桜愛梨「お忘れですか?食堂は朝7時まで開きません。仮に事前に死体を食堂前まで運んでいても、7時まで待たなくてはなりません。7時になって食堂から自室に戻るのでは見つかるでしょう」

夜桜愛梨「死体を運ぶのは不可能。故に殺害現場は食堂。そして食堂にはあなたしかいなかった。つまり犯人はあなただと言うことです」

肉丸健太「そんなー……」
173:🎏 :2013/7/25(木) 01:31:47 ID:HKT.6or5os
黒魔帝兎「……裁判をやるまでもなかったな」

場明日虎美「このアホデブ!何でこの熊に乗っかったんや!お前はええデブやと信じとったんに……」

肉丸健太「違うんだよ!僕じゃないんだよ!そ、そうだ、僕アリバイないじゃない!僕が言ってるだけで、本当は食堂にはいなかったかも!」

中村闘球「だけどお前、普段から食堂にいるじゃねえか。アリバイとしては成立しなくても、ぶっちゃけ信憑性は高いよな」

夜桜愛梨「それに、犯人が食堂にずっといたと指摘されてから、自らの証言を撤回されても遅いと言いますか。少なくとも怪しむなと言うのは無理です」

本田川佑子「確かに肉丸くんがすごく怪しく見えてきたよ……」

肉丸健太「そんなー……僕達、仲間でしょ!?僕の言うこと、信じてよ!」

中岡笑「そんなん言ったって、先に裏切ったのはそっちでしょ?」

夜桜愛梨「自分が出たいあまり、百目鬼さんを殺した。仲間の皆で脱出しようとした私達への立派な裏切り行為と言えるでしょう」

白鳥輝穂「百目鬼さんが死んだのも、肉丸さんが犯人かもしれないのも、もう全部悲しい……悲しいよぅ……」

肉丸健太「僕じゃない……僕じゃないんだよ……」

左雨瑞樹「……」
174:🎏 :2013/7/25(木) 01:34:03 ID:HKT.6or5os
黒魔帝兎「とりあえず犯人は肉丸という結論でいいか?」

中村闘球「そうだな。とりあえず裁判まで肉丸と遺体を監視でもしとくか」

場明日虎美「ん?第二の犯行を防ぐ意味で犯人の肉丸を見張っとくんはわかるんやけど、何で死体まで見とかなあかんねん?」

肉丸健太「僕じゃないのに……」

中村闘球「本人もこう言ってるし、一応犯人が別にいるパターンを考えておかないとな。死体に何らかの証拠があったとして、証拠隠滅を図られても面倒だ」

中村闘球「見張りは俺と黒魔帝でいいか?」

中岡笑「二人も必要なんですか?」

中村闘球「俺や黒魔帝が真犯人だったらどうするんだよ?見張りを一人にしたら証拠隠滅なんかやりたい放題だろ」

中岡笑「ああ、なるほど。ちゃんと考えてるんですね」

黒魔帝兎「心得た。俺と中村で犯人と遺体を監視しよう」

本田川佑子「えーっと……何かもう皆の意見が大体固まっちゃったけど、学級裁判まで何してようか?」

夜桜愛梨「自由時間でいいのではないですか?やることもないでしょう」

キング「では解散ということか。数時間後、俺達は約束の地にて再会を果たすだろう」

黒魔帝兎「肉丸は俺達と一緒に食堂へ来い」

肉丸健太「……」
175:🎏 :2013/7/25(木) 01:36:17 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「……何人かは体育館を去っちまったな」

白鳥輝穂「いつの間にか学園長も消えてますね……」

中後小百合「残ったのは私と左雨と白鳥と本田川と氷室か。ハーレムだな、左雨」

左雨瑞樹「言ってる場合か。それより、学級裁判までただただ過ごすだけで本当にいいのか?」

中後小百合「私は捜査した方がいいと思う。さっきも言ったが、あらゆる可能性を考えるべきだ。時間があるのだから可能性を模索しようではないか」

白鳥輝穂「私も捜査した方がいいと思います。肉丸さんの必死な主張を見て、とても嘘を言ってるようには思えませんでした!」

白鳥輝穂「私、仲間を信じたいです!ですから、私達の犯行ではなく、学園長の仕業であるのなら、その真相へと近づきたいです!」

本田川佑子「左雨くん、私達だけでも捜査しよう!真実を明らかにして、百目鬼さんの仇を討とう!」

左雨瑞樹「……そうだな。本当の犯人を当てられないとシロを全員殺すってモノクマは言ってるんだ。だったら本当の犯人を探してみるかね」
176:🎏 :2013/7/25(木) 01:38:55 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「決まりだね!左雨くん、ハーレム状態のまま皆で調べる?それとも個々で調べてみる?」

左雨瑞樹「そのネタやめろって。捜査は個々でやろう。その方が情報は多く集まりそうだ」

本田川佑子「了解!あ、でも白鳥さんは私と組もう!名探偵佑子の助手さんになってくれたまえ!」

白鳥輝穂「助かります。私、捜査と言われても何をすればいいかわかりませんでしたから……」

中後小百合「私は一人でやろうかね。元々群れるのは苦手な質でね」

左雨瑞樹「一人で静かにピアノでも弾いてる方が好きなのか」

中後小百合「そういうことだな。まあでも先生なら話は別かな」

本田川佑子「先生?ピアノの先生のこと?どんな人なの?男?女?」

中後小百合「今はいいだろ。真犯人を当てて生き延びた後に教えてやるよ」

本田川佑子「そっか、わかった!楽しみにしてるね!そのためにも真相を見つけよう!」

白鳥輝穂「おー!」

左雨瑞樹「……皆行っちゃったな。それじゃエリカ、俺達もそろそろ」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「……エリカ?泣いてるのか?」
177:🎏 :2013/7/25(木) 01:40:21 ID:HKT.6or5os
氷室エリカ「この生活が始まって、二人も人が死んでしまった」

氷室エリカ「それにこれからも人が死ぬ。犯人か、私達かが」

氷室エリカ「怖い……こんなに死を間近に感じたことはなかった」

氷室エリカ「私は死んでしまうの?怖い……助けて……」

氷室エリカ「ようやく孤独じゃなくなったかもしれないのに……まだ死にたくない……!」

左雨瑞樹「大丈夫だ!」

氷室エリカ「っ!」

左雨瑞樹「エリカは大切な仲間だ。俺が絶対に守ってみせる。死なせるもんか」

左雨瑞樹「だからエリカは安心して俺を頼れ。頼りないかもしれんが、これでも男だ。意地でも守ってやる」

左雨瑞樹「エリカはもう孤独じゃない。今のエリカには誰かに頼ることが出来るんだ。辛い時はその気持ちを誰かにおすそわけしろ」

左雨瑞樹「俺はそれを安心や喜びで返すと誓ってやる。だから泣きやめよ。アイビーと一緒に大船に乗ったつもりでいろ!」

氷室エリカ「……ありがとう、瑞樹くん。何だか救われた。安心できた」

左雨瑞樹「そいつはよかった」

氷室エリカ「でも瑞樹くんだとあんまり頼りにならない。泥船にしか見えない」

左雨瑞樹「辛辣だなおい!?」

氷室エリカ「エリカジョーク。その切れ味は抜群。それはそうと、大船に乗って捜査を始めよう」

左雨瑞樹「何かいろいろ言いたいが……まあいいや。俺達も捜査を始めよう」
178:🎏 :2013/7/26(金) 01:21:47 ID:HKT.6or5os
氷室エリカ「瑞樹くん、最初はどうするの?」

左雨瑞樹「そうだな。やっぱり現場を調べるに限るよな」

氷室エリカ「じゃあ食堂に行く?」

左雨瑞樹「ああ。何と言っても死体があった場所だ。調べないわけにはいかないだろ」



左雨瑞樹「ってわけで食堂だ」

黒魔帝兎「どうした?見張りの交代でも申し出てくれるのか?」

左雨瑞樹「残念だけど違うな。調査にきたんだよ」

黒魔帝兎「俺達が犯人を見張ってるのに、何を調査する必要がある?」

肉丸健太「違うのに……」

左雨瑞樹「学級裁判まで時間があるしな。隠された真相があるかどうかくらい調べさせてくれよ」

中村闘球「そうだな。もしも犯人が肉丸じゃなかった時、捜査してなかったらやばいもんな」

黒魔帝兎「……好きにしろ。ただ、死体には触れるなよ。お前が真犯人って可能性もあるんだからな」

左雨瑞樹「わかってる。アリバイないんだから犯人候補に挙げられても仕方ないって思ってるよ」
179:🎏 :2013/7/26(金) 01:23:09 ID:HKT.6or5os
氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「……エリカ、外にいるか?良子、酷い殺され方してるし……ここにいるの、つらいだろ?」

氷室エリカ「いいえ、ここにいる。瑞樹くんが頑張ってるんだから、私も頑張る」

左雨瑞樹「そうか。じゃあせめてさっさと済ませよう」

左雨瑞樹「死体状況はモノクマファイルと一致してるな。何もこんなになるまで刺さんでもよかっただろうに……」

左雨瑞樹「体も服も真っ赤じゃねえか。肌色探す方が難しくなってるよ」

中村闘球「死体とは対照的に、食堂は綺麗なままだよな。故に百目鬼の状態が余計に目立ってしまって、辛くなってくるよ……」

黒魔帝兎「麗しき女性に何て事を……犯人は紳士の風上にもおけん!」

肉丸健太「僕を睨みながら言わないでよ……」

左雨瑞樹「凶器は良子のすぐそばに落ちてるこの包丁で間違いないよな」

中村闘球「こんだけ血まみれだしな。確定と言っていいだろ」

黒魔帝兎「どこかの誰かが、食堂で襲いかかって、執拗に刺した結果だろう」

肉丸健太「……」
180:🎏 :2013/7/26(金) 01:24:08 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「現場で調べられるのはこれくらいかな。エリカ、そろそろ行こう」

氷室エリカ「わかった」

左雨瑞樹「じゃあ俺達は行くよ。見張り、頑張ってくれ」

中村闘球「ありがとな。そっちこそ調査を頑張ってくれ」

左雨瑞樹「ああ」



左雨瑞樹「さて、食堂を後にしたわけだが」

氷室エリカ「次はどうする?」

左雨瑞樹「ちょっと確認したいことがある。佑子と輝穂のペアと合流しよう」

氷室エリカ「本田川さん達と?」

左雨瑞樹「ああ。ちょっとあの二人を探すとしよう」
181:🎏 :2013/7/26(金) 01:26:09 ID:HKT.6or5os
氷室エリカ「……いた」

左雨瑞樹「トラッシュルームにいたのか。ちょうど良かった。それにしても……」

本田川佑子「白鳥さん!ここに何かあるはずだよ!ここが勝負どころだよ!」

白鳥輝穂「はい!頑張ります!」

左雨瑞樹「……トラッシュルームの床に這いつくばって、何してんだ、あいつら?」

氷室エリカ「面白い光景。満点大笑い」

左雨瑞樹「おい……美少女二人が揃って何やってんだよ?」

本田川佑子「あっ、左雨くん!いやね、私が思うに犯人は証拠隠滅のためにここに来たと思うんだよ!」

左雨瑞樹「でも、ここのシャッターは掃除当番の持ってる鍵がないと開けられないだろ。仲の良い輝穂が当番なんだから、佑子もよく知ってるだろ」

本田川佑子「うん、犯人も間もなくそれに気付いたんだ。だからすぐに帰ったけど、その時にこの部屋に重要な証拠を残してしまった!」

本田川佑子「っていう感じでここを捜査してるんだ。どうよ?」

左雨瑞樹「……まあ否定するだけの証拠もないし黙っててやるよ」

本田川佑子「それで、左雨くん達は何でここに来たの?」

左雨瑞樹「用事があって来たんだよ。掃除当番の輝穂にな」

白鳥輝穂「えっ?私ですか?」
182:🎏 :2013/7/26(金) 01:27:39 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「犯人の痕跡が何かないかって考えたのは俺も同じだ。輝穂、昨日の分のゴミはまだ処理してないか?」

本田川佑子「なるほど。ゴミとして重要な証拠を捨ててないか調べるんだね!」

白鳥輝穂「ゴミはまだ処理してません。本当は今日の朝食後にでも処理しようと思ってましたが……」

白鳥輝穂「その……百目鬼さんが……それに、裁判の準備も……」

本田川佑子「百目鬼さん……」

左雨瑞樹「良子の仇を討つためにも、立ち止まってる暇はない。処理してないんなら今から中身を調べてみよう」

白鳥輝穂「皆さんのゴミを勝手に調べていいんでしょうか……」

本田川佑子「いいんだよ!これも事件解決のための必要な一歩だよ!」

本田川佑子「……でも、何を見つけたら重要な証拠になるの?」

左雨瑞樹「良子は大量出血していた。例えば返り血を浴びた衣服や、大量の血をふき取ったような布とかがあったら、それはもう決定的な証拠だな」

本田川佑子「なるほど!そういうのがないか調べるんだね!よし、いっちょやってみよう!」
183:🎏 :2013/7/26(金) 01:30:42 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「……ないじゃん!全部普通にゴミじゃん!」

左雨瑞樹「……すなわちそれは健太のゴミにもそういうのがなかったってことだな」

本田川佑子「誰のゴミからもそれらしいものがなかったね。つまり犯人は返り血を浴びなかったってことかな?」

左雨瑞樹「いや、今みたいに調べられるのを恐れて、そういった証拠を捨てずに隠したって可能性もある」

本田川佑子「隠す?隠す場所なんてこの学校内にあるかな?」

左雨瑞樹「怪しいのは自室だろうな」

本田川佑子「あー……自室ね」

左雨瑞樹「だからこれからちょっと皆の部屋を調べさせてもらいたいと思ってる。犯人が何かの証拠を残してる可能性があるからな」

白鳥輝穂「じゃあ皆さんに協力してもらって、部屋を調べさせてもらわないといけませんね」

左雨瑞樹「そうだな。皆の協力を仰いで、部屋の捜査をさせてもらって、真相に近づければいいな」

本田川佑子「じゃあ左雨くん達は各部屋の捜査を頑張って!」

左雨瑞樹「あれ?別行動を取るのか?」

本田川佑子「そうだね。私達は私達で捜査することにするよ。私の勘が、このトラッシュルームこそ怪しい!って言ってるしね!」

左雨瑞樹「……何か見つかるといいな」

左雨瑞樹「じゃあお前らの部屋を調べる時は呼びに戻るから、それまでお互い頑張ってようぜ」

白鳥輝穂「はい!頑張りましょう!」
184:🎏 :2013/7/26(金) 01:33:41 ID:HKT.6or5os
氷室エリカ「瑞樹くん、皆の部屋を調べるの?」

左雨瑞樹「ああ。皆に了承を得て調べさせてもらおう」



左雨瑞樹「って流れで皆の部屋を調べさせてもらったけど」

氷室エリカ「事件に関与してると思えるような怪しい部屋はなかった」

左雨瑞樹「うーん……本当の殺害現場とか、何かの証拠品が見つかると思ったんだけどな。所詮は素人の考えだったかなあ」

氷室エリカ「それにしても皆の部屋は個性的だった」

左雨瑞樹「購買部効果でいろいろ買えるようになったからな……個性は出るよな」

氷室エリカ「モノクマメダルのほとんどを瑞樹くんとキングくんが見つけるから、個性を出すのも大変だけど」

左雨瑞樹「好きで見つけてるんじゃねえよ。まあでも……確かにキングは何かたくさん買ってて、部屋は群を抜いて個性的だったな」

氷室エリカ「あそこはもう異世界。何となくアイビーも怯えてたような気がする」

左雨瑞樹「アイビーに自我はねえけどな。あとさあ、佑子の部屋は香水の匂いが酷くてかなわなかったな」

左雨瑞樹「俺が輝穂にあげた香水の匂いが気に入って借りてたみたいだけど、いくらなんでもかけすぎだろ」

氷室エリカ「何事もほどほどが大事だという良い教訓」

氷室エリカ「それはそうと、捜査は手詰まり。どうする?」

左雨瑞樹「……マジでどうしよう?」
185:🎏 :2013/7/26(金) 01:35:34 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「そう言えば良子の部屋は調べてなかったな」

氷室エリカ「そう言えば。被害者の部屋に何かあるかもしれない」

左雨瑞樹「そうだよなあ。とりあえず調べてみるか」

左雨瑞樹「でも良子の部屋って開いてないよな?鍵とかどうしよう?」

氷室エリカ「……大丈夫。開いてる」

左雨瑞樹「え?マジで?」

氷室エリカ「生前、鍵をかけ忘れたまま食堂に行った。そしてそこで殺された。恐らくそういうことだと思う」

左雨瑞樹「……」

氷室エリカ「私の推理、おかしい?」

左雨瑞樹「……まあ今は捜査を優先しよう」

氷室エリカ「そう」

左雨瑞樹「天国の良子へ、捜査のために勝手ながら調べさせてもらうぞ。ごめんな」

左雨瑞樹「よし、これで良子も怒らないだろう。調べさせてもらおう」

氷室エリカ「瑞樹くんって可愛いところがある」

左雨瑞樹「うるせえなあ。男だから可愛いとか言われても嬉しかねえよ」

氷室エリカ「照れてる照れてる」
186:🎏 :2013/7/26(金) 01:37:37 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「お邪魔しまーす」

氷室エリカ「普通の部屋」

左雨瑞樹「そうだな。比較的普通の部屋だな」

左雨瑞樹「まあでもトレーニング器具が何個かちらばってる辺り、良子っぽいとは思うな」

氷室エリカ「男子の部屋みたい」

左雨瑞樹「言ってやるなよ……」

氷室エリカ「あ、部屋の鍵が置いてある。やっぱり鍵のかけ忘れだったみたい」

左雨瑞樹「部屋に鍵が置いてあった、ねえ……」

左雨瑞樹「……あれ?良子の部屋のベッド、掛け布団がないな」

氷室エリカ「本当。これでは寝る時風邪をひいてしまう」

左雨瑞樹「掛け布団がない……これって事件に関係してんのかな?」

氷室エリカ「被害者の部屋の掛け布団がない。これは何だか意味深」

左雨瑞樹「意味深か?……まあでも消えた掛け布団の行方は気にはなるな」

氷室エリカ「ランドリールームで洗ったような様子もなかった」

左雨瑞樹「事件と関係してんのか……全然わかんねえな」
187:🎏 :2013/7/26(金) 01:38:42 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「結局良子の部屋も決定的な証拠は無しかあ」

氷室エリカ「手詰まり?」

左雨瑞樹「手詰まり。あーあ、本当に犯人は健太なのかねえ?」

氷室エリカ「わからない。でも、出来る限りのことはしないといけない」

左雨瑞樹「いろんな場所の捜査も終わった今、出来る限りのことって他にあるか?」

氷室エリカ「状況の整理とか?」

左雨瑞樹「とか?って言われても……まあでもその通りかもな。皆の証言を振り返ったり、モノクマファイルを見直したりするか」

左雨瑞樹「……」

左雨瑞樹「……あっ!?」

氷室エリカ「何?何か発見があった?」

左雨瑞樹「……怪しい奴を見つけてしまった」

氷室エリカ「怪しい奴?」

左雨瑞樹「もしかしたら……真犯人へと繋がる情報かもしれない!」

氷室エリカ「犯人は肉丸くんじゃないの?」

左雨瑞樹「わからない……でも、誰であろうと本当の犯人を見つけるしかない。生き延びるためには……」

左雨瑞樹「だからやるしかない。謎は学級裁判で徹底的に解き明かすしかない!」
188:🎏 :2013/7/26(金) 01:40:10 ID:HKT.6or5os
キーンコーンカーンコーン、とチャイムが鳴って、モニターにモノクマの姿が映し出された。
「そろそろ捜査も終わったよね。じゃあ裁判をいつやるか?今でしょ!」
「そういうわけなので集合場所をお伝えします!学校側に赤い扉があるでしょう?その中に集まれー!」
と、それだけ告げて放送は終わった。

「瑞樹くん、行くの?」

エリカが不安そうに訊ねてくる。命をかけた裁判が始まろうとしているのだから当たり前だろう。
そんなエリカの不安を拭うため、あえて俺は力強く答える。

「ああ。真実を暴きに行こうぜ!」

こうして俺は指定された部屋へ向かうため、捜査を終えたばかりの良子の部屋から出た。
189:🎏 :2013/7/27(土) 00:16:23 ID:HKT.6or5os
モノクマが指定した部屋に入る。そこには全員が集合していた。

「とうとう始まるな。紳士でない肥満体形の犯人を裁く裁判がな」

兎がそのようなことを言った。それに対して健太は、もはや恒例となった否定をしたが、誰もそれに構おうとはしない。
それにしても何もない部屋だ。奥に何か扉が見えるが、それ以外は監視カメラとモニターしかない、本当に地味な部屋だった。
まさかこんな部屋で裁判をやるのか?等と不安に思った。そう思ってたのは俺だけじゃないようで、虎美が唐突に叫び始めた。

「モノクマ!何やねん、この部屋ぁ!?裁判やらすつもりの割にはしょぼい部屋やの!おお!?」

それに呼応するようにモニターが映し出される。画面越しにモノクマが説明を始めたのだ。

「もう、気が早いって場明日さん。イクの早すぎだよ」
「それはそうと、皆揃ったよね?それじゃあ正面のエレベーターに乗ってください。それで裁判場まで行けるからさ!」
「そこでオマエラの運命が決定します。どうなるかなー?ボクは楽しみだよ!」

奥にある扉はどうやらエレベーターのようだ。それに乗りこめば、裁判場まで行けるらしい。
説明が終わると、扉は開かれた。ここまできたら行くしかない。俺達は揃ってそれに乗る。
中は広くて問題なく全員が乗れた。乗ったと同時に扉は閉じられ、エレベーターは動きだした。
190:🎏 :2013/7/27(土) 00:19:56 ID:HKT.6or5os
大げさな音を出しながら、俺達を乗せたエレベーターは下降していく。緊張は高まるばかりだ。
あまりの緊張感、恐怖心に待ったをかけたくなるが、そんな事情は知らねえと、エレベーターは待つことをしない。
そうしてとうとう到着してしまった。チーンと甲高い音を鳴らしたかと思うと、その扉は開かれた。
俺たちの目に飛び込んだ光景は、チェス柄のタイルが敷き詰められた部屋であった。
赤いカーペットが何枚か敷かれ、赤い豪華なカーテンもあちこちに見られ、何と言うか洋風を想わせる豪邸という感じの部屋だ。
その赤のカーペットの終着点である部屋の中央には、証人席と言えばいいのか、そういう感じの席が何席か設けられている。
数えてみると十六席だった。正十六角形の一辺に一席という感じで中央の方を見るように設置されている。
その正十六角形から少し奥、証人席全てを見渡せるような位置に、これまた豪勢な椅子が置かれている。豪勢な椅子、そこにモノクマは座っていた。
191:🎏 :2013/7/27(土) 00:20:56 ID:HKT.6or5os
モノクマ「どうよ、オマエラのための裁判場は?なかなか素敵な裁判場だと思いませんか!?」

モノクマ「それじゃオマエラは自分の名前が書かれた席に着いちゃってよ」

モノクマ「一秒でも早く!ボクはもう待ちきれないんだよ!」

白鳥輝穂「す、すみません……すぐに席に着きます」

輝穂だけは謝りながら、俺含む他の皆は黙ったまま、それぞれの席に着いた。
その構造上、俺達は互いを見回せる。各々の表情もばっちり見えており、緊張感もひしひし伝わってくる。
これからクロとシロの命がけの議論が開始されるのだ。緊張感で空気が重くなるのも無理はない。
犯人は健太なのだろうか?それともモノクマ?俺が怪しんでいるあいつなのか?
ただ、誰であろうと、どんな結末になろうと、謎は解き明かすしかない。皆で生き延びるために!
命をかけた学級裁判が、今始まる……!
192:🎏 :2013/7/27(土) 00:23:08 ID:HKT.6or5os
モノクマ「まずは学級裁判のルールを今一度確認しておきましょう!」

モノクマ「学級裁判の結果はオマエラの投票結果で決まります」

モノクマ「正しいクロを指摘出来ればクロだけがおしおきです。正しいクロを指摘できなかった場合はクロ以外がおしおきです」

モノクマ「クロがおしおきされたら残った皆で学園生活を続行、皆がおしおきされたらめでたくクロが卒業となります!」

中後小百合「モノクマ。少し聞きたいことがある。いいか?」

モノクマ「発言を許可しましょう。今のボク、裁判長っぽくなかった!?活かしてた!?」

中後小百合「あー活けてる活けてる。それはそうと、二つの席ほど、写真が飾られてるだけなのだが?」

モノクマ「死んだ水留くんと百目鬼さんの遺影だよ。死んだからって、仲間外れはかわいそうでしょ?皆で仲良くコロシアイ・ダマシアイだよ!」

中岡笑「仲良くやることじゃないですよ、それ……」

中後小百合「それじゃ質問を加える。死んだ仲間を加えて私達は15人だが……席は16個だ。何故空席がある?」

モノクマ「特に意味はないよ。足りないよりは余る方がいいじゃん。謎の転校生がやってきたりするかもしれないしね!」

中村闘球「いや、ねえだろ……」

モノクマ「さてと、質問は以上かな?そろそろルール説明終わってもいいよね?」

モノクマ「それじゃオマエラはクロが誰か考えるために、議論を始めてください!」
193:🎏 :2013/7/29(月) 01:20:37 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「議論か……でも、どういう風に話していけばいいんだろうね?」

黒魔帝兎「まずは事件を整理しよう。殺されたのは百目鬼良子だ」

キング「背部の負傷が原因で死んでいた……死因は謎の組織によるサイコキネシス!」

場明日虎美「ちゃうわアホ!背部を複数回刺されとったんやろ!」

中村闘球「死体の近くにあった包丁が凶器とみて間違いないだろう。死体発見現場も食堂だし」

夜桜愛梨「もうはっきり言ってしまえば犯人は肉丸健太で間違いないでしょう」

肉丸健太「だから違うって!僕じゃないんだよ!」

夜桜愛梨「言い逃れは見苦しいですよ?あなたはずっと食堂にいた。殺害現場は食堂。これで犯人じゃないはずはありません」

左雨瑞樹(……ここだ!ここが違和感の一つなんだ!あれを考えると、違う可能性がある)

左雨瑞樹(指摘するのは緊張する。俺の考えが正しいとは限らないしな……)

左雨瑞樹(でも、皆の命がかかってるんだ。勇気を出して、意見していこう。やるしかないんだ……!)

夜桜愛梨「いいですか?もう一度言いますよ」

夜桜愛梨「あなたはずっと食堂にいた。殺害現場は食堂。これで犯人じゃないはずはありません」

左雨瑞樹「そいつは違う!」
194:🎏 :2013/7/29(月) 01:22:20 ID:HKT.6or5os
夜桜愛梨「何ですか、糞野郎?もうご主人様としての契約期間は切れましたよ?」

左雨瑞樹「あ、あれもう契約切れなんだ……」

夜桜愛梨「私を再び雇いたければもう一度お金を下さいまし」

左雨瑞樹「考えとくよ。それよりも、愛梨の発言には疑問点がある」

左雨瑞樹「今回の事件、殺害現場は本当に食堂だったのだろうか?」

夜桜愛梨「他に考えようがありますか?皆のアリバイ証言から考えて、事件発生以降に死体を運ぶ隙がなかったのは明白です。そして死体は食堂にあった。決まりでしょう」

左雨瑞樹「食堂が殺害現場だとすると、現場の状況があまりにも不自然なんだよ」

本田川佑子「不自然?」

左雨瑞樹「良子は酷い殺され方をしていた。服も体も真っ赤に染まるほどな」

左雨瑞樹「だったら床には血溜まり、壁や机にも血が飛び散って血痕が残っても不思議ではない。いや、残るべきだ」

左雨瑞樹「それなのに、食堂はあまりにも綺麗なままなんだよ>>179

中村闘球「犯人が殺害の痕跡を消したくて拭き取ったとは考えられないか?」

左雨瑞樹「それなら何よりまず死体と凶器をどうにかすべきだろ。死体や凶器を放置して、血痕だけきれいさっぱり処理したと考えるのは不自然だよ」

相田鳥子「つまりどういうことだー!?」

左雨瑞樹「つまり食堂は殺害現場ではなく、ただ単に死体を移されただけの場所だったんだ。そうなると、ずっと食堂にいた健太には良子は殺せない!」
195:🎏 :2013/7/29(月) 01:24:36 ID:HKT.6or5os
黒魔帝兎「左雨、事件当時の状況を忘れたのか?誰にも見つからずに死体を運べる状況じゃなかったんだぞ」

中後小百合「更に言うと肉丸に見つからずに食堂に死体を置くのも不可能だと思えるが?」

左雨瑞樹「しかし食堂の状況は殺害現場ではないと示している。きっと何か方法があったんだ。それを考えていこう」

夜桜愛梨「……もしかして、こうなることを予想して、血痕だけ処理したのではないですか?」

本田川佑子「え?え?どういうこと?」

夜桜愛梨「血痕が食堂には見当たらない。だから食堂は殺害現場ではない。左雨くんはこう結論付けました」

左雨瑞樹「ああ、そうだな」

夜桜愛梨「肉丸くんはそうなるのを予想して、百目鬼さんを殺した後に血痕だけ消したのです」

夜桜愛梨「殺害後、死体を運べる状況にないのを悟った肉丸くんは、血痕だけを消して殺害現場ではないと見せかけたのです」

キング「死体状況的に大量出血は必至。その血の痕跡が見当たらなければ殺害現場ではないと、そういう推理に進むよう嗾けたと言うのか」

肉丸健太「僕はそんなことを考えつくほど賢くないよ!」

中岡笑「なんつー悲しい自己弁護なんですか……」

相田鳥子「デブ、今変人が言ってたの、何て読むんだー?」

肉丸健太「え?嗾けたのこと?けしかけたって読むんだよ」

相田鳥子「十分かしこいじゃねーかー!だましたなー!」

肉丸健太「ええ!?」
196:🎏 :2013/7/29(月) 01:26:18 ID:HKT.6or5os
場明日虎美「御覧の通り、肉丸はそういうのが計画できるほど頭ええっちゅうわけやな」

肉丸健太「待ってよ!今の、証拠になるの!?」

夜桜愛梨「間違いなさそうですね。肉丸くんは殺害現場を偽装したのです」

左雨瑞樹「そいつは違う!」

白鳥輝穂「左雨さん、どうして違うと言い切れるのですか?」

左雨瑞樹「輝穂だって違うと言い切れるはずだぜ?」

白鳥輝穂「えっ?私もですか?」

左雨瑞樹「虎美、普通血溜まりを拭き取るのならどうする?」

場明日虎美「はあ?何やねん、急に……せやな、ティッシュとか使うか。いや、でもそんなんで拭ききれるか?せやったら雑巾でもつこうてやな……」

左雨瑞樹「そう、何らかを使って拭きとるはずだ。そしたらそれをどうする?」

場明日虎美「そら血がべっとりついとるんやからな。犯人の立場なら処理せなあかんやろ。捨てるとか隠すとかしてやな」

左雨瑞樹「そう!だからゴミや自室などを調べたら証拠が出てくる可能性が高いんだよ」

場明日虎美「……ああ!なるほどなあ!」
197:🎏 :2013/7/29(月) 01:27:34 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「俺はまず佑子と掃除当番の輝穂に協力してもらって、事件当日のゴミを調べた」

中村闘球「お前らゴミ漁りなんかしてたんか……」

本田川佑子「言い方酷くない!?……いや、まあしてたんだけどね」

黒魔帝兎「それで、調べた結果はどうだったんだ?」

左雨瑞樹「血痕処理に使ったような証拠品は見つからなかった>>182-183

中後小百合「そう言えば……左雨と氷室は皆の部屋も調べてたな」

中村闘球「ああ、あったな。急に部屋を調べさせてくれって言われて、疑われてんのかと思ったぜ」

場明日虎美「そんで、うちらの部屋を調べて証拠は見つかったんかい?」

左雨瑞樹「いいや、見つからなかった>>184

左雨瑞樹「血を拭き取った布か何かをゴミの中に捨ててもない。自室にも隠している様子はない」

左雨瑞樹「つまり、今回の事件では誰も血痕を拭き取るようなことはしてないと考えられるんだよ」

中後小百合「だとしたら、仮に食堂が殺害現場の場合、拭き取るようなことはしてないから血溜まりは残るはずなのか」

本田川佑子「でも実際のとこは、食堂にはそういう形跡が見られなかったね。これは本当に食堂が殺害現場じゃないのかも……」
198:🎏 :2013/7/29(月) 01:32:14 ID:HKT.6or5os
夜桜愛梨「でもそうだとしたら、本当の殺害現場はどこだと言うのですか?それを指摘してください」

夜桜愛梨「それに、あなたが調べたのはゴミとそれぞれの部屋だけです。殺害現場の偽装の証拠を他の場所に隠した可能性だってあるでしょう」

左雨瑞樹「……そこを突かれると弱いんだよなあ」

夜桜愛梨「ほら、私の言った通りでしょう。やはり犯人は肉丸くんなのですよ」

左雨瑞樹「だけど、健太が現場の血溜まりを拭き取った証拠もないはずだ。それを挙げられない限り、健太を犯人だと断定できないはずだ」

夜桜愛梨「くっ……!」

黒魔帝兎「いや、拭き取った証拠がなくとも、犯人は肉丸だと言い切れるのではないか?」

白鳥輝穂「それは何故ですか?」

黒魔帝兎「死体の持ち運びの問題があるからだ。結局、殺害から死体発見まで、死体を誰にも見つからずに食堂まで持ち運べる時はなかった」

黒魔帝兎「殺害後に犯人が死体を移動させたことはないと言える。つまり百目鬼は食堂で殺され、ずっとそこに放置されてたことになる」

黒魔帝兎「そうなれば、やはり犯人はずっと食堂にいた肉丸しかないという話になるだろう。拭き取った証拠があるかどうかは些細な問題だ」

左雨瑞樹「そいつは違う!」
199:🎏 :2013/7/29(月) 01:34:46 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「……死体を運べる時間はあったんだよ」

中村闘球「いや、さすがに無理じゃねえか?夜時間まで皆うろついてたんだから。そして夜時間は食堂が立ち入り禁止になる。やっぱ運べる隙はねえよ」

左雨瑞樹「俺が言いたいのは翌日の朝だ」

中後小百合「我々が死体を発見する直前か」

黒魔帝兎「その時も無理だ。食堂が開く時間と同時に本田川が起きて皆を起こしだした。そんな時に死体を運べば、やはり見つかってしまう」

左雨瑞樹「……睡眠に関する時間の感じ方って不思議な感じはしないか?短く感じたり長く感じたり」

場明日虎美「何を突然言いよんねん。頭おかしなったか?」

左雨瑞樹「まあ聞いてくれよ。俺はモノクマの放送で寝ぼけつつ目が覚めた」

左雨瑞樹「そのまま少しだけベッドでごろごろしてたような気がするが、すぐに佑子が起こしに来た」

場明日虎美「今までの情報と一致しとるやん」

左雨瑞樹「……実は放送から10分経ってたんだよ。あの朝、佑子が皆を起こす前に10分の空白が存在していたんだ」

本田川佑子「っ!」

場明日虎美「……あの時そない時間経っとったかあ?自分の記憶違いやないんか?」

左雨瑞樹「10分の空白があったことはモノクマファイルが物語っている」

左雨瑞樹「普段は7時半に食堂に着くだろ>>82>>110>>136

左雨瑞樹「今日の朝だって普段と同じように行動したのに、死体発見の時間、つまり食堂への到着は7時40分となっている>>168

左雨瑞樹「つまり今日はモノクマの放送から10分遅れて、佑子が皆を起こし始めた。その10分の間なら、死体を運ぶだけなら可能だ!」
200:🎏 :2013/7/29(月) 01:37:11 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「佑子、どうだ?本当は今日、10分遅れてから皆を起こしたんじゃないのか?」

本田川佑子「……ごめん。確かに今日、皆を起こすのが10分遅れたんだ。寝坊しちゃってさ……」

中岡笑「事件発生の日に限って寝坊ですか?怪しいですねえ……」

中後小百合「それを事件に利用するのは第三者には不可能だ。本田川、寝坊ってのは嘘で、まさかお前が死体を運んだのでは?」

本田川佑子「運んでないよ!昨日モノクマに見せられた映像を思うとなかなか寝付けなくて……それで寝坊しちゃったんだ」

本田川佑子「皆もそれに気付いてなかったみたいだから、言わなくてもいいかなって思って……お願い、信じて!」

黒魔帝兎「信じる他ないだろう」

場明日虎美「何や?自分、本田川が好きなんかい?」

黒魔帝兎「違う。本田川は犯人ではないからだと言っている」

白鳥輝穂「本田川さん、犯人じゃないんですか?よかった……」

夜桜愛梨「……本田川さんが犯人じゃないのは、犯行時刻のアリバイがあるから。そういうことですか?」

黒魔帝兎「そうだ。確かに本田川の寝坊なんていうイレギュラーを犯人が死体運びに利用できるか怪しい。本田川がいつ起きるかもわからないんだからな」

黒魔帝兎「それを利用できるとしたら、本田川だけが寝坊と偽えば出来るように思える。でも、彼女には揺るぎないアリバイがあるんだ」

黒魔帝兎「もし肉丸以外が犯人なら、アリバイのなかった誰かが、どうにかして本田川の寝坊を利用したんだ」
201:🎏 :2013/7/29(月) 01:39:48 ID:HKT.6or5os
中村闘球「犯行時刻のアリバイがない奴っていうと、確か……」

中後小百合「私と左雨、氷室に夜桜、肉丸と白鳥だな」

黒魔帝兎「死体が運べる隙があった以上、肉丸以外にも犯行ができた可能性が生まれる。となると、怪しいのはその六人だな」

キング「アリバイのある我々の中には、犯人たる者など存在し得ないというわけだ!」

左雨瑞樹「そいつは違う!」

中後小百合「……どうした、左雨?何が違うと言うんだ?」

左雨瑞樹「アリバイのある奴の中で、そのアリバイが怪しい奴がいる」

キング「な、何だと!?お、俺のアリバイは完璧なはずだ!」

左雨瑞樹「……俺が言いたいのはお前じゃないから安心しろ」

左雨瑞樹「俺が怪しいと思うのは、闘球・笑ペアと佑子・鳥子ペアのアリバイだよ」

中岡笑「じ、じじじ自分ですかぁ!?」

相田鳥子「てきとう言ってんじゃねーぞー!馬鹿かー!?」

中村闘球「左雨、俺達が怪しいと思う根拠を聞かせてもらっていいか?」

左雨瑞樹「ああ。簡単なことなんだよ」

本田川佑子「簡単なこと?」

左雨瑞樹「お前達のアリバイが本当なら、この四人はランドリールームで8時半から9時の間だけ合流しているはずだ>>170

左雨瑞樹「でも、お前達の証言ではお互いのことに触れていない。それは不自然なんだよ!」
202:🎏 :2013/7/29(月) 01:41:44 ID:HKT.6or5os
キング「何故そのようなことになったのだ?不可視の魔法でもかかっていたのか?」

左雨瑞樹「……魔法は置いといて、お互いが気付かないのはあり得ないだろう。それぞれ声を出してるんだし、嫌でも気付くはずだ」

白鳥輝穂「い、言わなくてもいいかなって思ったんじゃないですか?」

左雨瑞樹「それも不自然だ。犯人候補から外れるための大切なアリバイだ。誰かと会うのは重要なアリバイになるから、それを隠す必要性はない」

中岡笑「そ、そんなん言いましても自分達は本当にあちらさんとは会ってないですよ!」

相田鳥子「そうだ!あの細マッチョとすべり野郎なんか知らねー!私はずっとサッカー女といたぞー!」

黒魔帝兎「本人達はこう言っているが、その辺はどう思う?」

左雨瑞樹「恐らく、本当に会ってないんだと思う。じゃないと、自分達に不利なことをここまで強く主張しないだろう」

場明日虎美「それやとアリバイに矛盾が生まれるやないか。証言的に、8時半から9時の間に会うはずやねんから」

左雨瑞樹「……これは俺の推理でしかないが、どちらかのペアが本当は8時半から9時の間にはランドリールームにはいなかった」

左雨瑞樹「どちらかのペアが、本当はその時間のアリバイがないんだ!」

夜桜愛梨「その時間のアリバイがないって……それはつまり8時45分の、殺害時刻のアリバイがないということではありませんか!」

左雨瑞樹「その通り!俺はそいつも十分犯人の可能性があるとみてるんだよ!」
203:🎏 :2013/7/29(月) 01:43:48 ID:HKT.6or5os
黒魔帝兎「それはつまり、二人が揃って嘘をついていると言うのか!?」

キング「嘘をつく必要があるのは犯人だけだ!つまり、犯人は二人だったのか!?」

肉丸健太「僕の容疑は晴れるの!?やったー!」

中後小百合「誰かが単に犯人に協力しているだけかもしれないぞ」

中岡笑「犯人が二人だったら投票とかどうなるんですか!?」

モノクマ「あーもーうっせーな、オマエラ!少しは落ち着いて議論しろよー!」

白鳥輝穂「あ、学園長。いや、今は裁判長?と、とにかくどうされましたか?」

モノクマ「犯人が一人か二人かなんて不毛な言い争いをやめさせようと思ってね」

モノクマ「まず、クロに協力するのは自由ですが、それでクロが勝っても協力者は卒業できません。皆と一緒におしおきです」

中後小百合「ふむ。つまり犯人に協力するメリットはないんだな」

モノクマ「それでスペシャルヒントだけど、今回の事件のクロは一人です。原作に基づいてボクはこれを教えます」

白鳥輝穂「原作?原作って何ですか?」

モノクマ「原作は原作だよ。二次創作は権利者の大きな器と素人のリスペクトで成り立つんだよ!」

中後小百合「何のことかわからないから話を戻そう。とにかく、犯人は一人らしい。そうなると、協力者がいたとは考えにくい」

黒魔帝兎「しかし、犯人に協力しなければ、二人揃って嘘をつくことなどない。それはどう説明する?」

左雨瑞樹「簡単なことだ。だったらもう一人を騙せばいいだけだ」
204:🎏 :2013/7/29(月) 01:49:08 ID:HKT.6or5os
中岡笑「もう一人を騙すって?そんなのできるわけないじゃないですか」

中後小百合「時間を騙したのか、場所を騙したのか知らんが、どちらでも無理だな。全て自分で確認できることだ」

左雨瑞樹「確かに普通は無理だな。居場所も時間も自分で確認できるんだから、相手に違う情報を言われたところで騙されることはない」

左雨瑞樹「ただ、今回は騙す相手が普通じゃなかった。なんたって超高校級の馬鹿だからな」

相田鳥子「なにー!?あたしはだまされたのかー!?」

中後小百合「い、いくら超高校級の馬鹿でも、そこまでじゃないだろ……」

左雨瑞樹「いいや、鳥子はそこまでの馬鹿だ。なんたって時計の見方もわからないんだからな>>72

キング「お前、時計の見方もわからんのか……」

中岡笑「素で引いてますやん……」

相田鳥子「なんだー!?悪いんかー!?」

中村闘球「悪いだろ。だって高校生だろ?馬鹿の限度越えてるだろ」

左雨瑞樹「……とにかく、鳥子は時計の見方がわからない。つまり、鳥子相手なら時間を偽ることができる」

左雨瑞樹「だから8時半から9時半まで一緒にいたと騙すことも可能だったんだ。本当は9時から9時半だったのに」

左雨瑞樹「そういうことだろう、佑子?」

本田川佑子「っ!」
205:🎏 :2013/7/30(火) 01:25:47 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「わ、私はそんなこと……」

左雨瑞樹「二つのペアのアリバイの矛盾はこれで解決する。時計の見方を知らない鳥子に、お前が嘘の時間を言うだけでいいんだ」

相田鳥子「サッカー女ー!おめーまちがいないんじゃなかったのかー!馬鹿かー!?」

本田川佑子「こ、こんな風に疑いたくないけど……中村くん達が間違えてる可能性はないの?」

中村闘球「悪いが、ないと断言させてもらう。俺と中岡はあの時揃って時計を確認したしな。もちろん時計の見方は知ってる」

相田鳥子「あたしたちの場合は、サッカー女だけが見たんだー!それでまちがってるとか、いいかげんにしろよー!」

本田川佑子「わ、私も……じ、時間を間違えちゃったんだね」

場明日虎美「ほんまに間違えただけかあ?うちはもうあんたが怪しくてしゃあないわ」

黒魔帝兎「死体が食堂に運ばれたとすると、可能なのは朝の10分。その10分を計画的に使えるのは本田川だけ。そして犯行時刻のアリバイも崩れた」

黒魔帝兎「……悪いが、疑うなと言う方が厳しい状況だ」

本田川佑子「そんな……で、でも私、殺してなんかないよ!百目鬼さんは親友なんだし!」

左雨瑞樹「佑子……俺だってお前を信じたい。だけど……」

本田川佑子「そんな犯人みたいに言わないでよ!証拠はないんでしょ!?」

本田川佑子「殺した証拠も!現場を偽装した証拠も!死体を運んだ証拠も!全部ないはずだよ!だったら想像に過ぎないよ!」

本田川佑子「肉丸くんだってまだ犯人の可能性があるんでしょ!?何で私ばっかり疑うのよ!」

左雨瑞樹「……確かに明確な証拠はないな」
206:🎏 :2013/7/30(火) 01:27:36 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹(犯人が健太でも佑子でも、確かに証拠はないんだよな)

左雨瑞樹(殺した証拠、現場の偽装の証拠、犯人が佑子の場合は死体を運んだ証拠も必要だが、何れも見つかってない)

左雨瑞樹(特に殺害現場は不透明なままだし。血溜まりでも見つかれば一発だけど、怪しい場所はなかった)

左雨瑞樹(……待てよ。あれってもしかして……)

左雨瑞樹「……香水」

本田川佑子「っ!!」

場明日虎美「はあ?香水?」

左雨瑞樹「佑子の部屋からは香水の匂いがしたんだ>>184

黒魔帝兎「香水は購買部で売ってある。それに本田川は女子だ。そういうものに気を使うのは別におかしくないのでは?」

左雨瑞樹「だけど、あれは明らかにかけすぎだった。思えば……あれは血の臭いを隠すためだったのかもしれない」

中村闘球「血の臭い……」

左雨瑞樹「俺はあんま読まねえからよく知らないけどよ……推理物とかの小説で、血の臭いの描写ってあるよな」

夜桜愛梨「鉄くさい臭いがするみたいですね。確かにそういう表現は見かけます」

左雨瑞樹「だから実際もけっこう臭いが酷くなると思うんだ。ましてや、死体の状況から察するには大量出血のはずだからな」

左雨瑞樹「だから佑子は、自室で良子を殺した後、その臭いを打ち消すために、輝穂から香水を借りて大量にふりかけたのかもしれない」
207:🎏 :2013/7/30(火) 01:29:15 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「いい加減にしてよ!香水の匂いが気に入ったから、白鳥さんから借りて使っただけだよ!」

本田川佑子「それで犯人扱いとか、ふざけないで!そんな想像、証拠にはならないよ!」

左雨瑞樹「まあまあ。そういう考え方もできるだろ。俺は今、いろんな可能性を考えてんだよ」

本田川佑子「まあまあ、で済まそうとしないでよ!そんなんで犯人扱いとか、冗談じゃないよ!」

キング「しかし、限りなく怪しくなってるのは確かだぞ。正直、貴様と肉丸のどっちが犯人かわからんからな」

本田川佑子「うう……」

肉丸健太「僕じゃない……僕じゃない……」

左雨瑞樹「その辺をはっきりさせるためにも、怪しいところはドンドン追及していこう」

左雨瑞樹「実はな、捜査の一環で各部屋を調べた俺とエリカは、違和感のある部屋を二つ見つけた」

左雨瑞樹「一つは今言った佑子の部屋で、酷い香水の匂いのことだ」

左雨瑞樹「そしてもう一つは被害者である良子の部屋だ。まず、ドアの鍵が開いてたんだ」

本田川佑子「そ、そんなの百目鬼さんが生前鍵をかけ忘れただけだよ!そのまま食堂に行って、そこで殺されたんだよ!」

中後小百合「それはおかしいな、本田川。事件発覚の直前までお前自身が確認してたはずだ。百目鬼の部屋に鍵がかかってたのをな>>158

本田川佑子「くぅっ!」

左雨瑞樹「つまり事件発覚後に、誰かが良子の部屋の鍵を開けたんだ」
208:🎏 :2013/7/30(火) 01:32:11 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「モノクマファイルによると、鍵は良子が持ったままのはずだ>>168

左雨瑞樹「しかし、俺とエリカは部屋で鍵を発見した」

左雨瑞樹「恐らく、犯人が良子の部屋に入るために死体から奪って使ったんだ。そして、部屋の鍵を開けると、そのままそこに置いた」

中後小百合「下手に持ったままでいて、それを見つけられたら、犯人としては言い逃れできないしな」

夜桜愛梨「しかし、何故犯人はわざわざ百目鬼さんの部屋に行ったのでしょう?」

左雨瑞樹「……良子の部屋からある物がなくなっていた。たぶんその時にそれを回収したんじゃないかな」

相田鳥子「そのなくなった物って何なんだー!?」

左雨瑞樹「掛け布団だ。良子の部屋のベッドの掛け布団がまるまるなくなってたんだよ>>186

中岡笑「掛け布団ですか?そんなのを回収して何になるんですか?」

左雨瑞樹「……そこを考え中なんだよ」

場明日虎美「……わかったあ!犯人はなあ、百目鬼の掛け布団つこうて血を拭き取ったんや!そんでそれを百目鬼の部屋に戻しといたんや!」

場明日虎美「そんなんがあったら決定的な証拠になるやん!せやから犯人はそれを隠すために鍵奪って部屋に入ったんや!」

左雨瑞樹「でも、被害者の部屋の物に血がついてて、それが犯人特定の手がかりになるか?」

黒魔帝兎「犯行現場が食堂ではないかもしれないという手がかりにはなるかもしれないが、犯人の特定には関係ないように思える」

黒魔帝兎「そんな物のために、誰かに見つかって怪しまれるかもしれないリスクを負ってまで、捜査中に被害者の部屋に入るだろうか?」

黒魔帝兎「これだから、考えもしないで適当を言う野蛮な阪神ファンは嫌いなんだ」

場明日虎美「うっさいわ!似非紳士は黙っとれや!」
209:🎏 :2013/7/30(火) 01:33:37 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹(でも、何故良子の部屋に行ったのかはハッキリさせないといけない)

左雨瑞樹(たぶん良子の部屋は殺害現場ではない。健太が犯人なら食堂で、佑子の場合は自室だと思う)

左雨瑞樹(それなら何故良子の部屋に入って掛け布団を回収する必要があるんだ?)

左雨瑞樹(殺害には関係ないだろうから、血もついてない普通の掛け布団だと思うが、それを隠して何になるんだ?)

左雨瑞樹(……いや、掛け布団その物を隠したかったんじゃなくて、掛け布団を使って隠したい物があった……なんて)

左雨瑞樹「……あっ!」

中村闘球「どうした、左雨?」

左雨瑞樹「事件の全貌が見えたかもしれない……」

中岡笑「え、わかったんですか?」

左雨瑞樹「やっぱりこの事件の犯人は……本田川佑子、お前だ」

本田川佑子「っ!」

左雨瑞樹「何故佑子が犯人と言えるのか……それをはっきりさせるためにも、事件の流れを最初から振り返ってみようと思う」
210:🎏 :2013/7/30(火) 01:35:15 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「動機は恐らくモノクマが見せた映像だ。内容はわからないが、皆と同じくショッキングで外に出たくなるような内容なんだと思う」

左雨瑞樹「それで殺害を決意した佑子は、昼間のうちに食堂に行き、密かに包丁を用意した」

肉丸健太「あの日の昼間なら……確かに本田川さんは来たよー。僕、ずっと食堂にいたからねー」

左雨瑞樹「そして夜になり、佑子は自室に良子を呼んだ。……彼女を殺害するために」

中後小百合「そうなると殺害方法が気になるところだな。背面を何度も刺されているということは、殺害時はどういう状況だったのだろうか?」

左雨瑞樹「それはたぶん、マッサージケアの最中に刺したってことだろう」

相田鳥子「まっさーじけあ?」

左雨瑞樹「佑子はサッカー選手、良子はプロレスラーで二人とも運動をするだろ。この学園生活の中でもトレーニング等はやってたと思う」

場明日虎美「ああ、うち、本田川や百目鬼がトレーニング器具やら買っとるとこは見たことあるわ」

左雨瑞樹「そうやってトレーニングで疲れた体をマッサージでケアしようっていうことで呼び出したんだと思う」

左雨瑞樹「当時、俺達はまだ学級裁判のことを知らなかったが、とりあえずクロが他の誰かにばれてはならないことだけは知ってた」

左雨瑞樹「だから佑子は、マッサージと称して良子をベッドにうつ伏せに寝かせ、掛け布団をかけた上で包丁を刺した」

黒魔帝兎「なるほど。それならマットや掛け布団が血を吸い込み、自身が返り血を浴びることはない」

中後小百合「返り血を浴びてなければ、誰も部屋に入れない限りは自分が犯人ということを隠せるな」
211:🎏 :2013/7/30(火) 01:36:50 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「こうして佑子は良子を殺した。そして、その時にモノクマに説明でも受けたのかもしれんが、学級裁判のことを知った」

左雨瑞樹「だから佑子は次にアリバイ工作を図った」

キング「それが、相田を利用したアリバイ時間の偽装か」

左雨瑞樹「しかし、そうして偽ったアリバイ時間は、偶然にも闘球達と被ってしまって、結果として嘘がばれることになった」

左雨瑞樹「そうなることを知らない佑子は、その日はそのまま部屋に戻った。そして死体と一緒に一夜を過ごした」

左雨瑞樹「翌朝、モノクマの放送の直後、佑子は死体を運びだした」

左雨瑞樹「毎朝皆を起こしていたから、ほっといたら誰も起きてこないと知っていた。それを利用して、ロックが外れた食堂へと運んだんだ」

左雨瑞樹「……おそらく、健太に罪をかぶせるためにな」

肉丸健太「……」

左雨瑞樹「死体を運んでから、佑子は俺達を起こした。そして俺に死体を発見させた」

左雨瑞樹「皆が若干寝ぼけてる早朝に仕掛けることで、皆の時間に関する記憶を曖昧にさせて、死体を運ぶ時間はなかったと思い込ませたかったんだ」

左雨瑞樹「まあそれはモノクマファイルに記載されてしまって、最終的には失敗に終わったけどな」

左雨瑞樹「しかし、当時は目論見通り健太が怪しまれる結果となり、佑子はこれで安心した」

左雨瑞樹「ところがここで予想外のアクシデントが起こってしまった」

左雨瑞樹「……俺とエリカが各自の部屋を調べ始めたんだ」
212:🎏 :2013/7/30(火) 01:39:22 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「佑子は焦った。犯行現場は食堂だと思わせることに成功したし、部屋を調べるにしても被害者と容疑者くらいのものだと思ってて、自分が調べられるとは思ってなかったんだ」

中岡笑「ああ、そりゃ焦りもしますね。もし調べられたら、血まみれのベッドを見つけられてしまいますから」

左雨瑞樹「俺達は各自の部屋を調べる前に、その旨を佑子と輝穂に言ってしまった。だから佑子は調べられる前に隠蔽に移ったんだ」

左雨瑞樹「輝穂。あの時佑子は単独行動を取らなかったか?」

白鳥輝穂「い……い、言いたくない、です……わ、私……百目鬼さんを殺した犯人が、本田川さんだなんて……思いたくない……」

左雨瑞樹「輝穂、お前は特に二人と仲が良かったから辛いのはわかる。けど、犯人をハッキリとさせないと、犯人以外の全員がモノクマに殺されるんだ」

左雨瑞樹「皆の命を守るためにも必要なんだ。……頼む、本当のことを言ってくれ」

白鳥輝穂「うぅ……ほ、本田川さんは……左雨さん達と別れた後、トイレに行くから待ってて、って……一人でどこかに……行き、ました……」

左雨瑞樹「……ありがとう、輝穂。泣くほど辛いのに……ごめんな」

左雨瑞樹「……こうして単独行動を取った佑子は、良子の遺体から鍵を取って、良子の部屋へ向かった」

夜桜愛梨「待ってください。鍵は百目鬼さんが持っていたとのことですが、事件発覚後は中村くんと黒魔帝くんが現場を見張ってました」

夜桜愛梨「遺体から鍵を抜き取るなんて、無理ではないですか?」

中村闘球「あー……夜桜。実はだな……」

黒魔帝兎「見張ってる時、本田川が一人で食堂にやってきた。何でも、百目鬼のためにお祈りをしたいということだった」

黒魔帝兎「生前仲が良かったし、それくらいは許してやろうということになり、俺達はそれを許可した。間もなく彼女は遺体のそばに屈んで両手を合わせた」

中村闘球「ちゃんと見ていたつもりだったけど……もしかしたらその時遺体から鍵を取ったのかも……」

夜桜愛梨「……左雨くん、話を続けてください」
213:🎏 :2013/7/30(火) 01:42:25 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「そうして鍵を取った佑子は良子の部屋に侵入し、掛け布団を回収した」

中岡笑「それは何でですか?」

左雨瑞樹「自分の部屋の血まみれのベッドを、普通の掛け布団を用いて隠すためだよ」

中後小百合「なるほどな。自室のベッドは殺害時の血でめちゃくちゃだ。そりゃあ犯人さんは隠さなきゃまずい展開だ」

黒魔帝兎「しかし、そんなのはよく調べればすぐにわかるのではないか?」

左雨瑞樹「それは俺に責任があるかもしれないが……言い訳させてもらうと、本人同席だったからあまり深く調べられなかった」

左雨瑞樹「犯人は健太だって雰囲気が出来てた上に、疑われてる感じが嫌だったんだと思う。だからほとんど皆が、詳しく調べさせてくれなかった」

左雨瑞樹「それは佑子も一緒だった。偽装後だったから見た目に異常はなく、血の匂いを誤魔化してた香水の匂いがきつくてさっさと切り上げてしまった」

左雨瑞樹「佑子は血まみれのベッドを隠すために、良子の部屋の綺麗な掛け布団を被せてその痕跡を消した。元々の掛け布団はどこかに隠したんだろう」

左雨瑞樹「そして、偶然前から借りてたのか隠蔽のために急遽借りたのかは知らないが、とにかく輝穂の香水を使って血の匂いを消した」

左雨瑞樹「こうして自分が犯人だとばれないよう、数々の偽装工作を行ったのが今回の事件の真相だ」

左雨瑞樹「以上が俺の推理だ。素人推理だけど、良く出来てると自画自賛させてもらう。……それで、佑子はどう思う?」

本田川佑子「……」
214:🎏 :2013/7/30(火) 01:44:25 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「良くできたお話だね。左雨くん、お話作りの才能でもあるんじゃないの?」

場明日虎美「自分、まだ言い逃れるつもりなんか?」

本田川佑子「言い逃れじゃない!だって、左雨くんの推理って全部妄想だもん!直接的な証拠がないんだよ!」

本田川佑子「殺した証拠!偽装した証拠!そんなの一個も出さなかったじゃない!」

本田川佑子「だったら肉丸くんが犯人の可能性だってまだあるでしょ!食堂で殺して、血だけ拭き取って、殺害現場を誤魔化そうとしたんだよ!」

本田川佑子「そうだ!肉丸くんが百目鬼さんの掛け布団使って血を拭いたんだよ!それをどこかに隠してるんだ!」

中岡笑「で、でも本田川さんは朝の10分のことや殺害時間のアリバイとかは偽ってるじゃないですか……」

本田川佑子「だからそれも寝坊しただけ!時間を間違えただけ!そう証言してるじゃない!」

本田川佑子「皆がそれを疑うんなら、そっちが違うって証拠を出してよ!本当のこと言って、証拠もないのに何で疑われなくちゃいけないのよ!」

左雨瑞樹「まあ確かに決定的な証拠がないと断定はできないよな」

左雨瑞樹「じゃあ証拠出せばいいんだよな?」

本田川佑子「っ!?」

中後小百合「証拠はあるのか?」

左雨瑞樹「手持ちにはないけど簡単なことだよ。俺の推理があってたら、佑子の部屋のベッドは血まみれだ。掛け布団の下を調べればいい」

左雨瑞樹「あと、何となく元々の掛け布団を隠した場所にも見当はついてる」

左雨瑞樹「血まみれの掛け布団なんか持ち歩くわけにはいかないからな。たぶん部屋のシャワールームにでも隠してると思う。俺が調べた時はそこまで見てなかったしな」

左雨瑞樹「今からでも調べてみようぜ。ついでだ、健太の部屋も調べてみよう。健太もまだ一応容疑者だしな」
215:🎏 :2013/7/30(火) 01:45:07 ID:HKT.6or5os
肉丸健太「是非調べてよ!隅々まで入念にお願いするよ!そうすれば、僕が犯人じゃないってわかってもらえるから!」

本田川佑子「や、やめて……やめてよ……」

左雨瑞樹「どうした、佑子?犯人じゃないなら、これで自分が犯人じゃないと証明できるだろ」

左雨瑞樹「そうすれば妄想で犯人呼ばわりした俺を責めることも許されるだろ」

左雨瑞樹「だからさっさと清廉潔白を証明しようぜ。さあ、お前の部屋を調べさせてくれよ!」

本田川佑子「やめてええええぇぇぇぇっ!!」
216:🎏 :2013/7/31(水) 02:17:24 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「やめて……やめてぇ……」

肉丸健太「……」

白鳥輝穂「うっ……うぅ……本田川さん……嘘って……嘘って言ってください……!」

モノクマ「……どうやら結論が出たみたいですね。それじゃワクワクドキドキ、投票タイムに移りましょう!」

モノクマ「お手元のスイッチでクロだと思う人に投票しちゃってくださーい!」

モノクマ「あ、そうそう。必ず誰かに投票するようお願いしますね。白票とかボクは認めないよ!」

モノクマ「ではでは参りましょう。投票の結果はどうなったのか……CMも挟まずに行っちゃいましょう!ジャジャーン!」

モノクマ「投票結果はほぼ全員一致で本田川佑子さんとなりましたが……」

モノクマ「大正解!今回のクロは本田川さんでしたー!オマエラ、お見事だね!」

モノクマ「ちなみに唯一本田川さんに投票しなかったのは、白鳥さんです」

モノクマ「うぷぷぷ、自分に投票しちゃってるし!白鳥さんってば、実はドジッ娘?萌えちゃうね萌えちゃうね!」

モノクマ「でも……多数決でクロが決まるから、間違った投票はシロには命取りだよ?今度からは気を付けてくださいね!」

白鳥輝穂「嫌だぁ……本田川さんが犯人だなんて……信じたくないよぉ……」

左雨瑞樹「……」
217:🎏 :2013/7/31(水) 02:18:56 ID:HKT.6or5os
モノクマだけがはしゃいでいた。
輝穂は啜り泣き、佑子はぶつぶつと何かを呟き、俺達は発言をすることができなかった。

本田川佑子。
俺達の中でも明るく前向きで、この狂った学園生活の中で希望となり得る大きな光だった。
俺達の中に犯人がいたというのはもちろんショックだが、それが佑子だったというのが大きな衝撃となった。
しかも、その佑子が殺したのは、仲良くしていた良子である。
自ら導きだした結論ではあったが、こんな真実には辿り着きたくなかった。この真実は俺達に絶望しか与えない。
真相を求めて佑子を追い詰めた結果、こんな未来が俺達を出迎えた。
切ないだけ。悲しいだけ。虚しいだけ。ただ、それだけ。
しかも、これで全てが解決したのではない。今回の学級裁判が終わっただけだ。
次また誰かがモノクマの卑劣な罠に負けて殺人を犯せば、こんな虚しいことを繰り返さなければならない。
どうして。どうしてこんなことになってしまったんだろう。
そんな矛先のない虚しい怒りを心に留めたまま、俺はじっと佑子を見ていた。
218:🎏 :2013/7/31(水) 02:20:17 ID:HKT.6or5os
「佑子。最後に一つだけ教えてくれないか」

気付けば俺はそう発言していた。ただ、本当に一つだけ、気になっていたことが俺にはある。
何?と、返してきた佑子の表情は小さく笑っていた。犯行がばれて自棄にでもなっているのか。

「佑子が犯人なら、どうして健太が犯人だと皆がまとめた時に、捜査を前向きに検討したんだ?>>175

そう、それは犯人の立場ならあり得ない言動だった。違う人物を皆が犯人だと言っているのだから、それに乗っかればいいだけの話だ。
しかし、佑子は健太犯人説を良しとせず、捜査によって真犯人を見つけ出す方針に乗っかった。
その捜査をきっかけに、俺は真実に辿り着き、佑子自らの首を絞める結果に行き着いた。その意図が俺にはわからないのだ。
俺がこう訊ねると、小さな笑顔を崩さないまま、佑子は自分の想いを紡ぎ始めた。
219:🎏 :2013/7/31(水) 02:22:45 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「……あの時言った通りだよ。百目鬼さんの仇を討とうって思って。ただ、それだけ」

左雨瑞樹「仇を討つって……その仇はお前自身だろ。犯人が言う台詞ではねえだろ」

本田川佑子「あの日の私はね、きっと悪魔が乗り移ってたんだと思う」

左雨瑞樹「キングみたいなことを言うんだな」

本田川佑子「皆もモノクマから映像を見させられてるから何となく想像つくけど、私もたぶん似たような内容だと思う」

本田川佑子「私の場合はね、小学校中学校と同じチームで頑張ってきたチームメイト達が映ってた」

本田川佑子「全国大会を勝ち抜いてきた掛け替えのない仲間達でね。高校とかプロになると流石に違うチームになるかもしれないけど」

本田川佑子「それでも日本代表として、日本女子サッカーのために、世界を舞台にしてまた一緒に戦える日が来ると思ってた。思ってたんだよ」

本田川佑子「でも、あの映像の中で、掛け替えのない仲間達は、血溜まりの中で横たわってたんだ」

本田川佑子「震えたよ。素人目に見ても死んでるって思うような状態だったんだもん。皆の表情は苦痛のままで固まってた」

本田川佑子「映像はそこで終わったの。心配で心配で仕方なかったんだけど、安否を確認するには外に出るしかない」

本田川佑子「あの映像はCGか何かで、皆はまだ生きていると願いたい。とにかく皆の無事を確かめたい。そう思った時、私の中に悪魔が降りてきたの」

本田川佑子「だったら殺せばいいんだって。モノクマは誰かを殺せば出してくれるって言ってるんだからって、そう思っちゃったんだ」
220:🎏 :2013/7/31(水) 02:24:50 ID:HKT.6or5os
本田川佑子「私は超高校級のサッカー選手。日本の女子サッカーは世界トップの実力で、だから私や仲間の将来は何より大切だと思った」

本田川佑子「ここにいる皆のことを見下してしまった。わけのわからない才能多数、人気低迷で将来性のないプロレス、日本代表は世界レベルじゃないラグビー……」

本田川佑子「日本女子サッカーの尊い未来を守るためには、これくらいの犠牲も仕方ないって、一瞬でもそう思ってしまったんだよ」

本田川佑子「だから私は百目鬼さんを殺した。左雨くんが言ったように、マッサージし合おうって誘って、ベッドに寝かせてから何度も刺した」

本田川佑子「掛け布団をのけて、百目鬼さんを見た。もう完全に死んじゃってたよ。凄い出血だった」

本田川佑子「それを見てね、映像の中の仲間達の姿が被ったんだ。そして……あまりにも遅いけど気付いたんだ」

本田川佑子「百目鬼さんだって……大切な仲間なのに!私はおかしくなったまま、掛け替えのない大切な友達を自ら殺しちゃったんだよ!」

いつしか佑子は笑みの表情を崩して大粒の涙を零していた。零しても零しても止まることを知らない涙。それは彼女の後悔の念に呼応するように溢れ続けた。
あまりにも激しく泣くから心配にもなったが、彼女の話を遮るのもそれはそれで無粋に感じた。だから俺は、必死に言葉を生み出してる彼女をただただ見守り続けた。

本田川佑子「わ、私は……どうしたらいいのかわからなくなった!」

本田川佑子「せっかく殺したんだからばれないようにして外に出ないとって気持ちと!」

本田川佑子「親友の百目鬼さんを殺してしまったのにそれを隠して償わなくていいのかって気持ちに挟まれて!」

本田川佑子「どうしたらいいのかわかんなくて、ずっとずっと怖かったんだよ!」

左雨瑞樹「その気の迷いが、捜査に協力的な姿勢に繋がったわけか」
221:🎏 :2013/7/31(水) 02:27:09 ID:HKT.6or5os
左雨瑞樹「それで、自分の本当の気持ちはわかったのか?」

本田川佑子「……さっきのさっきまでわかってなかったんだ。犯行がばれた時、私は絶叫した」

本田川佑子「だから、私はばれずに生き残りたかったのかなって一瞬思ったんだけど」

本田川佑子「でも、この涙が答えなんだと思うよ。すっごい悩んだけど、最期に答えがわかってよかった」

本田川佑子「きっと私は償いたかったんだ。罪と向き合って、百目鬼さんを殺したこと、償いたかったんだよ」

本田川佑子「左雨くん、私を犯人だと暴いてくれてありがとう。これでよかったんだと思うよ」

本田川佑子「……極悪非道の犯人が、こんなことを願うなんて許されないと思うけどさ」

本田川佑子「死後の世界で……わ、私は百目鬼さんと、仲直り出来るかなあ!?この先私が許されることってあるのかなあ!?」

左雨瑞樹「……たぶん良子は天国行きで、罪を犯したお前は地獄行きだろう。償うのは想像を絶する苦行だろうし、そもそも会うのも難しいと思う」

左雨瑞樹「だけど俺は、その気持ちを抱いてやり直せば、きっと償えると思う。良子も出来た女だ。お前が償えば、それに応じてくれる良い奴だよ」

本田川佑子「左雨くん、ありがとう……!」
222:🎏 :2013/7/31(水) 02:29:24 ID:HKT.6or5os
モノクマ「何を良い話にしようとしてるんですか!そんな話じゃねーから、これ!」

左雨瑞樹「モノクマ……」

モノクマ「死後の世界とか馬鹿なことを言わないでください!確か死のノート的な漫画でも言ってたじゃない。死んだら待ってるのは無だよ!」

モノクマ「それに許されるかどうかなんてハッキリしてるよ。許されるわけないじゃん!」

モノクマ「自分が出たいからって人を殺したキチガイに、そのキチガイを自分達が助かりたいからって追い詰めて殺すシロ共だよ!」

モノクマ「百目鬼さんを直接殺した本田川さんも、自分が助かりたいからその本田川さんを犯人と暴いて殺そうとしてる皆も、等しく狂った絶望なんだよ!」

モノクマ「責任逃れしたいからって、死後の世界だ何だ言って勘弁願うなんておかしな話だよ。たとえゆとりでも自分の行動に責任は持てよな!」

モノクマ「ゆとりの生徒を持つと先生も大変です。人を殺しといて許されたいとか、ここまで学力低下してるなんて驚愕ですよ!」

左雨瑞樹「……黙れよ」

モノクマ「んー?左雨くん、何か言いました?」

左雨瑞樹「お前が!お前が殺させたんだろうが!お前がいなかったら崇も良子も、佑子もっ!!誰も死なないで済んだんだよっ!!」

モノクマ「左雨くん、何を熱血やってるんですか?叫びすぎですよ。のど飴でも舐める?」

左雨瑞樹「お前が閉じ込めなければ!変なルール作らなければ!普通に外に出してくれれば!あんな映像見せなければ!こんなことにはならなかったんだ!」

左雨瑞樹「そうだ!お前が殺したんじゃないか!お前が、お前だけが悪いんだよっ!!」
223:🎏 :2013/7/31(水) 02:31:51 ID:HKT.6or5os
モノクマ「ボクが悪い?冗談じゃない!」

モノクマ「確かにボクはオマエラにこの学園生活を与えました。でもそれは良かれと思っての行動です。主にボクに良いですし」

モノクマ「その上、この学園から出られる方法まで提示してあげました。それは強制ではありません。それを選ぶのはオマエラの自由だったはずです」

モノクマ「確かにボクは動機を作りました。だったら、動機作った奴が一番悪いの?理由になった奴だけが悪いの?そんなわけないよね!」

モノクマ「どんな理由があろうと、犯罪を実行した奴が一番悪いに決まってるじゃん!」

モノクマ「外の世界のルールでも普通に犯罪だし、この学園内のルールで考えても人を殺しといて無様にばれて、弁明の余地がないよ!」

モノクマ「それをさあ、何もかもボクが悪いって押し付けてさ。左雨くん、言ってて恥ずかしくならない?」

左雨瑞樹「ふざけるな!お前が……!」

黒魔帝兎「確かにモノクマの言う通り、モノクマに乗った本田川だって悪い」

左雨瑞樹「兎!お前、モノクマの方が正しいって言うのか!?」

黒魔帝兎「全てを肯定する気はない。奴の主張のほとんどは自己擁護の滅茶苦茶な話だ。だが、結局犯罪に走ったのは本田川自身だ」

黒魔帝兎「映像を見せられ、辛いのは本田川だけではなかった。それなのに、奴は自分だけ外に出ようと全てを犠牲にしようとした!」

黒魔帝兎「学級裁判を一歩間違えていれば、死ぬのは俺達だったんだぞ!本田川の身勝手な行動で、俺達は危うく死ぬとこだったんだ!」

肉丸健太「そうだよ!僕なんか犯人にされそうになって!こんなの許せないよ!本田川さんは……あの女は僕達の敵だよ!」

白鳥輝穂「もうやめようよぉっ!!」

左雨瑞樹「輝穂……」
224:🎏 :2013/7/31(水) 02:34:47 ID:HKT.6or5os
白鳥輝穂「皆さん、もうやめましょう。確かに本田川さんは過ちを犯しました」

白鳥輝穂「でも結果的にはそれが暴かれて、本田川さんが罰を受けることになりました」

白鳥輝穂「本人も反省し、償いを覚悟しています。だったら私達は……最期まで仲間でいましょう」

白鳥輝穂「私達、仲間ですよね。間違いを犯してしまいましたが、それときちんと向き合った本田川さんを見放すのはやめましょうよ……」

黒魔帝兎「大した綺麗事だな」

場明日虎美「黒魔帝!何やねん、その言い方!?」

黒魔帝兎「白鳥。お前は本田川に投票しなかった。仲が良かったなんて私情を挟んで、間違った投票を行った」

黒魔帝兎「それでもし正しいクロが指摘出来ず、俺達が死ぬことになってても、仲間だから許せとでも言う気だったか?」

黒魔帝兎「仲間っていうのが何でも許される甘い関係なら、俺は仲間でなくていい。甘ければ窮地に追い込まれると、今回の事件で知ったからな」

白鳥輝穂「……」

左雨瑞樹「……仲間って、何だったんかなあ。何かもうわかんなくなっちまったよ……」
225:🎏 :2013/7/31(水) 02:35:56 ID:HKT.6or5os
モノクマ「はい、ひと段落ついたみたいなので、お待ちかねのおしおきタイムと行きましょう!」

本田川佑子「おしおき……それってあれだよね……」

モノクマ「そうです。水留くんみたいな感じです。早い話が処刑ですかね」

白鳥輝穂「嫌だよ!本田川さん、死んじゃ嫌だよぉ!!」

本田川佑子「左雨くん、ありがとう。左雨くんの言葉で何か救われたんだよね。普通の学園生活だったら惚れてたかも」

左雨瑞樹「佑子……」

本田川佑子「白鳥さん、ありがとう。こんな私でも仲間って言ってくれて。私、白鳥さん百目鬼さんって親友がいたこと、忘れないよ」

白鳥輝穂「嫌だよぉ……死なないでよぉ……」

モノクマ「張り切っていきましょう!超高校級のサッカー選手である、本田川佑子さんへのスペシャルおしおきです!どうぞー!」
226:🎏 :2013/7/31(水) 02:40:16 ID:HKT.6or5os
モノクマがそう言うと、モノクマの座っている席付近にスイッチが出てきた。それをモノクマが木槌で叩く。
次の瞬間、佑子の足元の床が開き、即座に彼女は落下してしまった。
思わず穴を覗きこむ。しかし映るのは暗闇だけで、彼女の姿はもう見えなかった。
どうなったか気になってると、間もなく裁判場に巨大モニターが出てきた。それを食い入るように見つめる俺達。
その画面にはサッカーのグラウンドが映し出されていた。ゴール前のエリアに人の張りぼてが複数設置してある。
その中に混じって佑子はいた。グラウンドには不釣り合いな鉄柱が設置されており、それに磔になっている。首、胴、脚と完全に拘束され、身動きが取れないみたいだ。
張りぼての中に混じって磔になっているという、異常なゴール前の景色から画面が少しずれると、ライン付近にモノクマの姿があった。いつの間に。本当に神出鬼没だ。
モノクマの足元にはボールがある。なるほど、これはコーナーキックを再現しているようだ。
ただ、おかしい点が一つあって、それはモノクマの足元のボールが、サッカーボール大の鉄球だと言うこと。そしてそれがワイヤーと繋がっていること。
モノクマがサッカーボールを蹴る動作をすると、ワイヤーに引っ張られて鉄球が高速移動を始めた。その向かう先は、磔となって動けない佑子の頭部だ。
そして間もなくゴキンッという音がして、鉄球は軌道を変えた。張りぼてを豪快に壊しながらゴールのネットを突き破った。
コーナー付近でカズダンスっぽい動きをしてるモノクマとは対照的に、佑子の頭部は力なくぷらんぷらんと揺れるだけだった。
227:🎏 :2013/7/31(水) 02:42:16 ID:HKT.6or5os
恐ろしい光景だった。モニターを通して俺達は人が死ぬところを見たのだ。忘れようとしていた崇の死亡時の映像もフラッシュバックして、より気持ち悪くなった。
人間の頭部があそこまで折れて、振り子のように揺れるところなんて見たことない。崇の時もそうだったが、心の底から恐怖に染まる。
そんな恐怖を前に輝穂が泣き崩れた。無理もない、親友があんな状態になって、平然といられる方がおかしい。
当然俺達も同じだ。映し出された絶望を前に、ただただ絶句する他なかった。そこへ神出鬼没のモノクマが瞬時に戻り、そして叫ぶ。

「エクストリイイイィィーム!!ひゃっはー!!」
「この瞬間のために生きてるうぅー!!」

叫んだのは喜びだった。崇を殺して、今は佑子をも殺したんだからわかってたはずなのに、改めて認識し、震え上がる。
こいつ、狂ってやがる。人が死んで、自分が殺して、それを喜ぶことができるんだ。おかしいだろ、そんなの。
そして、ルール破ったからとか裁判でクロを追い詰めたからとか言って、その責任を俺達に押し付けてるんだ。
でも、ここでは奴に逆らえない。逆らえないからこそ、崇も佑子も死んだ。殺されたんだ。
おかしい。こいつも、この学園も全部おかしい。おかしいんだよ。もう嫌だ。こえぇよ、何もかも。
228:🎏 :2013/7/31(水) 02:44:23 ID:HKT.6or5os
夜桜愛梨「……私達はこれからもこんなことを続けなければならないのですか?」

夜桜愛梨「無益な学級裁判に、狂った処刑……こんなのを続けるなんて、とても無理です!」

モノクマ「じゃあ殺さなきゃいいんだよ。外に出たがるからこんなことになるんだよ。いいじゃん、一生この学園で過ごせばさ」

モノクマ「素晴らしい学園長。素晴らしい学園生活。最高じゃないですか。天国地獄なんてふざけた物がもしも実在するなら、きっとここが天国ですよ」

モノクマ「腐った外の世界なんて地獄以外の何物でもないです。そんな地獄にわざわざ嫌な思いして戻るくらいなら、ここでの生活を受け入れるべきです!」

中後小百合「狂ってる……」

モノクマ「狂ってる?それ、褒め言葉ね。いや、褒め言葉じゃねーし!」

モノクマ「ただ、ここで狂ってるのはオマエラの方だよ。こんな素晴らしい学園にいるのに殺してまで外に出たがるなんてさ!」

場明日虎美「狂っとるのは自分の方やろ……何が素晴らしい学園やアホ!こんな学園のどこが素晴らしいねん!」

モノクマ「素晴らしいよ。だったら外を直接調べてみれば?調べりゃわかるよ。この学園の素晴らしさがね!」

モノクマ「そのためには、オマエラの嫌いな殺しをして外に出ないといけないけどね!うぷぷぷ!うっひゃっひゃっひゃ!ぶっひょっひょっひょ!!」

モノクマ「まあ自力脱出目指すならそれは止めないし、警察()の助けを待ってみるのも一興かもね」

モノクマ「だってボク、オマエラの無駄な努力も嫌いじゃないしー。精々足掻いてボクを楽しませてくださいね!それじゃあね!」
229:🎏 :2013/7/31(水) 02:46:03 ID:HKT.6or5os
意味深なことを一方的に吐き捨てて、モノクマは姿を消した。
取り残された俺達は、いつまでも立ってた。何もせず何も発せず、ただただ立ちつくしていた。

学級裁判は終わり、俺達は真犯人を暴いて死を回避した。
だけど、それで得たのは虚しさだけ。
佑子を失った。希望を見失った。
そして仲間との信頼がなくなった。少なくとも、兎は俺達への信頼をなくしたみたいだ。
自らの命を繋ぎとめる選択をした結果、俺達はバラバラになってしまった。
信頼し得る仲間を失い、モノクマの狂気は未だ俺達を支配し、それでも命は続いている。
全てがマイナスへと進み、それから解放されたい気持ちに陥るが、しかしそれと向き合い生きるしかない。
仲間という尊い犠牲を以て、狂った学園生活はまだまだ続いていくのであった。

チャプター1
「仲間の価値は」
おしまい

生き残りメンバー:12人
230:🎏 :2013/7/31(水) 02:48:26 ID:HKT.6or5os
〜モノクマ劇場・特別編〜

運命は操れません。
誰しもが描く理想の将来を覆すべく、運命は牙を剥きます。
そうして人生は簡単に狂います。
こんなはずじゃなかった、こうなるはずだった、誰しもがそう思いながら訪れた現実に絶望するのです。
そこで狂った人生に対応できるか否かで、成功か失敗かに分かれるのです。
書き溜めの補充が十分にできるはずだった、最後まで順調に更新できるはずだった、でも出来ないのです。確実に本編が書き溜めに追いつくのです。
だからこれに対応すべく、しばらく書き溜めを頑張ろうかと思うのです。

そういうわけだから、一週間くらい更新止めて書き溜めをしようと思います。
カップラーメンの3分もろくに待てないゆとりのオマエラには果てしなく長い時間かもしれないけどね。
とにかく、しばらく休校となりますので、短めの夏休み、くらいに思ってゆっくり待っててください。
夏休みなら自由研究でも宿題として出しましょうか。確実に殺せる人体急所の研究とかどうでしょう?
231:🎏 名無しさん@読者の声:2013/7/31(水) 03:48:09 ID:BuAGEhMwno
コピペネタwww
つCCCCCCCC
232:🎏 名無しさん@読者の声:2013/8/8(木) 12:40:52 ID:bx4c4Bgsuc
これは面白い
支援
233:🎏 名無しさん@読者の声:2013/8/8(木) 16:04:26 ID:0cd3spaYJ.
もしよかったら各キャラの通信簿が読みたいです!
支援!!

234:🎏 モノクマ「通信簿、前向きに検討します。うぷぷ」:2013/8/10(土) 00:12:59 ID:YjqayDadmg
チャプター2
「青春豪速球サヨナラホームラン」

朝に事件が発覚して、学級裁判を終わらせた。失意の中で裁判場を後にして、時計を見ると昼を既に過ぎている。
昨日から何も食べてない俺ではあるが、食欲はない。当たり前だ、こんな時に食べる気になんてなるものか。
誰も何も言わないまま、部屋へと戻っていった。もう今日は休みたいのだろう。何もしたくないのだろう。俺も同じ気持ちだ。
皆と同じように一人になり、ベッドに倒れ込んで天井を見る。ボーッと一点を凝視しつつ、意識だけは別に置いていた。

本田川佑子が死んだ。クロとしてモノクマに処刑された。
百目鬼良子が死んだ。モノクマが佑子を追い詰めて彼女に殺させた。
水留崇が死んだ。校則違反の罰としてモノクマが殺した。
ここに閉じ込められてから数日の間に、これだけの人間が死んだ。
そして、それはこれからも続く可能性がある。その狂気から逃れられたとして、待っているのは一生の監禁生活である。

気が狂いそうだ。俺も殺されるのか。それとも、佑子のように気の迷いを払えず罪を犯すのか。
考えれば考えるほど恐怖は湧いてくる。どう考えても行きつく先は絶望。ただそれだけ。
235:🎏 :2013/8/10(土) 00:15:17 ID:YjqayDadmg
恐ろしいほどの静寂の部屋に、突如チャイムが鳴った。思わずびびってしまった。
放送じゃなくてインターホンの方である。要するに、俺の部屋に誰かが来たのだ。
正直、今誰かに会うのは怖いって気持ちもあるわけだが、出ないで無視するのも如何なものだろうか。覚悟を決めて来訪者を迎えることにした。

「瑞樹くん、入ってもいい?」

いたのはエリカだった。喋るのが苦手なエリカは裁判中一回も発言してなかったな、そう言えば。
アイビーと言う名のぬいぐるみを抱えている少女を俺は部屋に入れた。何だろう、エリカなら大丈夫っていう根拠のない気持ちがあった。
適当に座らせてから、何の用事だと訊ねてみたならば、彼女は俺の身を案じてきた。

「瑞樹くんは昨日から何も食べてないはず。食べるような気持ちじゃないのはわかるけど、それは体に毒」
「少しでも何か食べておいた方がいい。私はそれが心配でならない」

わざわざ部屋を訪ねてきてまでの御忠告である。それも、俺の体調を心配しての申し出だ。
気分じゃないのは確かにそうなんだが、これでダウンでもして余計に心配させるのはどうなんだろう。
俺はエリカに則って、何かを食べに食堂に向かうことにした。
236:🎏 :2013/8/10(土) 00:17:05 ID:YjqayDadmg
食堂の死体は綺麗になくなっていた。崇の時もそうだが、学級裁判とかで俺達がいなくなる時を狙ってモノクマが片づけるみたいだ。
死体がいつまでも残ると怖かったり腐って臭ったりと問題もいろいろある。だから適切な処置なんだろう。
でも、これでもう良子に会うこともないんだ。そう考えるととても切なくなってしまった。
気持ちを沈めても仕方ない。気持ちを切り替えて食事だ。見回すと食堂には他にも何人か集まっていた。
具体的に挙げると、小百合・愛梨・健太・虎美・輝穂だ。俺とエリカを加えて七人が集結していた。
237:🎏 :2013/8/10(土) 00:19:31 ID:YjqayDadmg
中後小百合「左雨か。お前も何か食べに?」

左雨瑞樹「ああ。昨日から何も食べてないしな」

場明日虎美「食べる気やないんやけど、何も食わんのもそれはそれできついねんな」

肉丸健太「正直僕もあんまり食べる気にはならないよー……」

場明日虎美「釜ごと飯かきこんで何言いよんねん!何合あんねん、それ!」

肉丸健太「10合……」

場明日虎美「食い過ぎやろ!つーか何を白飯独占してくれとんじゃわれこら!」

白鳥輝穂「あ、その……足りないようでしたら私が新たに炊きます」

白鳥輝穂「簡単な物でよければ他に料理も用意しますので」

肉丸健太「別にいいよー。一人で作るの大変でしょー?」

白鳥輝穂「……そう、ですね。もう百目鬼さんも本田川さんもいないんですから」

肉丸健太「あっ……ご、ごめん……」

白鳥輝穂「あっ!こちらこそ申し訳ございません!肉丸さんのお気遣いを無下にする配慮に欠けた発言でした……」
238:🎏 :2013/8/10(土) 00:22:21 ID:YjqayDadmg
白鳥輝穂「とにかく、私が料理をつくります。ですので、少々お待ちいただけると助かります」

氷室エリカ「……私も作るのを手伝う。一緒に作ろう」

白鳥輝穂「いいんですか?」

夜桜愛梨「私も手伝います」

中後小百合「おや、金の亡者が珍しい。どういう風の吹き回しだ?」

夜桜愛梨「……この度の学級裁判、与えられた情報にあまり見向きもせず単純に怪しいと言う理由で肉丸くんが犯人だと私は決め付けました」

夜桜愛梨「左雨くんが真相を暴いたものの、もしそのままでは私達はモノクマに殺されていたでしょう」

夜桜愛梨「私の軽率な推理で皆さんに迷惑をかけました。私はその償いをしなければならないでしょう」

夜桜愛梨「だから私は、なるべくお金を貰わずに皆さんにご奉仕すると決めたのです」

中後小百合「償いとかそんな覚悟で触れ合うもんじゃないだろう、仲間ってのは」

左雨瑞樹「ていうか、そんな覚悟でも少なからず金取る気はあるんだな……」

夜桜愛梨「まあ取っても良心的なお値段でご奉仕させていただこうかと思います。特に肉丸くん」

肉丸健太「え?ぼ、僕?」

夜桜愛梨「あなたには本当に迷惑をおかけました。誠に申し訳ございません」

肉丸健太「いいよー……終わったから言えるのは、確かに僕が怪しい状況だったもん」

夜桜愛梨「許されるためにも、今日一日は無料で私をお雇いくださいませ、ご主人様」

肉丸健太「っ!?」
239:🎏 :2013/8/10(土) 00:24:30 ID:YjqayDadmg
肉丸健太「え、いや、ご主人様だなんて!そんな……」

夜桜愛梨「今日一日だけ、私はあなたのメイドです。なんなりとご命令ください」

肉丸健太「えー……じゃあ膝枕で耳掃除してほしいなー、なんて」

夜桜愛梨「かしこまりました、ご主人様」

肉丸健太「ま、マジでいいの!?」

左雨瑞樹「……愛梨さん、普通に一日雇うならモノクマメダル何枚必要ですか?」

夜桜愛梨「そうですね、100枚くらいは欲しいとこです」

場明日虎美「こらぁ!鼻の下伸ばしとる場合ちゃうやろ、男子ぃ!」

左雨瑞樹「いや、これは男子としてはしょうがないことでだな!」

肉丸健太「そうだよ!これは仕方ないことなんだよ!」

中後小百合「はっはっは。しっかりと男子をやってるな、お前ら」

中後小百合「……なんか久々に笑ったような気がする」

場明日虎美「せやね。まあ切り詰めるんよりはこっちのがええんかもしれへんな」

中後小百合「裁判は後味の悪い物になってしまったが……やっぱりこういう、気兼ねなく楽しめる仲間がいないと駄目だな」

中後小百合「モノクマに対抗し脱出するためにはもちろん、この異常な日常下で正常を保つためにも仲間は必要だ」

左雨瑞樹「そうだな。こんな時こそ手を取り合って、モノクマのような悪に立ち向かわないといけないんだ」
240:🎏 :2013/8/10(土) 00:26:41 ID:YjqayDadmg
白鳥輝穂「……黒魔帝さん、裁判後は明らかに仲間に不信感を抱いていたようですけど、仲直りできるでしょうか?」

場明日虎美「白鳥、安心せえ。胸糞悪い糞ったれ成り金でも、自ら紳士言うような奴やで。うちらが心を開けば、あの馬鹿でも受け入れるはずや」

中後小百合「さすが妻だな。なんだかんだ夫を信頼している」

場明日虎美「気のせいか?めっちゃむかつく言葉が聞こえてきたで?」

中後小百合「気のせいだろう。あはははは」

左雨瑞樹「とにかく、もう一度一致団結するしかない。あれだけの出来事を前にして芽生えた不信感だ。それをどうにかするのは難しいだろうが、やるしかないんだ」

氷室エリカ「大丈夫。瑞樹くんなら、きっとできる」

左雨瑞樹「おいおい、俺任せかよ。皆でやろうぜ。それに、俺なんかが代表っぽい立場になんてなれねえよ」

中後小百合「いいや、私もお前が引っ張るべきだと思うぞ」

左雨瑞樹「ちょっと……小百合まで言うのかよ」

夜桜愛梨「あなたは自ら行動し、事件の真相を掴んで、皆を救いました。生き残った私達だけでなく、本田川さんの心をも救ったのです」

夜桜愛梨「あなたは貧乏くじを引いただけ、等と言うかもしれませんが、それでも立派に役目を果たし、皆を救ったのです」

氷室エリカ「だからあなたが引っ張るべき。あなたの貧乏くじは、きっと皆を救う素敵な才能」

左雨瑞樹「……はあ。わかったよ。そういう風に頼まれると断れないのが俺だしな」

左雨瑞樹「とりあえず俺を中心にして不信感組と向き合おう。兎は確定っぽいし、他にもいるかもしれない。そいつらにもう一度俺達を仲間と思ってもらおう」

氷室エリカ「頑張って。もちろん私達も頑張る」
241:🎏 :2013/8/10(土) 00:29:10 ID:YjqayDadmg
場明日虎美「氷室、頑張る言う意気込みはええねんけどな。その喋り方どないかならへん?」

氷室エリカ「悪い?」

場明日虎美「悪いっちゅうかなあ、固すぎて馴染みにくいねん」

中後小百合「もう一度一致団結しようって、そういう固い喋り方で言われると逆に警戒してしまうかもしれんな」

氷室エリカ「そう。それは残念」

左雨瑞樹「エリカ、これやるよ」

氷室エリカ「この本は?」

左雨瑞樹「購買部で買ったんだよ。熊でも変わる会話術って本」

肉丸健太「相変わらず色々買ってるねー」

場明日虎美「さっすが超高校級のモノクマメダル見つけやで」

中後小百合「はは、何だその才能」

夜桜愛梨「むしろ左雨くんは超高校級の弁護士かもしれませんよ。裁判での立振舞、立派でしたしね」

白鳥輝穂「左雨さんって弁護士だったんですか?すごいですね!」

氷室エリカ「瑞樹くんはいろんな才能を持ってる。立派」

左雨瑞樹「……何か馬鹿にされてるような気になるから、そろそろやめようか?」

氷室エリカ「瑞樹くん、ありがとう。この本を参考に変化を試みたい」

左雨瑞樹「はいはい。変われるといいな」
242:🎏 :2013/8/10(土) 00:30:31 ID:YjqayDadmg
肉丸健太「それはそうと、ごはんはまだなの!?僕もう待ちくたびれてるよ!」

場明日虎美「作ってもらう立場で偉そうやの、自分」

白鳥輝穂「あ、すみません!えっと、氷室さん、夜桜さん、手伝ってくれますか?」

氷室エリカ「もちろん。私も頑張って作る」

夜桜愛梨「一日ご主人様の命令でもありますし、食事作りは今後も無料で手伝う所存です。任せてください」

中後小百合「それじゃ我々は大人しく料理が出来るのを待ってることにしよう。腹ごしらえも大切なことだ」

左雨瑞樹「うん、そうだな」
243:🎏 :2013/8/10(土) 00:31:39 ID:YjqayDadmg
こうして俺達七人は一緒に食事をとった。
久しぶりに食べ物を喉に通したもんだから、これが格別においしい。輝穂達が作ってくれたのも影響しているのかもしれないけど。
食事を終えると、七人で今後のことを話した。
仲間の必要性をひしひしと感じた俺達は、明日にでも他のメンバーと話し合うことを決定した。やはり仲間内で憎み合ってたらモノクマの思う壺だしな。
とりあえず今日は解散という運びとなり、それぞれが自由行動を取る。エリカも会話術の本とアイビーを大事そうに抱えて部屋に戻っていった。
俺も特にやることもないし部屋に戻った。今日はもう休もう。裁判を乗り越えた疲れは思いの外大きいんだ。
というわけで何をするでもなくボーッとしていると、いつしか時計は夜を示していた。モノクマの夜時間を告げる放送を聞く前に、既に強烈な眠気に襲われている。
それに抵抗することもせず、俺は意識を夢へと持っていったのだった。
244:🎏 :2013/8/10(土) 00:32:50 ID:YjqayDadmg
〜モノクマ劇場〜

奥さん、見ました?
そうそう、今回のタイトルのことですよ。
糞みたいに長い第一章が終わって、ようやく始まった第二章のタイトル!
それが「青春豪速球サヨナラホームラン」ですよ!
何なの、このネタバレタイトルは!
登場人物の中で野球関連のキャラって言ったらあの二人だけじゃない!
どう考えても今後の展開に関与するじゃない!
まったく、ネタバレする奴の気がしれないわよ!
公式だって第一章より後のネタバレは禁止してるのに!どうなってるの!
あれ、もしかして今一番ネタバレしてるのは私!?
あらやだ、おほほ……ねえ、このキャラは一体何なの?
245:🎏 :2013/8/11(日) 01:40:27 ID:YjqayDadmg
モノクマの放送で目が覚めた。もう朝のお約束になってきてる。それに慣れてる自分に腹立つ。
まあ立腹してても仕方がないので、いつものようにやり過ごそうとして、違和感に気付く。そしてその原因はすぐにわかった。
佑子が起こしに来ないのだ。そしてそれは、もう二度と起こり得ないことであることを俺は知ってる。
こういう日常のさりげない瞬間でも、人の命がなくなった現実を思い知らされてしまう。佑子は明るくて良い奴だったな。良い奴だった……。
来ないと分かってる少女を永遠に待ってるわけにもいかない。幽霊とかになって出てこられてもマジでびびるし、気持ちを切り替えて自分から行動するしかない。
自力で気だるい体を起こして、俺は一人食堂へと向かった。
246:🎏 :2013/8/11(日) 01:41:46 ID:YjqayDadmg
7時20分、食堂に到着。皆を起こさず一人でさっさと向かった分、前よりは早く着いてるな。
到着して見回すが、そこに全員の姿はない。昨日と同じ面子だった。
他の皆はどうしたんだろう。俺はエリカに話しかけた。

「エリカ、他の奴らは来てないのか?」
「あ、瑞樹くん!そうなんだよ、皆来てないんだよね。どうしちゃったのかな?」
「」

ありのまま今起こったことを言うべきなんだろうか。
基本無口で、喋ったとしても固い口調のはずの少女が、すっごい朗らかに喋っている。
一体全体何が起こったと、パニックになってる俺に、小百合が割って入り説明を開始した。

「昨日左雨から貰った本を読んだんだと。熊でも変わる会話術だったか。それにしても変わりすぎだよな……」

オウム返しになるが言わせてもらおう。変わりすぎだろ。
247:🎏 :2013/8/11(日) 01:42:52 ID:YjqayDadmg
左雨瑞樹「個人的にはこの大事件を掘り下げたいけど、置いておこう。それより、他の皆はまだなのか?」

白鳥輝穂「はい。食堂に来る様子は見られませんね」

氷室エリカ「どうしたんだろうね?ちょっと呼んできた方がいいのかなあ?」

左雨瑞樹「……」

肉丸健太「慣れないよね、やっぱり……」

氷室エリカ「もしかして前の方がよかった?私、頑張ったんだけど……」

左雨瑞樹「いや、今のがいいよ。ただ慣れてないだけさ」

氷室エリカ「そっか、よかった!じゃあ瑞樹くん、一緒に呼びに行こう!」

左雨瑞樹「俺も行くんかよ……」

氷室エリカ「瑞樹くんさえ嫌じゃなかったら……駄目かな?」

左雨瑞樹「あーもうわかったよ。駄目じゃないよ、一緒に行こう」

氷室エリカ「ありがとう!」

場明日虎美「何やろな、めっちゃ違和感あるよな……」

中後小百合「人間その気になればここまで変わるんだな……」
248:🎏 :2013/8/11(日) 01:45:33 ID:YjqayDadmg
氷室エリカ「呼んできたよ!」

中岡笑「何で急に呼ぶんですか!つーか氷室さんに何が起こったんです!?」

中後小百合「その話題に触れたい気持ちはわかるが、用件はそれじゃないんだ。お前ら、何で食堂に集合しない?」

黒魔帝兎「何を言ってる。そもそも何故食堂に集まる必要がある?」

中後小百合「我々が一致団結するための交流の場だろう。早々に決めたことじゃないか」

黒魔帝兎「ああ、どっかの殺人鬼が決定したあれか。そいつ自身が率先して和を乱したがな」

白鳥輝穂「っ!」

場明日虎美「黒魔帝!何やその言い方ぁ!少しゃあ優しい言い方できへんのかボケ!」

黒魔帝兎「事実だろう。慣れ合ったところでここでは何の意味もない。今回の裁判でそれがよくわかったからな」

氷室エリカ「意味ならあるよ!皆で協力した方が、モノクマに対抗できるよ!一人での限界は、私よく知ってるもん!」

黒魔帝兎「一人だろうと、皆でいようと、ここから脱出などできん。だから無意味だと言っている」

夜桜愛梨「意味がないかどうか、やってみないとわかりません。それをやる前から和を乱されては困ります」

黒魔帝兎「もう十分やってきただろ!事件が起こるまで、俺達はずっと捜索してきた!」

黒魔帝兎「それで結果が出ないから、事件が起こったんだろう!捜索で脱出口が見つかってたら、あんな事件は起きなかった!」
249:🎏 :2013/8/11(日) 01:47:14 ID:YjqayDadmg
氷室エリカ「それでも、警察を待ったりとかできるよ!皆で仲良くして、助けを待ってようよ!」

黒魔帝兎「それだって無駄だ。きっと警察はあてにならん」

夜桜愛梨「そう考える根拠は?」

黒魔帝兎「……本田川が犯人とわかってから、奴はモノクマからどのような映像を見せられたか言ってただろう」

黒魔帝兎「皆だって、内容は違えど傾向は一緒のはずだ。なら、今頃外では事件として大騒ぎになってるはずだ」

黒魔帝兎「特に日本女子サッカーは世界トップレベルだ。その候補生となる高校生にもスポットライトがあてられるような時代だ」

黒魔帝兎「そんな中で、そいつらが襲われてみろ。きっとテレビを賑わす事件になるはずだ。当然警察も即座に動く」

黒魔帝兎「そしたら犯人の特定だって簡単だ。本田川が言うには現場が血まみれになるくらいの派手な殺り方だ。科学捜査もあれば容易だろう」

黒魔帝兎「そしてそれらの犯人から情報を集め、モノクマに繋がっていくはずだ。となれば、俺達は比較的早く救出されてたはずだ」

場明日虎美「あの映像がCGやった可能性もあるやんか!」

黒魔帝兎「それは直接映像を見た俺達が一番よくわかってるはずだ!どこかで偽物だと信じたいだけだ……あれは紛れもなく本物の映像だった」

黒魔帝兎「だからこそ本田川だって凶行に走ったんだ!」

黒魔帝兎「……それに、モノクマの発言も気になる」

中後小百合「モノクマ?」
250:🎏 :2013/8/11(日) 01:49:13 ID:YjqayDadmg
黒魔帝兎「裁判場から消える際の発言だ」

氷室エリカ「それって……」

『まあ自力脱出目指すならそれは止めないし、警察()の助けを待ってみるのも一興かもね』

氷室エリカ「……これのこと?」

黒魔帝兎「……それのことだ」

黒魔帝兎「この発言、よほどの自信でもない限りは決して出てこない発言だぞ」

黒魔帝兎「捜索されても脱出されない自信、そして警察の捜査をも振り切る自信に満ち溢れている」

黒魔帝兎「加えて本田川の処刑の時だ」

白鳥輝穂「……」

黒魔帝兎「校舎より地下にある裁判場、その床からさらに落ちて本田川はあのサッカーグラウンドに辿り着いた」

黒魔帝兎「元々の希望ヶ峰学園にこんな場所があったとは考えにくい。つまりモノクマは、俺達の監禁のためだけに造ったんだ」

黒魔帝兎「希望ヶ峰学園を乗っ取って地下設備を新しく造り加えたのか、別の場所で全てを一から造り上げたのか、どっちかは知らんが一つだけ言える」

黒魔帝兎「モノクマの正体は金を持て余してる狂った権力者だ」

黒魔帝兎「恐らくモノクマは、警察をコントロールできるような立場にある。だから外でも大胆な犯罪を起こせるし、俺たちに救助は来ない」
251:🎏 :2013/8/11(日) 01:51:14 ID:YjqayDadmg
中後小百合「さすがに考えが飛躍していると思うが。そうだという根拠はあるのか?」

黒魔帝兎「ならば逆に問う。これほどの犯罪が一般人に出来るか?」

黒魔帝兎「地下設備の建造には莫大な金がいる。希望ヶ峰学園でもそうじゃなくてもだ」

黒魔帝兎「それにこの監禁場所が本当に希望ヶ峰学園だとしたら、一般人がどうして乗っ取れる?」

黒魔帝兎「警察がコントロールされてなく普通に動いているとしたら、何故今なお救助がない?」

白鳥輝穂「そ、捜査が難航しているのかもしれません!」

黒魔帝兎「ふん。その捜査、いつまで難航してるんだろうな?」

黒魔帝兎「とにかく、俺はモノクマの正体は権力者だと思う。それも、世の中を自分のおもちゃにできるような、とんでもない相手だ」

黒魔帝兎「だとしたら、俺達はもう詰んでるんだ。ここでの生活を受け入れるか……誰かを殺して出るしかない」

氷室エリカ「殺して出ても、それだと犯罪者だよ!それじゃ結局助からないよ!」

黒魔帝兎「その時はモノクマが守ってくれるさ」

夜桜愛梨「モノクマが?それはどうしてですか?」

黒魔帝兎「いいか?モノクマは大犯罪野郎だ。そして仮に出られるクロが現れた場合、そいつはモノクマに乗っかって殺人を犯した奴だ。共犯者みたいなもんだ」

黒魔帝兎「クロが出て自首して事件が世間に知られてみろ。モノクマの存在がばれてみろ。絶対に非難は集まるぞ」

黒魔帝兎「世間全体が敵になってしまうと、さすがに警察を動かさない等は通用しなくなる。悪事はばれてしまうとどうしようもない」

黒魔帝兎「だからモノクマは、ここを出るクロは保護するだろう。クロの意思に沿ってても反しててもな」

黒魔帝兎「それか、もしかしたら残ったクロも処理するつもりかもな。それならクロから自分の犯罪がばれることもない」

白鳥輝穂「そんな……」
252:🎏 :2013/8/11(日) 01:53:01 ID:YjqayDadmg
モノクマ「さっきから黙って聞いてれば好き勝手言っちゃって。ボクは約束を守る律義なクマだぞ!」

黒魔帝兎「出たな首謀者。どうだ、俺の考えはあってるか?」

モノクマ「そんなのボクが教えるわけないじゃん。教えちゃつまんないしさ」

モノクマ「ただ、警察なんて役に立たない駄目集団だよ。警察は昔から悪役の引き立て役だと決まってんの!それがお約束ってやつだよ!」

モノクマ「って、これじゃボクが悪い奴みたいじゃないか!ぷんぷん!」

中岡笑「誰がどう見ても悪い奴ですよ……」

モノクマ「とにかく、裁判で生き残ったクロはめでたく卒業!外での生活を約束します!」

黒魔帝兎「犯罪を犯して出ても、問題なく生きていけるんだな?」

モノクマ「はい。外のルールで言うところの犯罪者になったとしても問題ないですよ。だから皆も積極的に殺っちゃいましょう!」

場明日虎美「黒魔帝、何でそんな確認するんや?自分、誰か殺すつもりちゃうやろうな!?」

黒魔帝兎「俺は殺しなどせん。読売巨人軍は紳士たるべきだ。過ちなど犯さん」

黒魔帝兎「ただ、現状はしっかりと把握すべきだ。生き残るためにもな」

黒魔帝兎「身を守るためにも、お前らと慣れ合うつもりはない。俺は部屋に戻らせてもらうぞ」

左雨瑞樹「……行っちまったな」

氷室エリカ「最後におもいっきりフラグ立てて行ったけど、大丈夫かなあ……」
253:🎏 :2013/8/11(日) 01:55:04 ID:YjqayDadmg
場明日虎美「何が紳士たるべきや!自分の身ぃ守ることばっか考えて、屑もええとこやないか!」

中後小百合「まあまあ。それで、残ったお前らも同じ意見か?」

中村闘球「黒魔帝ほど徹底してそう思ってるわけじゃないが、今は皆といるのが怖いんだ……」

中村闘球「本田川はさ、二言目には仲良くしよう!なんて言う平和主義者って感じだったのに、それでも事件を起こしてしまったんだ」

中村闘球「それだけここは狂ってるんだよ。そんな中で信頼し切って一緒にいようってのは……正直厳しい」

中岡笑「自分もそういう感じですね。怖いですよ。抗うためにも協力は必要って、頭ではわかってても……」

中岡笑「やっぱ、もう諦めるか殺すかの二択になってると思うんです。自分は殺したくないし、殺されたくもないんです」

中岡笑「だからもうそっとしといてって感じです。脱出に関して新しい手がかりでも見つかればそりゃ協力しますけど」

キング「俺達の未来に光無し。もはや救いは自らの中に宿る。神は救ってはくれない。俺が神となり、道を切り開く他ない!」

相田鳥子「あたしはサッカー女にだまされたんだぞー!馬鹿かー!?」

中後小百合「えーっと、最後二人も最初二人の以下同文でいいんだよな?」

氷室エリカ「中後さん、相変わらずこの二人をあしらうのうまいね……」
254:🎏 :2013/8/11(日) 01:57:02 ID:YjqayDadmg
中後小百合「わかったよ。無理に呼びだして悪かったな。もう戻ってくれて構わないよ」

夜桜愛梨「構わないのですか?」

中後小百合「構わないさ。一致団結、心から信頼し合うってのは、相手の都合を無視して強要する物ではないだろう」

左雨瑞樹「そうだよな。それに、一緒にいられないっていうのは、過ちを未然に防ぐって意図があっての行動だ。ある意味では協力的だよ」

左雨瑞樹「そう言う姿勢でいるのを邪魔するのも悪いよ。だからもういいよ」

中村闘球「悪いな、左雨……それじゃあ戻るよ」

氷室エリカ「……行っちゃった。ねえ瑞樹くん。本当にこれでよかったの?」

左雨瑞樹「殺人を未然に防ぐため、そもそも触れ合いを無くすってのも一理あると思う。一人じゃ絶対に殺すことも殺されることもないしな」

左雨瑞樹「でも、殺人しない、何も調べない、だと一生ここで過ごすはめになる」

左雨瑞樹「それに、極力関わらないでいるとしても限界はある。同じところに住む以上、絶対に触れ合う機会は生まれる」

左雨瑞樹「そうして僅かでも接触する時に、絆がなければ簡単に過ちも生まれるかもしれない」

左雨瑞樹「脱出口を見つける、殺人を防ぐ、そのためにも心から協力し合うのが必要になってくると思う」

氷室エリカ「だったらやっぱり協力してもらわないと!」

中後小百合「氷室。それは無理強いじゃ意味がないんだ。あいつらに心から信頼してもらって一緒にいてもらわないとな」

左雨瑞樹「だから俺達は、あいつらに心変わりをしてもらわないといけない」

氷室エリカ「心変わり……」
255:🎏 :2013/8/11(日) 01:58:58 ID:YjqayDadmg
氷室エリカ「心ってそんな簡単に変わったり出来るのかな。とても難しいことだと思うよ」

夜桜愛梨「確かに難しいことではあります。しかし、不可能ではありません」

白鳥輝穂「そうですよ。実際に氷室さんだって変わったじゃないですか」

氷室エリカ「私が?……でもそれって、瑞樹くんから貰った本で、喋り方が変わっただけだよ」

肉丸健太「そんなことないよー。氷室さん、最初の時と比べて性格もだいぶ変わったよー」

左雨瑞樹「自分は誰とも関わるべきじゃない。そう思ってたお前が、今は心から信頼し合うために手を差し伸べられるようになったんだ」

中後小百合「こうして人は変わっていくんだ。人と関わっていくことでな」

場明日虎美「超高校級の孤独だって覆せんねん!せやからあのアホ共も大丈夫や!」

氷室エリカ「皆……」

左雨瑞樹「だからこれから皆に変わってもらって、再びモノクマに抗える強い絆を取り戻そうぜ」

中後小百合「決まりだな。これからは皆との絆を取り戻すべく活動していこう」
256:🎏 :2013/8/12(月) 04:59:36 ID:YjqayDadmg
肉丸健太「方針は決まったけどさー、具体的にはどうすればいいんだろうねー?」

左雨瑞樹「やっぱり触れ合っていくしかないだろうな。抽象的な意見だって認めるけど、それしかないだろ」

中後小百合「こんな環境で一人でいれば、負の感情に支配されてますますどん底だ。一緒にいることで救われるんだってわかってもらうことだな」

氷室エリカ「一緒にいることで救われる……うん、そうだよね!私も頑張る!」

左雨瑞樹「それじゃ各々活動するって感じにするか」

氷室エリカ「そうだね。じゃあ私も行くね!」

左雨瑞樹「……行ったな。いっつも俺と一緒にいたんだけどなあ」

中後小百合「振られて寂しいか?色男よ」

左雨瑞樹「茶化すなよ。子の巣立ちを見守った親鳥の気持ちだっつの」

中後小百合「ふふ、素直じゃない奴だ」

左雨瑞樹「言ってろ。さて、俺も行動すべきかな……」

左雨瑞樹「あいつに会う前に、購買部にでも寄ろうかな」
257:🎏 :2013/8/12(月) 05:00:39 ID:YjqayDadmg
左雨瑞樹「インターホンを押してっと」

中村闘球「……左雨か。何だ?」

左雨瑞樹「ちょっと話したいと思ってよ。入るぞ」

中村闘球「……」

左雨瑞樹「そう嫌そうな顔するなよ。何も殺そうってわけじゃないさ」

中村闘球「無茶を言うなよ。裁判での推理を聞いてんだから、お前が切れ者なのは知ってんだ。そりゃ警戒はするだろ」

左雨瑞樹「あんなん偶然だって。超高校級の貧乏くじとか言う意味不明な才能で入学した俺だぞ?学力は平均以下だよ」

中村闘球「偶然でもあれほど思考を巡らせることができるのは脅威だろ。それに、切れるってのは必ずしも学力と比例するわけじゃないだろ」

左雨瑞樹「……お前も意外と女々しいな。そんな心配ならボディチェックしてみろよ。凶器の類は持ち合わせてねえよ」

左雨瑞樹「凶器がない状況で油断もしてない相手を殺すには、少なからず格闘の必要がある。そんなんで貧乏くじがラガーマンに勝てるわけないだろ」

左雨瑞樹「間違いが起こるとしたら、死ぬのは俺だ。だから部屋入れてくれよ。そんでさっさと話そうぜ」

中村闘球「……やっぱお前はただ者じゃねえと思うよ」
258:🎏 :2013/8/12(月) 05:01:28 ID:YjqayDadmg
中村闘球「わかったよ。諦める。ただ、ボディチェックはさせてもらうぞ」

左雨瑞樹「結局やるのかよ。さっさと済ませろよ」

中村闘球「わかってるって……おい、何かあるぞ」

左雨瑞樹「ああ。さっき購買部で買ったんだよ。本当に何でもあるな、あの購買部」

中村闘球「……ラグビーのルールブック?」

左雨瑞樹「お前とラグビーのことでも話そうと思ってな」

中村闘球「お前……」

左雨瑞樹「ただ、少しかじった程度の素人だからよ。超高校級のラガーマンに詳しく教えてもらうことにするよ」

左雨瑞樹「お前も大好きなラグビーの話はしたいだろうしな」

左雨瑞樹「いいだろ?それじゃ、部屋入るぜ」

中村闘球「……ああ」
259:🎏 :2013/8/12(月) 05:03:14 ID:YjqayDadmg
左雨瑞樹「ラグビーのルールだけど、けっこういろいろあって複雑らしい」

左雨瑞樹「それらに詳しく触れると、それだけで長文になってしまいそうだ」

左雨瑞樹「だからそれらはカットという扱いにするよ。詳しく知りたい人がいたら、ウィキペディアとかで調べてくれ」

中村闘球「……何を言ってるんだ、お前は?」

左雨瑞樹「さあな。モノクマの奇天烈な物言いが移ったのかもな」

左雨瑞樹「それで、現役選手のお前からして、何か語りたいことはあるか?」

中村闘球「そりゃあるよ。ラグビーってのは奥が深いんだからな」

中村闘球「……たぶん左雨は俺への会話のきっかけにと、あんまり興味ないラグビーのルールブックまで買ってくれたんだろうけど」

左雨瑞樹「あはは、ばれてるか。ごめんな、お前と話したくてさ」

中村闘球「そういう気持ちは素直に嬉しいし、それにマジでラグビーの話はしたいな」

中村闘球「ここに入ってから、まともな練習も出来てないし、せめて誰かとラグビーの話がしたかったんだ」

中村闘球「だからお前の善意に甘えようと思う。それに、これを機に左雨をラグビー好きにするのも面白そうだしな!」
260:🎏 :2013/8/12(月) 05:04:46 ID:YjqayDadmg
中村闘球「……ってわけで、初めてランパスした時はやばかったなあ。ノックオンでもう一本!ってさ」

中村闘球「まだ下手糞な下級生がポロポロ落として、その一本が終わらねえんだよ」

中村闘球「ラグビー部員の多くが通る道だろうけど、内心キレるよなwwwいい加減にしろよ過呼吸なるわ!ってwww」

左雨瑞樹「うわあ……大変そうだなあ。俺には絶対無理だわ。練習で普通に死ぬって」

中村闘球「最初は確かにやばいよ。本当に過呼吸なったりする奴も出るから」

中村闘球「でも、そういう厳しい毎日に浸かってると、いつか気付くんだ。きついのには変わらないけど、最後まで出来るようになってる」

中村闘球「翌日には歩くこともままならなかった足腰も、いつしか普通の筋肉痛だけで済むようになって」

中村闘球「体力がなくて最後まで走り抜けなかったのが、力強い一歩を貫けるようになって」

中村闘球「30キロ40キロくらいだったベンチプレスも100キロくらいは上がるようになってくるんだ」

中村闘球「練習も試合も、幾度となく辞めたくなるような激しく厳しい苦痛の連続なんだけどさ」

中村闘球「それを乗り越えること自体の達成感、そしてその向こう側の景色が素晴らしいんだよな」

中村闘球「その瞬間に立ち会う度に思うんだ。ああ、ラグビーやっててよかったって」

中村闘球「だから俺はこれからもずっとずっとラグビーと関わるよ。馬鹿みたいに大変で危険な球技だってのは理解した上でなww」

左雨瑞樹「……本当にラグビーが好きなんだな」

中村闘球「好きに決まってんだろ。超高校級のラガーマンだぞ、俺は」
261:🎏 :2013/8/12(月) 05:05:42 ID:YjqayDadmg
左雨瑞樹「ところで闘球。あんだけ警戒してたのに、こんな気を緩めて話してていいのか?」

中村闘球「っ!」

左雨瑞樹「あー、違う違う。隙を見せたな覚悟!ってノリじゃないから身構えるなって」

左雨瑞樹「……この状況下だからさ、警戒するのはわかるんだよ」

左雨瑞樹「でも、だからって張りつめて生活してたら限界が来ると思うんだ」

左雨瑞樹「だから息抜きが必要になる。こうして触れ合うことで救われる」

左雨瑞樹「それに、絆を深めることが事件防止に繋がるかもしれないしな」

左雨瑞樹「傷つける行為も、大切な誰かが相手なら、その感情がストップをかけてくれるかもしれない」

左雨瑞樹「確かに誰とも関わらないのは楽かもしれない。でも、その道は辛いぞ」

左雨瑞樹「もちろん関わることで苦痛もあるかもしれない。でも、それを乗り越えてこそ、良い状態って生まれると思うんだ」

左雨瑞樹「なあ闘球。この苦しい状況下で、前向きな方に頑張ってみないか?」

左雨瑞樹「殺人を防ぐのも、脱出するのも、皆の力は不可欠だと思うんだよ」

左雨瑞樹「それに、皆と楽しく過ごした方が、ここでの生活の苦痛具合も減ると思うぞ」

左雨瑞樹「それはたった今体験しただろ?」

中村闘球「ああ、そうだな……」
262:🎏 :2013/8/12(月) 05:06:14 ID:YjqayDadmg
左雨瑞樹「……昼になったな。じゃあ俺はそろそろ行くよ」

左雨瑞樹「気が向いたら、明日の朝の集会にでも顔出せよ。それじゃ」

中村闘球「ああ、またな」

中村闘球「……」

中村闘球「乗り越えてこそ、か……」
263:🎏 名無しさん@読者の声:2013/8/14(水) 00:44:23 ID:KOLW9pfvC6
二次創作でしかもキャラ全員オリジナルかよクソがとか思ってたのに思った以上に面白かったクソとか言ってごめんなさい
264:🎏 :2013/8/14(水) 01:06:08 ID:YjqayDadmg
左雨瑞樹「昼飯を食いに食堂に戻ったら、いつものように健太が居座ってるっていうね」

肉丸健太「食堂こそが僕の聖域なんだよー。どんなことがあっても僕はここを離れないよー」

左雨瑞樹(実際、そのせいで犯人と勘違いされたわけだし、本当に何があっても動かないだろうな)

左雨瑞樹「料理三姉妹はいないか。仕方ない、カップ麺で適当に済ますか」

白鳥輝穂「あ、左雨さん!」

左雨瑞樹「お、輝穂。ちょうどいいや、もしよかったら……」

白鳥輝穂「あの、左雨さんさえよかったら、少しお付き合いいただけないでしょうか?」

左雨瑞樹「え?俺と?」

白鳥輝穂「あの、えっと……翻訳をお願いしたいと言いますか」

左雨瑞樹「翻訳?何でいきなり外国人相手にしてんだよ?和製しかいないだろ、ここ」

白鳥輝穂「いえ、あの……日本語は一応日本語なんですけど……」

白鳥輝穂「キングさんが何を言ってるのか全然わからなくて……」

左雨瑞樹「……そういうことか」

左雨瑞樹「わかった。行こう。正直俺でどうにかなるか怪しいけど……まあ頑張ってみよう」
265:🎏 :2013/8/14(水) 01:07:20 ID:YjqayDadmg
白鳥輝穂「ここです」

左雨瑞樹「何でトラッシュルームに……」

白鳥輝穂「皆さんのゴミを処理しようとしたら、キングさんを発見しまして」

白鳥輝穂「今一度皆さんと一緒に仲良くなりたい一心で、話しかけてみたんです」

白鳥輝穂「……話が通じませんでした」

左雨瑞樹「だろうな……」

白鳥輝穂「なので、同じ殿方である左雨さんならどうにかなるかと思いまして、お願いさせていただきました」

左雨瑞樹「同じ殿方ではあるけど、だからって同類にはしてほしくないな……」

白鳥輝穂「す、すみません」

左雨瑞樹「いいよ。まあ俺も出来るだけ頑張ってみるさ。じゃあ入るわ」

白鳥輝穂「私はどうしましょう?」

左雨瑞樹「待ってていいよ。俺だけでどうにかしてみる」

白鳥輝穂「すみません。ではお願いしますね」
266:🎏 :2013/8/14(水) 01:08:55 ID:YjqayDadmg
左雨瑞樹「キング、いるかー?」

キング「今日は客人が多いな。現世と黄泉の境界に漂う迷い子達の辺境によくぞ辿り着いたな」

左雨瑞樹「いや、トラッシュルームだからな。扉開けるだけで簡単に辿り着けるわ」

キング「それで、俺に何の用だ?俺は神に為り得る者だ。運命は我が掌で踊るのだ」

左雨瑞樹「お前はキャラに踊らされてるだけだろ……皆と仲良くする気はもうないのか?」

キング「ないな。もはや俺は下賤な民とは違う者だ。真理は我と共にあり。過ちに溺れる酔狂では決してない」

キング「俺はキングだ。全てを司りし頂点だ。そんな俺の命は、守られるべきだ」

キング「過ちを犯し、何を考えてるか分かりもせぬ邪悪な鬼共と一緒になど居られぬ。神などいない。いるならば俺こそが神だ!」

左雨瑞樹「……まあ大雑把にお前の主張は理解したよ」

左雨瑞樹「でも、本当にそれが身を守ることに繋がるかな?」

キング「どういうことだ。この聖域を侵す魔の手が存在すると貴様は言うのか!?」

左雨瑞樹「えーっとだな……うん、たぶんその通りだ」
267:🎏 :2013/8/14(水) 01:10:33 ID:YjqayDadmg
左雨瑞樹「お前が皆を拒絶したところで、悪意が芽生えた時にそれは止まらない。それどころか、標的になる恐れすらあるだろ」

左雨瑞樹「動機は外に出たいからであって、殺るなら誰でもいいんだ。だったら、親しい奴よりどうでもいい奴を殺す可能性のが高くないか?」

左雨瑞樹「だから皆の絆を深める必要があるんだよ。それが事件を防ぎ、モノクマに抗うことに繋がるんだ」

左雨瑞樹「それに皆で協力すれば、脱出口も見つかるかもしれない」

左雨瑞樹「そしたら殺さなくちゃいけないとか一生ここで過ごさないといけないとかで悩む必要もなくなる」

左雨瑞樹「ほら、俺達は今拒絶じゃなく協力し合うべきなんだよ。キングさえよければ、また一丸となってほしい」

キング「詭弁だな。では訊ねるが、本田川の事件はなぜ起こった?殺し、殺されたのは奇しくも親友同士であった」

左雨瑞樹「……そういうところ突かれると痛いよな」

左雨瑞樹「まあ確かに仲良くなることが100%事件を防ぐわけじゃないよ。そこは認める」

左雨瑞樹「でも、可能性を言い出したらもう何もできなくなる。確かに協力し合ったところで何も解決しない可能性もあるからな」

左雨瑞樹「ただ、それを理由に個々が自分を守るだけに徹したら、それはもう100%解決には向かない」

左雨瑞樹「それでも事件は起こる可能性があるし、起こらなくても一生をここで過ごさないといけない」

左雨瑞樹「それじゃあ駄目なんだよ。殺人が起こらなくても、そんな状況は心をモノクマに殺されてるようなものだよ」

左雨瑞樹「だから一緒にいて、前を向こう。その方が、絶対皆にとってもいいはずだ」
268:🎏 :2013/8/14(水) 01:12:12 ID:YjqayDadmg
キング「遙か彼方で僅かに煌めく確証もない小さな光のために修羅となれと申すか」

左雨瑞樹「た、たぶんそういうことだと思う……修羅になるかどうか知らんけど」

キング「しかし俺は神に為り得る男だ。修羅にはならん。貴様らと同じ時間軸に生きることもない」

左雨瑞樹「……「お前達の言いたいことはわかったけど、俺は一人でいたいんだ」ってことか?」

キング「そうだ。人間の英知は時に神をも凌ぐ。神がいなくとも、人の世は繁栄に満ちることであろう」

左雨瑞樹「……「俺がいなくても、残りのメンバーで協力し合えば、十分解決を図れるだろ」ってことか?」

キング「そうだ。俺は俺の道を行く。お前達はお前達の道を行く。それでいいではないか」

左雨瑞樹「そんな悲しいこと言うなよ。変な事件に巻き込まれたけど、俺達は希望ヶ峰学園の仲間じゃねえか」

左雨瑞樹「苦しい時は一緒に頑張って、楽しい時は一緒に分かち合って、そして一緒に脱出して、それでいいじゃないか」

キング「……俺は超高校級の中二病だぞ?そんな俺が役に立てるなど……」

左雨瑞樹「何だ、そんなん気にしてたのかよ。俺だって超高校級の貧乏くじだぞ」

左雨瑞樹「そんな俺でも居場所はある。皆に必要とされる。俺達の中で欠けていい奴なんていないんだよ」

左雨瑞樹「……だからこそ、崇と良子と佑子は残念なんだけどな。これ以上の悲劇は繰り返してはならない」

左雨瑞樹「だから、キングも一緒に頑張ろうぜ。言葉の壁とかあるんなら、今日の感じで通訳だってしてやるからさ」

キング「左雨、貴様……」
269:🎏 :2013/8/14(水) 01:13:26 ID:YjqayDadmg
左雨瑞樹「この状況だから考えがマイナスに働くのも無理はないと思う」

左雨瑞樹「でも、そう言う時こそ皆と共にプラスの方向に持っていかないとな」

左雨瑞樹「そういうわけだ。えーっと……現世と黄泉の境界だっけ?そこで佇むのを邪魔してしまったな」

左雨瑞樹「ただそこ現実的にはトラッシュルームだからな。あんまり輝穂の邪魔してやるなよ」

左雨瑞樹「それじゃ俺は行くわ。キングさえよければ、明日の朝に食堂にでも顔出せよ」

キング「……」
270:🎏 :2013/8/14(水) 01:15:14 ID:YjqayDadmg
白鳥輝穂「あ、左雨さん。どうでした?」

左雨瑞樹「とりあえず話はできたかな。ところどころ理解に苦しんだけど」

白鳥輝穂「そうですか……えっと、それでキングさんは考えを改めてくれそうですか?」

左雨瑞樹「どうだろうな。ただ、想いはぶつけてきた」

左雨瑞樹「これでキングも考えを改めてくれるといいんだけどな」

白鳥輝穂「そうですね。あ、あと」

左雨瑞樹「ん?」

白鳥輝穂「まだ皆さんのゴミを処理出来てないんですけど、キングさんの聖域に入って作業してもいいんでしょうか?」

左雨瑞樹「……たぶん大丈夫だよ。ただ、無事に現世に戻ってこいよ」

白鳥輝穂「げ、現世?無事に?え?」

左雨瑞樹「俺から言えるのは以上だ。じゃあ俺は行くから」

白鳥輝穂「え?現世って……最悪の場合、私は死ぬんですか!?」
271:🎏 :2013/8/14(水) 01:16:38 ID:YjqayDadmg
現世と黄泉の境界へと入っていった輝穂を見届けて、俺は活動を再開。
他にも接触を図りたいメンバーはいたのだが、結論から言うとそれは叶わなかった。
鳥子と兎は部屋に居らず。笑は居るみたいだったが、取り合ってもらえず。
無理に絡めと言うわけにもいかないので、その日の接触はもう諦めざるを得なかった。
とは言え、闘球とキングには接触でき、自分の感覚としては好感触である。
これでまた手を取り合える状況になればいいんだけどな。やっぱり疑心暗鬼で拒絶してたら何も解決に向かないしな。
と、そんなことを考えてたら夜になった。もうこんな時間になってたのか。
今日はもう休もうと、部屋に戻った。

ベッドに飛び込んでから、天井の方を向いて今後のことを考える。
皆ともう一度仲良く出来るか。悲惨な事件をこれから防いでいけるか。そして脱出口は見つかるのか。
一人でこんなことを考えていても仕方ないが、やっぱ不安は不安だ。考えても明確な答えなんか出てこないのは知ってんだけどな。
結局明確なのは、俺が今やらなくてはいけないことだけである。そんなわけで、明日は残りのメンバーと接触できればいいなあ。
モノクマの耳障りな夜時間を知らせる放送を聞いてから数十分後、俺の脳内会議は眠気によって強制終了となるのであった。
272:🎏 :2013/8/14(水) 01:17:54 ID:YjqayDadmg
〜モノクマ劇場〜

人間とは、幾多もの経験によって出来あがる生物です。
出身地や家庭状況、親の質に友達の質、更には教師や学校の質等々、良くも悪くも様々な経験値を積むことで個性が出来あがります。
そうして生まれたオリジナルの個性というやつは、おいそれとは真似できないのです。
どれだけ特徴を掴もうと、どれだけ容姿や性格、声質等を似させても、その人にはなり得ません。真似をしている自分でしかないのです。
人は必ず他人と違う経験値を積みます。だからステータスが違います。自分は自分しか出来ないのです。
ボクが何を言いたいかわかりますか?結論だけ言った方がいいですか?しょうがないなあ……じゃあ何が言いたいのかまとめますよ。
場明日さんの関西弁がうまく書けないんですよ!これ書いてる奴、中国地方出身だぞー!書けるわけないじゃーん!クマー!
273:🎏 :2013/8/15(木) 01:32:59 ID:YjqayDadmg
朝だ。モノクマが放送でそれを教えてくれる。
大きなあくびを一つ、それからベッドを脱出、立ち上がって体を始動。
いろいろ準備をしてから、俺は部屋を出て食堂へと向かう。その間に脳も始動した。
裁判を挟んでから、真面目に食堂に来るメンバーは限られてしまった。理由は、簡単に言えば仲間を信じられなくなったからだ。
そんなわけで、食堂メンバーは今現在では俺を含めて七人となっているのだが、今日はそれに変化が見られた。
食堂に集まったのが、俺を含めて八人になった。単純に変化が数字に表れてる。
そしてそれは一人が加わった、ということではない。一人がいなくなり、二人が加わったのだ。
具体的に言うと、エリカがいなくなって、闘球とキングが来ていたのだ。
二人が来てくれたのは嬉しいが、こうなるとエリカが心配ではある。
他のメンバーを説得しに行って、逆に説かれて絶望に染まったとか、そういうことはないだろうか。
あとでちょっと部屋に行ってみよう。寝坊とかそういうのだったらいいんだけどな。
まあでも今は闘球とキングの話かな。俺は食堂の新メンバーに話しかけていた。
274:🎏 :2013/8/15(木) 01:34:11 ID:YjqayDadmg
左雨瑞樹「闘球、キング、来てくれたのか」

中村闘球「ああ。昨日お前にいろいろ言われて、こっちもいろいろ考えたんだ」

中村闘球「モノクマに狂った学園生活を強いられてるからな。その状況で誰かと触れ合うのは確かに怖いよ」

中村闘球「でも、だからってずっと一人でいるってのも辛いことだな」

中村闘球「この辛い学園生活で、誰かを信じて気兼ねなく自分を解放する。それだけで、心はだいぶ救われるんだな」

中村闘球「怖いって気持ちは確かにあるけど、僅かでも明るい未来の可能性があるのもこっちだと思う」

中村闘球「だから俺も今一度お前らを信頼してみることにするよ。互いに想う気持ちがあれば、事件も起こらないかもしれないしな」

キング「……概ね以下同文である」

中後小百合「よかったな。モノクマという謎に満ちた強大な悪を相手するには、結束は必須だろう。こうして協力してもらえると助かるよ」

白鳥輝穂「皆で協力して探せば、きっと脱出口も見つかります。もう悲しい事件は起こさないように、それでいて苦しいここから出ましょう」
275:🎏 :2013/8/15(木) 01:36:29 ID:YjqayDadmg
場明日虎美「それはええねんけど、氷室はどないしたん?何であいつおらへんねん」

肉丸健太「あんまり考えたくないけどさー、氷室さんは逆に仲間を信じられなくなったとかないかなー?」

夜桜愛梨「あり得るかもしれませんね。彼女は元々超高校級の孤独です。考え方としては、元々はあちらさん寄りでしょうから」

左雨瑞樹「……あとでエリカの様子を見てみるよ。エリカのことは俺に任せてくれ」

中後小百合「嫁のことになると活動的になるんだな」

左雨瑞樹「活動的になったついでに殴るぞ、この野郎」

中後小百合「それは怖い。DVは感心しないぞ、優男」

肉丸健太「正直さー、左雨くんは氷室さんのことどう思ってんのー?」

左雨瑞樹「何なんだよ?別にどうも思ってねえよ。面倒臭い女友達だよ」

夜桜愛梨「でも氷室さんは左雨くんのことが好きだと思いますよ」

左雨瑞樹「いやいや、ないだろ。そう思う根拠は何だよ?」

夜桜愛梨「氷室さん、左雨くんだけ名字でなく名前で呼んでるんですよ。特別に思ってる証拠でしょう」

左雨瑞樹「……そういや名前で呼んでるか。でも皆も同じなんじゃないか?」

肉丸健太「僕が呼ばれた時は普通に肉丸くんだったよー」

左雨瑞樹「ふーん、そうなのか……」
276:🎏 :2013/8/15(木) 01:39:16 ID:YjqayDadmg
場明日虎美「おーおー兄ちゃんモテるのう!ほんま若いのは盛んやで!」

中村闘球「お前は酔っ払いの親父か……」

中後小百合「彼女のそういう小さなこだわりに気付いてやれよ、彼氏くん。些細なことでも、彼女には大きな意味を持つんだ」

夜桜愛梨「そうですよ。これでは流石に糞野郎ですよ」

左雨瑞樹「彼氏じゃねえっつってんだろ、お前ら……」

モノクマ「面白そうな話をしてるね!ボクも混ぜてよー!」

場明日虎美「うわ、出た……」

モノクマ「何だよー、そんな露骨に嫌がらなくてもいいだろー!」

モノクマ「クマはね、寂しいと死んじゃうんです。だからボクにも構ってほしいのです。OK?」

場明日虎美「それはうさぎやろ!構わなあかんのはうさぎじゃボケ!」

中後小百合「何だ、黒魔帝の心配してるのか。なんだかんだ彼女をやってるなあ」

場明日虎美「ちゃうわあああ!確かにあれも兎やけどな!うちが言っとるんは動物の方や!」

白鳥輝穂「それで、学園長は何をしにいらっしゃったのですか?」
277:🎏 :2013/8/15(木) 01:40:59 ID:YjqayDadmg
モノクマ「だから言ってんじゃん。ボクはオマエラに構いに来たんだよ!」

夜桜愛梨「男女の青春物語がそんなに好みに合いましたか?」

モノクマ「それもいじれば面白そうなんだけどね。ボクが今いじりたいのはそっちの二人だよ!」

中村闘球「……俺とキングか?」

モノクマ「そうそう。君達は実にださいな!それを笑いに来たんだよ!」

モノクマ「昨日はさあ、俺達はもう誰とも関わらない!キリッとかやってなかったっけ?」

モノクマ「それが何?安い言葉で惑わされて翌日にはころりと変わるなんてさ。滑稽だよね!」

モノクマ「確固たる自分って物がないの?誰かの言いなりなの?自分じゃ何も決められないの?」

モノクマ「異なる意見に挟まれたら右往左往するの?マジ受けるから落ち着けっての!馬鹿みたいですよ!」

中村闘球「……」

左雨瑞樹「なるほど。ここでまた協力体制になられると困るから、揺さぶりをかけにきたか」

モノクマ「へー、そういう風に受け取っちゃうんだ?」

左雨瑞樹「そうだろ?そうなれば事件が起こる可能性もだいぶ減る。それはお前にとって、心底つまらない最低の展開だろうからな」

左雨瑞樹「だから揺さぶる。まるで人の意見で自分の立ち位置を変えることが恥ずべきことかのように言う」

左雨瑞樹「だけどな、本当に恥ずべきは、自分こそが絶対だと思い込み、自らの過ちをも省みないことだ。モノクマ、お前のことだよ」
278:🎏 :2013/8/15(木) 01:42:52 ID:YjqayDadmg
モノクマ「左雨くんは平気でださいことを言いますね。そんなことを自慢げに言うことこそ恥ずべきことだと思いますけど!」

左雨瑞樹「言ってろ。俺達は確かに間違えることもある。そしてそれに自力で気付けないことも多々ある」

左雨瑞樹「だけど、人と関わり言葉を交えることで、自分を正せる。相手を正せる」

左雨瑞樹「俺達はまだ高校一年生だ。間違いも起こすし、いろんな経験を以て意見もころころ変わるかもしれない」

左雨瑞樹「でも、大切なのは最後に正解を選ぶことだ。俺達は負けない。お前が描く絶望のシナリオには決して乗らない!」

モノクマ「……うぷぷぷ!うっひゃっひゃっひゃ!ぶっひょっひょっひょ!!」

場明日虎美「何がおかしいねん!?」

モノクマ「あーごめんごめん。いやーボクとしては笑いのツボがありましてね。我慢できませんでした」

モノクマ「いやはや、失礼しました。とにかく楽しかったよ!絡みにきた甲斐があったよ!」

モノクマ「オマエラも素敵な学園長と絡みたいと思ったその時は、遠慮なく呼んじゃってくれよな!愛しい生徒のために、学園長は頑張るよ!」

場明日虎美「どうでもええからはよ消えや!」

モノクマ「はいはいわかりましたよ。ではでは皆さん、またいつか!」

白鳥輝穂「消えちゃいました……」
279:🎏 :2013/8/15(木) 01:44:09 ID:YjqayDadmg
中村闘球「……」

左雨瑞樹「気にするな、闘球。あいつは元からああいう奴だ。自分の身だけが大切だから言うことも滅茶苦茶だ」

左雨瑞樹「そうして俺達を陥れようとする。だけど惑わされる必要はない」

キング「心得ている。少なくとも、我が未来を邪悪なる熊に委ねる気は毛頭にない」

中村闘球「俺も同じ気持ちだ。心配するな、俺は大丈夫だよ」

左雨瑞樹「……それならいいんだ」

場明日虎美「おーっし!ほな行動を始めよか!あのクソ熊に結束の力を見せつけるんや!」

中後小百合「そのためには仲間全員と再び一つにならねばな」

夜桜愛梨「残ってるのは相田さん、黒魔帝くん、中岡くんですね。あと、もしかしたら氷室さんも……」

左雨瑞樹「エリカは俺に任せておけ」

中後小百合「良い旦那さんだな。さぞ幸せな家庭を築くことだろう」

左雨瑞樹「お前はどうして挑発行為を繰り返すんだ?」

中後小百合「楽しいからさ。ふふふ」

左雨瑞樹「まったく……とにかく行動だ。残りの奴らに言葉を投げかけるぞ」

肉丸健太「その前にごはんにしようよー。朝ごはん食べないと元気でないよー」

左雨瑞樹「……そういや飯まだだったな」
280:🎏 名無しさん@読者の声:2013/8/16(金) 15:22:20 ID:Ihx.RGVA1U
続き待ている

っCCCCCCCCCC
281:🎏 :2013/8/18(日) 01:50:48 ID:5J/.4fMZTU
朝食を終えたらエリカの様子を見てこよう。そう思っていたが、結局それは実行せずに済んだ。
輝穂と愛梨が朝食を作ってそれを食べてる途中、エリカが食堂にやってきたからである。
それも渦中の人物の一人である中岡笑を引き連れて。
一体全体どういうことだ。食堂のメンバーが二人に注目してると、エリカが俺達に向かってこう発言した。

「ねえ、今から中岡くんと漫才するから見ててよ!」

一体全体どういうことだ。聞いてなお理解できないでいる俺がここいる。
見回してみても皆同じ気持ちのようだ。しっかりと頭の上に?を浮かべている。
しかし、そんなノリの悪い客は知らねえと言わんばかりに、二人は漫才を開始するのであった。
282:🎏 :2013/8/18(日) 01:52:47 ID:5J/.4fMZTU
中岡笑「はいどうもー。中岡ですー」

氷室エリカ「氷室ですーどうもー」

氷室エリカ「アイビーですー三人合わせて(裏声)」

中岡笑「ちょっと待ってください!アイビーって誰!?何その裏声!?」

氷室エリカ「何ってアイビーですよ。アイビーの台詞に被せないでくださいよー」

中岡笑「そのぬいぐるみ、メンバーなんですか!?」

氷室エリカ「メンバーですよー。私達トリオじゃないですか」

中岡笑「初耳ですよ!ずっとコンビのつもりでやってましたよ!」

氷室エリカ「酷いよ中岡くん、私は遊びだったのね(裏声)」

中岡笑「メスなんですか、それ!?そもそも何なのか、そこからわかりませんよ!」

氷室エリカ「しょうがないなー。無知を晒す中岡くんのためにアイビーの紹介をするとしましょう」

氷室エリカ「耳かっぽじって聞いとけよテナガザル(裏声)」

中岡笑「口悪いんですね!?何で自分テナガザルなんですか!?」
283:🎏 :2013/8/18(日) 01:54:16 ID:5J/.4fMZTU
氷室エリカ「アイビー、自己紹介してくれるかな?」

氷室エリカ「酒と女を用意しろ、話はそれからだ(裏声)」

中岡笑「メスなのかオスなのかはっきりしませんね」

氷室エリカ「私はアイビー、誇り高き白猫ちゃんだ(裏声)」

中岡笑「腹話術のつもりなんでしょうけど、びっくりするくらい口と喉動いてますからね」

氷室エリカ「戦場に転がる仲間の骸を踏み越え、今日まで生きてきた(裏声)」

中岡笑「そんなヘビーな設定なんですか、この猫!?」

氷室エリカ「アイビーっていうのもコードネームだもんね」

氷室エリカ「本名はタマというんだ(裏声)」

中岡笑「白猫のタマって聞き覚えあるんですけど!?魚介類的な家族に飼われてませんでした!?」

氷室エリカ「懐かしい……全ては遠い思い出(裏声)」

中岡笑「あの一家に何がありました!?骸ってあの一家のことですか!?」

氷室エリカ「それはそれとして好きな食べ物は甘納豆だ(裏声)」

中岡笑「魚介類をもっと掘り下げましょう!甘納豆とかマジどうでもいいですから!」
284:🎏 :2013/8/18(日) 01:55:27 ID:5J/.4fMZTU
氷室エリカ「甘納豆が好きなんだ。おいしいよね」

氷室エリカ「あのおいしさは全てを凌駕する(裏声)」

氷室エリカ「そこで私は甘納豆を食べる猫をやるから、お前は甘納豆をやってくれ(裏声)」

中岡笑「どんな振りぃ!?何をさせようとしてるんですか!」

氷室エリカ「何って、よく漫才であるじゃないですか。場面を想定して演じる系」

氷室エリカ「私店員するからお前客やって、みたいな(裏声)」

氷室エリカ「ノリ悪いよーテナガザルー」

中岡笑「ノリの問題なんすか!?いや、だって無理じゃないですか!甘納豆やれって振られても!」

氷室エリカ「できるってー。甘納豆みたいな顔してるじゃん」

氷室エリカ「じゃあお前何ができるんだよード低能野郎が(裏声)」

中岡笑「酷い言われようだよ!?俺どんな顔してるんですか!?」

中岡笑「何が出来るかっていうか、この猫さんの自己紹介じゃなかったですっけ?」

氷室エリカ「本番中だよ?早く漫才やった方がいいよ」

中岡笑「手遅れですよ、いろいろと!ここまで来たら自己紹介で通しましょうよ!」
285:🎏 :2013/8/18(日) 01:56:25 ID:5J/.4fMZTU
氷室エリカ「我儘だなあド低能が(裏声)」

中岡笑「俺の我儘なんですか!?こっちは勝手にトリオにされてる身なんですけど!」

氷室エリカ「じゃあ低能テナガザルが何か質問してくれよ(裏声)」

中岡笑「落語家みたいな響きになってるから!何ですか、質問ですか?」

中岡笑「好きな食べ物は言ったから、趣味教えてください」

氷室エリカ「趣味は野球(裏声)」

中岡笑「キャラ安定しねえな、おい!」

氷室エリカ「私のフォークを打てる奴なんて目黒区にはいないよ(裏声)」

中岡笑「何で目黒区に限定したか知りませんけど、そりゃ凄そうですね」

氷室エリカ「え、どんだけ凄いか見てみたいって?(裏声)」

中岡笑「おかしいなあ、一度たりとも言った覚えないんですけど」

氷室エリカ「じゃあアイビーはピッチャーやって、テナガザルはバッターやりなよ。そういう漫才にしよ」

中岡笑「氷室さんは?」

氷室エリカ「審判やるよ」

中岡笑「そうですか……」
286:🎏 :2013/8/18(日) 01:57:48 ID:5J/.4fMZTU
氷室エリカ「じゃあアイビーはそこからピッチャーやって」

氷室エリカ「承った(裏声)」

中岡笑「……氷室さんがぬいぐるみ置きに行っただけにしか見えませんよ」

氷室エリカ「行くぞ猿、ピッチャー振りかぶって投げた(裏声)」

中岡笑「うおっ!空振ってしまった、これは凄いフォーク……」

氷室エリカ「ストラアァーッ!!」

中岡笑「うるせえな、あんた!?自分の台詞と被ってるんですけど!?」

氷室エリカ「審判なんだし気合い入れないとね」

氷室エリカ「実際には投げてないのにうおっ!ってw(裏声)」

中岡笑「あんたがノリ悪い言うからノッてあげてんでしょ!そっちが振っ……」

氷室エリカ「ストラアァーッ!!」卍

中岡笑「言いたいだけだろ、もう!被せるな言うてるでしょ!卍っぽいポーズやんなくていいんだよ!」

氷室エリカ「ファーッ!!」

中岡笑「フォーク空振ったから!そういう設定で進んでるから!キャディさんみたいになってるからぁ!」

氷室エリカ「ねえねえ、実は私フォーク投げられないんだよ(裏声)」

中岡笑「目黒区の設定どこ行ったぁ!?何のためにあの話をしたぁ!?」
287:🎏 :2013/8/18(日) 02:04:16 ID:5J/.4fMZTU
中岡笑「駄目だ駄目だもうやめだぁ!グッダグダじゃないですか!」

中岡笑「やっぱり三人で漫才なんて無理があったんですよ!自分達はコンビでやるべきです!」

氷室エリカ「そうだよね……今日の出来だと、三人体制じゃ駄目かもしれないね……」

氷室エリカ「え、じゃあやっぱり……(裏声)」

氷室エリカ「うん、寂しくなるけど……」

中岡笑「まあわかってくれればいいんですよ」

氷室エリカ「これからは中岡くんを切り捨てて、私達二人のコンビで頑張ろう!」

中岡笑「自分が消えんのかよ!?もういいよ!」

中岡・氷室『どうも、ありがとうございましたー』
288:🎏 :2013/8/18(日) 02:05:32 ID:5J/.4fMZTU
……突然始まった二人の漫才を結局最後まで見届けてしまった。
わけがわからずポカンとしてると、相変わらずギャラリーは無視の方針でエリカが笑にこう発言した。

「やりきったね!中岡くん、やっぱりやりたいことをやるのは楽しいでしょ?」

それを受けて、笑は小さく頷く。

「そうですね。この狂った学園生活の中で……久々に生きてるって感じがしました」

今のやり取りを聞いて察するには、エリカが笑をけしかけたようだ。
さすがにネタ自体は笑が考えたんだろうけど、それを形にするきっかけはエリカが与えたようである。
289:🎏 :2013/8/18(日) 02:07:44 ID:5J/.4fMZTU
氷室エリカ「中岡くん、こう言ってたよね。もうそっとしといてほしい、誰かを殺すかこの生活を受け入れるかしかない、みたいなこと」

氷室エリカ「でも、それだと中岡くんの大好きなお笑いも出来ないよ。いや、出来ないことはないけど」

氷室エリカ「こんな素敵な才能を世に送り出せないなんて悲しいよ。だから協力して脱出方法を探そう!」

氷室エリカ「私も一緒にお笑いやって楽しかったよ!中岡くんは名前の通り、皆を笑顔にできる素敵な人なんだよ!」

氷室エリカ「だからこそ、モノクマの卑劣な悪行に屈しないでほしいよ。ここから出て、皆を笑顔にしよう!そして中岡くんも笑顔になろうよ!」

中岡笑「……そうですね。自分はやっぱり馬鹿やって人を笑わせたい人間です」

中岡笑「モノクマの悪意から逃げたくて諦めようとも思いましたが……やっぱり諦めきれないです」

中岡笑「自分が世界の人々を笑顔にするためにも、皆で生きてここを出なきゃいけないですよね!」

中岡笑「決めました!自分は皆さんと協力して、ここから出る方法を探します!見つからなくて辛くても、モノクマの悪意が怖くても、今度は逃げません!」

中岡笑「自分は世界を笑わせるために、皆と一緒に笑顔でここを出ます!」

どうやらエリカは笑のお笑いの情熱を用いて協力を求めたようだ。
そしてそれは成功した。力強い笑の協力宣言は今耳にしたばかりである。
こうして俺達の仲間がまた一人生還を果たした。狂気に晒されて散らばった絆も、少しずつ修復の兆しを見せている。
ついでに、エリカも孤独を乗り越えようとしている。あのエリカが朗らかに喋り、自分で行動し、仲間を救い出そうとしているんだ。
何て言うか、嬉しい。孤独を運命づけて触れ合いを諦めてたエリカが、今は誰かの諦めかけた夢を取り戻した。
友達として、エリカが前向きに変わり、周りの人間すらも変えるのが嬉しく感じた。
290:🎏 :2013/8/18(日) 02:10:20 ID:5J/.4fMZTU
中岡笑「皆さん、今のやり取りの通りです。自分はまた皆さんと協力の姿勢を敷きます」

中村闘球「おかえり、中岡」

白鳥輝穂「漫才、とても面白かったです!」

場明日虎美「そうかあ?糞しょぼい漫才やったで。超高校級とか聞いてあきれるわ。自分、才能ないんちゃうか?」

中岡笑「辛辣ですねえ!?中の人のスペック不足ですよ、勘弁してください!」

中後小百合「ネタは自分で考えたのか?低能テナガザル」

中岡笑「漫才のネタをここまで引っ張らないでくださいよ!」

肉丸健太「中岡くんって左打ちなんだねー」

中岡笑「左打ちっていうか、何もかも左利きですよ……何なんですか、この質問攻め!?」

仲間に戻った笑に対して、皆も歓迎ムードだ。
その景色を見た俺は、絶望的な学園生活において、僅かでも希望の光が見えたような気がした。
あの悲惨な出来事に直面した俺達でも、再び手を取り合えると証明できているのだから。
全員が揃うまであと二人だ。皆一緒になって希望を見据えて、モノクマの悪行を砕く日も遠くないのではないか。
根拠はないけどそう思った。
291:🎏 :2013/8/19(月) 01:24:15 ID:5J/.4fMZTU
笑が戻ってからしばらく喜びに浸っていた俺達ではあったが、いつまでもそうするわけにはいかない。
まだ絆を取り戻せてない仲間が二人いるんだ。今はまだ真に喜ぶべき時ではないんだ。
全員が再び仲間に戻る時。そして、皆でこの糞ったれ学園から脱出を果たした時。その時こそが真に喜ぶべき瞬間だ。
その瞬間を俺達は迎えに行かなくてはならない。そのためには行動あるのみである。
そんなわけで、昼を過ぎた頃に、俺はエリカと共に行動を始めたのだった。

「ねえねえ瑞樹くん。昨日は私と一緒に行動できなくてさびしかった?」
「……昨日は笑を説得しに行ってたんだな」
「そういうこと!それで一緒にネタ作って、楽しかったなあ……ふふ、嫉妬した?」
「馬鹿言え。何でお前絡みで嫉妬すんだよ」
「……そっか」

この女も本当に変わったよな。まあ、いいことだと思うからいいんだけどもよ。
292:🎏 :2013/8/19(月) 01:25:27 ID:5J/.4fMZTU
「それで、今からどうするの?」

エリカが訊ねた。
どうするも何も、残った二人に説得をして、今一度仲間に戻ってもらうべきだろう。
佑子の事件を以て絆を失ってしまった残りの二人は、黒魔帝兎と相田鳥子である。
……まあ鳥子から説得しようかな。兎はたぶんこの件に関してはラスボスだと思うし。
鳥子は逆に何かノリで反逆体制を敷いてしまった可能性すらあるんじゃないかと思う。何たって超高校級の馬鹿だからな。
そんなわけで、鳥子の説得に向かおう。

「鳥子に会いに行こう」
「瑞樹くん、両手に花でも狙ってるの?やだなー私だけじゃ飽き足らず!」
「嫉妬してんのか?」
「え!?いや、私は別に瑞樹くんなんかどうでもいいし……!」
「うん、知ってる。鳥子に関しては説得しに行くだけだよ。ムキになんなよ」
「ムキになんて……ああもう馬鹿!瑞樹くんの馬鹿!」

俺の後ろで騒ぐエリカはそのままほっといて、俺は鳥子を探すため歩を進めるのだった。
293:🎏 :2013/8/19(月) 01:26:48 ID:5J/.4fMZTU
鳥子を見つけた。彼女は学校エリアの教室にいた。
一番前の机の上で、腕を組み仁王立ちをしている。何やってんだ、こいつ。

「……鳥子、ちょっと話さないか?」

彼女を見上げながらそう告げた。こんな時でもスカートの中を見たくなる衝動に駆られる辺り、俺はしっかりと男子をやっていると思う。
仁王立ちしたまま視線もこちらに移さず、威風堂々を保ちながら鳥子はこう返した。

「話すことなんかねーぞ!馬鹿かー!?」

変わらず本調子である。その様子に俺は安心すらしてしまった。この調子だと説得も簡単そうだなと思ったからだ。
しかし、俺はこれから馬鹿な彼女の心の内を知ることになり、抱くイメージを多少変えなければならなくなるのであった。
294:🎏 :2013/8/19(月) 01:28:40 ID:5J/.4fMZTU
左雨瑞樹「まあそう言うなよ。話そうぜ。ほら、とりあえず下りろよ」

氷室エリカ「そうだよ!いつまでもそこにいたら瑞樹くんにパンツ覗かれちゃうよ!」

左雨瑞樹「馬鹿!言うなよ!」

氷室エリカ「え、マジなの?うわあ……それはちょっと引くなあ」

左雨瑞樹「エリカ、貴様謀ったな!」

氷室エリカ「全く……私のなら別に見ていいのに……」

左雨瑞樹「なあ鳥子、うんとかすんとか言えよ」

氷室エリカ「無視!?」

相田鳥子「……あたしは何を言われてもいっしょにはいねえぞ、さっさ」

左雨瑞樹「いや、だから俺の名前はささめって読むんだよ。いや、漢字自体はさっさとも読めるけども」

氷室エリカ「さっさって読めるなんて、実は頭いいんじゃないの?」

相田鳥子「あたしは元から頭いいだろー!馬鹿かー!?」

相田鳥子「……いや、馬鹿はあたしだな。あたしだって知ってんだ」

いつもとは違う反応だった。鳥子が自らを馬鹿だと認めるのは珍しいことだ。
そんな珍しい言動を見せた彼女は、一気にしおらしい態度に変わり、意気消沈のまま体も俺達と同じ高さまで下ろした。
295:🎏 :2013/8/19(月) 01:30:24 ID:5J/.4fMZTU
相田鳥子「あたしな、こわいんだ」

左雨瑞樹「怖い?」

相田鳥子「さいばんっていうのやっただろ。あたしはそれがむずかしくって何が何だかわからなかったけど」

相田鳥子「とりあえずサッカー女が悪いことをしてしまったのだけは何とかわかった」

相田鳥子「そしてあのクマに殺されちまった」

相田鳥子「……こわいんだ。わけもわからないまま友達だと思ったやつが殺したり殺されたりするのが」

相田鳥子「友達がそれをするのもこわいけど、あたしが関わるのもこわいんだ」

相田鳥子「あたしも殺されるかもしれない。あたしが殺してしまうかもしれない」

相田鳥子「そしてあたしは馬鹿だ。その後のさいばんで話しもわからずみんなにめいわくかけてしまうかもしれない」

相田鳥子「そのめいわくによってはあたしも、みんなも死ぬかもしれない」

相田鳥子「だからあたしは関わりたくないんだ。関わりさえしなかったら、あたしは死なない。むずかしい話しの時にめいわくもかけない」

相田鳥子「あたしのためにも、みんなのためにも、あたしは一人でいなきゃいけないんだ」

相田鳥子「あたしはきっと、みんなといっしょにいちゃだめなんだ!馬鹿だから!」
296:🎏 :2013/8/19(月) 01:31:55 ID:5J/.4fMZTU
鳥子は弱っていたのだ。
いつも頭が悪い感じで天真爛漫としていたから、恐怖とかそういった感情とはかけ離れた存在だと思っていたんだが。
当たり前だが彼女も生きていて、目の前の状況に対峙して思うところもある。
そうして揺れる感情に、異常な恐怖が立ちはだかった結果、彼女は全てを拒絶したのだ。
自身を守るのはもちろん、自らが皆の迷惑にならないように孤独を選んだと言うのだ。
正直俺は鳥子がここまで物事を考えているとは思ってなかった。皆のために自己犠牲を払うほどの優しさを秘めているとは思ってもみなかった。
超高校級の馬鹿とかいうまさに馬鹿げた才能に、それに違わぬ私生活を見てきたことで、内心彼女を見下してた部分があったのかもしれない。
だから俺は、この時は罪悪感に苛まれ、言葉を失ってしまった。
代わりに言葉を発してくれたのは、超高校級の孤独であるエリカだった。
297:🎏 :2013/8/19(月) 01:34:49 ID:5J/.4fMZTU
氷室エリカ「相田さん、一緒にいちゃ駄目なんて、そんなことは決してないよ!」

相田鳥子「うそだ!あたしは馬鹿でめいわくかけて、いっしょにいていいやつじゃないんだ!」

氷室エリカ「私だって、自分がそうだと思ってた!私は、いるだけで迷惑のかかる存在で、だから一人でいなくちゃいけないって!」

相田鳥子「おまえがあたしといっしょ?」

氷室エリカ「一緒だよ。いや、性格は違うけど……私は暗くて喋るのも苦手で存在感なくて、人を驚かすばかりで何の利益も生まない」

氷室エリカ「だから私は一人でいなきゃ駄目な人間だと思った。誰かといるだけで迷惑になると思った」

氷室エリカ「でもそれは違った!瑞樹くんが教えてくれた……前向きに捉えて頑張ることで、誰かの力になれるんだよ!」

氷室エリカ「相田さんだってそうだよ!この怖い環境の中でも元気な相田さんを見てると、恐怖を忘れて明るくなれるの!」

氷室エリカ「私達の中でいなくなっていい人なんていない!私達はもうこれ以上誰かを失うわけにはいかないんだよ!」

氷室エリカ「だからお願い、相田さん!今一度、私達と一緒に希望を目指そう!」

相田鳥子「……あたしは、いっしょにいてもいいのか?」

氷室エリカ「当たり前だよ!だって私達、仲間なんだから!相田さんは私達と一緒にいたくないの!?」

相田鳥子「……いっしょにいてえよ。だって、一人はこええんだもん!」
298:🎏 :2013/8/19(月) 01:36:59 ID:5J/.4fMZTU
そう言うと鳥子はわんわん泣いてエリカに抱きついた。自己犠牲の精神で無理して孤独を選んだ分、仲間の温もりが効いたのだろう。
……超高校級の馬鹿だけあって簡単に信じやがるな、なんて思う俺の心は汚れているのだろうか。
それはともかく、仲間の下に帰ってこれた鳥子に安堵しつつ、俺はエリカに関心しっぱなしだった。

今日、エリカは二人の仲間を救い出した。
笑と鳥子の二人。真っすぐな心で、真っすぐぶつかって、人間二人の心を大きく揺さぶったのだ。
凄いことだと思う。少なくとも、本音で真っすぐぶつかっていくということは俺には出来ない。
こう言えば無難かな、とか、ああ言えば良く聞こえるかな、等と無粋な企みを以て言葉を投げかけるのが俺だと思う。
だから俺には、エリカが輝いて見えた。これだけ心から綺麗な思いを伝えられる人間に俺はなれるだろうか。そんなことを考えてた。

氷室エリカ「さあ、皆にこのことを知らせてあげないとね!行こう、相田さん!」

相田鳥子「……そうだな!よっしゃー!さあめ、行くぞー!」

左雨瑞樹「いや、だから俺の名前はささめって読むんだよ。……確かにお前がいると楽しくなるな」
299:🎏 :2013/8/19(月) 01:39:47 ID:5J/.4fMZTU
鳥子が仲間に戻ったことで、皆の明るさが増したような気がする。特に、健太との愉快なやり取りが増えたのはいいことだと思う。
……鳥子と健太ってどうなんだろうな?仲は良いように思うけど、それが友情か愛情かは知らない。平和を取り戻したその時に追及してみたいものだ。
それはともかく、残りは兎一人となったのだが、今日はもう遅くなっていた。だから兎と接触するのは明日にしようと、一同は自由時間に突入した。
俺はさっさと部屋に戻って、ベッドを用いていつでも寝れる状態へと持っていく。これでいつでも夢の中へと入れるってもんだ。
天井をじっと見ながら、俺は一つ考えていた。その考え事はエリカのことである。
最初は無口で暗い奴だと言う認識でしかなかった。それを押し付けられて、貧乏くじ体質を呪ったのも事実だ。
だけどエリカは前向きに頑張って、明るく良い子へと変わった。
この猟奇的生活において、マイナスに変わることはあっても、プラスに変わることはそうそう出来ないだろう。それをエリカはやってのけたのだ。
そうして変わったエリカは人の心を照らして、俺達の大きな力となっている。実際、笑も鳥子もエリカに心を動かされたのだ。
俺だけだったら彼らを説得出来ていただろうか。正直、怪しいと俺は思う。
エリカがいてくれてよかった。エリカがいたから俺達はまとまることが出来る。
この狂った学園に閉じ込められてても、エリカがいれば大丈夫だとすら思える。これからも一緒にいたいもんだ。

……なんか告白みたいになってんな。いかん、恥ずかしくなってきた。
こう言う時はもう寝るに限る。寝よう寝よう!
こう意識すると寝れなくなるのが普通なんだろうが、何故だかこの時は素直に寝ることができたのだった。
300:🎏 :2013/8/19(月) 01:41:17 ID:5J/.4fMZTU
〜モノクマ劇場〜

人は笑うために笑うこともあるのです。
何も楽しいという感情の専売特許じゃないんですよ。
苦しくたって笑うのです。
悲しくたって笑うのです。
楽しくなくて笑うのです。
何もなくても笑うのです。
笑顔でいるから好意的だろうとか、そんなものは何の根拠にもなりません。
人間にとって、笑顔は手段です。だから簡単に笑顔の仮面を被るのです。
さて、あなたに向けられた誰かの笑顔……果たしてそれはどんな感情を以て生まれた物なんでしょうね?
301:🎏 名無しさん@読者の声:2013/8/19(月) 20:56:26 ID:ZkKTmK/uuM
思った以上に面白かった!
支援CCCC
302:🎏 :2013/8/22(木) 00:11:59 ID:8.93g9grjQ
起きた。たぶん二度寝からの目覚めだと思う。
何かモノクマの放送で一回起きたような記憶はあるけど、それから睡魔に負けて再び体を休めた気がする。
それでもそんなに時間は経ってないと思うんだが。
そう思って時計を確認すると確かにそんなに経ってない。本来の起床時間から一時間しか遅れちゃいねえ。……許容範囲だろ、うん。
あくまでマイペースは崩さずに、悠々と社長出勤を決め込んだ。
……皆もう食堂にいるのかな。昨日は笑と鳥子の説得にも成功したから二人が加わってんだろう。
案外、覚醒したエリカがラスボスの兎を説き伏せて、確固たる俺達の絆を取り戻しているかもしれない。
そんな前向き想像を脳内で描きながら、俺は食堂に歩を進めた。
303:🎏 :2013/8/22(木) 00:14:56 ID:8.93g9grjQ
待っていたのは地獄絵図だった。あ、殺人が起きてたとかそういうんじゃなくて。
ラスボス認定した兎と、虎美が激しい言い争いを繰り広げていたのだ。

「あ、瑞樹くん。無事だったんだ。よかった……」

俺に気付いたエリカが小声で話しかけてきた。何で小声?と一瞬思ったが、まあ確かに目の前の激しい争いを下手に止めるととばっちり受けるかもしれないしな。

「私は瑞樹くんが時間になっても来ないから心配してたんだけど……黒魔帝くんと場明日さんが口喧嘩始めちゃって……」

心配してくれてたみたいだ。それを知らされると、ただの寝坊です、とは言いにくくなっちまう。どうしたもんか。
それはさておき、遅刻した俺にはどうしてこんな争いが起こったのか知る由もない。
そういうわけで、俺はエリカから事の成り行きを聞きだすのだった。
304:🎏 :2013/8/22(木) 00:16:30 ID:8.93g9grjQ
兎以外のメンバーは再び協力し合う体制となっている。
だから後は兎を説得し、一致団結の姿勢を蘇らせるだけである。
そういう流れの時に、俺以外のメンバーが揃ってる食堂に、兎が朝食をとりに来たのだった。
今こそ説得の時、と虎美が息巻いて兎との対話を始めたそうな。姿の見えない俺を心配して、エリカはまず俺の部屋に行くのを勧めたそうだが、

「心配いらへん!左雨なら大丈夫や!」

と、一蹴されたらしい。何で俺はそんなに信頼されてるのだろう。
それはともかく。なんだかんだいがみ合う二人ではあるが、虎美は結局は野球ファン同士だから分かりあえると信じて説得に出たのだ。
しかし、その思惑は外れてしまう。
305:🎏 :2013/8/22(木) 00:18:25 ID:8.93g9grjQ
場明日虎美「黒魔帝。自分、そろそろ素直になりいや。一人で拒絶すんのはしんどいで?」

黒魔帝兎「話しかけるな、腐れ阪神信者。もうこの状況を改善など出来ない。ならば拒絶こそが身を守るに適切な行動だ」

場明日虎美「何やとぉ!?アホか、こういう状況やからこそ手を取り合うんやろ!てか今野球のことは関係ないやろ!」

黒魔帝兎「関係ある。阪神という野蛮なチームを好むなんて自分は馬鹿だと名乗ってるようなものだ。馬鹿は議論に加わるな。話が進まなくなる」

場明日虎美「はあ!?何やそれ!?訂正せえや、糞巨人!阪神ファンはええ奴ばっかやで!」

黒魔帝兎「ちょっと活躍できなかっただけで酷く罵る屑の集まりのどこが良い奴なんだ?」

場明日虎美「何も本気で言っとらんわ!多少口は悪くても、心は阪神のために一つになっとんで!」

黒魔帝兎「心の中で応援してれば好きなだけ罵っていいわけか。その場合、傷つく選手の方が間違ってるとでも言うのか?」

場明日虎美「ぐっ!で、でも巨人やって悪く言う奴がおるやろ!」

黒魔帝兎「ああ、いるな。我が巨人軍の強さに嫉妬して酷く罵る他球団の信者共がな」

場明日虎美「それは巨人が金で選手を強奪するからやろ!その姿勢が糞や言うとんねん!」

黒魔帝兎「金等で取引を行い正当な手段で移籍してもらうことの何が悪い?何も違法なことはしてないだろう」

黒魔帝兎「そもそも最近はおたくも補強を繰り返してるだろ。高値で買って失敗する点はうちとは違うがな」

黒魔帝兎「うちは育成もきちんとしてるから生え抜きだって活躍できるんだ。何もかも完璧な巨人軍を嫉妬で悪く言わないでいただきたいな」

場明日虎美「ええ加減にせえよぉ!」
306:🎏 :2013/8/22(木) 00:21:54 ID:8.93g9grjQ
……って感じで、野球に関する話にシフトして口論が発生してしまったらしい。
やれやれ、好きな物に対して熱くなるのはいいとしても、方向性は間違えるなよな。
好きな物をとことん愛でるならいいけど、好きな物のために他を貶めるのは何か違うだろ。と、思っても本人に言う気にはなれない。怖いし。
だがしかし、そんな俺の意思は関係ないと、俺の超高校級の才能は火を噴くのだ。

「もうこれを止められるのって瑞樹くんしかいないと思うの。お願い、仲直りさせてあげて!」

こーんなお願いをエリカからされちゃうんだもんな。今からこれに割り込むのか。己の貧乏くじを呪うしかない。

「なーお前ら。話も脱線してるし、そろそろ落ち着けよ。今は野球の話をしてる場合じゃないだろ」
「うっさいわ!今糞巨人と話しとんねん!入ってくんなや!」
「邪魔をするな!忌々しい阪神の輩を駆除するチャンスなんだ!ほっといてくれ!」

……こんなんなるんですもん。お互いに向ける異常な敵意が一瞬でも俺に向けられたことで、俺の精神は一気に傷ついたよ。
もうこうなったら二人は止まらないだろう。好きな物には遠慮なく暴走するコンビなんだから。
喧嘩する程何とやらとはよく言った物で、こうなったら徹底的にやらせりゃいいんじゃないかな。
これが兎攻略の糸口になるかもしれないし。ぶっちゃけもう割って入りたくないっていうのは内緒な。
307:🎏 :2013/8/22(木) 00:24:07 ID:8.93g9grjQ
本音はあれに関わりたくないって感じだが、心のどっかで二人はこれで大丈夫なんだと思っていた。
野球で口論っていうのは二人の日常だし、なんだかんだこれが二人の平常運転なんだと思う。
この異常な空間で仲間を信じることができなくなった兎。だから兎は何もかも突っぱねて孤独を選んだ。
そんな兎に絆を取り戻させるには、仲間との当たり前な日常を思い出させるのもいいかと思う。
大好きな野球のことで虎美と口喧嘩で理論をぶつける。それは兎にとって楽しいことだろう。本人はそれを認めるか知らんが。
楽しさを、正常を思い出してしまって、それでもなお孤独を選ぶのは難しいだろう。だから俺は二人をこのまま見届けてればいいと思っていた。

しかし、この楽観視が数分後にとんでもない事態を呼びこむのを現段階では知る由もないのである。
308:🎏 :2013/8/22(木) 00:29:09 ID:8.93g9grjQ
場明日虎美「てか、うちの選手を悪く言うなや!猛虎魂に満ち溢れた熱い男の集まりなんやで!」

黒魔帝兎「そんな魂なんか宿して何になると言うんだ。野蛮な連中はすぐ精神論に走るから低俗と言わざるを得ない」

場明日虎美「うっさいわ!どんだけ技術があっても、気持ちがなかったら勝たれへんのや!」

黒魔帝兎「猛虎魂とかのせいで勝てなくなることもあるのにな」

場明日虎美「はあ!?自分、何が言いたいねん!?」

黒魔帝兎「だってそうだろう?ちょっと前まで金本とかいうポンコツのお守に夢中になってチームの勝利を捨ててたんだからな」

場明日虎美「っ!」

黒魔帝兎「個人の記録を重視して、若手の台頭も諦めてチームの勝利も捨てるのが猛虎魂か。いやはや、立派な自己犠牲集団だな」

場明日虎美「何や、その言い方……訂正せえや」

黒魔帝兎「阪神も大変だったな。ポンコツのお世話をしながら戦うなんて。それとも負けの言い訳ができるからむしろ好都合だったか?」

場明日虎美「偉大な野球選手を、そんな風に言うなやぁ!!」
309:🎏 :2013/8/22(木) 00:32:36 ID:8.93g9grjQ
叫びながら虎美は鉄拳を炸裂させた。ビンタじゃなくてグーパンチってとこが虎美らしいように思う。
それはともかく、虎美の打撃を顔にくらって派手に吹っ飛んだ兎。そうして倒れた兎を虎美は睨みつけていた。兎もまた虎美を見上げるように睨んでいる。
ただ、二人の表情から、むき出しにした敵意とは別に、戸惑いや後悔の色も見て取れるのは、俺の気のせいなのだろうか?
それが正解かどうか答え合わせをすることもなく、虎美は食堂を走り去ってしまった。
消えた虎美を確認して、兎がよろよろと立ちあがる。一応手を差し伸べたが、それは拒絶され、兎もまたどこかへと去ってしまった。
こうして食堂を口論の場にした当事者は、乱闘の末に退場。残された俺達は、それはもう気まずい空気に支配されていた。

「……これさー、僕達どうすればいいのー?」
健太の台詞である。俺だってそれを聞きてえよ。
310:🎏 :2013/8/23(金) 02:11:21 ID:8.93g9grjQ
キング「……狂おしい静寂はとある人間の悲しき業である」

白鳥輝穂「え?どういうことですか?」

左雨瑞樹「要するにあんな気まずい結果になったのは、俺が仲裁に失敗したからってことだろう」

キング「的を射ている」

夜桜愛梨「流石に左雨くんに責任を押し付けるのは間違いでしょう」

中後小百合「そうだな。私達は仲裁すらやろうとしなかったわけだ。左雨をとやかく言う権限などないよ」

氷室エリカ「あの二人、野球の話になると凄いからね。あれに入っていくの厳しいよね……」

中村闘球「だからって、このままほっとくわけにもいかないだろ。どうする?」

相田鳥子「ひだりあめー、お前ちょっと応えんしてこいよー!」

左雨瑞樹「また俺頼りかよ!?」

中岡笑「もちろん自分らも説得と言いますか、励ますと言いますか……何らかのアクションを個々で起こしますよ」

肉丸健太「でも一番うまく場明日さん達と話せるのは左雨くんだと思うよー。だからまず左雨くんに頑張ってほしいんだよー」

左雨瑞樹「何で俺はそんなに信頼されてるんだよ……」

中後小百合「妥当な結果だと思うぞ?今日までのお前を見てきてるんだから、信頼するのは当たり前だろう」

左雨瑞樹「信頼されて嬉しいのやら、面倒事押し付けられて悲しいのやら……とりあえず行ってくるよ」
311:🎏 :2013/8/23(金) 02:15:35 ID:8.93g9grjQ
超高校級の貧乏くじを発揮して、俺は二人のアフターケアを担当することとなった。
食堂を出て、さてどこを探すかね。行き先も知らないので、とりあえず兎と虎美の部屋でも訪ねようか。
結果から言えば、これで正解だった。二人とも部屋に籠ってたわけだからな。
俺がまず向かったのは、今回の乱闘の被害者とも言える兎の部屋だ。呼び鈴を押すと、中から兎が顔を出した。

「……左雨か」
「顔大丈夫か?心配だから来てやったぞ。ちょっと上がらせろよ」

虎美に見事なまでに殴られた顔を心配しつつ、ちゃっかり部屋への侵入を試みる俺。
意外にも兎はこれを拒まなかった。
低俗な阪神ファンに暴行を受けて苛立っているんだ放っておけ、くらい言われるかと思ってたんだけどな。
まあ良い方向に予想外なら、それを受け入れない手なんてない。拒まないなら遠慮はいらねえ。俺は兎の部屋へと入った。
312:🎏 :2013/8/23(金) 02:17:21 ID:8.93g9grjQ
部屋に入って、ベッドに腰掛けてから、今一度兎の様子を窺う。
俺の感覚としては、何だか落ち込んでいるように見える。これまた意外だ、虎美の鉄拳に怒り狂ってるかと思ったんだが。

「元気ねえな。虎美のパンチはそんなに効いたか?」と、俺が訊ねれば、
「……そうだな。俺の心に響いたよ」等と、またまた予想外な受け答えがやってきたのである。

兎、本当に大丈夫か?今日はどうしたんだ?
あまりの変わりようにマジで俺が心配しだすと、そんな俺の気持ちを察したかのように、兎は自分の気持ちを語り出したのであった。
313:🎏 :2013/8/23(金) 02:19:37 ID:8.93g9grjQ
「……俺は阪神が嫌いだ。野蛮であり紳士でないって理由もあるが、なんだかんだ我が巨人軍の最大の脅威であるからだ」
「だから俺は阪神を、そして阪神を支持する場明日を忌み嫌った」
「しかし、阪神というチームそのものや、ファンの一部に問題があったとしても、選手個人に罪はない」
「ましてや、偉大な記録を築き、常に全力の素晴らしい選手を馬鹿にするなど、あってはならないことだ」
「……俺は、阪神を嫌うあまり、そんな最低なことをしてしまった」
「そして、場明日に殴られるまでそれに気付くことすらできなかった」
「これではどちらが野蛮かわかったものではない。贔屓のチームに固執するあまり、野球ファンとして屑になり下がってしまった」
「場明日も好きな球団の名選手を馬鹿にされて著しく傷ついてるだろう……」
「俺は、場明日に謝りたい。許してもらえるかは知らんが、近いうちに謝ろうと思う」

兎の話を黙って聞いてた俺は、ここで少し意地悪になって、
「身を守るためにも、俺らと慣れ合うつもりはないんじゃなかったっけ?」と訊ねてみた。
それを聞いて、兎は一瞬顔を強張らせたが、
「……大丈夫だ。場明日は素晴らしい野球ファンだからな。彼女は凶行には走らんと思う。だから信じる」
こんな答えをもらった。これを聞いて、ああ兎はもう大丈夫だ、と確信した。
314:🎏 :2013/8/23(金) 02:21:16 ID:8.93g9grjQ
そんな感じで決意を受け取って、俺は兎の部屋を退出。続いて虎美の部屋へと向かった。
虎美も虎美で落ち込んでいた。その様子を心配してやると、兎と同じような展開で虎美もまた語り出した。

「うちな、黒魔帝殴ったん後悔しとんねん」
「言い方こそきつかったけど、あいつの言うことも一理あるなあ思ってん」
「確かにアニキは怪我の影響で成績が下がっとった。特に守備では深刻なレベルやった」
「でも、それでも阪神は使い続けたんや。記録のために……途絶えたところで偉大な選手やいうことに変わりないんにな」
「黒魔帝はチームの勝利のために冷静な物言いが出来る奴なんや。でもうちは、ちょっと悪く言われただけで殴るんやで?」
「少し気に入らんことがあったらイラついてボロクソ言うて手ぇ出して……黒魔帝が野蛮や言うて幻滅するんも納得やで」
「ほんまうち最低やん……どう謝ったらうちは許されるんや……」

普段から小百合が夫婦とからかうのもよくわかる。表面上ではいがみ合って喧嘩してても、この二人の心はしっかりと繋がってる。
兎も同じ気持ちでいるから仲直りできるよ。それをわかってるから、俺はただ一言「仲直りできるといいな」と言った。
「せやね。許されるんか怪しいけど、まあ当たって砕けろや!気持ち整理できたら謝ることにするわ!」
そう言って虎美は笑った。それが聞けたら俺はもう満足だ。俺はさっさと皆のところへ戻るとしよう。
315:🎏 :2013/8/23(金) 02:23:16 ID:8.93g9grjQ
食堂に戻ると、律義に全員が待っていた。俺に頼るみたいな感じだったけど、もうちょっと自分で頑張る感出してもいいんじゃね?

「あ、瑞樹くん!黒魔帝くんと場明日さん、どうだった?」

エリカが訊ねてきた。ここで捻った回答をしても仕方がない。二部屋を訪問した結果をそのまま伝えよう。

「二人とも相手に謝りたいって言ってた。もう大丈夫だと思う」

それを聞いて、皆は安堵の表情を見せた。まああの口論と鉄拳制裁を見た後だしな。心配になるのも無理はない。
そしてそれが解決に向かってんだ。そりゃ安心するってもんだろうよ。

「しかし、場明日はともかく黒魔帝まで謝りたいってのは意外だな」とは小百合の弁である。
「あいつもなんだかんだで虎美を信頼し、だからこそ仲直りしたいんだろうよ」と俺は答えた。

勝手にラスボス認定していた兎。あいつは頭もよく冷酷な部分もあってどうなることやらと思っていたわけだが。
なんだかんだ言って、あいつもまだ高校生のガキなんだ。拒絶を選んだ気になっても、心のどっかで誰かと一緒にいたいと思った部分があったんじゃなかろうか。
そうして周りを拒む中で、今回の事件が起きた。そして虎美と完全に対立するような立場になって、ようやく自分の気持ちに気付けたんじゃないかな。
兎は虎美を必要としている。少なくとも、俺はそう思うわけだ。
それを素直に認めるかは知らんが、まああの兎が謝って歩み寄ろうとはしてるんだ。それが答えと決め付けてもいいだろう。
そして、その姿勢があるんなら、誰かを受け入れる勇気が芽生えたなら、俺達との絆も復活間際ってことで片づけていいだろう。
316:🎏 :2013/8/23(金) 02:25:08 ID:8.93g9grjQ
「とにかく、兎はもう大丈夫だと思う。俺達が一つにまとまる時が来たんだよ。モノクマに立ち向かう時が来たんだよ!」

興奮気味に俺はそうまとめた。悲惨な事件を乗り越えて、今一つになろうとしてるのが嬉しいんだ。
これで俺達はモノクマに対抗できるはずだ。俺達が心から協力することが出来れば、モノクマの企みも阻止することが出来ると信じてる。

「それでは我々は待つとしようか。左雨の説明では早々に謝るつもりでいるらしいし、明日にも仲直りするんじゃないかな」

小百合がそう言った。これには俺も賛成だ。
ここまでくれば後は二人の問題だ。周りがどうこう言う物ではない。勝手にスピード解決することだろう。
こうして、あの裁判から分解しそうになった俺達の絆は、再び一つになる日を迎えることになった。
異常によって歪められた友情だったが、清い心を宿していれば最後には正解を選ぶことが出来るんだ。
ガキっぽいこと言ってるかもしれんが、今くらい勘弁してくれ。久々に希望を垣間見れて気分がいいんだ。

野球バカ二人を除いた俺達全員は、そういう方針で行くことを決定した。
そうなるともう俺達が二人にしてやれることはない。というわけで、今日はもう自由ということになった。
317:🎏 :2013/8/23(金) 02:26:31 ID:8.93g9grjQ
自由行動に突入したものの、制限の多いこの学園では出来ることも限られてる。
そういうわけで、飯食ってエリカと過ごして時間潰して、さっさと夜を迎えることにした。
夜になり、早々に自室に籠る。楽しみな明日をさっさと迎えに行ってやるんだ。
兎と虎美の様子だと、すぐに謝罪に行くだろう。小百合の言ってた通り、明日にも仲直りしているかもしれん。
そうなれば、明日からモノクマへの反逆を開始できる。俺は今、遠足待ちの小学生みたいにわくわくしてんだ。
だから早く明日になってほしいと思っている。やることもないんだし、正しい選択だろ?
今日はしっかり寝坊した俺だが、それでも眠気は十二分にあって、モノクマの糞忌々しい放送を聞かずして意識を遠ざけたのだった。
318:🎏 :2013/8/23(金) 02:27:56 ID:8.93g9grjQ
寝たからモノクマ劇場が始まるんだろうな、とメタフィクション的にそう思ってた俺だが、その予想は外れた。
突然鳴らされた激しいチャイム連打で目覚めたのだ。部屋の時計を確認すると深夜一時十分頃だ。ふざけんなよ。
この部屋で音が鳴るなんて、モノクマの糞放送を除けばドアのチャイムくらいである。そんなわけで俺はよろよろとドアへ向かった。眠いんだよ。
ドアを開けると、それはそれは慌てた様子の笑が立っていた。

「た、大変なんです!左雨くん、やばいんです!やばいんですってば!」

うん、やばいのは態度でわかりきってる。出来れば何がどうやばいのかを教えてほしいんだが。

「起こったんです!起こってしまったんです……殺人が!死んでるんですよ!」
319:🎏 名無しさん@読者の声:2013/8/23(金) 18:10:18 ID:l5qOMUz4oM
そんな…誰が…(;_;)っCCC

320:🎏 :2013/8/24(土) 01:05:20 ID:8.93g9grjQ
その言葉を聞いて、眠気は一気に消えてった。
それほど衝撃的で脳を呼び起こすような言葉だった。殺人?何で?何でそんなのが起こるんだ?
だって、俺達は再び一つになる日を迎えるんじゃなかったのか?

「笑、どこだ!?案内しろ!」

気付けば俺は怒鳴っていた。笑は返事をしないまま俺に背を向けて走っていった。俺はそれを追う。
どれほど走るのかと不安になったが、現場までの距離は短くて息切れはしないで済んだ。
笑が案内した場所は、寄宿舎エリアの各個室、場明日虎美の部屋の前。
そこには、腹部に包丁を突き立てて、苦痛に表情を歪めて横たわっている虎美がいた。
既にお腹周りに血だまりが出来ている。体はピクリとも動かない。表情も苦痛を描いたまま晴れはしない。
確認こそまだしてないが、笑が言った通りと断言してもいいだろう。場明日虎美が、死んだ。
321:🎏 :2013/8/24(土) 01:06:32 ID:8.93g9grjQ
「何で……何でこんなことに……」

呟くしかなかった。だってそうだろう?
不仲騒動のラスボスである兎も、虎美とのやり取りの中で絆を取り戻しつつあった。
これから俺達の希望が始まろうとしてただろ。なのに何で、虎美がこんな……。

「さ、ささ左雨くん。こ、こここれどうすればいいですか?」

笑の発言で我に返った俺は、とりあえず皆を集めることにした。

「皆を起こそう。皆で状況整理して……裁判に備えるんだ」

自分で言って、嫌気が差した。
またあの狂った裁判をやらなくてはならないのか。
仲間を犠牲にして、その仲間を疑い、命をかけて探り合う、あの狂った裁判を。
真実に辿り着いたところで絶望しかない、あのふざけた裁判を。
でも、やらなくてはならない。でなければ……死ぬのは自分だ。
心も体も重くなったが、そんな自分に鞭打って、俺と笑は皆を起こすため呼び鈴を押して回った。
322:🎏 :2013/8/24(土) 01:08:09 ID:8.93g9grjQ
恐らくほとんどが寝てるんだろうが、そんなことは関係無しにピンポンダッシュをしていく。
各部屋を回る時に気付いたが、廊下に衣服が散乱している。何だこれ?
よく見ると洗濯カゴも倒れていて、夜中に笑がランドリールームから洗濯物取り行って死体を見つけたのかな、なんてことを考えた。
いや、そんなん考えてる場合じゃない。逃げる気のないピンポンダッシュを繰り返したおかげで、全員が起きて惨劇を知るところとなった。
全員がショックを示したのは言うまでもないが、その衝撃が一番大きかったのはあの男のようだ。

「場明日ぅ!!嘘だ、嘘だろぉ!?」

叫んだのは兎だ。
死体の状況を徒に変えてしまうのは良くないということを理解してるのか、駆け寄ったり抱き上げたりはしなかったが。
それでもその場にうずくまって、嗚咽して虎美の死を悲しんでいた。
そんな兎を全員が見ていた。かける言葉も見つからず、ただ見るしかできなかった。
323:🎏 :2013/8/24(土) 01:10:48 ID:8.93g9grjQ
「死体が発見されました!一定の自由時間の後、学級裁判を開きまーす!」
モノクマの死体発見アナウンスが流れたかと思うと、遺体を見ている俺達の後ろ側にモノクマ本人が登場した。俺達全員の注目が虎美と兎からモノクマに移る。

モノクマ「久しぶりの学級裁判だね!よっ待ってました!」

左雨瑞樹「モノクマ……やはりこれも、俺達の誰かが犯した事件なのか?」

モノクマ「おやおや?最初の事件はあんなにボクを疑ってたと言うのに、今回はすんなりそう考えるんですね?」

モノクマ「共同生活の中でボクを信じる清い心を得たんだね!学園長として、ボクはオマエラの成長に涙します。ぐっすん……」

左雨瑞樹「いいから答えろ!」

モノクマ「もうほとんど言ってるようなもんでしょ。物分かりが悪いなあ……そうですよ。今回の事件も、皆の中に紛れたクロの仕業です」

モノクマ「オマエラの誰かが、場明日さんを殺したんだよ!うぷぷぷぷ!おかしくて笑わずにはいられないね!」

モノクマ「あんだけ皆で協力してボクに対抗するって言ってたのにね!それでこの様とか、おかしくてしょうがないよね!」

白鳥輝穂「そんな……こんなことって……」
324:🎏 :2013/8/24(土) 01:12:11 ID:8.93g9grjQ
夜桜愛梨「やはり今回も、学級裁判をしなければならないのですか?」

モノクマ「当たり前じゃん。何?放送聞いてなかったの?」

氷室エリカ「正しいクロを指摘出来なかったら、やっぱり……」

モノクマ「クロ以外の皆におしおきして、クロは卒業となります。みんな知ってるね!」

肉丸健太「そんなー……またあんな怖い思いをしなきゃならないのー?」

モノクマ「まあそういうことだから。それじゃ夜の学級裁判に備えてオマエラは調査してください!」

モノクマ「夜の学級裁判って何かエロくない?何だかドキドキしちゃうよね!」

中後小百合「それはそうと、お前に聞きたいことがある」

モノクマ「何々?今晩空いてるかって?情熱的な夜を過ごさないかって!?」

中後小百合「冗談は顔だけにしてくれ。現在、深夜の一時三十分くらいだ。当然夜時間だな」

モノクマ「ボクの顔が冗談だって?それこそ冗談じゃないよ!ボクはクマ界ではイケメンで通ってるんだぞ!」

中岡笑「いや、自分ら人間ですからね……」

モノクマ「当然ながら今現在は夜時間です。夜10時から朝7時までがそうですから。それがどうしたの?」

中後小百合「となれば、今から捜査するのであれば、夜時間として立ち入り禁止区域があるはずだ」

モノクマ「食堂のことですね。それで?」

中後小百合「もし犯人がそれを利用して重要な証拠を食堂に隠していたら、我々に勝ち目はない。それはどうすればいい?」
325:🎏 :2013/8/24(土) 01:13:50 ID:8.93g9grjQ
モノクマ「それならそれでいいじゃないですか。クロの作戦勝ちですよ。オマエラのおしおき、楽しみですしね!」

中岡笑「こっちは楽しめませんよ!」

左雨瑞樹「……モノクマ。クロの方に有利な状況だと、シロ達はまともに捜査できず、学級裁判も中身のないつまらない物になる」

左雨瑞樹「お前は裁判を楽しみたいんだろ?だったらシロ達にチャンスをやってくれてもいいんじゃないか」

モノクマ「むむむ。確かに学級裁判がつまらなくなるのは嫌ですね。せっかくクロが殺したんだもん、楽しめなきゃ損だよね!」

モノクマ「そういうことなら、学級裁判前の自由時間に限り、立ち入り禁止区域を解除することにしましょう!」

モノクマ「クロは今、絶望的な気持ちかもね!それを想像するだけでも興奮しちゃうね!うぷぷぷぷ!」

キング「これで白き騎士達は、漆黒の悪魔に立ち向かうべき舞台へと進み出た。聖戦はこれからである……」

相田鳥子「つまりどういうことだー!?」

氷室エリカ「ここからは、犯人と私達の純粋な知恵比べになるってことだよね……」

モノクマ「ちゃっかり自分は犯人じゃないアピですか。汚いなさすが氷室さん汚い」

氷室エリカ「汚くないよ!私、犯人じゃないもん!」

モノクマ「はいはい、わかったわかった、よかったですね。まあとにかく食堂は入れるようにしておくから」

モノクマ「学園長の小粋な計らいで捜査できるようにしてやったんだからな!感謝してボクを楽しませろよな!」

モノクマ「あと、今回も死体状況を確認できるモノクマファイルをあげるから、うまいこと活用してくださいね!」

モノクマ「ではでは、オマエラは捜査を頑張ってください。裁判場で待ってるぜ!ほな、さいなら〜!」
326:🎏 :2013/8/24(土) 01:16:13 ID:8.93g9grjQ
学級裁判と、それに伴う自由時間の捜査に関する情報を説明してから、モノクマは消えた。
注目すべき忌々しいクマが消えたことで、俺達は一瞬視線をどこに移すべきか迷ったが、すぐに矛先は確保した。
俺達は自然と兎を見ていた。膝をつき、拳を握って床に置き、下を見ながら泣いている。
そんな兎がゆっくりと発言を開始した。俺達は自然とその一言一句に耳を傾ける。

「俺は……馬鹿だ!大切な存在に……失ってから初めて気がつくんだ!」
「応援するチームにこだわって相手を貶めて……自分の気持ちと向き合わなかった!」
「喧嘩ばかりしたけど……大好きな野球を共に愛した、大切な存在だった!」
「くだらない自尊心なんかのせいで、拒絶して……謝罪もできてなかったのに……!」

……何て言うか居た堪れない気持ちになってくる。
兎が素直になって、こうして虎美に素直な気持ちをぶつけてる。でも、もう虎美はいない。
クロの犯行によって、兎の想いは空虚に舞うだけだ。だから切ない。だから虚しい。だから苦しい。
327:🎏 :2013/8/24(土) 01:18:23 ID:8.93g9grjQ
誰もが兎を見下ろす中、俺は彼の横まで歩き、しゃがみ込んでこう発言した。

「辛いだろうけど、立ち上がろう。虎美の仇を討って、その想いを受け継いで、俺達は前へ進むんだ」

自然と言葉は生まれた。何でだろう。事件の前に兎と話してて、彼の気持ちが本物だと知ってるからだろうか。
だからこそ、今兎がどんなに苦しいかを察してやれるからだろうか。俺は、誰に言われるでもなく兎を励ました。
こんなんだから超高校級の貧乏くじになってしまうのか。でも、兎は今支えてやる誰かが必要だ。そうして助けになれるなら、それも悪くないだろう。

「……そう、だな。事件と向き合って、裁判を乗り切ろう」兎はそう言った。尚も発言は止まらず、徐々に言葉に力が宿っていく。
「生きてここから出て、場明日の分まで俺は野球を愛する!巨人とか阪神とかじゃない、俺は場明日と共に野球を支える!」

そうして兎は立ち上がった。そんな兎を見て、少し臭いかなあと思いながらも、俺はたった今用意できた言葉を投げるのだった。
「天国に行った虎美に届くような特大ホームランで、クロに勝利してやろうぜ!」

何か俺の後ろでエリカや小百合が笑ったような気がするが、俺は気にしない。とにかく、前を向くんだ。
虎美の弔い、そして俺達の未来をかけて、俺達は捜査を開始した。
328:🎏 名無しさん@読者の声:2013/8/24(土) 02:16:03 ID:kfnJcu2xp2
場明日ちゃんお気に入りだったのに…
(;_;)ノCCC

329:🎏 :2013/8/26(月) 23:25:13 ID:.IrD/jp9Wo
「まずは前回と同じようにモノクマファイルを見てみようか」

小百合の提案に乗っかって、俺達は一斉にモノクマファイルを開いた。そこに書かれていたのは次の通り。

被害者は場明日虎美。
死亡時刻は深夜1時過ぎ。
刺殺により死亡。正面から強く刺された結果、心臓を貫きほぼ即死。
死体発見現場は場明日虎美の部屋の前。発見時刻は深夜1時30分頃。ただし、これはアナウンスが流れた時刻を指す。
第一発見者は死亡時刻とほぼ同じ時刻に目撃している。

以上である。
330:🎏 :2013/8/26(月) 23:27:41 ID:.IrD/jp9Wo
左雨瑞樹「第一発見者っていうのは、笑のことでいいんだよな?」

中岡笑「た、たぶん……あの時、場明日さんと犯人を除けば、あとは自分しかいなかったと思いますし」

中村闘球「場明日と犯人を除けばって……お前、犯人を見たのか!?」

中岡笑「いや、はっきりと誰かまではわからなかったんですよ。何か外が騒がしくて起きてしまって、部屋から出てみたら目撃したって感じで」

中後小百合「確かに中岡と場明日の部屋は離れているな」

中岡笑「……場明日さんが死んでるってわからなかったくらいです。誰かが倒れてて、誰かが立ちつくしてた、くらいの認識です」

夜桜愛梨「それで犯人と思われる人物はどうしたんですか?」

中岡笑「自分の気配を感じたのか、すぐに走って逃げました。……あ、そう言えば洗濯カゴを持ってましたね」

肉丸健太「逃げる時に落としたのかなー?だから廊下に服が散らばってるんだねー」

氷室エリカ「じゃあ服が誰のかを調べたら、犯人がわかるんじゃないかな?」

相田鳥子「この服、誰んだー!?」
331:🎏 :2013/8/26(月) 23:29:08 ID:.IrD/jp9Wo
黒魔帝兎「……お、落ち着いて聞いてほしい」

キング「どうした?震えているぞ?悪霊にでも取りつかれたか?」

白鳥輝穂「あの、黒魔帝さん。どうされたんですか?」

黒魔帝兎「ここにある服……全て、俺のなんだ」

夜桜愛梨「犯人が逃亡の際に落とした洗濯カゴ、その中の衣服があなたの物……」

相田鳥子「さてはお前、犯人だなー!?」

黒魔帝兎「ま、待て!俺は衣服を朝に回収しようと考えてランドリールームに干していた!つまり、誰にでも持ち運びは出来たはずだ!」

中後小百合「つまり、犯人が黒魔帝に罪を着せようとした、そう主張する気か」

黒魔帝兎「そうだ!俺が場明日を殺すなんて……そんなこと、あるわけないじゃないか!」

中村闘球「落ちつけよ、黒魔帝。お前らしくないぞ。態度も、主張の根拠も」

肉丸健太「黒魔帝くんは場明日さんといっつも喧嘩してたよー。正直感情論で考えても怪しいよー」

黒魔帝兎「……怪しいのは認めよう。でも、それだけだろう?調べていけば、俺が犯人ではないとわかる。決めつけるにはまだ早い」

左雨瑞樹「うん。兎はそっちのが似合ってんな」
332:🎏 :2013/8/26(月) 23:37:16 ID:.IrD/jp9Wo
氷室エリカ「……じゃあ、そろそろ場明日さんの遺体を……」

中村闘球「……調べないわけにはいかないよな。遺体に重要な証拠がないとも限らないし」

中後小百合「気が乗らないのは察するが、調べないわけにもいかないだろう。左雨、いいか?」

左雨瑞樹「結局俺に回ってくるんだもんな……あれっ?」

遺体に触れるまでもなく、俺は一つの異変に気付いた。
どうして今まで気付かなかったのか。血溜まりや腹部に刺さった包丁の方ばかりに目が行ってたからかな。
俺の反応に気付いてエリカが語りかける。

氷室エリカ「どうしたの、瑞樹くん?何かに気付いたっぽいけど」

左雨瑞樹「初めて見たな、本当にあるんだ。……虎美の右手の辺りを見てみろよ」

俺の発言で皆の視線は虎美の右手に移った。
倒れた虎美の右手が示す床、そこには血で書かれたダイイングメッセージと思われるものがあった。
そこには血で「49」という数字が書かれていた。9の書き終わりと虎美の右手人差し指が重なっているので、本人が書いたものだと思っていいだろう。
333:🎏 :2013/8/26(月) 23:38:33 ID:.IrD/jp9Wo
白鳥輝穂「これって……ダイイングメッセージでしょうか?」

夜桜愛梨「そうでしょうね。この49という数字が何を示すのか、解明すれば犯人がわかるのでは?」

49か、どういう意味があるんだろう。そんなことを思った瞬間、ドサッと何かが倒れたような音がした。
その音がした方を見ると、兎が尻もちをついている。顔面蒼白で大きく震えている。

中村闘球「おい、どうした!?さっきからおかしいぞ、お前!?」

キング「やはり悪霊に憑かれているのか?これは我が魔力を以てしても対処が難しい」

中後小百合「キングはそろそろ黙ろうな。黒魔帝、本当にどうした?」

黒魔帝兎「う、嘘だ……どうして、こんな……」

肉丸健太「あの数字に心当たりあるのー?」

黒魔帝兎「……ウォーレン・クロマティ」

左雨瑞樹「はっ?」

黒魔帝兎「元読売巨人軍……助っ人外国人、ウォーレン・クロマティの背番号なんだよ……!」
334:🎏 :2013/8/26(月) 23:41:15 ID:.IrD/jp9Wo
氷室エリカ「巨人の選手の番号、それに選手名がクロマティってことは……」

黒魔帝兎「もちろん49の背番号の選手は他にもいるけど、今この状況でこの数字ってことは……」

中後小百合「クロマティを指してるんだろうな。黒魔帝、お前を告発するために」

相田鳥子「ふむふむ、つまりどういうことだー!?」

夜桜愛梨「黒魔帝くんこそが、場明日さんを殺した犯人ってことです」

黒魔帝兎「待ってくれ!俺は本当に場明日を殺してはいない!」

夜桜愛梨「しかし、場明日さんはこうしてあなたが犯人だと告発しています。野球ファンならではの方法でね」

中村闘球「たぶん元巨人のクロマティの背番号を書くことで、巨人ファンの黒魔帝を示したってことだろうな」

黒魔帝兎「くっ……場明日……何でだ……」

夜桜愛梨「さて、今回の事件をまとめようと思いますが、左雨くん、私を雇っていただけますか?」

左雨瑞樹「また俺からモノクマメダル取る気かよ!?」

肉丸健太「まーまーいいじゃないー。左雨くん、いっぱい持ってるでしょー?」

夜桜愛梨「ご主人様以外に報告する気はないので」

左雨瑞樹「くそっ、キングだって持ってるだろうに……ほら、話してくれ」

夜桜愛梨「かしこまりました、ご主人様。では……」
335:🎏 :2013/8/26(月) 23:43:24 ID:.IrD/jp9Wo
夜桜愛梨「今回の事件は、黒魔帝くんが突発的に犯した殺人だったのです」

夜桜愛梨「昼間の件を考えてて深夜になっても眠れなかった黒魔帝くんは、朝に取り込むつもりだった洗濯物を取りに行きました」

夜桜愛梨「気持ちの高ぶりで、何かをせずにはいられなかったんでしょうね」

夜桜愛梨「そこに、同じく昼間の件を気にして起きてた場明日さんと廊下で出くわしました」

夜桜愛梨「左雨くんの話によれば、二人は反省し、謝罪したかったとのこと。だからその場で昼間の話になったのです」

夜桜愛梨「ところが、二人はいつものように喧嘩をしてしまいました」

夜桜愛梨「そして黒魔帝くんは昼間に殴られていたことを思い出し、それが原因で激昂してしまい、勢い余って殺してしまいました」

夜桜愛梨「そこに、その喧嘩の騒音で起きた中岡くんが事件を目撃。黒魔帝くんは洗濯カゴも捨てて、慌てて逃げました」

中村闘球「中岡、お前追いかけなかったのかよ?」

中岡笑「一応追いかけましたよ!でもすぐ見失って。その後に場明日さんが死んでることに気付いてパニックになって……」

左雨瑞樹「俺を起こしたんだな。そして死体を確認し、皆を起こすことになった」

氷室エリカ「皆が死体を確認して、死体発見アナウンスが流れたんだよね。その間は30分……」
336:🎏 :2013/8/26(月) 23:45:07 ID:.IrD/jp9Wo
白鳥輝穂「……あれ?あのアナウンスは、三名以上に発見されたら流れるのではありませんでしたか?」

キング「確かにそうだ。しかし全員が集まるまで鳴らなかった。この矛盾が意味するものは……真相への架け橋!」

モノクマ「いや、単純にボクがそっちのがいいかなーと思っただけです」

白鳥輝穂「あ、学園長」

モノクマ「監視カメラで成り行き見てたからね。すぐに皆集まるっぽかったんで、皆が集まってから流せばいいかなーって思って」

モノクマ「それだけで、事件とは何にも関係ないよ!実はまだ場明日さんが生きていたとか、そんなオチはねーから!」

左雨瑞樹「そうか……ついでだ、もう一個確認したいことがある」

モノクマ「何ですか?先生が答えられる範囲で答えてあげますよ!」

左雨瑞樹「モノクマファイルの死因の部分……「ほぼ」即死とあるが、これは?」

モノクマ「言葉の通りですよ。ほとんど即死ですけど、刺されて数秒は生きてたんじゃないですか?」

モノクマ「だから噂のダイイングメッセージを書くくらいの時間はあったと思いますよ!」

モノクマ「せっかく暴いた矛盾も簡単になかったことに出来てしまう。ほぼって言葉、便利だよね」

中岡笑「……何の話ですか?」

モノクマ「わからないならそれでいいのです!とにかく、優しい学園長が教えてあげられるのはこれくらいだよ!」
337:🎏 :2013/8/26(月) 23:47:23 ID:.IrD/jp9Wo
夜桜愛梨「話を戻しますが、部屋まで逃げ切った黒魔帝くんは、ずっと部屋にいた風に装って、左雨くん達に呼ばれる形で現場に戻りました」

夜桜愛梨「そして死体の前で酷く悲しんで見せることで、私達に犯人ではないと印象付けようとしました」

夜桜愛梨「慌てて逃げるあまり捨ててしまった洗濯カゴについて、誰でも簡単に持ち出せたから自分の犯行の証拠にはならないと、言い訳もしっかり用意したみたいですが」

夜桜愛梨「その目論見は場明日さんの最期の告発によって打ち破られてしまいました」

中村闘球「この49っていうダイイングメッセージか……」

夜桜愛梨「これは巨人のクロマティという選手の背番号とのことですよね?」

夜桜愛梨「つまり、超高校級の巨人ファン・黒魔帝兎を告発しているのは明らかです。これが今回の事件の全てです」

左雨瑞樹「……それを頭に入れつつ、捜査を本格的に開始するか」

夜桜愛梨「ご主人様、聞いてましたか?私が事件の全貌をまとめたんですが」

中後小百合「本田川の事件を思い出すといい。現状で推測したところで、真相は大きく違っただろう?」

氷室エリカ「そうだよ。自由時間はまだあるみたいだし、捜査をちゃんとした方がいいよ!」

肉丸健太「夜桜さんの推理は外れることに定評があるからねー」

夜桜愛梨「……何かムカつきますね」

相田鳥子「馬鹿だからしゃーねーだろー!」

夜桜愛梨「あなたと一緒にしないでください!」
338:🎏 :2013/8/26(月) 23:50:51 ID:.IrD/jp9Wo
夜桜愛梨「とにかく、今の段階では黒魔帝くんこそが犯人である可能性が高いのは事実なはずです」

夜桜愛梨「なので、あまり捜査に参加させない方がいいかと思います」

中村闘球「じゃあ最初の事件と同様に、俺と黒魔帝で死体を見張ろう。誰かが死体に関して証拠隠滅等を図らないようにな」

中村闘球「あとは犯人候補である黒魔帝の行動を縛る意味合いもある。黒魔帝、それでいいな?」

黒魔帝兎「わかった。それでいい」

黒魔帝兎「……左雨。一つ聞いてやってくれないか?」

黒魔帝兎「客観的には、今現在で俺が一番怪しいのは認める」

黒魔帝兎「でも俺は本当にやってないんだ!左雨、頼む!真相を見つけ出してくれ!」

黒魔帝兎「自分が助かりたくて言ってるんじゃない!素直になれず、最後まで一方的に傷つけてしまった場明日へ償いがしたいんだ!」

黒魔帝兎「真犯人を見つけ出して、場明日の仇を取ってくれ!俺はお前を信じるから!だから!!」

左雨瑞樹「……わかったよ。お前が犯人でも、他の誰かが犯人でも、真相を明らかにしてみせる」

左雨瑞樹「ここからは、裁判の時間まで個別で調べていくことにしよう。真相を見つけ出すんだ!」
339:🎏 :2013/8/28(水) 00:56:46 ID:.IrD/jp9Wo
左雨瑞樹「……各々行動を開始したな。さて」

氷室エリカ「私達も捜査を開始しよう!」

左雨瑞樹「……お前は今回も俺についてくるんだな」

氷室エリカ「うん。瑞樹くんは事件を解決する頭と度胸があるからね!」

氷室エリカ「私とアイビーが二人で何かやったところで何にもなんないだろうし。だったら瑞樹くんのサポートした方が絶対いいよ!」

左雨瑞樹「アイビーもしっかりと人数にカウントするんだな」

氷室エリカ「私は漫才の道具じゃない、私だって生きてるんだ(裏声)」

左雨瑞樹「うん、普通に唇も喉も動いてるからな。本当に腹話術下手だな」

氷室エリカ「うるさいなー!これくらいが普通でしょ!いいから捜査しようよ!」

左雨瑞樹「脱線させたの、お前じゃないのか?」

氷室エリカ「瑞樹くんだよ!」
340:🎏 :2013/8/28(水) 00:58:05 ID:.IrD/jp9Wo
氷室エリカ「それで、最初はどうするの?」

左雨瑞樹「まずは現場を調べるかな。現場っていうか、もうここだけど」

氷室エリカ「その後は場明日さんの部屋とか調べる?あっ、食堂も行けるようになったんだよね!」

左雨瑞樹「でも、今回は食堂を調べる意味はあまりないように感じる」

氷室エリカ「え?何で?」

左雨瑞樹「モノクマファイルによると、事件発生は深夜1時、つまり既に夜時間になっていた」

左雨瑞樹「小百合は、立ち入り禁止区域を利用した事前の証拠隠滅を危惧して物申したわけだが」

左雨瑞樹「実際は事件発生の時点で立ち入りできなかったんだ。そうなると、立ち入り禁止区域を利用した証拠隠滅の線は薄く感じる」

氷室エリカ「じゃあ中後さんの提案は無駄だったのかな?」

左雨瑞樹「……まあ調べもせずに可能性を否定する方がよくないか。一応調べるとしよう」

左雨瑞樹「でもその前に殺害現場だ。……エリカ、大丈夫か?」

氷室エリカ「……大丈夫。ちゃんと現実と向き合わないとね」
341:🎏 :2013/8/28(水) 01:00:58 ID:.IrD/jp9Wo
左雨瑞樹「闘球、兎、遺体を調べさせてもらうぞ」

中村闘球「いいけど、見張っておくからな。一応お前も容疑者なんだから」

左雨瑞樹「わかってるって。妙な真似はしないって」

氷室エリカ「血溜まりさえなかったら、包丁が刺さってなかったら……場明日さん、ただ寝てるだけに見えなくもないのにね」

黒魔帝兎「もう目を開けることも、阪神のことを嬉しそうに語ることもないんだな……」

左雨瑞樹「……他に目立った外傷もないし、モノクマファイルの情報と一致するから、この包丁で死んだんだろうな」

左雨瑞樹「その際の出血で、最後の力を振り絞り、ダイイングメッセージを残した」

氷室エリカ「この49って数字だよね」

左雨瑞樹「……気になることがあるんだけどよ」

中村闘球「何だ?」

左雨瑞樹「この4、9と比べてかすれた文字になってないか?」

氷室エリカ「……本当だ。指につけた血の量が少なかったのかな?」

黒魔帝兎「血溜まりの端が、指で拭き取られたようになっている。必死に指にこすりつけたんじゃないか」

氷室エリカ「9はちゃんと書けてるね。最初からしっかりと指に血を付けてれば、4も9みたいにしっかり書けただろうにね」

黒魔帝兎「死に際の行動なんだ。冷静さに欠けてうまくいかなかったりもするさ」
342:🎏 :2013/8/28(水) 01:03:12 ID:.IrD/jp9Wo
氷室エリカ「あと、この9も何だか気になるよね」

左雨瑞樹「4と比べて角ばった、デジタル表記の9みたいになってるよな」

中村闘球「こんなカクカクした9を書く意味なんてあるのか?」

左雨瑞樹「何故9がこんなに角ばってるのか、今のところはわからないな」

黒魔帝兎「どちらにせよ、場明日が数字を残したことに変わりはない」

黒魔帝兎「重要なのは場明日が49という数字を残したことだ。仮にかすれた4や角ばった9に何か意図があっても、結局残した数字は49だ」

黒魔帝兎「そして俺達の中で49という数字に深い関わりがあるのは……たぶん俺だけだ」

黒魔帝兎「場明日……何で俺を……やっぱり日頃から恨まれてたのかな……」

氷室エリカ「ま、まあまあ!他の可能性だってあると思うよ!そう落ち込まなくてもいいじゃない!」

黒魔帝兎「……すまないな、氷室。ありがとう」

氷室エリカ「黒魔帝くんが誰かに感謝するなんて……人って変われるんだね」

黒魔帝兎「それはお互い様だろ」
343:🎏 :2013/8/28(水) 01:04:51 ID:.IrD/jp9Wo
左雨瑞樹「現場から得られる情報はこれくらいか」

氷室エリカ「他の場所を調べてみる?」

左雨瑞樹「そうだな。じゃあ二人とも、現場の見張りを頼むな」

中村闘球「ああ。お前らはしっかりと捜査を頑張ってくれよ。頼りにしてるからな」

左雨瑞樹「……何かいつの間にか皆に頼られるポジションになったよな、俺」

氷室エリカ「実際頼りになるもん。それで、次はどこに行くの?」

左雨瑞樹「……今回の事件は目撃者がいるからな。その辺の話を改めて聞く必要はありそうだな」

氷室エリカ「中岡くんを捕まえてくればいいんだね!」

左雨瑞樹「そうだけど、他に言い方……まあいいか。ついでだ、輝穂もいたら連れてきてくれないか?」

氷室エリカ「白鳥さん?了解でっす!」

左雨瑞樹「元気な敬礼だな……」

氷室エリカ「……場明日さんが死んじゃったからね。無理やりにでも元気出さないと」

左雨瑞樹「……」
344:🎏 :2013/8/29(木) 01:49:24 ID:URWsXlYjVo
氷室エリカ「連れてきたよ!」

中岡笑「どうしたんですか、左雨くん。わざわざ呼び出しなんかしちゃって」

白鳥輝穂「左雨さん、私達に何か用件があるのでしょうか?」

左雨瑞樹「ああ。とりあえず輝穂から。輝穂、今日のゴミはまだ処理してないか?」

白鳥輝穂「はい。明日の午前中にでも処理しようと考えていましたので」

左雨瑞樹「そうか。それじゃ今回も輝穂にゴミを調べてもらいたいんだけど」

白鳥輝穂「事件に関する証拠を犯人が処理してないか、調べるのですね」

左雨瑞樹「悪いな、そういう汚い仕事押し付けてしまって。頼めるか?」

白鳥輝穂「もちろんです。どんくさくて頭も良くない私に出来ることがあるのであれば、喜んでお受けいたします」

白鳥輝穂「こうして頼ってくれることに感謝したいくらいです。左雨さんのお役に立てるよう、精一杯頑張ります!」

左雨瑞樹「天使」

白鳥輝穂「え?」

氷室エリカ「ん?」

左雨瑞樹「ああ、いやいや。とにかく、頼んだからな」

白鳥輝穂「はい!それでは、調べてきますね!」
345:🎏 :2013/8/29(木) 01:50:48 ID:URWsXlYjVo
氷室エリカ「白鳥さん、行ったね。ねえ瑞樹くん、今さ、白鳥さんに天使って言ったよね?」

左雨瑞樹「言ったよ」

氷室エリカ「即答かよ!?何で私がいるのに白鳥さんにデレデレするの!?」

左雨瑞樹「何でエリカがいたら輝穂にデレちゃいけねえんだよ。いいだろ?」

氷室エリカ「いや、まあそうだけど!そうだけどさ!」

中岡笑「あの……自分、帰ってもいいですか?」

左雨瑞樹「ああ、悪い悪い。笑には目撃時の前後を詳しく話してほしくて」

中岡笑「え?でもほとんどもう話してますよ?」

左雨瑞樹「ちょっとメタ発言するけど、読んでる人のために部屋の間取りなども含めて詳しく教えてほしいんだよ」

中岡笑「あー、なるほど。画像貼ります?」

左雨瑞樹「でも画像貼ると期限切れになって見れなくなったりしないか?」

中岡笑「あー、確かにそういうのたまに見ますね」

左雨瑞樹「だからまあ、画像は無しの方向でさ」

中岡笑「普通に難しいことを言ってくれますね……」
346:🎏 :2013/8/29(木) 01:52:56 ID:URWsXlYjVo
中岡笑「じゃあ説明しますよ。うまくできるかな……」

校舎エリアから寄宿舎エリアに入ると広場みたいなところに出ます。
広場に入って左右を見ると、食堂やランドリールームの入り口が見えますが、今は省略します。
そのまま前に進むとUターンして戻ってくるようなつくりの廊下が見えるんですが。
この廊下の三辺のうち、二辺に自分達が寝泊まりしてる部屋が並んでるんです。
位置関係はだいたい下の感じですね。

線:廊下
□:広場
 _
I I
I I
□□□
□□□
□□□
 I
校舎エリア

部屋がある廊下の二辺は右上です。横線と右の縦線の部分です。
ここを拡大して、どういう感じで部屋が並んでるかを確認しましょう。
347:🎏 :2013/8/29(木) 01:53:46 ID:URWsXlYjVo
部屋の並びはこんな感じです。

  百
中水目夜
岡留鬼桜
――――¬場明日
  中村I本田川
 キングI相田
  白鳥I氷室
  肉丸I左雨
 黒魔帝I中後

とりあえずこれを基準に状況説明をしていこうと思います。
348:🎏 :2013/8/29(木) 01:59:03 ID:URWsXlYjVo
中岡笑「さて、画像無しで頑張ってみましたけど、どうです?」

左雨瑞樹「……正直、パソコンから見たら相当酷いぞ。こんな酷い図ある?って感じだ」

中岡笑「そんな酷いんですか……」

氷室エリカ「ガラケーから見たら、そこそこうまくいってるようにも見えるけどね」

中岡笑「パソコンの人には我慢してもらうしかないですかね……とりあえず>>347を参考にしながら状況説明していきますよ」

左雨瑞樹「何かお前の部屋の近場、死んでる奴多いな」

中岡笑「やめてください!地味に気にしてるんですから!とにかく説明しますよ!」

中岡笑「さっきも言いましたけど、自分は外が騒がしくて起きたんです。それで外の様子を見ようと部屋を出たんです」

左雨瑞樹「部屋を出て左方向を見て、場明日と犯人を見たんだな」

中岡笑「正直寝ぼけてたんで、その時は誰が倒れてて誰が立ってたのかもわかりませんでした。この段階では殺人にも気付いてません」

中岡笑「それで、立ってた人は、自分から見えなくなる方に走って逃げたんです」

氷室エリカ「図で言うと私達の部屋の方向だね」

中岡笑「急に逃げたから、何か追い掛けちゃって、でも自分が角を曲がるともう姿は見えませんでした」

氷室エリカ「広場の方の曲がり角まで逃げたのかな?」

左雨瑞樹「あるいは自室に逃げ込んだか……」

中岡笑「あーなるほど。それなら見失うのも納得です」
349:🎏 :2013/8/29(木) 02:02:03 ID:URWsXlYjVo
中岡笑「もし犯人が黒魔帝くんじゃなくて、あの時自室に逃げたとしたら夜桜さんは犯人じゃないと言えますね」

氷室エリカ「ねえ中岡くん。犯人は洗濯カゴを持ってたんでしょ?」

中岡笑「あ、そうですそうです。逃亡の際に捨てたみたいですね」

氷室エリカ「あんなの持って走ったら邪魔で仕方ないだろうしね」

左雨瑞樹「走りながら捨てたとなると……洗濯カゴの落ちてる場所を見ることで、最低でもどこまで逃げたかわかるかもしれない」

中岡笑「あーなるほど。そこまで行かないとそこには落とせませんからね。……洗濯カゴは氷室さん・白鳥さんの部屋の前くらいで落ちてます」

左雨瑞樹「洗濯カゴは遺体から見て奥の方に倒れてて、入っていた衣服が散らばってしまっている」

氷室エリカ「まあとりあえず犯人は最低でもそこまでは走って逃げたってことだよね」

中岡笑「ということは、自室に逃げたパターンだったら犯人の可能性があるのは白鳥さん、氷室さん、肉丸くん、左雨くん、中後さん……」

氷室エリカ「……そして、黒魔帝くんだね」

中岡笑「やっぱ怪しいですよね。ダイイングメッセージだってクロマティの背番号らしいですし」

氷室エリカ「でもさ、自室に逃げたパターンだと決まったわけじゃないからね!」

左雨瑞樹「いや、それ以外の可能性は低いんじゃないか」

氷室エリカ「ええ?何で?」
350:🎏 :2013/8/29(木) 02:05:11 ID:URWsXlYjVo
左雨瑞樹「仮に犯人が広場の方の曲がり角まで逃げたとしよう」

左雨瑞樹「その後、笑は虎美の遺体に気付いた。そうだろ?」

中岡笑「そうです。もう頭真っ白になりましたよ。凄いテンパりましたね」

左雨瑞樹「俺の部屋に来るまで10分くらい使ってるしな」

中岡笑「え?あの時そんなに時間経ってました?」

左雨瑞樹「ドアのチャイムの音で起きた時に、俺は時間を確認したからな」

左雨瑞樹「死体発見が1時頃で、俺を起こしたのが1時10分。つまりはそういうことだ」

中岡笑「うわあ……自分、そんなに場明日さんの遺体の前でパニクってたんですか……」

左雨瑞樹「それだ」

氷室エリカ「え?な、何が?」
351:🎏 :2013/8/29(木) 02:08:03 ID:URWsXlYjVo
左雨瑞樹「笑は死体発見からずっと虎美の部屋付近にいたんだ」

左雨瑞樹「それはつまり、どの部屋も見て確認できる位置にいたってことだ」

氷室エリカ「ああ、場明日さんの部屋、角だからね。見渡しいいよね」

左雨瑞樹「そんな中で、笑に見つからずに自室に戻るのは難しい。その場合だと犯人は戻れないと思える」

左雨瑞樹「しかし、自室に戻ってなければおかしいことになる」

中岡笑「自分と左雨くんで皆を起こした時、全員が自室にいましたからね」

氷室エリカ「そっか……あ、じゃあ夜桜さん犯人説とか、どう?」

左雨瑞樹「……いや、どうって言われても」

氷室エリカ「中岡くんは瑞樹くんを起こす時に、場明日さんのとこから離れたんでしょ?」

氷室エリカ「その隙を突いて自室に戻れるのは、部屋の位置関係的に夜桜さんだけだよ!」

左雨瑞樹「じゃあ聞くが、笑が俺を呼ばずに……それこそ部屋が近い愛梨を呼んでたりしたらどうするんだよ?」

氷室エリカ「……詰むね」

左雨瑞樹「笑がどういう行動に出るかわからない以上、一旦広場の方まで逃げてから部屋に戻るのは難しいんだ」

左雨瑞樹「しかし、俺と笑が皆を起こした時、間違いなく全員が自室にいた」

氷室エリカ「だから中岡くんが角を曲がるまでに自室に逃げたパターンの可能性が高いんだね」
352:🎏 :2013/8/29(木) 02:09:32 ID:URWsXlYjVo
氷室エリカ「うん、これでだいぶ事件当時の状況が掴めてきたね!ありがとう、中岡くん!」

中岡笑「まあ一時はコンビも組んだ間柄ですしね」

氷室エリカ「いや、トリオだから」

中岡笑「え、マジでこのぬいぐるみメンバーなんですか!?」

氷室エリカ「あたりきよ!……てかさ、瑞樹くんは何で気難しい表情してんの?」

左雨瑞樹「ちょっと気になることがあってな……」

氷室エリカ「気になること?」

白鳥輝穂「左雨さん、ゴミを調べてきました!」

左雨瑞樹「ああ、ありがとう。すまなかったな」

白鳥輝穂「いえ、私にできることなら頑張ります!……氷室さんは何故私を睨んでいるのでしょうか?」

氷室エリカ「……んーん、何でもない。何でもないよ!」

白鳥輝穂「?」
353:🎏 :2013/8/29(木) 02:11:39 ID:URWsXlYjVo
左雨瑞樹「それで、何かあったか?」

白鳥輝穂「それがですね、このような物を場明日さんのゴミから見つけました」

氷室エリカ「場明日さんのゴミから?何々?」

左雨瑞樹「これはメモだな」

氷室エリカ「何て書いてあるの?」

左雨瑞樹「えっと、「伝えたいことがある。二人だけで話がしたいから、皆が寝静まった夜中の一時頃にお前の部屋の前で待っててくれ」って」

氷室エリカ「こ、これって……」

白鳥輝穂「事件の時、場明日さんは誰かに呼び出されていたことになります」

左雨瑞樹「差出人の名前はないが……あの時、場明日と二人だけになって伝えたいことがある人物は、たぶん一人だよな」

白鳥輝穂「黒魔帝さんですよね……」

氷室エリカ「何か調べたら調べるだけ黒魔帝くんがドンドン怪しくなってくような……」

左雨瑞樹「輝穂、他に何か怪しい物や、犯人に繋がりそうな証拠はなかったか?」

白鳥輝穂「いえ、他には特に何も……皆さん普通にゴミを出してるだけでした。あの、お役に立てましたか?」

左雨瑞樹「ああ、本当に助かったよ。ありがとう、輝穂。……エリカは何で睨んでんだ?」

氷室エリカ「何でもない。何でもねえよ畜生!」

左雨瑞樹「何でもない奴が畜生とか言わねえだろ……」
354:🎏 :2013/8/29(木) 02:14:05 ID:URWsXlYjVo
氷室エリカ「その後、場明日さんの遺体から鍵を借りて部屋を調べたり、念のため食堂を調査したけど収穫はゼロでした」

左雨瑞樹「説明御苦労」

氷室エリカ「瑞樹くん、今回の事件、真相はどうなんだろうね?」

氷室エリカ「本当に黒魔帝くんが殺したのかな。それとも、他に真犯人がいるのかな」

左雨瑞樹「……まだよくわからない。だけど、現段階でわかることもいくつかある」

氷室エリカ「いくつかあるんだ」

左雨瑞樹「そこを確認しながら進んで、それから真相へと辿り着くしかないな」

氷室エリカ「瑞樹くんなら大丈夫だよ。私、瑞樹くんを信じてるから!」

左雨瑞樹「ありがとう。こんな状況で、信じてくれるだけで本当に救われるよ」

氷室エリカ「救われてるのは私も一緒だよ。ありがとう、瑞樹くん」

左雨瑞樹「は?俺なんかしたか?」

氷室エリカ「鈍感。頭いいんだから自分で考えてよね!」

左雨瑞樹「いや、俺そんな頭よくねえし。何なんだよ、さっきから……」
355:🎏 :2013/8/30(金) 04:08:34 ID:URWsXlYjVo
そんなやり取りをしてるうちにチャイムが鳴り、モニターにモノクマの姿が映し出された。
「ガーヒー!そろそろオマエラの捜査も終わったかな?レッツトライ裁判だよね!」
「そういうわけなので、前回と同様に学校側の赤い扉まで来てください。せっかくだから、ボクは赤の扉を選ぶぜ!」
いつものように、人の気も知らないで、明るく狂った喋りのまま放送を終えた。

氷室エリカ「……行くしかないんだよね」

左雨瑞樹「ああ。出来ればもう二度とこんな裁判なんかやりたくなかったんだけどな」

左雨瑞樹「やるしかない。兎との約束もあるし、何より俺達は生き残らなければならない」

左雨瑞樹「仲間からクロを暴くのは苦しい。でも、仲間が過ちを犯してしまった以上、やらなきゃいけないんだ」

氷室エリカ「過ちを犯した本田川さんをほとんど皆が許さなかったよね。今回も……そうなっちゃうのかな」

左雨瑞樹「……とにかくまずはクロを暴く。行こう、学級裁判を乗り切るんだ!」
356:🎏 :2013/8/30(金) 04:10:23 ID:URWsXlYjVo
裁判場へと続くエレベーターがある部屋に行くと、俺とエリカ以外は既に到着していた。
普段ならここで小百合辺りが「デートでもしてたかい。仲睦まじいな」等と茶化すのかもしれないが、誰もそういうことを言おうとはしない。
まあそれもそうだろう。これから、あの裁判をやらなくてはならないのだから。命がけで、仲間を疑う最悪のゲーム。
それを控えているわけだから、小粋なジョークなんて出てこない。出すのは精々あのクマくらいのものである。
全員が集まると、モニターにモノクマが映し出された。

「レディースエーンジェントルメーン!どうやら全員揃ったみたいだね!」
「おやおやあ?オマエラ元気ないですねえ。これから裁判だっていうのに、それじゃ困りますよ!」
「一つ呼吸でも整えて、気を高めようじゃないですか。はい、御一緒に。ひっひっふーひっひっふー」

空気も読めずに一人(一頭?)ふざけるモノクマ。そんなモノクマの物言いは無視して、俺は一つ訊ねた。

「モノクマ。こっちは全員揃った。もう裁判場に向かっていいだろ?」
「ノリが悪いですねえ、左雨くんは。わかりましたよ、エレベーターの扉をオープンしようじゃないですか!」

言い切るとほぼ同時に、エレベーターの扉が開いた。
モノクマの馬鹿に付き合ってられるか、と急かしたのはこっちであるが、やはり乗るのは躊躇われる。
何故なら、あの裁判場へと向かって下りていくのだから。
しかし、それ以外に選択肢はない。俺は自らを四角い箱の中へと移した。
357:🎏 :2013/8/30(金) 04:11:31 ID:URWsXlYjVo
俺に続く形で皆が乗り込む。全員を収めると、扉は閉まり、間もなく下降を開始した。
相変わらず大げさな音を撒き散らしながらエレベーターは下りていく。
その間、誰も言葉を発しない。俺も例外ではない。
あの狂った裁判が近づいていることで、緊張や恐怖に駆られているのだ。
これは一度味わったからと言って慣れる代物ではない。むしろ、一度味わってしまったからこそ、恐怖は更に増しているかもしれない。
だけど、そんな俺達を考慮して中止になるとか、そんなことはない。予定通り到着すると、エレベーターは扉を開いた。

もう二度と来たくなかった、狂乱の学級裁判場。扉の向こうには、しっかりとそれが待ち構えていた。
358:🎏 :2013/8/30(金) 04:12:51 ID:URWsXlYjVo
モノクマ「何度来ても素晴らしい裁判場だなあ。オマエラは今そう思っていることでしょう!」

中後小百合「我々の抱いてる感情はむしろ真逆だと思うがな」

モノクマ「中後さん、遠慮なんかしなくていいんだよ。良い物は良いと、素直に褒める心!ゆとりに足りない物だと思います」

モノクマ「オマエラは何かとイチャモンつけて俺すげー俺よくわかってるをやりたがる生き物ですからね」

モノクマ「そういうとこ、ボクは直した方がいいと思います!」

中村闘球「そうは言っても、本当に真逆なんだから仕方ないだろ」

モノクマ「なんと!オマエラは本気でこの裁判場が素晴らしくないと!?」

夜桜愛梨「そんな狂った感性は糞野郎であるあなただけです」

モノクマ「ボクがオマエラのためにと一生懸命用意した裁判場なのに……しょぼーん」

モノクマ「……もー怒ったぞ!さっさと裁判をやるんだ!オマエラ、早く席に着け!ガオー!」

白鳥輝穂「は、はい。すみません、裁判長」

モノクマ「白鳥さんだけだよ。ボクに優しくしてくれるのは……」

モノクマ「ちょっと油断したら白くてドロドロの中綿出しちゃいそうですよ」

白鳥輝穂「え?え?」

左雨瑞樹「輝穂、あのクマに真面目に対応しなくていい」
359:🎏 :2013/8/30(金) 04:14:34 ID:URWsXlYjVo
実にくだらないやり取りを挟んで、俺達はそれぞれの席に着いた。
佑子と虎美の遺影を見て、前の裁判から更に二人も死んでしまった事実を改めて思い知る。
それぞれを見渡せる構造の証人席。俺は思わず皆を見回した。
本当に残念なことだが、恐らくこの中に虎美を殺した犯人がいる。
そして俺達はそいつを暴かなければならない。俺達が生き残るためには、絶対に必要なことだ。
クロに出し抜かれて皆で仲良くあの世行きか、クロを暴いて悲惨なおしおきを見届けるか。
どう転んでも絶望にしか向かわない狂気の裁判が、再び始まろうとしている。
でも、やらなくてはならない。賽は投げられた。生きるには、もうやるしかないんだ!
360:🎏 :2013/8/30(金) 04:15:53 ID:URWsXlYjVo
モノクマ「オマエラは既に経験済みですが、一応学級裁判のルールを確認しておきますね」

モノクマ「学級裁判の結果はオマエラの投票結果で決まります」

モノクマ「正しいクロを指摘出来ればクロだけがおしおきです。正しいクロを指摘できなかった場合はクロ以外がおしおきです」

モノクマ「クロがおしおきされたら残った皆で学園生活を続行、皆がおしおきされたらめでたくクロが卒業となります!」

モノクマ「あの頃から何も変わってない、素晴らしいルールです。変わるのは人の心だけですよ……」

白鳥輝穂「裁判長、大丈夫ですか?何かあったんじゃないですか?」

肉丸健太「どうせ意味もなく言ってるだけだよー」

モノクマ「本当にノリが悪いですね。そんなことじゃ立派なクマにはなれませんよ!」

中岡笑「ならなくていいですよ!」

中後小百合「……茶番はそろそろ切り上げて、始めないか?」

モノクマ「お、中後さん乗り気だね。裁判を楽しみにしてたのかにゃー?」

中後小百合「この場所を早く去りたいだけだ。ていうかその語尾は何だ?」

モノクマ「クマだってたまにはネコになりたいんです。モノネコでもそんなに違和感なくない?」

左雨瑞樹「クマでもネコでもいいから、もう始めようぜ……」

モノクマ「そうですね。それじゃオマエラはクロが誰か考えるために、議論を始めてください!」
361:🎏 名無しさん@読者の声:2013/8/30(金) 15:27:07 ID:QMnORsLsRI
CCCCCCCC


上からくるぞ!!気をつけろ!!
362:🎏 名無しさん@読者の声:2013/8/30(金) 16:01:27 ID:a7T6vvlUO.
おそらく期限切れにならないアップロードサイト見つけたので貼っておきますね

http://upup.be/

つCCC


363:🎏 偽善者:2013/8/30(金) 22:21:34 ID:w7MJ.SeGHU
もしよろしければssフェスティバルに参加していただけませんか?

364:🎏 362さん、ありがとう。でももうやっちゃったし、ネタであの図を使いますww:2013/8/31(土) 01:46:39 ID:URWsXlYjVo
中後小百合「さて……何からまとめていけばいいのか」

黒魔帝兎「裁判前に夜桜が事件を推理してまとめたはずだ。あれを元に考えていこう」

夜桜愛梨「あら、それでよろしいのですか?私はあなたを疑っているのですが」

黒魔帝兎「……現時点で俺が怪しいのは事実だ。それに、真実はこの裁判で明らかになるはずだ」

黒魔帝兎「そのためには、全ての事柄に真っ向からぶつかる必要がある。だから今は俺を疑ってくれて構わない」

肉丸健太「大丈夫だよー。夜桜さんの推理は外れるようになってるんだからさー」

夜桜愛梨「……怒りますよ?」

肉丸健太「ご、ごめんー……」

中村闘球「まあとにかく、まずはその辺の確認だよな。夜桜、お前の推理で簡単に事件をまとめてくれ」

夜桜愛梨「かしこまりました、糞野郎。特別に、ご主人様でなくとも言って差し上げましょう」
365:🎏 :2013/8/31(土) 01:47:56 ID:URWsXlYjVo
夜桜愛梨「事件は深夜一時、洗濯物を持ち帰る黒魔帝くんと、部屋から出ていた場明日さんが偶然出会ったことで起こりました」

夜桜愛梨「口論になり、突発的な殺意を抑えられず場明日さんを殺害。その騒音で中岡くんが起きてしまい、事件を目撃しました」

夜桜愛梨「それで黒魔帝くんは逃亡。走るのに邪魔な洗濯カゴは途中で捨て、どうにか中岡くんにばれずに部屋まで逃げました」

夜桜愛梨「その後、あたかもずっと自室にいたかのように振る舞い、中岡くん達に呼び出される形で現場に戻りました」

左雨瑞樹「ちょっと待った!」

モノクマ「あれ?左雨くん、いつもみたいに「そいつは違う!」とか言わないんだね」

氷室エリカ「いや、どうでもよくない!?割って入ってまで言うこと!?」

キング「否、言霊は正確に扱うべきだ。精霊も詠唱を誤れば、その力を我らに託すこともなくなる」

モノクマ「見た目は高校、頭脳は中学のなんちゃって江戸川はほっときます。左雨くんは流行語大賞でも狙ってるのかと思ってたからさ」

中岡笑「流行語大賞……売れたい……でも生き残りたい……」

左雨瑞樹「このノリ何だよ……とりあえず、この推理ってつっこみどころが多いんだよ」
366:🎏 :2013/8/31(土) 01:49:49 ID:URWsXlYjVo
肉丸健太「やっぱり誤った推理に定評のある夜桜さんだねー」

夜桜愛梨「豚糞野郎、あとで体育館裏に来てください」

肉丸健太「ごめんなさい!」

左雨瑞樹「話進めるぞ?テンポ良くつっこんでいくけど……」

左雨瑞樹「まず、突発的な殺害なら死因は刺殺にならない。包丁なんて持ち歩くわけがないからな」

相田鳥子「そうなのか!?」

左雨瑞樹「そうなんだ。死因が刺殺である以上>>329兎が突発的に犯した殺人とは考えにくい」

左雨瑞樹「包丁のある食堂も夜時間で立ち入り禁止になってる。刺殺をするには計画して事前に用意するしかなかったんだ」

左雨瑞樹「また、笑が外の騒音で起きたというのもおかしい。部屋は防音加工がされてるのだからな>>85

白鳥輝穂「そう言えばそうですね。あの部屋、外の音は全然聞こえないですよね」

中岡笑「え?でも、自分はあの時、何かの音で起きましたよ?じゃないと深夜一時にわざわざ起きませんから」

左雨瑞樹「笑はあの時テンパってたからな。殺人事件だとわかって、無意識に記憶を塗り替えてしまったんだ。この事件が原因で起きた、とな」

左雨瑞樹「実際はドアのチャイム音で起きたんだろう。ここの部屋で外部から音を鳴らすにはそれしか方法がないからな」

中後小百合「そうなると、中岡は誰かに意図的に起こされたと考えるべきか。でも誰に?」

左雨瑞樹「笑が言うには、あの時廊下には虎美と犯人しかいなかった。ということは、この二人のどちらかだろう」
367:🎏 :2013/8/31(土) 01:52:17 ID:URWsXlYjVo
氷室エリカ「どっちが呼び鈴を押したか、見当はついてるの?」

左雨瑞樹「たぶん虎美ではない。笑の部屋の呼び鈴を押したのは犯人の方だ」

中村闘球「何故そう言い切れる?」

左雨瑞樹「捜査の時に俺は輝穂に協力してもらってゴミを調べてもらった」

中村闘球「一回目の裁判といい、お前ゴミ漁り好きだな……」

左雨瑞樹「うっせーな。とにかく、ゴミを調べてもらったところ、虎美のゴミからこんなメモが出てきた>>353

中後小百合「これは……差出人の名前はないが、黒魔帝が書いたと思われる内容だな」

黒魔帝兎「待て、俺はこんなメモを書いた覚えはないぞ!」

左雨瑞樹「まあ証拠もないし、誰が書いたかは一旦置いとく。これの内容から考えると、虎美は自室の前から移動してないはずだ」

氷室エリカ「自分の部屋の前で待ってろ!って内容だもんね」

左雨瑞樹「腹部を刺されていて、自室の前で即死しているから、自室の前から逃げたということも考えにくい。となると、やはり犯人が意図的に押したと思われる」

左雨瑞樹「そしてそれだとやっぱり兎が突発的に殺した場合では考えられない。虎美と話をしに行くのに、笑の部屋のチャイムを鳴らす必要はないからな」

相田鳥子「ぐうぜんならしちまったってこたぁないのかー!?」

左雨瑞樹「ドアのチャイムなんか、偶然とかたまたまで鳴らせるものじゃないだろ」

キング「しかし、何故中岡の部屋の呼び鈴を鳴らす必要があったのだ?犯人が殺害のために場明日を呼んだとしたら、下手に目撃者が生まれるかもしれないんだぞ」
368:🎏 :2013/8/31(土) 01:55:10 ID:URWsXlYjVo
左雨瑞樹「……たぶん、目撃者をつくるのが目的だったんだよ。それしか呼び鈴を押して笑を起こす理由が思いつかない」

中岡笑「自分は目撃者にさせられるために起こされたんですか!?え、でも何のために?」

左雨瑞樹「……わからない。わざわざ自分の犯行を見せつけるなんて、デメリットはあってもメリットなんてないはずだ」

氷室エリカ「でも犯人はそうしてる。ということは、そこには何らかの思惑があるってことかな?」

左雨瑞樹「恐らくな。だから、犯人が笑に目撃されて、どう行動したかを振り返る必要があると思う」

夜桜愛梨「中岡くんの話によると、犯人は目撃された後、走って逃げたのですよね」

中岡笑「そうです。持ってた洗濯カゴを捨ててまで走って、消えてしまったんです」

中村闘球「洗濯カゴが落ちてたとこは……」

中岡笑「>>347この図で言うと氷室さん・白鳥さんの部屋の前に落ちてました」

相田鳥子「きったねー図だなー!馬鹿かー!?」

中岡笑「うるさいですよ!ほっといてください!」

中後小百合「それを考慮すると、犯人は最低でもそこまでは走って逃げたことになるのかな」

黒魔帝兎「事件発生後に中岡と左雨が皆を起こして回った時、全員が自室にいたことを考えると、犯人は自室に逃げた可能性が高い」

肉丸健太「そうなると犯人は白鳥さん・氷室さん・僕・左雨くん・中後さん・黒魔帝くんのうちの誰かってことかなー」

キング「清潔なるバスケットは犯人の道標。それより手前で最果てへと辿る者には、神の息吹が待ち受ける!」

相田鳥子「どういうことだー!?」

氷室エリカ「……洗濯カゴを落とすにはそこまで行く必要があるから、それより前に部屋がある人は犯人ではないってことかな?」

キング「ザッツライト」
369:🎏 :2013/8/31(土) 01:56:25 ID:URWsXlYjVo
左雨瑞樹「……そこじゃないかと思うんだ」

白鳥輝穂「え?な、何がですか?」

左雨瑞樹「今まで散々推理して、俺達は今回の事件が兎の突発的な犯行ではなく、真犯人による計画犯罪である可能性を挙げた」

左雨瑞樹「でも、だから何なんだ?」

氷室エリカ「だから何って……」

中後小百合「普通ならいいことだな。真実が明らかになり、無実の人間の無罪が証明されたんだ。喜ばしいことだろう」

中後小百合「しかし、我々の立場では違う。我々は真犯人を暴かなければ、どれだけ無実の人間を明らかにしようと、全てが無駄に終わる」

左雨瑞樹「そう。しかも、現段階では可能性の話だから、まだ兎が犯人であるとも考えられる」

左雨瑞樹「凶器の問題、メモの存在、防音の部屋など、ちょっと捜査して考えれば、計画犯罪であることがわかる」

肉丸健太「ちょっと考えたらわかるってさ、夜桜さん」

夜桜愛梨「生まれてきたことを悔いるレベルで殴ってやりましょうか?」

左雨瑞樹「とにかく、計画犯罪であるのなら、兎の洗濯物やメモの内容が露骨すぎる。だから犯人が兎とは考えにくい」

左雨瑞樹「……ってなるのを利用して、あえて兎がやったのかもしれない。科学捜査もできない俺達は、決定的な証拠がない限り、可能性を捨てきれない」

左雨瑞樹「だから、俺達は計画犯罪だと暴くだけでは駄目なんだ。真犯人を確定させなければ意味がない」
370:🎏 :2013/8/31(土) 01:59:23 ID:URWsXlYjVo
相田鳥子「しん犯人を見つけなくちゃいけねーのはわかった!」

中村闘球「ていうか、わかってたことだよな。それが何なんだよ?」

左雨瑞樹「結局、現段階では可能性のある奴全員を怪しむことしかできないってことだ」

左雨瑞樹「逆に言うと、可能性がない奴は全然疑われない。今回は笑・愛梨・闘球・キング・鳥子がそうだな」

左雨瑞樹「……今は推測に過ぎないが、あえて言う。俺は闘球・キング・鳥子のうちの誰かが犯人である可能性もあると思ってる」

キング「な、何だと!?貴様、ふざけるでないぞ!」

中岡笑「キングくんにふざけるなとか言われたらもうおしまいですよ……」

中村闘球「でも、俺もキングに賛同する。可能性がないから逆に怪しいとか、推理物の見すぎだろ」

左雨瑞樹「そうだな。でも、何故この三人が犯人の候補から外れたのか、考えてほしい」

白鳥輝穂「それは……中岡さんの目撃証言があるからですね」

左雨瑞樹「そう、犯人が走って逃げたのを中岡が見たからだ。そして洗濯カゴが落ちてる場所から察するに、今の三人は犯人にはなり得ない」

左雨瑞樹「……そして、それを意図的に見せたのは、犯人だ。犯人が意図的に犯行を見せたことで、三人は犯人ではないという推測に至っている」

中後小百合「つまり、犯人が中岡を起こしてまで事件を目撃させたのは、自身を犯人候補から外させるためだと言うのか」

左雨瑞樹「そうだ。そう考えないと、わざわざ犯行を見せる危険を冒す理由がわからない」
371:🎏 :2013/8/31(土) 02:04:54 ID:URWsXlYjVo
左雨瑞樹「すぐに計画犯罪だとわかるような稚拙な犯行でもよかったんだ。笑に目撃してもらって、自分が犯人でないと証言してもらえればな」

キング「ふ、ふざけるな!大体そんなのは想像に過ぎない!可能性はゼロのはずだ!」

左雨瑞樹「いや、可能性だけで言えばあるにはある。明確な証拠はないけどな」

氷室エリカ「可能性は考えられるの!?」

左雨瑞樹「……そもそも、本当に犯人は走って逃げたのか?」

中岡笑「いやいや、本当ですよ!自分、犯人が走って逃げるのを見てるんですから」

左雨瑞樹「でも図を見ろ。>>347角のところを曲がって逃げたら、笑の部屋の前からじゃすぐに壁に阻まれて見えなくなるじゃないか」

中岡笑「いや、そうですけど……でも、見えてる段階で既に走ってましたし、走るのに邪魔な洗濯カゴも捨ててるじゃないですか」

左雨瑞樹「ということは、笑は犯人が洗濯カゴを捨てるとこは見てないんだろ?」

中岡笑「え、いや……確かにその瞬間は見てないですけど、でも実際に落ちてるじゃないですか。走って逃げたんだし、きっと邪魔だから逃げながら捨てたんですよ!」

中後小百合「……なるほど。中岡が見ることができる最初のとこだけ走ってみせて、慌てて逃げたと印象付けた」

中後小百合「更に洗濯カゴを自室より奥の方に投げ捨てることで、走って逃げる際に邪魔だから捨てたと思いこませた」

左雨瑞樹「そうだ。これで笑に、犯人は最低でも洗濯カゴのとこまでは走って逃げてると勘違いさせ、そう証言させることができる」

左雨瑞樹「そして自分は洗濯カゴの落下位置より手前の部屋だから、犯人ではないと思わせることが可能だ」

左雨瑞樹「洗濯カゴが広場の方に向かって倒れているのは、自室の前から広場の方に投げたからだと思うしな>>349

キング「しかし、今の段階では憶測に過ぎない!犯人は我らの中にあると決まったわけではない!」

左雨瑞樹「そうだ。でも、可能性は広がった。あらゆる可能性を見逃さず拾わないと、真犯人には辿り着けないだろうからな」

キング「ぐっ……くそぉ……」
372:🎏 :2013/9/1(日) 02:17:23 ID:KlUGwtFkK.
夜桜愛梨「偽名糞野郎、先ほどから異様に反応してますが、もしかしてあなたが?」

キング「違う!だが、不必要に疑われていい気はしないだろう!我が反応は当然である!」

氷室エリカ「うーん……結局いろんな考え方ができるってだけで、犯人の特定は難しい感じだよね」

中後小百合「だからそろそろ次に進んだ方がいいかと思うが、どうだ?」

相田鳥子「次って何だー!?」

黒魔帝兎「……49と書かれたダイイングメッセージのことだな?」

中後小百合「その通り」

肉丸健太「いろんな可能性を話し合ったけどさー、結局は場明日さんが49って書き遺してるんだからそれで決定だよねー」

左雨瑞樹「そいつは違う!」

モノクマ「にょほ!左雨くん、ようやく決め台詞を言いましたね!」

白鳥輝穂「やっぱり流行語大賞を狙ってるのでしょうか?」

左雨瑞樹「モノクマ、輝穂の心をかき乱すな」

モノクマ「話の脱線、ボクのせいなの!?」

左雨瑞樹「とにかく、このダイイングメッセージ、本当に虎美が書いた物だろうか?」
373:🎏 :2013/9/1(日) 02:25:35 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「そうじゃないのか?9の書き終わりと場明日の指は重なってる。>>332これは本人が書いたからだろ」

左雨瑞樹「そうだな。じゃあ言い方を変えるよ。4と9という二文字、この両方を書いたのは本当に虎美だろうか?」

キング「……どういうことだ?」

左雨瑞樹「皆に聞いてみたい。49と書く時、普通どっちから書く?」

氷室エリカ「え?どっちって……4を書いてから9を書くよ」

夜桜愛梨「横書きは左から右へ。当然のことですよ、糞野郎」

相田鳥子「マジでかー!?」

左雨瑞樹「そう、横書きは左から書く。当たり前のことだよな」

左雨瑞樹「だからこそ、先に書いたはずの4がかすれてしまっているのはおかしいんだよ>>341

中後小百合「なるほどな。確かにこれは不自然だ」

白鳥輝穂「では、本当は9から4という書き順だったのでしょうか?通常とは違う右からの書き順に何か意味が……」

左雨瑞樹「そいつは違う。闘球も言っていたが、指の位置から考えて、虎美の書き終わりは9だ。9から4と書いたのなら、そうはならない」

肉丸健太「じゃあ最初4を乾いた血で書いちゃったんだよー。それでうまく書けなかったから、9は乾いてない血で書いたんだねー」

左雨瑞樹「それも違う。モノクマファイルによると虎美はほぼ即死だ>>329

左雨瑞樹「つまり、虎美は出血後しばらく経った乾いた血でダイイングメッセージなんて書けないんだよ」
374:🎏 :2013/9/1(日) 02:27:39 ID:KlUGwtFkK.
中岡笑「じゃあこの4は何なんですか!?」

左雨瑞樹「恐らく……犯人が書き足した、偽りのダイイングメッセージだ」

黒魔帝兎「犯人が書き足した!?」

左雨瑞樹「状況を考えて、虎美が乾いた血文字を書けるとは思えない。なら、第三者が事件後に乾いた血で書いたと思っていいだろう」

左雨瑞樹「そしてダイイングメッセージをわざわざ偽装する必要があるのは、犯人くらいの物だと言い切ってもいいだろう」

黒魔帝兎「つまり場明日は49と書き残したのでなく、本当は9と書いていたのか!」

黒魔帝兎「俺を犯人として告発していたわけじゃなかったのか……」

氷室エリカ「でも、9だったとしたら、場明日さんは誰を犯人だと言おうとしたの?」

白鳥輝穂「確かに、49だから黒魔帝さんではないのかという話でしたから。9では誰なのかわかりません」

キング「左雨よ、貴様にはこの9が誰を示すのか……わかっているというのか!?」

左雨瑞樹「いや、わからない」

中岡笑「わかんないのかよ!?」

肉丸健太「わかってそうな雰囲気は出してたもんねー」

左雨瑞樹「そりゃ悪かったな。でも、真相には近づきつつあると思う。だから皆でここを重点的に考えよう」
375:🎏 :2013/9/1(日) 02:30:12 ID:KlUGwtFkK.
中後小百合「確かにここは重要だ。場明日が最後の力を振り絞って残したメッセージだからな。解読できれば真相はグッと近づくだろう」

中村闘球「でも、こんな数字じゃ誰を指してるかわからないよな」

白鳥輝穂「そうですね。場明日さんは私達に何を伝えたかったのでしょうか?」

キング「まったく、変に気取らず素直に名前を書けばよかったのだ!何故この手の連中は暗号を残すのか!」

中岡笑「某魔界探偵も似たようなこと言ってた気がします。本当に何で素直に名前を書かなかったんでしょうかね?」

左雨瑞樹「何故素直に名前を書かなかったか……」

氷室エリカ「それにしても、4と9で書いてる人が違うなんてね。だからあんなに感じが違ったんだね」

夜桜愛梨「そうですね。だから4はあれだけかすれて……」

氷室エリカ「あ、いや、そのことじゃなくてね。9の方は角ばったデジタル表記みたいになってるでしょ>>342

氷室エリカ「49だと思ってたから深くは考えなかったけど……9だけで考えたら、角ばってるのにも意味はあるのかなあって」

左雨瑞樹「角ばった9……」

左雨瑞樹(数字を書いた意味……角ばった9……ここに何か意味はあったんだろうか?)

左雨瑞樹(そもそも名前を書けば一発で済んだ問題だ。犯人に見つかるのを恐れたから数字にした?)

左雨瑞樹(何か数字にしなきゃいけない理由でもあったのか?虎美は本当に最初から数字を書くつもりだったのか?)
376:🎏 :2013/9/1(日) 02:33:09 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「……あっ!」

肉丸健太「うわ!左雨くん、急に大声出さないでよー」

左雨瑞樹「わかったかもしれない……虎美が、誰を犯人として告発しようとしたのか」

キング「それは偽りなき発言か!?」

氷室エリカ「さすが瑞樹くん!それで、この9ってどういう意味なの?」

左雨瑞樹「キングも言ってたけど、謎めいた暗号みたいな物を残しても仕方ない。普通に直接名前を書けば済む問題だ」

キング「左様!それをこの娘はいらぬ知恵を使って……」

左雨瑞樹「虎美は、最初は普通に名前を書こうとしてたんだ。漢字を書こうとしてたんだ」

夜桜愛梨「そうなのですか?では何故最終的に数字にしてしまったのですか?」

左雨瑞樹「モノクマファイルに書いてある通り、虎美はほぼ即死だ。刺されてから死ぬまで、恐らく数秒しか生きられなかった」

左雨瑞樹「そして虎美自身も書いてる途中で命がもう長くないと悟った。書けて一文字くらいだと悟ったんだ。現に一文字しか残せてないしな」

黒魔帝兎「でも、一文字だけでも漢字で名前を直接書けばよかったのではないか?それで十分犯人は当てられるだろう」

左雨瑞樹「いいや、一文字だけの漢字を書くわけにはいかなかった。何故なら、虎美が書こうとしていた漢字は「中」だからだ!」
377:🎏 :2013/9/1(日) 02:35:25 ID:KlUGwtFkK.
中後小百合「……そうか。中という漢字から始まる名前の人間は、ここには数人いる」

中村闘球「俺だな……」

中岡笑「じ、自分もですよ!」

中後小百合「そして私もだ。中から始まる名前の人物が犯人として、中の一文字だけでは候補が三人になってしまうな」

左雨瑞樹「それに気付いた虎美は中という字を書くのを途中でやめた。デジタル表記みたいに角ばった9になってるのは、それが原因だ」

氷室エリカ「そして、わざわざ9に書きなおしたってことは……」

左雨瑞樹「9という数字なら、この三人の中から一人に絞れる。そういうことだ」

中後小百合「左雨、お前にはその一人がもうわかっているのか?」

左雨瑞樹「ああ。たぶん、これで正解のはずだ」

中後小百合「それは面白い。では、君の意見を聞こうか。左雨は誰が犯人だと言うんだ?」

左雨瑞樹「場明日虎美を殺した犯人……それは」

左雨瑞樹「中村闘球、お前だ」
378:🎏 名無しさん@読者の声:2013/9/1(日) 19:39:22 ID:4jRYvwqKz2
あー続きが気になる

CCCCCC
379:🎏 名無しさん@読者の声:2013/9/2(月) 00:12:14 ID:VxwFVnwAM.
笑が犯人だと思ってた
380:🎏 :2013/9/2(月) 00:56:36 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「お、俺が犯人だっていうのか!?」

白鳥輝穂「中村さんが……そんな……」

中村闘球「ま、待て!そんな目で見るな!何で9っていう数字が、俺を指すことになるんだよ!?」

左雨瑞樹「……ラグビーのポジション」

中村闘球「っ!!」

左雨瑞樹「皆も知っての通り、闘球は超高校級のラガーマンだ」

左雨瑞樹「そんな闘球と仲良くなろうと、俺はルールブックを買ったことがある>>258-259

左雨瑞樹「そこにはもちろんラグビーのポジションについても書かれてある。ウィキだと「ラグビーのポジション」で確認できる」

左雨瑞樹「そして、ラグビーのポジションは、それぞれを数字で振り分けることができる。具体的には次の通りだ」
381:🎏 :2013/9/2(月) 00:57:28 ID:KlUGwtFkK.
ラグビーのポジション

1:プロップ
2:フッカー
3:プロップ
4:ロック
5:ロック
6:フランカー
7:フランカー
8:ナンバーエイト
9:スクラムハーフ
10:スタンドオフ
11:ウィング
12:センター
13:センター
14:ウィング
15:フルバック
382:🎏 :2013/9/2(月) 00:59:00 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「……これで確認できたな」

左雨瑞樹「さて、ここで闘球のポジションを確認したいと思う」

左雨瑞樹「闘球、お前のポジションってどこだったっけ?」

中村闘球「お、おお、俺の、俺の、ポジションはっ……!」

左雨瑞樹「……過呼吸みたいになってて、うまく喋れないっぽいから代わりに言うぞ」

左雨瑞樹「中村闘球のポジションはスクラムハーフ!番号で言うと9のポジションなんだよ!>>17

中村闘球「き、きゅ、9は……俺を示しているって言うのか!?」

左雨瑞樹「少なくとも俺は、ダイイングメッセージの意味はこうだと考えている」

氷室エリカ「でも、確かに中村くんが犯人だとしたら、説明はつくかも」

黒魔帝兎「訂正前の中という字にも当てはまり、訂正後の9にも当てはまる……」

中村闘球「待てよ!待てって!!単なる9って数字なんだから、他にも意味があるかもしれねえだろ!!」

中村闘球「9が角ばってる理由が、元々は中って書こうとしてたっつーのも、確証のない想像だろ!!」

中村闘球「つーか、場明日は超高校級の阪神ファンだろ!ラグビーのポジションなんか知ってるわけねえだろ!」
383:🎏 :2013/9/2(月) 01:00:54 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「絶対に知らないっていう根拠なんてねえだろ」

中村闘球「絶対に知ってるっていう根拠だってねえだろ!」

左雨瑞樹「……虎美は阪神ファンとして有名になったが、その生き方は地元愛とスポーツ愛から始まってる>>97

左雨瑞樹「高校ラグビーは大阪で全国大会が行われる。大阪が聖地とされるようなスポーツだ。なら、虎美は地元好きとして、スポーツ好きとして、知っていたかもしれない」

左雨瑞樹「ラグビーのポジションを知っていたかもしれないっていう根拠は一応あるぞ。絶対的な根拠ではないけどな」

左雨瑞樹「ていうか、事実として知ってたんだよ。でなければ、虎美はこのメッセージを残せなかった」

左雨瑞樹「ついでに犯人も、49がクロマティの背番号だと知ってたんだ。じゃないと、兎に罪をかぶせるように偽装なんて出来ないからな」

中村闘球「ぐっ……!」

黒魔帝兎「中村……お前が場明日を殺したのか……」

中村闘球「違う!左雨はまだ、そう考えられるっていう話をしてるだけだろ!」

中村闘球「ひでえ奴だよ、左雨は!絶対的な証拠もないのに、犯人呼ばわりしやがって!わかってんのか、間違ったらクロ以外死ぬんだぞ!?」

左雨瑞樹「知ってるよ。だから俺も必死に考えてる」

中村闘球「じゃあ出せよ!証拠だよ証拠を!角ばってる理由は中と書こうとしたからっていう証拠!9は俺のポジションを示してる証拠!」

中村闘球「角ばってんのは他に理由があるかもしれねえだろ!9という数字に他の意味があるかもしれないだろ!」
384:🎏 :2013/9/2(月) 01:02:47 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「つーかよ、中って字を書こうとしてたんなら、中岡や中後だって犯人かもしれねえだろ!」

中村闘球「さっきの部屋がどうこう洗濯カゴがどうこうの話でよ、中後だって可能性はあるだろ!」

中後小百合「そうだな。犯人が本当に自室まで走って逃げていた場合、走りながら捨てたであろう洗濯カゴより奥の方に私の部屋はある」

中後小百合「そう考えれば、私が犯人だと言う可能性もあるにはあるだろう。まだ9が完全に私と関係ないとも証明されてないしな」

氷室エリカ「中後さん、自分が犯人かもしれないって言われてるのに、凄い冷静だね……」

中後小百合「慌てようが慌てまいが真実は変わらんさ。なら慌てるだけ無駄さ」

中岡笑「じ、自分は第一発見者ですよ!自分が犯人なわけないじゃないですか!」

夜桜愛梨「こっちは見事な慌てっぷりですね」

中村闘球「中岡が第一発見者……それは本当か?」

中岡笑「な、何を言ってるんですか!?本当ですよ!」

中村闘球「いいや、もしかしたら今回の事件、俺達は根本から間違えていたのかもしれない!」

中村闘球「モノクマファイルを見てみろ!第一発見者が具体的に誰かなんて書いてねえ!>>329

中岡笑「で、でも自分以外に第一発見者なんているわけが……」

中村闘球「本当は左雨が第一発見者だったんだよ!」
385:🎏 :2013/9/2(月) 01:04:55 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「中岡はいかにも黒魔帝が書いたようなメモで場明日を呼び出した!」

中村闘球「そして、黒魔帝の衣服を入れた洗濯カゴに包丁を隠し、偶然を装い近づいて殺害した!」

中村闘球「そして!洗濯カゴを投げ捨てて、犯人があわてて逃走したような現場を作り上げた!」

中村闘球「そしてぇ!第一発見者のふりをして、左雨を起こしたんだよ!」

中村闘球「その後、左雨は起きて遺体を見たんだ!そうすれば左雨が事件の第一発見者だ!中岡は犯人なんだから発見者にはならない!」

左雨瑞樹「そいつは違う!」

左雨瑞樹「モノクマファイルには、第一発見者は死亡時刻とほぼ同じ時刻に目撃していると表記されている」

左雨瑞樹「そして、死亡時刻は深夜1時過ぎだ。ほとんど深夜1時と言っていいだろう」

左雨瑞樹「そして!笑が俺を起こした時刻は1時10分頃だ>>318

左雨瑞樹「10分差はさすがに「ほぼ同じ時刻」とは言えない。つまり!この第一発見者とは俺を指してるのではない!やはり笑のことを指してるんだ!」

中村闘球「話になんねえなあ、左雨ぇ!証拠もないのにどうしても俺を犯人にしたいお前が、時間に関してでっち上げてるだけだろ!」

中村闘球「お前一人だけの証言じゃ信憑性に欠ける!複数人で証明してみせろよ!できるならな!」

左雨瑞樹「くっ……笑、あの時の時間を覚えてるか?」

中岡笑「え、えっと……捜査の時に左雨くんから10分経ってたって聞きましたけども」

中村闘球「そうじゃねえよ!お前が、その時に、自ら時間を確認したか聞いてんだよ!」

中岡笑「す、すいません。あの時はテンパってて……時間なんか全然見てませんでした」
386:🎏 :2013/9/2(月) 01:06:26 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「ほらな!これなら中岡が犯人だと考えられる!」

左雨瑞樹「しかし、まだそう考えられるというだけだ」

中村闘球「それは俺もだろ!中と言う字が名前にあって、9にたまたま思い当たるだけっていうな!」

中村闘球「9っていう一文字だけならいろいろ考えられるだろ!なんかネットで9は馬鹿という意味とか見たことあるぞ、俺!」

相田鳥子「なんだとー!?犯人はあたしだったのかよー!?馬鹿かー!?」

肉丸健太「いや、たぶん違うと思うよー……」

中村闘球「とにかく、9という数字だけなら、他にも考え方があるかもしれない!」

中村闘球「確実に俺が殺した証拠もないのに、たまたまそういう風に考えられるからって、犯人だと決めつけるなよ!」

中村闘球「もしかしたら中岡かもしれない!もしかしたら中後かもしれない!一応まだ黒魔帝だって線もあるだろ!」

左雨瑞樹(……十中八九、犯人は闘球だと思われる)

左雨瑞樹(しかし、確かに闘球の言う通り、状況証拠しかなくて現状では言い切ることができない)

左雨瑞樹(どこに確定的な証拠がある?考えろ……ここが重要だ……)

左雨瑞樹(犯人は、事件から今までどう行動した?その結果、何に証拠が残る?)
387:🎏 :2013/9/2(月) 01:08:07 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「……あっ!」

氷室エリカ「瑞樹くん、わかったの!?」

左雨瑞樹「……そもそも犯人が偽装した4という数字はいつ書かれたのか?それを考えてみてくれ」

白鳥輝穂「それは……場明日さんを刺殺した直後じゃないでしょうか?」

左雨瑞樹「そいつは違う。そもそも4という数字が犯人の偽装だとわかったのは、事件発生直後の血ではどうしてもかすれた血文字にはならないからだ」

左雨瑞樹「事件発生直後に書いたのなら、4がかすれた血文字になってるのはおかしい。書かれたのはもっと後だと考えるべきだ」

キング「もったいぶるな!いつ書かれたと言うんだ!?」

左雨瑞樹「……皆が虎美の遺体を確認し、アナウンス後にモノクマが出て来てから、消えるまでの間だ>>323-325

夜桜愛梨「あんな時に犯人は偽装したというのですか!?」

肉丸健太「それって無理じゃないかなー?あんな人がいっぱいいる時に、気付かれずに書くなんてさー」

左雨瑞樹「それが可能だったんだ。何故なら、あの時は皆がモノクマに注目していたからだ」

左雨瑞樹「シロはモノクマの話を真面目に聞くしかなかった。何故なら、状況説明や捜査に当たっての注意事項を聞かなければならないからだ」

中後小百合「校則を守らなければモノクマに殺されるからな。今回は夜時間での捜査だったし、それは確認しなければならないことだ」

氷室エリカ「中後さんもしっかり確認してたしね」
388:🎏 :2013/9/2(月) 01:09:44 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「あの時、遺体の反対側にモノクマは出現した>>323

左雨瑞樹「そのモノクマに注目するってことは、その間遺体から目を背けるということだ」

白鳥輝穂「確かにそれだったら、ダイイングメッセージをどうにかする時間があるかもしれません!」

左雨瑞樹「クロだけが、捜査の注意事項なんか聞かなくていい立場だからな。その間クロだけはモノクマを無視して殺害現場を確認していた」

左雨瑞樹「そしてダイイングメッセージを見つけた。その時にクロは偽装を行ったんだ」

氷室エリカ「つまり、あの時モノクマに注目してなかった人が犯人ってことだね!」

中岡笑「でも、皆モノクマの方を見てたのに、それがわかるんですか?」

左雨瑞樹「可能性のある人物が二人いる」

キング「何だと……貴様にそれがわかるのか!?」

相田鳥子「あの白黒を見てたのにわかるわけねーだろー!馬鹿かー!?」

左雨瑞樹「あの時のモノクマとの会話をよく思い出してほしい>>323-325

左雨瑞樹「……二人ほど、発言していないのがわかるか?」

夜桜愛梨「……ああっ!中村くんと黒魔帝くんが話に参加してません!」

中村闘球「っ!」

左雨瑞樹「そう。この二人はモノクマと会話をしていない。あの時、注意事項を聞かずに行動していた可能性があるんだ!」
389:🎏 :2013/9/2(月) 01:11:52 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「こ、この期に及んでまだ可能性の話をしてんのかよ!?」

中村闘球「あ、ああ、あの時は、発言してなかっただけで、モノクマの話を聞くためにそっちを見てたよ!」

中村闘球「ていうか、別にモノクマを見なくても声は聞こえるんだから、発言したということがクロでない証拠にはなんねえだろ!」

中村闘球「別に現場の偽装をしててモノクマを見てなくても、声は聞けるし返事もできるだろ!」

中村闘球「蹲って泣いてるふりをした黒魔帝が行動したって可能性もあるんじゃねえのか!?」

左雨瑞樹「……重なった偶然はお前が犯人だと示しているけどな」

左雨瑞樹「犯人が意図的に目撃者をつくって逃亡した時のミスリードによって犯人候補から除外されたリストの中にいて」

左雨瑞樹「被害者が残したダイイングメッセージも、今のところはお前以外に考えられない」

左雨瑞樹「そして犯人が現場の偽装をしたと思われる時に、お前は一度も発言していない。可能性は十二分にあると言えるんじゃねえのか?」

中村闘球「だからそれも可能性の話だ!そんなに偶然が重なるなんて珍しいこともあったもんだな!」

中村闘球「証拠だよ証拠!決定的な証拠でもない限り、認めねえぞ!だって俺は殺しなんかしてないんだからな!」

中村闘球「間違ったクロを指摘したら皆死ぬんだぞ!だったら怪しいだけで決めつけんな!決定的な証拠を出せよ!」
390:🎏 :2013/9/2(月) 01:12:55 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「……わかった。証拠を示そう」

中村闘球「っ!?」

肉丸健太「証拠あるの!?」

左雨瑞樹「ああ。俺の考えが間違ってなかったら……証拠を示すことができるはずだ」

中村闘球「う、嘘だ!あるわけない!証拠なんてあるわけない!!」

左雨瑞樹「それを確認するためにも、俺が考える今回の事件の流れを聞いてほしい」

夜桜愛梨「それを聞けば、自ずとわかるとおっしゃるのですか?」

左雨瑞樹「そういうことだ。これが正しかったら、必ず証拠は残ってる」

中村闘球「ふーっふーっ……証拠なんてない……俺は殺してない……殺してない……」

氷室エリカ「……瑞樹くん、聞かせて。瑞樹くんが考える、今回の事件の真相を」

左雨瑞樹「わかった……俺の考えを話すよ」
391:🎏 :2013/9/3(火) 01:34:24 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「犯人は朝方、兎と虎美がいつものように揉めて、それが深刻な争いになった時にこう思ったんだ」

左雨瑞樹「これを利用して殺害すれば、自分に疑いの目が向けられることなく殺せる、と」

左雨瑞樹「殺害を決意した犯人は昼間のうちに包丁を用意した」

左雨瑞樹「そして兎を装った手紙をドアの下の隙間から虎美の部屋に入れて、夜中に呼び出した」

左雨瑞樹「指定時刻に虎美がいることを確認した犯人は、兎の衣服をまとめた洗濯カゴを盗み出し、洗濯物を取りに行って帰った風を装った」

左雨瑞樹「笑に目撃者になってもらうため、笑の部屋のチャイムを鳴らしてから、偶然を装って虎美に接近」

左雨瑞樹「何気ない会話でもしながら近づき……衣服の中に隠していた包丁で虎美を刺した」

左雨瑞樹「虎美が倒れてから間もなく、ドアのチャイムを鳴らされた笑が部屋から出てきて、倒れた虎美と犯人を目撃」

左雨瑞樹「そこから曲がり角で見えなくなるまで、あわてて逃げる犯人を演出し、目撃者の笑に「走って逃げた」と印象付けた」

左雨瑞樹「実際はすぐに止まり、持ってた洗濯カゴだけ奥の方に投げて、自分はすぐそこの部屋に逃げ込んだ」

左雨瑞樹「こうして追いかけた笑が角を曲がると、落ちてる洗濯カゴしかない状況が完成する」

左雨瑞樹「そして、笑は犯人が走って逃げてると思ってるから、あの洗濯カゴは犯人が逃走途中に邪魔だから捨てたと思いこんだ」

中後小百合「普通、走りながら邪魔な荷物を捨てる場合、真横か後ろに捨てるだろう。前の方に投げるとは考えにくい」

氷室エリカ「だから最低でも洗濯カゴの落ちてるとこまでは走って逃げてるって思っちゃうんだね」
392:🎏 :2013/9/3(火) 01:36:24 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「結果的に笑はそう証言した。そしてその証言によって、一時は自分を犯人候補から除外することに成功した」

左雨瑞樹「あとは笑と俺によって寝てるところを起こされたように装い、事件をただ見守ればいいはずだった」

左雨瑞樹「しかし、犯人にとって予想外の出来事が起きてしまった」

黒魔帝兎「……場明日が残したダイイングメッセージだな?」

左雨瑞樹「そう。虎美は最期の力でダイイングメッセージを残した」

左雨瑞樹「事件発覚後にモノクマが登場し、皆の注目がそっちに移ってる隙を狙って、犯人は念のため最後の確認を行った」

左雨瑞樹「そして見つけた。虎美が残した9という文字を」

左雨瑞樹「闘球が言ってた通り、この9という文字だけなら、いろんな考え方ができるかもしれない」

左雨瑞樹「でも、犯人は自分を指してることを知ってるから、すぐに正解がわかった。そして、その時はもうこれ以外に意味がないと思ってしまった」

夜桜愛梨「だから犯人は糞野郎共が糞クマを見てる間に偽装したのですね」

左雨瑞樹「そう。だから犯人は自分の指で文字を書き足してしまった」

黒魔帝兎「自分の指で書いたのか!?」
393:🎏 :2013/9/3(火) 01:38:21 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「血溜まりの端に指を擦りつけた跡がある>>341

左雨瑞樹「血溜まりの端ということは、出血している虎美から離れた場所だ」

左雨瑞樹「遺体の手を持って、遺体に書かせようとする場合、そんな離れた場所から血をつける必要はない」

左雨瑞樹「つまり、犯人が自分の指に擦りつけた跡だと思われる」

中岡笑「でも、自分の指なんかで書いたら、現場に自分の痕跡が残るんじゃ……」

左雨瑞樹「俺達には科学的な捜査の術はない。あまり意味はないだろう」

左雨瑞樹「それに、あの時は遺体の手を持って書かせるとかいう悠長な時間はなかった」

左雨瑞樹「これまた闘球が言ってた通り、モノクマの話を聞いたり返事したりは別にモノクマを見てなくてもできる」

左雨瑞樹「ダイイングメッセージを偽装してる時に、遺体の手を持って書き足してるところを見られたら言い逃れできなくなる」

左雨瑞樹「また、モノクマの話がいつ終わるのかもわからない。一刻も早く偽装を終わらせるには、自分でさっさと書くしかなかったんだ」

中後小百合「……なるほど。つまり、指に血の跡が残っている人物こそ、場明日を殺した犯人だということだな」

氷室エリカ「え?でもあれからしばらく経ってるし、さすがに犯人も手を洗ったりして血の跡なんか落としてるんじゃないの?」
394:🎏 :2013/9/3(火) 01:41:16 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「そいつは違う。事件発生時は夜時間だ」

左雨瑞樹「夜時間は水が出せない>>75つまり、自分の指につけた血を洗い流すことはできない」

左雨瑞樹「加えて、犯人は乾いてきてる血を必死に擦りつけたから、指紋や爪の間に乾いた血が染み込んでいるだろう」

左雨瑞樹「それは水洗いでもしなければ、落とすのは難しいだろう。つまり、指に擦りつけた血の跡は今も残ってると思われる」

左雨瑞樹「皆、手を見せてくれ。それで指に血がついてる奴が今回の事件のクロだ!」

氷室エリカ「わかったよ。ほら、見て。ついてないでしょ?」

白鳥輝穂「……皆さんの指に赤い染みはできてないみたいですね。あ、私もついてないですよ」

夜桜愛梨「あとはあなただけですよ。ラグビー糞野郎」

中村闘球「……そんなに見たけりゃ見せてやるよ!ほら!」

相田鳥子「おい!赤いどころか白いぞ!どうなってんだー!?」

キング「……ティアライトテープか!>>132

白鳥輝穂「そう言えば……中村さんはそのテーピングを常に指先につけていました!」

肉丸健太「えーっと、つまりどういう……?」

夜桜愛梨「つまり、中村くんはテーピングをしたまま文字を書きました。つまり、中村くんが犯人なら血のついたテーピングがゴミの中から出てきます!」
395:🎏 :2013/9/3(火) 01:46:47 ID:KlUGwtFkK.
黒魔帝兎「左雨が白鳥にゴミを調べさせたはずだ!奴のゴミから血のついたテーピングは見つかったか!?」

白鳥輝穂「そ、それが……」

中村闘球「どうだったんだ!?言ってみろよ!ほら!」

白鳥輝穂「あ、ありませんでした……場明日さんのゴミからメモが見つかっただけで、他に怪しい物は何もありませんでした!>>353

夜桜愛梨「えっ!?」

中村闘球「どういうことだよ、ああ!?俺が犯人なら、血のついたティアライトテープが見つかるんじゃねえのかよ!?ああ!?」

中村闘球「結局あのダイイングメッセージは全部場明日が書いたものだったんだよ!」

中村闘球「4がかすれてるとか言ってるけど、んなもん死に際で冷静に行動できなかった場明日が、指に血をあまりつけなかっただけなんだよ!」

中村闘球「その失敗を反省し、9を書く時は血を多くつけた!あのダイイングメッセージの真相はこれなんだよ!」

中村闘球「犯人が書き足したぁ!?んなもん妄想に過ぎなかったんだ!49は場明日が書き遺した文字だ!犯人は黒魔帝で確定だなあ!!」

左雨瑞樹「そいつは違う!」

中村闘球「っ!!」

左雨瑞樹「闘球……今、この場でそのテープを外してくれ」
396:🎏 :2013/9/3(火) 01:50:26 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「んなっ!?」

氷室エリカ「テープを外す……?」

左雨瑞樹「俺の予想では右手の人差指……まあどの指か知らんが、恐らく血の跡がある」

左雨瑞樹「出血っていうのは日常生活でも珍しいことではない。だから仮に闘球のゴミから血のついたテープが出てきてもおかしくはない」

左雨瑞樹「でも、闘球は今回に限ってはそう思わなかった。何故なら、偽装した張本人だから「指先に血を付けた証拠」がやばいと既に知ってたからだ」

左雨瑞樹「更に俺は良子と佑子の事件の時に、輝穂に頼んでゴミを調べてもらってる。今回の事件も、同じくゴミを調べる可能性があると闘球は思った」

白鳥輝穂「実際に調べましたしね」

左雨瑞樹「だから闘球はテープに血をつけるわけにはいかなかった。そんなのがゴミから出てきたら、犯人と思われると考えたんだ」

中岡笑「……じゃあ実際にどうしたって言うんですか?」

左雨瑞樹「簡単だよ。偽装する時だけ、闘球はテープを外したんだ。素手で血文字を書き、再びテープを巻いて血のついた指を隠した」

黒魔帝兎「テーピングを巻いたり外したりするのって、けっこう時間かかるぞ?一刻を争うあの場面で、そんな余裕があったのか?」

左雨瑞樹「闘球は超高校級のラガーマンだ。常につけてるらしいし、扱いには慣れているはずだ。速い付け外しは可能だったと思われる」

左雨瑞樹「ついでに、闘球にとって幸いなことに、あの時は夜時間による立ち入り禁止区域の質問で話が長引いた。闘球には簡単なことだったんだよ」
397:🎏 :2013/9/3(火) 01:52:18 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「さっきも言った通り、夜時間より前に血が付いたなら、水で洗い流すことができる」

中村闘球「はーっ……はーっ……」

左雨瑞樹「つまり、今もまだ血が指についてるなら、それは今日、事件が起こった夜時間についたものだと考えられる」

中村闘球「はーっ!はーっ!はーっ!」

左雨瑞樹「更に、普段から常に指にテープを巻いてるのに、今日に限ってはわざわざ外してから血に触れ、それをテープで隠していた」

中村闘球「はっ!はっ!はっ!!はっ!!」

左雨瑞樹「殺人事件が起こった夜時間に、犯人が血文字で偽装を行ってる中、普段はテープをつけてるはずの素手に血がつく理由が他にあるなら教えてほしい」

中村闘球「かはっ!!っ……!!……!!」

左雨瑞樹「おっと、その前に本当に血がついてるかの確認が先だな。闘球……今、この場でそのテープを外してくれ!」

中村闘球「……ふーっ。いや、その必要はねえよ」

中村闘球「認めるよ。俺の右手人差し指には場明日の血がついてる。俺が殺したんだ」
398:🎏 :2013/9/5(木) 01:19:15 ID:KlUGwtFkK.
黒魔帝兎「中村……お前が場明日を……」

白鳥輝穂「中村さん、どうして……どうして殺人なんて犯してしまったのですか?」

中村闘球「どうしてって、この学園生活では動機なんか一つしかねえだろ。ここから出たかったんだよ」

氷室エリカ「でも、それも皆で協力して脱出しようって話だったじゃない!どうしてこんな……」

モノクマ「まーまー慌てない慌てない。なんていうか、決着ついたみたいだしさ、犯人の言い訳タイムは投票の後でいんじゃない?」

モノクマ「というわけなので、投票タイムに移りまーす!」

モノクマ「オマエラにはこれから、お手元のスイッチでクロだと思う人に投票してもらいます!」

モノクマ「一応言うけど必ず誰かに投票するようお願いします。待ち切れずに自白までしてるんだから押し間違いも勘弁だよ!」

モノクマ「ではでは参りましょう。投票の結果はどうなったのか……間髪いれずに発表しちゃうよ!」

モノクマ「投票結果は全員一致で中村闘球くんとなりましたが……正解です!今回のクロは中村くんだったのです!」

モノクマ「いやー見事ですね。左雨くん、今ならじっちゃんの名をかけても許されるんじゃないですか?」

左雨瑞樹「モノクマ、頼むからもう黙ってくれ……」

モノクマ「左雨くんってボクに対してツンツンですよね。はやくデレデレしてほしいものです!にょほほ!」
399:🎏 :2013/9/5(木) 01:20:56 ID:KlUGwtFkK.
クロが確定して、モノクマが調子に乗り始めたが、そんなのは些細なことに過ぎない。
それよりも闘球のことだ。犯人は、俺が思った通り中村闘球だった。

超高校級のラガーマンで、この学園生活の最初期は体を張って校内の破壊を試みてくれたこともあった。
そんな頼りになる男で、でも話してみるとけっこう気さくで馴染みやすい友達というか、そんな感じ。
間違いなく超高校級のエリートだが、それを鼻にかけることもない、心から良い奴と言える奴だった。
佑子の事件を挟んだことで、一時期は仲間を信じられない状況に陥ったが、それもすぐに乗り越えて、闘球は再び俺達と一つになった。
一つになったと、俺は思っていた。でも……闘球は虎美を殺した。自分一人だけが外に出ることを望んで……。
そして今、全ての真相が明らかになったことで、闘球一人だけが死のうとしている。
この結末じゃないといけなかったのか。この結末しかなかったんだろうか。
しかし事実として、この結末を迎えてしまった。もしもを考えても込み上げるのは空しさだけだ。
だから俺達は、この現実を受け入れるしかない。中村闘球は場明日虎美を殺した。

「……どうして殺したんだ?皆で脱出じゃ駄目だったのか?」

俺は闘球に訊ねずにはいられなかった。
400:🎏 :2013/9/5(木) 01:22:46 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「……皆で脱出だとさ、いつになるかわからねえだろ?俺は一刻も早く出たかったんだ」

白鳥輝穂「皆さんを犠牲にしてでも、早く出たかったんですか?」

中村闘球「ああ。そうだよ」

黒魔帝兎「何故だ!?犠牲を生んでまで、早期脱出を図った理由は何だ!?」

中村闘球「……皆はさ、本田川の裁判、覚えてるか?」

夜桜愛梨「当たり前です。あの悪夢の一日……忘れるはずがありません」

中村闘球「じゃあさ、本田川が犯人だと確定して、殺した理由を話した、その内容を覚えてるか?」

氷室エリカ「えっと……チームメートがやばいっていう映像見せられて、一刻も早く安否を確認したかったからって」

中村闘球「そうだ。あいつは女子サッカーの輝かしい未来のために、多少の犠牲は仕方ないと犯行を実行したんだ」

中村闘球「あいつは見下した。皆を……俺を……日本のラグビーを!>>220

中村闘球「確かに日本ラグビーは、現状、世界のトップには敵わないが、確かに成長はしているんだ」

中村闘球「緩やかにでも、世界のトップに近付いてる現状、その未来には大いなる可能性が秘められている!」

中村闘球「……そんな可能性ごと否定されて犠牲にされそうだったと知って、俺は激しい怒りを覚えた」
401:🎏 :2013/9/5(木) 01:24:36 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「俺は信じてる!日本のラグビーの力を!それを証明するには、こんなところに閉じ込められてる場合じゃない!」

中村闘球「日本のラグビーが、世界のトップを食らうには、この俺の力が必要不可欠だからだ!」

中村闘球「現状だけで日本ラグビーの全てを否定した本田川に!日本や世界で同じ考えのラグビーファン達に!一刻も早く見せたかった!」

中村闘球「この俺が加わって、日本のラグビーが世界のトップで輝くその瞬間を、証明したかったんだよ!」

中村闘球「……犠牲を払わず悠長に脱出だと、いつ脱出できるかわかったもんじゃない。最悪、出来ない可能性だってある」

中村闘球「だから俺は、スポーツ選手として可能性を秘めてるこの若さで確実に脱出するために、自分でやるしかないと考えた」

左雨瑞樹「それが……虎美を殺した理由か」

中村闘球「悪いな、左雨。本田川の事件から今日まで、俺はもう決意してたんだよ」

中村闘球「そして、場明日と黒魔帝が深刻なレベルで揉めたのを見て、罪をなすりつけるチャンスだと思って決行したんだ。悪かったな、黒魔帝」

黒魔帝兎「……」
402:🎏 :2013/9/5(木) 01:26:17 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「……まあでも、俺は間違えてたのかもしれない。いいや、間違えてたんだ、確実に」

中後小百合「当たり前だ。殺人を犯して、正しいも糞もない。お前は間違えたんだ」

中村闘球「いいや、違う。そういう話じゃない」

中村闘球「日本のラグビーを信じてる、なんて言っておきながら、その実自分がいなきゃ駄目だと思ってたんだからよ」

中村闘球「ラグビーは15人……控えを入れれば25人、更に他にも二軍だったりスタッフだったり、はたまたファンが支えてくれたり」

中村闘球「団体競技だからよ。仲間の気持ちを一つにするのが大切なんだ。一人だけ強けりゃいいんじゃない。ただ強い奴を集めればいいんじゃない」

中村闘球「でも俺は、自分がいなきゃ駄目だと、自分がいなきゃ日本は世界のトップにはなれないと勘違いした挙句」

中村闘球「この学園生活でも、何より大切な仲間を裏切って、自分一人だけを生かそうとしたんだ」

中村闘球「one for all all for one……一人は皆のために、皆は一人のために」

中村闘球「だけど俺は、自分一人のために、凶行に走っちまった」

中村闘球「そんな俺が、皆のためにダイイングメッセージを残した場明日に」

中村闘球「そして場明日のために力を合わせた皆に勝てる道理なんてなかったんだよ……」
403:🎏 :2013/9/5(木) 01:28:00 ID:KlUGwtFkK.
モノクマ「クロの身勝手な言い訳が終わったところで、そろそろおしおきいっちゃいます?」

左雨瑞樹「身勝手な言い訳って何だよ……」

モノクマ「あれ?左雨くん、何か不満ですか?ていうか左雨くんは前の裁判でも何か突っ掛かってきましたよね」

モノクマ「大方あれでしょ?ボクのせいにして責任押し付けたいんでしょ?本当に成長しませんね」

モノクマ「裁判が嫌なら殺さなきゃいい話じゃん!クロのおしおきが嫌なら、犯人なんか探さなきゃいい話じゃん!」

モノクマ「結局、それを選んでるのはオマエラなんです!ボク前の裁判でもちゃんと言ったよね?あれ、これデジャヴ?」

左雨瑞樹「それを強制してんのはお前だろ!」

モノクマ「あーもうやめましょう。どうせこの話になるといつまでも平行線ですよ。せっかくのおしおき前で萎えたくないんですよ、ボクは!」

モノクマ「所詮ボク達は違う生き物なんです……まあ本当に人間とクマで違いますからね!」

モノクマ「まあでも一つだけ言いますと、大目に見てあげても左雨くんだけはボクに物言いする権限はないと思いますけど」

左雨瑞樹「俺だけが物言いできない!?どういうことだ!」

モノクマ「左雨くんはね、ボクと同類なんじゃないかと思うんです!」
404:🎏 :2013/9/5(木) 01:29:54 ID:KlUGwtFkK.
左雨瑞樹「俺が……お前と同類!?」

氷室エリカ「やめてよ!瑞樹くんがあなたと同類だなんて……冗談でも言っていいことじゃないよ!」

モノクマ「さりげなく氷室さん相当酷いこと言ってません?酷い……涙が出ちゃう、モノクマだもん」

モノクマ「それはともかく、冗談じゃないですよ。だって左雨くん、裁判の時ノリノリじゃないですか」

モノクマ「そいつは違う!なんて言っちゃって、生きたいクロを嬉々として追い詰めてますからね」

モノクマ「きっと左雨くんは命を奪うことが楽しくて仕方ない、狂った絶望なんです!」

左雨瑞樹「俺が……命を奪うのを楽しんでる……?」

モノクマ「裁判の時の左雨くん、本当に活き活きしてるよ。そしてクロを死に追いやって喜んで……この絶望を楽しんでるんだよ!」

中村闘球「違う!左雨は……仲間のために全力を尽くしてるだけだ!」

中村闘球「最善の結果を求めて頑張ってるだけだ!そして……事件が、裁判が起こってしまった今回の最善はクロを見つけることだ!」

中村闘球「その最善のために頑張って、苦しんで、悲しみながらも真実に辿り着いてるんだ!そんな左雨を絶望なんて言うな!」

モノクマ「ええ〜……普通、クロが庇う?アリエンティー……激萎えしゅんしゅん丸ですよ」

モノクマ「この話もまた平行線みたいですね。もういいです。おしおきであげぽよ目指しましょう!」
405:🎏 :2013/9/5(木) 01:31:14 ID:KlUGwtFkK.
中村闘球「……今なら、本田川の気持ちも理解できるな」

中村闘球「左雨、俺を犯人だと暴いてくれてありがとな」

左雨瑞樹「……何で、お前が死ぬ原因になった男に、感謝が出てくるんだ?」

中村闘球「俺が死ぬのはモノクマと俺自身のせいだ。お前が気負うことじゃない」

中村闘球「感謝の理由か……自分の間違いを正してくれたから、かなあ……」

中村闘球「とにかく、俺は先に地獄に行く」

中村闘球「お前は、お前達は……長生きして、天国に行けよ」

中村闘球「場明日も、百目鬼も、きっと天国で待ってるから……」

黒魔帝兎「場明日……」

白鳥輝穂「百目鬼さん……」

中村闘球「これで裁判はノーサイドだ。今までありがとな。じゃあな」

モノクマ「そろそろ茶番は終わりでいい?それじゃおしおきタイム行ってみよー!」
406:🎏 :2013/9/5(木) 01:33:23 ID:KlUGwtFkK.
モノクマがはっきりと茶番と言い切り、俺はまたぶち切れそうになったのだが、それよりも早く奴は行動に移った。
佑子の時と同じように、出てきたスイッチをモノクマが木槌で叩く。佑子の時と同じだから、それの意味するところもわかる。
クロである中村闘球を殺すために、おしおきを開始したのだ。

スイッチを押すと同時に、ラグビー選手のようなロボットが現れて、超スピードで闘球にタックルをかました。
超高校級のラガーマンも、さすがに超高速でぶつかってきた鉄の塊には敵わないようで、タックルを決められ、そのまま持ちあげられた。
そのままどこかへと拉致られる闘球。佑子の時を思い出してモニターを探すと、間もなく裁判場にそれが出現した。
そこには闘球がアップで映っていた。何があったのか、首から上だけを出して、あとは全てが地面に埋まっている。
カメラが引いていくと、そこはラグビー場であるとわかった。佑子の時もそうだったが、各々の才能にちなんでいるみたいだ。
埋まっている闘球の後ろにはラグビーのゴールが見える。ルールブックを読んだから、多少はわかるんだ。
トライを決めたあと、ボールを置いてから蹴り、ゴールポスト間のクロスバーの上を通すことで追加点となるんだ。これをコンバージョンキックという。
まるでそれみたいだなあと悠長に思ってから、これから何が起こるのかをようやく悟り、一気に血の気が引いてしまった。
407:🎏 :2013/9/5(木) 01:35:05 ID:KlUGwtFkK.
先ほどのラグビーロボットが映った。しかし、闘球を拉致った時とはいくつか相違点がある。
まず、頭部がモノクマになっている。いや、そんなのはどうでもいいんだ。
足元に注目すると、つま先に鋭利な刃物があるのが確認できる。それがけっこうなでかさで、切れ味さえよければどんな物でも切断してしまいそうだ。
そんなロボットが走りだす。コンバージョンキックにしては大げさな助走距離。向かう先には首だけの闘球。
遙かなる助走の果てに、ロボットはゴールポストへそれを蹴った。
綺麗な放物線を描き、深紅の虹を演出しながら、それはクロスバーの向こう側へと吸い込まれていった。ラグビーで言えば追加点獲得だ。
貴重な追加点に喜びを爆発させるラグビーロボット。そんな彼を祝福するかのように、筒状の肉からは延々と鮮血のスプリンクラーが舞うのだった。
408:🎏 :2013/9/5(木) 01:37:12 ID:KlUGwtFkK.
映像はそれで終わった。そして、闘球の命もまた、そこで終わった。
佑子の時に劣らずほどの残忍な処刑映像だ。気を緩めれば嘔吐してしまいそうになる。
かなりのショックを受けているのは他のメンバーも同じのようで、見回せば各々が映し出された現実に絶望しているのが読みとれる。
そんな空気を決して読むことなく、処刑を終えてきたモノクマがそれはそれは嬉しそうに感想を巻くしあげるのだった。

「イヤッホー!おしおきは心を潤すね!リリンが生み出した文化の極みだとか何とか!」

相も変わらず、人を殺しておいて喜びを爆発させている。根っからの異常者なんだな。腸が煮えくり返る思いだ。
闘球が殺しをしなければならない状況に追い込んで、でも責任はやった本人に押し付けて、安全圏から殺人をショーとして楽しんでいる。
どう考えても許せねえよ。でも、俺はこいつと同類なのだろうか?クロを死に追いやるのを楽しんでいるという、モノクマの台詞が頭の中を駆け巡る。
闘球は否定してくれたが、確かに全力で闘球を追い込んだのは俺だ。その結果、闘球はあんなことになってしまった。
本当に追い込んだ方に責任があるのか。だとしたら、俺は……俺は……。
409:🎏 :2013/9/5(木) 01:38:48 ID:KlUGwtFkK.
「大丈夫だよ」

エリカの声で我に返った。

「瑞樹くんは、モノクマと同類なんかじゃない」
「悲惨で、異常で、恐怖に満ちたこの学園で、正常でいるのは難しいかもしれない」
「でも、それでも、モノクマの言葉で自分の在り方を迷う必要はない。絶望に染まる必要なんてない」

エリカは、突きつけられた目の前の異常で弱気になって心がぶれた俺を即座に励ましてくれた。
言ってもいないのに、それを察してくれて、俺に声をかけてくれた。
何でわかったんだ、という疑問はあるけど、それよりも感謝の気持ちが上回った。ありがとう。俺を支えてくれて。
仲間の死。異常な処刑。蝕まれる倫理観。狂った世界で壊れていきそうな自分を、エリカは引き止めてくれた。ありがとう。

「……エリカ、ありがとう。俺はもう大丈夫だ」

俺はそう告げた。ここで俺が壊れていては、死んでいった仲間に顔向けできねえしな。
410:🎏 :2013/9/5(木) 01:40:41 ID:KlUGwtFkK.
その間もモノクマはひたすらに孤独に喜んでいた。

「いやーしかし綺麗に切れるものですね!最高に気持ちいいおしおきでした!」

喜んでいたかと思えば、急にテンションを落としたりもした。

「……あ。そう言えば本田川さんの時も首関連のおしおきでしたね。ありゃりゃ……別パターンにすればよかったかな?」

とにかくおしおきのことで一頭だけはしゃぎ、俺達を置いてけぼりにした。
一通り騒いでいると、ようやく周りとのテンション差に気付いたのか、俺たちに向かってこんなことを言ってきた。

「およ?オマエラどうしたんですか?せっかく楽しいおしおきをやったというのに」
「もしかして、今回も首で殺したワンパターンに飽きちゃった感じですか?これは反省ですねえ……」
「でも信じてよ!ボクはいつも最善を尽くしてきたし、できることは全てやった!なのに決まって裏目に出ちゃうんですよね……」
「まあ次回の裁判では違うおしおきを用意しておくから、オマエラは安心して殺してください!うぷぷぷ!」
「ではでは、今回の裁判はこれでおしまいかな?次回の裁判をお楽しみに!それじゃ!」

一方的に喋ってから、俺達を裁判場に残したままモノクマは消えてしまった。
411:🎏 :2013/9/5(木) 01:43:41 ID:KlUGwtFkK.
こうして今回の裁判は終わった。前回と変わらない、誰もが立ちつくす絶望にまみれた結末だ。
誰も喋らずにいて静かだから、啜り泣く音もはっきり聞こえる。輝穂が心を痛めて泣いてるのかな。
そんな中、俺はある人物の前まで歩を進めた。その人物は……黒魔帝兎だ。

「約束は果たした……虎美を殺した犯人は暴いたぞ」俺は言った。
「……ありがとう。約束、覚えてたんだな」兎は返した。
それを受けて、俺はさらに続けた。
「真相は手に入れたけど、虎美はもう戻らない……兎はそれでも大丈夫か?」
それを聞いて、兎は一瞬切ない表情を見せたが、すぐに戻してこう答えた。

「場明日はきっと前向きに生きることを望んでいる。ダイイングメッセージを残したのも……きっと皆に生きてほしかったから、だろう」
「俺は生まれ変わる。応援する球団にこだわって素直になれず、仲違いしたまま場明日と永遠に別れてしまった……」
「俺は生まれ変わる。球団に縛られることなく、素晴らしい野球と、素晴らしい選手を応援する!場明日が支えたかった野球を、俺が支え続ける!」
「俺は生まれ変わる!だから……場明日と、そしてこれまでの俺と決別する。俺は前を向く!」
412:🎏 :2013/9/5(木) 01:46:17 ID:KlUGwtFkK.
それを聞いて、兎はもう大丈夫だと思った。
前回、佑子が犯した事件によって、俺達の心はバラバラになってしまった。
でも今回は、事件を経ても、心は前を向いていると思う。
殺された仲間達、殺してしまった仲間達のためにも、前を向かなくてはならない。
そしてそれを兎は出来ている。きっと他の仲間達も前を向けるはずだ。

「そろそろ行こう。このまま裁判場に立ってても、何にもならない」

俺はそう提案した。辛いのはわかるが、立ち止まるわけにはいかない。事件を乗り越えて、皆で外に出る方法を探していかなければならない。
皆はそれに頷き、忌々しい校舎へと戻るエレベーターに乗り込んだ。そんな中、兎だけが裁判場に立ち止まっていた。彼は上を向いていた。

「兎、行こう。皆も待ってる」
「わかってる。……サヨナラ、場明日虎美」

顔を下げると、兎はようやくエレベーターに乗り込んだのだった。

チャプター2
「青春豪速球サヨナラホームラン」
おしまい

生き残りメンバー:10人
413:🎏 :2013/9/5(木) 01:51:25 ID:KlUGwtFkK.
〜モノクマ劇場・特別編〜

やあ。
ようこそ、モノクマ劇場へ。
このおしおきはサービスだから、まず死んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
また書き溜めのために一週間位更新を止めるつもりなんだ。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、この劇場を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、このことを知らせたんだ。
じゃあ、おしおきを始めようか。

そういうことです。要するにプチ夏休み第二弾ですね。
その間ただ待たせておくのもあれだから、学園長が一肌脱いであげます。
そう、>>233ですよ。死んだ人のだけでも通信簿を公開してあげようかと思ってるのです。
とりあえず死んだ順にまとめておきます。ただ、胸囲とか獲得情報に対するスキルとかは考えてません。
その辺は各々で補ったらいいんじゃないですか?あ、じゃあこれをプチ夏休みの宿題にでもしますか。
あと、ゲームをイメージしながら書いてみたんで、情報がSS本編と違うとこあるかもしれないけど、それは勘弁してね!
ゲーム基準で考えると、水留くんの情報なんて絶対手に入んないしね。だって死ぬの早すぎなんだもん!
まあそんな感じです。一週間位、たぶん一週間と数日くらいで再開するつもりだけど、これを機に放置とかしたら、それはそれで絶望で面白いよね!
414:🎏 通信簿:2013/9/5(木) 01:53:10 ID:KlUGwtFkK.
名前:水留崇
身長:174cm
体重:62kg
特記:超高校級のフラグ建築士
獲得情報:1
特に意識しているわけではないがわかりやすい行動を取ってしまい、それに伴う結果が訪れる。
生まれ持っての体質なのか、小さい頃から様々なフラグを立てて結果を残してきた。
獲得情報:2
将来を約束し合った彼女がいるらしい。無事にこの学園を卒業したら結婚する気でいる。
そのため、絶対に生き残りたいようで、汚い手を使うのも辞さないと言っていた。
415:🎏 通信簿:2013/9/5(木) 01:55:14 ID:KlUGwtFkK.
名前:百目鬼良子
身長:174cm
体重:74kg
特記:超高校級のプロレスラー
獲得情報:1
プロレスの試合に魅せられた百目鬼は即座にトレーニングを開始した。
そしてそのままプロレスラーに。ヒールレスラー「デビル百目鬼」はこうして誕生した。
獲得情報:2
プロレスは台本のあるスポーツエンターテイメントだと百目鬼は言う。
本当は恐ろしいほど礼儀正しいが、悪役レスラーを任されてるので、リング上では悪の限りを尽くす。
獲得情報:3
本当は優しいのにブーイングされて辛くないか?との問いに、辛くないと答える百目鬼。
「ヒールが出来て一人前」と言われるほど悪役レスラーは重要な役目で、それを任される嬉しさが勝るらしい。
獲得情報:4
突然百目鬼は左雨に謝った。事情がわからず詳しく聞くと、前に嘘をついたと言う。
本当はブーイングが辛くてヒールレスラーをやめたくなる時があるそうだ。
獲得情報:5
辛くてもヒールは続けていくと百目鬼は言う。左雨をはじめ、本当の自分を理解する仲間がいるからだ。
そうした仲間がいれば、たとえ仕事として嫌われても前向きに頑張れるらしい。
416:🎏 通信簿:2013/9/5(木) 01:57:45 ID:KlUGwtFkK.
名前:本田川佑子
身長:165cm
体重:56kg
特記:超高校級のサッカー選手
獲得情報:1
元気いっぱいな本田川は子供の頃から男子と混ざって遊んでいた。
サッカーは当時から男子よりもうまく、それで才能に気付いたらしい。
獲得情報:2
小学校、中学校とサッカーの全国大会で優勝している。
努力の大切さと、仲間と共に勝つ喜びを知っていて、今後もそんな環境下で生きたいらしい。
獲得情報:3
サッカーこそうまいけど、自分は元気なだけのしょうもない人間、と本田川は言う。
だからこそ、唯一自慢できる仲間は大切にしていきたいと思っている。
417:🎏 通信簿:2013/9/5(木) 01:59:17 ID:KlUGwtFkK.
名前:場明日虎美
身長:157cm
体重:49kg
特記:超高校級の阪神ファン
獲得情報:1
地元愛・スポーツ愛に満ち溢れている場明日。
そんな彼女が阪神を好きになるのは、約束された必然だったらしい。
獲得情報:2
場明日が好きな季節は夏。甲子園が熱いからだそうだ。
高校球児が描く筋書きのないドラマは、普通のドラマより百倍泣けるそうだ。
獲得情報:3
時間を問われた左雨が3時34分と教えたところ、突然激昂してしまった。
何故かは知らないが、その数字がトラウマになっているらしい。
獲得情報:4
阪神ファンの過激な野次が時に選手を傷つけることもある。
自分達の存在は大好きな選手の足枷でしかないのでは、と場明日は酷く悩んでいた。
獲得情報:5
選手の力になっていると信じて、今後も応援していくことを決意した場明日。
一生懸命なプレーを見せてくれる選手のためにも、今後も一生懸命応援していく。
418:🎏 通信簿:2013/9/5(木) 02:01:14 ID:KlUGwtFkK.
名前:中村闘球
身長:171cm
体重:76kg
特記:超高校級のラガーマン
獲得情報:1
ラグビーの和名・闘球を名前として授かった中村。
名付け親は父親のようだが、そんな父親の思惑通り名を体で表す男に成長した。
獲得情報:2
ラグビーを始めたきっかけは、名前と、その名前を付けた父親の期待だったそうだ。
興味はないけど、自分の名前がこんなのだからと、気楽な考えでラグビーの道を選んだ。
獲得情報:3
日本ではメジャーなスポーツではないため、高校から始めたとしても、全国大会は夢じゃないらしい。
左雨も是非と、中村はラグビー人口を増やすべく必死に勧誘していた。
獲得情報:4
左雨からすれば十分筋肉質な体だが、中村としては軽く小さい恥ずべき体と考えている。
世界で戦える体にするため、身長も体重も増やしたいらしい。それも、筋肉だけで体重を増やし、スピードを殺したくないそうだ。
獲得情報:5
名前的にやらざるを得なかった、そんなきっかけだったからこそ、厳しい練習に心が折れそうになったこともあったそうだ。
名前や父親に生き方を強いられている感覚に陥り、それらを憎んでしまう時もあったらしい。
獲得情報:6
仲間と共に厳しい試合を勝ち抜いた時の感動は、何より大切な宝物である。
憎んだ時こそあったけど、今はラグビーと、それに関わる生き方をくれた父親に感謝している。
419:🎏 名無しさん@読者の声:2013/9/5(木) 08:44:20 ID:h5se/7Z43A
おつかれです。
スポーツ選手全滅かぁ。
CCC
420:🎏 名無しさん@読者の声:2013/9/5(木) 09:21:30 ID:68pPOCYMt.
次回も楽しみにしてます

CCCC
421:🎏 名無しさん@読者の声:2013/9/13(金) 19:47:21 ID:148ffiiHsw
すごく期待しています、無理せず頑張ってください!
422:🎏 名無しさん@読者の声:2013/9/17(火) 23:05:22 ID:aKuxnsk6wI
更新楽しみに待ってまーす
423:🎏 :2013/9/20(金) 00:37:33 ID:2s1I2PQDH.
チャプター3
「ボクタチハナカヨシ」

校舎に戻り、そのまま寄宿舎エリアに戻った。
深夜に事件が起こり、そのまま捜査して裁判して、今現在である。なので、すっかり朝方になってしまった。
捜査中や裁判中だと狂気の中に俺達は在って、あまり意識がそっちに向かないのだが、終わった今になって眠気は牙を剥く。
それは皆も同じなようで、もう自由時間として各々休むことにしようということになった。
そういうわけで遠慮なく部屋に戻る。
ちょっとシャワーでも浴びようかと考えたが、校則的には未だ夜時間のようで、シャワーは使えなかった。
仕方がないからそのままベッドに倒れ込む。夜通し狂った裁判で気が滅入ってんだ。ここいらで眠気に逆らわず意識を遠のけた方が良い。
……そうは思ってるのだが、なかなか寝る気にはなれない。
裁判は終わっても、仲間の死を簡単には終わらせる気になれないからかな。あの残忍な光景がちらついて、なかなか眠れない。
424:🎏 :2013/9/20(金) 00:38:44 ID:2s1I2PQDH.
仕方がないので横になったまま、いろいろ考えてみる。
ここにきてから、いろんな絶望を見てきた。

水留崇がモノクマに殺されて。
百目鬼良子が本田川佑子に殺されて。
本田川佑子は処刑となって。
場明日虎美が中村闘球に殺されて。
この度、中村闘球も死んでしまった。

この学園生活の数日で、実に五人も人が死んでしまった。
そんな異常に晒されて、皆の精神もだいぶ参ってんじゃなかろうか。実際、俺もそんな感じだ。
こうして現に、とても眠たいはずなのに、それらを思い出して寝れなくなってしまっている。
寝なきゃまずいんだけどな。こうも疲弊してては、頭も体も働かない。
425:🎏 :2013/9/20(金) 00:40:06 ID:2s1I2PQDH.
一方で、こういう現状で休むこともままならないことに安心感を覚える自分もいた。
人が死ぬということに、恐怖して、寝ることもうまくできない。
それは、人が人を殺すことを、悪いこと怖いことと捉えて、異常だと認識しているからに他ならない。
俺はこの狂った学園生活の中でも、人の命を慮り大切に扱えているということだ。
簡単に命を奪い楽しむモノクマに対して怒り、その現状に恐怖して震え、だから精神の負担となって寝るのも食うのも難しくなる。
ある意味では、それが俺が正常であると教えてくれているようにも思える。
俺はモノクマなんかの同類じゃない。それは、闘球もエリカも教えてくれたことだ。
この学園生活で、俺はまだ人間をやれているんだ。それを思うと、嬉しくて仕方なかった。

この安堵感がきっかけとなったのか、間もなく俺は寝ることとなる。
これで体も脳も回復するだろう。続く学園生活を乗りきるためにも、また明日から頑張ろう。
その内意識は夢へと吸い込まれていったのだった。
426:🎏 :2013/9/20(金) 00:44:36 ID:2s1I2PQDH.
〜モノクマ劇場〜

とうとう始まりましたね。偽物の絶望学園物語が!15人のコロシアイ学園生活がスタートしました!
ゆとりの素人が書いてても、やっぱりボクはかわいいですね!
うん?もう二回も裁判やってるだろ今更何言ってんだって?
うぷぷ、そういうことじゃないんです。これを書き溜めてる最近にスレを立てたんです!
正確に言いますと、中村くんの裁判の序盤くらいでスレを立てました。
だから死んでった百目鬼さんも本田川さんも、これを書いてる段階では、スレの方ではまだ生きてます!
あ、でも水留くんはどちらにせよもう死んでるね。うぷぷぷ!
とにかく、そういうことなんです。ちなみにガンガン書き溜めが減っていってます。
正直書き溜めが異常なペースで使われてるんですよね。このままだと書き溜め切れちゃいますよ。
まあその時は未完庫に出して逃亡でもしようかな。かわいいボクだから許されますよね!

追記:やっぱり駄目だったよ。チャプター終わりにプチ夏休みを何度か設けてしまいました。
そしてそれは今後も続きそうです。書き溜めも十分じゃないまま始めたからだね。うぷぷ、これって絶望的だね!
427:🎏 名無しさん@読者の声:2013/9/20(金) 21:38:35 ID:3VgpUc469U
しえん
428:🎏 :2013/9/21(土) 00:40:08 ID:2s1I2PQDH.
目を覚ますと、もう昼を過ぎていた。朝方に寝ただけあって、盛大な寝過ごしである。
さすがにこんな時間なら、皆も起きているんじゃないだろうか。
そういうわけで、朝シャンならぬ昼シャンで簡単に体を洗うと、俺はとりあえず食堂に行ってみるのだった。

食堂に着くと、全員が揃っていた。何て言うか、いつも俺が最後のような気がする。気のせいか?
それはともかく、大半が寝起きのようだ。まあ朝方寝たというなら致し方ないことじゃないかな。
輝穂だけは昼前に起きて皆の食事を用意してくれていたらしい。天使。
そういうわけなので、遠慮なくいただく。こんな状況でも腹は減るからな。
輝穂飯にがっついてると、食べながらで構わない、と前置きしてから小百合が切り出した。
429:🎏 :2013/9/21(土) 00:41:59 ID:2s1I2PQDH.
中後小百合「さて、仲間が減った一夜を越えて、皆の気持ちはどうなってる?」

白鳥輝穂「仲間……今日まででずいぶん減ってしまいましたね。とても……とても悲しいです」

黒魔帝兎「だが、俺たちに立ち止まる余裕などない。苦しみを乗り越えて、この10人で生きて出るぞ!」

中岡笑「えらく変わりましたね……」

中後小百合「裁判をきっかけに単独行動を取ろうとした人間が、こうも変わるかね」

黒魔帝兎「気にしてるんだから掘り返すなよ……突っぱねて孤独を選んでも、悲劇は起こる」

黒魔帝兎「それに、皆で協力しようというのは、場明日の望んでいたことでもある。だから俺は、手を取り合う未来を目指す!」

夜桜愛梨「成金糞野郎の言う通りです。私達は手を取り合う必要があります」

肉丸健太「事件は僕達の中の誰かが起こす……だから手を差し出すのは怖いよー。でも……」

キング「我らはお互いを信じて、繋がることが出来ると信じよう。さすれば道は開かれるであろう!」

相田鳥子「ふむふむ。つまりどういうことだー!?」

氷室エリカ「本田川さんの裁判でバラバラになった私達だけど、今は裁判でも揺るがない絆を手に入れたってことだよ!」

左雨瑞樹「そうだな。正直それが怖かったけど……今回は大丈夫っぽいな」
430:🎏 :2013/9/21(土) 00:43:53 ID:2s1I2PQDH.
中後小百合「私達の絆とやらは、中村の裁判を目の当たりにしても、揺らがないか。良いことだな」

黒魔帝兎「……拒絶したって何にもならないからな。大切なのは信じる心だ!」

中岡笑「変わりすぎでしょ、これは……」

中後小百合「話を進めよう。我々はこれまで何度か、この学園の真実を予想したりしたな」

氷室エリカ「本当にここは希望ヶ峰学園なのかーとか、そういう感じの話をね」

中後小百合「しかし、その事実関係は最早あまり意味を成さないと言ってもいいだろう。もう事件は起きている。助けも来ない」

左雨瑞樹「俺達に必要なのは、ここから出る術ただ一つ。それを重点的に話していくべきだと、そういうことか?」

中後小百合「さすがリーダー殿は理解が早い。助かるよ」

左雨瑞樹「おいおい、俺がリーダーとか……」

肉丸健太「適任だと思うよー。だって左雨くんがいなかったら、たぶん皆死んでたよー」

夜桜愛梨「本田川さんがクロとして卒業して、私達は全滅。その場合、本田川さんも罪悪感で潰れてたでしょうね」

氷室エリカ「瑞樹くんは貧乏くじで嫌々やってるだけって言うかもしれないけど、それのおかげで皆が救われてるんだよ!」

白鳥輝穂「左雨さんは御謙遜なされますが、先頭に立って私達を導くに相応しい人物だと思いますよ」

夜桜愛梨「この私が、雇っていただいたご主人様でもないのに、糞野郎と罵るのを躊躇うのはあなたくらいですよ」

左雨瑞樹「お、おう……何だこの状況。何かむず痒いわ……」
431:🎏 :2013/9/21(土) 00:45:53 ID:2s1I2PQDH.
左雨瑞樹「お前ら、適当なこと言って、兎達が仲間から外れた時みたいに面倒なことを押し付けようっていうんじゃないだろうな?」

中後小百合「そのつもりならこっちも茶化しながら言うさ。本気だからこそ、真面目に言ってる」

氷室エリカ「中後さんの場合、全ての発言が茶化してるように聞こえるけどね」

中後小百合「ん、そうか?そうなのか、はっはっはっ」

夜桜愛梨「とにかく、私達は真面目に言ってます。ていうか、黒魔帝くん達が単独行動を図った時だって、真剣にリーダーを託しましたよ」

白鳥輝穂「左雨さんさえよければで構いませんので、私達を導くリーダーとなっていただきたいです。お願いできますでしょうか?」

左雨瑞樹「あー……輝穂にそう言われちゃ断れねえなあ。わかったよ、頑張ってみるよ」

氷室エリカ「……ねえ。瑞樹くんって白鳥さんに対して異常にデレデレしてない?」

左雨瑞樹「してるよ。だってかわいいもん」

白鳥輝穂「えっ!?えっ!?」

氷室エリカ「……こ、この男は本当に……!」

黒魔帝兎「左雨……鈍感も過ぎると罪だぞ。素直になってやれよ」

左雨瑞樹「鈍感?素直?何を言ってんだ、お前?」

黒魔帝兎「……中後。人の恋愛に首を突っ込んで茶化すのって面白いな」

中後小百合「だろう?その内病み付きになるぞ」
432:🎏 :2013/9/21(土) 00:47:22 ID:2s1I2PQDH.
中後小百合「さて、おふざけはそろそろ切り上げよう」

中後小百合「左雨。今後に関してお前の見解を聞きたい」

左雨瑞樹「……一応考えはある。脱出に関して、どうしていけばいいのかっていう考えは」

キング「貴様には既に未来が見えてるというのか?」

左雨瑞樹「見えてるっていうか、何をやろうっていうのは考えてるって」

中岡笑「それはどういう考えですか?」

左雨瑞樹「……信頼関係がなければ危険なことかもしれない。それでもやっていいのか?」

夜桜愛梨「やるかどうかは、あなたが決めればいいことだと思います。よほどふざけた案でもない限り、私達は反対しませんよ」

氷室エリカ「それに、信頼関係を問うのなんて野暮だよ!私達は皆を……瑞樹くんを信じてるから!」

左雨瑞樹「そっか……ありがとう。それじゃ話すよ。俺の考えてること……」
433:🎏 :2013/9/21(土) 00:48:53 ID:2s1I2PQDH.
左雨瑞樹「……っていうことなんだけど」

黒魔帝兎「確かにそれは……危険性が伴う案だな」

氷室エリカ「……でも、私はやってみてもいいと思うよ。やらないよりはやる方が状況も変わるよ!」

夜桜愛梨「何もやらない現状が最低の状況でもありますしね。今更恐れる必要もないかもしれません」

白鳥輝穂「ちょっと怖いですけど……やってみましょう!」

左雨瑞樹「ありがとう。それじゃ、今後の方針はそれで行こう」

相田鳥子「結局どうなったんだー!?」

肉丸健太「今話したでしょー。ちゃんと聞いてなよー」

相田鳥子「どこにも書いてねえじゃねえか!馬鹿かー!?」

肉丸健太「相田さん、SS的な表現だから……そう遠くないうちにちゃんと内容も明らかになるから……」
434:🎏 :2013/9/21(土) 00:51:52 ID:2s1I2PQDH.
中後小百合「それで左雨、決行はいつにするんだ?思い立ったが吉日、今すぐにでも始めるか?」

左雨瑞樹「いいや。昨日の今日だからな。疲れもあるだろうし、皆昼過ぎ起床で時間もあれだ。明日の朝からきっちり始めよう」

キング「ならば永劫の狭間で、我らは神々の加護により癒されることが許されるのか?」

黒魔帝兎「は?」

左雨瑞樹「……今日一日くらいなら、俺らはゆっくりしてもいいのかってことかな?」

キング「いかにも」

中岡笑「何でわかるんですか……」

白鳥輝穂「とにかく、今日はゆっくりしましょう。明日から脱出に向けて厳しい日々となりますから」

中後小百合「そうだな。左雨案はハードワークだ。キング風に言うなら、神に甘えて癒されても許されるだろう」

相田鳥子「なー、ひだりあめの案って、どこ呼んでも書いてねえぞー。馬鹿なのかー?」

肉丸健太「相田さん、次の次の更新あたりでちゃんとそれに触れるから、もうそろそろ黙ろうねー」

左雨瑞樹「あと、俺の名前はささめだからな」

夜桜愛梨「とにかく、今日は自由時間でよろしいのですね?」

氷室エリカ「そうだね。皆好きに休んじゃっていいんじゃないかな」
435:🎏 :2013/9/23(月) 00:13:13 ID:2s1I2PQDH.
昨日の今日でいろいろと大変だから、明日から頑張ろうということで今日はもう自由時間とした。
結局何をするかっていうのは読んでる人には伝わってないかもしれないが、大丈夫だ。近々触れる予定ではある。

それより自由時間だ。はてさてどうしたものか。
なんて悩んでいると、意外な人物からお誘いが来た。

「リーダー殿。予定がないなら私の部屋に寄っていかないか?」

中後小百合である。
台詞だけだと食えない人物としか感じられないかもしれないが、彼女も普通に美少女だ。
そんな女子に部屋に誘われてるんだ。ときめかない方が男子としておかしいんじゃないだろうか。
こんな学園生活での呼び出しだと、普通は警戒が必要なのかもしれないが、そこは俺達だ。信頼関係があるから大丈夫だと思う。
というわけで、遠慮なくその提案に乗っかって、小百合の部屋に邪魔させてもらった。
436:🎏 :2013/9/23(月) 00:15:45 ID:2s1I2PQDH.
部屋の中は至ってシンプル。狂った学園生活を強要された初日のまま、姿を変えてはいなかった。
モノクマメダルでいろいろ買って飾り付けなんかも一応できるはずなんだけど、小百合は一切手を付けていなかった。

「別に部屋に個性を持たせなければ死ぬわけでもなかろう?」
と言ってる辺り、何とも小百合らしいフランクな部屋に思える。
面倒臭いから現状維持さえできれば満足らしい。小百合ならそうだろうな、といやに納得できてしまった。

「女子らしくない部屋で悪いな。ときめき損させてしまったんじゃないか?」

小百合はそう言った。女子らしくないとは確かに思ったが、小百合らしいとは思う。俺はそれでいいと思うよ。
437:🎏 :2013/9/23(月) 00:24:35 ID:2s1I2PQDH.
さて、わざわざ小百合の方から誘って、俺は今ここにいるんだ。
ならば、何らかの用事があったと考えるのが妥当だ。
理由なんてない、お前と一緒にいたかったんだ……っていうような感じでも一向に構わんが。

「お前と氷室の恋愛について、少々お節介を焼いてやろうかと思ってな」

全然違った。ていうか、俺とエリカの恋愛って何だ。そう言う間柄じゃねえから。

「そいつは違う。……ははは、お前のこの台詞、一度言ってみたかったんだよな」

別に特許は取ってねえから、それに関しては好きなだけ言ってくれ。
で。そいつは違うって、何が違うんだ。俺とエリカは恋愛的な間柄だと言いたいのか。

「そうだ。知っての通り、私は人の恋愛を茶化すのが好きでな。でも、茶化す相手方がうまくいくよう願ってはいる」

小百合は真剣な表情をしながらそう言ってきた。
恋愛ねえ……本当にそうなのか、俺はエリカのことを思い返してみた。
438:🎏 :2013/9/23(月) 00:27:39 ID:2s1I2PQDH.
左雨瑞樹「……確かに、エリカは俺のことが好きだろうって、他の奴も言ってたな」

左雨瑞樹「エリカに関してはマジで恋愛的な感情で俺と絡んでるのかな?そうなのかなあ……」

中後小百合「左雨、お前も素直になれ」

左雨瑞樹「……俺が、素直になる?」

中後小百合「お前が彼女の支えになっているように、お前も彼女に支えられてるはずだ」

中後小百合「お前らは互いに特別なはずだ。それを、ただ素直になれないだけで受け入れないのは馬鹿げている」

中後小百合「私は今、野暮なことをしてるとは思う。だが、今この生活は異常で、何が起こるか分からん」

中後小百合「……黒魔帝と場明日も、あんな悲しい最後を迎えてしまった」

左雨瑞樹「……」

中後小百合「お前は私にとって恩人だ。モノクマにあのDVDを見せられて絶望し、過ちを犯しそうになった私を救ったのはお前だ」

中後小百合「先生を想うなら間違えるな、と。ピアノを弾くためにあるこの手を傷つけるな、と。お前は私を止めてくれた」

中後小百合「感謝してるんだ、これでも。だからお前には後悔してほしくない。だからこそ、いらないお節介を焼こうと決意したのさ」

中後小百合「本当は自然にくっつくのを待つのが一番なんだろうけどな。私はお前が氷室と共に幸せになってほしいと考えてる」
439:🎏 :2013/9/23(月) 00:32:32 ID:2s1I2PQDH.
左雨瑞樹「……素直になれって言われても、俺自身よくわかんねえよ」

左雨瑞樹「エリカに支えられてるってのは、本当にそう思う時もあるけど、これって恋愛感情なのか?」

左雨瑞樹「そうだとしても、素直に認めるとか恥ずかしいよ。お前はそういうの素直に認められるのかよ?」

中後小百合「私は先生が好きだ。ピアノを教えてくれたあの人を愛している」

左雨瑞樹「えっ……」

中後小百合「親から押し付けられただけだった習い事のピアノを、私の生き甲斐へと昇華させてくれた」

中後小百合「私のために、自分のことのように熱心に教えてくれるあの人に惹かれた」

中後小百合「上手くいって一緒に喜んでくれた。失敗して悲しむ私を励ましてくれた」

中後小百合「気付けば私の人生には常にあの人がいてくれた。私はもうあの人無しの人生など想像できなくなっていた」

中後小百合「だから私は、あの人を愛すると決めた。報われるかどうかは別にして、この気持ちは一生涯貫く覚悟だ」

中後小百合「どうだ左雨?私は恥ずかしい馬鹿げたことを言ってるか?」

左雨瑞樹「……いや、凄い立派だと思う。真っすぐに人を愛せて……何か、すげえよ」

中後小百合「ふふふ、そう言ってくれて嬉しいよ」

中後小百合「そうなんだ、左雨。人が人を愛することは何も恥ずかしいことじゃない」

中後小百合「だからこそ、お前にだけはうまくいってほしいんだ。黒魔帝は悲劇を迎えたし、最悪私の恋愛も手遅れだからな」

左雨瑞樹「そうか……小百合のDVDの内容って……」

中後小百合「……」
440:🎏 :2013/9/23(月) 00:35:26 ID:2s1I2PQDH.
中後小百合「とにかく、私の言いたいことはこれくらいだ。すまんな、説教みたいなことをしてしまって」

左雨瑞樹「いや、構わねえよ。少し考え事をする、いいきっかけにはなったよ」

中後小百合「そりゃどうも。はは、やはり人の恋愛に首を突っ込むのは面白い。金では解決できん楽しみだよ」

左雨瑞樹「本当に食えねえ奴だな、お前は」

中後小百合「褒め言葉として受け取っておこう。ありがとう、左雨」

中後小百合「私の用事は以上だ。貴重な自由時間を蝕んだな。今からでも遅れを取り戻してくれ」

左雨瑞樹「いいや、お前みたいな綺麗な女と過ごすのも悪くない。貴重な自由時間を有意義に使ったよ」

中後小百合「ふふふ、言ってくれる。さすがの優男だ。氷室も苦労するはずだ」

左雨瑞樹「……そんなにエリカは苦労してんのか?」

中後小百合「加えてこの鈍感だ。氷室にはただただ同情するよ」
441:🎏 :2013/9/23(月) 00:39:21 ID:2s1I2PQDH.
小百合の部屋を出てから、俺は寄り道もせずに真っすぐ自分の部屋に帰った。まあ隣だから寄り道のしようもないが。
全てを自由時間とした今日だが、もうずっと部屋に籠って考え事でもしてよう。
考え事の内容は……ここまで読んできたら言うまでもないよな?

氷室エリカ。最初は無口で無愛想な女子だった。
佑子に言われて絡むようになり、緩やかに喋れるようにもなった。
そして会話術の本をあげたら、もう別人っつーくらい明るくおしゃべりな女の子になった。
そんなエリカを度々支えた自覚はある。エリカが俺だけ名字じゃなく名前で呼んでるってのも皆から指摘されて気付いた。
小百合が言うように、本当に俺に恋愛感情を抱いてんのかね。

そして思い返せば俺もエリカに度々支えられていた。
DVDの件で辛い時も、佑子の裁判後に皆の心がバラバラになった時も、そして闘球の裁判の時はエリカの言葉が俺を救ってくれた。
思えば俺はこの学園生活でエリカと共に生きていた。大抵の場面でエリカと一緒だった。辛い時はエリカが支えてくれた。
そしてそれが当たり前という感覚にもなっている。今エリカがいなくなることを考えると、確かに苦しい。
俺のこれって恋愛感情なのかな。交際経験のない俺にとっては、難しい脳内迷宮である。考えどゴール出来そうな雰囲気はない。
442:🎏 :2013/9/23(月) 00:41:15 ID:2s1I2PQDH.
結論は出ないまま時間だけが過ぎていった。これもう考えてもわかんねえな。
こうしているうちにも明日がじわじわとにじり寄っている。
自分から、明日から脱出のための行動を起こすと言っているんだ。これで夜更かしでもして朝を寝過ごせば格好がつかない。
仕方がないので寝る準備を済まそう。夜時間で立ち入り禁止になる前に、食堂行って何か食おう。腹減ってても寝られないし。
それでシャワー浴びて、ゆっくり寝て明日に備えよう。明日から、たぶん激動の日々が始まるだろうし。

上記の通りの行動をして、いつでも寝られる状態に入った。これで大丈夫だ。
健全な男子なので、エリカのこともすっごい気になるけど、それは一旦リセットだ。
明日から、脱出のために行動を起こす。今はそれに集中しなければ。
そんなことを考えながら横になってると、ちょうどいい具合に眠気が来てくれた。
これで睡眠はばっちりだ。明日に備えられるだろう……その内意識は夢の中に移った。
443:🎏 :2013/9/23(月) 00:44:06 ID:2s1I2PQDH.
〜モノクマ劇場〜

恋愛。それは甘酸っぱい青春です。素晴らしいですよね。
男が女を好きになり、女が男を好きになり、たまに同性のイレギュラーな恋も始まり。
愛を育んで、アレをナニに突いたりして、結果子どもができちゃって。
子育てに追われて、生活から楽しさがなくなって、いつしか絶望して。
どっちかが浮気をして、責任のなすり合いをして、口論の末に殺人事件になっちゃったりして。
恋愛。ちょっと苦い感じになりましたが、素晴らしいことに変わりはないですよね。
444:🎏 :2013/9/25(水) 01:18:20 ID:RF053vPCrY
目覚まし代わりの朝の放送で起床。
今日に備えてちゃんと寝たから、調子の方は万全だ。これなら無問題である。
ささっと準備を済ましてから、食堂へと向かった。

食堂に行くと全員が集まっていた。皆すげえな。どうやってそんな早く行動してんだ?

「おはよう、瑞樹くん!いよいよ今日あれをやっちゃうんだよね!」

エリカが挨拶してきた。それでふと昨日のことを思い出し、思わず顔を逸らしてしまった。

「どうしたの?様子変だよ?心なしか顔も赤いし」

続けてエリカが言う。俺ってそんなにわかりやすい生き物だったのか。客観的に自分を見ることってやっぱ難しいんだな。
そして小百合はニヤニヤしながら俺を見るな。自然と赤くなるみたいだから仕方ねえだろ。
445:🎏 :2013/9/25(水) 01:20:59 ID:RF053vPCrY
気を取り直して、俺は今一度確認を取った。

左雨瑞樹「昨日も言ったけど、今日から例の作戦を実行しようと思う。もっかい聞くけど、皆はこれでいいんだよな?」

黒魔帝兎「ああ。俺達は左雨の案に乗っかる」

キング「貴様の英知で我らの未来を照らして見せよ!」

中岡笑「何で乗っかる立場でそんな偉そうなんですか……」

夜桜愛梨「とにかく、私達は反対しません。やりましょう、左雨くん」

左雨瑞樹「そうか……わかった。じゃあ俺は行ってくる」

白鳥輝穂「お願いします。それまでには朝食の準備を済ましておきますので」

確認も取れたし、輝穂が飯を用意して待ってくれるらしい。これはもう行くしかない。
というわけで、俺は大量のモノクマメダルを手に、購買部へと向かった。
446:🎏 :2013/9/25(水) 01:22:50 ID:RF053vPCrY
モノクマ「いらっしゃーい!殴殺から呪殺まで、殺しを見つめるモノクマです!クマー!」

左雨瑞樹「……それって、絶対に言わなきゃいけないのか?」

モノクマ「そんなわけないじゃない。気に入ってるから言うだけだよ!」

モノクマ「それより購買部に何の用?うちは一見さんお断りだよ!」

左雨瑞樹「どんな購買部だよ……ここに来る用事なんか一つしかないだろ」

モノクマ「ですよねー。じゃあさ、何が欲しいわけ?エロゲーでも売ってあげようか?」

左雨瑞樹「いらん」

モノクマ「即答ですよ……さすがリア充、二次に逃げたりしない……」

モノクマ「それで、何を買うんですか?殺しのアイテムでも売ってあげましょうか?」

左雨瑞樹「ああ、それを頼む」

モノクマ「……んん?左雨くん、今のはマジですかい?」

左雨瑞樹「ああ。正確には、爆弾とかそういう爆発系を出来るだけたくさん売ってくれ」
447:🎏 :2013/9/25(水) 01:28:45 ID:RF053vPCrY
モノクマ「おお!ついに左雨くんも殺る気になりましたか!」

モノクマ「殺したくない、でも出たいという、ゆとり全開だった左雨くんも、成長して前向きに殺してくれるようになったんですね!」

モノクマ「学園長になった甲斐がありました。ボクは生徒の成長に涙します。およよ……」

左雨瑞樹「馬鹿。誰かを殺すわけじゃねえよ」

モノクマ「またまたぁ。爆発物なんか他にどんな使い道があると言うんですか?何か爆弾絡みのトリックでも思いついたんでしょ?」

モノクマ「大丈夫です!ちゃんと裁判の判決の時までクロであるのを隠しといてあげます!だから遠慮なく殺っちゃおう!」

左雨瑞樹「だから違うって言ってんだろ。俺が……俺達が爆発物で試みるのは、校内の破壊だ!」

モノクマ「……校内の破壊?」

左雨瑞樹「俺達はこれまで校内をたくさん調べてきた。それでわかったのは、脱出口はないということだ」

モノクマ「そりゃあねえ。あんだけ気合い入れて封鎖したんだもん。そりゃ出れっこないよ」

左雨瑞樹「ならばもう自分達で脱出口を作るしかないという結論に至った。でも、これまでにも良子や闘球が校内の破壊を試みてくれた」

モノクマ「それで駄目だったんでしょ?いくら超高校級のプロレスラーやラガーマンと言っても、人間が素手で壊せる代物じゃないしね」

左雨瑞樹「だからこそ、ここで売ってある爆発物を使って、校内の破壊を試みるんだ!」
448:🎏 :2013/9/25(水) 01:35:17 ID:RF053vPCrY
左雨瑞樹「玄関ホールの扉や各所の窓に張り付けてある鉄板をどうにか出来れば直接脱出に繋がるし」

左雨瑞樹「それが無理でも、上階への階段を塞ぐシャッターを破壊できれば、探索範囲が広がる」

左雨瑞樹「お前が頑なに封じる上階へと進めれば、何か重要な手掛かりも見つかるかもしれないしな」

モノクマ「おいおい、左雨くん正気ですかい?そんな動機で武器を大量購入しちゃったら、誰かが殺害に使っちゃうかもよ?」

モノクマ「脱出口をつくるために、皆で校内破壊を目的に使うんでしょ?ボクは、その中から殺害に使っちゃう生徒が出ると思いますよ」

モノクマ「もちろんボクはそれでいいと思いますけど!偽善者でゆとりのオマエラからすれば好ましくない展開なんじゃないの?」

左雨瑞樹「……確かにその可能性は危惧した。だから俺も内心躊躇ってはいた」

左雨瑞樹「でも、この計画を話して、皆は賛成してくれた。俺を信じてくれた」

左雨瑞樹「なら俺は、そう言う皆を信じて、この考えを通すだけだ!」

モノクマ「寒いなー左雨くんは。今時そんな信じる心とか、草生やす気にもならないくらい激寒ですよ!」

モノクマ「信じたら信頼に応えてくれた。やっぱり人は無条件で信じる物だね!……こんな寒い話じゃ、今の御時世誰も見ませんって」

モノクマ「人は疑う物です!人は拒む物です!そして人は殺す物です!この学園生活で自分以外を信じるなんてバッカじゃなかろかルンバ!」

左雨瑞樹「俺達は仲間だ!掛け替えのない大切な存在だ!そんな仲間を信じないで、何を信じろっていうんだ!?」

モノクマ「その仲間が仲間を殺すんだよ!結局、大層な言葉を選んでもそれは他人に過ぎないよ!だから信用して馬鹿を見るんです!」
449:🎏 :2013/9/25(水) 01:36:54 ID:RF053vPCrY
左雨瑞樹「……もうやめよう。闘球の裁判の時にお前も言ってたけど、俺達は違う生き物だ。意見が交わることなんてない」

モノクマ「そうそう、人とクマですからね。どんだけ楽しくおしゃべりしても、結局は平行線です」

左雨瑞樹「だからお前はさっさと爆弾とかそういうのを売れ。それを用いて俺達は脱出する」

モノクマ「あのねえ、左雨くん。学園を破壊するとかいう尾崎豊みたいなことを学園長が許可すると思う?」

左雨瑞樹「殺害する許可は出てるじゃねえか」

モノクマ「この学園では、ばれなきゃ殺しはオッケーですからね。校則にも書いてある常識だよ!」

左雨瑞樹「その常識に則って考えれば、校内を武器で攻撃するのもいいんじゃないか?」

モノクマ「ほえ?」

左雨瑞樹「希望ヶ峰学園について調べるのは自由で、特に行動に制限は課せられてはいない。校則に書いてあることだ>>46

左雨瑞樹「監視カメラの破壊は禁じているが、それ以外では特に注意書きもない」

左雨瑞樹「つまり、武器を用いて校内を破壊できるかどうか調べる行為に対して、お前が咎めることはできない!」

モノクマ「な、なんだってー!?」

左雨瑞樹「もう一度言うぞ。お前はさっさと爆弾とかそういうのを売れ」

モノクマ「むむむ。わかりましたよ、ボクは君に爆弾を売ってあげます!」
450:🎏 :2013/9/25(水) 01:39:24 ID:RF053vPCrY
モノクマ「それじゃどの爆弾を買うか選んでください。やっぱ破壊力を求めてダイナマイトにする?使いやすいのは手榴弾かな!」

左雨瑞樹「正直こっちは素人で、破壊に適してるのがどれだかわからないからな。だから両方よこしてくれないか?両方試してみる」

モノクマ「毎度ありー!あとは時限爆弾とかもあるよ。時間設定とかはボクがしてあげるし、今なら安くしときますよ?」

左雨瑞樹「いや、時限爆弾はいい。お前の手を借りる気はないし、校内の破壊はその場で試みればいい話だ。時間設定して遠隔操作する必要はない」

モノクマ「何だよ、つれないなあ。結局ダイナマイトと手榴弾だけでいいんだね?それで、どれだけ買うの?」

左雨瑞樹「このモノクマメダルで買えるだけ買う」

モノクマ「うほっ、左雨くん超お金持ちじゃないですか。こんなお金、どうしたんです?」

左雨瑞樹「いや……何か探索の度に見つけてしまうし、何故か裁判が終わると凄い増えてんだよ」

モノクマ「あーなるほど。原作でもそういう仕様ですからね」

左雨瑞樹「原作?」

モノクマ「左雨くんは知らなくていいのです。とにかく、ダイナマイトと手榴弾の大人買いだね?合点承知しました!」

左雨瑞樹「原作って何の話だよ……うわ、多いな」

モノクマ「そりゃこれだけのモノクマメダルで大人買いすればこんな量にもなるよ」
451:🎏 :2013/9/25(水) 01:42:35 ID:RF053vPCrY
左雨瑞樹「これを使って、玄関ホールのあの扉や、窓に打ち付けられてる鉄板をどうにか出来れば……」

モノクマ「出来ればいいですねえ。ちゃんとそれらに使えればいいですねえ」

左雨瑞樹「……黙れよ。俺達は仲間同士で殺し合うために使ったりしない」

モノクマ「二度も裁判やっておいてよく言えますね。左雨くん、認知症じゃないんですか?」

左雨瑞樹「言ってろ。とにかく俺達はこれで脱出してやるからな」

モノクマ「黙れと言ったり、言えと言ったり……最近のゆとりは簡単に矛盾するお馬鹿ちゃんですね!」

左雨瑞樹「……」

モノクマ「今度はシカトですか。相手を無視して自分の都合で振り回すなんて、これだからゆとりは困ります!」

モノクマ「……行っちゃいましたね。もうちょっと反応して怒ってくれないとつまらないんですけどね。無駄なスルースキル乙とまとめておきましょう」

モノクマ「仲間だから信じる……そんな笑える友情ごっこが、いつ絶望に染まるのか、ボクは見守ることにしようっと。うぷぷぷぷ!」
452:🎏 最近パソコンの調子が最悪だから、今後も更新遅くなるかも:2013/9/29(日) 01:50:51 ID:ZCDIfBlKBE
目的の爆弾は無事に購入できたから、後はもう食堂に戻るだけだ。
というわけで、モノクマを無視して俺は足早に購買部を去った。あいつと一緒にいるとイライラするしな。
これでいよいよ脱出できるかもしれねえ。そうでなくとも、戻れば輝穂が作った飯が食えると思えば、心も踊るってもんだろ。
大量の爆発物を持って、相当な重量によろけながらも、俺はようやく食堂へと辿り着いたのだった。

左雨瑞樹「重てえ……おーい、爆弾買ってきたぞ」

氷室エリカ「おかえり!うわあ、たくさん買ったねえ。これで玄関ホールの扉とかを爆破できるね!」

中岡笑「……はたから聞いてたら恐ろしすぎる会話内容ですよね」

中後小百合「おかしい学園に住んでいるのだから、それに伴って言動も多少おかしくはなるさ」

中後小百合「まあとにかく、私達の脱出に関する重要アイテムは手に入ったってことだ」
453:🎏 :2013/9/29(日) 01:52:13 ID:ZCDIfBlKBE
黒魔帝兎「ダイナマイトに手榴弾か。爆弾と聞かれて思い浮かぶ定番どころだな」

夜桜愛梨「黒魔帝くん、今何と言いました?」

黒魔帝兎「ん?爆弾で思い浮かぶ定番どころだなって」

夜桜愛梨「そうじゃなくて……今、てりゅうだんって言いませんでした?」

黒魔帝兎「言った。それがどうした?」

夜桜愛梨「……しゅりゅうだん、じゃないんですか?」

黒魔帝兎「ああ……これって正確にはてりゅうだんと読むのが正しいんじゃないのか?」

中後小百合「私もてりゅうだんっていう方が正しいとは思うな。まあ素人意見だが」

白鳥輝穂「うーん……しゅりゅうだんっていう方が聞きなれてるようにも思いますけど……」

黒魔帝兎「正確な呼び方はてりゅうだんのような気がするんだが」

中岡笑「いや、ぶっちゃけ死ぬほどどうでもいいんですけども」

左雨瑞樹「どっちも正解なんじゃねえの?現代で聞きなれてるのはしゅりゅうだんだけど、昔はてりゅうだんって呼んでたような」

相田鳥子「そうなのか!?じゃあ、てきるだまっていうのもまちがいじゃないんだな!」

氷室エリカ「いや、相田さんのそれは確実に間違いだと思う」
454:🎏 :2013/9/29(日) 01:53:54 ID:ZCDIfBlKBE
肉丸健太「くだらないことで盛り上がってるねー」

中後小百合「それが悪いこととでも言いたいかい、肉の字?」

肉丸健太「いや、そうじゃなくってさ。肉の字って何?」

中後小百合「気まぐれだ。気にしないで続けてくれ」

肉丸健太「……何か最近くだらないことで盛り上がることもなくてさ、久々にちょっと楽しかったかなーって思ってさー」

キング「我らは呪われた鳥籠に囚われし迷い子。しかし、青空への希望が灯る今、羽を広げる時が来たと知る!」

左雨瑞樹「……俺達は今まで狂った学園に閉じ込められてたけど、脱出の期待が生まれたことで、気持ちが前向きになってるってことか?」

キング「左様」

黒魔帝兎「よくわかるな、お前……」

左雨瑞樹「確かに今までは、校内を捜査して、脱出口がないか探してきた。そして見つからず、気持ちは落ちるばかりだった」

左雨瑞樹「でも……仲間を信じることで、殺傷能力のある武器を決して仲間に使うことなく、それを脱出へと繋ごうとしている」

左雨瑞樹「恐怖を乗り越えて、自分達で脱出を果たそうとしているんだ。気持ちはまあ明るくもなるよな」
455:🎏 :2013/9/29(日) 01:54:51 ID:ZCDIfBlKBE
氷室エリカ「私達、今回のこれで脱出できるかな?」

左雨瑞樹「きっとできるさ。これで外に出て、モノクマの悪事を世間に知らしめるんだ。死んでった皆の仇を取るんだ!」

中後小百合「まあやる前から悲観的になるよりはずっといいさ。前向きにいこうかね」

左雨瑞樹(そうだ。殺傷能力のある武器を買ったって、もう俺達は誰かを殺すために使ったりはしない)

左雨瑞樹(仲間は信じるべき存在だ。疑って、拒んで、殺すための存在なんかじゃない)

左雨瑞樹(俺達は……俺はモノクマと同類なんかじゃない!俺は仲間と一緒に前を向き、脱出する!)

左雨瑞樹「……爆弾を使って、この学校を脱出しよう!」



肉丸健太「でもその前に朝ごはん食べようよー」

左雨瑞樹「……締まらねえなあ」

中後小百合「まあ変に気負うよりはずっといいさ。飯を平らげてからにしようか、リーダー殿」
456:🎏 :2013/10/2(水) 00:30:11 ID:tOYwbNCOSQ
朝食を食べ終えた俺達は、皆揃って玄関ホールへと向かっていた。
重火器の扱いに関しては素人に過ぎない俺達であるが、そんな連中が重火器の実験場所に選んだのが玄関ホールというわけだ。
玄関ホールには俺達を閉じ込めている頑丈な鉄の扉がある。それを対象に爆破してみるということだ。
何となく一回きりで破壊できるとは思ってはいないが、別に実験段階で壊れてくれても一向に構わない。
とにもかくにも、まずは使い方を確認しなければ。使えなきゃ意味がないし、殺傷能力のある武器なんだから安全に使えるようにならなくてはな。

氷室エリカ「玄関ホールに到着!相変わらず堂々たる閉じ込めっぷりだよね」

中後小百合「これでこの扉の向こうに金銀財宝でも眠ってれば、怪盗も躍起になって扉を開けようとするんだろうな」

中岡笑「実際は、外に出られるだけですからね。ルパンもがっかりですよ」

左雨瑞樹「でも、それだけで俺達には十分な価値がある。この扉で爆破を試みてみよう」
457:🎏 :2013/10/2(水) 00:31:28 ID:tOYwbNCOSQ
黒魔帝兎「……なあ左雨」

左雨瑞樹「何だよ?」

黒魔帝兎「爆弾を使って、この玄関ホールの扉や窓の鉄板等、俺達を閉じ込めてる要素を破壊しようという試みは理解してる」

黒魔帝兎「……問題は誰がそれをやるんだ?」

中後小百合「勝手な想像だが、恐らく一回の爆破では壊れない。閉じ込めるのが成立しなければ、狂った殺し合いを強要できないからな。恐ろしく頑丈なんだろうさ」

中後小百合「今後も継続して破壊活動をすると考えると、全員が扱えるようになるのが理想だ。全員であちこち破壊を試みた方が効率いいだろうからな」

中後小百合「しかし、誰一人として使い方がわからない現状、その一発目を誰がやるのか……これは地味に大きな問題じゃないか?」

夜桜愛梨「扱いを誤れば普通に死にますからね。先頭バッターは勇気が必要ですよね」

中岡笑「もうストレートに言ってしまえば、超高校級の貧乏くじでいいんじゃないですかね?」

肉丸健太「そうだよー。この作戦に関しては左雨くんが言いだしっぺなんだから、左雨くんでいいよー」

氷室エリカ「瑞樹くんの貧乏くじって才能は、皆を助ける素敵な才能だと思うんだ、私!」

左雨瑞樹「お前らなあ……」

相田鳥子「結局どういうことだー!?」

キング「パンドラの箱を開放するその第一撃、実行するは呪われし学生達を導く男!」

左雨瑞樹「わかったよ……やるよ、俺が……」
458:🎏 :2013/10/2(水) 00:32:50 ID:tOYwbNCOSQ
健太の言う通り、言いだしっぺは俺である。だとしたら、俺が先陣を切って見本となる必要が確かにあるのではないかと思う。
思うんだが……怖い物は怖い。今から扱うのは殺傷能力のある道具だ。使い方を誤れば普通に死ねる代物だ。
死を想像してしまい、嫌でも今までの仲間の死に様がフラッシュバックする。下手したら俺もああなるのか……。
しかし、どんだけ捜索しても見つからなかった脱出口を自分達で破壊して作ろうと提案したのは俺だ。
そしてこれの成否に俺達の未来がかかっているんだ。確かに怖いが、怖がって躊躇している場合ではない。
覚悟を決めた俺は、皆に下がっていろと伝えた。今から爆撃を開始するんだ。なるべく離しておいた方がいい。
……そしたら皆遠慮なく離れるもんだから、ちょっぴり切なくなる。いや、もうちょっと俺を心配する素振りがあってもいいんじゃねえの?
まあでも心配せず、いっそ清々しいほどに任してくれるのも信頼の表れか。複雑な心境になりつつ、一人残った俺は玄関ホールの扉を見据えた。
今から、これを爆破する。
459:🎏 :2013/10/2(水) 00:34:28 ID:tOYwbNCOSQ
最初に手にしたのは手榴弾だ。
実生活では手にする機会のない代物ではあるが、俺はよく知っている。何故なら、ゲーム等を通じて目にしたりするからだ。
そのゲーム等の情報で判断すると、ピンみたいなのを抜いてから投げる、そんな単純で簡単な使い方だと認識している。
ただ……あくまでこれはゲーム等を通じての知識だ。実物を見るのも持つのも今日が初めてだ。
実物を使う際に、素人には知り得ないような使用法がもしもあったらどうしよう、等と不安はよぎる。
しかし、不安がよぎったところで素人に違いなく、結局ピンを抜いて投げる以外の使用法は思い当たらない。
素人がイメージする通りの簡単な代物であってくれ。そう願いながら、わかりやすい輪っか状のピンを引き抜いてから、扉の方に向かって投げた。
そして即座に振り返って猛烈ダッシュ。爆発するそれから我が身を出来るだけ遠ざけた。
手榴弾の方はと言うと、扉に当たって跳ね返り、扉付近の床に落ちてから数秒後に爆発した。
460:🎏 :2013/10/2(水) 00:36:04 ID:tOYwbNCOSQ
崇の命を奪ったモノクマの爆発と比べると、多少威力は劣るかと思われる。
しかし、それでも十分に大きな爆発を起こしてはいる。少なくとも、至近距離で巻き込まれれば間違いなく人が死ぬだろうと想像させる威力だ。
恐ろしいのはそれだけでなく、爆発によって周囲に吹き飛ぶ破片も危険だ。金属の破片が爆風に乗って高速で飛んでくるのだ。
爆発するまでにけっこう逃げたつもりではいたが、それでも俺の足元にいくつか破片が転がった。
この破片が、もしも人に当たったら……それを考えると、恐怖で打ち震える。
こうして見ると、爆発はもちろん、それで吹き飛ぶ破片でも人を傷つけるように出来ているみたいだ。人を壊すために作られた武器ということを再認識した。
俺はたった今、人を殺せる道具を使ったのだ。心も体も震え、それが止まる気配はしばらく見られない。

しかし、それでも扉はびくともしない。人体を簡単に壊してしまう戦争の道具でも、忌々しいこの扉を破壊するに至らなかった。
そして、何となく手榴弾では今後も破壊できないだろうなと想像した。爆発が凄いと言っても、それは人を基準に考えた場合であって、何か大きな物を破壊するには不十分だと思われるからだ。
手榴弾は人体破壊を目的とした爆弾で、何か大きな建物などを破壊するのには不適切なんだと察した。
……だったらダイナマイトの出番だ。
461:🎏 :2013/10/2(水) 00:39:44 ID:tOYwbNCOSQ
ダイナマイトと言えばアルフレッド・ノーベルの発明品として有名ではなかろうか。
イメージとしては、導火線に火を点けたり、Tの字の棒みたいなのを押し込む起爆装置でドカンといく感じだ。
実際はどのようなものなのか。今手元にあるダイナマイトはイメージよろしくT字起爆型なわけだが、モノクマだったらふざけて再現とかもしそうだから何とも言えない。
まあ実物がどういう物か、問題はそこではない。問題は、使い方もイメージ通りなのかという点。
ダイナマイトを設置して、その場を離れて起爆装置をポチッとドカン。……これでいいんだよな?
手榴弾は正直イメージ通りだったし、ダイナマイトも見た目にもそれ以外出来ることがなさそうなので恐らく正解だとは思うが、やはり失敗したら普通に死ぬから躊躇はしてしまう。
……ええい、男は度胸だ。俺がやらなきゃ話は進まん。
俺はダイナマイトを扉に仕掛けた。銀行の金庫を思わせるようなゴチャゴチャした丸扉なので、いろいろ凹凸もあるから扉そのものに設置するのは難しくない。
ダイナマイトを扉に仕掛けると、導線の許す限りまで離れてから、起爆装置のスイッチを押し込んだ。
その瞬間、凄まじい爆発が起こった。
462:🎏 :2013/10/2(水) 00:42:32 ID:tOYwbNCOSQ
手榴弾やモノクマの比ではない凄まじい爆発。十分に離れていたはずの俺だが、気付けば尻餅をついていた。ちゃんと離れていたという油断もあって、爆風に耐えられなかった。
轟音で耳がおかしくなったのか、聞こえ方にも何か違和感がある。更に頭も痛い。尻餅ついたついでに打ったとかではないので、たぶん頭痛も轟音が原因だ。
ダイナマイトは建物の爆破解体などで使われているイメージだが、そのイメージ通り、どんな物でも破壊し尽くすと思わせるとんでもない爆発を見せつけられた形だ。

安全のために滅茶苦茶離れていた仲間達であったが、倒れた俺を心配したのか、一斉に駆け付けた。尻餅ついただけだ、と言うが、それでも心配する。特にエリカが。
まあ俺も逆の立場で考えたら、あの爆発の後で仲間が倒れていたら心配はする。別に迷惑でもないし、ここは素直に受け取っておくかな。
そうこうしてるうちに爆発で起こった煙も晴れて、爆破した扉が姿を現した。
結果を言うと、壊れてはなかった。あの爆破でも壊れないなんて、さすがはモノクマが真剣に閉じ込めるのを図った代物だ、と無意味に褒めてやる。
しかし見た目に変化は生じており、今まで何をしてもびくともしなかった扉が、黒く焦げていた。あの凄まじい爆発が、僅かでもダメージを与えたんだと思う。
この激しい爆破を何度も何度も繰り返していけば、あるいは……俺はこの結果に確かな希望を抱いていた。
463:🎏 :2013/10/2(水) 00:44:16 ID:tOYwbNCOSQ
氷室エリカ「瑞樹くん、本当に大丈夫?」

左雨瑞樹「大丈夫だって。心配すんなよ」

中岡笑「あの爆発ですからね。心配するなっていう方が無理ですよ」

中後小百合「しかし、その爆発でも扉は壊れてはいない。いやはや、モノクマの徹底ぶりには参るねえ」

白鳥輝穂「でも、焦げ目はついてます。百目鬼さんや中村さんの打撃でもびくともしなかったのに、凄いです!」

キング「流るる水も遙かなる旅路の中で大地をも削ってしまう。微かな力も継続によって全てを破壊し尽くす!」

夜桜愛梨「……今のは何となくわかります。一度で壊れなくても今後も続ければ破壊できるということですね?」

キング「左様」

黒魔帝兎「しかし……凄まじい爆発だったな。轟音で未だに耳に違和感がある」

中後小百合「効率性だけ考えれば、皆が扱えるようになって各自がいろんな場所で破壊を試みるのがいいんだろうがな」

中後小百合「これほど危険な物を今後個人で扱うのも、それはそれで問題のような気がする」

白鳥輝穂「確かに……申し訳ありませんが、私が一人でこの爆弾を扱う自信はありません……」

左雨瑞樹「俺達を閉じ込めている要素は、ここ玄関ホールの扉と、窓に打ちつけられた鉄板の二つだ」

左雨瑞樹「上階へ続く階段を封じるシャッターも破壊できれば何か手掛かりがあるかもしれない」

左雨瑞樹「だから、三つのチームに分かれて行動しないか?」

中後小百合「なるほど、三つのチームがそれぞれ扉・窓・シャッターの破壊を試みるのか」

左雨瑞樹「十人を三つにわけると四・三・三って感じだ。それくらいの人数がいれば、お互い注意し合って丁寧にダイナマイトを扱えるんじゃねえの?」
464:🎏 :2013/10/2(水) 00:47:05 ID:tOYwbNCOSQ
白鳥輝穂「あの……」

相田鳥子「どうした、はくちょう?」

白鳥輝穂「私、思ったんですけど……破壊をして学校から脱出を図るんですよね?」

黒魔帝兎「その通りだ」

白鳥輝穂「でしたら、扉や窓等の破壊に執着せず、単に壁を破壊して出てもいいんじゃないでしょうか?」

左雨瑞樹「……ああ、そっか」

中後小百合「そうだな。何も学校から出るのに、律義に扉を壊す必要はないんだ。言われてみれば単純な話だが、恥ずかしながら思いつかんかったなあ」

夜桜愛梨「私達を閉じ込めてるのは、玄関ホールの扉と窓の鉄板ですからね。出るからにはそれをどうにかしないといけないって思いこんでましたね」

中岡笑「ハンターハンターのヨコヌキ関連思い出しますね。さながら自分らノブナガですよ」

氷室エリカ「凄いよ!白鳥さん視野が広くて賢いねー!」

白鳥輝穂「ありがとうございます。皆さんのお役に立てて嬉しいです」

黒魔帝兎「だが、それは今はやめておいた方がいい。あくまでそれは最終手段だ」

キング「何故だ?学校そのものは流石に爆弾に耐えるほど頑丈ではなかろう。ならばそっちの方が手っ取り早いではないか」

黒魔帝兎「しかし、俺達はこの学校の具体的な構造を知らない。そんな状況で、上階もあるのに一階から壊すのは危険だ」

中後小百合「土台が壊れて上が崩れてきたら、その中にいる私達はひとたまりもないねえ」

夜桜愛梨「私は崩れる建物に押しつぶされて死ぬなんて御免ですよ」

黒魔帝兎「だから最終手段だ。基本方針は扉や窓を壊すという方が安全ではある」

白鳥輝穂「そうですか……すみません」

左雨瑞樹「いや、いいんだ。お世辞抜きで良い考えだと思う。俺達の脱出の可能性が上がったと思うよ」
465:🎏 :2013/10/2(水) 00:49:05 ID:tOYwbNCOSQ
相田鳥子「んで、結局どうなるんだー!?」

肉丸健太「扉班、窓班、シャッター班にわかれて、ダイナマイトを丁寧に使って壊してみようってことだよねー」

左雨瑞樹「そうだな。それぞれ扱いには気を付けてくれ。絶対に死ぬようなことはないように頼む」

中岡笑「左雨くん、手榴弾の方はどうするんですか?」

左雨瑞樹「手榴弾かあ……これはちょっと仕舞っておいた方がいいよな」

氷室エリカ「威力を見ると……手榴弾って何か建物を破壊するのには向いてないって感じするもんね」

左雨瑞樹「そのくせ人は立派に殺せる代物だからな。使ってみてそれがよくわかった。だからこれはもう使わないことにしよう」

キング「ではそれをどこに封印するというのだ?」

左雨瑞樹「視聴覚室にでも置いとくか。DVDでもない限り、あの部屋使わねえし」

夜桜愛梨「それではそうしておきましょう」

黒魔帝兎「今後の方針はだいぶ固まったな。上手くいくといいんだが」

左雨瑞樹「そうだな。ようやく俺らが一つになれたんだ。これでうまくいかなきゃ神様は相当残酷だよ」

中後小百合「ふふふ、違いない」

肉丸健太「それじゃ今後の方針も決まったところで、昼も近付いたしごはんにしようよ!腹が減っては戦もできないよー!」

中岡笑「あなたは本当にそれしか頭にないですよね……」

氷室エリカ「まあでも確かにもうお昼だよ。チームにわけて爆破するのは昼からにしよう!」

左雨瑞樹「そうしようか。じゃあちょっと食堂に戻ろうぜ」
466:🎏 :2013/10/4(金) 00:55:23 ID:tOYwbNCOSQ
肉丸健太「昼食をおいしくたいらげたよー」

左雨瑞樹「さて、メンバーを分けようか。さっきも言ったけど、十人を三つに分けるんだから、四・三・三って感じだな」

夜桜愛梨「そのメンバーは一度決めたらそれで固定なのですか?」

左雨瑞樹「んー……一日毎に入れ替えてもいいんじゃないかな」

左雨瑞樹「一度決めたらずっと固定っていうのもな……とりあえずいろんなグループ作ってみようぜ」

左雨瑞樹「メンバーや担当が変わることで、新たな発想が生まれるかもしれねえしな」

中後小百合「心得た。それじゃ今日はどういうグループになるのかね。ふふ、楽しみだな」

氷室エリカ「……」

中後小百合「……なあ、一つ提案があるんだが」

黒魔帝兎「ん?何だ?」

中後小百合「氷室と左雨はセットとして四人のチームに固定でいいんじゃないか?」

氷室エリカ「えっ!?」

肉丸健太「あー、左雨くんと氷室さんって仲良しさんだもんねー。それでいいんじゃないかなー」

中後小百合「肉丸はいまいち相田狙いなのか夜桜狙いなのかわからんがな」

相田鳥子「何であたしの名前が出るんだー!?何でデブにねらわれんだー!?馬鹿かー!?」

夜桜愛梨「冗談でもこの豚糞野郎と恋仲の可能性を指摘する発言は控えてください」

肉丸健太「勝手に好きなことにされて勝手に振られて、これは何なのー……」
467:🎏 :2013/10/4(金) 00:57:20 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「その後簡単な話し合いを経て、俺達の今日のグループはこうなった」

黒魔帝兎「うむ、よろしく頼む」

夜桜愛梨「私はボランティアで危険なことはしたくないので、爆破は糞男子がやってください」

左雨瑞樹「愛梨はぶれないなあ……一日雇うならモノクマメダル何枚だっけか?」

夜桜愛梨「100枚です。それだけ払って雇っていただけなければ、私は絶対爆破に関与しませんよ」

黒魔帝兎「確かに女性に爆発物を扱わせるなど、男としては心苦しい。左雨、爆破は我々男子二人が中心として行おうではないか」

左雨瑞樹「兎も相変わらず紳士であろうとするのな」

黒魔帝兎「俺はもう巨人に限らず野球そのものを愛すると決めた。しかし、読売巨人軍の紳士たる姿勢は良い物だ。女性に対し紳士的に振る舞うのは当然だ」

左雨瑞樹「だとよ。よかったな、エリカ。間違って死ぬことはなさそうだぜ」

氷室エリカ「いいのかな……四人のチームなのに、瑞樹くんと黒魔帝くんに任せる形で」

夜桜愛梨「いいんです。男子二人がそれで納得しているのですから」

黒魔帝兎「それに、爆破に関与せずとも、出来ることはあるぞ」

黒魔帝兎「今回、我々は窓に打ちつけてある鉄板の破壊を試みることになった。そして、そのような窓は学内の至る所にある」

黒魔帝兎「俺と左雨が窓を一つ爆破してる間に、氷室と夜桜は他の窓を調べていればいい」

黒魔帝兎「もしかしたら、鉄板の固定が甘い窓があるかもしれない。それに爆破の衝撃でも与えれば、うまくいくかもしれない」

左雨瑞樹「そういうことだ。危ない仕事は男子に任せてくれ。少しはかっこつけさせてくれよ」

氷室エリカ「うん……わかった」
468:🎏 :2013/10/4(金) 00:59:05 ID:tOYwbNCOSQ
黒魔帝兎「……行ったな」

左雨瑞樹「ああ、行ったな」

黒魔帝兎「さて、俺達は窓の鉄板を爆破するか」

左雨瑞樹「そうなんだけど、鉄板の爆破ってどうすりゃいいんだ?」

左雨瑞樹「玄関ホールの扉は、凹凸があって扉自体に仕掛けるのは難しくなかった」

左雨瑞樹「でも、窓の鉄板の場合、凹凸のない平らな板状だからさ、鉄板自体に仕掛けてから爆破するのは難しいぞ?」

黒魔帝兎「ふむ……ガムテープか何かでダイナマイトを貼りつけて、それから爆破するか」

左雨瑞樹「あーなるほど。ガムテープなら買ってるからさ、よかったらこれを使ってくれ」

黒魔帝兎「……お前本当に何でも買ってるな」

左雨瑞樹「何故だかモノクマメダル見つけてしまうからな。それはさておき、鉄板への貼りつけ頼むわ」

黒魔帝兎「わかった。……貼りつけ中に間違えて爆破とか、マジでやめろよ?本当に冗談にならないから」

左雨瑞樹「わかってるって」

黒魔帝兎「……よし。貼りつけたぞ」

左雨瑞樹「了解。そこから離れろ、間もなく起爆する」

黒魔帝兎「待て待て待て!……よし、これでいいだろう。左雨、爆破しろ!」

左雨瑞樹「……俺を盾にするなよ」

黒魔帝兎「き、貴様が吹き飛ばないよう支えてやってるんだ!」
469:🎏 :2013/10/4(金) 01:00:19 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「まあいいや。いくぞ……ポチッとな」

黒魔帝兎「うおっ!……凄まじい爆発だな」

黒魔帝兎「焦げ目はやはりつくが、それでも微動だにしてないな。やはり一回二回で破壊は厳しそうだ」

左雨瑞樹「……十分に離れてても、この爆音はきついな。耳がおかしくなりそうだ」

黒魔帝兎「心なしか頭も痛くなっている。本当は立て続けに爆破した方が鉄板へのダメージも大きくなるんだろうが……」

左雨瑞樹「これはちょっと対策しないと、続けて爆破は厳しいかもしれんな」

黒魔帝兎「そうだな。正直ちょっと具合悪くなってきてる」

左雨瑞樹「爆破してすぐだけど、ちょっと休憩にするか?」

黒魔帝兎「……そうだな。食堂にでも行って少し休むとしようか」



左雨瑞樹「そういうわけで食堂だ」

黒魔帝兎「流石に肉丸はいないな。チーム分けして各地でいろいろやってんだから」

左雨瑞樹「それはわかるんだけど……健太が食堂にいないって、何気に凄いことだよな」

黒魔帝兎「天変地異の前触れだな」
470:🎏 :2013/10/4(金) 01:02:39 ID:tOYwbNCOSQ
黒魔帝兎「……左雨、一つ聞いてくれないか?」

左雨瑞樹「おう。どうした?」

黒魔帝兎「俺が巨人を好きになったのは……その強さ、スター性に憧れたからだ」

黒魔帝兎「圧倒的強さで、常に話題の中心で……そういう絶対的な強さに憧れたりするだろ?」

左雨瑞樹「ああ……まあわからなくはないな」

黒魔帝兎「そういう憧れから巨人を好きになり、野球にのめり込み、いつしか俺は自他共に認める巨人ファンとなった」

黒魔帝兎「そして……そんな巨人の最大の脅威である阪神が、そんな阪神を支える場明日が嫌いになった。……嫌いなんだと思い込むようになった」

黒魔帝兎「本当は野球を愛する仲間だったのに……場明日に関しては、たぶん恋愛感情もあったんじゃないかと、今になってはそう思う」

黒魔帝兎「口喧嘩ばかりしていたが、大好きな野球のことであんなに一緒に熱くなれる女性なんて、あいつだけだったしな」

左雨瑞樹「兎……」

黒魔帝兎「俺はくだらないプライドを捨て切れず、一生後悔する結末を迎えてしまった」

黒魔帝兎「だからお前には、後悔のないよう生きてほしいと思ってる。……わかってるよな?氷室のことだ」

左雨瑞樹「……わかってるよ。小百合にも似たようなことを言われたからな」

黒魔帝兎「中後が先手を取ってたか。さすが人の恋愛を茶化すのが好きなだけあるな」

左雨瑞樹「違いねえ」
471:🎏 :2013/10/4(金) 01:04:56 ID:tOYwbNCOSQ
氷室エリカ「……あっ!いた!食堂にいたんだね」

夜桜愛梨「爆破はどうなったんですか、糞野郎共」

左雨瑞樹「休憩中だ。爆音で耳と頭やられてんだよ、こっちは」

氷室エリカ「あー……確かに、私達は離れてたけど、他の班の爆発音も普通に聞こえてきたもんね」

夜桜愛梨「あれほどの爆音を至近距離で耳にすれば、気分が悪くなるのも頷けますね」

黒魔帝兎「これは至急対策を図った方がいいな」

左雨瑞樹「そうだな。明日の朝なら皆食堂に集まるだろうし、その時に意見を募るか」

夜桜愛梨「とにかく、それでお二人はここで休んでいたんですね」

黒魔帝兎「そういうことだ。ちょっとした恋愛話をしていた」

氷室エリカ「え?何で私を見ながら言うの?」

夜桜愛梨「あー……そういうことですか」

氷室エリカ「夜桜さんは何で私と瑞樹くんを交互に見てるの!?」

左雨瑞樹「恋愛話と言えば、健太と愛梨ってどうなんだよ?」

夜桜愛梨「だから何であの豚糞野郎と私の名前が恋愛話で並ぶんですか?」

左雨瑞樹「いや、でも見てるとけっこう仲良い感じするぜ?」
472:🎏 :2013/10/4(金) 01:08:31 ID:tOYwbNCOSQ
夜桜愛梨「……私は一番最初の裁判で、肉丸くんが犯人だという間違った推理をしました」

黒魔帝兎「よくよく考えると、一応俺も間違った推理の被害者だよな」

夜桜愛梨「うっ……す、すみません……」

氷室エリカ「まあまあ、結果オーライとしようよ」

夜桜愛梨「疑われた方は結果オーライで片づけられる問題ではありません。私は肉丸くんに恨まれても仕方ないんです」

夜桜愛梨「しかし、肉丸くんは……間違った推理をした私を茶化すことはあっても、本気で憎み本気で責めることはしません」

夜桜愛梨「私のせいで皆から疑われるはめになったのに、それを引きずることなく仲良くしてもらってるのには、感謝しています」

夜桜愛梨「だからこそ、私は一日限定ではありますが肉丸くんに雇われたのです。感謝の気持ちを私なりに返したわけです」

夜桜愛梨「……ですが、それだけです!私があんなデブ糞野郎に惚れるなんて、絶対にあり得ません!」

夜桜愛梨「大体私は美少女なんですよ!あんなのをわざわざ選ぶ義理なんてありません!私は大金はたいて雇っていただいたご主人様にだけ尽くします!」

黒魔帝兎「最初は素直になれないんだよ。俺だって、場明日を相手に素直になれなかったしな。だから素直になれよ」

夜桜愛梨「いや、だから……もー!この分からず屋糞野郎!」

氷室エリカ(素直になれ、か……)

左雨瑞樹「んっ?どうした、エリカ?」

氷室エリカ「い、いや!何でもないよ!うん!」
473:🎏 :2013/10/4(金) 01:11:31 ID:tOYwbNCOSQ
恋愛話に花を咲かせた後、俺達は爆破活動に戻った。
しかし相変わらず酷い爆音で作業は進まず、結局あまり爆破できないまま時間は夜を迎えた。
今日はここまでにしよう、ということになり、自由行動とした。
といっても、もう夜だし出来ることも限られてるけどな。
さっさと部屋に戻ると、いつでも寝れるようにやることはやって、ベッドへと飛び込む。
疲れた体をベッドの上で転がしつつ、今日一日を振り返ってみた。

爆弾を大量購入して、それを校内破壊に用いて脱出を図る作戦がスタートした。
今のところ皆から殺害に使う様子も見られなくて一安心である。
危険な作戦を提案した立ち場である以上、そういう悲劇を危惧していたが、これなら大丈夫なんじゃないだろうか。
モノクマの悪意ある計画に乗ることなく、自力で脱出する。それが一気に具体性を帯びたと思えて嬉しくなる。
殺し合いのために用意された爆薬を、逆手にとって脱出に用いる。俺達なら、それで誰かを殺すという誘惑にも打ち勝てる。
この学園生活が始まってから初めて見出したと言っても過言じゃない希望に、俺の心は躍るばかりだ。
早くこの学園から皆と一緒に出る日がこないかな。そんなことを考えながら、間もなく俺は眠りにつくのだった。
474:🎏 :2013/10/4(金) 01:13:01 ID:tOYwbNCOSQ
〜モノクマ劇場〜

ブロック遊びをしましょう。
かちゃかちゃ。かちゃかちゃ。
いっぱいいっぱい時間をかけて、立派なブロックの塔ができましたね。
嬉しいですか。そうですか。
じゃあこれを壊してしまいましょう。
どかーん。ばきばき。がらがら。
いっぱいいっぱい時間をかけたのに、一瞬で崩れて消えちゃいましたね。
頑張って何かを成し遂げても、こんなに簡単になかったことにできるんです。
475:🎏 名無しさん@読者の声:2013/10/6(日) 14:17:01 ID:m4w5RTp3l6
CCCC
476:🎏 :2013/10/9(水) 00:17:25 ID:tOYwbNCOSQ
起床。朝を知らせるモノクマの放送が目覚まし代わりである。
俺は根本的に朝が駄目な人間らしく、毎日この瞬間はサボりてえっていう誘惑に襲われる。
しかし、昨日は重要な爆破脱出作戦を決行した日だった。各々の班から報告もあるだろうし、ここでサボるわけにもいかねえ。
簡単に準備を済ましてから、恐らくもう皆が集結しているであろう食堂へと歩を進めるのだった。

食堂につくと案の定全員が既に揃っていた。
何だよ、佑子が生きていた時は皆普通に朝弱かっただろ。それとも佑子に甘えてただけかよ。
まあどのように考えようが、今俺が一番遅れている事実は変わらん。すまん、と簡潔に謝罪を済ましてさっさと席に着いた。
朝食をとってから、さっそく昨日の件について各々の報告が始まった。
477:🎏 :2013/10/9(水) 00:20:48 ID:tOYwbNCOSQ
中後小百合「さて、昨日は三班にわかれて爆破活動をしたわけだが、どうだ?」

肉丸健太「僕と相田さんと中岡くんのシャッター班だけどー、爆発音が酷くてあんまり爆破できなかったよー」

中岡笑「爆発音って間近で聞くとあんなやばいんですね。ボンバーマンの気苦労を知った日でしたよ」

左雨瑞樹「……改めて聞くとシャッター班めっちゃ心配になるメンバーだよな」

中岡笑「何でですか!?信用してくださいよ!」

黒魔帝兎「まあ生きてここにいるってことは大丈夫だったってことだな」

相田鳥子「あたしたちは大丈夫に決まってんだろー!馬鹿かー!?」

肉丸健太「でも相田さんダイナマイトを理解してなくて、離れようとしなかったよねー。僕、慌てちゃったよー」

夜桜愛梨「……本当によく無事でしたね」

中岡笑「話を戻しますけど、爆発音が酷くて、連続で爆破とかは出来んかったんです」

中後小百合「まあそれは玄関ホールの扉班も一緒だな。いやはや、あの爆発音には参るね」

白鳥輝穂「私、あの音を間近で聞いて、何だか具合が悪くなってしまいました。お役に立てず、申し訳ありません……」

キング「あれは恐らく、脳を破壊する怪電波である!我々はそう遠くないうちに怪奇現象と出くわすだろう!」

中後小百合「いや、それはない」
478:🎏 :2013/10/9(水) 00:23:27 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「まあ爆発音の恐ろしさは思い知ったから、今度からは耳塞げば大丈夫かもな」

氷室エリカ「起爆する人はどうするの?スイッチ押し込むんだから、耳を防げないよ」

左雨瑞樹「実は以前に購買部で耳栓を買ったことがあってな。まあそんな数は買ってないんだが、これから人数分買い揃えればいいんじゃないか」

夜桜愛梨「……あなたは本当に何でも買ってますね」

左雨瑞樹「俺は爆弾買うのにモノクマメダル使っちまったけど、キングもけっこう持ってるから、その金使えば大丈夫かな」

キング「心得た。皆の聴覚は、我が闇の力が守り手となろう!」

中後小百合「いや、普通に金使って耳栓で守ってくれ」

中岡笑「淡々とキングくんの対応しますね……」

中後小百合「いちいち真面目に付き合ってたら骨が折れてしまうよ」

左雨瑞樹「爆発音の問題はこれで様子見としよう。これで大丈夫そうならそれでいいし、これでも駄目ならまたその時に考えよう」

左雨瑞樹「あと、窓の鉄板を爆破して気付いたんだけど、鉄板だと平らだからダイナマイトを仕掛けにくい」

氷室エリカ「だからガムテープとかで固定しないとうまく爆破出来ないよって感じかな」

左雨瑞樹「そういう注意事項みたいなことはないか?」

中後小百合「扉に関してはないな。左雨が最初にやってたからわかるだろうが、あれは凹凸がある。設置は難しくない」

肉丸健太「シャッターもどうにか仕掛けられるけど、言われてみればそういうので固定した方がいいかなー」

黒魔帝兎「なるほど。じゃあシャッター班もガムテープ等を用意した方がいいかもな」
479:🎏 :2013/10/9(水) 00:25:06 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「ガムテープも余ってるから、よかったら他のチームにおすそ分けしてやるよ」

肉丸健太「本当に何でも持ってるよねー……」

中岡笑「さながら青い猫型ロボットですよね……」

モノクマ「呼んだ?」

中岡笑「いや、呼んでませんけど!?」

相田鳥子「おめードラ○もんなのかよー!?馬鹿かー!?」

モノクマ「いえいえボクはモノクマです。別に頭もテカテカしてないんだな、それが!」

モノクマ「だけど不思議と比較されたりします。何でだろうね?ゲームやアニメだとその理由がわかるのかな?」

モノクマ「それはさておき左雨くん。昨日から派手にやるじゃねえですか!」

左雨瑞樹「おかげさまでな」

モノクマ「学校のあちこちから爆発音が聞こえるんですからね。学園長としては慌てざるを得ませんよ!」

白鳥輝穂「す、すみません。いけなかったでしょうか?」

左雨瑞樹「いけないことなんかあるかよ。校則ではっきり書いてある。学園長への暴力と監視カメラの破壊が駄目で、その他校内を調べる行為に制限は課せられない」

左雨瑞樹「つまりモノクマは現状、俺達の行動を校則違反として罰することはできない」

モノクマ「その通り!ボクは生徒の自主性を優先する、立派な学園長ですから!」
480:🎏 :2013/10/9(水) 00:27:36 ID:tOYwbNCOSQ
モノクマ「でもね、校内が爆発して黒焦げのままだと見た目が悪いじゃん?これじゃ恥ずかしくて授業参観も出来ないよ!」

中岡笑「自分らの保護者なんか絶対呼ぶ気ないでしょ……」

モノクマ「だからさー、ちゃんとボクが修理しておいたからね。これで清潔な校内が蘇ったね!」

左雨瑞樹「……修理?」

モノクマ「校内に不備があれば、それを即座に修正する。学園長として当然の行為だと思いますけど?」

左雨瑞樹「……くそっ!」

氷室エリカ「あっ!瑞樹くん、どこ行くの!?」

モノクマ「扉とかを確認しに行ったんじゃないの?オマエラも行った方がいいんじゃない?こういう時、仲間って追うもんだよ!」

中後小百合「どちらにせよ貴様の言い分が事実か確認する必要はある。私達も追うとしよう」

肉丸健太「えっ、えっ、僕走るの駄目だし、食堂に残ってていい?」

黒魔帝兎「勝手にしろ!走れる奴はついてこい!玄関ホールに行くぞ!」

夜桜愛梨「仕方ありませんね……」
481:🎏 :2013/10/9(水) 00:29:41 ID:tOYwbNCOSQ
夜桜愛梨「到着しましたけど……」

相田鳥子「爆発のあとが消えてんじゃねーか!馬鹿かー!?」

左雨瑞樹「……」

モノクマ「左雨くん、残念でしたね。左雨くん的には、これ壊したかったんだもんね」

モノクマ「でも、ボクも学園長ですから。校内に不備があればそれを直さないといけません」

モノクマ「たとえそれが、生徒の成し遂げたかった何かだとしても、学園長としてそれは譲れないのです!」

モノクマ「いやー人生って難しいですね、左雨くん。うぷぷぷぷ!」

左雨瑞樹「くそ……」

黒魔帝兎「悲観するのは早いぞ、左雨。このクマが早急に対応してきたということは、それだけ有効打だとも考えられる」

黒魔帝兎「無駄なことならほっておけばいい。しかしモノクマは即座に動いた。つまり効いてるんだよ、俺達の作戦は」

中後小百合「それに本当に修理してるかも怪しいな。これほど大きな扉の修理を皆が寝静まった深夜だけで済ませるか?」

中後小百合「塗装か何かで見た目だけ繕ったんじゃないのか?爆破の衝撃や熱によるダメージは残ってるかもしれん」

中後小百合「モノクマ学園長さんは、爆破をやめてほしくて強がってるだけかもしれんぞ?効いてないからやるだけ無駄だぞーってね」

モノクマ「どのように解釈してもらっても構わないよ。ボクはモノクマです。モノクマはモノクマのやるべきことをやるだけだからね!」
482:🎏 :2013/10/9(水) 00:35:07 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「……どちらにせよ、俺達はこの作戦にかけるしかない」

左雨瑞樹「今まで必死に探してきて、それでも脱出口は見つからなかった。なら、もう自力で切り開くしかない」

左雨瑞樹「脱出口が見つからないから作るしかない。脱出口をつくるには壊すしかない」

左雨瑞樹「俺達がモノクマの悪意に乗ることなく外を目指すには、もうこれしかないんだ」

左雨瑞樹「モノクマが何をしようと、効いてても効いてなくても、この作戦に全てをかけて、進むしかないんだ」

左雨瑞樹「だから俺はモノクマがどれだけ妨害しようと、爆破を続けるだけだ!」

モノクマ「それがオマエラの選択ですか。いいでしょう、学園長のボクとしては自主性を尊重しますよ」

モノクマ「だけどボクも修理は続けるよ。やっぱり校内は清潔に保ちたいしね!」

モノクマ「ボクとオマエラのどっちが目的達成できるか、見ものだよね!」

モノクマ「もちろん、方針変えて殺しちゃうのも大歓迎です。楽しい学園生活を期待してますよ!じゃあの!」

キング「……消えたな」

氷室エリカ「瑞樹くん、きっと大丈夫だよ。黒魔帝くんや中後さんの言う通り、モノクマ的には嫌だから強がってるだけだよ!」

氷室エリカ「このまま続けていけば、きっと皆と一緒に外に出れるよ!それを信じて頑張っていこう!」

左雨瑞樹「ああ。俺達は俺達にできることをやるだけだ。俺達にはもうそれしかないんだ……」
483:🎏 :2013/10/9(水) 00:40:31 ID:tOYwbNCOSQ
中後小百合「モノクマがどれだけ嫌がらせしようと、我々は愚直に続けるしかないわけで、全く泣けるねえ」

中後小百合「それでリーダー殿、今日はどういうチーム振り分けで?」

左雨瑞樹「ああ、一日毎にチーム分けするんだよな。まあ……確かにこのままだとシャッター班が不安だしな」

黒魔帝兎「肉丸・相田・中岡の三人だよな。そりゃ心配にもなる」

中岡笑「自分らの信頼最悪じゃないですか……」

左雨瑞樹「ていうか、健太はどうした?いないみたいだけど」

氷室エリカ「走って追いかけたくないってことで、食堂に残ってるよ」

左雨瑞樹「……良くも悪くも自分を見失わない奴だよな」

左雨瑞樹「とりあえず食堂に戻って健太と合流するか。朝飯食って、それからメンバー分けしよう」

白鳥輝穂「わかりました。それでは食堂に戻りましょう」
484:🎏 名無しさん@読者の声:2013/10/10(木) 21:23:38 ID:w2H/KYEVpY
健太w
それフラグww
485:🎏 :2013/10/11(金) 01:12:32 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「飯食ってからチーム分けしたわけだが……」

白鳥輝穂「今日一日よろしくお願い致します!」

肉丸健太「正直僕は食べるしか能がないからねー。左雨くん、しっかり頑張ってねー」

氷室エリカ「これは何て言うか……肉丸くんの言うように瑞樹くんが頑張るしかない感じだよね」

左雨瑞樹「はー……何か大変そうだなあ」

白鳥輝穂「すみません……でも、私に出来ることがあれば、ちゃんと頑張りますから、どうぞ何なりとお申し付けください!」

左雨瑞樹「ありがとう。気持ちだけありがたく受け取っとくよ」

肉丸健太「それじゃお言葉に甘えて気持ちだけ差し出そうかなー」

左雨瑞樹「いや、お前は行動に移せよ」

肉丸健太「何で僕だけ!?」

氷室エリカ「差別良くないって思うけど、今この状況だけで言えば話は別かな」

氷室エリカ「今日私達はシャッターの爆破担当ってことになってるからね」

氷室エリカ「昨日は……私と瑞樹くんは窓で、白鳥さんは扉担当だったわけだし」

氷室エリカ「肉丸くんは一日の長があるんだよ!だから私達を引っ張ってほしいよね!」

肉丸健太「一日の長って言ったって、文字通り一日しか経験の差はないよ!」

肉丸健太「それに、朝方言った通り、何とか爆破はできるけど、ガムテープとかで固定できればいいかなーって感想しかないよ!」

肉丸健太「それさえわかれば、僕なんて役立たずなんだし左雨くんを中心にやった方が絶対効率いいよ!」

氷室エリカ「……最初の裁判から思ってたけど、悲しい自己弁護するよね肉丸くんって」
486:🎏 :2013/10/11(金) 01:14:40 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「まあとりあえず爆破するかー」

氷室エリカ「すっかり慣れっこだね。恐ろしい発言をさらっと放つよ」

左雨瑞樹「導線ぎりぎりまで離れてから起爆すれば、とりあえず爆発に巻き込まれることはないってわかったからな」

白鳥輝穂「でも、そうやって慣れて油断する時こそ、気をつけないと危ないですよ!」

左雨瑞樹「そうだな。さて、階段を上がるのを拒むようにシャッターがあるわけだから、総数は……」

白鳥輝穂「寄宿舎エリアと学校エリアに一つずつ階段があるので、シャッターの総数は二つです」

肉丸健太「侵入防止みたいな、防犯目的のシャッターらしくて、普通に隙間があるタイプなんだよねー」

肉丸健太「だから隙間を利用すれば、どうにか爆弾は設置できるけど、やっぱりガムテープか何かで固定した方が安定性は増すよー」

左雨瑞樹「ちなみに昨日のシャッター班は、二つのシャッター両方を爆破してみたのか?」

肉丸健太「そうだねー。面倒臭かったけど、我慢して二つとも爆破したよー」

肉丸健太「学校エリアと寄宿舎エリアの行き来は地獄だったねー。僕にとってはフルマラソンだったよー」

氷室エリカ「短いフルマラソンもあったもんだね……」

左雨瑞樹「それで結局破壊できず、か」

肉丸健太「ぶっちゃけ扉や窓と比べると簡単に壊れそうな見た目だけど、でも壊れなかったんだよねー」

氷室エリカ「扉や窓と違って、二階に行けるようになるだけだから、脱出には繋がらないかもしれないけど……」

左雨瑞樹「モノクマが頑なに守る秘密の上階だ。何か重要な情報があるかもしれない。破壊を試みる価値はあると思う」

左雨瑞樹「だからシャッターの爆破も重要事項だ。完全な破壊を目指して、今日は片方だけ徹底的に爆破するってのもいいかもな」
487:🎏 :2013/10/11(金) 01:17:24 ID:tOYwbNCOSQ
モノクマ「おっ、今日も元気に爆破ですか。アクティブなのはいいことだと思いますよ」

左雨瑞樹「……モノクマか」

モノクマ「左雨くん、今日はシャッターを爆破するの?修理大変だからやめてほしいなー!」

左雨瑞樹「そりゃ残念だったな。俺達は爆破をやめない。大変なら修理をやめたらどうだ?」

モノクマ「そいつは学園長として出来ない相談ですぜ!わかってるくせに、左雨くんも人が悪いなー」

氷室エリカ「あ、じゃあ爆破も修理もしないで済むようシャッターを開けてくれたりしないかな?」

モノクマ「うーん……まあぶっちゃけシャッターに関しては開けてもいいかなーって気持ちがないわけじゃないんだよね」

肉丸健太「あれ?以外と好感触だよー」

白鳥輝穂「でしたら、開けていただくわけにはいかないでしょうか?」

モノクマ「いかないんですよね、残念ながら。ボクにもボクの都合ってもんがあるんですぜ!」

モノクマ「ぶっちゃけ公式がネタバレ禁止って言っててもさ、普通にネタバレしてる奴もいるし」

モノクマ「ネタバレ配慮するにしても攻略サイトとかで限界もあるし、普通にアニメは原作そのまま進んだみたいだし」

モノクマ「そんな中で糞ゆとりが馬鹿みたいに一人守ったところで意味なんかないよね。自分は公式の言いつけ守ってる良いファンですっていう自己満オナニーでしかないよね」

モノクマ「そんな自己満オナニーに巻き込まれちゃってるんで、シャッターを開けるわけにはいかないのです。残念だね、オマエラ!」

モノクマ「今のボクの発言だって、考えたらある意味ネタバレだもんね。本当意味ないことを意地になってやって、馬鹿みたいだよね!」

肉丸健太「ねー、言ってる意味がわかんないんだけどー」

モノクマ「メタ発言ですからね。オマエラはわからなくていいんです」
488:🎏 :2013/10/11(金) 01:18:46 ID:tOYwbNCOSQ
白鳥輝穂「……学園長、その、下品な発言は……やめていただきたいのですが……」

モノクマ「何言っちゃってんのさ、白鳥さん。この年ごろの学生さんには性教育は大事だよ!」

左雨瑞樹「お前の場合は教育でも何でもない、ただの下ネタ的発言でしかないがな」

氷室エリカ「そうだよ!オナニーオナニー連呼しないで!白鳥さんが恥ずかしがってるでしょ!」

肉丸健太「氷室さんも連呼しちゃってるよー……」

モノクマ「とにかく、話をまとめると意地でもシャッターは開けないってことだよ!二階行きたいなら自力で破壊するよろし!」

左雨瑞樹「言われなくてもその気だ。頑なに守る上階の謎、解き明かしてみせる」

モノクマ「だからゆとりの自己満オナニーなだけって言ってんのになー」

氷室エリカ「モノクマ!」

モノクマ「おっとっと、怖いぜ氷室さん!こりゃおっかないや、ボクは消えるとしましょう!ばいにー!」

肉丸健太「やっと消えてくれたねー……」

白鳥輝穂「学園長の配慮に欠けた発言はどうにかしてほしいものです……」

左雨瑞樹「あいつに配慮なんて思考があるわけないから諦めよう。それより爆破だ」

氷室エリカ「今日は一つのシャッターを集中爆破するんだよね。どっちをやる?」

左雨瑞樹「……学校エリアの方かな」
489:🎏 :2013/10/11(金) 01:20:38 ID:tOYwbNCOSQ
肉丸健太「学校エリアの方にする理由ってあるのー?」

左雨瑞樹「ほら、校長室ってまだ見つかってないだろ?あ、いや学園長室か」

白鳥輝穂「そうですね。普通、そう言った部屋は一階にありそうなものですが、一階にはありませんね」

左雨瑞樹「ということは、学校エリアの上階に行けたら、学園長室が見つかるかもしれないだろ?」

氷室エリカ「あーそうかもね。でもさ、見つけて何になるの?」

左雨瑞樹「だって、それって文字通り学園長が使う部屋だろ」

左雨瑞樹「ということは、そこにモノクマを操作してる黒幕がいるかもしれない」

左雨瑞樹「おしおきを執行する装置とかもあるかもしれないし、玄関ホールの扉を開く装置もあるかもしれない」

左雨瑞樹「そういう部屋だったり、操作してる黒幕本人を見つけて押さえれば、もう俺達はこの異常な学園に怯える必要もなくなるんだ」

左雨瑞樹「とにかく、モノクマの秘密に一気に迫れるような部屋だろうし、そういうのを探すのは有意義だと思う」

左雨瑞樹「そしてそれがあるであろう学校エリアの上階を目指すのは自然な考えだろ?だから学校エリア側のシャッター破壊に集中しようぜってんだ」

肉丸健太「なるほどねー……いろいろ考えてんだねー」

左雨瑞樹「モノクマも馬鹿じゃないから、俺達に入られたら自分の致命傷になるようなエリアはしっかり頑丈に守ってんだろうけど」

左雨瑞樹「もしこのシャッターが破壊できて二階に上がれたら……」

氷室エリカ「他のエリアも突破できるかも!」

白鳥輝穂「厳しい状況に置かれている私達にとって、大きな希望となり得ますね」

左雨瑞樹「夢が広がるってもんだろ。さあ学校エリアのシャッターに行こうぜ!」
490:🎏 名無しさん@読者の声:2013/10/11(金) 02:32:52 ID:pMYHIrI5KU
あー、だから裁判二つも終わってるのにシャッター開かないのか
この先どんな話の展開になっていくのかは分からないけど一階だけじゃいろいろ限界が出る気がするなー
まあどちらにしろ最後まで付き合うぜ!支援!
491:🎏 名無しさん@読者の声:2013/10/11(金) 17:24:00 ID:w2H/KYEVpY
支援
492:🎏 :2013/10/12(土) 01:25:28 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「購買部に寄ってから、学校エリアのシャッターに着いたな」

肉丸健太「説明口調だねー。それにしても疲れたよー……」

氷室エリカ「いや、疲れるほどの移動じゃないよ……」

左雨瑞樹「お前さ、食べるの抑えるか、そうじゃなくても少しは運動した方がいいんじゃね?そのうちマジでやばいことなるぞ」

肉丸健太「それだけは譲れないよ!食べない僕なんて、もはやそれは僕じゃないよ!」

白鳥輝穂「決死の覚悟なんですね……」

氷室エリカ「他人事で言わせてもらえば、こんなことで決死の覚悟にならないでって感じだよ……」

左雨瑞樹「まあそれはそれとして、爆破するぞ。購買部で補充した耳栓を皆に配るから、爆破に備えて装着してくれ」

白鳥輝穂「私達の分まで購入してくださり、本当にありがとうございます」

肉丸健太「……左雨くんって爆弾買った時にお金使い果たさなかったの?」

左雨瑞樹「いや、使い切ったけど……また新たにモノクマメダル見つけてるし」

氷室エリカ「左雨くんって本当にモノクマメダル見つけるのうまいよね……」

左雨瑞樹「あー、その件もういいから、爆破に移ろうぜ。耳栓でどれくらい爆発音防げるか試してみようぜ」

左雨瑞樹「今から設置してくるから、ちょっと待っててな」
493:🎏 :2013/10/12(土) 01:27:03 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「……よし。これで大丈夫だ。いつでも爆破できる」

氷室エリカ「それじゃ耳栓つけてみようか」

左雨瑞樹「装着っと……皆もつけたか?」

左雨瑞樹(……あ、全然聞こえねえな、これ。すげえ効果あるじゃん)

左雨瑞樹(皆頷いてるし、たぶんもうつけたんだろうな。じゃあ爆破するか)

左雨瑞樹(起爆は……指で合図してやればいいかな。3、2、1……行くぞ!)

起爆スイッチを押し込むと同時に、大きな爆発が起こる。
爆風は相変わらず凄いし、爆煙も辺りを酷く濁し、いちいち圧倒されることに変わりはない。
しかし、爆発音に関しては、かなり改善されたように思える。音の衝撃が鼓膜に牙を剥くことはなくなった。
昨日、皆を悩ませた爆音の問題は解消されたように思う。これで俺達は、効率よく校内にダメージを蓄積していける。
一旦耳栓を外してから、俺達はこの結果を喜びあった。
494:🎏 :2013/10/12(土) 01:28:27 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「……うまくいったな」

白鳥輝穂「はい!耳が痛くなるほどの爆発音のはずなのに、全く問題ありませんでした!」

氷室エリカ「これなら爆破を続けても、私達がダウンすることもないと思うよ!」

左雨瑞樹「これで爆破のペースを上げられる。一気に集中爆破できれば、校内施設の破壊も夢ではないかもな」

肉丸健太「学園長も真っ青の展開だねー」

左雨瑞樹「そうだな。他の班もうまくやってる頃だろう」

左雨瑞樹「玄関ホールの扉や窓の鉄板自体を破壊できれば直接脱出に繋がるし、シャッターの破壊でも大きな手掛かりに繋がる可能性は高いと思う」

左雨瑞樹「どう考えても、現状は俺達に有利に進んでる。このまま順調に事を進めて、モノクマの思惑を打ち破ってやろうぜ」

氷室エリカ「うん!皆で一緒にこの学校を出よう!」
495:🎏 :2013/10/12(土) 01:30:22 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「……良い感じで盛り上がって爆破に移ったけど」

氷室エリカ「シャッター全然壊れないね……バンバン爆破できるようになったんだから、もうちょっと壊れてくれてもいいのに」

白鳥輝穂「けほっけほっ……す、すみません。私、何だか気分が悪くなってしまいました……」

肉丸健太「効率よくバンバン爆破しだしたら、今度は煙が酷くなってきたからねー」

氷室エリカ「うう……せっかく爆音の問題もどうにかなったと思ったのに……」

白鳥輝穂「ごめんなさい……私のせいで……」

氷室エリカ「違うよ!白鳥さんは全然悪くないよ!爆発の煙が酷いのが問題なんだよ!」

氷室エリカ「そしてこんなことをいちいちやらなきゃいけない状況をつくったモノクマが悪いんだよ!白鳥さんは何も悪くない!」

肉丸健太「もう昼だよー。正直煙で気分悪いのは皆も一緒だろうしさー、そろそろ休んでごはん食べようよー」

左雨瑞樹「……そうだな。食堂に行って昼食をとろう。ついでに少し休んで、昼からの作業に備えよう」

肉丸健太「やったー!ごはんだよ!僕、限界を超えて食べるつもりで挑むよ!」

氷室エリカ「そんなことで限界に挑まなくても……」

白鳥輝穂「左雨さん、ありがとうございます……」

左雨瑞樹「気にしなさんな。どのみち食事はとらなきゃならねえんだしさ」
496:🎏 :2013/10/16(水) 00:59:22 ID:tOYwbNCOSQ
肉丸健太「僕達は今、食堂にいるよー!」

氷室エリカ「テンション上がってるね……」

左雨瑞樹「しかし爆煙か……爆音で耳がやばくて何度も爆破できなかったから気にしてなかったけど……」

氷室エリカ「何度も爆破すると、今度は煙が酷くて辛くなっちゃうかな」

左雨瑞樹「空気が濁って呼吸も苦しくなるな。マスクとか必要になってくるかな」

肉丸健太「なんていうか目もきついような気もするかなー」

白鳥輝穂「なかなかうまくいきませんね……」

左雨瑞樹「校内から爆弾使って脱出口を作るっていう非常識なことやってんだ。常識しかない俺達には難しい無理難題さ」

左雨瑞樹「だから苦戦も必至ってわけだろ。それでも少しずつ前進はしてる。諦めず続けていくだけさ」

肉丸健太「それよりごはんが食べたいよ!ねえ、ごはんはまだなの!?」

白鳥輝穂「あっ、すみません。すぐに用意しますね」

氷室エリカ「白鳥さん、私も作るの手伝うよ!」

白鳥輝穂「ありがとうございます。助かります」

左雨瑞樹「……食いたい食いたい言う割に、作るのは手伝わないんだよなあ」

肉丸健太「し、仕方ないじゃないー。僕は食べるの専門なんだからさー」
497:🎏 :2013/10/16(水) 01:01:09 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「飯できるまで雑談でもしてるか。健太、話でもしようぜー」

肉丸健太「いいよー」

左雨瑞樹「……」

肉丸健太「……」

左雨瑞樹「いや、何か話ないんかよ?何か才能にまつわる話とかさ」

肉丸健太「ないよー。僕は単純に食べるのが好きなだけだからねー」

左雨瑞樹「……何かつまんねえ男だよな、お前は」

肉丸健太「酷いよ!僕の才能にまつわるエピソードがないのは、場明日さんと一緒に話した時に言ってたでしょ!」

左雨瑞樹「ああ、虎美と話した時に言ってたな」

左雨瑞樹「……あっ、じゃあ愛梨を一日無料で雇えた日あっただろ?」

肉丸健太「ああ、うん。あったねー。本田川さんの裁判で、僕が犯人だって間違えた償いにってねー」

左雨瑞樹「やっぱさ、健全な男子としては気になるじゃん?ちょっと詳しく教えてほしいなー、なんて」

肉丸健太「いいよー。あれは素晴らしい体験だったと思うよー」

肉丸健太「掃除だったり洗濯みたいな、いかにもメイドさん的なお仕事もきっちりしてくれたしねー」

肉丸健太「過激なのはNGとして、萌えーな要求も嫌がらず受け入れてくれたよー。良い体験だったねー」

左雨瑞樹「……100枚かー。今から溜めるとして、到達はいつになるかなー」
498:🎏 :2013/10/16(水) 01:04:40 ID:tOYwbNCOSQ
肉丸健太「そう言えば夜桜さんは甘党みたいだねー。その日のうちに食堂からいろいろ準備して、甘いカフェオレ作ってくれたよー」

左雨瑞樹「いいじゃん、カフェオレ。俺もそれ飲んでみてえな」

肉丸健太「僕ももう一度飲みたいんだけど、その前に契約時間過ぎちゃってさー」

肉丸健太「終わった後は超冷たかったよー……もう一度作ってって頼んでも、嫌です豚糞野郎とか言われて……」

肉丸健太「購買部で買ってたのか知らないけど、カフェオレのペットボトル飲んで、カフェオレが飲みたければ糞野郎も買ったらどうです?って……」

左雨瑞樹「愛梨、ご主人様以外には糞冷てえからなあ……」

肉丸健太「僕は夜桜さんの作るカフェオレが飲みたいんだけどなー……」

氷室エリカ「もう、馬鹿みたいな話をしないでよ!ご飯できたよ!」

左雨瑞樹「おう、サンキュー」

白鳥輝穂「簡単な物ですが、こんなものでよろしかったでしょうか?」

肉丸健太「問題ないよー!白鳥さんが作る料理は絶対美味しいって決まってるんだよ!」

白鳥輝穂「あ、ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです」

氷室エリカ「ねえねえ瑞樹くん!私の料理はどうかな?」

左雨瑞樹「アーオイシイヨーオイシイアルヨー」

氷室エリカ「何で片言なの!?」

肉丸健太「たぶん照れ隠しだよー。氷室さんの料理も美味しいよー」

氷室エリカ「ああ、うん……」

肉丸健太「何でどうでもよさげなの!?」
499:🎏 :2013/10/16(水) 01:16:13 ID:tOYwbNCOSQ
肉丸健太「美味しい!美味しいよ!」

氷室エリカ「肉丸くんは本当に食べるの好きだねー」

白鳥輝穂「こんなに喜んでいただけるのなら、作り手として大変嬉しく思います」

左雨瑞樹「まあ才能だかんなー。健太が本領発揮する場だし」

左雨瑞樹「才能と言えば、輝穂の話を聞きたいとは前々から思ってたな」

白鳥輝穂「わ、私ですか?」

左雨瑞樹「うん。輝穂って超高校級の癒し系だろ。それってたぶん、芸能活動によって才能が花開いたんだろ」

左雨瑞樹「でも、輝穂って芸能活動するような性格に思えなくてな。何でタレントなんかやろうと思ったんだよ?」

氷室エリカ「ああ、確かにそれは気になるかも。白鳥さんって自分からそういうのやりそうにないもんね」

白鳥輝穂「タレントのきっかけですか……実は、街中を歩いてる時にスカウトさんに出会いまして」

氷室エリカ「街中スカウト!やるねー白鳥さん!私そういうの経験ないけど、やっぱあるんだねそういうの!」

左雨瑞樹「昔の無口で近寄りがたいエリカだと、スカウトも声かけらんねえだろうしな」

氷室エリカ「うっさいなあ。昔の私ってそんな酷かったのかなあ……」

肉丸健太「スカウトされたからタレント始めたんだー。でも、それでも白鳥さんがやりそうには思えないなー」

白鳥輝穂「……私なんかに対して、熱心に誘ってくださるスカウトさんを前にすると、断れなくて……」

左雨瑞樹「それでタレントになっちゃったわけか。はー……輝穂らしいなあ」

肉丸健太「嫌々で人気タレントになっちゃうなんて、やっぱり白鳥さんは凄いねー」

氷室エリカ「そして白鳥さんのこの癒しオーラを見逃さなかったスカウトは手柄だよね!」
500:🎏 :2013/10/16(水) 01:24:38 ID:tOYwbNCOSQ
白鳥輝穂「まだまだ未熟ではありますが、皆さんのために役立てるのであれば、一生懸命頑張りたいと思ってます」

左雨瑞樹「はー、立派な考え方だよ。どっかの大食いさんとは全然違うよ」

肉丸健太「でも左雨くんや氷室さんだって人のこと言えないよねー。貧乏くじと孤独だよー?」

左雨瑞樹「……それを指摘されちゃ困るんだよな」

氷室エリカ「なんていうか、自分の意思とは関係なく働いちゃう才能だもんね。きっかけとか向き合い方が立派になることなんてないよ」

左雨瑞樹「エリカは立派に意味不明な才能から脱却しようとしてるけどな。まあ……この話はやめにしようか」

肉丸健太「エピソード不足でいじられる側の気持ちをこれで知るといいよ!」

白鳥輝穂「……ごちそうさまでした。食事も取り終えましたね」

左雨瑞樹「昼休憩はそろそろ終わりにして、また物騒な爆破作業に戻るとするかね」

肉丸健太「え?昼はまだこれからだよー?」

氷室エリカ「そんな夜はこれからみたいなノリで言われても……」

左雨瑞樹「飯はもう十分食ったろ。ほら、作業に戻るぞ」

肉丸健太「うぅ……ただひたすらに食べてたいよ……」
501:🎏 :2013/10/16(水) 01:26:50 ID:tOYwbNCOSQ
昼休憩を終えた俺達は、再び学校エリアのシャッター爆破作業に戻った。
爆破音の問題はどうにかなったものの、それによって効率的に爆破したことで、煙等の新たな問題も浮かび上がった。
それが影響して、なかなか効率よい爆破が継続できない。これはまた明日の朝辺りに報告して対策を考えないといけないかな。
よくよく考えると……詳しくはないけど、それでも爆破で何かを壊そうって連中はもうちょい重装備であるのは容易に想像できる。
モノクマが俺達を閉じ込めるために異常に頑丈にしてるから、一気に全壊ということはないが、少しずつ壊れるだけでも相当危険ではあると思う。
建物の倒壊が目的ではないとはいえ、爆発物を建物の内部で扱っているんだ。それにしては覚悟やら準備が圧倒的に足りてなかったのかもしれない。
そう考えると、こうやって問題に突き当たって停滞するのも十分納得できる結果と言えるかもしれない。
そうしてシャッターは壊れないまま、時計は夜を指し示すようになった。
502:🎏 :2013/10/16(水) 01:29:18 ID:tOYwbNCOSQ
氷室エリカ「左雨くん、今日はもう終わりにするしかないよ」

肉丸健太「シャッター、壊れなかったねー。焦げ目はもうすごいついちゃってるけどさー」

白鳥輝穂「本当に頑丈ですね……防犯としてならとても効果的であるのですが……」

左雨瑞樹「……また明日にはモノクマが修理するんだろうか」

肉丸健太「こうやって頑張って爆破しても、次の日にはダメージをゼロにされちゃうのは、悲しいし辛いねー……」

氷室エリカ「で、でもさ!中後さんが言ってたように、見た目だけしか直してないのかもしれないよ!」

白鳥輝穂「そ、そうでうよね。これだけたくさんの爆破によるダメージを、一晩で直しきるのは現実的ではないです」

左雨瑞樹「どちらにせよ俺達に確認の術はない。爆弾はまだまだあるから、諦めずに続けていくしかないんだよな」

氷室エリカ「きっと最後には壊れて外に出れるよ。頑張ろう!」

左雨瑞樹「……ありがとな、エリカ」

氷室エリカ「ん?」

左雨瑞樹「お前が前向きに頑張ろうとしてくれるから、こっちも頑張れるんだよ。決して心を折らずに頑張ろうってなれるんだよ」

氷室エリカ「ふふ、瑞樹くんの役に立てたんなら、私は嬉しいよ!」

白鳥輝穂「……お二人はとても仲がよろしいんですね」

肉丸健太「これぞ青春だよねー」
503:🎏 :2013/10/16(水) 01:32:23 ID:tOYwbNCOSQ
こうして今日も破壊はできないまま、終わってしまった。
晩飯を平らげてからは自由時間とし、俺はさっさと部屋に戻らせてもらった。
風呂やらなんやらを済まし、いつでも寝れる状態にしてから、体を横にした。そしていろいろ考える。

自ら脱出口を作ってみてはどうか、ということで提案させてもらった爆破作戦だが、今のところうまくはいってない。
闘球や良子が攻撃して壊れないのだから、ある程度は予想していたが、これほどの爆薬を用いても壊れないとなると、さすがに不安を感じる。立案者だから責任もあるしな。
エリカが前向きに捉えてくれるのに救われるのは事実ではあるが、現実を見れば爆破で壊せる確証がないのも事実だ。
さすがに爆薬を用いれば壊せると思ってたんだけどな。ここまで成果がついてこないとなると、頭をよぎる不安を拭うのはなかなか難しい。
そんな状況ではあるが、自分で言った通り諦めずに続けていくしかないんだよな。
緩やかにでも不安が生じているが、でもきっと大丈夫だ。俺には仲間がいる。エリカが励ましてくれる。だから俺は不安に打ち勝てる。
ああだこうだ考えたって、やることはもう決まってるんだ。それをやるしかないんだから、明日もそれをやっていくだけだ。

……エリカが励ましてくれるから、不安に打ち勝てる、か。
小百合や兎に茶化されたわけだが、実際のところ、俺はエリカをどう思ってんだろうな。
自分のことなのにわからないってこともあるんだな。俺は、氷室エリカという女性をどう思ってんだろう。
その辺に思考を巡らせても答えが見つからず、いつしか眠りについてしまって、答え合わせはまたの機会となるのだった。
504:🎏 :2013/10/16(水) 01:35:29 ID:tOYwbNCOSQ
〜モノクマ劇場〜

命ってそんなに価値あるものですかね?
そりゃあ価値がありそうな命があるのも事実です。
でもよく考えてみてください。
大して世間に貢献もせず、無駄に酸素も食料も消費するだけの命。
生き続けるために金を使うだけ使って、でもそれで利益は何も生まない命。
世界に僅かにある価値ある命が作り上げた英知に乗っかって、周りの負担になるだけの命。
こんな無価値な命が世界の多くを占めているんです。
こんな命、百害あって一利なしじゃないですか。殺して間引いた方がまだ貢献になるでしょう。
でも殺した奴は悪者として罰されます。何故でしょう。
簡単です。人間って偽善が好きなんです。綺麗事のためにたくさん損をする、馬鹿な偽善者なんですね。
505:🎏 :2013/10/18(金) 01:07:04 ID:tOYwbNCOSQ
モノクマの放送で目が覚めた。今日も今日とて爆破をせにゃならん。
毎度のようにまだまだ寝ていたい気持ちなのだが、最近は朝にチーム分けすることになっているんだし、ここで眠気に負けるわけにはいかない。
爆破作戦の報告のためにも、俺は真面目に起きて食堂へと向かった。

食堂にはいつものように俺以外の全員が揃っていた。皆本当に律義なこったな。
輝穂ら女性陣が作ってくれる朝食を美味しくいただいてから、俺達は昨日のことを報告し合うことにした。
506:🎏 :2013/10/18(金) 01:11:38 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「さて……爆音問題をどうにかして挑んだ昨日だけど、破壊できた班はあるか?」

黒魔帝兎「恐らくどこも破壊できなかっただろうな。爆破を繰り返すうちに煙が酷くなって、それがまた俺達の作業効率の妨げとなった」

キング「悪しき煙に蝕まれて、我は夜を失った。だから我は人類が生み出し眠りの秘宝を悪魔との取引の末に手にしただろう」

氷室エリカ「……どういう意味?」

左雨瑞樹「……煙がひどくて気持ち悪くなって夜寝られなかったから、購買部で睡眠薬買ってそれで寝たって感じか?」

キング「的を射ている」

中岡笑「今のでよくそこまで読みとりましたね……」

左雨瑞樹「ていうか睡眠薬まで売ってあるのか。本当に何でもあるな……」

中後小百合「話を戻すが、破壊に成功したらすぐさま他の班に報告に行くだろう。それがなかったってだけでも破壊失敗の報を察するのは難しくないね」

肉丸健太「このままじゃ煙に邪魔されて、また効率的な爆破が出来なくなるねー。これはどうにかしないとねー」

相田鳥子「けむりなんてどうすりゃいいんだー!?わかんねーぞー!」

夜桜愛梨「煙で悪影響を及ぼすのは口や鼻、あとは目と思われます。マスクやゴーグル等を用意すればいいのではないでしょうか?」

中岡笑「……冷静に考えると、学校の中から爆破で脱出口作るっていう、けっこう凄いことやらかそうって割には準備不足ですよね」
507:🎏 :2013/10/18(金) 01:14:10 ID:tOYwbNCOSQ
モノクマ「本当だよ!オマエラ爆破を舐めすぎっだっつーの!笑わせんなよな!」

中後小百合「ちっ」

モノクマ「あっ!中後さん、今舌打ちしたでしょ?嫌がるにしても、もうちょいソフトなのにしてよ!ボク傷ついちゃうよ!」

中後小百合「そうかい、傷ついたかい。そいつはいいことを聞いたな。覚えてたら今後も続けていこうかね」

モノクマ「学園長を積極的に傷つけようとするなんて……うう、どこで教育を間違ったんだろう。およよ……」

白鳥輝穂「あの、学園長。今日はどういった用件ですか?」

モノクマ「どうもこうもないよ!オマエラがドッカンドッカンやってることについて、少々語ろうかと思って来たのです」

モノクマ「オマエラのボマーっぷりにはびっくりします。校内破壊を試みる不良はいるでしょうけど、それで爆弾使うのはオマエラくらいじゃない?」

中後小百合「それだけお前さんが気合い入れて閉じ込めてるということさ。それに応じて我々もやらなきゃいけなくなるんだよ」

モノクマ「ふーん。でもさあ、オマエラがやったところで、本当にそれが解決に向かうの?」

氷室エリカ「……モノクマ、それってどういうこと?」
508:🎏 :2013/10/18(金) 01:17:54 ID:tOYwbNCOSQ
モノクマ「オマエラさあ、爆破解体で使う爆薬の凄まじさを知らないでしょ?」

モノクマ「確かにボクは購買部で爆弾も売ってるけど、それは学校を壊すっていう尾崎的活動のためじゃなく、あくまでコロシアイの助力のためなんだよ」

モノクマ「だから導線の限りまで離れていれば、起爆側の安全は保障できるような、そんぐらいの威力の物を用意してんだよ」

モノクマ「つまり建物の解体はできない程度の爆薬だということです」

モノクマ「ていうか解体に使うほどの威力だったら、今頃オマエラお陀仏だっつーの!」

モノクマ「だからオマエラがやったところで無駄なんです!うぷぷぷ、なんて絶望的な展開なんでしょう!」

黒魔帝兎「……そうでもないぞ?」

モノクマ「およ?」

中後小百合「起爆側の安全が保障された物であるから、私達は思いっきり校内から爆破できるってこったね」

モノクマ「およよ?」

氷室エリカ「それに学校を爆破するって言っても、結局それは鉄の扉だったり……出入り口を塞ぐ要素を部分的に壊す目的だもん!」

氷室エリカ「学校全てを壊すようなとんでもない威力じゃないからこそ、そう言う部分的な爆破に効率よく使えるんだよ!」

キング「つまり貴様は意図せずして我らに協力する堕ちた悪魔である!我らを陥れんとする貴様は、逆に我らの希望を蘇らせた!」

モノクマ「ボクはアクマじゃなくてクマです!失礼しちゃうなあ!」
509:🎏 :2013/10/18(金) 01:23:43 ID:tOYwbNCOSQ
モノクマ「……殺害用のコンパクトな爆発力が、校内からの安全な爆破に役立ってると?」

左雨瑞樹「それでもあれほどの威力だ。学校全ては壊れなくても、扉や窓などを部分的に壊すのには好都合ってことだ」

モノクマ「でも、その扉や窓、ついでにシャッターも全然壊れてないじゃん。結局無駄なんだよね。絶望的だよねえ!」

肉丸健太「でもモノクマは律義に修理するじゃないー。それってダメージが残ったままだといつか壊れるからじゃないのー?」

モノクマ「物分かりの悪い肉ですね。額に駄肉って書いておきましょうか?」

モノクマ「ボクが修理をするのは、オマエラが爆破で汚すからっつってんじゃーん!ボクは学園長だから、清潔にしておきたいのです!」

中岡笑「そう言えば……今日も修理をしてあるんですか?」

モノクマ「モチのロンだよ。オマエラが気合い入れて爆破すんだもん。ボクも気合い入れて修正してるよ!」

中後小百合「へー、そうかい。そいつぁお勤め御苦労だったなあ学園長」

モノクマ「そうなんだよね。中後さん、疲れたボクにマッサージしてよ。性的な物でも構わないよ!」

中後小百合「悪いがこっちが構うんでね。自分でケアしてくれ」

モノクマ「ちぇっ、つれないなあ。じゃあいいよ!ボクもう戻って一人で性的にケアしてるよ!」

白鳥輝穂「学園長、発言には気を付けてください……」

モノクマ「朝礼はこれくらいでいいかな。誰も倒れないうちに朝礼を終えるなんて、出来た学園長だよね!」

モノクマ「それじゃボクはそろそろ本当に戻ります。アイルビーバーック!」

左雨瑞樹「……消えたな」
510:🎏 :2013/10/18(金) 01:26:27 ID:tOYwbNCOSQ
中岡笑「なんつーか、嵐のようなクマですよね……」

中後小百合「それで左雨、モノクマ学園長の傍迷惑な朝礼をお前はどう読む?」

左雨瑞樹「無駄だから諦めろって言ったり、爆破したら修理するって言ったり……普通に考えたら効いてるってことかな」

左雨瑞樹「最初の裁判終わった後で絆がバラバラになった時もそうだったけど、あいつはよく俺たちに絶望的なことを言って心を折ろうとする」

左雨瑞樹「そしてそれらは全て、俺達に殺し合いをさせたいモノクマが、そういう結果に仕向けるためにやってる」

左雨瑞樹「つまり、俺達がやってることに対して、ああいう行動を取るということは、今の俺達の方針はあいつには都合が悪い」

左雨瑞樹「だから俺達は、あいつの嫌がらせにも負けずに、このまま作戦を続けていけばいい」

黒魔帝兎「俺も同意見だ。どのみち他の案もないから続ける他ないしな」

相田鳥子「よくわかんねーけど、今までどうりなんだな!わかりやすくていいぞ!ばくだんドッカンしようぜー!」

夜桜愛梨「そのためには準備をしなければなりませんね。爆破が続けば煙等でいろいろ問題が起こりますから」

肉丸健太「そう言えばそんな話だったねー」
511:🎏 :2013/10/18(金) 01:29:18 ID:tOYwbNCOSQ
左雨瑞樹「いろいろ買う必要があるよな。マスクにゴーグルだったか。今更だが安全性を考えるとヘルメットや作業着も必要かもしれない」

左雨瑞樹「俺はさすがに爆弾で金使い果たしてるからな。耳栓だけならどうにかなったけど、そんなに買うなら皆の分は買えねえぞ。どうするよ?」

黒魔帝兎「モノクマメダルなら、もう一人集めるのが上手な奴がいただろう。そいつに頼めばいいんじゃないか?」

中後小百合「そうだな、彼に甘えよう。というわけだ、キング。それらを買うだけの金はあるかい?」

キング「任せておけ。今の資金なら、我がクローンを五体は生み出せよう!」

中岡笑「いや、結局どれくらいお金持ってるか全然わかりませんけどね」

白鳥輝穂「でも、何だかいっぱい持ってそうだとは思えますね。キングさん、それでよろしいですか?」

キング「構わぬ。我が資金で皆の命に希望を宿そうぞ!」

中岡笑「……正直作業着は着たくないですけどね。自分は芸人としてこの衣装を貫きたいですよ」

夜桜愛梨「私も作業着は着たくありませんね。そんな衣装では私の美しさが半減してしまいます」

左雨瑞樹「……一つだけモノクマの言う通りなことがあるな。爆破に関しては俺らちょっと舐めすぎかもな」
512:🎏 :2013/10/18(金) 01:31:28 ID:tOYwbNCOSQ
氷室エリカ「まあとにかく昨日の反省を活かして今日も頑張れば、少しずつ改善はできるよ」

氷室エリカ「少しずつ改善できてったら、それだけ壊せる可能性も増えてって、最後には望む結果を手に入れるのも夢じゃないと思う」

氷室エリカ「だからモノクマに負けずに、最後まで頑張ってみよう。私達はきっとモノクマに抗える希望の集まりなんだよ!」

左雨瑞樹「……」

氷室エリカ「す、少し臭いこと言っちゃったかもだけど、そんなニヤニヤしなくていいじゃん!」

左雨瑞樹「違うよ。超高校級の孤独が、よくもまあこんなに成長したなあって嬉しかったんだよ」

氷室エリカ「……それは、瑞樹くんが私を変えてくれたからだよ」

中後小百合「お熱いねえ、お二人さん。白鳥に赤飯でも作らせようかね」

氷室エリカ「ああもう!この話終わりにしよう!それより爆破だよ、爆破!」

黒魔帝兎「そうだな。そろそろ爆破に移ろうか」

白鳥輝穂「えっと……結局、お昼は赤飯にした方がいいんでしょうか?」

氷室エリカ「普通でいいって!」
513:🎏 :2013/10/19(土) 01:46:29 ID:h26mQrjTrM
こうして俺達は爆破に移ったんだが……。
ここからは少しダイジェストにして、数日の様子を紹介していきたいと思う。

その後、俺達は煙対策などをして、爆破活動を続けた。日に日に反省を重ねて改善してるんだから、爆破効率は上がるばかりだ。
しかしそれでも爆破対象が壊れることはなかった。どれだけ爆破しても、焦げ目がつく以上の成果がついてこない。
モノクマの修理対策として、朝班、昼班、夜班に分かれて同じ個所を一日中爆破してみよう、なんてことも試してみたが、同じことだ。
どれだけ工夫を凝らしても、俺達を学園に閉じ込める扉や窓は、高い壁として立ち塞がり続けた。
そしてそんな日を連ねることで、また別の問題も生じてきた。
大量に買い溜めた爆弾にも、数に限りはある。要するに大人買いしたダイナマイトが底を突きそうになってるのだ。具体的に数を言うと、残り三個である。
今まで数えきれないほど爆破してきて、結果は焦げ目がついてるだけである。それが、残り三個で解決に向かうとは到底思えない。
俺達は今、相当まずいところまで追い詰められていた。
514:🎏 :2013/10/19(土) 01:48:22 ID:h26mQrjTrM
黒魔帝兎「……どうするんだ?」

中後小百合「はて、何に対して言ってるんだ?そこをきちんと言ってもらわねばな」

黒魔帝兎「わかってるだろ……爆破の問題だ」

黒魔帝兎「左雨が買ってくれた大量の爆弾だが……結局破壊が成功しないまま残り三個だ」

相田鳥子「また買えばいいんじゃねーのかー!?馬鹿かー!?」

夜桜愛梨「しかし、具体的な改善策もないまま再び購入すれば、二の舞になるのは目に見えています」

氷室エリカ「もう一人のモノクマメダル見つけであるキングくんがいるからやろうと思えば出来るけどね。今のまま繰り返しても……」

左雨瑞樹「……まさかここまで微塵も壊れないなんてなあ」

モノクマ「やっほー!オマエラのアイドル・モノクマ学園長だぜー!」

左雨瑞樹「……」

モノクマ「うぷぷぷ!嫌みの一つも言えないくらい参ってるみたいだね!ボク、今のオマエラの雰囲気嫌いじゃないですぜ!」

左雨瑞樹「よくもまあこんな頑丈に閉じ込めてくれたもんだよ……」

モノクマ「本当だよねー。こんな超合金ニューZな代物、どうやって作り上げたんでしょう?」

中岡笑「何であんたが他人事なんですか……」

モノクマ「まあとにかく、頑丈な扉・窓、ついでにシャッターのおかげで爆破作戦は失敗です。オマエラどうすんの?」
515:🎏 :2013/10/19(土) 01:51:02 ID:h26mQrjTrM
左雨瑞樹「まだ……まだ爆弾は三個残っている」

モノクマ「もう三個しか残ってない、の間違いですよね!」

モノクマ「今まで目一杯爆破してきて駄目だったのに、残り三個で逆転なんか出来るわけないです!少しは現実を見てよね!」

左雨瑞樹「いや……残り三個でも逆転の手はあるはずだ」

氷室エリカ「ほ、本当!?」

モノクマ「本当なわけないじゃん。強がりたい年頃なんだよ、察してあげてよ」

左雨瑞樹「いいや、本当だ。その答えは輝穂がくれた」

白鳥輝穂「わ、私ですか?」

左雨瑞樹「かつて輝穂が考案してくれた。単純に学校の壁を壊してみたらどうか、ってな>>464

氷室エリカ「ああ!確かに言ってたよ!」

黒魔帝兎「さすがに中にいるまま学校そのものを壊すのは危険だと思うが……」

中後小百合「学校そのものが破壊対象なら、最悪の場合そのまま崩れて潰れてお陀仏もあり得るからな」

左雨瑞樹「でも、もうこれしかないんだ。幸い、本来の爆破解体に用いるほどの威力ではないらしいから、部分的に壊れるだけで済むかもしれない」

左雨瑞樹「モノクマが用意した無駄に頑丈な扉等が壊せなくても、普通の壁なら破壊できる望みはある」

左雨瑞樹「構造もわからない以上、下手に壊せば上階も崩れる危険性は確かにあるが……残り三個で逆転するにはもうこれしかない!」
516:🎏 :2013/10/19(土) 01:52:42 ID:h26mQrjTrM
モノクマ「オマエラ、正気かよ!この希望ヶ峰学園を壊す、だって!?」

キング「どうした、邪悪なる熊よ。実に慌てて見えるぞ」

モノクマ「そりゃそうですよ!ボクの大事な学園が壊されそうになってるんだから!」

左雨瑞樹「そりゃ悪いな。だけど、俺達は皆揃って出たいんだ。我慢してもらうぞ」

中後小百合「校則違反でのおしおき以外では、貴様は我々に手出しできないしな」

モノクマ「ぐぬぬ……」

肉丸健太「とりあえずこれでやることが決まったねー」

相田鳥子「何すんだー!?」

左雨瑞樹「残り三個の爆弾使って、学校に穴開ける。そこから脱出するんだ!」
517:🎏 :2013/10/19(土) 01:55:02 ID:h26mQrjTrM
黒魔帝兎「そうなると、どこを爆破するかが問題になってくるな」

中後小百合「モノクマ曰く、爆破解体ほどの威力はないそうだが、それでも十分凄い爆発力だ。ただの壁くらいならけっこう壊れるんじゃないかな」

黒魔帝兎「だからこそ、爆破する場所は慎重に選ばねばならない。再三言ってるが破壊場所によってはそれが原因で崩れて死んでしまう可能性がある」

中岡笑「大切なことですからね。何度でも言うんでしょうね」

左雨瑞樹「でも俺達は気付けば閉じ込められてた身で、上階に行くのも封じられてる。だから具体的な構造を知らない」

左雨瑞樹「だから、どこなら壊れても問題ないとかが予想しにくいんだよな」

白鳥輝穂「学園長、学校の構造を教えていただくわけにはいかないでしょうか?」

モノクマ「白鳥さんは良い生徒ですからね。お願いを聞きいれてあげたい気もしますが、お断りします」

氷室エリカ「何だよ、モノクマのケチンボ!」

モノクマ「え?オチンポ?」

氷室エリカ「言ってないよ!」

夜桜愛梨「糞野郎はほっときましょう。左雨くん、私に考えがあります」

左雨瑞樹「考え?」

夜桜愛梨「爆破をするのは、寄宿舎エリアの壁にしたらどうでしょう?」
518:🎏 :2013/10/19(土) 01:59:37 ID:h26mQrjTrM
左雨瑞樹「寄宿舎エリア?何でだよ?」

夜桜愛梨「私達は一応希望ヶ峰学園に閉じ込められていることになっています」

黒魔帝兎「本当に希望ヶ峰学園かどうかわかったもんじゃないけどな」

モノクマ「信じる信じないはオマエラに任せるよ。うぷぷ」

夜桜愛梨「とにかく、希望ヶ峰学園だとして、それなら寄宿舎エリアの方がいいのではないかと思うのです」

氷室エリカ「だから何でなの?」

夜桜愛梨「希望ヶ峰学園は類稀なる才能を育てる学校です。高校生ながら既に才能を発揮する学生をスカウトし、さらなる成長を促します」

中岡笑「そう考えると、自分ら本当に意味のわからない才能が多く集まっちゃいましたよね……」

夜桜愛梨「つまり、様々な才能に対応して育てるべく、様々な教室が用意されてるのは想像に難くありません」

夜桜愛梨「ということは、学校エリアの方は教室の数に呼応して階数も多いと予想でき、そんな校舎を一階から壊していくのは危険だと思われます」

夜桜愛梨「一方、寄宿舎エリアは学生が住む宿舎です」

夜桜愛梨「類稀なる才能がそんなに多く見つかるわけもなく、必然的に希望ヶ峰学園の学生の数は少数となります」

夜桜愛梨「だから寄宿舎エリアは少ない個室と生活に必要な部屋があるだけでいいのです」

夜桜愛梨「なので、そんなに階数は多くないと想像できます。階数が少なければ一階の一部が壊れても耐え得るかもしれません」

夜桜愛梨「以上を以て、爆破は寄宿舎エリアが適切ではないかと考えます」

左雨瑞樹「……なるほどな。確かにそうかもしれない」

氷室エリカ「よ、夜桜さんがまともに推理している!?」

夜桜愛梨「……殴りますよ?」
519:🎏 :2013/10/19(土) 02:04:01 ID:h26mQrjTrM
肉丸健太「ていうか夜桜さん、ご主人様じゃないのに教えてくれるんだねー」

夜桜愛梨「私だって素直にここを出たいですからね。渋る必要がありませんから」

中後小百合「とりあえず夜桜の案で決定でいいだろう。正直他に考えが浮かばないね」

黒魔帝兎「そうと決まればさっそく爆破に移ろう。寄宿舎エリアのどこを爆破するかも考えねばならんしな」

モノクマ「オマエラ、マジで学校そのものを爆破するんだね?」

左雨瑞樹「おう、大マジだぜ」

モノクマ「そうですか。これも生徒の選択です。学園長としては自主性を尊重して、これを見守ることにしましょう!」

白鳥輝穂「ありがとうございます、学園長!」

モノクマ「自分じゃ何も考えられないゆとりが、尾崎的行動とは言え自ら考え動いてる……これもひとえにボクの教育が良かったからですね!」

中岡笑「いや、それはないんじゃないですかね?」

モノクマ「とにかく、生徒の成長を垣間見れてボクは嬉しいです!その成果を見せてみてよ!」

左雨瑞樹「言われなくてもそのつもりだ。この爆破で脱出口を作り……俺達はここを出る!」
520:🎏 :2013/10/22(火) 01:07:40 ID:h26mQrjTrM
左雨瑞樹「寄宿舎エリアのどこを爆破するか相談中だが……」

中後小百合「……食堂の壁でも爆破するか?」

夜桜愛梨「いいんじゃないでしょうか。特に問題はないですよ」

肉丸健太「食堂って僕の聖域なんだから、他の場所にしてほしいけど……」

氷室エリカ「まあまあいいじゃない。脱出できたら外にはいっぱい聖域があるよ、きっと」

キング「寄宿舎の各部屋は狭い。三つの爆薬ではその悪意が我らにも襲うだろう。しかし食堂は広い。広大な大地は我らを救う術となろう!」

夜桜愛梨「テーブルをうまく使えば爆風や飛び散る破片を防ぐこともできそうですしね」

肉丸健太「わかったよ、もう……」

相田鳥子「じゃあばくはつやるのかー!?」

左雨瑞樹「ああ。残り三個を一ヶ所に同時爆破して、この忌々しい学校を壊して外に出よう!」

モノクマ「爆破解体と希望ヶ峰学園、どっちが勝つんだろう?わっくわくのどっきどきだよね!」

中岡笑「何であんたがわくわくしてるんですか……」

モノクマ「おっきい爆発って何か興奮しない?ついでにおっきいペ」

中岡笑「言わせねえよ!?」

左雨瑞樹「茶番はそこまでにしとけ。……これから爆破に移る!」
521:🎏 :2013/10/22(火) 01:08:54 ID:h26mQrjTrM
左雨瑞樹「爆弾の設置、完了したか?」

黒魔帝兎「ああ、完了だ。一斉に起爆すれば、三個の爆弾が食堂の壁を襲う」

中後小百合「ついでにテーブルで簡単なバリケードも作った。気分はちょっとしたサバゲーだな」

氷室エリカ「耳栓等々、爆破に対する準備もオッケーだよ!」

モノクマ「あとはドッカーンってやるだけだね!」

左雨瑞樹「そうだな……それじゃ皆、行くぞ。耳栓の準備してくれ」

左雨瑞樹(……モノクマが俺達を閉じ込めるために用意したあの鉄の扉や鉄板は壊せなくても)

左雨瑞樹(学校の一部を壊すには申し分ない威力のはずだ)

左雨瑞樹(これで壁に穴を開けて、閉ざされたこの学園生活から、俺達を外へと解き放つ!)

左雨瑞樹(犠牲も生まれたこの狂った学園生活を終わりにしてやる……)

左雨瑞樹(3……2……1……これで終わりだ!)
522:🎏 :2013/10/22(火) 01:10:44 ID:h26mQrjTrM
耳栓を考慮して指でカウントダウンした俺は、仲間と一緒に三個の爆弾を同時爆破した。
一つでもけっこうな威力だったんだから、それが三つも重なると大した威力だ。テーブルで簡単なバリケード作っといてよかった。
当然煙も酷くなり、食堂は間もなく爆煙で酷く濁って辺りの確認ができなくなった。
これだけの爆発なら、普通の建物なら壊れるだろう。煙が晴れたらドでかい穴が開いてるのでは、と期待に胸が高鳴る。
ふと上階が崩れるのではないかという懸念を思い出し、意識を上に向けるが、どうやら崩れる気配もない。
うまくいった。うまくいったんだ。俺の中で希望が芽吹き、即座に花を咲かす。
危険性を考慮して最終手段としたこの作戦が成功した。それが嬉しくて、心は躍った。
やがて煙は晴れて、俺は視線を爆破箇所へと移した。

「……そんな。どうして……どうして、こんな……」

そう呟いた俺の目が捉えた光景は、今まで散々爆破してきた扉と同様に、ただ焦げ目がついただけの壁だった。
希望に躍動した俺の心が、瞬く間に絶望に堕ちていく。
このあまりに不条理な現実を目の当たりにして、気付けば俺は怒鳴っていたのだ。
523:🎏 :2013/10/22(火) 01:14:48 ID:h26mQrjTrM
左雨瑞樹「何でだ!?どうしてだ!?これは普通の壁だろ!?モノクマが用意した、得体の知れない鉄板とかじゃないんだろ!?」

左雨瑞樹「だったら、直接爆破すりゃ壊れもするだろ!俺達は、これで出られるはずだったのに!」

モノクマ「簡単だよ。ここは普通の学校じゃないからです。ここは、希望ヶ峰学園なんだよ!」

左雨瑞樹「モノクマ……?」

モノクマ「オマエラも知っての通り、希望ヶ峰学園は世界有数の才能を育てる学園です」

モノクマ「何かあった時に、その希望ある才能を守らなきゃいけないとでも思ったのかな。御覧のように非情に頑丈に作ってあるんだよね」

モノクマ「下手したら校舎そのものの方が扉や鉄板より固いんじゃねーですかね?生徒を外部の悪意から守る、希望に満ちた学園だということです」

モノクマ「それが……うぷぷぷ!今や希望のシナリオを拒絶する絶望以外の何物にもならないんだもの!最高に最低な展開だよね!」

モノクマ「ぶっひゃっひゃっひゃ!出たくて出たくてたまらないゆとりの甘い希望を、絶望的に砕いて見せたよ!とっても楽しいね!」

モノクマ「残念だったね、オマエラ。ボクにとっては最高の展開だけどね。楽しい茶番をありがとう、オマエラ」

左雨瑞樹「そんな……お前、最初からこうなるのわかってたのかよ?」

モノクマ「あったり前じゃん!ボクは学園長ですよ。自分の学校のことくらい把握してるっつーの!」

モノクマ「大体、本気でやばかったら校則加えるって。随時付け加えることができるんだからさ!>>46

モノクマ「それをしなかっただけで、察することもできただろうに、オマエラって本当にお馬鹿ちゃんだよね!」
524:🎏 :2013/10/22(火) 01:17:48 ID:h26mQrjTrM
モノクマ「本当にこの学園は頑丈です。もしも、もしもね。希望達がこの学校に立て籠ったら、外からだともうどうしようもなかったんじゃないかな?」

モノクマ「そうなったらつまんないからね。でも、ボクのおかげでこの面白いコロシアイ学園生活が実現しました。ボクがいて本当によかったよね!」

モノクマ「うーん。最高の場面に出くわしたからボクは上機嫌です。今日は学園長がよく喋りますね!」

氷室エリカ「……モノクマは、瑞樹くんが爆破作戦を考えついた時から、この結末が見えてたの?」

モノクマ「そうだよ。ここ数日間は心からわくわくどきどきしてたよ!」

モノクマ「無駄なのに勝手に希望に満ちてってさ!壊さないでー修理しなくちゃーって煽ったら、更に調子に乗ってさ!」

モノクマ「そうして勝手に期待して、今日この瞬間を迎えたわけです。オマエラ、今すごく絶望に染まった表情してるよ」

モノクマ「感情の落差もあって、かなりいい絶望になってます。これが見れるなんて、学園長冥利に尽きるね!」

中後小百合「……お前は、我々が希望を抱くようコントロールしていたと言うのか?」

モノクマ「その通りです。上げて落とした方がより良い絶望になるかなって思ってさ。結果、その通りになったしね!」

モノクマ「そうそう、中後さん、一つだけ教えておいてあげるね」

モノクマ「中後さんは、時間がないから爆破の修理なんて出来っこない。塗装か何かで見た目を繕ってるだけって言ってたよね」

モノクマ「実はそれ、大正解なんです!つまり、ダメージをどれだけ蓄積したところで、この学園から出られなかったってことです」

モノクマ「オマエラは、本当に無駄なことをして、時間を浪費しただけなんだよ!」
525:🎏 :2013/10/22(火) 01:19:38 ID:h26mQrjTrM
黒魔帝兎「俺達がやってきたことが……無駄?」

モノクマ「そうです。ボクが出れないって言ってんのに、最初は出口がないか探してたよね」

モノクマ「それで出口がないと悟ったら、今度は壊して出口作ろうって、トンデモ発想で希望を見出そうとしてたみたいだけど」

モノクマ「全部無駄です!この学園に出口はないし、爆弾なんか使ったって壊れることもないんです!」

モノクマ「ボクは最初から言ってたはずですよ?卒業したいなら、コロシアイをするしかないんです」

モノクマ「ここから出るには、クロになってシロを欺くしかないんです!」

モノクマ「それが嫌なら、死ぬまでずーっと学園生活を送ればいいんです。そうすれば、殺さずにいられますよ」

モノクマ「オマエラに残された選択肢はその二つです。もちろんまた馬鹿みたいに破壊工作を試みても止めはしませんよ」

モノクマ「止めないで放っておいたら、今回みたいな面白い絶望になるってわかったからね!これはこれでアリだとボクは思うよ!」

左雨瑞樹「……」

モノクマ「うぷぷぷ。絶望で何も言えないみたいだね。けっこう、けっこう!」

モノクマ「それじゃ良い物も見れたし、ボクはそろそろ失礼するよ」

モノクマ「オマエラが今後どうするか、ボクは任せるよ。何たって、ボクは生徒の自主性を尊重できる良い学園長だからね!」

モノクマ「そういうことですので。それじゃバイバーイ!」
526:🎏 :2013/10/22(火) 01:21:49 ID:h26mQrjTrM
そう言って、モノクマは消えた。
一人で朗らかに喋ってたのが消えたせいで、俺達は重苦しい沈黙の中に取り残された。

万策尽きた。それが正直な感想だ。
爆破解体に用いるほどの爆弾ではない、とモノクマに説明は受けたが、それでも素人目には凄まじい爆発力で、だからこそ破壊も夢じゃないと希望を抱いた。
俺達を閉じ込めている鉄の扉や窓の鉄板は、モノクマが用意した物だし、ある程度頑丈ではあるかもしれないと予想はついていた。
しかし、学校そのものも壊れないとは思ってもみなかった。あれほどの爆発で、壊れない校舎なんて想像できるわけがない。
今回の結果は、俺たちに破壊を諦めさせるのには十分な結果になってしまった。たぶんもう繰り返したところで、破壊はできないだろう。
これだけの爆破で壊れないなら……同じことを繰り返しても、武器を変えても、この学校は壊せないんだと思う。
仮に壊せても……モノクマが言ってた通り、そうなりそうなら奴は校則に加えるという方法でそれを阻止できる。
散々探してきたからわかる。この学校にモノクマが見落とした脱出口なんて存在しない。
散々爆破してきたからわかる。この学校は俺達の力では壊せない。
わかってしまったから、もう絶望しか残らない。
527:🎏 :2013/10/24(木) 02:09:11 ID:h26mQrjTrM
夜桜愛梨「……これは、どうすればいいんでしょうか?」

相田鳥子「もう一どチャレンジすりゃいいだろー!馬鹿かー!?」

黒魔帝兎「いや……この爆発力でこの結果だ。更にモノクマの言い分もある……」

黒魔帝兎「たぶん、もう一度やったところで、結果は同じだ。この恐ろしいほど頑丈な学校を壊して出るというのは……無理だ」

中岡笑「そんな……じゃあ自分らが出るには、もう誰かを殺すしかないんですか!?」

中後小百合「現状、それしかないだろうな。ここまで派手に爆破して、それで駄目ならもうお手上げさ」

中後小百合「探して駄目、壊して駄目。これ以外で、モノクマの悪意に乗らずにここを脱する策があるかい、リーダー殿?」

左雨瑞樹「……正直、今は思いつかない……」

中後小百合「そういうこった。誠に遺憾ではあるが……外に出たいなら、殺す覚悟がそろそろ本当に必要かもしれん……」

肉丸健太「殺して出る……」

氷室エリカ「そんなの!そんなの絶対だめだよ!」

左雨瑞樹「エリカ……」
528:🎏 :2013/10/24(木) 02:11:03 ID:h26mQrjTrM
氷室エリカ「本田川さんの裁判も、中村くんの裁判も、私達にとって辛い物だったよね?」

氷室エリカ「百目鬼さんが殺されて、場明日さんが殺されて、そんな大切な仲間を殺したのもまた仲間だった!」

氷室エリカ「私、もう嫌だよ!仲間を殺すとか、仲間を疑うとか!こんな苦しみ耐えられないよ!」

白鳥輝穂「私も……もうこんなのは嫌です!やっぱり仲間同士で殺害し合うなんて、間違ってます!」

白鳥輝穂「学園長の企みに乗ったって、事態は好転しません!殺す覚悟なんて、絶対に必要ありません!」

キング「しかし、それでは永遠に自由は手に入らない!我らが自力で出ることが不可能であれば、もはやモノクマに乗るより他はない!」

氷室エリカ「……どうしても、ここから出なくちゃいけないの?」

左雨瑞樹「エリカ……?」

中後小百合「どういうことだ、氷室?お前は何を言おうとしている?」

氷室エリカ「殺さなきゃ出れないっていうなら……ここでの生活を受け入れたらいいんじゃないかな」
529:🎏 :2013/10/24(木) 02:15:00 ID:h26mQrjTrM
黒魔帝兎「正気か!?こんな狂った学校で生涯を終わらすつもりか!?」

氷室エリカ「確かにここは狂ってる!モノクマも、そのモノクマが強いるルールも……何もかも狂ってる!」

氷室エリカ「でも……私達が強く在れば、私達だけは狂わず正常を保てるよ!」

氷室エリカ「私達だけでも正常で、仲良く暮らせば、狂った世界でも正しく在れるはずだよ!」

氷室エリカ「モノクマは絶望を呼びこむ悪魔だよ!でも、私達ならそれでも絶望に染まらないことだって出来る!」

黒魔帝兎「馬鹿を言うなよ!ここで過ごしていたら、俺達は絶望に蝕まれる!」

黒魔帝兎「だからこそ、本田川は百目鬼を殺したんだ!中村は……中村は場明日を殺したんだぞ!!」

黒魔帝兎「こんな環境で、腐らずに生きていくなど不可能だ!」

氷室エリカ「なら殺すの!?私は嫌だよ!皆……皆、大切な仲間だもん!」

氷室エリカ「それに、こんな環境でも、私達なら前を向くことだって出来る!」

氷室エリカ「超高校級の孤独とかいうどうしようもない価値のなかった私をまともな人間にしてくれたのは、皆の……瑞樹くんのおかげだよ!」

氷室エリカ「こんな狂った世界で、私はこんなに成長できた!」

氷室エリカ「私達ならモノクマの悪意に負けない!私達ならこんな環境でもプラスに出来る!」

氷室エリカ「だったら、もうここで皆で過ごそうよ!私達は一人じゃない!私達には仲間がいる!」

氷室エリカ「仲間を殺して出るくらいなら、仲間と一緒に生きていきたいよ!」
530:🎏 :2013/10/24(木) 02:19:07 ID:h26mQrjTrM
中後小百合「……ここでの一生を受け入れる。それも一つの手かもしれないな」

黒魔帝兎「中後まで!本気で言ってんのか!?」

中後小百合「……左雨にしか言ってなかったと思うが、モノクマから渡されたDVD、私のには恩師の危機が映されていた」

中後小百合「はっきり言う。私はその恩師に恋をしていた。だから一瞬でもここの誰かを殺して外に出ようと思ったことがある」

中後小百合「でも、左雨に諭された。そんなことして恩師が喜ぶのかってな。私も納得したよ」

中後小百合「正直な、今すぐ出て恩師の状態を確認したい気持ちもあるが、一方で、現実を直視するのが怖い気持ちもあるんだ」

中後小百合「信じたくないだけで、正直もう死んでると思う。仮に生きてても、私が殺して出てきたとなると、失望されるのは明らかだろ」

中後小百合「どちらにせよ、モノクマの言う卒業とやらで出たところで、私に待ってるのは絶望なんだ」

中後小百合「だったら……外の真実を忘れて、思い出の中で美化しつつ、ここで素晴らしい仲間と共に生きるのも、何だかありな気がするんだ」

中後小百合「私はこれでも、このメンバーが好きなんだぞ?そんな仲間で殺し合うなんて……やっぱしたくないよ」

中後小百合「自力脱出の夢が断たれた現状、むしろそれが一番自分達のためになるような気がする」

中岡笑「……自分も殺しなんてしたくないです。そんなことしたら、他人も自分も笑顔でいられなくなります」

夜桜愛梨「私も……結局はご奉仕できるご主人様がいなければ生きてくことはできません。殺して一人になるくらいなら、ここで生きるのも……」

黒魔帝兎「お、お前ら……本気で言ってんのか!?」
531:🎏 :2013/10/24(木) 02:21:40 ID:h26mQrjTrM
黒魔帝兎「ここで生きてたら、もう一生外の世界とは切り離されるんだぞ!」

黒魔帝兎「爆破がうまくいかなかっただけで、気が滅入ってるだけだ!気を確かに持て!」

氷室エリカ「でも、あの爆弾で駄目なら、じゃあ何なら破壊出来るの?」

黒魔帝兎「それは!……それは、確かに思いつかん。そもそもモノクマはそんな物を売らないだろう……」

氷室エリカ「じゃあ黒魔帝くんは、仲間の誰かを殺して出るの!?」

黒魔帝兎「そんなことはしない!そんなこと、場明日は絶対に望まない!」

氷室エリカ「でも、出るにはもうそれしかないんだよ!だったら……ここで生きていこうよ!」

氷室エリカ「確かにもう外には出れないけど、けっこう購買部でいろいろ買えるし、ここなら皆がいるし……」

氷室エリカ「とにかくモノクマと同類になって大切な仲間を殺すよりましだよ!」

黒魔帝兎「くっ……俺は、俺は……どうすればいいんだ?わからない、わからない……」

氷室エリカ「殺し合いなんて、絶対にしちゃ駄目だよ!ここで生きよう!ベストじゃなくたって……殺し合うよりはずっとずっとましだよ!」

氷室エリカ「モノクマに抗う希望で在り続けるためにも、仲間を殺すなんて間違いを犯しちゃ駄目だよ!どんな絶望が襲いかかっても、私達は仲間を殺したりなんかしない!」
532:🎏 名無しさん@読者の声:2013/10/24(木) 02:24:10 ID:h26mQrjTrM
エリカが突然言い出した案。それは、脱出を諦めて、ここでの一生を受け入れるというものだった。
半ば諦めたとも言えるこの考え。普通に考えて、こんな環境での一生を受け入れるなんて、何かが絶対に間違っている。
一方で、それしかないとも思える自分がいる。
脱出口を探してもなかった。壊そうとしても壊れなかった。もう自力で出る術はないと思う。……仲間を殺す、以外には。
この状況下で一番間違ってるのは、仲間を殺すこと。間違いだらけのこの学園で、それが一番狂ってて避けねばならないことだ。
それを避けるのに、一生ここで生きなきゃならないのであれば、それは仕方のないことなのかもしれない。
正直もう俺には、冷静に物を考える余裕がなかった。爆破作戦が失敗に終わり、それが有効打でも何でもなかったというのを知ってしまって、何かもう心が折れたのかもしれない。
とにかく、エリカの言うことに反論も出来ず、むしろそれが現状では一番正しいような気さえして、その言葉を受け入れるしか出来なかった。

それは他の皆も同じなようで、エリカに対して無言の肯定を示した。
こうして爆弾を使った一世一代の破壊作戦は物の見事に失敗し、現状に心折られた俺達は、ここでの生活を受け入れる方針に切り替えた。切り替わってしまった。
533:🎏 :2013/10/25(金) 00:51:52 ID:h26mQrjTrM
ここでの生活を受け入れるのであれば、もう皆で集まってあれこれ考える必要もない。
そう言ったエリカは、今後はもう自由時間にしようと提案した。
理屈ではそうだ。殺しもせず、外の心配もせず、ただここで暮らしていけばいいんだ。それなら皆でどうしようああしようと会議する必要はない。
好きに過ごして、好きに誰かと話して、好きに何か食って、毎日を流していけばいいんだ。
その間もモノクマは外に出たくなるように、DVDのような嫌がらせをするだろう。でも、外への関心を完全に絶ってしまえば、それは意味をなくす。
完全に割り切って、ここでの生活に意味を見出せば、もうモノクマに乗っかって殺しをする必要なんてないんだ。
幸い、ここには仲間達がいる。この仲間と共に生きていけるなら、それはとても有意義な物となるのではないか。

……本当に、そうなんだろうか?
いくら大切な仲間がいるからって、モノクマが滅茶苦茶を強いるこの狂った学園で一生を過ごすことが、本当に有意義になるのだろうか。
やはり外を目指す方が健全ではないか。こんなところが良い場所だなんて思いこもうとするなんて、もはやモノクマに心を殺されてるようなものではないだろうか。
かといって、もう外に出る方法がわからない。大切な仲間を殺すなんてもちろん論外だし、じゃあ俺は、俺達は、突きつけられたこの現状に対して、どう行動するのが正しいのだろうか。

自室でベッドに横になって考えてた俺だが、答えは当然のように見つからなかった。
時間だけが過ぎていって、気付けば時計は夜を示すようになっていた。
534:🎏 :2013/10/25(金) 00:54:27 ID:h26mQrjTrM
ドアのチャイムが鳴る。体を起こして、俺は来客を招き入れた。

「瑞樹くん、ちょっとお話があるんだけど、いいかな?」

やってきたのはエリカだった。方針切り替えになった理由の張本人である。話というのもそれ関連だろうか?
断る理由もないので、俺はエリカと話すことにした。遠慮なしにベッドに腰掛けて、エリカは切り出した。

氷室エリカ「ねえ瑞樹くん。私がここで過ごしていこうって言ったの、正直どう思った?」

左雨瑞樹「……正直、わかんねえんだよな。ここで生きていくのって、間違いだとは思う」

左雨瑞樹「でも、だからって、殺して出るのはそれ以上に間違ってる。もう何が正しいのか、俺にはよくわからねえよ」

氷室エリカ「そっか。まあ確かにモノクマに滅茶苦茶を強いられて閉じ込められてる学校だもんね。正しいわけがないよ」

氷室エリカ「でもね、私は真剣にここの皆となら、この環境下でも有意義な生活ができると信じてるよ」

左雨瑞樹「一生閉じ込められ、校則を守れなかったら死刑、常にモノクマにカメラで監視され、外の世界にある大切な物も傷つけられ、出るためには殺さなきゃいけない」

左雨瑞樹「こんな糞みたいな環境で、本当に前を向いて一生を生きていけるのか?」

氷室エリカ「生きていけるよ。だって、私はここで前向きに変われたんだから」
535:🎏 :2013/10/25(金) 00:56:49 ID:h26mQrjTrM
確かにエリカは前向きに変わった。
超高校級の孤独。何故か認識しづらく、気付けば一人になっている。本人もそれを受け入れ、一生孤独でいる覚悟をしていた。
もしも孤独を嫌って誰かと触れ合おうとしても、当時のエリカは口下手で、相手が探り探りでエリカに触れなきゃならなかった。加えて、少しでも気を抜けば見失う。
それが迷惑になるとして、何もかもを拒絶する覚悟をして、孤独の中で命を完遂しようとしていた。
でも、この学園生活を通して、エリカは変わった。
積極的に触れ合う意識を持ち、実に朗らかに語って笑う女子になった。
いつもアイビーという何なのかよくわからんぬいぐるみを持って、誰かのために行動するようになった。
もはや超高校級の孤独と言っても、誰もそれを信じないような女子になった。エリカは、この狂った学園生活の中で、ここまでプラスに自分を変えたのだ。
536:🎏 :2013/10/25(金) 00:58:58 ID:h26mQrjTrM
氷室エリカ「私がここまで変われたのは、皆が……瑞樹くんがいたから」

氷室エリカ「そんな最高の仲間がいれば、私はもちろん、皆だってこの学園でもプラスになれる」

氷室エリカ「私達の存在って、きっと未来を明るくできる光なんだよ!」

左雨瑞樹「エリカが変われたのは、自分自身の力だよ」

氷室エリカ「そんなことないよ!私なんかが変われたのは、瑞樹くんのおかげだよ!」

左雨瑞樹「だとしても、俺はきっとプラスになんかなれない!……俺はエリカほど前を向いちゃいない。妥協でエリカの考えを受け入れてるだけだ」

左雨瑞樹「誰かを殺して出るっていう最悪を避けるためだけに、十分嫌な一生を受け入れてるだけだ。この学校でエリカほど有意義には生きられないよ」

氷室エリカ「本当にそうかな?」

左雨瑞樹「そうだよ。俺は微塵も疑っちゃいないぜ」

氷室エリカ「……自惚れかもしれないけど、私が瑞樹くんを幸せをすると言ったら?」

左雨瑞樹「はっ?」
537:🎏 :2013/10/25(金) 01:00:00 ID:h26mQrjTrM

「瑞樹くん。私ね、瑞樹くんのことが好きなんだ。私と付き合ってくれないかな?」

538:🎏 :2013/10/25(金) 01:02:23 ID:h26mQrjTrM
「この最低な学園の中でも、全力で瑞樹くんを幸せにしたいと思ってる」
「だから、もし瑞樹くんさえよかったら、私を瑞樹くんの彼女にしてください。お願いします」

びびった。告白を受けての正しい感情なんか知らんが、本当にびびった。
まさかエリカが、エリカが俺なんかをそういう風に見てたなんて、想像もしてなかった。
……いや。想像もしてなかった、というのは嘘になるかな。自力で気付いたわけじゃねえが、それとなく知らされた事案は確かにあった。
小百合が、兎が、ここの仲間達が、エリカは俺のことが好きだと、そう言っていた。
そしてその仲間達は、エリカだけでなく俺だって好きなはずだとまとめている。小百合や兎にけっこう背中も押された。
今、俺は、エリカから告白された。それも、一生をかけてここにいる覚悟に、一生一緒にいて幸せにするという覚悟も上乗せして想いをぶつけてきた。
生半可な気持ちじゃないのがわかる。だからこそ、俺だって真剣に応じてやらねばならない。

氷室エリカ。彼女の存在は、俺にとってどんな意味を持つのだろう。
539:🎏 :2013/10/25(金) 01:06:10 ID:h26mQrjTrM
始まりは自分でも最低だと思う物だった。
完璧に忘れ去っていたところを、佑子に頼まれて、半ば無理やり一緒になったのが始まりだ。
間もなく彼女は無理やり一緒にいるのを察して、孤独という運命を明かして、俺を解放しようとした。孤独は一緒にいるだけで迷惑になるから。
でも俺はそれを拒否した。ここにいる仲間で、誰か一人でも欠けていいわけがないからだ。だから俺は仮に迷惑だとしても、一緒にいると言った。
そう言ったのは、たぶんエリカが仲間だからだと思う。そこに特別な感情はなかった。

彼女はそれから孤独という運命と戦った。喋り方に気を付けて、触れ合い方に気を付けて、今までの自分と決別するように前へと進んだ。
その結果、俺達の中でもトップクラスの明るい、俺達の中心となり得る女子へと生まれ変わった。
そんな彼女は誰かのために行動するようになり、そしてその対象には俺も含まれていた。
モノクマの悪意に蝕まれて、モノクマに乗っかりそうな時が確かにあった。俺は、この学校で正気を保てないような時があった。
そんな時、優しい言葉で、可愛い笑顔で、触れ合う温もりで、明るい心で、俺を正気に戻してくれた存在。
それは、まぎれもなく氷室エリカである。

最初は仲間だから、なんて理由で迷惑でも関わってやる等と上から接していたし、面倒臭いけど良い友達という認識でしかなかったけど。
今、冷静に考えてみたら、そんな関係はもうとっくの昔に崩れてたんだと思う。
エリカがいる。だから俺は彼女に支えられている。
エリカがいる。だから俺は彼女を支えられる。
この辛くて狂った学園の中でも、お互い支え合って、幸せを感じられる。
だから俺は、エリカとずっと一緒にいたいと、いつしか心のどこかでそう思ってたんだと思う。
……ああ、そうか。もう答えは出てたんだな。答えはもう俺の中にあった。それに気付かない振りをしてただけ。
でも、もう見失わない。恥ずかしかったのか怖かったのか知らないが、今まで散々避けてきたこの答えから、もう逃げない。俺はエリカと一緒に進む。
540:🎏 :2013/10/25(金) 01:07:14 ID:h26mQrjTrM

「こちらこそ、絶対にエリカを幸せにしてみせるよ。これからは恋人同士として、よろしくな」

541:🎏 :2013/10/25(金) 01:10:04 ID:h26mQrjTrM
氷室エリカ「っ!」

左雨瑞樹「何を驚いてんだよ?ほら、アイビー落としてんぞ」

氷室エリカ「ほ、本当に私でいいの?白鳥さんとか中後さんとかいるよ?」

左雨瑞樹「むしろエリカでなきゃ俺が困るわ。エリカじゃなきゃ、俺は幸せになれねえよ」

氷室エリカ「う……嬉しい……」

左雨瑞樹「泣くなよ。嬉しいんだろ?そんな時は笑ってりゃいいんだ」

氷室エリカ「う、嬉しいけど、涙が出るんだもん。涙が止まんないんだよ……」

左雨瑞樹「……もっかい改めて言っとくな。エリカは俺を幸せにするっつったけどよ」

左雨瑞樹「俺も絶対にエリカを幸せにしたい。エリカの望むことなら俺が叶えてやりたいって思ってるよ」

氷室エリカ「瑞樹くん……」

左雨瑞樹「……な、何か思いの丈をぶちまけるのも恥ずかしいな」

氷室エリカ「そ、そうかもね」

左雨瑞樹「まあ恋人同士にはなったけど、そんな意識せずに今まで通りでいいんじゃないか?」

氷室エリカ「そうだよね。たぶんそれが二人の幸せの形だと思うよ」
542:🎏 :2013/10/25(金) 01:11:45 ID:h26mQrjTrM
こうして俺とエリカは恋仲となった。
そう言う間柄にはなったけど、宣言通り意識はせずに今まで通りだ。エロいこともしてないぜ。
この学園で、エリカがそばにいるのは当たり前のことだった。その当たり前こそが、何よりも尊い幸せなんだな。そう思った。
だから俺は、これからもエリカと一緒にいたいと思った。そうするための絆が生まれたとまとめりゃいいんじゃないかな。

告白して付き合うことになった俺とエリカ。その結果に満足したのか、エリカは自室に帰っていった。
一人になった俺は、ベッドに倒れて考える。
ここの生活を受け入れるというのは、はっきり言って大きな間違いだと思う。
でも、何よりも一番間違ってるのは、仲間を殺すこと。それを回避するためには仕方ないかもしれない、という考えは確かにある。
それに、こんな生活の中でも確かに幸せを見つけるのは可能なのかもしれない。俺達が強く在れば、ここの生活も有意義にできるんだろうか。
新たに生まれた温かなエリカとの絆を胸に、そんなことを考えていた。
そして間もなく眠気がやってきたので、俺はそれを受け入れるのであった。
543:🎏 :2013/10/25(金) 01:13:15 ID:h26mQrjTrM
〜モノクマ劇場〜

多数派が正義なのです。
ルールは多数派の人間のために作られるのです。
少数派?知りませんよ。少数派の理想なんてどうだっていいのです。だって少数派だし。
多数派が正義で、それに反対するような少数派は悪です。異常者です。キチガイで、人間にあらざる生き物なのです。
……でも、少数派のオマエラはそれでいいの?数の多い少ないだけで人間失格の烙印なんか捺されちゃってさ。
そうだよ!そんなのおかしいじゃないか!たまたま数が少ないだけで、それだけで異常者扱いなんてちゃんちゃらおかしいよ!
じゃあどうすればいいのかな?簡単です。殺せばいいんです。
大丈夫!殺人良くない、なんて言う偽善者を残らず殺せば、オマエラが多数派で正義になりますから!
544:🎏 :2013/10/28(月) 00:37:14 ID:h26mQrjTrM
いつものようにモノクマの放送で目が覚める。
寝ぼけ眼をこすって、簡単に身支度して、隙あらばボーッとして、これもまたいつも通りだ。
希望ヶ峰学園での監禁生活が始まってから、俺は大体の日を同じように生きてきた。
朝はだるさに支配され、それから自力脱出の術を探し、過ちが起きた際には裁判に備える。そんな日々だ。
でも、そんな昨日までとは明確に違う点が今日からは存在する。
まず、もう自力脱出の術は探さずに、ただここで生きていく生活が今日より始まるということ。
いや、マジで正式決定かは知らんけども、エリカが提案した際に誰もしっかりと否定できなかったのも事実だ。
それさえ受け入れてしまえば、俺達は仲間を殺すという最悪の事態を避けることが可能になる。
そしてもう一つ。今の俺はエリカと付き合ってる。
だからと言って、別にこれから接し方を変えるとかはするつもりはないが、でも、二人の間に特別な絆が生まれたのは確かだ。
それが昨日までの俺とは全く違う点だ。これなら、ここでの生活もどうにか続けていけるんじゃないかな。
……本当にここで生きていくのは正しいのか、可能なのか、という疑問は頭のどこかで彷徨い続けてるけどな。
545:🎏 :2013/10/28(月) 00:39:12 ID:h26mQrjTrM
悩んでても仕方がない。モノクマに負けないよう仲間と共に生きるという選択肢を選んだ身なんだ。
その仲間たちと会って、負の感情を払うことにしようではないか。エリカもいるかもしれないしな。
そういうわけで、俺は食堂へと旅立った。

食堂に到着したわけだが、珍しく俺が最下位ではなかった。まだ全員が集合していなかったのだ。

「あれ?瑞樹くん最後じゃないんだ?珍しいこともあるもんだね」

話しかけてきたのはエリカだった。うるせえと返してやろうかとも思ったが、自分自身珍しいと思ってるのも事実だ。ここは触れないでおこう。
誰が来てないんだろう。食堂を見回してみて、来てないのは笑と愛梨の二人だとわかった。
愛梨は、まあ……サボるイメージが普通にある。ご主人様以外には基本わがまま娘だし。
でも笑はなんだかんだ真面目なイメージがあって、そんな笑が遅れてるとなると、少し心配になる。
546:🎏 :2013/10/28(月) 00:42:28 ID:h26mQrjTrM
左雨瑞樹「俺、二人の様子を見に行こうか?」

キング「捨て置け。過剰な介入は時に混乱を生む時もある。些細な事象は自然と無に帰す定めなのである」

白鳥輝穂「えっと……どういうことでしょうか?」

左雨瑞樹「……そんな心配しなくても大丈夫だ。どうせ寝坊とかだろうから、ほっときゃそのうち来るだろ。ってことか?」

キング「左様」

黒魔帝兎「いつも思うが、左雨は本当にキングの翻訳がうまいな……」

氷室エリカ「超高校級のキングくん通訳だね!」

中後小百合「一人で三つも才能を持ちあわすとは、左雨も贅沢な奴だ」

左雨瑞樹「……貧乏くじと、モノクマメダル見つけと、キング通訳って、致命的にどうでもいい才能ばっかじゃねえか」

中後小百合「まあとにかく、私もキングと同意見だ。今日から脱出に関してあれこれ悩む必要もないんだ。気も緩んで寝坊もするわな」

白鳥輝穂「……本当に、ここで過ごしていくんですね」

中後小百合「このメンバーで殺し合いをしないならそうなるな。正直、私は皆良い友人だと思ってるし、殺したくはないね」

白鳥輝穂「それはもちろん私もです。皆さん、本当に大切な仲間で……そんな皆さんを殺害などはしたくありません」

中後小百合「なら答えは出てるだろう。自力脱出が無理なら、楽しく過ごすことを考えるのがいいさ」

相田鳥子「わかんねー話しはもういいからめしくおーぜ!デブだけずるいんだよー!」

左雨瑞樹「……本当に健太だけ先に食ってんな。何でだよ?」

肉丸健太「レトルト食品や冷凍食品で先に食べてるんだよー」
547:🎏 :2013/10/28(月) 00:45:30 ID:h26mQrjTrM
肉丸健太「白鳥さんや夜桜さん、氷室さんが毎回ご飯作ってくれてさー、それはもちろん美味しいんだけどさー」

肉丸健太「僕的には量が圧倒的に足りないんだよねー」

肉丸健太「だから僕でも簡単に作れるレトルトや冷凍食品でウォーミングアップしようと思ったんだー」

氷室エリカ「ご飯食べることのウォーミングアップとしてご飯食べるって、前代未聞だよね……」

左雨瑞樹「大量のピラフや炒飯を中心に、カレーや惣菜をおかずにして食ってんのか……」

黒魔帝兎「物の見事にレトルトや冷凍食品の定番を押さえてるな……」

白鳥輝穂「えっと……肉丸さんの料理も皆さんと同様に作っていいんですか?」

肉丸健太「当たり前だよー。白鳥さん達の料理に備えてレトルトなんか食べてるんだからー」

氷室エリカ「そういうことらしいからさ。夜桜さんいないけど、私達二人で作ってようよ。そしたらその内起きて食堂来るかもしれないしさ」

白鳥輝穂「わかりました。それでは夜桜さんと中岡さんがまだいませんけど、氷室さんと二人で朝食を作ります」

左雨瑞樹「じゃあ俺達は飯が出来るまで待っていようか」
548:🎏 :2013/10/28(月) 00:48:50 ID:h26mQrjTrM
爆破作戦に失敗して、脱出を諦めてここで生きると決めた、その初日。
それが可能なのかとか、気になることは正直あるが、そういった不安も押し殺して普通を装った。
その甲斐あってか、今のところ、普段通りの落ち着いた朝が展開されている。メンバーが少し足らんが、まあすぐ合流して元通りになるだろう。

俺達はこれから、ただここで生きていく。
これから先はどうなるか知らんが、これでも脱出のために足掻いて足掻きまくって、その末に辿り着いた結論である。
殺し合いという最悪を避けるために、唯一残ったこれを選んだ。それを考えると、ずっともうこの方針である可能性も十分高い。
だから俺達は、受け入れて慣れていかなければならない。何の目的も持たず、外への未練も忘れて、ただここで生きていくことに。
だから俺達は、普通でなければならない。ただここで生きるのが、特別でも何でもない、ありふれた普通にしなければならない。
そのため、最初は多少無理してでも普通にならなきゃいけないと思う。何の打開策もない状況で、「本当にこれでいいのか?」と言っても混乱しか生まれないから。
549:🎏 :2013/10/28(月) 00:50:40 ID:h26mQrjTrM
そんな俺の心配をあざ笑うかのように、築こうとしていた普通は崩れた。
学校エリアの方から、大きな爆発音が聞こえたのだ。

黒魔帝兎「何だ、今の音は!?」

中後小百合「……普通に考えたら爆発の音だな、今のは」

相田鳥子「でもばくだんってあたしたちぜんぶ使ったんじゃねーのか!?馬鹿かー!?」

キング「……いや、待て!我らには、爆破できる人類の英知がまだ存在する!」

左雨瑞樹「……そうか!手榴弾!>>465

左雨瑞樹「学校の破壊には向かない対人型と言える威力だったから、買ったあとは視聴覚室に仕舞ってたんだ!」

氷室エリカ「じゃあ今ここにいない中岡くんか夜桜さんが使ってるのかな?」

中後小百合「あるいは両方……」

白鳥輝穂「で、でも何故今更使う必要があるのでしょう?ダイナマイトより威力の低い手榴弾では学校の破壊も難しいと思われますが……」

肉丸健太「やっぱり本音はまだ出たかったのかなー?」

中後小百合「……恐らく、そういうことだろうな」

肉丸健太「やっぱそうなんだー。でも手榴弾じゃ学校を壊せないのは明白だよねー」

中後小百合「違う、そうじゃない……我々の中から一人だけが出る手段があるじゃないか」

左雨瑞樹「……っ!ま、まさか……どちらかが、相手を殺そうとしてる?」
550:🎏 :2013/10/28(月) 00:53:40 ID:h26mQrjTrM
俺がそうまとめた瞬間に、また爆発音がした。間違いなく、学校エリアの方から聞こえている。
小百合の予想が正解だったら、笑か愛梨、どちらかの命が危ない!

「行こう!真相を確かめるんだ!」

気付けばそう叫んでいた。返事はないが、ほぼ全員が立ち上がり、移動の準備を始めた。
ほぼ、と言ったからには、当然そうしない奴もいるということだ。それは健太である。

「ねー!僕、走ったりできないから、ここでご飯食べてても大丈夫ー!?」

こういう時でも自分を崩さないのは逆に尊敬の念を覚える。皮肉っぽくなるけども。
とにかく、素早い移動ができないのなら、無理に連れてくのも酷な話だ。

「構わぬ!我らが学び舎を調べる時、貴様はこの寄宿舎を守る定めにあるだろう!」

キングもこう言ったし、健太はもうお留守番で大丈夫だと思う。
物は言いようで、校舎側を調べている間に寄宿舎側で異変が起こらないとも限らない。そしたらお留守番してる健太が役に立つわけだ。
とにかく、これで安心して調べられるという物だろう。俺達は健太を残して学校エリアへと向かった。
551:🎏 :2013/10/31(木) 00:23:04 ID:scn.6OHC7.
「……なんだ、これ」

学校エリアに移った俺達の目が捉えたのは、あちこちが焦げた廊下だった。恐らくは爆破で焦げたものだろう。
無数の爆破跡、そして爆弾の破片が飛び散る廊下の有り様は、まさに惨状と言った具合だ。

「おかしいな。我々が聞いた爆発の音は二つだ。爆発二つじゃこれだけの惨状に説明がつかない」

たった今、小百合が言った通りだ。二つの手榴弾では、この惨状に矛盾が生じてしまう。
しかし、こうして現に校舎は爆破で焦げまくりのとんでもない状態となっている。
この矛盾を解くにはどう考えるべきなのか。

「……もしかして、皆が起きる前から爆破してたのかも」

俺が考えてるその横で、エリカが唐突に切り出した。
552:🎏 :2013/10/31(木) 00:24:53 ID:scn.6OHC7.
氷室エリカ「悲しいけど、中岡くんか夜桜さんのどちらかが殺人を狙ってると仮定するよ」

氷室エリカ「クロは皆に犯行をばれてはいけない。だから皆が寝静まってるときにどうにかして相手を呼び出して殺害を狙った」

氷室エリカ「でも手榴弾って扱いが難しいんだと思う。投げてすぐ爆発するわけでもないし」

氷室エリカ「だから殺し損ねて逃げられた。手榴弾を投げては逃げられてを繰り返しているうちに夜が明けて……」

黒魔帝兎「起きた俺達に爆発音を聞かれてしまった、ということか」

キング「夜中からずっと殺し合いをしてるというのか?その間ずっと学校エリアにいるのは不自然ではないか?」

中後小百合「いや、相手は殺意を持って爆弾を投げてきてるんだ。狙われる側は、大胆な行動を取るのが難しいんじゃないか?」

中後小百合「わかりやすく走って逃げてたら、格好の的だ。それよりは隠れてじっとしてる方が安全かもしれんぞ」

中後小百合「それを踏まえて、我々が起きて爆発音を聞いて助けに来てくれるのを朝まで待ってたのかもしれんしな」

白鳥輝穂「それなら尚更助けに行かなくてはなりません!もう悲しい事件を繰り返してはなりません!」

左雨瑞樹「……とりあえず視聴覚室に行こう。仕舞っておいた手榴弾を確認するんだ」
553:🎏 :2013/10/31(木) 00:27:42 ID:scn.6OHC7.
氷室エリカ「視聴覚室に来てみたけど……」

白鳥輝穂「手榴弾が大量に減ってます!やっぱりあの爆発の跡は手榴弾によるものみたいです!」

相田鳥子「でもばくはつおんは二つだっただろ!けいさん会わねーだろがー!馬鹿かー!?」

中後小百合「ということは、氷室の言ってたことが正解なのかね」

黒魔帝兎「状況はわかった。とにかく二人を早く見つけねば、大変なことになるかもしれない!」

キング「そうは言っても我らは千里眼を持たぬ。どこにいるかもわからないから……」

キングが何かを言おうとしてた、その時だった。
三度目の大きな爆発音。それは学校エリアの視聴覚室にいる俺達からしても、遠く離れた場所からの爆発とわかるものだった。
554:🎏 :2013/10/31(木) 00:29:56 ID:scn.6OHC7.
黒魔帝兎「またか!?遠いぞ!」

白鳥輝穂「遠いってことは……今度は寄宿舎エリアでしょうか?」

黒魔帝兎「いや、方向が違う。恐らく寄宿舎エリアではない」

氷室エリカ「寄宿舎エリアの方だと肉丸くんがいるから、異変があったらさすがに知らせに来てくれると思うしね」

キング「それがないということは、我らが安住の地に神の裁きはない!」

左雨瑞樹「じゃあどこだ!?今のはどこで爆発した!?」

中後小百合「……体育館じゃないか?奴さんなら、学校エリアでありながら、ここからだとけっこう遠いぞ?」

黒魔帝兎「そうか、体育館!その可能性はある!」

相田鳥子「じゃあたいくかんに行こうぜ!そこにすべりやろうともえっ子いるんだろ!?」

左雨瑞樹「だけど道中気をつけろよ。どこにいるかわからないってことは、どこから手榴弾が飛んでくるかもわからないんだからな」

氷室エリカ「こ、怖いこと言わないでよ……」
555:🎏 :2013/10/31(木) 00:31:41 ID:scn.6OHC7.
黒魔帝兎「……体育館も派手に爆破されてるな」

中後小百合「あちこちが焦げてる。仕掛けた側はどんだけノーコンなんだか」

白鳥輝穂「それよりも、お二人の姿が見当たりません!」

氷室エリカ「そんな!……じゃあ、ここに来るまでにすれ違っちゃったのかな?」

中後小百合「それはどうだろうか。視聴覚室前の廊下から体育館までの間、お互い姿を見ずにすれ違うのは不可能ではないか?」

黒魔帝兎「では、そもそも二人が体育館にいるというのが間違いだったというのか!?」

相田鳥子「じゃあけっきょくどこにいんだよー!?」

氷室エリカ「……きゃあ!?ま、また爆発!?」

左雨瑞樹「どういうことだ!?校舎の方から聞こえたぞ!」

黒魔帝兎「くそ!一体どうなってるっていうんだ!?」
556:🎏 :2013/10/31(木) 00:33:58 ID:scn.6OHC7.
キング「遭遇しない現状に我らは神隠しの類を疑う!然るに、我々とて手段を選ぶべきではない!」

黒魔帝兎「左雨!どういう意味だ!?」

左雨瑞樹「えっと……こんなに二人が見つからないのは何かがおかしい。普通に探していてもしょうがない……かな」

キング「左様!」

中後小百合「じゃあどうすればいいのかな、キングくんや」

キング「それぞれ別れて探そう」

氷室エリカ「案外手段選んでるよね!?」

黒魔帝兎「まあ全員で同じ個所を探すよりは効率がいいか。しかしどこから誰に手榴弾を投げられるかわからん状態だ。単独行動は危険じゃないか?」

中後小百合「でも投げる側は恐らく一人、多くても二人だ。だったら逆にばらけた方が危険は少ないかもしれんぞ」

中後小百合「団体行動してて、もし手榴弾を投げ込まれたら仲良く全滅ってだけだしな」

左雨瑞樹「とにかく、二人が手榴弾を用いて学校エリアで爆破してると考えられる」

左雨瑞樹「二人を見つけないと話は進まない。ここは別れて探してみよう!」
557:🎏 :2013/10/31(木) 00:36:59 ID:scn.6OHC7.
こうして俺達は体育館より単独行動を取った。それぞれが学校エリアのどこかにいるであろう笑と愛梨を探すためだ。
……最終的に自分で決定したことだけど、やっぱりどこかから手榴弾が飛んでくるかもしれないって状況で、単独行動は怖いな。
しかし、弱音を吐いてる場合じゃない。
校内破壊が無理だと察して諦めてる現状、爆弾を使うと言ったら殺害目的の可能性が高い。
笑か愛梨かは知らないが、どちらかが相手を殺そうとしている。それだけは絶対に避けなくてはならない。

そう決意して探索をしても、見つからないものは見つからない。
何故だ?どれだけ学校エリアを探しても見つからない。本当に学校エリアにいるのか?でも手榴弾の爆発音は確かに学校エリアから聞こえた。
不可解な気持ちを拭えぬまま必死に探していたその時、本日五度目の爆発音が鼓膜に襲いかかった。
そして気付いた。今のは校舎からではない。かといって体育館からでもない。今の音は……。

「……寄宿舎エリアか?」
558:🎏 :2013/10/31(木) 00:38:41 ID:scn.6OHC7.
何で今になって寄宿舎エリアから爆発音が?
俺達が学校エリアに行ったのと入れ違いになったか?いやでも、俺達が学校エリアにいる間にも、こっちで爆発は起こっていた。
ていうか今はそれぞれが単独行動をしてるわけだが、エリカは大丈夫か?エリカに何かあったら俺は……。

等といろいろ考えてるうちに、もういっちょ寄宿舎エリアより爆発音が。そして間もなく聞こえてきたのは、

「皆ー!大変だよー!やばいってー!お願いだから来てよー!」

食堂でお留守番をしているはずの健太の叫び声だった。声が遠いから、食堂前から叫んでいるのかもしれんな。
ということは、やはり今の爆発音は寄宿舎エリアからのものとみて間違いなさそうだ。
頭の中でいろいろまとめていると、またまた爆発音。もう考えてる暇はなさそうだ。
長考を終えた俺は、寄宿舎エリアに向かって全速力で走った。
559:🎏 :2013/10/31(木) 00:48:30 ID:scn.6OHC7.
食堂前の広場へと到着した。
考えることは皆同じようで、キングが既に到着してたし、俺に続く形で残りのメンバーも集まった。
食堂前には健太がいる。視線は個室がある方の廊下に向いている。
あれだけ大声でやばいと言っていた健太が、そっちを見て固まっている。ということは、やばいという何かはそこにあるということか。
健太に倣って俺達は個室がある方の廊下を覗き込んだ。そして見つけた。さっきから探しまわっていた人物のうちの一人だ。

夜桜愛梨と思われる人が、廊下に倒れて死んでいた。
560:🎏 :2013/10/31(木) 00:51:32 ID:scn.6OHC7.
夜桜愛梨と思われる、等と表現したのは、顔が認識できないからだ。
上半身が真っ黒に焦げていた。恐らく、至近距離から手榴弾の爆発に巻き込まれたのだろう。
もちろん顔も例外なく黒焦げになっており、だから顔を見ただけでは愛梨かどうかもわからない。
ではなぜ死体は愛梨だと判断したかというと、無事である下半身、その服装から察したからだ。
超高校級のメイドなだけあって、愛梨はいつでもメイド服を着ていた。
だからあそこで死んでいるのは愛梨なのだろう。そう推測できる。

「今日変なんですけど何かあったんですか?……うわあ!……よ、夜桜さん!?」

廊下の奥側、曲がり角から姿を現したのはもう一人の探し人、笑だった。
これで今日、ようやく俺達は全員が揃ったわけだ。ただし愛梨は屍となっているが。
そして告げられる。俺たちにとっての悪夢の開戦合図。

「死体が発見されました!一定の自由時間の後、学級裁判を開きまーす!」

……絶望の学級裁判が、これからまた始まるんだ。
561:🎏 :2013/11/2(土) 00:55:08 ID:g313ba1L8k
黒魔帝兎「中岡!お前……どうして夜桜を殺した!?」

中岡笑「はいぃ!?ちょ、何なんですか!?自分、今ようやく部屋から出れたっていうのに!」

中後小百合「今ようやく出れた?どういうことだ、滑り野郎」

中岡笑「相田さんみたいに呼ばないで!自分、さっきまでずっと部屋から出られなかったんですよ!」

左雨瑞樹「部屋から出られなかった?何でだよ?」

中岡笑「いや、こっちが聞きたいですから!何か知らないけど、部屋のドアが開かなかったんですよ!」

黒魔帝兎「嘘をつくなよ!手榴弾の爆発音が聞こえた時、お前と夜桜以外の全員が集まっていた!」

黒魔帝兎「そして夜桜は手榴弾で死んだんだ!お前以外に誰がいるって言うんだ!?」

中岡笑「はあ!?いやいや、自分、殺してませんって!ずっと部屋から出られなくて涙目だったんですから!」

モノクマ「ああもうボクを置いて盛り上がるなよ!オマエラ早漏かよ!」

白鳥輝穂「あ、学園長」

モノクマ「それは置いといて、殺人、またまた起こりましたね!」
562:🎏 :2013/11/2(土) 00:57:03 ID:g313ba1L8k
モノクマ「オマエラ、最近は本当に積極的だよね!自分で学校壊して出るのが無理って察したら、翌日には殺してるんだからさ!」

モノクマ「ほんっとオマエラ早漏ですね!でもボクはそれもいいと思いますよ。裁判は何度でもウェルカムですから!」

氷室エリカ「違うっ!私達は、殺し合うという最悪を避けるためにここでの生活を受け入れて……」

モノクマ「生活の前に現実を受け入れようよ、氷室さん。オマエラの言う最悪よりも、自分の脱出を優先してるからこうなってるんでしょ?」

モノクマ「そして左雨くん!ボク、爆弾売る時言いましたよね?こんなの買ったらコロシアイになるって!」

モノクマ「あれあれ?左雨くんは確かコロシアイなんかにならないって言ってなかったかな?ねえ今どんな気持ち?ねえねえ?」

左雨瑞樹「……」

モノクマ「だんまりかよ、ノリが悪いなあ。顔ブサイクにして悔しいですっ!くらい言えないかなあ」

モノクマ「まあノリの悪いオマエラのことはどうでもいいです。事件ですよ、事件!」

モノクマ「今回、夜桜さんが殺されたので、またまた裁判をすることになりました!さっき流したアナウンスの通りにね」

モノクマ「アナウンスと言えば、オマエラ仲良すぎじゃない?三人に見つかったら鳴るってルール、ほとんど皆同時に見つけるから意味を成してないよ!」

モノクマ「まあとにかく、そんなわけだから、いつものように捜査して、裁判やってボクを楽しませてください!」
563:🎏 :2013/11/2(土) 00:58:36 ID:g313ba1L8k
モノクマ「そうそう、いつものようにモノクマファイルをオマエラに授けます。裁判やるにも情報って必要だもんね!」

モノクマ「あと中村くんの時みたいに何か聞きたいことってある?聞くなら今のうちだよ!」

中後小百合「いや、特にないな。夜時間のように制限があるわけでもないし、それに……」

中後小百合「……三度目、だからな。流石に要領は得てるさ」

中後小百合「なあ左雨。お前もそう思うだろう?」

左雨瑞樹「……ああ。捜査に関して特に質問はない」

モノクマ「了解しました!だったらボクは戻っておこうかな」

モノクマ「裁判、期待してるよ!それじゃあまたあとでね!ジャスティス!」

白鳥輝穂「……学園長、消えちゃいました」

左雨瑞樹「……モノクマファイルで殺害状況を確認しつつ、皆の意見をまとめて事件を推理しよう」

肉丸健太「うん……裁判をまた乗り越えなきゃいけないもんねー……」
564:🎏 :2013/11/2(土) 22:31:54 ID:g313ba1L8k
気持ちは沈んだままではあるが、だからと言って捜査をサボるわけにはいかない。
気持ちと比例して重たくなったように感じる体を何とか動かして、俺はモノクマファイルの記載内容に目を通した。

被害者は夜桜愛梨。
死亡時刻は午前8時頃。
手榴弾により爆死。至近距離からの爆発を上半身に浴びており、破片も多数上半身に刺さっている。
死体発見現場は個室前廊下。

以上が今回の事件の記載内容である。
565:🎏 :2013/11/2(土) 22:33:48 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「俺達は7時半くらいに最初の爆発音を聞いた」

氷室エリカ「それから学校エリアを探したりして、でも寄宿舎エリアで爆発が起こって……」

中後小百合「その間が大体30分だったってことかね」

白鳥輝穂「細かく時間を確認したわけではありませんが、体感的には間違いないですよね」

キング「爆発音を聞いて校舎へ行って探索。その後寄宿舎エリアで爆発が起こって戻る。……ふむ、30分くらいと考えてよさそうだな」

黒魔帝兎「ということは、あの時聞いた寄宿舎側の爆発音こそが、夜桜を死に追いやった手榴弾と見て間違いないな」

黒魔帝兎「そしてそれが可能だったのは、爆発音が聞こえた時に、夜桜と共にいなかった人物……中岡、お前だよ!」

中岡笑「いや、だから……自分、部屋から出られなかったんですって!たぶん真犯人によって閉じ込められてたんですよ!」

氷室エリカ「ちょっと一回落ち着こう!考えをまとめるのは皆の言い分を聞いてからでも遅くないよ!」

肉丸健太「……あっ」

相田鳥子「デブ、どーした?」

肉丸健太「夜桜さんの間違った推理でも聞いて考えたらって思ったけど、もうそれは無理なんだね……」

左雨瑞樹「健太……」

相田鳥子「じゃあどーするんだよ!?どーしようもねーのか!?馬鹿かー!?」
566:🎏 :2013/11/2(土) 22:36:34 ID:g313ba1L8k
中後小百合「我々の中で推理力が一番高いのは左雨だろう。ここは一つ、お前の考えを聞きたいな」

左雨瑞樹「それでいいのか?」

黒魔帝兎「……俺は特に反論もない」

左雨瑞樹「わかった。……じゃあまず笑に聞きたいんだけど」

中岡笑「はい……何です?」

左雨瑞樹「お前は部屋に閉じ込められていたって言うけど、それは証明できないよな?」

中岡笑「……そうですね。自分、一人で閉じ込められてましたから。誰か確認でもしてない限り、証明は無理ですよ」

左雨瑞樹「そうか。じゃあ悪いけど現状では笑はかなり怪しいって言える」

左雨瑞樹「犯人が爆撃したと思われる時、笑と被害者の愛梨以外は全員集まっていた。お前にはその時のアリバイがないんだからな」

中岡笑「ううっ……自分じゃないのに……」

左雨瑞樹「あとは健太に確認したい」

肉丸健太「うええ!?僕!?」
567:🎏 :2013/11/2(土) 22:40:22 ID:g313ba1L8k
肉丸健太「何で僕の話を聞く必要があるの!?僕、食堂でごはん食べながらお留守番してただけだよ!」

左雨瑞樹「……今となっては、だからこそ、だな」

中後小百合「そうか。夜桜の命を散らした爆撃は寄宿舎エリアで行われたと考えられる」

中後小百合「それなら、ずっと一人で寄宿舎エリアにいた肉丸も怪しいと言えるかもしれない」

左雨瑞樹「皆で学校エリアに探しに行こうと言った時、健太は残ると言った>>550

左雨瑞樹「自分から残ったその近くで、殺人が起きている。これは俺達を遠ざけておいて、目撃されないよう殺害するためだったのかもしれない」

肉丸健太「違うよ!あの時も言ったけど、僕は長距離を走ったりできないんだよ!だから残っただけなんだよ!」

黒魔帝兎「それに最初に学校エリアが爆撃された時は肉丸にもアリバイがある。この確かなアリバイがある限り、犯人とは言えないんじゃないか?」

肉丸健太「そうだそうだ!もっと言ってよ黒魔帝くん!」

左雨瑞樹「確かになあ。あの時、確かに犯人は学校エリアで爆撃したはずだ。そしてその時肉丸は俺達と一緒に食堂にいた」

氷室エリカ「手榴弾は自分が投げて使うんだもんね。その場にいないと使えないよ」

左雨瑞樹「だったら、もし手榴弾を遠隔操作できる術があるとしたら?」

白鳥輝穂「そのような方法があるんですか?」

左雨瑞樹「いや、思いついてないけど」

中岡笑「ないんかい!」

左雨瑞樹「まあ、そういう可能性も頭に留めて捜査する必要もあるってことだ。もしもあったら事件の方向性は全く変わってしまうし」
568:🎏 :2013/11/2(土) 22:43:26 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「とりあえず健太は一人で留守番してた時のことを話してくれ」

肉丸健太「いいけど……一人だから、事実だと証明は出来ないよー?」

左雨瑞樹「それで構わない。話してくれ」

肉丸健太「……僕は残ってご飯を食べてたよー。でも食べ終わって、まだ何か食べたかったからレトルト食品で新しく料理を加えたんだー」

氷室エリカ「……本っ当に食べるの好きだね」

肉丸健太「僕が僕である理由だよー。それでごはんを食べてたら……食堂の中に何か投げ込まれて爆発したんだー」

黒魔帝兎「食堂が爆発!?おい、それって……!」

中後小百合「寄宿舎側の最初の一撃だろうなあ。まさか食堂に投げ込まれていたとは」

白鳥輝穂「肉丸さん、大丈夫でしたか?」

肉丸健太「大丈夫だよー。レトルトでいろいろ作ろうと思ってたから厨房側にいたんだー。爆破されたのは食堂の入口側だよー」

相田鳥子「食道の入るとこ、まっくろだぞー。やばそうだぞー」

左雨瑞樹「食堂が爆破されたってのは本当みたいだな……」

肉丸健太「それでねー。その後ちょっとしたら中岡くんが食堂に入ってきたんだよー」

中岡笑「……はああああ!?」
569:🎏 :2013/11/2(土) 22:45:44 ID:g313ba1L8k
黒魔帝兎「お前、中岡を見たのか!?」

肉丸健太「うんー。あの格好は間違いなく中岡くんだったよー」

氷室エリカ「あー、中岡くんっていつも同じ芸人衣装着てるもんね」

黒魔帝兎「中岡!お前、部屋に閉じ込められてたんじゃないのか!?」

中岡笑「そうですよ!自分、閉じ込められてたんですって!」

左雨瑞樹「……健太はその笑を見て、どう行動したんだ?」

肉丸健太「食堂の入口が爆破されて、ずっと消えてた中岡くんが現れたんだからねー。僕はそれを中岡くんがやったんだと思ったんだー」

肉丸健太「中岡くんは食堂の中を見回して、それで僕と目が合ったらすぐに出てったんだよねー」

肉丸健太「さすがに追わないとやばいかなって思ったから、急いで食べ終えて僕も食堂の外に出たんだー」

氷室エリカ「そんな緊急事態でも食べ終えてから行動するんだね……」

肉丸健太「食堂を出て見回すと、中岡くんは個室前の廊下を眺めるように立ちつくしてたよー」

肉丸健太「そして、下手投げで何かを投げた後、爆発が起こったんだよー」

肉丸健太「よく見えなかったけど……投げた後に爆発が起こったんだから、あれは手榴弾だったんだと思うよー」

肉丸健太「そして中岡くんは、自分の部屋に戻るように逃げてったんだー。それで個室前の廊下をよく見てみるとー……」

左雨瑞樹「……愛梨が死んでたのか」

肉丸健太「うんー……」
570:🎏 :2013/11/2(土) 22:49:28 ID:g313ba1L8k
肉丸健太「いよいよ本気でやばいと思ったからさー、叫んで皆を呼んだんだよー」

白鳥輝穂「それがあの時の声だったんですか。校舎側にもしっかりと聞こえましたよ」

肉丸健太「そしたら何かもう一度爆発音がして、皆が集まってきて、中岡くんもまた集まって……」

左雨瑞樹「なるほど……そういう感じだったのか」

氷室エリカ「本当だったら、もう確定的な証言だけど……」

中岡笑「絶対間違ってますって!肉丸くんの証言ってアリバイないんでしょ!?だったら信用できませんって!」

中後小百合「まあ落ち着けよ、中岡。アリバイがないのはお前も一緒だろう?」

中岡笑「そうですけど……」

中後小百合「ということは、現状では中岡も肉丸も怪しいって片づけていいんじゃないか?」

中後小百合「尤も、肉丸が犯人の場合は、手榴弾の遠隔爆破なんて方法がないと無理な話だし」

中後小百合「さっきの証言と寄宿舎エリアの爆破状況は一致してる。そう言う意味では多少証言に信憑性がある」

黒魔帝兎「食堂の入口、個室前廊下にそれぞれ黒焦げた跡はあるな。残りの一発も探せばたぶんあるだろう」

中後小百合「一方、中岡が犯人の場合は簡単に説明がつく。部屋から出られなかったと嘘をついて単独行動し、夜桜を殺せばいいだけだ」

中岡笑「嘘なんかついてないですって!何で信じてくれないんですか!?」

中後小百合「疑って申し訳ないが、我々はクロを見つけないと命がないんだ。だから怪しい者は怪しまなければならない。……悪いな」

中岡笑「……いえ。自分こそ……自分こそ、すいません……」
571:🎏 :2013/11/2(土) 22:50:42 ID:g313ba1L8k
中岡笑「こんな事件が起きてる時に、アリバイもなく一人でいたんですから、まあ怪しいのは認めます」

中岡笑「……左雨くん!皆で生き残るためにも、捜査で真相を見つけ出してください!本当に頼みます!」

左雨瑞樹「もちろん真剣に捜査する。最初から決めつけて捜査するのも危険だしな」

左雨瑞樹「笑も健太も、そして他の奴も犯人かもしれない」

左雨瑞樹「事件によって死んだ愛梨……そしてクロも死ぬことになるけど」

左雨瑞樹「それでも俺達は真相を見つけ出して、生き残らなければならない」

左雨瑞樹「乗り切ろう。裁判も仲間の死も何もかも乗り越えて、俺達は進むしかないんだ」

氷室エリカ「悲しいね……夜桜さんも、そして他の誰かもこれから死んじゃうんだよ……」

キング「しかし事件は起こってしまった。覚悟を決めて、やるしかないだろう……」
572:🎏 :2013/11/2(土) 23:05:10 ID:g313ba1L8k
黒魔帝兎「……今回は現場の見張りはどうする?」

相田鳥子「今のところあやしいのはすべりやろうとデブなんだよな?」

中後小百合「ああ、そうだ。現状では怪しいな」

黒魔帝兎「……では、俺と中岡と肉丸で遺体のある現場を見張る。これでクロが捜査中に証拠隠滅等を図るのは無理だろう」

左雨瑞樹「そうだな。じゃあ兎達は現場を見張っててくれ。捜査は残りがどうにかしとくから」

白鳥輝穂「捜査、頑張ります!」

中後小百合「……方針はざっくりと決まりましたな、リーダー殿」

左雨瑞樹「そうだな……それじゃ各自、捜査を開始しよう」

氷室エリカ「頑張ろうね、瑞樹くん!」
573:🎏 :2013/11/6(水) 00:32:04 ID:g313ba1L8k
氷室エリカ「瑞樹くん、まずは何を調べる?」

左雨瑞樹「まずは遺体だな。遺体には重要な証拠が残ってることがあるしな」

氷室エリカ「夜桜さん、ダイイングメッセージとか残してないかな?」

左雨瑞樹「爆死だし、それはないと思うけど……」

中後小百合「まあとにかく。左雨、遺体を調べてみてくれ」

白鳥輝穂「お願いします」

相田鳥子「たのむぞ、さっさ!」

キング「貴様に全てを託そう」

左雨瑞樹「……お前ら、もう各自で捜査していいんだぞ?何で全員残ってんだよ?」

中後小百合「死体を何度も探るっていうのもあれだろ。皆集まって、ただの一度で済ませてやろうや」

キング「それに遺体を調べるのは恐怖を感じる。ここはやりなれた者が行うべきである」

左雨瑞樹「ったく……兎、遺体を調べるぞ?」

黒魔帝兎「わかった。変なことをしないように見張っておくからな」

氷室エリカ「……夜桜さんの遺体だからね。本当に変なことしないでね」

左雨瑞樹「しねえよ!」
574:🎏 :2013/11/6(水) 00:35:51 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「……爆破されてるのは上半身だな。モノクマファイルの情報と一致している」

肉丸健太「僕が食堂出たあの時に爆撃したんだろうねー」

氷室エリカ「ごはんを食べ終えてから見に行ったんだっけ?残して食堂出てれば、もしかしたら止められたんじゃないのかな……」

キング「オムハヤシなんぞ食べてるから事件は起こったのだな」

肉丸健太「仕方ないよ!僕は食べるの大好きなんだから!オムハヤシ美味しかったよ!」

左雨瑞樹「お前、そんなん食ってたんか……」

黒魔帝兎「肉丸が何を食べてたのかなんてどうでもいいんだ。今は夜桜の遺体だ」

左雨瑞樹「わかってるって。……んっ?」

氷室エリカ「何々?何かあった?」
575:🎏 :2013/11/6(水) 00:40:17 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「両足首に……何か粘着性のある透明の物体がついてる」

氷室エリカ「え?……本当だ。のりみたいな感じでペタペタする」

相田鳥子「そのままのりじゃねえの?」

左雨瑞樹「うーん……のりって感じじゃねえな。何だろ?ていうか、何でこんなのが足首についてんだ?」

中後小百合「他に付着している部分はないのか?」

左雨瑞樹「待ってろ、今調べてみる。……他の部分にはついてないな」

中岡笑「足首にだけ何かペタペタするのがついてるんですか。何なんでしょうね?」

左雨瑞樹「あと、粘着物が他にないか入念に調べて気付いたんだけど」

左雨瑞樹「上半身の爆発による焦げ跡だけど、顔と両手首の焦げ跡が他と比べて濃いんだよな」

氷室エリカ「それって……そこだけがすごい燃えたってことなのかな?」

左雨瑞樹「そういうことかもしれんな。顔が認識できないような惨状になっているのはそのせいかもな」

黒魔帝兎「粘着物に濃い焦げ目……これは何を意味してるんだろうな」

左雨瑞樹「……現状ではわからないな」
576:🎏 :2013/11/6(水) 00:43:11 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「遺体から調べられるのはこれくらいか」

左雨瑞樹「さてと、これで遺体の捜査は十分だろ。そろそろマジで各自捜査に当たれよ」

中後小百合「わかったよ。それじゃ生き残るために、各々本気を出すとしようか」

左雨瑞樹「……皆、行ったな」

氷室エリカ「それじゃ瑞樹くん、次はどこを……」

白鳥輝穂「待ってください!私がまだいますよ!」

左雨瑞樹「おお!?輝穂、まだいたのか……」

白鳥輝穂「左雨さん、今回も私がゴミを調べればいいんですよね!?」

左雨瑞樹「ん?うん……まあ、そうだな」

氷室エリカ「白鳥さん、何かもう覚えてきてるね……」

左雨瑞樹「朝一におきてる事件だからな……少ないだろうけど朝一のゴミを調べてくれ。念のため昨日の分のゴミも。まだあるか?」

白鳥輝穂「はい。まだ処理していません。昨日の分も調べられますよ!」

左雨瑞樹「それじゃ頼む。調べ終わったら結果を報告しに来てくれ」

白鳥輝穂「はい!」
577:🎏 :2013/11/6(水) 00:45:30 ID:g313ba1L8k
氷室エリカ「白鳥さん、行っちゃったよ」

左雨瑞樹「まさか自分から切り出してくるとは思わなかったわ……」

氷室エリカ「でもゴミとして重要な証拠を捨ててる可能性ってゼロじゃないからね。役立ってるんじゃないの?」

左雨瑞樹「ああ。正直凄い助かってはいるよな」

氷室エリカ「私も瑞樹くんの役に立ちたい!だから捜査を続けよう!次はどこ行く?」

左雨瑞樹「学校エリアを調べよう。手榴弾の遠隔操作みたいな方法が実際にあるのか……爆破跡や破片あたりを調べて考えてみよう」

氷室エリカ「了解!それじゃ学校エリアに向かおう!」



氷室エリカ「到着!……相変わらず酷い有り様だね。あちこちが真っ黒焦げだよ」

左雨瑞樹「この爆破を少しの時間でこなすのは不可能だな。皆が寝静まってる夜時間の間に、大量に爆破されたのは間違いないみたいだ」

氷室エリカ「やっぱり中岡くんが夜中のうちに夜桜さんを襲撃して、朝まで仕留められなかったってことなのかなあ?」

左雨瑞樹「その辺はどうなのか、これから調べる必要がある」
578:🎏 :2013/11/6(水) 00:48:51 ID:g313ba1L8k
氷室エリカ「でもさあ。調べるって言っても、何をどう調べればいいのかわかんないね」

左雨瑞樹「……そうだよな。この惨状を調べたところで、手榴弾の遠隔爆破なんて方法が本当にわかるのか」

左雨瑞樹「そもそも、本当に手榴弾の遠隔爆破なんて行われたのか……怪しいよな」

氷室エリカ「まあでも調べてみたら何かわかるかもよ。前向きに頑張ってみよう!」

左雨瑞樹「はいはい……ん?」

氷室エリカ「ほら、何かあったっぽいじゃん!何々、どうしたの?」

左雨瑞樹「この破片……手榴弾じゃないよな?」

氷室エリカ「あ、本当だ。手榴弾じゃなかったら……ダイナマイト?でも私達、校内破壊でダイナマイト使いきったよね?」

氷室エリカ「じゃあ誰かがダイナマイトを隠し持ってて、それを利用したとか?」

氷室エリカ「手榴弾は無理でも、ダイナマイトなら、遠隔爆破の方法があったりして……」

左雨瑞樹「ダイナマイトも導線に繋がれた起爆装置を押さなきゃいけないから、現場に居合わせなきゃ爆破は無理だけどな」

氷室エリカ「……じゃあ結局遠隔爆破なんて無理なの?だったら爆破が起こった時に唯一いなかった中岡くんで決まりなのかなあ」

左雨瑞樹「本当に犯人だったら、部屋に閉じ込められてたっていう酷い言い訳を使うとは思えないけどな」

氷室エリカ「中岡くんって馬鹿だし、それで通じると思ってたとか?」

左雨瑞樹「毒舌だな、おい……」

左雨瑞樹(……手榴弾じゃないこの破片。そもそも見覚えがない気がする。本当にダイナマイトだろうか?)
579:🎏 :2013/11/8(金) 00:31:54 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「……校舎を調べるのはこれくらいでいいかもな」

氷室エリカ「まあ見渡す限り黒焦げなだけだもんね。これ以上調べようがないって言うか、何て言うか……」

氷室エリカ「それで、今度はどこを調べる?」

左雨瑞樹「見張り組からちょっと笑を借りて、笑の部屋を調べさせてもらおう」

氷室エリカ「閉じ込められてたっていう証言の真偽を確かめようっていうんだね!」

左雨瑞樹「そういうことだ。これでもし本当に閉じ込められた痕跡でもあれば、さっきからエリカが疑ってる笑犯人説も覆るってもんだよ」

氷室エリカ「それじゃ寄宿舎エリアに戻って、中岡くんを掻っ攫ってみよう!」

左雨瑞樹「穏やかじゃねえな……」



氷室エリカ「ってわけで中岡くんの部屋の前だよ!」

中岡笑「身の潔白を証明するために協力は惜しまない覚悟でついてきましたけど……」

左雨瑞樹「笑。お前の部屋のドアが物の見事に爆撃されているけど、これはどういうことだ?」

中岡笑「知りませんよ!自分も今知ってびっくりしてるんですから!」

氷室エリカ「寄宿舎側で聞こえた爆発音は三つだったよね。それで痕跡は食堂の入り口、個室前廊下にあったけど……」

左雨瑞樹「最後の爆破場所は笑の部屋の前だったとは……」
580:🎏 :2013/11/8(金) 00:34:41 ID:g313ba1L8k
中岡笑「何なんですか、これ!閉じ込められたり、爆破されてたり!自分に何か恨みでもあるんですか!?」

左雨瑞樹「さあな。それは犯人さんに聞いてくれって話だ」

氷室エリカ「……現状、その犯人の可能性が高いのは中岡くんなんだけどね」

中岡笑「あんまりだぁ……」

左雨瑞樹(……ここの破片も手榴弾の物じゃない。校舎側にもあった見覚えのない破片だ……ということは、笑の部屋は別の爆弾で爆破された?)

氷室エリカ「ていうか中岡くん、部屋爆撃されて気付かないってどういうこと?」

中岡笑「だってこの部屋、めちゃくちゃ防音じゃないですか。外部の音は完全シャットアウトですからね」

中岡笑「……あ、そういえば、音はしませんでしたけど、めっちゃ揺れてびびったことはありましたね」

中岡笑「その後にドアノブを捻ってみたら、開くようになってて……」

氷室エリカ「その揺れた時っていうのが爆破された時で、それがきっかけで開くようになったとか?」

左雨瑞樹「爆破がきっかけでドアが開いた……」

氷室エリカ「まあそれも中岡くんの証言が真実であれば、の話だけどね。まだ本当に閉じ込められてたのかわかんないし」

中岡笑「自分が犯人じゃないんですけどね……なんか心苦しいですよ」

氷室エリカ「他に怪しいのは……ん?何かドアの前に燃えカスみたいなのが落ちてるよ」

左雨瑞樹「本当だ。真っ黒焦げだけど、この形は……衣服か?上下セットがまるまる焦げてやがる」

氷室エリカ「その爆発で燃えちゃったのかな。誰の服か知らないけど、これで服駄目にしちゃってかわいそうだね」
581:🎏 :2013/11/8(金) 00:39:33 ID:g313ba1L8k
氷室エリカ「調べられるのはこれくらいかなあ?瑞樹くんは他に何か気付いた?」

左雨瑞樹「笑の部屋の焦げたドア……何か変なのがついてる」

氷室エリカ「え?……本当だ。何かの機械かな?でも爆破で壊れたのかなあ、角の部分しか残ってないよ」

左雨瑞樹「……ドアからほんの少し離れて、廊下の壁にも同じようなのがついてる」

氷室エリカ「焦げてるからよくわかんないね。何なんだろう、これ?」

左雨瑞樹(角の部分だけ残ってる謎の部品……笑の部屋のドアにある部品と廊下の壁にある部品を線で結ぶと、ちょうど正方形になる)

左雨瑞樹(つまりこの何かはドアと壁の境目で固定されていた?そしてそれを爆撃することで壊れたとしたら……)

氷室エリカ「……どう?中岡くんの部屋調べてみたけど、何か重要なことがわかった?」

左雨瑞樹「そうだな。けっこう重要なことがわかったかもしれない」

氷室エリカ「え、本当!?凄いね!」

中岡笑「え?え?自分、どうなるんですか?どうなっちゃうんですか!?」

左雨瑞樹「……まだ確証のない話だ。だから裁判の時に掘り下げていくことにするよ」

氷室エリカ「うう、引っ張るねえ瑞樹くん!」

中岡笑「教えてくださいよ!自分もう生きた心地がしないですよ!」

左雨瑞樹「まあまあ、裁判まで待っててくれ」
582:🎏 :2013/11/8(金) 00:42:19 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「さて、笑の部屋で調べられるのは以上だろうな」

氷室エリカ「中岡くん、部屋を調べさせてくれてありがとう!もう戻ってていいよ!」

中岡笑「犯人候補として見張られるんですから、あんま戻りたくないですよ……戻りますけど」

氷室エリカ「さて、中岡くんの部屋を調べ終わったよ。瑞樹くん、次はどうする?」

左雨瑞樹「遺体も校舎も調べて、笑の部屋も調べ終わった。食堂の確認も健太の証言を聞いてる時に済んでるって感じかなあ」

左雨瑞樹「ということは、もう調べられることってないっぽいんだよなあ」

氷室エリカ「じゃあ白鳥さんの報告待ちって感じかな?」

白鳥輝穂「左雨さん、お待たせしました!」

氷室エリカ「噂をすれば……」

左雨瑞樹「輝穂、ゴミはどうだった?何か重要そうな証拠は見つかったか?」

白鳥輝穂「それが……昨日の分のゴミからは、怪しい物は何も……」

白鳥輝穂「あと、今日の分も調べましたけど、まだ朝ですからね……食堂で肉丸さんがレトルト食品等を作った際のゴミしかありませんでした」

左雨瑞樹「そうか……」

白鳥輝穂「あの……私、お役に立てましたでしょうか?」

左雨瑞樹「ああ、助かったよ。ありがとう」
583:🎏 :2013/11/8(金) 00:45:22 ID:g313ba1L8k
氷室エリカ「白鳥さん、行っちゃったよ」

左雨瑞樹「ゴミからは何も出なかったか。今回の裁判、どうなるんだろ……」

氷室エリカ「難しそうなの?」

左雨瑞樹「わからないことだらけだからな。不安にはなるだろうよ」

左雨瑞樹(遺体の焼け跡の濃さの違い。手榴弾とは違う破片。笑の部屋の謎の部品……)

左雨瑞樹(それが何なのか、そしてそれからどう犯人に繋げるか。全てがわからないままだ)

左雨瑞樹(……じゃあいっそ視点を変えるか?殺すのは愛梨じゃなきゃ駄目だったのだろうか?)

左雨瑞樹(学校から出たいだけなら、誰を殺しても一緒だ。愛梨でなければならない理由があったのか?)

左雨瑞樹(死体の状況とか、何かおかしいところはないか?健太が目撃したのは偶然か?健太の目撃談は本当か?)

左雨瑞樹(考えろ……このまま学級裁判を行えば、不透明な要素が多すぎて話を進められない恐れがある)

左雨瑞樹(現状では証拠がなくてもいい。何か、筋の通る考えができないだろうか?)

氷室エリカ「瑞樹くん?何かすごい悩んでるっぽいけど……大丈夫?」

左雨瑞樹(死んだのは愛梨……手榴弾で死亡……目撃者は健太……)

左雨瑞樹「……あっ!」

氷室エリカ「え?」
584:🎏 :2013/11/8(金) 00:46:44 ID:g313ba1L8k
氷室エリカ「何々?事件の真相がわかった?」

左雨瑞樹「いや……正直、今俺が思いついたのは現状では言い掛かりレベルの酷い妄想だ」

左雨瑞樹「でも……一考の余地はあるんじゃねえかと思う」

左雨瑞樹「笑を犯人として話を進めても、健太を犯人として話を進めても、手詰まり感は拭えない」

左雨瑞樹「なら……この考えを裁判の最初にぶつけてみるのもいいかもしれない」

左雨瑞樹「それが正しいかどうかは、裁判を通して検討していけばいいんじゃないか?」

氷室エリカ「ねえねえ、瑞樹くん。一人で盛り上がってるけど、私に教えてくれてもいいんじゃない?」

左雨瑞樹「……いや、この考えは裁判まで取っとくよ。それまで楽しみにしとけよ」

氷室エリカ「えー。そうやって何でもかんでも秘密にするのはよくないと思うなー、私」

左雨瑞樹「まあまあ、必要な時が訪れたら、その時は隠さず言うよ」
585:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/8(金) 17:43:55 ID:6KdyPMHBok
支援だよー
586:🎏 :2013/11/8(金) 23:52:39 ID:g313ba1L8k
不安は正直拭えてないが、それでも今できる捜査はやりきったと言っていいだろう。
タイミングを見計らったかのようにチャイムが鳴り、モニター越しにモノクマが姿を現す。

「じぇじぇじぇ!オマエラの捜査が終わったみたいだね!じゃあ裁判の出番ですよ!」
「ですので、オマエラは速やかにいつもの部屋に移動してください!待ってるからね!」

捜査のための自由時間の終了を告げて、画面は暗くなった。……とうとう本番だ。
……これから俺は、言い掛かりに近いレベルで仲間を疑おうとしている。
本当に犯人だとしても、そうじゃないとしても、仲間の過ちを暴いて死へと追い込む絶望の裁判は結局執り行われる。
気が重い。でも、やるしかない。これをやらねば、俺達の未来は閉ざされてしまうのだから。
エリカと共に、俺は裁判場へと続くエレベーターがある部屋へと歩を進めた。
587:🎏 :2013/11/8(金) 23:54:23 ID:g313ba1L8k
部屋につくと、既に他のメンバーは揃っていた。
なんかこれも当たり前の光景になってきた。どうして他のメンバーは俺より到着が早いんだろう。

「モノクマ。全員が揃ったぞ。そろそろエレベーターを動かしてもいいんじゃないか?」

俺とエリカの到着に合わせて、部屋のモニターに向けて小百合が言い放った。
それとほぼ同時にモニターが映り、モノクマが画面越しに俺達に発言する。

「ようやく集まりましたか。これで裁判ができるってもんだよね!」
「それじゃもったいぶる必要もないし、オマエラを裁判場へと連れて行ってあげましょう。オープンザドアー!」

それをきっかけに裁判場へと続くエレベーターの扉は開いた。

「それじゃオマエラはそれに乗って、いつも通り裁判場に行ってください。それじゃ現地集合ってことで!」

モニターはそれで消えて、まるでそれが合図だったかのように、皆が黙ってエレベーターに乗っていった。
当然俺もだ。開かれた裁判場へと続く扉、その向こう側に俺は足を踏み入れた。
588:🎏 :2013/11/8(金) 23:56:24 ID:g313ba1L8k
全員が箱の中に収容され、扉は閉じられ、大きな音と共にそれは地下へと落ちていく。
これを体験するのは三度目だが、何度経験しようと慣れる物ではない。これからすることを思うと、緊張や恐怖でおかしくなりそうになる。
でも、気を確かに持って、冷静に真実を手繰り寄せなければならない。会話のない箱の中で、俺は自分自身を励まし続けた。
突然、エリカが俺の手を握ってきた。顔を覗くと、ぎこちないながらも笑顔を向けてる。
……怖いのは俺だけじゃない。なのに、エリカは俺を気遣ってくれた。ありがとう、おかげで少しは落ち着いたよ。
俺は仲間と、エリカと一緒に明日も生きたい。そのためには、裁判を乗り切るしかない。
覚悟を決めるんだ。どんな残酷な現実も、悲しい結末も、恐れず向き合う。
起こってしまった残忍な裁判。それを無事に切り抜けるためにも!

だいぶ落ち着いたところで、箱は止まり、扉を開いた。
そして目に映る。過去二回、そして今からも悲劇の舞台となる裁判場。
これから、学級裁判が始まる……!
589:🎏 :2013/11/8(金) 23:58:34 ID:g313ba1L8k
モノクマ「やっほー!来たねオマエラ!さっそく裁判といきましょう!」

中後小百合「相変わらずこの場所は嫌気が差すよ。早く離れたいものだ」

モノクマ「またまたー。この裁判場ほど素敵な場所もありませんって。ここは地上の楽園だよ!」

黒魔帝兎「どこが楽園だ」

中岡笑「ついでに言うと地上でもありませんからね……」

モノクマ「うるさいなー!言わんとすることは何となくわかるでしょ!シャラップ、オマエラ!」

左雨瑞樹「お前の言おうとすることなんて微塵もわからないけどな……」

モノクマ「まったく、ちょっと言葉がおかしかったら嬉々として批判するんだもん。ゆとりは些細なことでも大事にしますね」

モノクマ「ボク、ゆとりのそういうところ、駄目だと思います。自分が気に入らないからって他人を攻撃するんじゃないよ!」

氷室エリカ「生徒に殺し合いを強制する奴が言っていいことじゃないよね……」

モノクマ「とにかく裁判です!裁判なのです!さっさと指定の席について、オマエラは裁判をおっぱじめてください!」

白鳥輝穂「わかりました、学園長」
590:🎏 :2013/11/9(土) 00:01:27 ID:g313ba1L8k
モノクマ「今回で三度目ですが、一応学級裁判のルールを確認しておきます」

モノクマ「学級裁判の結果はオマエラの投票結果で決まります」

モノクマ「正しいクロを指摘出来ればクロだけがおしおきです。正しいクロを指摘できなかった場合はクロ以外がおしおきです」

モノクマ「クロがおしおきされたら残った皆で学園生活を続行、皆がおしおきされたらめでたくクロが卒業となります!」

モノクマ「ルールは大切ですからね。確認しすぎて悪いなんてことは決してありません!」

中後小百合「何度聞いても気持ちのいいルールではないな」

モノクマ「そうですか?これほど素晴らしいルールもないですよ!」

黒魔帝兎「中後、言うだけ無駄だ。もう俺達は裁判にだけ集中した方がいい」

モノクマ「そうです!黒魔帝くんみたいに真面目に取り組むべきです。適当にやって裁判のクオリティを下げたら……ボク、怒っちゃうよ!」

黒魔帝兎「ふざけるな。俺達は俺達のために裁判をやるんだ。お前を喜ばせるためじゃない」

モノクマ「まあまあ、いいじゃないですか。目的が違っても、目指す結果は一緒です。だったらウィンウィンの関係になろうではありませんか!」

モノクマ「そろそろいいかな?いいよね?そんじゃオマエラはクロが誰か考えるために、議論を始めてください!」
591:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/11(月) 12:27:56 ID:loVaB4uZvM
支援!
592:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/11(月) 22:01:42 ID:6KdyPMHBok
えんし
593:🎏 :2013/11/12(火) 01:14:29 ID:g313ba1L8k
黒魔帝兎「さて……裁判が始まってしまったわけだが」

キング「とりあえず状況を確認してみるべきだ。我らの未来への道標となろう」

中後小百合「一番怪しいのは中岡だ。アリバイもなければ、校舎側の爆撃を唯一仕掛けることが出来たと思われる人物だからな」

中岡笑「うー……やっぱそういう流れになっちゃうんですね……」

相田鳥子「でもなんかデブもあやしいって話しになってなかったかー?」

中後小百合「そう。寄宿舎エリアで夜桜が殺された時、肉丸は寄宿舎エリアに一人でいたと思われる」

中後小百合「殺害時に限れば、肉丸にも殺せた可能性があるんだ。その場合、寄宿舎エリアにいながらどうやって校舎を爆撃したのか謎は残るが」

中後小百合「どちらかが犯人である可能性は高いと思われる。そこを重点的に話し合わないか?」

左雨瑞樹「……それなんだけどよ」

白鳥輝穂「左雨さん、どうされましたか?」

左雨瑞樹「考え方を変えると……実は怪しい奴が他に二人いるんだ」

肉丸健太「二人も!?」
594:🎏 :2013/11/12(火) 01:16:25 ID:g313ba1L8k
肉丸健太「それって誰なの!?教えてよ!」

中岡笑「きっとそいつらのどっちかが真犯人ですよ!」

黒魔帝兎「犯人扱いから逃れたくて必死だな……」

左雨瑞樹「その話をするために、まずは皆に訊ねてみたい」

左雨瑞樹「愛梨の死亡状況、矛盾があると思わないか?」

中後小百合「矛盾?おかしい点は、足元の粘着物や焦げ跡に差がある等、二点ほど見つかったが……矛盾となると考えつかないな」

左雨瑞樹「じゃあ正解を言ってやろうか?……愛梨は手榴弾で上半身を爆破されてるんだよ>>564

白鳥輝穂「……あの、それの何が矛盾だって言うんですか?」

左雨瑞樹「まだ爆弾を買ったばかりの頃に、俺が爆弾を試しに使ってみたことを思い出してほしい」

左雨瑞樹「素人の俺にはうまく扱うことができず、手榴弾をすぐに投げてしまった。結果、手榴弾は床に落ちてから爆発した>>459

左雨瑞樹「そしてそのまま視聴覚室に仕舞っておいた。つまりあれから誰も手榴弾を使えてない。誰も手榴弾の練習なんて出来てないんだ」

左雨瑞樹「だったら、愛梨の爆破された箇所は足元でないとおかしくないか?素人が使ったんだから、立ってる相手に対して上半身を狙えたとは思えない」

中後小百合「……なるほど、一理あるかもしれんな。我々には手榴弾をうまく扱う心得などないのだからな」
595:🎏 :2013/11/12(火) 01:19:36 ID:g313ba1L8k
中岡笑「上手く使えるように練習したってことはないですか?」

キング「どういうことだ?微笑の傀儡よ」

中岡笑「……自分のことですよね?いや、何か明らかに過剰な爆破跡が校舎側にあったじゃないですか」

中岡笑「それは夜時間の皆が寝静まった時にできた物だと今のところ考えられてるんでしょ?それって実は練習の跡なんじゃないですか?」

黒魔帝兎「なるほど。あの無数の爆破跡は夜時間にこっそり練習したことによって出来た物であると」

左雨瑞樹「だとしても、一日の練習だけでそんなに爆弾の扱いに慣れる物だろうか?」

左雨瑞樹「例えば練習によってピンを抜いてから爆発するまでの秒数がわかったとして、ぎりぎりまで待ってから投げ、ちょうどよく爆発させる程うまくなるとは考えにくい」

中後小百合「爆発までの秒数がわかったとしても、投げる動作の時間や相手に届くまでの時間の逆算も必要となる……上手く使うのは難しいだろうな」

氷室エリカ「加えて、相手も動くわけだからね。実戦でうまく使うには爆発までの秒数がわかればいいってもんじゃないよね」

白鳥輝穂「それでは、夜桜さんを相手に、上半身を爆破するようにうまく使うには、どうすればよかったんでしょう?」

中後小百合「……うまく使う必要がなかったと考えたらどうだ?」

左雨瑞樹「……たぶん俺も小百合と同じ結論だ。続けてくれるか?」

中後小百合「承った。手榴弾で上半身を爆破するのに、うまく扱う必要はなかったんだ。恐らく、夜桜は横になっている状態だったんだ」

黒魔帝兎「……何だと?」

左雨瑞樹「俺も同じ意見だ。殺される瞬間、愛梨は横になっていた。だから素人的に床に投げる方法でも、上半身を爆破できたんだ」
596:🎏 :2013/11/12(火) 01:21:19 ID:g313ba1L8k
肉丸健太「そんなことってあるのー?犯人に追われて殺されかけてるんだよー?そんな時に寝ちゃうなんてさー」

中岡笑「逃げるのに必死で転倒したとしても、すぐ立つか……どこかを痛めて立てなかったとしても、頭部のある上半身は庇うように這ってでも動くと思いますけど」

中岡笑「素人が使うんだったら、すぐ投げちゃうから、床に落ちてから爆発するまで少し時間ありますよ。夜桜さんは律義に爆発するまで待ってたんですか?」

左雨瑞樹「そいつは違う。恐らく愛梨は拘束されて動けなかったんだ」

相田鳥子「高速されてうごけなかったー!?」

氷室エリカ「相田さん、字、違う」

左雨瑞樹「とにかく、あの時愛梨は拘束されて動けなかった。だから上半身の爆破が可能だったんだ」

黒魔帝兎「……考えが飛躍しすぎてないか?そう考えられる根拠などないだろう?」

左雨瑞樹「絶対的な証拠ではないが、こう考えた根拠はある」

キング「根拠があるのか!?」

中後小百合「両足首についてた粘着物……だろう?>>575

左雨瑞樹「ああ。それが拘束されていたと考える根拠だ」

氷室エリカ「凄い!何か今日は中後さんも冴えてるね!」

中後小百合「ふふふ、そう言われると悪い気はしないな」
597:🎏 :2013/11/12(火) 01:24:14 ID:g313ba1L8k
中岡笑「でも、それが何で拘束されてた根拠になるんですか?」

左雨瑞樹「この粘着物の正体……恐らくガムテープの物だ」

白鳥輝穂「ガムテープなんですか?」

左雨瑞樹「そうだ。爆弾の固定を目的に、俺が皆の分を用意したガムテープだ>>479

左雨瑞樹「両足首をそのガムテープで固められていて、その粘着剤が少し体に残ったんだろう。だとしたら、十分拘束されてた状況と言えるだろ?」

黒魔帝兎「しかし粘着物がついてたのはあくまで両足首のみだ。仮に拘束されていたのが事実だとして、無抵抗に上半身を爆破されたとするのは不自然だ」

左雨瑞樹「いいや、愛梨はもっと徹底的に拘束されていた。だから無抵抗に爆破されるしかなかったんだ」

肉丸健太「そんな根拠ってどこにあるのー?」

左雨瑞樹「愛梨は上半身を爆破されていた。だから上半身は焦げていた」

左雨瑞樹「……その中でも特に酷く焦げてた部位があっただろ?そう、両手首と顔だ>>575

白鳥輝穂「確かにそうです!……あれ?でもそれが何で拘束されていた根拠になるんですか?」

左雨瑞樹「……ガムテープって燃えると思うか?」

中岡笑「……どうしました?今裁判中ですから、そんなくだらん質問は後でいいですか?」

左雨瑞樹「いいから答えてくれ。じゃあエリカ、どう思うよ?」

氷室エリカ「私!?う、うーん……種類にもよるってイメージだけど……まあ燃えるんじゃない?」

左雨瑞樹「そう、燃えるんだ。よく燃える。それは、ガムテープに使われている粘着剤のせいなんだ」

左雨瑞樹「ガムテープに使われる粘着剤は、よく燃えるし長く燃えるんだよ」

黒魔帝兎「なるほど、理解した。……で、それが何だ?」
598:🎏 :2013/11/12(火) 01:27:52 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「恐らく愛梨は両手両足をガムテープで縛られていた。さらに喋らせないために口に、目隠しとして目にもガムテープを貼られてたんじゃないだろうか」

左雨瑞樹「だから自身の置かれている状況が分からず、すぐそばに手榴弾を投げられても、どうしようもなかったんだと思う」

左雨瑞樹「問題は、その状況で爆破された時、ガムテープがどうなるか、だ」

左雨瑞樹「爆破によって引火して、そのまま燃えるかもしれない。その場合、顔や両手首は他の部分と比べて焦げ跡が濃くなるだろう」

左雨瑞樹「流石に手榴弾の爆発に引火性はないような気がするし、粘着剤の方が表じゃないんだから燃えなかったかもしれないが、その場合犯人がどうするかを考えると、疑問は解決する」

中後小百合「……足首のガムテープがなくなっているのを考えると、犯人は拘束した事実を隠したくてガムテープをはがしたんじゃないかと思われる」

中後小百合「殺害後、足首のガムテープを外した。爆発で手首や顔のガムテープも燃え尽きていれば問題ないが、燃えなかったとすると少々厄介だ」

左雨瑞樹「拘束の事実を隠したいから当然上半身のガムテープもはがすだろう。しかし、燃えなかった場合、はがすとその部分が焦げてなくて不自然になってしまう」

左雨瑞樹「なら、はがした後に、ライターか何かで火を付ければいい。このガムテープは、はがしても粘着剤が残ってしまうのは、両足首を調べた結果から明らかだ」

氷室エリカ「そっか!そしたら粘着剤があるから燃えて、結果凄い焦げちゃうわけだね!」

中岡笑「あの焦げ跡はそういうことだったんですか……」

左雨瑞樹「まあ現状では可能性の話だけどな」
599:🎏 :2013/11/12(火) 01:30:30 ID:g313ba1L8k
黒魔帝兎「そういう可能性もあるというのは理解した。それが何故新たな犯人候補が二人加わるという話になるんだ?」

中岡笑「そういえば、その前置きとして始めた話でしたね」

左雨瑞樹「……問題は、何故愛梨がターゲットとなったのかって点だ」

左雨瑞樹「俺達が殺害する場合、動機は外に出たいからだ。今回だってきっとそうだろう。だから殺すのは別に誰でもいいんだ」

左雨瑞樹「そして愛梨は女だ。それだけ考えると、別におかしいとは思わないが……」

左雨瑞樹「でも体格的に言うともっと小柄な輝穂や鳥子だっている。性格でも、愛梨は用心深く、不意を突いたりするのに向かない」

左雨瑞樹「それを考えると、何故殺すのが愛梨でなければならなかったのか、疑問に思えるんだ」

氷室エリカ「確かに……いくら女性の夜桜さんでも、真正面から襲われたら抵抗もするだろうし……すんなりそこまで拘束されるとも思えないかな」

肉丸健太「雇われたご主人様以外には決して心を許さないもんねー。不意打ちとかも厳しいように思うよー」

左雨瑞樹「健太、それだ」

肉丸健太「え?」

左雨瑞樹「性格に難ありな愛梨が、清らかな輝穂よりも従順になって不意打ち等も楽にできるようになる条件が一つだけある」

左雨瑞樹「それは、愛梨を雇えばいいんだ。超高校級のメイドである愛梨は、雇われたご主人様にだけは従順となるんだ!」

左雨瑞樹「そして愛梨を雇うにはモノクマメダル100枚が必要だ>>239>>467けっこうな大金らしいな」

中後小百合「左雨……お前まさか……」

左雨瑞樹「そんな大量のモノクマメダルを払えるであろう人間は二人ほど考えつく」

左雨瑞樹「モノクマメダルを見つけるのがうまくて大量に持ってるその二人は……キングと、そしてこの俺だ!」
600:🎏 :2013/11/12(火) 01:33:19 ID:g313ba1L8k
氷室エリカ「な、何を言ってるの、瑞樹くん!?それって、自分が犯人かもってことなんだよ!?」

左雨瑞樹「現時点では条件に当てはまってる。疑われても仕方ないだろう」

氷室エリカ「そんな、瑞樹くんが殺人なんて!皆、瑞樹くんは犯人じゃない!本当に犯人だったら自分からこんなこと言うはずないもん!」

中後小百合「そうなるのを予想して、あえて言ったのかもしれないぞ?」

氷室エリカ「え?」

中後小百合「本当に犯人なら、自分が怪しいなどと言うはずがない。じゃあ本当に怪しいのはもう一人の方だ」

中後小百合「……こうなるように仕向けたのかもしれない。左雨くらい切れればそれくらい仕掛けられるだろう」

氷室エリカ「うぅ……」

左雨瑞樹「まあこの裁判で真実を見つけられたら自然とわかることさ。犯人は笑か健太かキングか……それとも俺か」

氷室エリカ「瑞樹くん……私、信じるからね?」

左雨瑞樹「ああ。俺が真実を見つけ出してみせる」

中岡笑「左雨くん、すっかりじっちゃんの名をかけそうな感じになりましたね……」

左雨瑞樹「とにかく、今言った通りだ。俺とキングはモノクマメダルを見つけるのがうまい>>184

左雨瑞樹「愛梨を雇って従順にさせてから、隙をついて拘束する……それが俺とキングには可能なんだ!」
601:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/13(水) 01:21:30 ID:6KdyPMHBok
本編のゲームやったんだけど…
舞園さんが…

602:🎏 :2013/11/13(水) 01:23:29 ID:g313ba1L8k
中後小百合「……いきなり犯人候補に躍り出たわけだが、気分はどうだ?キング」

キング「……馬鹿げている。仮に我か左雨が犯人としてみよう」

キング「そうすれば、微笑の傀儡の言霊も、狂いし食べ人の言霊も、全ては真実へと向かうだろう」

氷室エリカ「えっと……中岡くんの証言も、肉丸くんの証言も、本当のことになるってことだよね?」

キング「左様」

黒魔帝兎「……確かに馬鹿げているかもしれない。左雨かキングが犯人として、中岡と肉丸の証言二つを真実とすると、おかしい点が出てくる」

黒魔帝兎「まず、中岡が部屋に閉じ込められていたという証言だが、そんな証拠はどこにもない」

黒魔帝兎「それが真実だとして、それでは肉丸が食堂で中岡を目撃することができない」

黒魔帝兎「しかし、肉丸はしっかりと中岡を見たと証言している>>568

黒魔帝兎「どちらも犯人ではなく、どちらの証言も正しいとすると、どうしても一方に矛盾が生じるじゃないか」

キング「更に、犯人が微笑の傀儡ではないというなら、校舎で起こった爆発の説明も必要となる」

キング「校舎で手榴弾が爆発したその時、微笑の傀儡と金欲の乙女だけがいなかった。>>549つまり他の者には爆破は不可能だった」

キング「両名の絶対的な現場不在が確立する中で、それ以外に犯人となる人物など存在しない!」

中岡笑「……あれ!?自分、犯人と決め付けられてる感じですか!?」

左雨瑞樹「大丈夫だ。その辺の矛盾も説明できるはずだ」

中岡笑「左雨くーん!信じてましたよー自分は!」
603:🎏 :2013/11/13(水) 01:27:19 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「まず、笑の証言の真偽だけど、これは本当だと思う」

左雨瑞樹「笑の部屋を調べに行くと、外の方の壁に何かの痕跡があった」

相田鳥子「なにかのこんせき?」

左雨瑞樹「具体的に何かわからなかったが、それは笑の部屋のドアと壁の境目に固定されていたようだ>>581

左雨瑞樹「ドアと壁の境目に固定されていたということは、その間、ドアは壁と繋がれていたということでもある」

左雨瑞樹「そしてそれが繋がれている限り、部屋の中にいる笑はドアを開けることが出来ない。こうして笑は閉じ込められていたんだ」

左雨瑞樹「その何かは爆発された跡があった。そして寄宿舎エリアから聞こえた爆音は三つ」

中後小百合「爆破跡から考えて、まずは食堂。次に夜桜殺害。そして最後がそれを爆破した物と考えるわけか?」

左雨瑞樹「そうだ。犯人が愛梨を殺した後、笑の部屋のそれを爆破で壊し、ようやく笑は部屋から出られるようになったというわけだ」

黒魔帝兎「……いくつか疑問がある。そもそもその何かって何だ?それに、そんな物、どうやって固定するんだ?」

黒魔帝兎「この学校はダイナマイト三個でもびくともしない異常な頑丈さを誇る>>522そんな学校の壁とドアでどう固定する?」

黒魔帝兎「ガムテープで貼りつけるか?しかし、そんな程度であればドアを何度か強く押し引きすればはがれるんじゃないか?」

黒魔帝兎「強く固定するならネジ穴でもあけて四方をネジで固定したりする必要があるんじゃないか?」

黒魔帝兎「でも、そんなネジ穴をこの頑丈な校舎に俺達が開けられるのか?そのところ、どう考えてるんだ?」

左雨瑞樹「……はっきり言う、わかってない。だけど、ここで示したかったのは、笑が閉じ込められていたという情報が嘘ではない可能性だ」

左雨瑞樹「それに……確証はないが、うっすらとその辺の疑問の答えも用意はしてある」

左雨瑞樹「だけど、順を追って説明していきたい。それは後述としていいか?」

黒魔帝兎「……わかった。可能性があるのも理解した。続けてくれ」
604:🎏 :2013/11/13(水) 01:29:42 ID:g313ba1L8k
白鳥輝穂「中岡さんが閉じ込められていたとすると、肉丸さんの証言がおかしくなってきますね」

氷室エリカ「そうだね。肉丸くんは中岡くんを見たって言ってるんだもんね。でも閉じ込められてたんなら、見れっこないよ」

中後小百合「ゼイ肉マン、お前さんは本当のことを言ってるんだろうな?」

肉丸健太「キン肉マンの亜種みたいに言わないでよ!それに僕は絶対に中岡くんを見たよ!食堂が爆撃された後、入ってきたのは絶対中岡くんだよ!」

左雨瑞樹「そいつは違う!」

左雨瑞樹「健太が見たと主張する人物……それは本当に笑だったのだろうか?」

黒魔帝兎「そうだろう。見たから見たと言ってるんだろう。それともこれが嘘だという証拠でもあるのか?」

左雨瑞樹「嘘だという証拠はない。だけど、間違えているという可能性なら指摘できる」

中後小百合「間違えている?」

左雨瑞樹「本当に笑だったか、という問いに対して、健太は服装のことしか話していない>>569

左雨瑞樹「つまり健太は、この時食堂に入ってきた人物の顔を見ていない!」

キング「……いくらなんでも顔を見ずして断言するような真似はしないだろう」

肉丸健太「……」

相田鳥子「デブ!おまえなんでだまってんだー!?馬鹿かー!?」

キング「貴様、まさか本当に見てないのか!?」
605:🎏 :2013/11/13(水) 01:32:50 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「この通りだ。つまりあの時……盗んだのか買ったのかは知らないが、笑の服装を着た犯人が、健太に目撃されることで罪をなすりつけようとしたんだ!」

黒魔帝兎「いや、それは無理があるだろ!?服だけ真似たところで顔を見れば一発でばれる!肉丸が服しか見なかったのが奇跡で、普通はそんなことで誤魔化せない!」

左雨瑞樹「その奇跡が健太相手なら普通に起こることだとしたら?」

左雨瑞樹「健太は目が悪い。近づかないと顔の識別が出来ないほどの低い視力だ>>18

左雨瑞樹「つまり健太に目撃される場合に限れば、服装を着替えるだけで簡単に別人になり済ますことが出来るんだ!」

左雨瑞樹「皆の服装は学生服に加えて、購買部でいろいろ買ったりしてるからバリエーションもあるけど」

モノクマ「原作で服装チェンジを実現させるならダウンロードコンテンツかな?」

左雨瑞樹「横やり入れてくんなよ。……続けるぞ?」

左雨瑞樹「笑は芸人衣装にこだわって、常にあの姿でいる>>19>>511

左雨瑞樹「だから笑になり済まして健太を騙す場合は、あの服装を着るだけで簡単にできるんだよ」

中後小百合「つまり肉丸が犯人を目撃したのは、偶然ではなく犯人の意図的な物だと言うことか?」

左雨瑞樹「ああ。校舎への速やかな移動が必要な時、健太が移動を拒むのは過去にもあったから皆が知っていた>>480

左雨瑞樹「だから犯人は、皆が寄宿舎エリアにいる時に、遠隔爆破を起こし、移動させる必要性を生み出した」

左雨瑞樹「こうして意図的に健太を食堂に残し、その後わざと目撃されてから寄宿舎エリアで愛梨を殺害したんだ」

左雨瑞樹「……ところで、校舎側で爆発が起きた時、健太に残ってていいと言ったのは誰だったかな?」

氷室エリカ「誰だっけ?えっとね……あの時は確か>>550……ああ!」

キング「……左雨よ。貴様は我が怪しいと申すつもりか?」

左雨瑞樹「ああ。悪いけど、そのつもりだ」
606:🎏 :2013/11/13(水) 01:44:18 ID:g313ba1L8k
キング「……我が身に降りかかる災厄から逃れるためには仕方あるまい。貴様が如何に馬鹿げているか指摘させてもらう」

キング「貴様の主張を通すためには、遠隔爆破の謎を解き明かす必要がある」

キング「しかし、そのような奇怪な方法など存在せぬ!手榴弾を遠隔爆破するなど、我が敵対する組織でも不可能である!」

左雨瑞樹「そいつは違う!」

左雨瑞樹「……確かに手榴弾を遠隔爆破する方法はないかもしれない。お前も俺も、ついでにその組織とやらにも無理だろうな」

キング「ほら見ろ!勢いに任せて否定しても、無理な物は無理なのだ!」

左雨瑞樹「……手榴弾じゃないんだ」

キング「っ!」

相田鳥子「てきるだまじゃねえのか!?」

左雨瑞樹「ああ。あの時校舎側で爆発したのは手榴弾じゃないんだ。あと、読み方はてきるだまじゃない」

左雨瑞樹「あちこちが爆破されていたあの校舎で、いくつか手榴弾の物ではない破片が見つかった>>578

黒魔帝兎「手榴弾じゃない破片?……まさかダイナマイトか!?」

左雨瑞樹「違う。ダイナマイトの破片でもないし、仮にダイナマイトでもそれでは結局遠隔爆破なんてできない」

白鳥輝穂「え?でも……爆弾って手榴弾とダイナマイトの二つしかないんじゃないですか?」

左雨瑞樹「いや、実は他にも爆弾はあるんだ。買わなかっただけで、購買部でモノクマから時限爆弾は買えるんだ>>450

氷室エリカ「え!?そうなの!?」

左雨瑞樹「時限爆弾なんて、時間設定しとけば後は勝手に爆発する。遠隔爆破のためだけにあるような代物だ」

左雨瑞樹「そしてそれを使っておいて、爆発したのは手榴弾だと思わせて、あとは皆と一緒にいれば、それでアリバイを作ることが出来るんだ!」
607:🎏 1「最近スマホに変えたんだけど、スマホもちゃんと見れるっぽい」:2013/11/13(水) 01:48:39 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「更に、時限爆弾を使えば、笑が閉じ込められていたのにも説明がつく」

黒魔帝兎「……お前が後述とした部分だな」

左雨瑞樹「笑の部屋のドアを固めていた何かは、爆発された跡があり、そして壊れていた」

左雨瑞樹「ただ、実はそれを手榴弾等で壊したのではなく、それ自体が爆発したんだ」

中岡笑「……まさか、ドアと壁の境目で固定されてた何かって、時限爆弾だったんですか!?」

左雨瑞樹「そうだろうな。笑の部屋の前にも、時限爆弾の物と思われる破片があった>>580

左雨瑞樹「さらに笑は揺れと共にドアが開くようになったと言っている。あの部屋は完全な防音で音こそ防げるが、爆破の揺れは別だろう」

中後小百合「なるほど。その揺れた時っていうのが、固定されてた時限爆弾が爆発した時というわけか」

左雨瑞樹「そして重要なのは、時限爆弾を購入した場合、その時間設定や設置を行うのは恐らくモノクマだということだ>>450

左雨瑞樹「モノクマの協力を仰げば、俺達がどうしても破壊できなかったこの学園の壁でもネジ穴くらい開けられるんじゃないか?」

肉丸健太「それで頑丈に閉じ込められてたってわけだねー」

相田鳥子「でもそんなんあったらふつーまわりが気ずくんじゃねーのか?馬鹿かー?」

左雨瑞樹「……ガラケーからじゃないと見れたもんじゃないけど、我慢してこの図を見てくれ>>346-347

左雨瑞樹「笑の部屋は、他のメンバーからだと、角を曲がらないと見えない」

左雨瑞樹「愛梨は見えるかもしれないけど、朝、食堂に来なかったのを考慮すると既に拘束されていた可能性がある」

左雨瑞樹「そして俺達は起きたら真っすぐ食堂に向かう。だから笑の部屋に時限爆弾が設置されてるのに誰も気付けなかったんだ」
608:🎏 :2013/11/13(水) 01:50:54 ID:g313ba1L8k
左雨瑞樹「まずは問いたい。あの朝、いつもの時間になっても来ない笑と愛梨を迎えに行こうとして、それを止めたのは誰だ?」

氷室エリカ「えっとね……>>546ああ!キングくん!キングくんだよ!」

左雨瑞樹「……校舎側が爆発した時、手榴弾の爆発だと言い出したのは?」

白鳥輝穂「えっと……あっ!>>549そ、それもキングさんです!」

左雨瑞樹「そう!キング、お前なんだよ!時限爆弾の存在も、それが設置された笑の部屋も、それを隠そうとしたのはお前なんだよ!」

キング「……つまり貴様は、この我が自らの過ちを消し去るため、皆を誘導したと、そう言いたいのか?」

左雨瑞樹「そうだぜ」

キング「甘いな。現世の迷い子よ、そなたの英知は残酷なまでに甘い」

中後小百合「どういうことか、説明頼めるかい?」

キング「いいだろう。遠隔爆破の事実があったところで、我やその他大勢は犯人にはなり得ない」

中後小百合「そう考える根拠は?」

キング「時限爆弾で校舎が爆破されたとしよう。我々はその後、勇敢にも現場の調査へと馳せ参じた」

キング「その後、校舎側で調査をしてると、今度は寄宿舎側で爆撃が起こる。これで金欲の乙女が死神に愛されたのだ」

キング「そして白黒の悪魔が極秘資料にて明確にしている。金欲の乙女を死へと誘ったのは手榴弾であると!>>564

キング「手榴弾を遠隔爆破する手段などない。結局、金欲の乙女を殺せたのは寄宿舎側にいた人類!」

キング「つまり微笑の傀儡か狂いし食べ人!その両名に他ならないのである!」

中岡笑「ちょっと待ってくださいよ!自分、閉じ込められてたって証明されたばっかりじゃないですか!何で犯人になり得るんですか!?」
609:🎏 :2013/11/13(水) 01:54:02 ID:g313ba1L8k
キング「……確かに貴様の部屋には時限爆弾によって閉じ込められてた痕跡がある。しかし、それがいつ爆発したかは証明できないはずだ!」

中岡笑「いやいや!皆さんの話によると、爆発跡と爆発音は一致してるってことじゃないですか!」

中岡笑「寄宿舎で三つの爆発音があって、その時に夜桜さんは殺されたんです!そして爆破跡が残ったのは食堂と夜桜さんと、あと自分の部屋です!」

中岡笑「ほらぁ!自分は事件発生の前後にようやく出れるようになったんです!自分は犯人にはなれないですよ!」

キング「それはどうかな?皆が寝静まった夜時間の間に、時限爆弾の設置と爆破を済ましておいたのかもしれない」

キング「そうしたら閉じ込められてた痕跡だけ残せて、貴様は朝に自由を得る。何者にも縛られることはない!」

中岡笑「前もって時限爆弾を爆破してたら、爆破跡は四つになるはずじゃないですか!音的に、あの時絶対三回は爆発が起こってるんですよ!」

キング「爆破跡を誤魔化す方法が一つだけある。同じ個所を続けて爆破するのだ」

キング「そうすれば、爆破跡を減らすことができる。爆発音が三つでも、爆破跡は一つか二つに抑えられる」

キング「こうして音と跡の数を合わせて、あの時爆発したと思いこませたのだ!これで貴様は閉じ込められていたと偽ることができる!本当はもっと前に爆発してたのだ!」

中岡笑「うわああああ!ササえもん、助けてよー!」

左雨瑞樹「うぜえのび太くんだな……確かにその可能性はある。その可能性を否定することはできない」

中岡笑「そんな!」

左雨瑞樹「だけど俺は、キングの発言の一部は否定したいと思っている」

左雨瑞樹「……愛梨を殺すのは、校舎側に調査に行った奴にも可能だったんだ」
610:🎏 :2013/11/13(水) 01:55:40 ID:g313ba1L8k
キング「何故だ?事件は寄宿舎で起こった。殺害方法は遠隔爆破の不可能な手榴弾だ。ならば、あの時校舎にいた人類には不可能である」

左雨瑞樹「そうだな。あの時校舎にいれば、絶対に殺人なんて不可能だよな」

キング「……貴様、何を言ってる?」

左雨瑞樹「愛梨が殺された時、校舎を調べていた全員が単独行動を取っていた>>558

左雨瑞樹「つまり、誰にもばれずに、愛梨を殺しに寄宿舎へ戻ることができた。校舎に調査に行った奴にも殺人は可能だったんだ!」

キング「っ!」

左雨瑞樹「そしてあの時、単独行動を提案したのも……キング、お前だ>>556

中後小百合「……はっきり言って、キング、お前は自分勝手に変な行動をすることはあっても、皆を引っ張ってまとめるようなことはしない」

中後小百合「それが珍しくリーダーシップを発揮した時に限って、皆にばれないよう犯行できるような結果に繋がっている」

中後小百合「……怪しむなという方が無理だと思わないか?」

キング「……言い掛かりをつけられるか。珍しいことはやらない方がいいということだな」

キング「確かに校舎側にいた人類にも犯行は可能だったかもしれないな」

キング「しかしそれは、別に我が犯人だという証拠にはなり得ぬ。いろんな前提が崩れた今、犯人となり得る人類は無数に存在する!」

白鳥輝穂「あの……前提が崩れたとは、どういうことでしょう?」
611:🎏 :2013/11/13(水) 01:59:16 ID:g313ba1L8k
キング「そもそも微笑の傀儡が犯人とされたのは、校舎側の爆発が起こった時にいなかったからだ」

キング「しかし、時限爆弾の存在が浮かび上がった今、爆発が起こった時にアリバイがあろうと、その意味は消滅した」

キング「また、殺害が起こったのは寄宿舎だから、寄宿舎にいてその時のアリバイがない者として狂いし食べ人も犯人候補に躍り出たが」

キング「曰く、校舎側の人間もアリバイがなく犯行可能だったそうではないか。これでは全員に犯人の可能性があるではないか」

キング「さらには、用心深い金欲の乙女を徹底的に拘束するには雇う必要があり、そんな大金があるのは我と貧しき籤引きの少年だけだと言うが」

キング「金欲の乙女は華奢な少女だ。用心深くても力ずくで挑めば拘束も不可能ではないだろう」

キング「貧しき籤引きの少年が知恵を絞って抱いた妄想は、犯人の選択肢を広めただけに過ぎん。我を犯人とする物では決してない!」

氷室エリカ「貧しき籤引きの少年……貧乏くじってことかな。瑞樹くんのこと言ってるんだろうね」

相田鳥子「なんかよくわかんねえぞ!だれか話しをまとめろよ!」

肉丸健太「えっとねー、ここにきて皆に犯人の可能性が出てきたって感じかなー」

相田鳥子「それじゃーあたしもはんにんだっていうのかー!?馬鹿かー!?」

キング「いいや。何人かは犯人にはなり得んだろう。喜べ、知識なき莫迦娘よ。貴様も犯人にはなり得ん人類だ」

中岡笑「え?現状で犯人にはならない人っています?」

キング「いる。それぞれの言霊を操れば、自然と現状は姿を現す」

左雨瑞樹「キング……よかったら、何で犯人にならない奴がいるのか、それは誰なのか……教えてくれないか?」

キング「いいだろう。我が英知より生み出される言霊で、彷徨える皆の未来を真実へと導こう!」
612:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/15(金) 01:07:52 ID:6KdyPMHBok
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613:🎏 :2013/11/15(金) 02:02:19 ID:8ipuOv.UbM
キング「まず、相変わらず怪しいと言えるのは中岡、肉丸の両名である」

左雨瑞樹「……中二的な呼び方やめたんだ?」

キング「……我だって面倒と感じる心があるのだ」

キング「とにかく、二人は証言を偽れば犯行が可能である」

中後小百合「中岡は……キングが言ってたように、モノクマに時限爆弾を設置してもらって夜時間のうちに爆破し、閉じ込められた痕跡を残しておくわけだな」

黒魔帝兎「そして、これまたキングが言ってた方法で、寄宿舎側の爆発音と爆破跡を一致させることで、その時ようやく解放された風を装ったんだな」

氷室エリカ「肉丸くんが犯人の場合、中岡くんの服を着た犯人を見たとでっち上げればいいんだね」

白鳥輝穂「肉丸さんの証言と現場の状況はかなり一致してますけど……ご自身が犯人であれば、証言と状況を一致させるのも難しくないんだと思います」

相田鳥子「でもがっこうのほう行ってたやつもあやしいんだろー?なんではん人にならないやつがいるんだー?馬鹿かー?」

キング「問題は校舎に調査に行ってた者が犯人の場合、中岡と肉丸の証言は真実となることだ」

中後小百合「犯人でないなら、嘘をつく必要がない。なら、信憑性は増すだろうな」

キング「肉丸は中岡の服を着た犯人を見ている。そんな服を着たのは、中岡に罪を着せるためであろう」

キング「そして肉丸は目が悪い。遠くからでは顔の識別ができず、着ている服で中岡と判断するしかなかった」

キング「だが、さすがに目が悪くとも、大雑把に形は識別できるはずだ。そこが決め手となる」

キング「まず女子は外れるだろう。中岡は男子の中でも長身な方である。小柄な女子達が中岡の服を着たところで、その身長差からさすがにばれてしまう」

中後小百合「私はどうなる?私は女の中では背が高い。実際左雨と同じか、もしかしたら私の方が高いかもしれんぞ?」

左雨瑞樹「……」

氷室エリカ「だ、大丈夫だよ瑞樹くん。私は身長とか全然気にしないよ」
614:🎏 :2013/11/15(金) 02:04:54 ID:8ipuOv.UbM
キング「中後の場合は髪だな。貴様は長髪である。それほどの長さであれば、目が悪くともさすがに遠くから識別できるだろう」

肉丸健太「確かに中後さんは髪の長さで見分けるよー」

キング「比べて中岡は短髪である。中後が中岡の服を着たところで、中岡になり済ますのは無理だということだ」

キング「それで考えれば、我もまた黒髪の長髪である>>26

キング「これにより我と中後も犯人の候補から外れる。校舎を調べていた者の中で、中岡になり済まして肉丸に目撃させることができたのは左雨と黒魔帝のみだ」

キング「従って、犯人候補は左雨、黒魔帝、中岡、肉丸に絞られるのである!」

左雨瑞樹「そいつは違う!」

左雨瑞樹「……キング。お前が犯人候補から外れるなんてことはないはずだ」

氷室エリカ「そ、そうなの?」

キング「出鱈目だ!我のこの長髪が目に入らぬか!?この髪がある限り、我は中岡になり済ますことなど出来ぬ!」

左雨瑞樹(……確証はない。でも、これで合ってるはずだ)

左雨瑞樹(これがキングの犯行を裏付ける決定打になるはずだ!)

左雨瑞樹「……キング」

左雨瑞樹「お前のその髪の毛……本物か?」
615:🎏 :2013/11/15(金) 02:06:48 ID:8ipuOv.UbM
キング「っ!?」

白鳥輝穂「え?本物かって……」

黒魔帝兎「あいつのあの長髪、カツラなのか!?」

左雨瑞樹「正直わからない。でも、簡単にこの場で確認できるはずだ。何なら俺が直接引っ張ってやるよ」

左雨瑞樹「地毛なら問題ない。変に言い掛かりつけて悪かったって謝るよ。でもカツラだったら、説明してほしい」

左雨瑞樹「どうしてその事実を隠して、長髪を理由に犯人候補から逃れようとしたのか。本当に犯人じゃないのなら、打ち明けることだって出来たはずだ」

左雨瑞樹「犯人だから逃れようとした……それ以外で納得のいく説明ができるか!?」

左雨瑞樹「おっと、その前に地毛かカツラかの確認だ。キング、調べさせてもらうぞ」

キング「断る!」

中岡笑「こ、断る!?」

肉丸健太「断るって……ある意味認めてるようなもんだよ!?」

キング「断ると言ったら断る!我は……お、俺は!これだけは人に見せたくねえんだよ!」

左雨瑞樹(……見せたくない?)

黒魔帝兎「無理強いは紳士らしからぬ行動で好かないが仕方ない。俺が調べる!」

キング「やめろ!やめてくれよぉ!やめろおおぉぉ!!」
616:🎏 :2013/11/15(金) 02:08:53 ID:8ipuOv.UbM
氷室エリカ「……カツラだ。地毛はすごく短髪だ……」

中後小百合「いや、その前に……」

左雨瑞樹(思った通り、キングはカツラだった。顔を覆い隠すほどの髪の毛は外れ、素顔を晒している)

左雨瑞樹(その素顔が明らかになったことで、俺達は衝撃を受けることとなった……)

左雨瑞樹「お前……その顔の火傷は一体……」

左雨瑞樹(キングの素顔は酷い火傷の痕でいっぱいだった。ホラー映画の特殊メイクのような、酷い火傷……) 

キング「……だから嫌だったんだ」

白鳥輝穂「え?」

キング「俺のこの顔の火傷を見ると……皆がその目を向けるんだ!」

キング「これだけ焼きただれた肌だ!到底生きた人間の顔じゃない……気持ち悪い最低の代物なんだよ!」

キング「だから皆は馬鹿にするんだ!俺をいじめるんだ!」

キング「それに、いじめをしない奴だって、俺をかわいそうな奴として……腫者扱いだ!」

キング「まるで人生の負け組かのように……見下して!上から目線で!失敗作にも優しくできる私と優越感に溺れてやがる!」

キング「皆、皆……軽蔑や憐みの目をして、上から物を言うんだ!俺を見下すんだ!顔の火傷、ただ一つのせいで!」

左雨瑞樹「キング……」
617:🎏 :2013/11/15(金) 02:12:17 ID:8ipuOv.UbM
キング「……まだ幼いころ、家が火事になってな。すげえ派手に燃えてたよ」

キング「俺はパニックになったな。家から出なくちゃ!って、玄関目指して部屋を飛び出て火の海に突っ込んじまったんだよ。馬鹿だよな」

キング「髪や服に火が移った。髪の火を消したり、燃える服を脱ぐのに手間取って、俺はけっこうな火傷を負った」

キング「特に酷かったのが顔面だ。それは今これを見てる皆がよくわかってることだよな」

中後小百合「……」

キング「その目だ。俺がこの顔である限り、偽善者は憐み、愚者は馬鹿にし、どちらにせよ俺には地獄だった」

キング「でも仕方がないんだ。異常者は差別される運命にある。体に何か異常があれば差別されるしかないんだ」

キング「しかし、一つだけ差別されることなく、放っておいてもらえる方法があるんだぜ」

氷室エリカ「一つだけ?それって一体……?」

キング「異常を極めて突き抜けることだよ。些細な異常は馬鹿にされたり偽善の的にされたりする」

キング「だけどな、割り切ってやばい異常になってしまえば、連中は危機感を覚えて離れるようになるんだよ」

キング「だから俺は、火傷のせいで生えなくなった髪の毛の代わりに長髪のカツラを被って顔を隠し、気持ち悪い服を着て、いかれた言動を繰り返した」

キング「こうして俺は、俺を見下す連中から離れることに成功したんだ」

キング「……いや、違うな。こうして我は、悪しき眼力を纏いし邪悪なる組織より独立し、この身を善悪の檻より解き放ったのだ!」

左雨瑞樹「まさか……超高校級とまで言われるようになった中二病の始まりは、顔の火傷に触れる人々から遠ざかるためなのか?」

キング「左様!我が顔に刻まれた呪われし業火は、聖なる力を以て深く封印した!そうして我はこの地に誕生したのである!」
618:🎏 :2013/11/15(金) 02:14:48 ID:8ipuOv.UbM
キング「確かに我は、この長髪が偽りであることを隠した。しかしそれは犯人であることを隠したわけではない」

キング「真に隠したかったのは業火の悪行である!犯行に至るのであれば、我はこの顔を晒さなければならない!」

キング「そのような愚行に、この我が走るとでも!?この封印を解かれるのを我が恐れているのは、もはや周知の事実!この顔を我が晒すはずはない!」

左雨瑞樹「キング……そいつは違う。そいつは違うんだよ!」

左雨瑞樹「お前の証言の中に矛盾があるし、その矛盾から、お前が本当に素顔を晒すのを恐れているならあり得ない行動を取ってるとわかるんだ」

キング「……矛盾だと?それは何だ?」

左雨瑞樹「火傷の影響で髪が生えなくなったと言ってるが、そんなことはないはずだ」

左雨瑞樹「少なくとも、学園にやって来た時、お前の長髪は地毛だったはずだ。今お前がカツラなら、学園生活の中で髪の毛を切ったことになる」

キング「何を根拠にそのようなことを申す?そんなもの、そなたの脳内だけに巣食う幻影に過ぎない!」

左雨瑞樹「……お前は過去に、虎美に髪を引っ張られたことがある>>126

キング「っ!!」

左雨瑞樹「幼少の頃の火傷の影響で髪が生えなくなったのなら、この時点でカツラじゃなきゃおかしい。だが髪の毛は取れなかった。確かに地毛だった!」

氷室エリカ「確かに!私、あの時は無口だったけど……一応ちゃんと見てたよ!キングくん、髪の毛を引っ張られて痛そうだった!」

中後小百合「思い出した……私も当事者だったな。確かに場明日は強く引っ張ったが、髪の毛は取れなかった。カツラだとしたら説明がつかないな」

左雨瑞樹「何故最初からカツラだったと嘘をついたのか!?どうしてばれたくない火傷の秘密を守る髪の毛を自ら学園内で切ったのか!?」

左雨瑞樹「それは、愛梨殺害の際に笑に罪を被せるためだ!それ以外で、トラウマを晒すような行動に説明はつかない!」
619:🎏 :2013/11/15(金) 02:19:09 ID:8ipuOv.UbM
キング「……違う!違うっ!!俺は、えっと……そう!この秘密を仲間であるお前らに打ち明けようとしたんだ!」

黒魔帝兎「秘密を打ち明ける?」

キング「俺達はモノクマの悪事に巻き込まれて、しかしそれでも抗おうとする大切な仲間じゃないか!」

キング「俺は……もしかしたら、お前らならこの顔の火傷で差別せずに仲間のままでいてくれるんじゃないかと希望を抱いたんだ!」

キング「そう思って、購買部からバリカンを買って髪の毛をバッサリ切ったけど……髪の毛で隠すことのできない顔を鏡で見て、怖くなった!」

キング「勇気が足りなかった。皆を信じきることができなかった。俺は購買部にカツラがあることを知って、それを購入して火傷をまた隠してしまったんだ……」

氷室エリカ「確かにカツラもあるね>>93モノクマに勧められたから覚えてるよ……」

キング「俺にとって、この顔の火傷は消し去ることのできないトラウマなんだ!そんなのを晒してまで犯行に利用なんかしない!できない!!」

左雨瑞樹(……キングは長髪を切り、しかもその事実をカツラを被ってまで隠していた)

左雨瑞樹(その理由は、短髪の笑になり済まして罪を着せ、自分は長髪だから犯人ではないと無罪を主張するためだろう)

左雨瑞樹(だけど、火傷の存在が明らかになって、それが理由として成り立ってしまった)

左雨瑞樹(こうなると、こっちが「キングが髪を切ってそれを隠したのは、犯行に利用するためで、火傷を隠すためじゃない」と証明しなくてはならない)

左雨瑞樹(そんな証拠があるわけない……あるわけないじゃないか!)

中後小百合「……左雨、少し弱いな」

左雨瑞樹「……は?」

中後小百合「仮に火傷の事実がなくて、髪を切っていたのをカツラで隠してた理由が見つからなくても、殺害した証拠にはなり得ない」

中後小百合「怪しくなるのは確かだが、明確な犯行の証拠にはなり得ないんだ、左雨」

左雨瑞樹「ぐっ……!」
620:🎏 :2013/11/15(金) 02:22:49 ID:8ipuOv.UbM
左雨瑞樹(キングは殺人事件が起こる前、異常が発生したその時に、珍しく皆に指示を出し、リーダーシップを発揮した)

左雨瑞樹(その結果、笑や健太が怪しい状況を作りつつ、それでいて自らの犯行も可能だという状況が生まれた)

左雨瑞樹(そしてその場合、笑になり済まして健太に目撃されるために短髪になる必要があるが)

左雨瑞樹(キングはそれも可能だった。しかもその事実を隠そうとしていた)

左雨瑞樹(犯行が可能になるよう状況をコントロールし、罪を着せるよう嘘までついている)

左雨瑞樹(それらを考えるとキングが犯人のはずなんだ!でも……)

左雨瑞樹(キングが愛梨を殺した、直接的で決定的な証拠がない!)

左雨瑞樹(それに可能性だけに限れば、他にも犯人になり得る人物が多い!更には火傷の過去が皆の良心に訴えかける要素となってしまった!)

白鳥輝穂「ほ、本当にキングさんが犯人なんでしょうか?」

白鳥輝穂「トラウマを抱えて苦しんできたキングさんに、本当にこんな犯行が可能なんでしょうか?私にはわかりません……」

左雨瑞樹(犯人になり得る可能性がある奴が他にも多数いるから、こうして迷いも生まれる)

左雨瑞樹(まずい!このままじゃクロを断定できずに裁判が終わる……俺達がモノクマに殺される!)

左雨瑞樹(何か……何かないか!?証拠でも言動でも何でもいい!犯人が特定される決定打!)

左雨瑞樹(思い出せ……!閃け……!!きっとどこかに答えがあるはずだ!)

左雨瑞樹「……あああっ!!」

氷室エリカ「え?どうしたの、瑞樹くん」

左雨瑞樹「……わかったんだ。やっぱりこの事件の犯人は、キング。お前だったんだ!」
621:🎏 :2013/11/15(金) 02:24:02 ID:8ipuOv.UbM
キング「俺が犯人だと!?聞いてなかったのかよ!?俺はこの火傷の痕を晒せないんだ!犯人にはなり得ないんだよ!」

キング「どうして仲間を信じてくれないんだ……悲しいけど、やっぱり打ち明けなかったのは正解だったかもしれない……」

左雨瑞樹「……俺も残念だよ。お前が、こんなことをするなんて……仲間を、お前を、信じていたかった……」

キング「主張を変えるつもりはないみたいだな……何でだ?何で俺が犯人になるんだよ?」

左雨瑞樹「……それを説明するためにも、事件を最初から振り返ってみようと思う」

左雨瑞樹「キングが犯人だから笑の証言も健太の証言も事実として話す。皆もそのつもりで聞いてくれ」

中後小百合「心得た。それじゃ、お前が描く今回の事件とやらを説明してくれまいか?」

キング「証明されるわけがない。だって俺は、犯人じゃないんだからな……」

左雨瑞樹「……話すぞ。今回の事件の全てを」
622:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/15(金) 03:30:40 ID:ggBlZw6lks
>>601
おっと!
それ以上はNGだぜ?
623:🎏 削除:あぼーん
削除されますた
624:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/16(土) 21:31:45 ID:6KdyPMHBok
支援無双・虚空
625:🎏 :2013/11/17(日) 00:08:53 ID:8ipuOv.UbM
左雨瑞樹「殺害を決意したキングは決行日の前日に超高校級のメイドである愛梨を雇った」

左雨瑞樹「愛梨を雇うのにはモノクマメダルが100枚いるが」

左雨瑞樹「キングの発言から察するに、その枚数は優に超えていたと思われる>>131>>511

左雨瑞樹「つまりキングは愛梨を何ら問題なく雇えたわけだ」

左雨瑞樹「以前雇った経験のある健太の話によると、愛梨は甘党で自分用の甘いカフェオレが入ったペットボトルを持ち歩いているそうだ>>498

左雨瑞樹「更にキングは、以前から睡眠薬を買っている>>506これを利用して、雇っている間に愛梨を無理やり寝かせたんだ」

左雨瑞樹「カフェオレに睡眠薬を入れときゃ確実だろうし、それが厳しくても一日雇ってんだ。愛梨の飲食物に睡眠薬を入れる隙くらいあるだろう」

左雨瑞樹「こうして愛梨を寝かせて、その間にガムテープを使って両手両足を縛る。目隠しもして、喋らせないよう口にも貼った」

左雨瑞樹「これで殺害まで自室にでも置いてたんだろう。次は笑へ罪をかぶせる準備だ」

左雨瑞樹「その日の夜時間、キングは購買部でモノクマから時限爆弾を購入した。設置場所と爆破時間を指定し、モノクマにセットしてもらった」

左雨瑞樹「この時に、笑の部屋のドアにも設置してもらい、殺害後に爆発して解放されるように設定した」

左雨瑞樹「その間、キングは視聴覚室に仕舞っておいた手榴弾を用いて、校舎を爆破して回った」

左雨瑞樹「夜時間に笑が手榴弾で愛梨を襲撃したが失敗、学校エリアに逃げられ、そのまま朝まで爆撃していた……こういう状況に見せかけるためだ」

左雨瑞樹「あと、笑になり済ます必要があるから、髪を切らなくてはならない。笑くらいの髪だけ残してあとはバッサリいって、散髪した事実を隠すためカツラを購入した」

左雨瑞樹「更に笑の服を用意しなくちゃならない。それも購買部で買ったんだろうな。キングはモノクマメダルを大量に持ってるから可能のはずだ」

左雨瑞樹「こうして下準備は終了。愛梨殺害を決行する朝を迎えるわけだ」
626:🎏 :2013/11/17(日) 00:11:07 ID:8ipuOv.UbM
左雨瑞樹「皆が食堂に集まってくる七時半頃、校舎側の時限爆弾が爆発するわけだ」

左雨瑞樹「七時半頃なら全員が集まってるのは、俺達なら周知の事実だ。閉じ込められてる笑、拘束されてる愛梨は来れないわけだが」

左雨瑞樹「更に走ったりする移動だと健太が渋ってその場に残るのもわかってた。これを利用し、後に笑として犯行を目撃させるんだ」

左雨瑞樹「一方、学校に移った俺達は時限爆弾があちこちで爆発する中、笑と愛梨を探すが見つからない。まあいないんだから当たり前だけどな」

左雨瑞樹「なかなか見つからない状況の中、キングはそれぞれ個人で探そうと提案する」

左雨瑞樹「見つからない二人を効率よく探すという名目だが、実際は個人行動で誰にもばれずに寄宿舎に戻るための提案だ」

左雨瑞樹「こうして各自で調べることになると、キングは視聴覚室で手榴弾を二つ持ちだしてから寄宿舎に戻った」
627:🎏 :2013/11/17(日) 00:13:01 ID:8ipuOv.UbM
左雨瑞樹「自室に戻り、拘束していた愛梨を部屋から出して廊下に寝かせ、自分は笑の服に着替えた」

左雨瑞樹「元々の自分の服は、もう一方の廊下にでも用意してたんだろうな。地図で言うと>>346Uターンして戻ってくる、個室のない左側の通路だ」

左雨瑞樹「殺害を健太に目撃させるんだからな。そこから自分の部屋に戻るわけにはいかない。だからそんなとこで着替える必要があったんだ」

左雨瑞樹「とにかく、着替えたキングは食堂の入口付近を手榴弾で爆破した。その後、中に入って健太に目撃された」

左雨瑞樹「これで目の悪い健太は、食堂を爆破したのは笑だと思いこむ。元々、笑か愛梨が手榴弾を使ってると思われてたわけだしな」

左雨瑞樹「その後、キングはすぐに逃亡。さすがに健太もすぐそこで何かが起こってるから移動が嫌とか言ってられない。飯を即座に食べ終えて、後を追ったんだ」

左雨瑞樹「健太が見に来たのを確認して、キングは、拘束されて廊下で横たわる愛梨に向かって手榴弾を投げた。確実に殺すため、頭部付近に向けて」

左雨瑞樹「殺害後、愛梨を拘束していたガムテープを外し、拘束されていた痕跡を消した。笑に襲われて校舎を逃げてたって設定だしな」

左雨瑞樹「そして笑の部屋の方へ移動。健太はこれを、笑が自室に戻ったと判断したみたいだけど、実際は単に着替えに行っただけだ」

左雨瑞樹「まず服を脱ぎ、笑の部屋を通り過ぎるついでに、服を時限爆弾に被せておく。これが爆発することで、笑の服を用意した証拠の隠滅となる」

左雨瑞樹「笑の部屋の前にあった服の形をした燃えカスは、こうして出来た物と思われる>>580

左雨瑞樹「とにかく、通り過ぎた後は、Uターン構造の廊下で広場の方へ向かう。その道中で、用意していた自分の服を着たんだ」

左雨瑞樹「同じ頃、健太が大声で皆を呼んだ。それがなくても、寄宿舎側で三回も爆発があったんだから皆が駆けつけても不思議ではない」

左雨瑞樹「だから、異常を察して校舎から駆け付けた風を装えば、キングが広場にいても何も怪しまれない」

左雨瑞樹「実際、あの時はキングだけがいたけど>>559俺はキングが第一に駆け付けたんだと思ったが、本当は殺害して戻ってきただけだったんだ」

左雨瑞樹「こうしてキングは愛梨を殺害し、その罪を笑になすりつけたんだ。これが事件の真相だ……」
628:🎏 :2013/11/17(日) 00:15:14 ID:8ipuOv.UbM
キング「……長々と語ったわけだが、今までしてきた妄想と何が違うんだ?」

キング「結局お前の作り話には、何ら証拠がない!可能性を挙げて、さも真実のように言っても、それは妄想に過ぎないんだよ!」

左雨瑞樹「……アリバイって奴は、ちゃんとした証拠になるんじゃないか?」

中後小百合「アリバイ?そりゃなるだろうねえ。事件発生の際にまず確認する物で、アリバイがちゃんとしてれば犯人じゃないと証明できる」

左雨瑞樹「そう。アリバイがあり、それに矛盾もなければ、それは決定的な証拠となる」

黒魔帝兎「しかし、夜桜が殺された時間にアリバイがある奴はいないだろう。だから犯人を絞り込めない事態になってるわけで」

左雨瑞樹「……いるじゃないか。事件発生時にばったり会ってて、アリバイが成立してる二人が」

氷室エリカ「え?……わかんないんだけど。それって誰なの、瑞樹くん」

左雨瑞樹「……健太と犯人」

白鳥輝穂「肉丸さんと……えっ!?犯人ですか!?」

左雨瑞樹「ああ。健太は食堂にやってきた犯人を目撃。その後食堂を出て犯人が愛梨を殺すところも見ている」

左雨瑞樹「後は犯人が……食堂を爆撃して健太に目撃された、その後食堂を出て愛梨を殺した、それも健太に目撃された、と証言すれば」

左雨瑞樹「お互いの行動を証明できてアリバイとして成立する。つまり事件発生時に犯人は愛梨を殺したというアリバイが成立する。それって絶対的な証拠だろ?」

黒魔帝兎「馬鹿かお前は!?それって自白じゃないか!犯人がそんなことするわけないだろ!自白しない限り、そんなふざけたアリバイなんて成立するか!」

左雨瑞樹「……ある意味、既に自白してるんだよ。だからキングが犯人として成り立つ」

キング「俺が……自白した!?」

左雨瑞樹「お前は確かに言ってるんだ。健太はオムハヤシを食べていた、と!>>574

キング「……は?」
629:🎏 :2013/11/17(日) 00:17:31 ID:8ipuOv.UbM
肉丸健太「……左雨くん。僕は確かにオムハヤシを食べたよー。それが何でキングくんが犯人と自白したことになるのー?」

左雨瑞樹「健太、お前は確かにオムハヤシを食べたんだな?」

肉丸健太「うんー。そうだけどー……それが何なのー?」

左雨瑞樹「事件当日の朝、まだ皆が食堂にいる時から健太はレトルトや冷凍食品を食べてた。でも、その中にオムハヤシなどなかったはずだ>>547

左雨瑞樹「その後、爆発が起こって皆はそれを調べに行く。残った健太は当然食堂で一人になる」

左雨瑞樹「健太の証言によれば、一人になってからまた新たに食品を加えた>>568それこそがオムハヤシだったんだろう」

左雨瑞樹「それを食べてる時に食堂が爆発。間もなく犯人が入ってきた。その時に犯人はオムハヤシを食べてる健太を目撃した」

左雨瑞樹「そして健太は、すぐに食堂を出た犯人を追うため、そのオムハヤシを完食してから後を追った>>569

キング「……っ!」

左雨瑞樹「ようやく自分の失言に気付いたか?つまり、健太が一人の時にオムハヤシを食べてたとわかるのは、食べ終える前にそれを見れた唯一の人物である犯人だけだ!」

左雨瑞樹「そしてキング!お前は犯人のみが知り得る情報を、自ら口にしたんだ!」

左雨瑞樹「これで、健太が本当に食堂に残って飯を食べてて犯人を目撃したというアリバイ、キングが犯人でその時に愛梨を殺害したというアリバイが成立する!」
630:🎏 :2013/11/17(日) 00:22:37 ID:8ipuOv.UbM
キング「ご、誤解だ!俺は肉丸から直接、オムハヤシを食べたと聞いたんだ!だからそれを言っただけだ!」

左雨瑞樹「事件発生の直後に、全員が健太と合流した>>559そのまま全員で行動していたその間>>560-574健太は一言もオムハヤシのことを言ってない」

左雨瑞樹「個人的に伝えるような真似もしてない。にも関わらず、キングはオムハヤシのことを言い当ててみせた」

左雨瑞樹「直接聞くような機会はなかったけど、お前はあの間のどのタイミングでそれを聞いたんだ?」

キング「うっ……いや違う。食べた後の皿を見たんだ。肉丸の証言を聞いてた時、証言の真偽を確かめようと相田が食堂を覗いてたな>>568

キング「実は発言してなかったけど、俺も見てたんだ。その時に、ハヤシソースのついた皿を見てな。だから勝手に思い込んで言ってしまったんだろうな」

左雨瑞樹「皆がまだ食堂にいた時、健太が食べてた物にカレーがある>>547キングもいたから見てるはずだ」

左雨瑞樹「それがあるから、ハヤシソースの付いた皿を見ればカレーの皿だと思うのが普通だ。仮にハヤシソースと気付けても、そこからオムハヤシと思うわけがない」

キング「うぅっ……あ、あれだ。て、適当にオムハヤシと言ったら、偶然合ってしまったというか……」

キング「っ!そ、そうだ!犯人は肉丸だ!適当なことを言った俺に話を合わせて、俺が犯人だと仕立て上げたんだ!オムハヤシなんか食ってたって証拠あんのかよ!?」

左雨瑞樹「……健太はレトルト食品で飯を作ったと言ってる>>568オムハヤシのレトルトなんかあるのかよって感じに思うけど」

左雨瑞樹「とにかく、レトルト食品のオムハヤシなら、箱とかパック等のゴミがあるはずだ」

左雨瑞樹「ゴミについては、今回も輝穂に調べてもらってる>>582輝穂、関連のゴミはあったか?」

白鳥輝穂「……はい。今日の分のゴミの中、肉丸さんが食べたレトルト食品や冷凍食品のゴミの中に、オムハヤシのレトルト食品のゴミもありました。珍しいなと思って見たのでよく覚えてます」
631:🎏 :2013/11/17(日) 00:25:28 ID:8ipuOv.UbM
キング「嘘だっ!この場で提示できないからって好き放題言いやがって!そんなゴミがあるわけねえ!あるわけねえだろ!」

白鳥輝穂「本当です!私、嘘なんかついていません!」

白鳥輝穂「裁判長!裁判の中断をお願いします!その間に、今日の分のゴミを持ってきて、嘘ではないと証明します!」

モノクマ「本当に白鳥さんだけだよ。真面目にボクを学園長とか裁判長とか言ってくれるのは」

モノクマ「そんな生徒の鑑である白鳥さんのために、学園長で裁判長なボクは期待に応えるとしましょう!」

モノクマ「というわけで、ボクが今日の分のゴミ袋を持ってきました。これがそれです」

氷室エリカ「早すぎじゃない!?」

モノクマ「果たしてオムハヤシのレトルトは出てくるのでしょうか!?……これはカレー、これはピラフ……」

キング「や、やめろぉ!今すぐそれを放棄しろ!やめろおおぉぉ!!」

モノクマ「うぷぷ、やめないよ!そんな絶望的な顔してくれるなら、ボク、喜んでやっちゃうよ!」

モノクマ「……おやおやぁ?左雨くん、これってオムハヤシのレトルトの箱だよね?パックだよね!?」

左雨瑞樹「……そうだな。これで、健太は本当にオムハヤシを食べてたことになるし、犯人だけがそれを知ってたことになる」

左雨瑞樹「そしてキング。お前はそれを知ってた。今回の事件、犯人は……キング。お前なんだよ」

キング「……オムハヤシを食ってた。そんなくだらないことで、俺の、俺の完璧な作戦が……」

キング「くそおおおおぉぉぉぉ!!」
632:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/17(日) 10:27:04 ID:aiCJgUMIMs
オムハヤシさんマジぱねぇッス!
633:🎏 :2013/11/19(火) 00:39:41 ID:8ipuOv.UbM
中後小百合「……終わったな」

モノクマ「そうみたいですね。気持ち悪い火傷顔が、絶望でキモさ倍増です。吐きそうになっちゃうね!」

モノクマ「これをこのまま放置するのは、それはそれで絶望ですけど、次のステップへと移りましょう!」

モノクマ「そういうわけで、お待ちかねの投票タイムでーす!」

モノクマ「お手元のスイッチでクロだと思う人に投票してください!何かもう確定的ですけどね。うぷぷぷ!」

モノクマ「一応言っとくけど、必ず誰かに投票するようお願いします。白票があった日には、ボク怒っちゃうからね!」

モノクマ「……もう済んだよね?スイッチ押すだけのゆとり仕様だし。それじゃ間髪いれずに結果発表です!」

モノクマ「投票結果は全員一致でキングくんとなりましたが……」

モノクマ「大正解です!夜桜さんを殺したのはキングくんでしたー!」

モノクマ「些細な証言も見逃さない、左雨くんの見事な推理でした。おかげでキングくんはおしおきです。よかったね!」

キング「俺が……おしおき。俺が……死刑。俺が……死刑……!」

左雨瑞樹「キング……」
634:🎏 :2013/11/19(火) 00:41:04 ID:8ipuOv.UbM
思えば最初からおかしい奴だった。
超高校級の中二病などという意味のわからない才能で希望ヶ峰学園へとやってきて、その才能通り、特異な行動を繰り返していた。
でも、決して悪い奴ではなかったと思う。おかしかったのは言動だけで、中身は割と普通な男子高校生だと俺は思っていた。
でもキングは、今回事件を起こしてしまった。殺し合いは何より駄目な最悪の選択肢だから、それだけは避けようと決めた直後に。
モノクマの悪意に負けて、尊い仲間を殺した。そして、それを俺達が暴いた。シロとして生き残るために。
今回も。仮にこれから先にまた起こっても。どれだけ体験しようとも、変わりない底なしの空しさが俺を襲う。
何ら好転することもない、絶望にまみれた悲しい結末。キングはこれから、モノクマに殺される。愛梨を殺したクロとして。
悔しい。悲しい。何度体験しても、やはりやりきれない。この結末しかなかったんだろうか、と辿り着けなかった未来に思いを馳せる。

「キング……どうして愛梨を殺してしまったんだ?」

殺し合いをしないための妥協策、その初日にキングは間違いを犯した。
仲間を殺すのに良いタイミングなんてあるわけないが、それでもこのタイミングであえて行ったその真意を問いたかった。
635:🎏 :2013/11/19(火) 00:43:10 ID:8ipuOv.UbM
キング「俺だって……俺だって殺したくなんかなかった!人を、人を殺すなんて、そんな……!」

白鳥輝穂「それでは、何故このようなことをしてしまったのでしょう?」

キング「……そもそも、この学園に入ろうと思ったのは、成功して金を得たかったからだ」

中岡笑「成功?金?それが何で殺しの理由になるんですか?」

キング「裁判でお前らが明かしたこの顔の火傷……これのせいで俺の人生は狂った」

黒魔帝兎「キング……」

キング「気持ち悪いからと馬鹿にして!優しくする奴もどこかで見下してる!どうしようもない気持ち悪い顔で、人生の敗北者だと!」

キング「人に恵んでもらわないと生きていけない哀れな下等生物だと!だから優しくして保護してやらなきゃいけないと!!」

キング「そんな他人が嫌だから、俺は他人を拒絶して生きたかったんだ!誰とも接することなく、永遠に一人で!」

キング「そんな時、希望ヶ峰学園からの便りがきた。入学し卒業したらそれだけで成功とされ、人生の勝ち組になれる、夢のような学園だ」

キング「三年間我慢して成功を掴み、それを利用して一生を生き抜く大金を短期間で稼げば……残りの人生、他人を拒絶して生きていけるはずだった」

キング「ところがどうだ!?いざ入ってみたら、こんなわけのわからん事件に巻き込まれて!」

キング「一生を他人と生きていけだと!?一生こんなキャラを作って、自身を守り続けろっていうのか!?」

キング「出たかったんだよ、俺は!何をしても、殺してでも!一人になりたかったんだ!」

キング「そうだ!氷室エリカ!お前のせいなんだよ!」

氷室エリカ「……私のせい?」
636:🎏 :2013/11/19(火) 00:45:10 ID:8ipuOv.UbM
キング「今までずっと自力で脱出しようって話だったのに!」

キング「お前が諦めて一生ここで生きよう、なんて言うから!」

キング「他人と一生関わり合って生きていくはめになったんだ!」

キング「何より避けなきゃいけない最悪は殺し合うこと!?違うっ!!他人と関わる一生だ!俺にはそうだったんだ!」

キング「超高校級の孤独だとかいう恵まれた才能のくせして!仲間等とふざけて、俺から孤独を奪おうとした!」

キング「だから殺したんだ!このふざけた共同生活を抜ける最終手段に俺は走ったんだよ!」

キング「お前のせいだ!お前が俺から孤独を奪おうとした!だからいけないんだ!」

氷室エリカ「そんな……孤独って……孤独って辛いことだよ!?」

氷室エリカ「人と関わることで辛いこともあるかもしれないけど、関わりがないことはそれ以上に辛いことだよ!」

氷室エリカ「……そんな悲しい未来のために、キングくんは夜桜さんの命を奪ったの?」

氷室エリカ「仲間の命を奪ってまで、獲得するに相応しい未来だったの?私にはわからないよ……」

氷室エリカ「私達は、キングくんが過去に出会った人達とは違う人だよ。もしかしたら、本当に仲間になれるかもしれないのに……」

氷室エリカ「私達は、とっくの昔に仲間だと思ってたのに。キングくんは違ったんだね……悲しい。すごく悲しいよ……」

キング「……お前は、人の悪意を知らないからそんなことが言えるんだ。孤独の何が駄目なんだ?悪意ある人間から離れられる、素晴らしいことじゃないか!」

氷室エリカ「キングくんは、孤独の苦しみを知らないからそう言えるんだよ。信用できる仲間が、大切な人がいるだけで、心は大きく救われるんだよ!」
637:🎏 :2013/11/19(火) 00:47:47 ID:8ipuOv.UbM
モノクマ「はいはい、ぼっちリア充論争はそろそろ終わりにしてください。本題はそこじゃないんですよ!」

モノクマ「オマエラがどんだけ自分の正当性を主張したところで、キングくんはクロでおしおき。それは変わらないし、それが大切なのです!」

キング「ふ、ふざけるな!俺は死にたくない!誰からも関与されずに生きてたかっただけなんだ!」

キング「こんなはずじゃなかった!殺すのも、事件に巻き込まれるのも、家の火事で顔がこんなのになったのも!」

キング「全部自分のせいではない!なのに何で……俺だけがこんな目に合うんだ……」

モノクマ「うぷぷ。キングくん、ふざけるのはキャラとその顔だけにしようね!」

モノクマ「そのきもい顔になったのも、火事でテンパったキングくんの暴走の副産物でしょ?自業自得じゃん!」

モノクマ「ボクが与えたこの素晴らしい学園生活を嫌だと思うのはオマエの都合じゃん。殺したくないなら我慢しろよな!これだからゆとりは!」

モノクマ「ここで生活するか、殺して出るか、その二つから殺しを選んだのはオマエだよ。それがうまくいかなかったら、本当はやりたくなかった?死にたくない?」

モノクマ「その顔以上にふざけたらボクも怒っちゃうよ!惨めな主張、惨めな人間、惨めな顔を拝まされるボク達の身にもなれよ!」

モノクマ「とにもかくにもおしおきです。キングくんへのおしおきを開始しましょうか!」

キング「嫌だ……死にたくない!左雨!氷室!仲間なんだろ!?じゃあ助けてくれよ!」

左雨瑞樹「……」

モノクマ「抜群のスルースキルだね!無視されたところで、決行致しましょう。そーれ、おっしおき!おっしおき!!」

キング「うわああぁぁ!!嫌だああぁぁ!!死にたくないいぃぃ!!」
638:🎏 :2013/11/19(火) 00:51:59 ID:8ipuOv.UbM
絶望から泣き叫ぶキングを無視して、モノクマはいつものようにスイッチを木槌で叩いた。
残虐な死刑を執行するスイッチである。
スイッチが押しこまれた瞬間、キングが立ってる床に突然穴が開いて、深い闇の中に呑まれていった。
そしていつものように裁判場にモニターが出現する。そこにキングとモノクマが映った。
黒色の奇抜な衣装、顔に負った酷い火傷、そんな出で立ちのキングとは不釣り合いな、平凡な男子の部屋といった個室に閉じ込められていた。
普通の部屋なのだが、キングの様子がおかしい。酷く錯乱しているように見える。
そしてその様子を見てモノクマが笑っている。こいつは俺達を絶望させるためにいろんなことをするけど、もしかしてもう何かをキングにやっているのか?
そう考えて、俺は一つとんでもない想像をしてしまった。キングを酷く傷つけた悪夢の一日、火事が起こった日を、その時の家を、再現しているんじゃないのか?
だとしたら、過去のトラウマに突然放り出されたこととなり、キングの錯乱にも説明がつくように思う。
何故モノクマがそれを知ってて再現できたのか、という疑問はつきまとうけど。それは今はいいことにしよう。
それよりも、もしもあの日の再現をしているんだとすると……。
639:🎏 :2013/11/19(火) 00:54:07 ID:8ipuOv.UbM
キングが閉じ込められている部屋。それが突然炎に包まれた。いつの間にやらモノクマは消えている。
ドアから出ようとしても開かない。ドアノブをどれだけ捻っても、何度体当たりでぶつかっても、ドアは開くことをしなかった。
窓も同じだった。鍵が何故か開かない。椅子などをなげつけて割ろうにも、防弾ガラスなのか、びくともしない。
あの日とは違って脱出もできないまま、部屋は瞬く間に火の海と化した。
そしてその中にいるキングも一緒だ。その全身に間もなく炎が襲いかかった。
服が、肌が、燃える。キングは必死にもがいている。人が、生きながら燃やされている。
人の形をした炎は、しばらくは激しく動き回っていたが、それもすぐに終わり、動くことをしなくなった。
そして業火は何もかもを燃やしつくした。そこには何も残らなかった。何もかもを燃やしつくして、黒く染まった。
どこにキングの遺体があるかもわからない。部屋は全てが黒となり、何もかもを同化させた。
カメラワークが移って部屋の外が映ると、そこにはマッチ棒を持ったモノクマの姿があった。
マッチ棒を捨て、代わりに拍子木を手にすると、それをカンカンと鳴らしながら、モノクマはその場を去っていくのだった。
640:🎏 :2013/11/19(火) 01:01:35 ID:8ipuOv.UbM
モノクマ「火の用心!マッチ一本火事の元!ってね!」

モノクマ「今回のおしおきは、キングくんの過去を再現してみるという面白い試みでしたが、如何でしょう?」

白鳥輝穂「酷い……酷すぎます……」

モノクマ「酷い!?何だよ、その言い草は!こんなに優しいおしおきなんてないですよ!」

モノクマ「あの気持ち悪い顔ですからね。本人も気にしてました。だからボクはその問題を解決してあげようと思ったんです!」

モノクマ「全身が顔と同じように気持ち悪くなったら、いちいち顔を気にする必要もなくなるでしょう?ボクは本当に優しいね!」

モノクマ「まあ、結果的には愛のメモリー歌いそうな感じになってしまいましたけど。火は扱いが難しいね。オマエラも気を付けてね!」

左雨瑞樹「ふざけるなよ……」

モノクマ「ふざける?今回の事件でふざけてたのはキングくんだけでしょ?」

左雨瑞樹「キングが間違いを犯してしまったのも、その間違いを強制したお前のせいだけどな。お前が一番ふざけてるんだよ!」

モノクマ「何なの?カンペでも出てる?何で毎回左雨くんは裁判終わりにボクに突っ掛かるかなあ?」

モノクマ「キングくんが死んだのがそんなに不満?じゃああの時助けてあげればよかったじゃん」

モノクマ「キングくん、言ってたよ。死にたくなーい仲間なら助けてーって。それをスルーしたのは左雨くんじゃん!」

左雨瑞樹「……あいつがお前の悪意に乗ってしまった以上、俺にはあいつを助けることはできなかった」

モノクマ「それも自業自得だよ!助けられたらそれでよかったんじゃん。自分の非力を他人に嘆くなよ!」

モノクマ「学園のルールを破ったら、自分がおしおきされちゃうよね。だからキングくんを見捨てたんでしょ?悪いのは左雨くんだよ!」

モノクマ「ボクは学園長で偉いのです。オマエラは生徒で偉くないのです。だからボクは悪くないし、悪いのはキングくんや左雨くんだよ!」
641:🎏 :2013/11/19(火) 01:03:59 ID:8ipuOv.UbM
中後小百合「やめとけ、左雨。こいつと話したところで精神が汚れるだけだ」

モノクマ「ゆとりお得意のパターンですね。話が通じなかったら相手がおかしいと決めつける。それで勝ち誇るんだから哀れですよね!」

モノクマ「話にならない、俺が正しいと全然理解しない。だから俺は話をやめる。ただ、この話し合いは俺の勝ちな……本当笑える負け惜しみですよね!うぷぷ!」

黒魔帝兎「本当に話にならんな……裁判の度に不快になる」

氷室エリカ「でも、裁判はこれで最後にしよう。やっぱり……仲間同士で殺し合うのなんか間違ってる」

氷室エリカ「私達は深い悲しみに沈んで、モノクマだけが喜ぶ結末だもん。何にもならない、ただ空しいだけだよ……」

左雨瑞樹「……そうだな。何度裁判を生き抜いても……何の達成感もない。ただひたすらに俺達が仲間を失うだけだ」

左雨瑞樹「ここはいろいろ狂ってて、いろんなことに対して、これでいいのかって不安になるけど……やっぱり一番避けなきゃいけないのは、殺し合うことだな……」

左雨瑞樹「裁判を三度体験して、改めて思った。俺達は、殺し合ってはいけない」

左雨瑞樹「モノクマの嫌がらせで心を折られることなく、殺し合いをしないことで抗わないといけないんだ!」

モノクマ「ふーん……まあどうでもいいけどね。どうせオマエラは殺し合うんだから」

モノクマ「一生をかけてボクに抵抗する?ゆとりがそんな根性あるわけないじゃん!」

モノクマ「今回だって、仲良くすると決めた直後のコロシアイだよ!オマエラに出来るわけないじゃん!」

モノクマ「というわけで、ボクは次の裁判を楽しみにしてるからね!口だけの断固たる決意が、決壊するその時を待つことにするよ!」

左雨瑞樹「言ってろ……俺達はもう殺し合いなんてしない」
642:🎏 :2013/11/19(火) 01:05:21 ID:8ipuOv.UbM
中岡笑「……そろそろ戻りません?ここにいたって空しくなるだけですよ」

白鳥輝穂「キングさんもいなくなってしまいました……とても、とても残念です……」

左雨瑞樹「……せめて、本名をキングの口から教えてほしかったよな」

モノクマ「おっ。それいいかもしれませんね。次に殺したクロには、褒美としてキングくんの本名を教えるとか!」

モノクマ「オマエラは消極性が服着て歩いてるような奴だからね。ボクが後押ししてあげないとまともにコロシアイしないからね」

モノクマ「というわけですので、次のクロには、大切な仲間であるキングくんの本名を教えてあげましょう!」

モノクマ「もちろん、こんなくだらない特典だけじゃなく、今後ともオマエラが殺したくなるように全力でサポートしますので、よろしく!」

氷室エリカ「キングくんのことは残念だったけど……私達はもう殺し合いなんてしないよ」

モノクマ「それはわかったってば!でもボクがサポートするのは勝手でしょ?殺さないなら無視してればいいだけなんだし!」

モノクマ「ボクが変わらずアシストしてたら、オマエラも途中で心変わりして、コロシアイしてくれるかもしれないしね!」

中後小百合「お前の嫌がらせなんぞ耐えてみせるさ。最悪を避けるためにもな」

中後小百合「……行こうか。この裁判場を見るのは今日で最後にしよう」

左雨瑞樹「ああ。もうこんなところにお世話になるわけにはいかねえ。今日で見納めとしよう」
643:🎏 :2013/11/19(火) 01:07:11 ID:8ipuOv.UbM
もう殺し合いをしない。だから一生を仲間と共にここで過ごそう。
既にエリカがそう提案していたわけだが、他人との永遠の共同生活を嫌ったキングが凶行に走ってしまった。
その結果、この環境下で殺し合いをする空しさを俺達は改めて思い知ったのである。
モノクマに閉じ込められて監視されながら一生を過ごす。そんなのは正しくないかもしれない。
でも、人として間違わないために、俺達はあえてそれを選ぼうとしている。
だけど俺達には仲間がいる。悲劇を三度も体験して来た俺達ならば、もう間違えることもないはずだ。
ある意味、ようやく地盤が固まったと言えるのではないか。ここまで来た俺達の絆なら、きっとモノクマに抗える。
仲間のいるこの学園に意味を見出し、有意義な物へと昇華させ、モノクマが望む殺し合いを回避できる。
俺達はきっと、殺し合いに走ることなく、ここでずっと生きていける。仲間がいるから。
644:🎏 :2013/11/19(火) 01:08:28 ID:8ipuOv.UbM
……そう思いこむ傍らで、不安が脳内のどこかで密かに根付いていることに、俺は確かに気づいてはいた。
外の未練をそう簡単に切り離せるか?ここが有意義になったとしても、外の大切な物が大切でなくなるわけでもないのに。
ここの皆がどれだけ大切な存在になろうとも、外の未練が……俺の場合は家族の安否だ。その不安が拭われるわけでもない。
殺しが停滞した時、モノクマはきっとそれらをまた傷つけるだろう。
その時、それとここを天秤にかけて、本当にここを優先することができるんだろうか?
キングのように、間違えてしまうんじゃないだろうか。間違えてるのを理解したうえでそれを選んでしまうんじゃないだろうか。
そんな不安が確かに存在してたが、打開する策もない以上、俺には大丈夫だと思いこむことしかできなかった。
俺達は仲間だから大丈夫。おれたちはなかまだからだいじょうぶ。オレタチハナカマダカラダイジョウブ。
呪文のように頭の中で繰り返しながら、俺はエレベーターに乗って裁判場を去るのだった。

学園生活は、これからも続いていく。

チャプター3
「ボクタチハナカヨシ」
おしまい

生き残りメンバー:8人
645:🎏 :2013/11/19(火) 01:11:41 ID:8ipuOv.UbM
〜モノクマ劇場・特別編〜

どうでもいいですよ。
某ドッキリ番組を見ていて、キング中岡という単語を耳にして「俺のSSこれと被ってんじゃんww」という、感想。
どうでもいいですよ。
「肉丸って打とうとして、肉アナルって打ち間違えてたことがあるんだー」という、失敗談。
どうでもいいですよ。
「書き溜めのためにしばらく更新を休むよー」という、報告。

というわけですので、またまた更新を休みたいと思います。
最近はパソコンの不調を理由に、普通に更新しない日も多いのに、こういうのは別と考えて休みを取りたいみたいです。
でもね、このモノクマ劇場を書いてる時点では、本気で話が思いついてなくて、真剣にまとまるかどうか怪しいんだよね。
アニメの方は終わったって言うのに、こっちは見切り発車でずるずる引き摺って、とっても絶望的だよね!うぷぷぷ!

さて、今回も待ってる間のために、死んだ生徒の通信簿を公開しようと思いますけど。
今回の裁判、身長が話題に上がった時ありましたよね。でもあれ、今までに出てきてない情報で、あの時初めて出た情報なんだよね。
本番でいきなり新情報出すとか、最悪だよね!まあでも終わったことをくよくよしても仕方ないよ!
何が言いたいかと言いますと、今回は通信簿の他に各生徒の身長・体重をまとめて公開してみようかなって思ってます。
これだけサービスするんだから、これを機に逃亡して放置しても、ボクは悪くないよね!うぷぷぷ!
そういうことですので。ではではオマエラ、またいつか会える日がくるといいですね!じゃあねー!
646:🎏 通信簿:2013/11/19(火) 01:13:07 ID:8ipuOv.UbM
名前:夜桜愛梨
身長:160cm
体重:46kg
特記:超高校級のメイド
獲得情報:1
何より大切なのはお金。お金がなければ何もかもうまくいかないと言う。
家事能力に加え、自分の容姿も美しいのでメイドとして荒稼ぎできるそうだ。
獲得情報:2
自分の容姿に相当の自信があるらしい。
自分という存在そのものが金を生む素晴らしい財源だと言い切っている。
獲得情報:3
両親がお人好しで、騙されて借金を負った過去があり、それで自分とお金だけを信じるようになったらしい。
だからこそ、左雨のように無償で人のために行動するのがわからないそうだ。
獲得情報:4
この学園生活で少しだけ考えが変わったらしい。今なら両親が他人を信じたのもわかる気がするとのこと。
自分や金以外を信じてみるのも悪くない。左雨達と関わって、そう思えるようになった。
647:🎏 通信簿:2013/11/19(火) 01:14:44 ID:8ipuOv.UbM
名前:キング
本名:鈴山太一
身長:181cm
体重:70kg
特記:超高校級の中二病
獲得情報:1
無駄に長い黒髪で顔は隠れ、服装も全身黒でまさに黒色しかない状態である。
本人が言うには、黒に染まることで邪悪なるものをはね返せると囁かれたからそうしているそうだ。
獲得情報:2
本名は頑なに教えてくれない。全てを司りし王だからキングと呼ぶのが正しいとのこと。
正直に言うと、他にもいろいろ呼び名があったらしいが、今はこれで落ち着いてるらしい。
獲得情報:3
謎の組織に追われているらしい。それも一つでなく複数の組織。
話を聞いてみると情報がごっちゃになって矛盾があったりする。キング本人も把握しきれてないようだ。
獲得情報:4
どうやら何かトラウマを持っているようだ。それが原因で人を拒絶する時があるらしい。
詳細は話してくれなかった。キングとしても深刻なトラウマのようで、簡単に誰かに相談する気にはなれないそうだ。
獲得情報:5
やはりトラウマの詳細を話すつもりはない。しかし、完全にその気がないわけではない。
もう少し皆を信じることが出来たら、秘密を話してみてもいいかもしれないとキングはそう言っていた。
648:🎏 身長・体重ランキング(モノクマ調べ):2013/11/19(火) 01:15:49 ID:8ipuOv.UbM
身長高い順ランキング

第一位:中岡笑:182cm
第二位:キング:181cm
第三位:黒魔帝兎:178cm
第四位:百目鬼良子:174cm
第四位:水留崇:174cm
第六位:肉丸健太:172cm
第七位:中村闘球:171cm
第八位:中後小百合:170cm
第九位:左雨瑞樹:167cm
第十位:本田川佑子:165cm
第十一位:氷室エリカ:163cm
第十二位:夜桜愛梨:160cm
第十三位:場明日虎美:157cm
第十四位:相田鳥子:154cm
第十五位:白鳥輝穂:151cm

体重重い順ランキング

第一位:肉丸健太:130kg
第二位:中村闘球:76kg
第三位:百目鬼良子:74kg
第四位:キング:70kg
第五位:黒魔帝兎:68kg
第六位:中岡笑:65kg
第七位:水留崇:62kg
第八位:左雨瑞樹:59kg
第九位:中後小百合:56kg
第九位:本田川佑子:56kg
第十一位:氷室エリカ:49kg
第十一位:場明日虎美:49kg
第十三位:相田鳥子:48kg
第十四位:夜桜愛梨:46kg
第十五位:白鳥輝穂:42kg
649:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/19(火) 09:07:02 ID:m841z4lomY
左雨意外とちっちゃいなww170はあると思ってたw
650:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/19(火) 09:29:31 ID:sEtiBLK86s
俺は中岡がかなりちっさいと思ってた
そして肉丸が一番でかいと思ってた
651:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/19(火) 11:58:25 ID:IeIurTzVgI
まだだ!まだ情報が足りないぞ!
そうだ!スリーサイズだ!
女子だけでもいい!スリーサイズを載せるんだ!さあ早く!
652:🎏 名無しさん@読者の声:2013/11/26(火) 13:59:39 ID:Yf/w3ut2ZI
ついに一位きたか…、
頑張って応援してるよ!
653:🎏 :2013/12/6(金) 00:51:24 ID:3E.xjLwiMI
チャプター4
「超高校級の貧乏くじと孤独」

身近な人間が次々死んでいく環境なんて、推理漫画の名探偵だけに襲い来る特別な物だと思っていた。
しかし、こうして現に、俺はそんな特別な環境下に置かれている。
この監禁的絶望学園生活が始まってから、もう七人も人が死んでしまった。

水留崇。
百目鬼良子。
本田川佑子。
場明日虎美。
中村闘球。
夜桜愛梨。
キング。

これだけの人間が、死んでいった。
会話もした。たくさん触れ合った。俺達は仲間だった。
でも、死んでしまった。モノクマに殺されたり、仲間同士で殺し合ったり。いろんな過程を歩みながら、結局は同じように死んでいった。
それもこれも、地獄みたいなこの学園に閉じ込められているからだ。出たいために、殺してしまう。殺してしまうために、モノクマの悪意が牙を剥く。
それによって、最初は十五人もいた俺達は、いっきに半分近く減ってしまい、今では八人だけになった。
654:🎏 :2013/12/6(金) 00:56:40 ID:3E.xjLwiMI
でも、もう俺達が悲しい死を迎えることもないはずだ。
何故なら、殺し合いを起こす動機の部分である外への未練、これを断ち切ってここで生きると決めたからだ。
……キングはそれが出来なくて、あんな事件を起こしてしまったけど。
でも、それで殺し合いの空しさを再認識出来た。この八人なら、殺し合いをすることもなく、共に生きていけるのではないかと思う。

……これが建て前だ。理屈だけでは確かにこれで大丈夫なんだが。
果たしてこの覚悟が本当に最後まで続くのかという不安もあるんだ。だってキングはそれが出来なかったからこそ、愛梨を殺してしまったんだろ?
俺は本当にここの生活を受け入れられるのか。俺が出来たとして、他の皆はどうだ?小百合は?兎は?……エリカは?
決して拭うことの出来ない不安が、ずっとずっと俺の中で渦巻いてる。だけど大丈夫だと自分に言い聞かせることしかできない。

こんな感じでいろいろ考えてるうちに、俺達は寄宿舎エリアに戻っていた。
朝から裁判が始まり、それが終わって今は昼だ。健太だけはオムハヤシやら何やらを食べてはいるが、他の皆は普通に朝食抜きだ。
そんなわけで、俺達は自然と飯を食う流れとなり、食堂へと直行したのだった。
655:🎏 :2013/12/6(金) 00:58:43 ID:3E.xjLwiMI
中後小百合「ふぅー……どんなことがあっても、人間は腹が減るように出来てるんだなあ」

黒魔帝兎「そうだな……あんなことがあっても、食べる気はなくても、腹は減る」

肉丸健太「食べることはいいことだよー。どんだけ気が滅入っても、食べることで体は元気になるんだからさー。だから食べよう!」

氷室エリカ「肉丸くん、朝もしっかり食べたのに、まだ食べる気なんだね……」

肉丸健太「あれでしっかり食べたー?冗談はやめてよー氷室さん」

中岡笑「自分ら的には、あなたの方がよっぽど冗談ですけどね……」

相田鳥子「話しはもういいんだ!食うのか!?食わねえのか!?馬鹿かー!?」

氷室エリカ「……食べよう。肉丸くんの食欲は置いといて、言ってることは正しいよ」

白鳥輝穂「それでは食事の準備をしてきますね」

氷室エリカ「いつも通り、私も手伝うよ!……えっと、夜桜さんはもういないんだよね……」

氷室エリカ「ねえねえ、他に料理手伝える人いない?だいたい三人でやってきたから、もう一人欲しいなー、なんて」

左雨瑞樹「生憎だが、エリカと輝穂を除いて、料理の心得がある奴なんざいねえよ。申し訳ないけど、二人で頑張ってほしい」

肉丸健太「僕は食べる専門だからね!」

中岡笑「何であなたはそんな誇らしげなんですか……」
656:🎏 :2013/12/6(金) 01:00:36 ID:3E.xjLwiMI
中後小百合「料理の出来る二人に感謝しつつ、出来ない我々は大人しく待ってるとしようか」

中後小百合「モノクマの裁判を切り抜けたんだ。そして我々には、あれを最後の裁判とする覚悟がある」

中後小百合「あとはこの学園内で生きてく希望を見つけるだけだ。うまい飯が食えるってのも、生きてく希望にはなるんだろうさ」

黒魔帝兎「生きてく希望、か。俺達は本当にそんな物をここで見出すことができるのかな……」

左雨瑞樹「その不安は、俺には凄くよくわかるけど……まあ出来るんじゃないかな」

中後小百合「それはまた楽観視だなあ、左雨。現状ではいいことだとは思うが、お前のような賢しい人間にはらしくない思考じゃないか」

左雨瑞樹「小百合の中で俺はどんな人間に仕上がってんだよ……」

中後小百合「裁判で幾度となく我々を救う姿を見てるからな。賢くて責任感があって、理屈を以て正否を問える人間かと」

左雨瑞樹「俺には過ぎた評価だな。早々に見直すことをおすすめするよ」

中後小百合「……で?本当に理由もなく大丈夫だと思いこんでるのか?」

左雨瑞樹「……あ、そうか。裁判があったからお前らにはまだ伝えてなかったな」

中岡笑「お、何ですか?何か重大発表でもあるんですか?」

左雨瑞樹「お前らにとって重大かは知らんが、俺にとっては重大事項だ」

左雨瑞樹「……俺と、エリカにとっては重大なことだ」
657:🎏 :2013/12/6(金) 01:03:00 ID:3E.xjLwiMI
中後小百合「お前と氷室に重大なこと?期待していいのかい?」

左雨瑞樹「恐らくは期待通りでいいと思うぜ。……俺達、付き合うことになったんだ」

肉丸健太「えー!本当ー!?」

白鳥輝穂「それは大変喜ばしいことですね。おめでとうございます!」

左雨瑞樹「お、輝穂。飯はもう出来たんか?」

白鳥輝穂「はい。……それより、左雨さんと氷室さんのことですよ!」

氷室エリカ「そういえば言ってなかったね。私達、付き合うことになったんだよ!」

中岡笑「は〜……監禁生活の中で愛を育むとは、なかなか特殊な恋愛ですねえ」

氷室エリカ「うん。私はこの学園の中で、こんなに幸せになれたんだよ」

氷室エリカ「悲しいことはたくさんあったけど……私達の生き方によっては、それをたくさんの嬉しいことで上乗りすることもできると思う」

氷室エリカ「こうして現に、私だって出来てるんだから。だから、皆だって大丈夫だよ!」

黒魔帝兎「氷室がここまで明るくなって、左雨と付き合うまでに至るか……」

黒魔帝兎「確かに、自らを変え、ここで有意義に生きるというのは、可能ではあるみたいだな」

左雨瑞樹「そういうことだ。俺だって彼女いない歴=年齢からおさらばできたんだ」

左雨瑞樹「恋愛に限んなくてもいい。視野を広めて前向きになれば、ここでいろんな生きてく希望を見つけることも出来るんじゃないかな」

左雨瑞樹(……それでも)

左雨瑞樹(それでも、俺の中に巣食う不安は消えることはないんだけどな)
658:🎏 :2013/12/6(金) 01:06:11 ID:3E.xjLwiMI
肉丸健太「それじゃ二人の幸せに乗っかって、僕も幸せになる道を選ぼうかな。ごはんを食べよう!」

中後小百合「お前は口を開けばそればっかりだな」

相田鳥子「食ってばっかじゃねーかー!デブかー!?」

中岡笑「御覧の通りデブですよ……」

左雨瑞樹「まあまあ、せっかく輝穂とエリカが飯作ってくれたんだ。冷めないうちに食うとしようぜ」

白鳥輝穂「すみません、お二人がお付き合いされたと知っていれば、お祝いとしてもう少し立派な物を用意したのですが……」

氷室エリカ「いいんだよ!そんなに特別視しないで!付き合ったけど、それだけだよ。普段通りが私と瑞樹くんの幸せだから!」

中後小百合「おーおー言うねえ、氷室くん。付き合ったばかりだと、特別なことをしたがるもんだと思うんだが、殊勝な心がけだよ」

中後小百合「二人に倣って、私も何か見つけようかねえ。何せ人生は長いんだからなあ」

中岡笑「そうですねえ。何か生き甲斐を見つけて楽しんでいかないと。笑顔で生きていきたいですもんね」

中後小百合「お前はつまらない漫才でも考えてればいいんじゃないかな?」

中岡笑「観客固定でやり続けるって厳しいでしょう……あとナチュラルにつまらないとか言うのやめてください」

肉丸健太「……皆、もう一回言うよー。はやくごはんを食べよう!」

黒魔帝兎「わかったから怒鳴るなよ……」
659:🎏 :2013/12/6(金) 01:08:22 ID:3E.xjLwiMI
こんな感じで俺達は朝食を兼ねた昼食を平らげた。
俺とエリカが交際を始めたことを報告したり、各々がこれからのここでの生活について考えたり。
キングの裁判を終えたばかりだが、それを引き摺らずに明るく振る舞えてるのは、まあいいことなんじゃないかと思う。
ここで生きていくには、悲しい出来事を背負うには荷が重すぎる。いろんなことを忘れて、ここの生活こそが全てにする必要がある。
……忘れる、か。
俺達は忘れることが出来るんだろうか。過去の仲間達の悲劇を。この学園の外の大切な存在を。
出来るとして、それは正しいんだろうか。正しくなかったとして、それを正すことができるのか。

エリカが、ここで生きようと提案して、それを否定できずに採用となってから、俺の中で不安が取れる瞬間などなかった。
態度に表さないだけで、この感情が常に俺の片隅で存在していることを俺は知っている。
この感情がある限り、俺は忘れることができないと思う。そしてそれが、良いことなのか悪いことなのか、わからないでいる。
660:🎏 :2013/12/6(金) 01:10:16 ID:3E.xjLwiMI
「ねえねえ瑞樹くん。この後瑞樹くんの部屋に遊びに行ってもいい?」

エリカがそう言った。
……最近は、少し考え事をすれば「これでいいのか」等という自問自答を繰り返している。
自答などというが、決して答えなど出るはずもないことを知っているのに、ずっとずっと問い続けている。
……いけないな。解決しようのない問題で悩み続けても仕方がない。こんなもん、自分を苦しめるだけで何にもならない。
愛しい恋人がこう言ってるんだから、一緒にいて不安を少しでも忘れようとした方がいいのかもしれない。
間違いなく、エリカは俺がここで生きていく上での希望になるんだからな。

「いいよ。何もねえけど、それでよければいくらでも来いよ」
「何もなくても、瑞樹くんがいる。私にはそれで十分だよ」

……恥ずかしい台詞を堂々言ってくれるな、この娘は。
この発言を聞いてた小百合がニヤニヤして見ていたので、茶化されたら面倒だなと思い、早々に部屋へと向かったのだった。
661:🎏 名無しさん@読者の声:2013/12/6(金) 22:37:28 ID:3PtiMlAxMk
再会キター!!!!
662:🎏 :2013/12/8(日) 01:12:36 ID:zeS2T6plJ2
氷室エリカ「ふいー、瑞樹くんの部屋だねー」

左雨瑞樹「何もないって言っただろ。こんなとこ来て何するってんだよ」

氷室エリカ「何もないってことないじゃん。何て言うか、男子!って感じの部屋だよね」

左雨瑞樹「モノクマメダルが集まるから、それで好き勝手やってるだけなんだけどな」

氷室エリカ「さすが超高校級のモノクマメダル見つけだね!」

氷室エリカ「……けっこう漫画とかゲームとかあって、普通に楽しめそうじゃん。よくもまあこれで何もないって言えたね」

左雨瑞樹「試しにプレイしたり読んだりしてみろよ。俺の言ってる意味がわかるぜ」

氷室エリカ「それじゃ漫画読んでみるよ。……え?何これ?」

左雨瑞樹「購買部でモノクマから買った物だからな。金無駄遣いしたって後悔したわ」

氷室エリカ「モノクマの大冒険……これ、モノクマが描いたの?」

左雨瑞樹「じゃねーの?あの糞野郎を主役にするとかいう愚行、本人以外にやるわけないだろ」

氷室エリカ「絵も下手、ストーリーも無茶苦茶……なるほど、これはなかったことにしたい気持ちわかるなあ」

左雨瑞樹「そのくせコマ割りとかは妙なこだわりを感じるんだよな。何か無償に腹立つんだよ」

氷室エリカ「だからお金の無駄遣いってわけだね……」
663:🎏 :2013/12/8(日) 01:14:50 ID:zeS2T6plJ2
氷室エリカ「せっかくだからさ、一緒にこれをどう改善したらいいか考えようよ。編集者にでもなった気持ちでさ」

左雨瑞樹「……よくそれ見た後でそんな前向きな提案が出来るな」

氷室エリカ「貴重なモノクマメダル使って買ったんだもん。無駄遣いで終わらせたくはないよね」

左雨瑞樹「簡単に見つかるから、そんな貴重でもないと思うんだけどな」

氷室エリカ「だからそれは瑞樹くんだけだって!何でそんな簡単に見つけられるの!?」

左雨瑞樹「で、結局編集者ごっこはするのかよ?」

氷室エリカ「するするー。瑞樹くん、一緒に見ようよ」

左雨瑞樹「……しかし本当につまんねえ漫画だよな」

氷室エリカ「瑞樹くんは何でこれが駄目だと思う?」

左雨瑞樹「さっきエリカが言ってた通り、絵も下手だし、モノクマを崇拝するだけの話も駄目だな」

左雨瑞樹「読み手を意識して、好感持てたり共感できるような、そういうキャラを主役とかにして話を作ってかないと」

氷室エリカ「あ、今の何か編集者っぽかった!」

左雨瑞樹「絵も練習の必要があるな。とにかく描き込んで技術を向上しないと、さすがに厳しい」

氷室エリカ「おお〜……ナイス編集者って感じだね」

左雨瑞樹「……お前よ、ちょっと馬鹿にしてねえか?」

氷室エリカ「……ちょっと馬鹿にしてるかも」

左雨瑞樹「おいぃ!?」
664:🎏 :2013/12/8(日) 01:17:04 ID:zeS2T6plJ2
氷室エリカ「あはは、ごめんごめん!……でもこういうの聞いてると、瑞樹くんって凄いなって思うよ」

左雨瑞樹「今のどこに凄い要素があったよ?」

氷室エリカ「瑞樹くんはね、自分のちゃんとした意見があって、頭も良くって」

氷室エリカ「だから自分の意見を有効に使えて、皆を引っ張っていけるんだよ。それで皆が助かったり、皆が自分を改善できたりするんだよ」

左雨瑞樹「俺には過ぎた評価だ」

氷室エリカ「全然過ぎてないよ!正当な評価だよ!」

左雨瑞樹「だとしても、俺はエリカみたいに前向きに変わっていけるような奴の方がすげえと思うな」

氷室エリカ「それだって、瑞樹くんがいたからだよ!瑞樹くんがいなかったら、私はこんなに喋れてないと思うよ!」

左雨瑞樹「昔のエリカは無口だったからなあ。まあでもそれもエリカが自力で変わったんだと思うよ」

氷室エリカ「瑞樹くんが私を変えてくれたの!」

左雨瑞樹「……やめようか。これはたぶん無限ループするパターンだと思うぞ」

左雨瑞樹「お互いが感謝してて大切に思ってる。それでいいんじゃねえの」

氷室エリカ「さすが瑞樹くん!お互いの主張を否定せず、平和的に解決したね!」

左雨瑞樹「……駄目だこれは」
665:🎏 :2013/12/8(日) 01:18:36 ID:zeS2T6plJ2
氷室エリカ「さてと……そろそろ続き読もうか?」

左雨瑞樹「編集者ごっこ、まだやんのかよ!?」

氷室エリカ「そりゃあねえ。この漫画をどう改善するか、考えてみようよ」

左雨瑞樹「割と意見は出したと思うんだけどな……やっぱモノクマが主役ってとこに違和感を覚えるかな」

氷室エリカ「どう考えてもモノクマは悪役だもんね」

左雨瑞樹「むしろモノクマを悪役にして、主人公は別のキャラにした方がいいと思うんだけどな」

氷室エリカ「じゃあどんなキャラがいいの?」

左雨瑞樹「え?うーん……急には思いつかんなあ……」

氷室エリカ「……あ、じゃあアイビーはどう?この子、こんなに真っ白で可愛いし!」

左雨瑞樹「……いいかもしれないな。色合い的にもモノクマとは対になってわかりやすい」

氷室エリカ「やったね、アイビー!主役デビューの日が来たよ!」

左雨瑞樹「問題は描き手がそれに応じるかだな……編集者として、あれを説得するのは自信ねえぞ」

氷室エリカ「そっか。せっかく主役デビューのチャンスだったのに。残念だね、アイビー」

氷室エリカ「この恨みは一生忘れない(裏声)」

左雨瑞樹「恨むんなら自由奔放な描き手さんの方にしてくれよ……」
666:🎏 :2013/12/8(日) 01:22:19 ID:zeS2T6plJ2
左雨瑞樹「ていうかさ、ちょっと思ったんだけど」

氷室エリカ「うん」

左雨瑞樹「ぬいぐるみをいつも持ち歩いて、それに話しかけるとかってどうなんだよ?」

氷室エリカ「うわあ!それを瑞樹くんが言う!?アイビーくれたの瑞樹くんだよ!」

左雨瑞樹「いや……確かに話す練習相手としてあげたけどさ、それを持ち歩いて糞みたいな腹話術するとは思わんだろ」

氷室エリカ「ていうか客観的には、口下手な女子にぬいぐるみ渡して、それで話す練習しろって言う方もどうかしてると思うよ」

左雨瑞樹「まあそうかもしれんが……何なんだ?エリカはアイビー気に入ってないのか?」

氷室エリカ「気に入ってるよ!瑞樹くんがくれたんだし、今では良いパートナーだよ!」

左雨瑞樹「ふーん……まあ気に入ってるんならいいよ。……やっぱ持ち歩いて話しかけるのはどうかとは思うけど」

氷室エリカ「いいじゃん、もう!動物とか植物に話しかける人いるでしょ!その延長線の行動だよ!」

左雨瑞樹「ははは……なあ、ちょっと気になったんだけどさ」

氷室エリカ「うん、何?」

左雨瑞樹「何でエリカはアイビーって名前つけたんだよ?」

氷室エリカ「……私ね、もしも大切な物が出来て、それに名づけることができたら、アイビーってつけようって昔から思ってたんだ」

左雨瑞樹「いや、だから……何でアイビーなんだよ?」
667:🎏 :2013/12/8(日) 01:24:47 ID:zeS2T6plJ2
氷室エリカ「……瑞樹くん、花言葉はわかる?」

左雨瑞樹「花の一つ一つに意味合いがあるんだろ?愛とか希望とか」

氷室エリカ「それでね、私の名前でもあるエリカの花言葉はね……孤独なんだ」

左雨瑞樹「……エリカって花、あるんだ?」

氷室エリカ「そこから?エリカって花があるんだよ。で、今言ったけど、花言葉が孤独」

左雨瑞樹「へー……名は体を表すって感じになっちゃったわけだ」

氷室エリカ「本当だよ!私の母さんと父さんは何を考えてこんな名前をつけたの!」

左雨瑞樹「少なくとも花言葉まで考えてなかったんだろうな。ていうか割と全国のエリカさんに失礼なこと言ってるよな」

氷室エリカ「まあ花言葉って一つの花に複数言葉があったりして、エリカは孤独の他に良い感じの言葉もあるんだけどね」

氷室エリカ「……私の場合は、やっぱり孤独が当てはまっちゃったんだろうなって思うよ」

左雨瑞樹「でも、今のエリカは孤独じゃない。他にどんな言葉があるのか知らんが、今のエリカは良い感じの花言葉になってるだろうよ」

氷室エリカ「……うん。瑞樹くんもアイビーも、学園の皆もいるからね」

氷室エリカ「そうそう、何でアイビーって名付けたのかって話だったよね」

左雨瑞樹「今の流れから察するに……アイビーもそういう花があって、その花言葉からつけたのか?」

氷室エリカ「うん、そう」
668:🎏 :2013/12/8(日) 01:28:00 ID:zeS2T6plJ2
氷室エリカ「アイビーの花言葉は友情」

氷室エリカ「他にも永遠の愛とか、破綻のない結婚っていう花言葉があるんだ」

氷室エリカ「アイビーの花言葉は、どれも誰かとの絆による前向きなものなんだ」

氷室エリカ「私の孤独と対になるような名前をつければ……孤独も少しは和らぐかなって思ってさ」

氷室エリカ「私がまだ無口だった時に、瑞樹くん、私に訊いたよね。人と関わるのは嫌か?って」

左雨瑞樹「そうだっけ?」

氷室エリカ「そうだよ。その時に私はわからないって答えた。私は孤独だから、そんなこと考えたこともなかったーって」

氷室エリカ「でもね、今思うと、それは違ったんじゃないかなって思うよ。アイビーもそうだけど、私は無意識に友情だとか仲間だとか……」

氷室エリカ「そういう誰かとの絆みたいな物を調べてた。心のどこかでは、昔からずっと孤独でなくなりたいと願ってたんだと思う」

氷室エリカ「だから、何か名づける時が来たら、絆を感じられるアイビーにしようって思ってたんだ」

左雨瑞樹「だからアイビー……それは人名でもそうしようと思ってたのか?」

氷室エリカ「うん。氷室アイビー!どうよ?」

左雨瑞樹「DQNネーム待ったなしじゃねえか……」

氷室エリカ「駄目かなあ?あ、じゃあ左雨アイビーは?」

左雨瑞樹「名づける対象がぬいぐるみでよかったよ、本当……」
669:🎏 :2013/12/8(日) 01:30:09 ID:zeS2T6plJ2
氷室エリカ「よし!じゃあ続き読もう!」

左雨瑞樹「もういいだろ!?さすがにその件引っ張りすぎだと思うぞ!?」

氷室エリカ「いいじゃん。やろうよ、編集者ごっこ」

左雨瑞樹「……絶対に高校生のカップルがやることじゃねえと思うんだけどな」

氷室エリカ「そうかもしんないけどさあ。瑞樹くんは楽しくない?」

左雨瑞樹「エリカと一緒にいるのは楽しいよ」

氷室エリカ「ならいいじゃん!普通の枠にはまる必要はないよ!だって貧乏くじと孤独のカップルだよ?」

左雨瑞樹「……まあそうか。俺達は俺達だからな」

左雨瑞樹「いいのかなあ。俺達、こんな幸せで」

氷室エリカ「何々?どういうこと?」

左雨瑞樹「ここは狂った学園だろ。ここのせいで多くの人が不幸になった」

氷室エリカ「……モノクマは学園の中でも好き放題やってるし、外でもやってるみたいだもんね」

左雨瑞樹「それなのに、俺達は幸せになるっていうのは……」

氷室エリカ「むしろ逆じゃない?被害者を想うって名目で一緒に不幸になったって誰も何も得しないじゃん。それこそモノクマだけだよ、喜ぶの」

氷室エリカ「それに……ここで死んでった皆も、一緒に不幸になってほしい、なんて望んでないと思う」

氷室エリカ「皆のために悩めるのは瑞樹くんのいいところだけど、それに関しては遠慮なんていらないと思うよ」

左雨瑞樹「……そっか。エリカ、ありがとな」
670:🎏 :2013/12/8(日) 01:33:20 ID:zeS2T6plJ2
左雨瑞樹「エリカが彼女でよかったよ」

氷室エリカ「私も瑞樹くんが彼氏でよかった」

モノクマ「ここがリア充の巣窟かな。勇者の御出座しだぞー!」

左雨瑞樹「……最悪な奴が現れやがったな」

モノクマ「学園長として、不純な交際を見過ごすわけにはいかないからね。リア充は自重しろよな!」

モノクマ「それはそうと左雨くん。何か不幸になりたかったっぽいじゃん。不本意ながらボクが嫌いなら、ボクが来たことで不幸になれたよね」

モノクマ「うぷぷぷ!願いが叶っちゃったね!さすがボク!秘密道具なんかなくても皆の願いを叶えるね!」

左雨瑞樹「それに関してはエリカが解決してくれたばかりなんだけどな……」

モノクマ「それはともかく、ボクが描いた最高の漫画を酷評したりしてさ!ボクは怒りに震えてんだぞ!クマー!」

氷室エリカ「私、今日はもう戻るよ。なんだかんだ楽しかったよ」

左雨瑞樹「ああ。今日はもう……これが出ちゃったしな」

モノクマ「おやおやぁ?リア充が撤退するみたいですね。ミッションコンプリートだね!」

左雨瑞樹「お前さあ、部屋ん中にまで急に出てくるのはやめねえ?マジで邪魔なんだけど」

モノクマ「そうは言ってもボクはモノクマだからね。仕方ないね」

左雨瑞樹「まあお前に真面目に頼み事するだけ無駄だよな……」
671:🎏 :2013/12/8(日) 01:35:27 ID:zeS2T6plJ2
モノクマの出現を機に、今日のところは解散という運びとなった。
とは言え、それまでエリカと一緒にいたのは本当に楽しかった。
本人にも言った通り、高校生の男女がすることじゃないような気もするが、どんな形であれ楽しくて幸せなのには変わりない。
最近ずっと俺の中で渦巻いてた、本当にこんな場所で有意義に生きていけるのか、という不安も、エリカと共にいた時間だけは忘れることが出来た。
俺は、この学園生活で大切な人と巡り合えた。その大切な人となら、本当に有意義に生きていけるのかもな。そんな希望が、今は小さくとも、確かに芽生えたのかもしれない。
エリカと共有した、くだらなくも楽しい幸せな時間は、少しだけ俺を前向きにしてくれたような気がした。

エリカが自室に戻り、それに満足してモノクマも消え、いつしか時間は夜になっていた。
脱出を諦めてここで生きていく俺達。その現実性は、くだらない日常の中の小さな希望が見せてくれた。
他の皆もこうして希望を見つけることができるのかな。
ここ最近、ずっと悩んでたことが少し和らいだおかげなのか、この日はすんなり眠ることができたのだった。
672:🎏 :2013/12/8(日) 01:38:03 ID:zeS2T6plJ2
〜モノクマ劇場・特別編〜

オマエラは女の子が大好きだよね!
その気持ちはボクにもわかります。ちょっと想像しただけで、下半身のふなっしーから白い梨汁ブシャーだよね!
しかし女の子はそれだけ貴重な存在なのです。オマエラだと近づくだけで犯罪になるしね!
なので>>651が言うスリーサイズは教えることができません。そんなのをオマエラが直接教えてもらおうとしたら、死刑待った無しだよ!
ていうか、その辺を各々妄想するようにってボクは宿題を出してたじゃないですか!>>413
宿題もできないオマエラにはおしおきが必要だよね!
……とは言いましても、オマエラとて凡人です。何の情報もなかったら妄想すらできませんよね。
そこで優しいボクが、女子のおっぱいがでかいか普通か無いかだけでも教えてあげようと思います。これなら遠巻きに見るだけで判断できるから、オマエラも犯罪にはならないよ!
ではさっそくいきましょう!

まず百目鬼さんと中後さんは巨乳だよ!百目鬼さんはプロレスやってる時は過激な衣装で露出多いし、中後さんはラフな格好が多くて巨乳が目立つよ!
氷室さんと夜桜さんは普乳です。大きくないけど小さくもない、優れたバランスのおっぱいを好むオマエラはこの二人でハアハアするといい感じだね!
相田さん、白鳥さん、本田川さんは貧乳です。貧乳はステータスです。希少価値です。だからオマエラも大喜びなのです。
場明日さんは無乳です。
「おっぱいなんかあるだけ無駄やん。あんなん肩こるわアホが寄るわで何も得せえへんで。あー、うち貧乳でよかったわー!野球もしやすいで!」
……って、涙目で言ってる場明日さんを想像するとハアハアするよね!

以上です。この辺の情報を使って、これからもオマエラは一人でハアハアしてください!
673:🎏 名無しさん@読者の声:2013/12/8(日) 11:42:26 ID:3PtiMlAxMk
ハアハア
674:🎏 名無しさん@読者の声:2013/12/10(火) 19:25:12 ID:3PtiMlAxMk
支援
675:🎏 :2013/12/11(水) 01:07:50 ID:uPGsjG0ylY
モノクマの放送で目が覚めた。
大きくあくびして、体はだるいが強制起床、無理やり動いてるうちに眠気もだいぶ取れるだろうと、いろいろ準備をする。
その思惑はしっかりと当たって、間もなく俺は一日活動していける状態になった。まあ、毎朝のことなんだけどな。
準備が済めば次は食堂を目指して歩むわけだ。これまたいつも通りのことなんだけどな。俺は食堂へと向かった。

いつも通り俺以外のメンバーは既に揃っている。何と言うか、集合の際に一番乗り出来た試しがねえ。
それはともかく、メンバーも無事に集まった。徹底的にいつも通りだ。料理の出来る女子が朝食の準備に取り掛かるのも以下同文。
しかしここで、少しだけいつも通りじゃないことが起きる。その発端は輝穂の発言から始まった。
676:🎏 :2013/12/11(水) 01:09:52 ID:uPGsjG0ylY
白鳥輝穂「やっぱり恋人同士なんですから、一緒にいないと駄目だと思うんです。料理は私一人でどうにかしますので、氷室さんは左雨さんと一緒にいてください」

氷室エリカ「いやいや、いいよそんな気を使わなくたって!私もちゃんと手伝うよ!」

左雨瑞樹「そうだよ。バカップルじゃねえんだから、一分一秒離れたら死ぬとかないから、エリカを使えって」

氷室エリカ「物みたいに言わないでよ!……まあでも瑞樹くんの言う通りだよ。白鳥さん、気にしないで」

白鳥輝穂「そうは言いましても、お二人には一緒の時間が少しでも必要だと思います。それを引き裂く理由にはなりたくないと思ってます……」

中岡笑「朝から独り身には耳が痛い話が聞こえてきますね……」

肉丸健太「何でもいいから食べようよ!朝食は僕らを待ってはくれないんだよ!」

相田鳥子「はやくくわねーとデブがおこってるぞー!」

左雨瑞樹「そうは言っても輝穂も譲る気ねえみたいだし、かといってこんな人数の飯用意するのを一人に任すってのも……」

中後小百合「何だ、簡単なことではないか」

中後小百合「白鳥は左雨・氷室ペアに一緒にいてほしい。左雨は白鳥一人に朝食作りを押しつけたくはない」

中後小百合「ならば答えはシンプルだ。左雨が氷室と一緒に朝食作りを手伝えばいいんだ。違うかい?」

左雨瑞樹「……え?いや、俺は料理出来ないし……」

白鳥輝穂「それなら問題ありません。何をすればいいのか細かく指示を出しますので、ご安心ください!」

氷室エリカ「何かもう決定っぽいよ。瑞樹くん、ここはもう腹くくるしかないよね!」

黒魔帝兎「揉めれば揉めるほど朝食は遠ざかっていく。それに、女性のお願いを聞きいれるのもまた紳士の務めではないか?左雨よ」

左雨瑞樹「わかったよ……腹くくるよ……」
677:🎏 :2013/12/11(水) 01:12:35 ID:uPGsjG0ylY
こうして俺は急遽朝食作りに参加することとなった。
たぶん輝穂は善意だけで言ってるだろうし、天使を責めるような真似は心苦しいし、なので心の中で叫ぶこととしよう。
余計なことしてくれたな畜生。
まあ決定しちまった物は仕方がない。こういう余計なことに巻き込まれるのは貧乏くじの悲しい性として諦めるに限る。
そんなわけで俺、エリカ、輝穂の三人で厨房へと馳せ参じた次第だ。

飯作りを女子に任せっきりだったこともあって、久しぶりに厨房に入ったような気がする。
相変わらずここは食材の宝庫だ。見渡す限り食材である。健太がここを拠点にするのもよくわかる。
そしてモノクマがいつか言ってたように、食材はこまめに足されているようで、どれも新鮮だ。でもいつ仕入れてんだと気にもなる。立ち入り禁止の夜時間にやってんのかな。
そういうどうでもいい感想を脳内に垂れ流していると、とうとう決戦の時がきたようだ。

「肉丸さんも待っているそうなので、さっそく朝食を作りましょう」

輝穂が飯作り開始を告げたのである。
678:🎏 :2013/12/11(水) 01:15:22 ID:uPGsjG0ylY
飯を作るのは大変だ。
過去にも家庭科の授業だったりで思い知ってるはずなのだが、それを機に遠ざかって忘れるので、毎回このような感想が出る。
しかしまあ本当に大変だ。エリカや輝穂は毎朝だるい時にこんな重労働と直面してたんだな。
いいや、この二人だけじゃない。
死んでしまった仲間……佑子に良子、愛梨も毎日食事の用意をしてくれていた。
そういう感謝は常に抱いているつもりではいたのだが、こうして体験してみると、感謝の念が全然足りなかったことに気付く。
俺達のためにこんなことを毎回毎回やってたんだな。俺の口は自然と感謝の言葉を生み出していた。
679:🎏 :2013/12/11(水) 01:20:33 ID:uPGsjG0ylY
左雨瑞樹「……ちゃんとした飯作るのって大変だな。エリカも輝穂も毎朝こんな大変なことしてたんだな」

氷室エリカ「もっと褒め称えるがいい、左雨少年!」

左雨瑞樹「ありがとうなエリカ。輝穂も、ありがとう」

氷室エリカ「え!?いや、今のは調子乗んなよって感じのツッコミ待ちであって、そんな……」

白鳥輝穂「そうですよ。私達は嫌々やってるわけではありません。皆さんのお役に立てて嬉しく思っています」

左雨瑞樹「だとしても、俺は二人に、そして今まで作ってくれた仲間に感謝したいよ。ありがとうな」

氷室エリカ「な、なんかむず痒いよ、瑞樹くん!朝食ごときでそんな真面目モードになられても!」

白鳥輝穂「相手にきちんと感謝できるのはいいことですけど、些細なことで執拗に感謝するのも何か違うような気がします……」

左雨瑞樹「俺にとっては全然些細なことじゃないんだけどな」

氷室エリカ「あーもー。感謝の気持ちはわかったから、この話題はやめにしよ!それより他の話をしよ!」

白鳥輝穂「他の話ですか?うーん、急には思いつきませんね」

氷室エリカ「……あ、じゃあ、今更だけど、瑞樹くんの名前、女っぽいと思うんだよね」

左雨瑞樹「本当に今更だな!?」
680:🎏 :2013/12/11(水) 01:46:52 ID:q00uIOJBx6
白鳥輝穂「ああ、でも私も瑞樹という名前は女性らしく思います」

左雨瑞樹「まあ確かに男女どちらでもいけちゃうような名前だよなあ。ここに来てからはないけど、いじられたりする時もあったし」

氷室エリカ「でも良い名前だと思うよ」

白鳥輝穂「瑞樹という名前……瑞はみずみずしい、麗しい、めでたいしるしというような意味合いです」

白鳥輝穂「そう考えると神聖な樹木を思わせるようなお名前で、日本的でとても名誉ある名前だと思います」

氷室エリカ「加えて、みずきって響きはかわいらしいしね!」

左雨瑞樹「男がかわいいって言われてもなあ……そういう風に考えると輝穂も良い名前だと思う」

左雨瑞樹「穂ってつまり、田んぼや植物の実りみたいな、そんな感じだろ?」

左雨瑞樹「そういう芽吹きが輝いてるんだから、綺麗で生命力に満ちたような、そんな名前じゃん」

白鳥輝穂「ありがとうございます。名前を褒めていただけるのは、何だか嬉しいですね」

氷室エリカ「私はどうせ孤独だよ……」

白鳥輝穂「え?今は名前の話をしてるのですが……どうして才能の話に?」

左雨瑞樹「あー……エリカって花の花言葉が孤独なんだと」

白鳥輝穂「ああ、そうなんですか。でもエリカの花はお綺麗で、綺麗な氷室さんにぴったりの素敵な名前だと思いますよ」

氷室エリカ「……本当?」

白鳥輝穂「はい、本当ですよ」

氷室エリカ「瑞樹くん!私の名前も素敵だって!」

左雨瑞樹(単純な奴だな……)
681:🎏 :2013/12/11(水) 01:51:26 ID:q00uIOJBx6
こんな感じの会話をしながら俺達は朝食の準備を進めていった。口だけじゃなく手も動かしてたわけだ。ちゃんとやることはやってんだ。
エリカや輝穂の的確な指示もあってか、思ってたよりは足手まといにならずに済んだ。
今日まで散々料理から遠ざかって生きてきたはずなのに、今日は割とうまく調理出来てたような気がする。
二人の指示の賜物と言えばそれまでなのかもしれないが……何て言うか、体が何となく調理に慣れてたって感じなんだよな。
まあ調理に慣れる環境なんて一切なかったから単なる気のせいなんだけども。自分でも何を根拠に言ってんだって思うわ。
それに予想外とは言え良い結果に転がってんだ。そこを懸念したってしょうがねえや。俺はもう気にしないことにした。

とにもかくにも朝食の出来あがりだ。俺達三人はひたすらに待っていた仲間達のところへそれを運んだ。
はやくしねえと健太あたりが暴動を起こしかねないしな。
682:🎏 :2013/12/11(水) 01:53:44 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「おう、待たせたな」

肉丸健太「本当だよ!朝食を待つ時間がまるで永遠のように感じられたよ!」

中岡笑「毎朝大変ですね、それ……」

氷室エリカ「……今思ったんだけどさ」

左雨瑞樹「おう」

氷室エリカ「今までは料理してる時は瑞樹くんにアイビー預けてたじゃん」

左雨瑞樹「おう」

氷室エリカ「でも今日は瑞樹くんも料理作りに参加したよね。アイビーどうしたの?」

左雨瑞樹「あれ」

氷室エリカ「あれ?」

相田鳥子「おーい、このトカゲぜんぜんうごかねえぞー。馬鹿かー?」

黒魔帝兎「いや、それはぬいぐるみだし、とりあえずトカゲではないと思うし……」

相田鳥子「死んでんのかー?ショックあたえたら生き返るのかー?」

氷室エリカ「あああああ!相田さん駄目だってアイビーいじめたら!駄目駄目、引っ張っちゃ!千切れる千切れる!」

肉丸健太「うおおおお!そのぬいぐるみが僕の食事を邪魔するのなら!僕はこの怒りで金髪になるよ!」

中岡笑「どこぞの戦闘民族ですか、あなたは!?」

中後小百合「ははは。微笑ましい平和の1ページだな」

左雨瑞樹「これを目にして微笑むお前は大した奴だよ……」
683:🎏 :2013/12/11(水) 01:55:04 ID:q00uIOJBx6
こうして騒がしくも楽しい朝食の時間は過ぎていった。
こういう楽しい時間が続いていけば、ここでの生活も悪くないと思えるのかな。
これをずっと繰り返していけば、俺のここ最近の心配も杞憂で終わらせることが出来るのかな。
そんなことをぼんやりと考えながら、俺だけは静かに飯を平らげたのであった。

これから一日が始まる。さて、今日は一体何をしようかな。
684:🎏 名無しさん@読者の声:2013/12/13(金) 07:06:30 ID:3PtiMlAxMk
うぇい、しえん
685:🎏 :2013/12/15(日) 00:56:43 ID:q00uIOJBx6
氷室エリカ「瑞樹くん、一緒に行動しよ!」

左雨瑞樹「それは構わないんだけどよ、何すりゃいいんだって感じだよな」

左雨瑞樹「また部屋に籠って編集者ごっこでもするか?」

氷室エリカ「えー、引き籠りはよくないよ。アウトドア派になろうよ!」

左雨瑞樹「いや、ここで生きてく以上、永遠のインドア派は約束されてるけどな……」

氷室エリカ「とりあえず適当にぶらぶらしてみようよ。行く先々で誰かに会ったらその人いじる感じで!」

左雨瑞樹「お前、本当にこの学園生活でたくましくなったよなあ……」

氷室エリカ「感慨深い?」

左雨瑞樹「感慨深いよ、本当に……」
686:🎏 :2013/12/15(日) 00:58:06 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「とは言え、目的もなくぶらぶらしてて暇は潰れるのか……」

氷室エリカ「あれ黒魔帝くんじゃない?ちょっと絡みに行こうよ」

左雨瑞樹「……お前がいたら暇なんてしなさそうだな」



氷室エリカ「黒魔帝くん、何してるの?」

黒魔帝兎「氷室と左雨か。御覧の通り、素振りだよ」

左雨瑞樹「バット買ったんか」

黒魔帝兎「お前ほど効率よくモノクマメダルを集めることは出来ないが、それでも少しは持ってるからな」

氷室エリカ「瑞樹くんは隙あらばモノクマメダルを独占しようとするもんね」

左雨瑞樹「うっせーな。好きで集めてるんじゃねえんだよ」

氷室エリカ「ところで、何でまた素振りなんかしてるの?黒魔帝くんって超高校級の巨人ファンでしょ?」

黒魔帝兎「ああ。俺は今は超高校級の巨人ファンだ」
687:🎏 :2013/12/15(日) 00:59:36 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「今はって、何か含みのある言い方だな」

黒魔帝兎「……俺自身、場明日の件でいろいろ思うところがあってな」

左雨瑞樹「虎美……」

黒魔帝兎「野球という素晴らしいスポーツがあって、それを愛してる。それはまあいいとして」

黒魔帝兎「応援する球団に固執して、ファンが品位を下げてしまう……それは悲しいことだと場明日に教えられた」

黒魔帝兎「だから俺は、もう球団に固執するような真似はやめようと思った。素晴らしいスポーツの素晴らしい各球団を等しく愛していこう、と」

黒魔帝兎「今の俺は超高校級の巨人ファンだ。でも、まずは超高校級の野球ファンとして、等しく愛せる存在となりたい」

黒魔帝兎「だから野球というスポーツそのものと向き合いたいって思ってな。野球という物を基礎から見つめ直そうと思って」

左雨瑞樹「それで素振りをしてたわけか」

黒魔帝兎「地道な反復練習は技術だけでなく精神も鍛える。未熟な俺には必須の練習だよ」

黒魔帝兎「それに俺は、自分がプロになることも夢見てた。それはもう無理だとしても、相応の実力はつけておきたいんだ」

黒魔帝兎「時間ならあるんだ。理想を目指して努力していくさ」
688:🎏 :2013/12/15(日) 01:01:54 ID:q00uIOJBx6
黒魔帝兎「そういうわけだ。俺は素振りを続ける。見ててもつまらないだろうし、行っていいぞ」

氷室エリカ「いやあ、でも暇なんだよねえ。ここで黒魔帝くんと絡んでた方が楽しいんじゃないかな?」

黒魔帝兎「……左雨。お前らカップルはそれでいいのか?」

左雨瑞樹「いいんじゃねえの?俺とエリカを普通っていう物差しで測ろうとしたって無駄だと思うぞ」

黒魔帝兎「……お前らがそれでいいなら別にいいけど」

氷室エリカ「私、あんまり野球って知らないから、こうして練習風景を見てるだけでも新鮮だよ」

左雨瑞樹「俺はそんな詳しくねえけど、少しは知ってる。駄目なとこがあったら指摘してやるよ」

黒魔帝兎「ふっ、それは心配いらないだろう」

黒魔帝兎「俺は超高校級の巨人ファンだ。情報量はちょっと巨人に偏ってるが、野球そのものだってかなり詳しいんだ」

黒魔帝兎「選手の投球や打撃を見て、どこをどう直せば成績が上がるというような指摘だってできる。それを自分に当てはめればいいだけだ」

黒魔帝兎「悪いが左雨の出る幕はないだろうな」

左雨瑞樹「……でも、兎のバッティングフォーム、素人目でも酷いぞ?」

氷室エリカ「そうなの?」

黒魔帝兎「嘘に決まっているだろう。俺の知識を以てすれば、理想の完璧なフォームを実現するなど容易い。それを酷いフォームなどと……」

左雨瑞樹「いや、でも酷いと思うぞ。ちょっと待ってろ、購買部でビデオカメラ買ってやるから、それで見てみろよ」
689:🎏 :2013/12/15(日) 01:04:11 ID:q00uIOJBx6
氷室エリカ「という流れで、黒魔帝くんの打撃を撮影して、それを見てるよ」

黒魔帝兎「……何だこの糞みたいなフォームは!?」

黒魔帝兎「脇が開いてる!腰が回ってない!重心移動がなってない!もうダメなとこしかないじゃないか!」

左雨瑞樹「な?素人目に見ても酷いだろ?」

黒魔帝兎「馬鹿な……俺はちゃんと野球を知ってるのに!それなのに、こんな!」

左雨瑞樹「まあ知ってるっていうのと、実戦するのは違う話だからなあ」

左雨瑞樹「理想のフォームを知ってて、人のを見て指摘出来ても、自分のは自分で見ることが出来ない」

左雨瑞樹「自分がどういう動きをしてるか把握しないままイメージだけで動けば、こういう結果もやむなしってことだろうよ」

黒魔帝兎「……そうか。だから俺は野球がうまくなかったんだな」

黒魔帝兎「自分が信じた物をひたすら崇高して他を見下し、自分だけは大丈夫だとひたすら思い込む……幼稚で駄目な人間だ」

黒魔帝兎「それらは全部、場明日に気付かされたんだ……でも、場明日はもういない」

黒魔帝兎「素振りがおかしいっていう些細なことだけど、こうして今も左雨を信じず、自分の感性を信じようとしていた」

黒魔帝兎「……昔の駄目な自分から脱却しようとしてるんだけどうまくいかないな。場明日もいないのに、それが本当に可能なのかな……」

左雨瑞樹「自分を信じることが大切な時だってあるけどな。ケースバイケースだよ」

氷室エリカ「それに、変わりたいっていうなら、黒魔帝くんなら大丈夫だよ。私だって変われたんだし!」

黒魔帝兎「……ありがとう。お前ら二人は何だか勇気をくれるよな。感謝してるよ」
690:🎏 :2013/12/15(日) 01:06:48 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「感謝されるようなことをしたつもりはねえけどな」

氷室エリカ「私も左雨くんと同じかなあ。別に普通にしてるだけだよ」

黒魔帝兎「そのお前らの普通に、救われてる奴がけっこういるんだ。覚えとけよ」

黒魔帝兎「とにかく、今後はビデオで自分のフォームをチェックしながら、練習を重ねてみるよ」

左雨瑞樹「いつか素人目にも玄人目にも素晴らしいバッティングが見れるのを楽しみにしとくわ」

黒魔帝兎「おう!任せておけ!」

氷室エリカ「そのためにも今は練習あるのみだね!見守っとくから続けて!」

左雨瑞樹「……何かさ、次に見る時には完成したフォームを見せる、みたいな流れになったんだけど、それでもまだ見守んの?」

氷室エリカ「だって暇だしね」

左雨瑞樹「……何かさ、それっぽい展開やった後だから恥ずいんだけど」

黒魔帝兎「俺も恥ずかしいんだが……」

氷室エリカ「恥ずかしがってたら上手くなるものもならないよ!ほら、練習練習!」
691:🎏 :2013/12/15(日) 01:07:30 ID:q00uIOJBx6
こうして俺とエリカはまだまだ兎の練習に付き合うこととなった。
兎が素振りをして、俺が横やりを入れ、ビデオの映像を確認し微調整をして、そのサイクルを繰り返して。
だけども、元々上手くない兎が、いくら意識を変えたからって一日で劇的に上手くなるはずもなく、何ら経験値がたまることなく時間は流れた。
進展もないまま同じサイクルを繰り返すのは単調で苦痛だ。正直なところ、もう兎だけに任せていいんじゃねえの?と思ったわけだが。
野球を全然知らないエリカにとっては、単調なサイクルの繰り返しを見学するだけでも楽しいみたいだ。
……まあエリカが楽しいんなら、それでいいかな。兎のそれとは違って、エリカの笑顔なら永遠に見てられるような気もするしな。
だけど、兎の野球練習を永遠に見てるわけにはいかない。しばらく兎に付き合ってると、昼になった。これを機に俺はエリカを昼食に誘った。
エリカはそれに賛同し、ようやく兎と別れる運びとなるのであった。
692:🎏 :2013/12/17(火) 01:04:32 ID:q00uIOJBx6
食堂には、既にここの守り神と化している健太が当たり前のようにいた。
今日の朝に何故だかそこそこ料理が出来ると発覚した俺は、エリカに昼食作りを手伝わされ、これまた何故か健太の分まで作った。
俺とエリカは守り神と共に食事をし、それが終わると彼だけ残して食堂を後にした。

朝は兎の練習に付き合ってどうにか暇を潰したわけだが、脱出を諦めてる手前、本当にやることがなくて暇である。
皆はこれから何を希望に生きていくか見出すという目的があるかもしれないが、俺とエリカはもう既に見つけているような状態だ。故に暇だ。
まさか午後からも兎に付き合う気にはなれんし、ていうかこの短期間でフォームを完成させるとも思えんし。
さてどうしたものか、と悩んでいるところに、こいつが話しかけてきた。

「ひだりあめ、みずへや、お前らひまかー?」

名前を表記しなくてもわかるだろうが、一応。相田鳥子その人である。
693:🎏 :2013/12/17(火) 01:06:28 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「おう、鳥子。俺の名前はささめだからな。で、何だ?」

氷室エリカ「相田さん、私はみずへやじゃなくてひむろ。水じゃなくて点一個加えた氷だからね」

相田鳥子「お前らひまなら、あたしのべんきょーをてつだってほしいんだー」

左雨瑞樹「勉強?どうしてまた?」

相田鳥子「……あたしって馬鹿だろー。みんなと話てて、うまく話せないこと多いだろー」

相田鳥子「これからいっしょに生きてくのに、そんなんじゃうまくいっしょにすごせないじゃねーか」

相田鳥子「だからあたしはかしこくなりてーんだ。だからお前らにべんきょーおしえてほしいんだ」

左雨瑞樹「そっか。鳥子も前向きにここでの生活を受け入れようとしてんだな」

左雨瑞樹「どうするよ、エリカ?鳥子に付き合って勉強会やるか?」

氷室エリカ「やろうよ!相田さんの考え方はいいことだと思う!その力になれるなら、惜しむ理由なんてないよ!」

左雨瑞樹「だってさ、鳥子。俺らでよければ勉強、手伝ってやるよ」

相田鳥子「サンキューひだりあめ!じゃあきょーしついこうぜ!あたしはかしこくなるんだー!」

こうして午後は鳥子の勉強に付き合うこととなった。
俺達は校舎の教室を目指して移動を開始した。
694:🎏 :2013/12/17(火) 01:07:59 ID:q00uIOJBx6
ここは希望ヶ峰学園という名の監禁場所である。
本当に希望ヶ峰学園なのか、という議論は昔やったことあるけど、俺らには知りようもなく、また、知る必要もないってんで不明のままである。
ただ、その内装は豪華な学校という体ではあり、もちろん教室だって存在している。授業がねえから機能はしてねえけどな。
そんな無駄に存在してただけだった教室に、とうとうスポットライトが当たる時が来た。学生が学生たる所以である、勉強をするためである。
先生は俺とエリカ、生徒は鳥子の特別授業だ。よくよく考えてみると、俺はそれほど学力があるわけではなく、人に何かを教える立場となるのは初めてだな。
ていうかそもそも何を教えるのかも把握してない。これから生徒に授業しようって先生が教科を把握してないのは異常事態だよな。
そういうわけで不安な要素はそこそこあるけど、まあ相手は鳥子だし、どうにかなるかと、気楽に特別授業は開始されるのだった。
695:🎏 :2013/12/17(火) 01:10:03 ID:q00uIOJBx6
氷室エリカ「というわけで、授業を始めます!」

左雨瑞樹「ノリいいな、おい……」

相田鳥子「たのむぞーこうりべやー」

氷室エリカ「ひむろです。氷室先生と呼んでください」

左雨瑞樹「氷室先生、そんなノリでやってて恥ずかしくないんですかー?」

氷室エリカ「中岡くんと漫才やった瞬間から羞恥心なんてかなぐり捨てたよ!」

左雨瑞樹「笑が聞いたら悲しむぞ……」

氷室エリカ「さて、相田さんが学園生活を円滑に生きていくための授業なんだけど……具体的に何を教えればいいのかな?」

左雨瑞樹「そこは俺も考え中なんだけどよ……とりあえずエリカの得意な科目は何だよ?」

氷室エリカ「私は数学かなー。瑞樹くんは?」

左雨瑞樹「俺は……国語かなあ?」

氷室エリカ「あー、何かイメージできるなあ。で、相田さんは何か教えてほしい科目とかある?」

相田鳥子「かもくって何だー?馬鹿かー?」

氷室エリカ「……瑞樹くん、これどうすればいいの?」

左雨瑞樹「御自分で考えればいいんじゃないですか、氷室先生」

氷室エリカ「そんなこと言わないでくださいよー、左雨先生〜」
696:🎏 :2013/12/17(火) 01:12:38 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「……とにかく、鳥子は学園生活において、皆と一緒にちゃんと生きていきたいって思ってんだろ」

相田鳥子「そう言ってんだろー。馬鹿かー?」

氷室エリカ「別に相田さんは今のままでいいと思うけどなあ。相田さんがちょっとお馬鹿だからって、誰も何も気にしてないよ」

左雨瑞樹「周りの評価と本人の感想は別物なんだよ。俺がいいって言ったとしても、エリカは昔のままでいいって思えるか?」

氷室エリカ「……思えないなあ。無口で拒絶して迷惑になる自分が嫌で変わりたいって思ったんだし」

左雨瑞樹「ほらな。鳥子だって一緒だよ。俺達仲間は気にしてなくても、本人は変わりたいんだ」

氷室エリカ「そっか。じゃあもう全力を尽くして協力するよ!」

左雨瑞樹「話を戻すけど、鳥子は学園生活を円滑にしたいだけだ。だから普通の授業をしてもあんま意味ないと思うんだ」

左雨瑞樹「学校の授業で習うことの何が人生に役立つんだ?社会で役立つのなんか、精々国語と算数くらいだろ」

氷室エリカ「瑞樹くん、それ、勉強できない奴の負け惜しみだよ……」

左雨瑞樹「とにかく、普通の授業なんかしたって、ここでの生活には役立たない知識が多い」

左雨瑞樹「そこで俺は、対鳥子特別授業として、こんなことをしたいと思う」

氷室エリカ「こんなこと?」

左雨瑞樹「題して、皆の名前を覚えよう!漢字の読み方なんだろな〜!?」

氷室エリカ「……瑞樹くんもノリいいじゃん」

左雨瑞樹「どうしよう、何かすごい恥ずかしくなってきた……」
697:🎏 :2013/12/17(火) 01:17:00 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「ごほんっ……鳥子、俺が今から皆の名前を黒板に書く。15人全員のだ」

左雨瑞樹「……で、書いたわけだけど。鳥子、これ、誰が誰だかわかるか?」

相田鳥子「そんなんわかるわけねえだろー。馬鹿かー?」

左雨瑞樹「うん、想像はしてた。じゃあ鳥子、黒板の文字は無視していいから、15人の名前を正しく言ってみてくれないか?」

相田鳥子「やってみようじゃねーかー。それくらいならあたしだってできるぜー!」

相田鳥子「まずあたしだろ。ひだりあめ、こうりべや……デブ、すべりやろう、はくちょう、ハゲ、なかうしろ!」

左雨瑞樹「まずは生存組を挙げてるんだろうけど……何で小百合だけ正解してんだ?」

氷室エリカ「中後さんって漢字そのまま読んだらいい感じだから、相田さん的にはわかりやすい名前なんじゃない?あと、ハゲって?」

左雨瑞樹「たぶん兎だろ。あいつ坊主くらいの短髪だし。おしゃれ坊主的な」

相田鳥子「あとはだなー……サッカー女、でか女、もえっこ、おおさか、ハゲ、すげえやつ!これでぜーいんだな!」

氷室エリカ「瑞樹くん、ハゲ二人目なんだけど。あと、すげえ奴って?」

左雨瑞樹「二人目のハゲは闘球だろうな。あいつはもう完全に坊主だし。すげえ奴はたぶんキングだ。キングの中二発言を鳥子は真に受けてたしな」

氷室エリカ「なるほどねー。それはともかく、単なるあだ名なのに、割と誰のこと言ってるかわかりやすい良いネーミングはしてるよね」

左雨瑞樹「そして普通に忘れ去られてる崇……」

氷室エリカ「水留くんは早々にモノクマの犠牲になっちゃったからね……」

相田鳥子「ひだりあめー、なに話てんだよー?あたしの言ったのすごかっただろー?」

左雨瑞樹「ああ、凄かった。凄かったよ……」
698:🎏 :2013/12/17(火) 01:19:32 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「鳥子、今言ってくれたのはな、本名じゃなくてあだ名なんだ」

相田鳥子「あだなー?」

氷室エリカ「ちゃんとした名前が、相田さんが言ってくれた名前とは別にあるんだよ」

相田鳥子「マジでかー!?馬鹿かー!?」

左雨瑞樹「これから一緒に過ごしていく仲間は言うまでもなく大切な存在だ」

左雨瑞樹「そして、犠牲になった仲間も、ちゃんと覚えてなきゃならないと思う」

左雨瑞樹「そういう大切な人達の名前をちゃんと覚えるって大切なことだと思うぞ」

左雨瑞樹「相手の名前を覚えて呼んだり、相手に覚えてもらったりすることは、親密な関係の第一歩なんじゃないかな」

相田鳥子「なるほどなー。あたしがそれをべんきょーしたら、あたしはみんなのなかまになれんのかー?」

氷室エリカ「もう仲間だけど、より仲良くなれるきっかけにはなるかもしれないよ」

相田鳥子「マジかー!じゃあべんきょーするっきゃねえなー!」

左雨瑞樹「正直骨は折れそうだが、しっかり付き合うからよ。この授業で覚えちまおうぜ」

相田鳥子「え?ほねおれるのか?やばいんじゃないか?馬鹿かー?」

氷室エリカ「相田さん、今のは凄い疲れそうだなーって意味だよ」
699:🎏 :2013/12/17(火) 01:21:55 ID:q00uIOJBx6
かくして仲間の名前を覚える鳥子の授業は始まった。
単純に漢字の読み方を教えてみたり、その漢字の意味合いなどを教えて、個人の名前を覚えてもらうよう努めた。
例えば肉丸健太なんかはわかりやすいと思う。食うのが大好きなあいつの名前は、大好きな肉で丸々健やかに太る、こんな具合だ。いや、全然健やかレベルじゃないから丸々なってんだけども。
全員が都合よくわかりやすい名前をしているわけではないが、こういう感じで何かを連想させながら覚えたりすると、忘れなかったりするもんだ。
こういった内容で氷室先生と左雨先生の授業は続き、マイペースに午後の時間を使っていった。
放課後も無駄なく使いこむ勢いで授業したわけだが、どれだけ結果がついてくるんだろうな。
それを試そうっていうのと、もう夕暮時で飯にしてもいいんじゃないかってことで、俺達は食堂へと向かった。
700:🎏 :2013/12/17(火) 01:23:34 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「……やっぱりお前はここにいるんだな」

肉丸健太「うるさいなー。僕はどんなことがあっても食べ物と共に生きるよー」

相田鳥子「そんなんじゃデブるぞー肉丸ー。たまにはうごけよー。馬鹿かー?」

肉丸健太「相田さんまでそんなこと言わ……あ、相田さんが僕を名前で呼んだ!?」

相田鳥子「左雨と氷室がおしえてくれたんだー!どうだー?いいかんじかー?」

肉丸健太「いい感じだよ相田さん!僕、正直相田さんから名前で呼ばれるの諦めてたから、凄い嬉しいよ!」

相田鳥子「それはよかったなー!あたしも肉丸がうれしくてうれしいぞー!」

相田鳥子「左雨、氷室、ありがとな!これで、あたしもちゃんとしたなかまにちかずけたきがするぞ!」

氷室エリカ「相田さんが喜んでくれてよかったよ。これからも勉強して、相田さんも納得して仲間と思えるよう頑張ろう!」

相田鳥子「おー!」

左雨瑞樹「……授業、今後も続ける気なんだ」

氷室エリカ「当たり前だよ!相田さんが前向きに頑張ろうとしてるんだもん!それに瑞樹くん、暇でしょ?」

左雨瑞樹「うん、まあ、暇だけどな。それに……」

肉丸健太「相田さん、凄いねー!きっと他の皆も喜ぶよー!」

相田鳥子「そりゃよかった!あたし、これからもがんばっからな!」

左雨瑞樹「ああやって喜んでもらえるなら、やってもいいかなって気はするよ。あーあ、だから俺は貧乏くじなんだろうな」

氷室エリカ「私はいいことだと思うけどね」
701:🎏 :2013/12/17(火) 01:26:04 ID:q00uIOJBx6
こんな感じで第一回鳥子特別授業は大成功という形で落ち着いた。
エリカ曰く今後も続けていくみたいだが、今言った通り、それも別に悪くはないかと思う。
人は変われる。それは、エリカが証明してくれたことだ。
超高校級と銘打たれた孤独という才能。才能とまとめるとピンとこない単語だが、何故だか孤独になってしまう能力を指している。
そんなエリカは自らの努力で、その超高校級の能力から脱却した。望まなかったその才能を、自ら無くすことに成功したんだ。
だったら鳥子もできるかもしれない。正直大変そうではあるが、本人の頑張り次第では、超高校級の馬鹿から脱却できるかもしれない。
そうして頑張ることで前向きになれる。その手伝いが出来るなら、大変だったとしても悪い気はしねえってことだ。
……才能をなくす、か。できればこの貧乏くじともおさらばしてみたいものだ。まあそれも大変そうだなあって気は進まねえけど。
それに、エリカがいいと思っているなら、無くさなくてもいいかなって気持ちにもなる。これが俺ってことでいいんだ。

夕食を終えると、俺はエリカと別れて、一人で部屋へと戻った。
朝から飯作りを手伝ったり、兎の野球練習に付き合ったり鳥子の勉強に付き合ったり、割と充実した日だったんじゃないかなって思う。
充実してたと思えるほどいろいろやってたせいか、眠気はすぐにやってきた。
風呂入ったり何やらしてるうちに眠気も消えたりしたが、それはすぐに戻ってくる。夜時間を知らせるモノクマの放送も流れたことだし、そろそろ素直に受け入れてもいいのかもしれないな。
こうして俺は一日を終えようと、ベッドに入って目を閉じた。夢に辿り着くまで、時間はそれほどいらなかった。
702:🎏 :2013/12/17(火) 01:27:36 ID:q00uIOJBx6
〜モノクマ劇場〜

人間の賞味期限は意外と早いのです。
夢破れ、自分は特別なんかじゃなかったと思い知らされたその日。
大した目標もないままずるずると生きてきたのに気付かないふりをしたその日。
理想と現実の違いを身を以て知ってしまったその日。
他にもいろいろありますけど、人間は何かを機会に簡単に腐ります。
それでも生きてはいますよ?でも、それだけです。生きてるだけなんです。
仕方ないと言い訳を重ねてただ生きていく人間は、とうに腐っているのです。
703:🎏 名無しさん@読者の声:2013/12/17(火) 18:12:37 ID:3PtiMlAxMk
案外胸に刺さること言うな
モノクマ
704:🎏 名無しさん@読者の声:2013/12/17(火) 23:48:01 ID:DXnse18Cdk
花言葉を調べてたらアイビーって花があった
アイビーの花言葉は「死んでも離れない」らしい
物語的にちょっと怖い つC
705:🎏 名無しさん@読者の声:2013/12/18(水) 07:00:05 ID:14tG25mR66
相田さんがここでの生活を受け入れるということを忘れてなくてよかった
さすがにそこまでバカじゃないんだね
706:🎏 1「その花言葉は知らなかったww怖いwww」:2013/12/19(木) 01:31:06 ID:q00uIOJBx6
起きた。すっかりモノクマの朝の放送が目覚まし代わりとして定着している。
慣れというのは怖いもので、忌々しいと感じる気持ちが薄れてしまっている。あの糞野郎の声を聞くことで発生する憎しみが、少しずつ薄れている。
……まあでも、その方がいいのかもしれない。憎しみなんて、普通に生きていく上では邪魔な物だしな。意識を変えれば国民的アニメな声に聞こえる気もするし。
俺達はここで普通に生きていく。ここを普通にするために俺という個人が順応している、そういうことなんだと考えよう。
過ぎた憎しみや悲しみは、人を狂わせて凶行へと走らせる。仲間達が辿った悲しい結末に、生き残っている俺達が続いてはならない。
だからモノクマを意識して憎しみを抱く感情が薄れているのは、現状では良いことだと思いたい。
それに俺にはエリカがいる。案外、憎しみが薄れているのは、エリカとの尊い時間のおかげかもしれないな。どんなマイナスの考えも、エリカが前へと向かせてくれる。
朝っぱらから色々考え込んでしまったわけだが、ここで俺はその間も時間が経過していることに気がつく。
皆を待たせてしまっているのは毎日のことだが、このままではいつも以上に待たせてしまう。俺は身支度を済ませて食堂へと急いだ。
707:🎏 :2013/12/19(木) 01:32:15 ID:q00uIOJBx6
食堂につくと、いつものように全員集合していた。
何か皆が鳥子を囲んでワイワイ話してる。何やねんと思ったが、昨日の出来事を思い出したらすぐに謎は解けた。
昨日、鳥子は皆の名前をちゃんと覚えることに成功した。しかし、それを披露できたのは健太だけだった。
今は朝で、故に皆が集まっている。その機会を逃さずに勉強の成果を披露した結果、この状態になっているんだろうな、と考えた。
とりあえず到着を知らせる意味も込めて、俺もその輪に入ることにした。俺を除け者にすんじゃねえ。いや、俺が遅れてるのが悪いんだけどな。
708:🎏 :2013/12/19(木) 01:34:08 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「鳥子、ちゃんと名前覚えただろ?教えんの苦労したんだぜ」

氷室エリカ「あ、瑞樹くん!毎朝毎朝遅いよー」

左雨瑞樹「ああ、わりいわりい」

中後小百合「しかし驚いたな。相田がここまで賢くなるなんてな」

相田鳥子「べんきょーしたからな!中後のなまえもばっちりだぜ!」

中岡笑「高校生が人の名前覚えただけで褒められるって、馬鹿にされてるようにしか思えないですけどね……」

相田鳥子「あたしが馬鹿なのはほんとーのことだろー?だからべんきょーすんだろー?馬鹿かー?」

中岡笑「いや、だから……ああ、もういいです」

肉丸健太「相田さんが頑張ったねって話はもうわかったから、早くごはんにしようよ!僕の胃袋が限界を通り越そうとしてるよ!」

黒魔帝兎「お前は本当にそればっかりだな……」

左雨瑞樹「何だ?飯まだ作ってないのか?別に俺を待たなくてもよかったのに」

氷室エリカ「何言ってるの?瑞樹くんも作るんだから、瑞樹くんがいなきゃ始まらないでしょ?」

左雨瑞樹「は?」

白鳥輝穂「左雨さんが昨日手伝ってくれて、本当に助かったんです。それに、氷室さんと一緒にいる時間も必要でしょう」

左雨瑞樹「え……もしかして、今後も俺が手伝う流れなのか?」

氷室エリカ「当たり前だよ。私達が一緒にいられるようにっていう白鳥さんの優しさなんだし!」

氷室エリカ「それに、手伝ってくれると助かるのは本当だしね」

左雨瑞樹「マジかよ……」
709:🎏 :2013/12/19(木) 01:36:09 ID:q00uIOJBx6
氷室エリカ「そういうわけで、瑞樹くん、今後はもうちょっと早く来てね!」

左雨瑞樹「面倒なことになったなあ……まあ、エリカも輝穂も、毎朝その面倒を頑張ってくれてんだし、仕方ねえか。それに……」

肉丸健太「僕のお腹が減って震えるぅ!食い物寄越せと轟き叫ぶぅ!」

左雨瑞樹「……いい加減飯作らねえと健太が暴走してしまうだろうしな」

氷室エリカ「じゃあ調理開始だね!アイビーを預けておきたいんだけど……相田さんはアイビーを滅茶苦茶にしちゃうしなあ」

氷室エリカ「だから中後さん、アイビーをちょっと持っててくれないかな?」

中後小百合「心得た。ぬいぐるみを抱くなど久方振りだなあ。年甲斐もなくはしゃぎたくなるね」

氷室エリカ「……あれ?何か中後さんに預けるのも危ないような気がしてきた。や、やっぱり他の人に……」

白鳥輝穂「アイビーさんを預けましたね。それでは朝食を作りましょう」

左雨瑞樹「そうだな。急がないと健太がラードフィンガーとか炸裂させるかもしれないしな」

氷室エリカ「嫌な必殺技だね!?じゃあもう中後さんに預けるけど……アイビーに変なことしないでよね」

中後小百合「ふふふ……ふふふふ」

氷室エリカ「返事もせずに笑ってるよ!絶対何かやらかそうとしてるよ!」

左雨瑞樹「まあまあ、いいから一緒に厨房行こうぜ」

氷室エリカ「アイビーが!アイビーが大変なことになっちゃう!」
710:🎏 :2013/12/19(木) 01:38:14 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「半ば無理やり連れてきて、厨房へと来たわけだが」

氷室エリカ「うわー……アイビーが心配で仕方ないよ」

白鳥輝穂「中後さんを信じましょう。それより、私達は調理をしましょう!」

氷室エリカ「昨日と同じようにちゃんと指示するから、安心してね、瑞樹くん」

左雨瑞樹「頼むよ、ほんと……」



氷室エリカ「……指示してるからってのもあるんだろうけど、それ抜きで考えても瑞樹くん料理上手だと思うよ」

白鳥輝穂「本当ですよね。凄く助かります。料理をしてたとかじゃないんですよね?」

左雨瑞樹「家庭科以外だとほとんどやったことねえよ。だから意外と出来てる現状が不思議で仕方ないんだよなあ」

氷室エリカ「ほぼ初めての状態でこれだけ出来るんなら、才能あるんじゃないの?超高校級の料理人だね!」

左雨瑞樹「俺は一人でどんだけ才能を秘めてんだよ……」

氷室エリカ「貧乏くじにモノクマメダル集め、あと……あとは、キングくんの翻訳……」

左雨瑞樹「……それ、無駄な才能になっちまったな。話変えるか。輝穂、お前は今後どう生きていこうとか言う目標ってあるか?」

白鳥輝穂「え、目標ですか?急にどうしたんですか?」

左雨瑞樹「いや、鳥子が勉強頑張るとか言い出してるだろ。皆、ここでの生活を前向きに頑張ろうとしてる」

左雨瑞樹「輝穂はそういうの、見つけることが出来てんのかなあって思ってさ」
711:🎏 :2013/12/19(木) 01:40:48 ID:q00uIOJBx6
白鳥輝穂「……私という人間は、自分という物がなかったんだと思います」

氷室エリカ「自分という物?」

白鳥輝穂「お二人とも、私が芸能界に入った理由を覚えてますか?」

左雨瑞樹「覚えてるよ。街中でスカウトに絡まれて、断り切れなくて芸能界入りしたんだよな>>499

白鳥輝穂「結局、それって自分の意思ではないんです」

白鳥輝穂「私に時間を費やしたスカウトさんの迷惑になりたくない……そう思って、芸能界に入ったんです」

白鳥輝穂「私は、人のことを気にしてしまいます。それは、私の父親に原因があります」

白鳥輝穂「私の父親は、自分の気に入らないことがあると、暴力に頼るような人です。幼少の頃、私はよく怪我をしたものです」

白鳥輝穂「だから私は、父親の望むように振る舞ってきました。そうしているうちに、人が自分に望むことが何となくわかるようになりました」

白鳥輝穂「……父親の暴力のせいか、私は自分勝手に振る舞うことで相手が怒るのが怖いんです。だから自分を押し殺してしまいます」

白鳥輝穂「人の顔色を窺って、人の望むように振る舞う人生。私は、誰かと触れ合って楽しいと思えることがありませんでした」

白鳥輝穂「人の怒りを買わないよう、自分を偽って、自分を守る。私は、そんな自分が嫌いでした」

左雨瑞樹「……すまん。地雷だったか?」

白鳥輝穂「地雷?この話題を選んだことに謝っているのなら、大丈夫ですよ」
712:🎏 :2013/12/19(木) 01:43:08 ID:q00uIOJBx6
白鳥輝穂「ここで皆さんと触れ合いましたが、皆さんは本当に掛け替えのない仲間なんだと感じています」

白鳥輝穂「そんな大切な仲間に対して丁寧に振る舞うのは、何故だか嫌ではありませんでした」

白鳥輝穂「きっとそれは、自分を守るなんて理由ではなく、初めて純粋に相手のために出来たからだと思うんです」

白鳥輝穂「皆が優しいから……皆のために行動したいって気持ちになれたんです」

白鳥輝穂「私の行動は今も昔も変わってません。でもその理由は大きく変わりました。だから今は自分を好きになることが出来てます」

氷室エリカ「そっか。白鳥さんも前向きに変わっていけてるんだね。よかったよ!」

氷室エリカ「……あれ?何でこういう話になったんだっけ?」

白鳥輝穂「ここで生活するに当たって何か目標はあるのかっていうお話です」

白鳥輝穂「私、体を鍛えてみたいって思ってるんです」

左雨瑞樹「体を鍛える?」

白鳥輝穂「私は、ここでの生活が始まってから、特に本田川さんと百目鬼さんに仲良くしてもらいました」

白鳥輝穂「今はもう亡くなってしまいましたが、今でも私の親友です」

白鳥輝穂「今はもういない二人……サッカーやプロレスの夢も叶わぬまま、旅立たれてしまいました」

白鳥輝穂「……私は、サッカーやプロレスは無理だとしても、何かスポーツで二人の夢を繋いでいきたいと思うんです」

白鳥輝穂「ここでずっと生きていくにしても、自分自身何かを極めたり、スポーツの魅力を皆さんに伝えたりして……」

白鳥輝穂「本田川さん、百目鬼さんの夢と完全に一致しなくとも、それに準する行動はできると思うんです」

白鳥輝穂「それが、今の私の目標ですね」
713:🎏 :2013/12/19(木) 01:45:37 ID:q00uIOJBx6
白鳥輝穂「私の過去を話したのは……この目標が、やらされてるとかじゃなく、自分の意思でやるということをわかってもらいたかったからです」

白鳥輝穂「夢を繋いで天国の二人が喜んでくれるならそれは嬉しいですけど、自分達のために嫌々やってる、なんて風に二人が勘違いしたら嫌ですからね」

白鳥輝穂「……私の目標のお話は以上です」

左雨瑞樹「輝穂もちゃんとした目標が見つかってんだな。皆本当に立派だな」

氷室エリカ「ごめんね、白鳥さん。過去の嫌な思い出を話させるような真似して。あとで瑞樹くんぶっとばしておくから」

左雨瑞樹「いや、確かに話を振ったのは俺だけどよ……」

白鳥輝穂「いいんです。左雨さんと氷室さんだから気兼ねなく話したんです」

白鳥輝穂「私はお二人のことも信用してますから。過去を話したこと、何も気にしてなんかいませんよ」

氷室エリカ「そっか。白鳥さんがいいんなら、私も瑞樹くんぶっとばすのやめるね」

左雨瑞樹「ちょっとした九死に一生スペシャルだわ……」

白鳥輝穂「さてと、料理も完成しましたね」

氷室エリカ「口だけじゃなく手もちゃんと動かしてたからね」

左雨瑞樹「健太の暴走を止める時だな。食堂に持ってくとすっか」

氷室エリカ「あと、アイビーの安否確認もしなくちゃ!」

白鳥輝穂「では、食堂に料理を持っていきましょう」
714:🎏 :2013/12/19(木) 01:47:36 ID:q00uIOJBx6
白鳥輝穂「お待たせしました」

肉丸健太「僕は!この瞬間を待ち望んでいたんだよ!」

黒魔帝兎「肉丸は本当に食事の時だけ活き活きするよな……」

中後小百合「暴走する肉丸を静観するのもからかうのも面白い。なかなかいい戯れだよ」

氷室エリカ「……ところで、中後さん、預けたアイビーの姿が見えないんだけど」

中後小百合「おやあ?どうやら失踪してしまったみたいだ。悪いね、目を離してる間にどっか行ってしまったみたいだ」

氷室エリカ「いや、アイビーはぬいぐるみなんだから、目を離したところで勝手に動くわけないでしょ!中後さん、どこに隠したの!?」

中後小百合「私が隠したアイビーくんだかアイビーちゃんだかを見つけ出す。なかなかいい戯れだと思わないか?」

氷室エリカ「思わないよ!弄んで遊ぶのは肉丸くんだけにしてよ!」

中岡笑「何か勢いで滅茶苦茶なこと言われてますよ……」

肉丸健太「でも可愛い女子に言われてると思うと悪い気しないよねー。あとごはんおいしいよー」

中岡笑「……あなたに振った自分が愚かだったと思うことにします」

氷室エリカ「ああもう!アイビーどこにやったの!?瑞樹くんも一緒に探してよー!」

左雨瑞樹「今日も元気だ飯がうまい」

氷室エリカ「ごはん食べてないで、アイビー探してよー!」
715:🎏 :2013/12/26(木) 00:59:43 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「ふー食った食った。さて、今日はどうするかなー」

氷室エリカ「どうするも何も、アイビー探すの!瑞樹くんも手伝って!」

左雨瑞樹「あ、その話まだ続いてたんか?」

中後小百合「ふふふ、悪いね二人とも。思いついてしまったからやらずにはいられなかった。私の道楽に付き合ってくれ」

氷室エリカ「付き合わないとアイビー帰ってこないんでしょ!?やるよ、もう!」

中後小百合「ふふ、ありがとう、氷室。ではアイビー探しゲームで私を楽しませてくれ」

左雨瑞樹「小百合、さすがにノーヒントじゃ闇雲に探すだけでお互いつまらねえだろ。何かヒントくらいくれよ」

中後小百合「ああ、いいよ。とりあえず食堂にはない」

氷室エリカ「食堂にはないの!?」

肉丸健太「中後さん、氷室さん達が料理作ってる間に、ぬいぐるみ持って食堂を出てったんだー」

中岡笑「戻ってきた時には手ぶらでしたから、自分らもどこにあるかは知りませんよ」

中後小百合「そういうことだ。このまま食堂でゆっくりしててもアイビー氏は見つからんよ」

氷室エリカ「くそー!こうなったら捜査だよ!足で探すしかないよ!」

左雨瑞樹「やれやれ、今日も退屈しないで済みそうだな……」
716:🎏 :2013/12/26(木) 01:01:19 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「アイビーを探して校内うろつき中だ」

中後小百合「私も一緒に行動させてもらってるよ」

氷室エリカ「アイビー!どこー!?いたら返事してー!」

左雨瑞樹「返事したら怖えよ……」

左雨瑞樹「それはさておき小百合、そろそろ次のヒントくれねえか?食堂以外なんてヒントだけじゃ、探すのしんどいぞ」

中後小百合「それじゃ次のヒントをくれてやろうか?」

左雨瑞樹「ああ、よろしく頼む」

中後小百合「じゃあ言おうか。百目鬼良子が破壊を試みたのは、どこの何が最初だったかなあ?」

氷室エリカ「え?百目鬼さん?何だったかなあ……いろんな物壊そうとしてたから、どれを最初に壊そうとしたか覚えてないよ……」

左雨瑞樹「……たしか玄関ホールの扉が最初だな>>52後に窓の鉄板とかいろいろ壊そうとするわけだが、最初のターゲットはあの扉のはずだ」

中後小百合「ふふふ、正解だ。さすが左雨はちゃんと物事を記憶してるな。偉いぞ」

左雨瑞樹「馬鹿にしてんのかよ……」

中後小百合「それはさておき、それがヒントだ。ヒントっていうか、今となっては答えかもしれないなあ」

氷室エリカ「よーし!瑞樹くん、玄関ホールにレッツゴーだよ!」
717:🎏 :2013/12/26(木) 01:02:52 ID:q00uIOJBx6
氷室エリカ「玄関ホールに着いたよ!」

左雨瑞樹「いつ見てもこの扉は過剰な閉じ込め具合だよな……」

氷室エリカ「ここにアイビーがいるんだよね!」

中後小百合「そいつはどうだろうね。決めつけはよくないと思うなあ」

左雨瑞樹「お前がここだって言ったんだろ……」

中後小百合「ああ、そういうヒントを出したね。で?」

左雨瑞樹「で?じゃねえだろ」

氷室エリカ「瑞樹くん!何かメモがあったよ!」

左雨瑞樹「メモ?」

氷室エリカ「じゃあ中村が一番最初に破壊を試みたのはどこの何だったかな?って書いてある。……え?何これ?」

中後小百合「あったのはアイビーじゃなくて、次なるヒントだったな」

左雨瑞樹「お前……答えだって言ったじゃねえか」

中後小百合「私は、答えかもしれないって言ったと思うけどね」

左雨瑞樹「屁理屈だろ……」
718:🎏 :2013/12/26(木) 01:03:55 ID:q00uIOJBx6
氷室エリカ「もー!中村くんが最初に壊そうとしたのって何!?教えて瑞樹くん!」

左雨瑞樹「……良子はけっこういろんな物を壊そうとしてた記憶あるけど、闘球って何か壊そうとしたっけか?」

氷室エリカ「……あ、たしか百目鬼さんと一緒にシャッター壊そうとしてたと思う!>>57

氷室エリカ「たしか校舎側のシャッターだったよ!そこにアイビーか次のメモがあると思うよ!行ってみよう!」

左雨瑞樹「……いや、待て。思い出した。闘球が最初に壊そうとしたのは、裁判場に行くエレベーターの部屋の赤い扉だ>>56

左雨瑞樹「僅差だが、闘球はまずはじめに、当時謎だったあの扉の破壊を試みている。だからそっちが正解だ」

中後小百合「おお、正解だ。さすが左雨はいろんなことを覚えてるな。そりゃ事件も解決するわな」

左雨瑞樹「うっせーな。出題してる時点でお前も記憶力いいってことだろ」

氷室エリカ「確かに中後さんもさりげなく賢い感じはするよね」

中後小百合「ふふふ、褒められると悪い気はしない。それはさておき、アイビーの行方はどうでもいいのかい?」

氷室エリカ「ああ、そうだよ!瑞樹くん、エレベーターのとこの扉に急ごう!」

左雨瑞樹「はいはい、わかりましたよ……」
719:🎏 :2013/12/26(木) 01:06:10 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「到着っと」

氷室エリカ「瑞樹くん、またメモがある……」

左雨瑞樹「まあ予想はしてたよ。で、何て書いてる?」

氷室エリカ「螺旋の鎮魂歌……って書いてある。イミフだね」

中後小百合「螺旋の鎮魂歌ねえ。一体どういう曲なんだろうね?一応音楽家ではあるから気にはなるよ」

左雨瑞樹「何で出題した側が他人事なんだよ。……これどっかで聞いたことあるなあ」

氷室エリカ「超高校級のピアニストも知らない曲を瑞樹くんは聴いたことあるの?すごいね!」

左雨瑞樹「いや、そうじゃなくて……螺旋の鎮魂歌って単語をどっかで聞いたことあんだよ」

左雨瑞樹「……思い出した!これはキングが洗濯機を指して言った言葉だ!>>126

氷室エリカ「洗濯機……ということは、次のヒントはランドリールームにあるんだね!」

左雨瑞樹「もうアイビー本人がいることを諦めてるじゃねえか……」

中後小百合「それではヒントを見に行くとしよう」

左雨瑞樹「こっちもこっちで言い切っちゃったしよ……」
720:🎏 :2013/12/26(木) 01:08:18 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「ランドリールームに着いたけど、次のメモには何て書いてある?」

氷室エリカ「ちょっと待って、メモがまだ見つかってないよ。……あった!」

氷室エリカ「えっとね……私達の中で左利きなのは誰だ?って書いてある」

氷室エリカ「左利き?そんな人いたっけ?」

左雨瑞樹「いるよ。笑がそうだ」

氷室エリカ「中岡くん?」

左雨瑞樹「普段から細かく観察してればすぐわかることだし、そうじゃなくても本人が断言している>>290

中後小百合「ご名答。中岡は左利きだな。氷室は相方なんだから、それくらい覚えといてやれよ」

氷室エリカ「いや、まあ確かに私とアイビーは中岡くんと漫才したけどさ……」

中後小百合「しかし順調だなあ。左雨にかかれば、過去を思い出すだけのクイズじゃ話にならんかな?」

左雨瑞樹「いや、別に俺じゃなくても話にならんだろ……」

氷室エリカ「そうでもないと思うけど。些細なことってすぐ忘れちゃうもん。瑞樹くんは凄いと思うよ」

中後小百合「そういうことだ。ここは素直に褒め言葉を受け取っておけよ、左雨くん」

左雨瑞樹「それで、次は笑の部屋に行けばいいわけか?」

氷室エリカ「そうじゃない?それじゃ中岡くんを追い詰めてアイビーの場所を吐かせよう!」

左雨瑞樹「笑とばっちりだな、おい……」
721:🎏 :2013/12/26(木) 01:10:18 ID:q00uIOJBx6
氷室エリカ「中岡くーん!あなたは完全に包囲されてるよー!武器を捨てて投降するんだー!」

左雨瑞樹「チャイム連打してやんなよ……ていうか笑は何をしたんだよ?」

中岡笑「あーもーうるさいですよ!一回鳴らしてくれれば出てきますよ!馬鹿じゃないんですから!」

中後小百合「やあ中岡。どうしたんだい?」

中岡笑「それ自分の台詞ですよ!部屋のチャイム鳴らされてるから出てきてんですよ、自分が!」

中岡笑「ていうか、中後さんは知ってるはずでしょ!左雨来たらこう言ってくれとか頼んだでしょ!」

氷室エリカ「あ、やっぱり中岡くんで正解なんだね」

左雨瑞樹「俺らが正解しなかったらどうするつもりだったんだよ……」

中後小百合「左雨なら大丈夫だと信じていたし、仮に駄目でも中岡がまだかまだかってドキドキし続けるだけさ。何の問題もない」

中岡笑「ありますよ!長期的にドキドキしてたら自分の負担半端ないですよ!」

氷室エリカ「それよりも中岡くん、何か言うことがあるんでしょ?教えてよ!」

中岡笑「何なんですか、自分の扱いは……」

中岡笑「えっとですね……左雨と手を握り合っていちゃいちゃした女子は誰だったかって。そうですよね?中後さん」

中後小百合「ふふふ、上出来だ」
722:🎏 :2013/12/26(木) 01:12:24 ID:q00uIOJBx6
氷室エリカ「手を握った!?わ、私がいるのに他の女の子と手なんか握ったの!?」

中岡笑「氷室さんのことを言ってるんじゃないんですか?」

中後小百合「悪いが違うな。氷室と左雨は手を握り合っていちゃいちゃしてるんだろうが、ここでは別の女子としてくれ」

左雨瑞樹「エリカ以外で手を握っていちゃいちゃだと?そんな覚えはないんだが……」

氷室エリカ「もー!過去のこと散々覚えてる癖に、浮気の瞬間だけ覚えてないとは都合の良い記憶だね!」

左雨瑞樹「手ぇ取り合うだけで浮気かよ……ていうか、俺が好きなのはエリカだ。エリカがいればそれでいいんだよ」

氷室エリカ「……私も瑞樹くんがいればそれでいいよ。えへへ、一緒だね!」

中岡笑「頼みますから爆発してくださいよ……」

左雨瑞樹「それにしたって、マジで覚えがねえよ……いちゃいちゃなんかしてねえよ」

左雨瑞樹「……手を握った女子?……なるほど、そういうことか」

左雨瑞樹「小百合、お前のことだろ、これ」

中後小百合「ふふふ、御名答だ。さすがいちゃいちゃし合った仲だ。ちゃんと覚えててくれたんだな」

左雨瑞樹「してねえだろ!お前が自棄になった時、それを止めるために手を取っただけだろ!>>145

中後小百合「私はいちゃいちゃしたと思うがな。少なくとも、あれは私は嬉しかったね。今更ながらお礼でも言っておこうかね」

氷室エリカ「……とにかく二人は浮気な関係じゃないんだね?信じていいんだね?」

左雨瑞樹「ああ。いつも通り小百合が茶化してるだけだ」

中後小百合「ふふふ」
723:🎏 :2013/12/26(木) 01:13:54 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「で、笑の出題を解いた結果、お前に辿り着いたわけだが、どういうことだ?」

中後小百合「アイビー殿なら私の部屋でくつろいでるよ。そろそろ御対面と行こうじゃないか」

氷室エリカ「本当!?ようやくアイビーと再会できるんだね!」

氷室エリカ「中岡くん、もう用事ないから部屋戻ってていいよ!それじゃ私達は行くから!」

中岡笑「最後まで俺の扱い雑じゃないですか!何なんだよ、もう!」



中後小百合「いらっしゃい。私の部屋はどうだい?」

左雨瑞樹「どうだいって……全てが初期のままだしどうもこうもねえよ」

氷室エリカ「本当に初日のままだね。何も変わってないよ。最初からあった物が、最初からあった場所にあるだけ」

左雨瑞樹「何かあの日に戻った感じでちょいと怖くなるな……」

中後小百合「それはそうと……氷室、お望みはこいつだろ?」

氷室エリカ「ああ!アイビー!会いたかった!」

左雨瑞樹「よかったな、アイビーが無事に戻ってきて」

左雨瑞樹「……もう昼じゃねえか。けっこう探し回ってたんだな、俺達」

中後小百合「私の暇つぶしに付き合ってくれてありがとな、二人共。おかげで楽しかったよ」

氷室エリカ「私はもう絶対に中後さんにはアイビーを預けないと決めたよ!」
724:🎏 :2013/12/26(木) 01:17:38 ID:q00uIOJBx6
左雨瑞樹「……小百合。どうして今回みたいなことをしたんだ?」

中後小百合「言っただろう?単なる暇つぶしさ。私もここで楽しく生きるために色々模索中なんだよ」

左雨瑞樹「暇つぶしにしたって、色々あるだろ。何で過去を……死んだ仲間をも振り返るようなことをしたんだ?」

中後小百合「精神に負担をかけないよう生きるために、悲しい思い出を忘れるっていうのは悪くない手だろうな。生きるためには妥当な手段だと思うぞ」

中後小百合「でもな。悲しい思い出を避けるために、仲間を腫れ物扱いするのも心苦しい。悲劇を遂げて死んだが、今でも仲間だと思うしな」

中後小百合「だから悲しい思い出だけうまいこと避けつつ、仲間を忘れない方法にならないかと、ちょっと試してみたかったのかもしれないな」

中後小百合「先にも言ったが、忘れるというのも立派な自己防衛だと思うよ。迷惑になるならやめるが、如何なさるか?リーダー殿」

左雨瑞樹「……いや、いい。確かに避けて忘れるのは駄目だよな。仲間のことなんだし」

左雨瑞樹「試みはわかったよ。でもアイビーを巻き込むのは今後からはやめてくれよな。エリカが悲しむし」

中後小百合「承った。氷室よ、左雨との絆を奪うような真似してすまなかったな」

氷室エリカ「本当だよ!今度やったら左雨くんにぶっとばしてもらうからね!」

左雨瑞樹「女子をぶっとばすとかいう蛮行を俺に押し付けるなよ……」

中後小百合「ははは……さてと、昼だな。そろそろ飯にしようかな」

左雨瑞樹「そうだな。小百合も一緒に食堂行こうぜ。エリカが何か作るだろうよ」

中後小百合「そいつは助かるな。料理もまともに出来ないような女だからな」

氷室エリカ「……アイビーは絶対に預けないからね」

中後小百合「ははは、すっかり嫌われてしまったなあ」
725:🎏 :2013/12/29(日) 01:09:17 ID:q00uIOJBx6
俺と小百合はエリカが作った飯で昼食を取った。瑞樹くんにアイビー預かっててほしい、とのことで、今回は俺は飯作りに参加してない。
簡単な物でいいよね?との問いに、俺も小百合も首を縦に振ったので、エリカ一人でちゃちゃっと作ったわけだ。
こうして三人と食堂の守り神がワイワイ食べてる中、ある男がエリカを訪ねてきたのだった。

中岡笑「あ、氷室さん。ここにいたんですね」

中後小百合「中岡じゃないか。どうした?さっき適当に扱われた復讐にでも来たのかい?」

氷室エリカ「中岡くん、復讐に生きたって空しいだけだよ」

中岡笑「復讐じゃないですよ!どんだけ沸点低いんですか、自分は!?」

中岡笑「そうじゃなくてですね、また氷室さんと漫才のネタとか考えたいなーって思ったんですよ」

中後小百合「ああ。あの生き恥をシリーズ物にするつもりか」

中岡笑「生き恥て!?人の生き甲斐に何てこと言ってくれてんですか!?」

左雨瑞樹「漫才、またやろうとしてんのか?」

中岡笑「そうですね。自分の生き甲斐って言ったら、やっぱりこれですので」

中岡笑「観客固定はきついものがありますけど、でもやっぱり笑って生きていきたいですもんね」

中岡笑「だから絶えずネタを考えて、定期的に披露しまして、皆さんに笑ってもらいたいんです」

左雨瑞樹「そっか。やりたいことがあるのっていいことだからな。応援するよ」

氷室エリカ「そうだ!今回は左雨くんも生き恥晒そうよ!」

中岡笑「だから人の生き甲斐を生き恥扱いせんといてくださいよ!」

左雨瑞樹「一緒に生き恥晒そうって、全く心動かない誘い文句だな……」
726:🎏 :2013/12/29(日) 01:10:09 ID:q00uIOJBx6
中岡笑「それはともかく、左雨くんもどうです?コンビもいいけどトリオもいいですよ」

氷室エリカ「何言ってんの、中岡くん。もともと私とアイビーでトリオでしょ」

中岡笑「うん、もう面倒臭いんでスルーしますけども……」

中岡笑「それで、左雨くんはどうします?」

左雨瑞樹「……ネタ作りだけでも参加してみようかな。エリカと一緒にいたいし」

氷室エリカ「左雨くん、やるんだ。そもそも私はやるって言ってないんだけどね」

中岡笑「え!?やってくれないんですか!?」

氷室エリカ「冗談だよ!今回もやるよ。律義に突っ込んでくれるし、中岡くんいじるの面白いなあ」

中岡笑「……まあ一応芸人させてもらってますからね。反応しとかないとまずいですよね」

氷室エリカ「とにかく決まりだね。それじゃ午後からいろいろネタ作りしてみよう!」

左雨瑞樹「笑の部屋で?」

氷室エリカ「中岡くんの部屋で!」

左雨瑞樹「そっか。それじゃ笑の部屋行くか」

中岡笑「自分抜きでドンドン話進みますね!?いや、別にいいんですけどね!」
727:🎏 :2013/12/29(日) 01:12:19 ID:q00uIOJBx6
中岡笑「所変わって自分の部屋です」

左雨瑞樹「……普通な部屋だな」

氷室エリカ「とてもお笑いやってる人の部屋とは思えないよね。何の面白みもないよ」

中岡笑「いや、自分かて四六時中芸人ってわけでもないですから。プライベートは普通の人ですよ」

左雨瑞樹「何か……物ボケとか出来るよう、変な物でも置いとけば?」

中岡笑「だからプライベートまで積極的にボケる必要はないんですって!いいからネタ作りましょう!」

左雨瑞樹「ネタ作りねえ……そういうのってどうやって決めんの?」

中岡笑「ネタ作りですか?どうやって決めると言われましても……」

中岡笑「まずはとにかくいろいろ考えましょう。ネタ帳に思いついたのをバンバン書いていきましょう」

左雨瑞樹「ほう。でも、それだけじゃ到底面白いネタにはなり得ないだろ」

中岡笑「そうですね。だからそこから抽出したり順序を考えたりで、まとめていかないといけません」

中岡笑「ここでの生活ならほとんど無視していいでしょうけど、時間も重要です。大会はもちろん、バラエティ番組で軽くネタ見せする時でも、時間って限られてますから」

中岡笑「一分のネタ、三分のネタ、あるいはもっと時間があるのか……それによってはネタの詰め込み量や、ボケる頻度、そのテンポ等も考えないといけませんね」

中岡笑「テンポと言えば、同じネタでも喋るスピードなんかで最終的に終わる時間も変わってきますからね。その辺も考えないといけません」

中岡笑「間を作って溜めたりするのは次への布石になったり、間そのものが笑いを含んだりしますけど、時間の制限を考えるとネタの数は相対的に減っていきます」

中岡笑「つまり少ないチャンスで確実に物にしないと、間は逆に自分を追い詰めてしまうこともあります」

左雨瑞樹「でもうまく使いこなせば、その爆発力は凄まじいって感じか」

中岡笑「そうです。さすが左雨くんは要点をわかってくれますね」
728:🎏 :2013/12/29(日) 01:16:40 ID:q00uIOJBx6
中岡笑「安全なのはネタを詰め込んでハイテンポで繰り出す物ではないでしょうか」

中岡笑「こうすれば、笑いどころに切れ目がなくなりますし、いくつかのネタをつまらないと片づけられても、前後のネタで即座にリカバリーできます」

中岡笑「よっぽど滑り続けない限り、これが出来れば安定した芸人と見てもらえるのではないでしょうか」

中岡笑「ただ、気をつけないといけないのは、ハイテンポで詰め込めば詰め込むほど漫才に余裕がなくなります」

中岡笑「こういう漫才をする際に、やってしまいがちな失敗は、早く喋ろうとしすぎてお客さんに伝わらないことです」

中岡笑「急いでしまって早口になったり滑舌が悪くなったりして、お客さんが聞きとれなくなったら本末転倒ですよ」

中岡笑「滑舌の悪さは、突き抜ければそれがネタとして武器になるかもしれませんが、漫才としては邪道だし、急いだ末の中途半端な物は不快にしかなりません」

中岡笑「お笑いっていろんな形がありますが、基本形は相手に伝えて笑わせることだと思います。その伝える部分を疎かにしては何にもなりません」

中岡笑「自己満足でやるんじゃないんです。お客さんの笑顔のためにやるんです。早くするだけじゃなく、伝える正確性も欠けてはならないんです」

中岡笑「ですので、ネタをどう詰め込むか考えるのもいいんですけど、相手の基準で考えて、どう伝えるかも大切だと思いますね」

左雨瑞樹「……お前って本当に芸人やってんだな」

中岡笑「そりゃやってますよ!自分、超高校級の芸人ですよ!」

左雨瑞樹「ネタやってる時はただ調子乗って滑ってる高校生って思えるけど、そういう話聞くとちゃんと芸人やってるんだなあって思うわ」

中岡笑「散々ですね!?今ので自分の誇り粉々に砕けましたよ!」

左雨瑞樹「なんつーか、そういう話聞いてると他にもいろいろ聞きたくなるよな」

中岡笑「いや、でも今日はネタ作りのためにですね……」

氷室エリカ「いいんじゃない?私も聞いてて楽しいよ。お笑いはお客さんの笑顔のためにやるんでしょ?」

中岡笑「……そう言われると引くわけにはいきませんね。わかりましたよ」
729:🎏 :2013/12/29(日) 01:19:11 ID:q00uIOJBx6
中岡笑「とは言いましても、何を話せばいいんでしょうね?」

左雨瑞樹「番組収録の話とかどうよ?漫才やコントと違って、事前に決めて披露するだけじゃ切り抜けられないだろ?」

中岡笑「あー、確かにそうですねえ」

中岡笑「バラエティ番組とかだとトーク力が試されますね」

中岡笑「司会者から振られて話すのはもちろんのこと、他の人の話の時に、如何に邪魔せず入っていくか、とかが重要です」

中岡笑「あまり他人の話に介入しすぎると、他の出演者から煙たがられますしね。俺の出番を奪うなよ!みたいな」

中岡笑「上手い人は、他人の番の時に、その人の個性を殺さず、なおかつ自分をしっかり売り込んで来ますからね。本当凄いですよ」

中岡笑「あと、これはチャンスだと思ってガンガンいきすぎちゃうと、収録時間が長引いたり編集が大変だったりで迷惑かかっちゃいますしね」

中岡笑「全国放送の有名番組だとメンバー凄いですから。自分の役割を理解して、番組を壊さない程度に自分を売り込まないといけません」

中岡笑「……でも、そういう凄い面子が集まってると、どんなことをしてもサポートしてくれるので、勇気さえあれば一歩踏み込んでいけますね」

中岡笑「天然だったり滑ったり、その場をポカンとさせてしまうような発言をしても、即座にツッコミ等で笑いに変えてくれます。それは心強いですよ」

中岡笑「とは言え、甘えっぱなしじゃ筋が通りません。最善はやはり自力で上手く展開するのが理想ですね」

中岡笑「地方番組とかだと、そういう自力を試されるような気がします。サポートしてくれる豪華な面子なんていないわけですからね」

中岡笑「地方で主に扱っていただくのも、全国で脇役をやるのも、大変ですよね。けっこう神経すり減らしますからね」

中岡笑「でもそれが、テレビの前で誰かの笑顔に繋がってると思うと、勇気と力が湧いてくる感じしますよね」

左雨瑞樹「一時間前後の娯楽を作るだけでも、やっぱそんだけいろいろ考えて苦労してんだな」

氷室エリカ「何か今回の件で中岡くんの評価上がった感じだよね」

中岡笑「むしろ自分は今まで評価低かったのが納得できませんよ……」
730:🎏 :2013/12/29(日) 01:20:47 ID:q00uIOJBx6
……こんな調子で芸能界を生きる芸人の話を聞いて午後は確かに過ぎていった。
当初の予定だったネタ作りはほとんど進まなかったけど、俺やエリカにとっては興味深い話が聞けたんじゃないかな。
俺達がテレビで見る華やかな世界。その華やかさを演出するために、芸人がしている陰ながらの努力。
厳しい世界を生き残るため、笑も工夫を凝らして最大限努力をしていたみたいだ。
この生活で、俺達はよく笑をいじるような気がする。そしてそれに笑が突っ込む。こうして笑いが生まれる。
その笑いは、笑の最大限の思いやりから生まれた物なんだと、今日の件でそう認識できた。
お笑いなんて、その面白みは一瞬くらいしか発生しない。長引いても数分だ。一時間程度の番組で放送中ずっと笑うなんてことはない。
そういう一瞬の楽しい気持ちのために、長い長い時間をかけて丁寧に丁寧に仕上げて披露する。
それを理解すると、何だか笑に感謝したくなる。俺達の些細な楽しみのために、たくさん頑張ってくれてるんだからな。
笑って楽しむというのは、人が人らしく生きるためには必須の条件だと思う。そう考えると、この学園で人でいられている要因に、笑の存在が挙がっても大袈裟ではないのかもしれないな。
笑の話を聞きながら、俺はそう思ったのだった。



「まあでもこれからも見下していじり続けてはいくけど」
「何でですか!?」
731:🎏 :2013/12/29(日) 01:22:08 ID:q00uIOJBx6
話をしているうちに時計の短針は真ん中より左に侵入を果たした。
そろそろ解散しようという流れになり、笑の部屋を退出。エリカと共に食堂で食事を済ましてから、今日はもう自室に戻ろうということになった。
夜時間にならないうちに風呂などを済まして、さあいつでも寝れるぞという状態ではあるが、脳も体もまだ睡眠を欲してはいない。
そんなわけで体はベッドに放り込みつつ、今日は小百合や笑となんだかんだ楽しかったなあ、等と振り返ってみた。
そしてそれは、間もなくここ数日を振り返る内容へと変わっていった。

ここ数日、エリカと一緒に行動していろんな奴と絡んでみた。
その結果、明確な目標でも曖昧な目標でも、何かしら皆が目標を秘めて前向きにここで生きていることがわかった。
この異常な学園で、本当に前向きにただ生きていくことが出来るのか、という俺の中に巣食う不安を見事なまでに振り払う結果だと思える。
杞憂だったのかもしれない。皆、前向きに、ここで生きている。間違いを犯すことなく、ここで生きているんだ。
俺達はモノクマの悪意に蝕まれることなく、間違いも犯さないで正しく生きていけるんだ。

心配事が問題なく片付いた安堵からか、ここらで急激な眠気が襲ってきた。
それに対して特に抵抗もしないまま、俺は明日へと向かうために意識を遠ざけたのだった。
732:🎏 :2013/12/29(日) 01:23:39 ID:q00uIOJBx6
〜モノクマ劇場〜

ボクは学園長です。生徒であるオマエラのために、より良い学園をと色々努力してるんですよ。
気兼ねなくコロシアイできる環境を整え、動機という後押しも与えています。
全ては善意です。オマエラへの愛とも言えますね。よっ、教師の鑑!
ところが、オマエラはそんな僕を責めます。何でコロシアイを強要するんだ!ここから出してよ!ってね。
何で善意でやってあげてるボクが叩かれないといけないんだ!良かれと思ってやってるんだぞ、ボクは!
コロシアイなんて面白いこと、ボクが環境を与えるまで誰もやろうとしなかったじゃないか!だからボクが環境を与えてあげたのに!
なのに感謝するどころか、それを責める始末です。存分にゆとってますねえ。
でも、諦めずに続ければ、いつかオマエラはわかってくれると信じています。ボクは善意でやってるんですから、それが良いことだといつかは気付くでしょう。
善意を悪とするオマエラの異常的ゆとり症候群がいつか治ると、そう信じてボクは自分を貫きます。
733:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/4(土) 02:02:44 ID:ZEOPBAIpFQ
支援
734:🎏 :2014/1/5(日) 01:22:28 ID:UMpW2c0CII
キーンコーンカーンコーン……
「オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよー!」
「さて、今日も張り切っていきましょー!」

いつも通りのモノクマのアナウンスで目が覚める。そっちはいつもカットしてあるんだろうけど、こっちは毎朝こんなのを聞かされてるんだ。うぜえだろ?
それが何で今日はノーカットなのかというと、その理由は間もなくわかる。

「そうそう、オマエラは至急体育館に来てくださーい!」
「ボクからのありがたい朝礼ですよー!早く来て立ちっぱで聞いてぶっ倒れてくださーい!」

今回はいつもと違って、朝礼の件がつけたされていたのだ。
朝礼でぶっ倒し宣言とは嫌な学園長だな、なんて思ってる場合ではない。
ここは普通の学園ではないんだ。ここは殺し合いのための狂った監獄。
いくら俺達が普通を目指して前向きになっても、この狂った学園長はいつ何時も狂気的に後向きなんだ。
そんなモノクマが急遽俺達を呼びだしている。正直、行きたくないのが本音だ。あいつの悪意は全てを蝕む。
しかし、奴には校則という後ろ盾がある。自分の意のままにできる校則があるから、従わなかった時にどうするかがわからない。
わからないが、よくないことだけは確かだ。おしおきと称する処刑に繋がるのは想像に難くない。
仕方がないので、行きたくないという本音を押し殺して、俺は体育館へと向かった。
735:🎏 :2014/1/5(日) 01:24:04 ID:UMpW2c0CII
体育館には俺以外の仲間全員が揃っていた。
何でこういう集合時に俺は最後になっちまうのか。この距離を長距離として走れない等と言う健太ですら既に到着している。
……いや、そんなことはどうでもいいんだ。全員が集まったということは、呼びだした張本人のあいつが御出座しとなるのだろう。

「オマエラ、集まりましたね!学園長、射出ー!」

聞きなれた声と共に、壇上の床からモノクマが発射された。そのまま壇上の机に着地。初めてこいつと出会った時を思い出す。
机上のモノクマはそのまま机に座り、俺達に語りかけてきた。……例の朝礼だろう。こいつは一体何を話そうとしているんだ。
736:🎏 :2014/1/5(日) 01:25:04 ID:UMpW2c0CII
モノクマ「オマエラ、おはようございます!挨拶は毎日しっかりしてるけど、たまにはモニター越しじゃなくて直にやってもいいよね!」

中後小百合「それで、何で貴様は我々をここへと呼んだ?まさか挨拶を直にしたかっただけじゃないだろう?」

肉丸健太「僕なんか体育館まで急いじゃったから、足がパンパンだよ!」

中岡笑「それは肉丸くんに問題があるだけですよ……」

モノクマ「何で呼んだかって?朝礼するって言っただろ!」

モノクマ「ボクはオマエラに言いたいことがあるのです。だからオマエラを呼んだんです。単純明快だね!」

白鳥輝穂「私達に言いたいことがあるのですか?私達、何かまずいことでもしてしまったのでしょうか?」

モノクマ「してるに決まってるだろ!オマエラの悪行にモノクマ学園長は怒り心頭なんだよ!」

モノクマ「正確に言うと、何かまずいことをしてないから激おこなんですけどね」

左雨瑞樹「……なるほど、そういうことか」

モノクマ「左雨くんは気付いたみたいですけど、ボクから言いましょう。学園長が喋ってこその朝礼ですしね!」

モノクマ「オマエラ、最近平和ボケしすぎです!コロシアイはどうしちゃったのさ!全然つまんないんですよ!」

氷室エリカ「殺し合い……」
737:🎏 :2014/1/5(日) 01:27:11 ID:UMpW2c0CII
モノクマ「オマエラは何を急に日常編やっちゃってるんですか!あれやって楽しかったーこれやって楽しかったーって、何だよ!」

モノクマ「普通の青春じゃないですか!そんな物に何の需要があるって言うんだ!そんなん見てて何が楽しいんだ!クマー!」

肉丸健太「日常系アニメって需要あるよねー。それは単に好みの問題だよー」

中岡笑「いや、今はそういう話をしてるわけじゃないと思いますけどね……」

モノクマ「だからボクは、オマエラがコロシアイするように背中を押そうと決意したのです!生徒が一歩踏み出す勇気を与える学園長でいたいからね!」

中後小百合「一ついいかい?学園長」

モノクマ「はーい。何ですかー?中後さん」

中後小百合「殺し合いを選ぶか、ここでの生活を選ぶか、その選択権は我々にあるはずだ。そして私達はここでの生活を選んだ」

中後小百合「それの何が問題だというんだ?ここのルールに何ら抵触していない。そんな我々が何故咎められなければならない?」

モノクマ「もちろんボクは強制はしません。コロシアイをして卒業を目指すか、ここでくだらない日常系をダラダラ流すか、全てはオマエラの自由です!」

モノクマ「でもさー。ここで日常系SSに路線変更したところでつまんないじゃん。だからボクは方向転換のきっかけになりたいだけです」

モノクマ「ボクはこれからオマエラの背中を押します。でもそこから、くだらない日常系を目指すかどうかはオマエラの自由だよ!」

モノクマ「もっとも、ボクが背中を押して、それでもコロシアイを選ばないでいるか怪しいもんだけどね!うぷぷ!」
738:🎏 :2014/1/5(日) 01:29:22 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「……モノクマ。お前、一体何をしようとしている?」

モノクマ「オマエラは将来の夢ってありますか?」

黒魔帝兎「……は?お前、一体何の話をしてんだ?」

モノクマ「オマエラくらいの年頃だと、あれやりたいこれなりたいっていう、馬鹿みたいな妄想の夢ってのがありますよね」

黒魔帝兎「もうちょい言い方あるだろ……」

モノクマ「そんな未来を目指して、オマエラは学校で勉学に励みます。学生の本分ですね!」

モノクマ「でもさー、イメージだけで漠然と未来を目指すのってしんどくない?少しは体験させてそれから考えさせろよーって感じだよね」

モノクマ「でもオマエラは学生です。学校に囚われの身のオマエラが、未来を体験するなんて、それこそ夢のまた夢……」

モノクマ「そーんなオマエラのために、インターンシップっていう便利な制度があるんだよ!」

相田鳥子「いんたーんしっぷー?」

左雨瑞樹「学生のうちから職場に就業体験ができる制度だ。実際の企業で働く体験が出来るから、来る就職活動の参考になったりするわけだな」

モノクマ「その通りです!もうそんな意識を持ってるなんて、左雨くんは社畜の才能がありますね。よっ、超高校級の社畜!」

左雨瑞樹「むしろムカつくお褒めの言葉、ありがとよ」

モノクマ「いえいえどういたしまして!とにかく、オマエラのことを思って、この希望ヶ峰学園もインターンシップを取り入れようと思うのです!」

氷室エリカ「え?それってどういうこと?」

モノクマ「……オマエラが卒業できた時を仮定して、その経験を在学中のオマエラに積ませてあげようというのです!」
739:🎏 :2014/1/5(日) 01:31:47 ID:UMpW2c0CII
黒魔帝兎「卒業の経験!?それって……外に出れるってことか!?」

モノクマ「いやいや、オマエラが卒業して外に出られるのは、クロとして裁判に勝った時だけですから!残念!」

中後小百合「じゃあどういうことだ?お前の言う卒業の経験とやらは何を指している?」

モノクマ「よーく考えてみてください。卒業したら続きを見れる、ある物があったじゃないですか」

左雨瑞樹「卒業をしたら続きが見れる……お前、まさか!」

モノクマ「以前オマエラにプレゼントしたDVDがあるよね>>141-143

モノクマ「あの続きは本来、卒業してオマエラがその目で見なくちゃいけない物なのですが」

モノクマ「今回は卒業後の体験として、特別に少しだけ続きを見せてあげようと思いまーす!」

モノクマ「前と同じように、視聴覚室にそれぞれのDVDを用意しておきましたので、存分に見ちゃってくださいな!」

左雨瑞樹「お前……まさか、まさかまたあんなことを外でやったのか!?」

モノクマ「うぷぷぷぷ。社会はゆとりが妄想してるのと違って、とても厳しい世界なのです」

モノクマ「その厳しさを目の当たりにして危機感を覚えれば、このままここでグダグダ生きてく、なんて甘ったれたことは言えなくなると思います」

モノクマ「この希望ヶ峰学園に相応しい生徒であるよう、この度の特別インターンDVDで意識を改善してね!」

モノクマ「中後さんの質問に答えた通り、コロシアイするかここで生きるかはオマエラの自由です。ですので、DVDを見るのも見ないのも自由です」

モノクマ「もっとも、オマエラの大事な誰かの状態がわかる映像が見られる環境で、オマエラゆとりがスルーできるとは思えませんけど」

モノクマ「オマエラゆとりはスルースキルなんて持ってないもんね!うぷぷぷ!」

モノクマ「以上で朝礼は終わりです!結局誰も倒れなかったね。つまんねーや!」

モノクマ「これじゃ割に合わないんで、DVD効果でこれから面白くなることを期待しています。それじゃあね!」
740:🎏 :2014/1/7(火) 00:46:18 ID:UMpW2c0CII
壇上の悪魔は言うだけ言って消えてしまった。
体育館に取り残された俺達。誰も何も発しようとはしなかったが、大体思ってることは一緒なんじゃねえだろうか。
……確認しなくちゃいけない。俺の場合は大切な家族が、他の皆もそれぞれの大切な存在が酷く虐げられていたであろうあのDVD。
その続きがあるんだ。気にならないはずがない。見ないわけにはいかない。
それぞれが視聴覚室を目指そうと、体育館を足早に去ろうとした時、一人が俺達の前に立ちはだかった。
氷室エリカだ。
741:🎏 :2014/1/7(火) 00:47:54 ID:UMpW2c0CII
氷室エリカ「皆、どこに行こうとしてるの?まさか、視聴覚室じゃないよね?」

中後小百合「……その通りだと言ったら?」

氷室エリカ「駄目だよ!それでDVDを見ちゃったら、モノクマの思い通りだよ!」

氷室エリカ「私達、決めたよね!?一番の間違いを犯さないよう、外を諦めてここで生きていこうって!」

氷室エリカ「だったら、外の状態なんか知る必要はないよ!そんなの知ったって、ここで生きてく上では関係ないよ!」

氷室エリカ「ここの仲間達だって大切な存在でしょ!?外の様子を知って、ここの仲間を蔑ろにするの!?」

氷室エリカ「モノクマも言ってたでしょ!?見るも見ないも私達の自由だって!ここで生きてく以上、見なくていいよ!」

氷室エリカ「見たら駄目だよ!また皆で殺したり殺されたりをしなくちゃいけなくなったら、私は悲しいよ!」

相田鳥子「たしかに……あたしも、もうここのみんなでころしたりとかがあるのはいやだ」

相田鳥子「なまえもおぼえた、ほんとうにたいせつななかまだ!そんななかまところしたりとかしたくねーよ!」

氷室エリカ「ほら、皆も考え直そう。殺し合いなんて何にもならない。そのきっかけになるかもしれない物をわざわざ知る必要はないよ」

氷室エリカ「爆弾とかで脱出図ったけど、無理だったじゃない。私達はもう自力じゃ脱出できない。だから、知るだけ無駄だよ。辛くなるだけだよ」

氷室エリカ「割り切ろう。全てを失うわけじゃないよ。外の大切な何かと切り離されても、ここに私達がいる。それを全てにすればいいんだよ!」
742:🎏 :2014/1/7(火) 00:51:30 ID:UMpW2c0CII
……確かに、俺達はここで生きていくと決めた。
それは外への未練を断ち切る選択肢。外で何があろうと、その外への関心を完全に遮断し、ここでの生活を全てにすると決めていた。
だから外のことを考えるだけ無駄だし、下手に外の情報を知ってしまえば、封じた未練が蘇ってしまうかもしれない。
俺達が決めた今後の目標を考えれば、今回モノクマが用意したDVDを見ることなんて、何の意味もない無駄な行動だ。
いや、意味がないどころか、悪影響しか及ぼさない行動である。だって俺達は外に出るようなことはしない。つまり外を知るだけ無駄なのだ。
無駄なのに知ってしまえば、余計な雑念が生まれる原因にもなり得る。
瞬間的になら常人も普通に狂う。異常に晒されて瞬間的にでも狂えば、その時に過ちを犯すかもしれない。
だから俺達は、そんなDVDは見ないのが正解なんだ。それを見ることこそが、皆を一瞬でも狂わせる原因になるかもしれないのだから。
俺の家族が今更どうなったって、もうその家族に会うこともない、会わないと決めた。そんな家族の今を知ってどうするというんだ。
エリカの言う通り、見ない方がいいんだ。

……脱出を諦めている以上、それが正解なんだと理屈ではわかっている。
でも……。でも……!
743:🎏 :2014/1/7(火) 00:52:42 ID:UMpW2c0CII
俺の中で家族との思い出が溢れてくる。
幼い頃、母と父と遊んだ楽しい記憶。
小さい頃から俺は両親の愛情を受けて育ってきた。
母が風邪で寝込んだ時は父と協力して家事全般をやったっけか。
それが大変で、家族のためにそんなことを毎日やってる母に感謝の念が溢れた。
俺が割と育って大きくなってくると、変にかっこつけたくなったりして。
優しくしてくれる母と一緒にいるとこを同級生に見られると、マザコンだとか馬鹿にされて、それがだせえと思った俺は母を拒絶したり。
かっこつけたいなんてくだらん理由で母の優しさを無下にして悲しませたり、自分の間違った意見を曲げられずに父と喧嘩したり。
でもやっぱり最後には、仲直りしてお互いを必要とする。だって俺達は家族だから。お互いが大切な存在だから。
ここの入学を決めた理由に、成功して両親に楽をさせてやりたい、というのもあったかもしれない。
母や父との幸せな時間は、これからの人生でまだまだあると思ってた。恩返しもこれからやっていくと思ってた。

母さん……父さん……会いたいよ……。
744:🎏 :2014/1/7(火) 00:54:18 ID:UMpW2c0CII
脱出を諦めている以上、それが正解なんだと理屈ではわかっている。
でも……大切な家族の危機に、何もしないほど、俺は冷酷な人間にはなれない。
それはきっとここの皆も同じだと思う。皆そこまで冷酷にはなれないんだ。
理屈じゃただ無駄なだけかもしれない。ここで生きてくのに何ら必要ない情報かもしれない。でも、俺も、皆も、何もしないでいられない。
大切な存在の安否を確認したい。やばいなら、それをどうにかするべく立ち上がりたい。
簡単に割り切って、切り捨てられるなら、そもそも大切な存在でも何でもない。大切な存在を簡単に諦められるほど、感情は死んじゃいない!

「エリカ……ごめん!」

制止するエリカを振り払うかのように、俺は視聴覚室を目指して駆けだした。

「待って、瑞樹くん!」

エリカは俺を止めようとした。でも俺は止まらない。それどころか、俺を先頭に皆も駆けだした。健太までもだ。
大勢を食い止めるような力はその小さな体には宿していない。エリカは皆の視聴覚室行きを止められず、体育館には彼女と鳥子だけが残った。
745:🎏 :2014/1/7(火) 00:56:39 ID:UMpW2c0CII
氷室エリカ「そんな……どうして?今更知ってどうするの?知って、何が出来るの?」

氷室エリカ「そんなの知ったって辛くなるだけじゃない!ここで生きるために外は忘れようって、そんな話になったじゃない!」

氷室エリカ「何で……何で、皆割り切れないの?ここにいる皆は素敵な仲間じゃない。そんな仲間がいるんだから、それでいいじゃない!」

氷室エリカ「相田さんは……相田さんはわかってくれるよね?わかってくれたから、残ってるんだよね?」

相田鳥子「……ごめんな、氷室。あたしもみんなについていきてーんだ」

相田鳥子「まえのときは、あのまるっこいやつのみかたがわからなくて、あたしみてねーけど……」

相田鳥子「みんなのはなしをきいてたら、あたしのかぞくとか、そーゆーすきな人がやばいのがわかるやつなんだってなんとなくわかった」

相田鳥子「あたし、かーちゃんもとーちゃんもすきだ。いまどーなってるかしりたいし、やばいんならたすけてやりてー」

相田鳥子「どうしたらたすけてやれるかわかんねーけど、どーなってるのか、せめてそーゆーのはしりたい。しっていたい」

相田鳥子「だからごめんな、氷室。氷室がみんなのためにやってんの、あたしでもなんとなくわかるけど……」

相田鳥子「かーちゃんとーちゃんがやばいならしりたい。そとをあきらめたくない。ここでせいかつしてるばわいじゃない」

相田鳥子「人がしんじゃうようなことだけはしないけど……あたし、みなくちゃいけねーとおもうんだ。そとのこと、あきらめちゃいけねーよーなきがするんだ」

相田鳥子「あたしもいくよ。あのまるっこいのをきかいにいれて、かーちゃんやとーちゃんをみようとおもう」

氷室エリカ「そんな……行かないで相田さん!相田さんっ!!」

氷室エリカ「どうして……?どうして、皆……」
746:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/7(火) 01:00:05 ID:ZEOPBAIpFQ
こんな時間に更新お疲れさまです!

支援!
747:🎏 :2014/1/8(水) 02:00:39 ID:UMpW2c0CII
俺は今視聴覚室にいる。言うまでもなく、例のDVDを見るためだ。
あの日と同じように、段ボール箱の中にそれぞれの名前が書いてあるDVDがある。あの日と違って、仲間が減ってしまったから、相対的に量は減ってるけど。
少なくなったDVDの群れから、自分の名前が書かれている物を探す。そして席に着き、それを再生する。
すると、流れてきたのはモノクマの言葉だった。

「正解発表は卒業の後で!……あの発言から早幾年。いや、そんな年月は経ってねえけど!」
「とにかく長い間、続きが気になるとこでオマエラはお預けを食らってましたね」
「今回は特別に、在学中にもかかわらず、卒業後の世界を紹介いたしましょう!」
「左雨瑞樹くんは、御家族のハプニングがあった、その続きですね。両親は無事なんでしょうか?ではでは、続きをどぞー!」

音声が途切れて、画面が色を映しだすと、そこには、拘束されている母の姿があった。
748:🎏 :2014/1/8(水) 02:01:46 ID:UMpW2c0CII
……見るからに痛ましい。
目隠し、猿轡に、手足も縛られ、体には無数の拷問の痕が残っている。
……これは、生きていたことを喜ぶべきなのか。それとも、こんな状態でなお生かされていると悲しむべきなのか。俺にはわからなかった。
拘束されている母の下に誰かがやってきた。モノクマの仲間だろうか?そいつは母の猿轡を外した。
同時に母が何かを叫んでいる。何故だか音声は聞こえない。音量を上げても同じだから、そもそも音声が流れてないのだろう。
代わりに聞こえてきたのはモノクマの声。映像だけは母を映して、モノクマのナレーションが聞こえてきた。

「大変です!左雨くんのお母さんが酷い目にあってるじゃありませんか!」
「全く、酷いことする人もいたもんだね!え?やってるのは熊じゃないかって?ボ、ボクがやってるわけじゃないしー!」
「それはともかく、何か言ってますね。音声トラブルで聞こえませんけど、きっと助けを求めてるんじゃないかなあってボクは予想します」
「かわいそうだねえ。誰かさんが学園の外に出たら、助けてあげられるかもしれないのにねえ」
「卒業体験は以上です!少しは将来の参考になったかな?オマエラは多感な時期ですし、しっかりじっくり進路を考えてみてね!」
「ボクは先生という立場上、卒業を目指してほしいとだけ言っとくね!それじゃ、おしまーい!」

モノクマのナレーションが終わるのと同時に、画面も切れて真っ暗になった。
749:🎏 :2014/1/8(水) 02:04:13 ID:UMpW2c0CII
見終わって湧いた感情は、憎しみ、悲しみ。大体そんなところだ。
ここで生きていくために大切なことを忘れたつもりでいたけど、忘れられるはずがない。仮に忘れられても、外で大切な誰かが傷つけられてることには変わりない。
諦めて、見ようともしなかった現実を目の当たりにして、これじゃ駄目だという思いが込み上げる。
ここの仲間も確かに大切だ。でも……この現実から目を背けてはいけないと思う。
それに、背けてたら今回みたいにモノクマが無理やりにでも思い出させるだろう。
結局、外のことを忘れて、一生閉じ込められてることなんて不可能なんだ。生きてるから、感情があるから、そして大切な物が外にあるから。
でも外に出るためには人を殺さなくてはならない。そんなことだけはやるわけにはいかない。
……ここだけはエリカの言う通りだ。俺達が知ったところで、現状では出来ることはない。知ったところで辛くなるだけだ。
でも、この惨劇から目を背けるのは人としてどうなんだ。現状では出来ることが無くても、今後この惨劇から救うような手段を最初から諦めるのはどうなんだ。
諦めても、諦めなくても、ここで生きてくことには変わりない。だったら、辛くても現実を見て、諦めずに脱出を模索しなくてはいけないんじゃないか。

皆も映像を見終わったのか、視聴覚室には重い空気が漂っていた。
そこに声が一つ。DVDの映像からではない。声は視聴覚室の出入り口の方から聞こえた。

「だから言ったじゃない。知るだけ無駄だって。どうして……どうして見ちゃったの!?」

それは体育館から遅れてやってきたエリカの声だった。
750:🎏 :2014/1/8(水) 02:07:16 ID:UMpW2c0CII
氷室エリカ「そんなの知っちゃって、どうするの?ここの誰かを殺すの?そんなのが正しいの!?」

左雨瑞樹「もちろん正しくない。でも……正しさで物を言うなら、外を諦めるのも正しくないんじゃないか」

左雨瑞樹「皆、大切な物がある。皆、大切な人がいる。もちろんここの皆も大切な仲間だ。だけど、外だって同じだ!」

左雨瑞樹「脱出のための大きな作戦が失敗に終わって、俺達は落ち込んだけど……やっぱり脱出そのものを諦めるのは正しくないと思うんだ」

左雨瑞樹「全ての武器を試したわけでもない。他に何か方法がないか皆で考えることもできる。過ちは犯さずに、そういうのをしながらここで生活することだって可能だ」

左雨瑞樹「前向きに頑張るなら、現実も見なくちゃいけないと思う。絶望に屈せず、希望を抱いて現実と戦うんだ」

左雨瑞樹「大切な存在のためにも、俺達は戦わなくちゃいけないと思う。誰かを殺すのも、外を諦めるのも、そんなのモノクマに屈してるようなもんだ」

左雨瑞樹「殺しもせずに外に出る方法をもう一度探してみよう。それが、俺達がしなきゃいけないことだと思う」

左雨瑞樹「狂った事件に巻き込まれて、いろいろ精神が参ってて考えがまとまらなかったり、途中で間違えたり失敗したりしても……」

左雨瑞樹「最後には正解を選ばないと駄目なんだと思うんだ。そして今は、その分岐点なんだと思う」

左雨瑞樹「モノクマは殺意の復活のためにDVDを見せたのかもしれないが、俺達はこれを機に再びモノクマと戦わなくちゃいけないと思うんだ」

氷室エリカ「戦ってどうするの!?何か成功する見込みはあるの!?何もわかんない状態で、希望だけ抱いて足掻いても辛いだけでしょ!」

左雨瑞樹「辛くても、戦わなくちゃいけないんだ!ここの皆も、そして外の大切な存在も、大切な物を欠くことなく守るために、戦う必要があるんだ!」

氷室エリカ「ここの皆だけでいいじゃない!何で今更、外のことなんか気にする必要があるの!?私達にはもうどうでもいいんだよ!そんな物、さっさと忘れてよ!」
751:🎏 :2014/1/8(水) 02:10:06 ID:UMpW2c0CII
……エリカに悪気はなかったんだと思う。エリカは優しい女の子だと、俺はちゃんと理解してるし。
何を重点的に考えているか。その差で意見が分かれてるだけで、別に傷つけたくて言ってるわけじゃないということも理解してる。
一時は納得して、その方針に文句もなかったわけだから、外を諦めるというのも、一つの考え方としては尊重したい。
でも俺はこの時、ムカついて冷静さを欠いてしまった。たぶん、外の大切な存在……両親のことを、どうでもいい、そんな物忘れろ、と片づけられたのが嫌だったんだろうな。
だから俺は、こんな言葉を叫んでしまった。俺にとって、この瞬間が大きな機転になるんだ。

「黙れよ!孤独で空っぽの奴にはわかんねえよ!」
「皆、お前と違うんだよ!こことは別に大切な物があるんだよ!」

言ってしまった瞬間に、血の気が引いていったのがわかった。
ポトッと音がした。それはエリカがアイビーを落とした音。

「っ!ち、違う!俺は……ご、ごめん!」

即座に俺は自らの発言を否定して謝罪した。でも、謝罪したところで俺がエリカのことを酷く罵倒したのに変わりはない。それは覆せない。
孤独の頃から苦しんで足掻いてたのを知ってたのに。
今は皆と同じように大切な物を抱いているのに。エリカにも大切な物があるのに。
彼女が気にしている過去を、最低の形でほじくり返し、傷つけるためだけにぶつけてしまった。俺にとって大切な、最愛の人を身勝手に傷つけてしまった。
752:🎏 :2014/1/8(水) 02:13:07 ID:UMpW2c0CII
エリカが返事をすることはなかった。
悲しみで泣きそうな顔を見せて、アイビーも拾わずにそのまま走り去ってしまった。
俺はアイビーを拾いつつ、即座にエリカを追って視聴覚室を出た。

走ってる間、俺はずっと後悔の念に駆られていた。
どうしてあんなことを言ってしまったのか。今のエリカはそうじゃないと、誰よりも理解してたはずなのに。
彼女が過ちを犯さないためにと提案した、ここで生きていくという選択肢。それを簡単に中止するような物言いをしたから彼女も怒った。
彼女も皆のためを想って、皆を死なせないために提案した。その優しさを、ころころと考えを変えて否定もされればムカつきもするだろう。
俺だって正しく在るために、正しい主張をしたつもりでいる。大切な誰かの惨劇を知っておきながら、知らんぷりするのはやっぱり人として間違ってると思う。
でも、だからって、頭ごなしに彼女が皆のために出した案を否定するのはまずかった。それで怒られたら、逆切れして傷つけて。
自分は最低のガキだなって、そう思った。

思考を巡らせながら走ってると、俺はエリカの部屋の前へと到着していた。
彼女はここに逃げ込んだ。彼女はここにいる。
753:🎏 :2014/1/8(水) 02:14:57 ID:UMpW2c0CII
俺はチャイムを鳴らしながら叫んだ。

「エリカ、俺が悪かった!自分勝手に切れて、思ってもない暴言で傷つけてしまったんだ!」
「俺がおかしかった!配慮に欠けたあまりにも酷い戯言だった!」
「俺は別にエリカの考えを否定なんてしない!エリカの考えは、ここの皆を想った優しい考えだ!」
「だから俺は、その優しさも貫きながら、戦う勇気も付け加えたかっただけなんだ!」
「カッとなって、暴言が出てしまったんだ!俺が……俺が間違ったんだ!」
「だから聞いてくれ!俺はエリカに謝りたいんだ!エリカ、出てきてくれ!」

ドアは、ピクリともしなかった。ドアノブを捻ってみてが、当然ながら鍵がかかっている。
部屋の前で、俺は膝から崩れ落ちてしまった。
ちょっとした痴話喧嘩とか、そういうもんじゃない。相手の心をえぐるような、越えてはいけない線を、一時の感情なんかで簡単に越えてしまった。
浅はかで愚かな自分が憎らしい。自然と涙がこぼれた。
外への脱出方法も見つからず、母さんも父さんも助けることができず、しまいにはここの仲間を、最愛の人を傷つけて……。
俺は一体何をしてるんだ。涙は止め処なく溢れ続けた。
754:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/8(水) 10:20:20 ID:/Gtrsj2MCU
チャプター4……花の名前……ヒロイン……うっ、頭が…………
755:🎏 :2014/1/9(木) 01:29:38 ID:UMpW2c0CII
エリカはいつまでも出てきてくれなかった。
俺は失意のまま、視聴覚室へと戻った。そこでは、また別の問題が生じていた。

白鳥輝穂「左雨さん!中後さんを止めてください!」

左雨瑞樹「小百合?小百合がどうかしたのか?」

中後小百合「もう私のことはほっといてくれないか!もういいんだ。疲れた。何もしたくない。考えたくないんだ!」

肉丸健太「DVDを見て、中後さん絶望しちゃったみたいなんだよ!」

黒魔帝兎「お前は氷室のことも気になるだろうけど……俺達では中後をどうにもできなかった。すまん、左雨からも説得してくれないか?」

左雨瑞樹「……待ってくれよ。一体全体どうしたんだ?止めるって、何を?絶望したって、具体的にどうしたんだ?」

中後小百合「まったく、馬鹿だよな、私も!先生が今もあんなことになってて知らないでいた!知ろうともしなかった!もう死んだとか、自分の都合のいいように解釈して!」

中後小百合「まだ生きてて、ずっと苦しめられてるって予想も出来たはずなのに!もう終わったこととして、先生の今を考えようともせず、それどころか忘れようとしていた!」

中後小百合「先生のこと、忘れられるわけないのに!必死に記憶から追い出そう、ここでの生活だけで記憶を満たそうとしても、モノクマが、私自身がそれをさせない!」

左雨瑞樹「……これは、俺達が仲間を殺さないために、意図的に選んだ道だ。でも、やっぱり、大切な誰かの危機を無視し続けるのは人としてどうかと思う」

左雨瑞樹「誰かを殺すという間違ったことはしないまま、外を諦めない姿勢も貫くのが正しいんじゃないかと、DVDを見て俺は思った」

中後小百合「じゃあどうすればいいんだ!?今まで散々自力脱出を図っただろ!それで無理だからこんなところで閉じ込められていようってなったんだろ!」

中後小百合「殺さない、尚且つ外を諦めない、それが正しいなんてわかってるんだ!モノクマじゃないんだぞ、私達は!わかってるに決まってる!」

中後小百合「でも、出来ないんだ!両立なんて出来ないんだ!正しくても間違ってても、どちらかを選ぶしかないんだよ!」

中後小百合「だから辛いんだよ!もう考えたくないんだ!いっそのこと、全部終わりにしたいんだ!」
756:🎏 :2014/1/9(木) 01:30:54 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「自棄になるな!自力脱出だって、まだ試してないことも多い!もしかしたら、まだ何か手はあるかもしれない!」

中後小百合「もしかしたら!その言葉はもう聞き飽きた!」

中後小百合「十分に試してきたから、一時的にでも無理だと結論付けたんだろ!じゃあその手とやらを具体的に言ってみせろ!」

中後小百合「もしかしてとか、かもしれないとか、あるかもわからない可能性だけで馬鹿みたいに前向きになるのはもうたくさんだ!」

中後小百合「出来もしないことを、可能性等という言葉で片付けるな!それで傷つくのは、私達なんだぞ!」

左雨瑞樹「……じゃあお前はどうする気だ?まさか誰かを殺そうっていうのか?」

中後小百合「先生は私に殺人など望まない。だから私は殺さない。……ただ、私はもう疲れただけだ」

中後小百合「白鳥。これを捨てといてくれ」

白鳥輝穂「え?で、でもこれ……部屋の鍵ですよ?」

中後小百合「いらない。ゴミとして出しといてくれ。私はもう自室に鍵などかけない。じゃないと、誰かが私を殺しに行けないだろ?」

白鳥輝穂「な、何言ってるんですか!?そんなことしたら危ないですよ!」

中後小百合「左雨が言ってるような綺麗事を皆が守れば問題ないだろう。それだと誰も殺しはしないんだからな」

中後小百合「そうじゃなくても、殺した奴は出れるかもしれない。私は死んでもう苦しまなくてもいい。万々歳じゃないか」

左雨瑞樹「馬鹿か!?お前が死んだら、お前が慕っている先生はどう思うんだ!?」

中後小百合「私が殺す方が、先生も残念に思うだろ!殺しても駄目、生きてても辛い、だから私はもう死にたいんだよ!」

中後小百合「結局、忘れることなんて出来ないんだ!都合よく良い思い出だけ連れて行こうとしても、悲しい記憶はついてくる!置いていけても、モノクマがまた持ってくるさ!」

中後小百合「だからもう考えたくないんだ!死んだら、考えなくて済むんだよ!」
757:🎏 :2014/1/9(木) 01:31:44 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「今なら私を簡単に殺せるぞ。鍵の掛かってない部屋に入り、女子一人殺すだけだ。簡単だろう?」

中後小百合「外に出たい奴はチャンスだって、それだけ覚えといてくれ。じゃあな」

白鳥輝穂「……中後さん、行っちゃいましたよ」

左雨瑞樹「くそっ……辛いのはわかるけど、自棄になっちゃ、本当におしまいだろ……」

左雨瑞樹「エリカはもちろん傷つけた俺がケアするし、小百合もどうにかしてみせる。だからここにいる皆だけでも冷静でいてくれ」

中岡笑「……冷静でなんか、いられませんよ」

左雨瑞樹「……何?」

中岡笑「氷室さんの案に乗っかって、ここで生きてくってなりましたけど……外のこと、忘れられるわけがなかったんですよ」

中岡笑「自力で忘れるのも無理ですし、仮に出来ても自分らが忘れる頃にモノクマが掘り返す……中後さんの言う通りですよ」

中岡笑「そうして忘れられないのに、ここで何もしないで笑ってなんかいられませんよ!」

左雨瑞樹「だ、だからまた何か脱出方法を……」

中岡笑「爆弾でも壊れない建物に監禁されて、どう脱出すればいいんですか!?」

中岡笑「左雨くんは強いから、諦めずに両立を目指そう、なんて言えますけど……」

中岡笑「自分らは……少なくとも自分は、そんな強くないですよ」

中岡笑「あれだけやって駄目だったんだから、自力脱出なんて無理としか思えないんですよ……」
758:🎏 :2014/1/9(木) 01:33:44 ID:UMpW2c0CII
中岡笑「……まあでもDVDは見てよかったです」

中岡笑「何もせずにここで生きてていいのか……それに疑問を覚えただけでも、自分らにとっては収穫だったと思いますよ」

中岡笑「ただ、自分は正直左雨くんみたいに、殺さずと脱出の両立なんて出来るとは思えません……」

中岡笑「殺して出るか、外を諦めてここで過ごすか、真剣に悩むいい機会にはなったんじゃないですか」

左雨瑞樹「殺すのも、外を諦めるのも、両方間違ってんだぞ!?」

中岡笑「それでも、選択を迫られてるんですよ!ここにいる以上、自分らは正しくなんかいられないですよ!」

中岡笑「モノクマなんかに監禁された時点で、もう自分らが正しく生きるなんて無理だったんですよ!」

中岡笑「自分は……殺すか、外を諦めるか、この二つの間違いからどっちを選ぶか、それだけしかないと思うんです」

中岡笑「こんな大きな間違いの中から選択を迫られてるんだから、冷静になんかいられませんよ!」

左雨瑞樹「そんな……殺さずに自力での脱出を目指す!それで済む話だろ!」

左雨瑞樹「そうだろ!?皆も……皆もそう思ってるだろ!?」

黒魔帝兎「……爆弾使っても破壊できなかったこの学校で、俺達がどうすれば自力で外に出られるのか、想像はつかない」

黒魔帝兎「外の大切な存在もどうにかしたいが、それをするにはもう誰かを殺すしかないと思う」

肉丸健太「どちらかの正しさを守るために、どちらかの過ちを犯さないといけない……そんな選択を迫られてると思うよねー」

白鳥輝穂「外の大切な存在の危機から目を背けるのも、ここで皆さんの誰かを殺害をするのも大きな過ちだと思います……」

相田鳥子「でもえらばないといけないんだろー?やるしかねーんだろー?」

左雨瑞樹「そんな……」
759:🎏 :2014/1/9(木) 01:36:00 ID:UMpW2c0CII
それから俺は何も言えなくなってしまった。
外で母さんと父さんがあんな目に……他の皆も大体同じと思う。それから目を背けようとしていたのは人として大きな過ちだと思う。
あれを知りながら、どうでもいい、自分には関係ないと切り捨てるのは、やっぱり人として間違ってると思う。
現状で脱出なんか出来ないと決めつけて、大切な存在……俺の場合は母さん父さんだ。それを救うことすら諦め、なかったことにする。それは、絶対に人として間違ってる。
でも、ここで生きるために、それをしようとしていた。それに気付けたという点では、DVDを見てよかったと、俺は思う。

しかし、皆はそれで、誰かを殺すことを選択肢として蘇らせたみたいだ。
それは一番間違ってるからと、エリカが避けようと提案した物だ。もちろん俺も殺すことが一番間違ってると思う。
でも、外を諦めるのも大きな間違いだ。だから俺達は、殺さない、外を諦めない、この二つを両立させようと頑張らなくてはならないんじゃないか?
そんな希望を抱き続け、前へ進む。それが大切なんじゃないか?確かに、いろんなことに直面して、いろいろ考えも右往左往してきたが、最後に正解を選べば、問題ないんじゃないか?

……そんな希望を、本当に抱けるのだろうか。
エリカの案に乗ったのは、脱出を試みて駄目だったからだ。だから一番駄目な殺しを避けて、他は諦めて割り切って受け入れようという物だった。
でも、割り切れなかった。大切な存在を、諦めることができなかった。それは正しいことだけど、正しいことをしただけなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
760:🎏 :2014/1/9(木) 01:37:33 ID:UMpW2c0CII
俺は人だ。普通の人だ。普通の良識を持って、普通に育ってきた。
だからここがおかしいということが、普通にわかる。
でも、だから何だ?
正しいことがわかって、それがここで何になる?殺さない、外を諦めない、それが正解なんて、普通の人なら誰にでもわかる。
その正解を、全て選ぶことが出来ないから、皆苦しんでるんだろう。悩んでいるんだろう。
両立は無理なのか?まだまだ試してないこともある。
でも、爆弾なんて物を用いても脱出できなかったこの学園で、試してないことがあるからと、まだ可能性があるように言ってもいいのだろうか。
皆わかってた。俺もわかってたはず。だからエリカの案に乗ったんだ。外を諦める、と。
でも、普通の人だからこそ、外を諦められないことを、今回のことで思い知った。だから皆は、今後どっちで間違えるか、真剣に悩んでいるんだ。

外を諦めると言う間違いか、人を殺すという間違いか。

俺は両方したくない。当たり前だ。こんな間違いに自ら歩み寄れるかよ。
でも、どちらかの間違いを選択する時がきているのかもしれない。
そのどちらかの間違いを犯す覚悟を決めることこそが、ここでは正しいのかもしれない。

じゃあ、ここで間違っているのは俺なのか?
761:🎏 :2014/1/9(木) 01:38:42 ID:UMpW2c0CII
俺がおかしいのか?出来もしない二つの選択肢の両立、それを皆に強いる俺こそが、何もかも間違った存在なのか?
エリカの言う通り、DVDを見ないのが正しかったのか?
大切な存在の危機を知ろうとしない、助けようともしない、それが正しいのか?
だから俺はエリカを傷つけた?
エリカだけじゃない。小百合も、皆も、何もかもが傷ついている。
それは、俺のせい?

俺のせいなら、俺がどうにかしなくちゃ。
でも、どうすればいい?
皆を助けたい。でも、それは出来ない。何もかもの両立なんて出来ない。それをしようとすることこそが俺の過ち。
じゃあ誰を助ける?何か一つだけを選んで他の全てを間違えるのがここでは正しいのならば、俺は何を選べばいい?
母さんと父さん……両親を助けるために外に出るか?
それともここの仲間を選ぶか?ここの誰を助ければいい?
一つしか選べない、一人しか守れない、ならば俺は、誰のために道を選ぶ?

気がつけば、俺は視聴覚室を出て、エリカの部屋の前に来ていた。
762:🎏 :2014/1/10(金) 02:54:55 ID:UMpW2c0CII
無意識にチャイムを押す。
どうせ出てはくれないんだろう、という俺の予想とは反して、そのドアは開かれた。

「瑞樹くんだよね……入って」

声に元気がない。でも俺は、そんなエリカを気遣う余裕もなく、無言のままに入室を果たした。
ほんのちょっとだけ見てなかった、それだけなのに、すごく久しぶりにその顔を見た気がした。
ここ最近、ずっと笑顔だったと思うけど、今のエリカの表情にはそれがない。奪ったのは俺だ。
無言でずっとエリカの顔を見ている俺とは裏腹に、彼女は笑みのないまま語り始めた。

「瑞樹くん、私あれからいろいろ考えてみたよ」
「私は孤独。ここに来る前は誰とも関わらず孤独に生きてきた」
「だから私、外に大切な物なんて何もないの。本当に私は空っぽだね」
「だから私、きっと皆の気持ちなんてわからない。私には外に大切な物なんてない。でも……ここにはある」
「だから私、皆の大切な物を、私にとって大切な物……大切な人に置き換えて考えてみたの」
「……私、瑞樹くんが人質に取られたら、じっとなんかしてられない。忘れられるわけがない、諦められるわけがない!」
「瑞樹くんが外で苦しめられてるとしたら、私、殺人も犯してしまうかもしれないって思ったの」
「こんな気持ちになるなら、割り切ることなんて不可能だよね。でも私は空っぽだからそんなことにも気付けなかった」
「皆の気持ちもわからずに、こんなこと強要してた私が間違ってたんだよね」
「でも、誰かを殺すわけにもいかない。外を諦めるわけにもいかない。じゃあ私達は、どうすればいいんだろうね?」

そこまで一方的に続けてから、エリカは泣いた。ポロポロと涙を零し始めた。
エリカが悲しそうで、エリカが苦しそうで、俺まで苦しくなる。
763:🎏 :2014/1/10(金) 02:57:21 ID:UMpW2c0CII
「俺達はどちらかの間違いを選ばないといけない」
俺は言った。

「……皆、どっちかを選ばないといけないんだ。じゃあ外に出るために殺すこともあるんだね」
エリカは言った。俺は答えない。肯定と捉えてエリカは続ける。

「私には瑞樹くんが、ここの皆が全て。ここの皆が唯一の大切な存在」
「でも皆には、外にも同じくらい大切な物がある。だから皆はここを切り捨てて……誰かを殺すかもしれない」
「そしたら私の大切な物がドンドン減っちゃうよ。私の大切な物がなくなっちゃうよ」
「でも……今の私は、それを止めようとも思えないんだ。皆、大切な物を選んで守るためにやってるんだもんね」
「私……本当にどうすればいいんだろう!?このままじゃ、皆が殺し合いをして、私はまた孤独になる!」
「最後まで生き残っても孤独!殺しても孤独!じゃあ殺されればいいの!?わからないよ!」
「瑞樹くん……考えれば考えるほど苦しくなるんだよ……助けて瑞樹くん……私、もう孤独に戻りたくない……」

言い切るとエリカは俺に抱きついてきた。涙は未だ溢れている。
そして俺の思考は巡る。
764:🎏 :2014/1/10(金) 02:59:48 ID:UMpW2c0CII
ここでの生活で、俺の気持ちは色々変わっていった。
俺の立場で言えば言い訳になるかもしれないが、異常な空間に閉じ込められてんだ。色々葛藤してあれこれ考えるのも仕方ないんじゃないのか。
もちろん俺は人として、正義感溢れる正しい選択をしようと努めたつもりではある。でも、それじゃもうどうしようもないのかもしれない。
ここじゃ正義感なんて無価値に等しい。そんな物を抱いていたら、何一つ守れない。
再三言ってるように、今こそ何か一つを選んで、他の全てを間違える覚悟がいるんじゃないだろうか。
じゃあ俺にとって、その守るべき何か一つって、何なんだろう?誰なんだろう?

俺に抱きついて泣いてるエリカを見る。
愛しい。エリカは、本当に絶望しかないここでの生活で、俺に希望を灯してくれた。俺にとって、本当に大切な存在。
俺の中で、エリカとの思い出が溢れる。
孤独で無口な頃のエリカ。それでも優しさは既に身につけていた。
明るく元気な今のエリカ。俺だけでなく皆に笑顔を、希望を与えてくれた。
いつでも、どんな時でも、エリカは綺麗で優しくて、そんなエリカが愛しくて。
エリカが大好きで。エリカが大切で。エリカの望みを叶えてあげたくて。

……今までもそうだったように、高校生のガキらしい浅はかな思考回路で、これからころころ考えが変わるかもしれない。今この瞬間の選択を後悔する時がいつか来るかもしれない。
でも、今は真剣にこう思える。俺が何か一つ選ぶなら、氷室エリカ、この愛しい女の子を選ぼう。そう思える。
母さんも父さんも、ここで出会った仲間達も大切だけど、それらを切り捨ててエリカただ一人を選ぼうと、そう思えた。
何か一つだけ選んで、他の過ちを受け入れるのなら、俺はエリカを選ぼうと、俺はそう結論付けたんだ。
765:🎏 :2014/1/10(金) 03:01:20 ID:UMpW2c0CII
「瑞樹くん……私、孤独はもう嫌だ……ここの皆を失いたくない……」

俺の胸元で繰り返してるエリカ。そんなエリカを強く抱きしめ、俺は囁く。

「大丈夫だ。エリカの望みは俺が叶える。エリカが孤独を嫌うなら、俺がエリカを一人にはしない」

エリカが俺の顔を見た。涙でくしゃくしゃになったエリカの顔が俺の瞳に映る。
俺は繰り返す。覚悟を決めるように、自分に言い聞かすように繰り返す。

「エリカを孤独にはしない。俺が……俺がエリカを一人にはしない……」
766:🎏 :2014/1/10(金) 03:03:34 ID:UMpW2c0CII
それからしばらくして、俺は部屋を出た。
視聴覚室に皆を残してここまで来た俺だが、どうやら他の皆も既に自室に戻ったみたいだ。校内のどこからも音がしないから、防音の部屋にでも閉じこもってるんだろう。
俺は自室には入らず、ドアに寄りかかって座り、廊下を見渡していた。エリカは大丈夫かなあって心配の気持ちから見守りたかったんだと思う。
間もなくエリカが部屋から出てきて、すぐ前の輝穂の部屋のチャイムを鳴らした。

白鳥輝穂「……氷室さんですか。どうしたんですか?」

氷室エリカ「瑞樹くんから聞いたよ。中後さん、自棄になっちゃって、殺してほしいからって鍵捨てて、部屋の鍵かけずにいるんでしょ?」

白鳥輝穂「はい……私も一回鍵を返しに行ったんですけど、追い返されちゃって。本当に鍵をかけていませんでしたし、どうすればいいんでしょう……」

氷室エリカ「白鳥さんは優しいからね。押しが弱いのかも。私に任せて!私が無理やりにでも考え直させるよ!」

白鳥輝穂「……氷室さんは大丈夫なんですか?差し出がましいかもしれませんけど、氷室さんも今はそんな余裕はないと思います……」

氷室エリカ「……私は大丈夫!瑞樹くんに教えられたから。私がやるべきこと、瑞樹くんのために出来ること。それをやるだけだよ!」

氷室エリカ「中後さんの部屋の鍵ちょうだい!私が返してくるよ!無理やりにでも押し付けてくるから!」

白鳥輝穂「……わかりました。中後さんのこと、よろしくお願いします」

氷室エリカ「任せて!」
767:🎏 :2014/1/10(金) 03:05:11 ID:UMpW2c0CII
そんなやり取りをして、エリカは鍵を受け取った。
輝穂が自室に戻ったのを確認してから、エリカは少しして小百合の部屋へと直行した。
エリカの部屋から二つ隣、俺の部屋を挟んで小百合の部屋はある。そんなわけで道中、エリカは俺の前を横切る。
その時にエリカは俺を見て笑ってみせた。大丈夫、瑞樹くんの言う通りに頑張るよ。声には発しなかったが、笑顔はそう語っているように思った。
それで俺は大丈夫だと安心して、ようやく自室に戻った。

今日は転機となる一日だ。
モノクマが仕掛けたインターンシップとやらで、俺達は変わった。俺は変わった。
狂ってしまったのだろうか。それとも正されたのだろうか。変わるのはこれで最後か。それともこれからまた変わっていくのか。
はっきり言って、俺にはわからない。でも、多くを諦めて何か一つを選ぶしかない。
そして俺が選んだのはエリカだ。エリカのために、他の全てを諦めて、俺は俺のやるべきことをやる。それが今の俺の答え。
多感な高校生のガキがたった一日考えただけの決意なんざころころ変わるだろう。今日の決意を後悔する日がいつか来るかもしれない。
でも、今この瞬間の俺は、エリカのために、他の全てを割り切る覚悟を決めた。
768:🎏 :2014/1/10(金) 03:06:13 ID:UMpW2c0CII
〜モノクマ劇場〜

ボクはモノクマ。
オマエラを絶望させるためにやってきた可愛いクマだよ。
動物園を抜け出してきたのかもしれない。
森の中、迷い込んだお嬢さんを殺してきたのかもしれない。
夢の国から、はちみつ盗んできたのかもしれない。
でも、そんなのは些細なことだよ。
過程なんてどうでもいいんだよ。どんな人生送ったかとか、どんなこと頑張ってきたのか、他人はそんなの知りたくもないよ。
結局、結果が全てです。終わりよければ全てよし。望む結果が出せればいいんです。

ボクはモノクマ。
オマエラを絶望させるためにやってきた可愛いクマだよ。
769:🎏 :2014/1/11(土) 01:12:42 ID:UMpW2c0CII
朝を知らせるモノクマの放送。それを機に俺は行動を開始する。
眠たいのも我慢して、身支度を済ます。あれこれやってる間に目も覚めるってもんだ。
そうして準備が整うと、いつもと同じように部屋を出た。行先は皆が待ってるであろう食堂だ。

間もなく食堂に到着した。いつも通り最後の到着。既に全員揃っているようだ。
俺はいつものように適当に挨拶を済まし、適当に席に着き、適当に会話を始めた。
770:🎏 :2014/1/11(土) 01:15:42 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「昨日は荒れたけど、それでも朝はきっちり食堂に集まるんだな」

中岡笑「まあ……好き好んで和を乱したいって思ってるわけではないですからね」

黒魔帝兎「忘れようとした尊い現実を思い出したら、普通の人なら揺れるだろう。ただそれだけのことだ」

中後小百合「でもここは普通じゃどうしようもない最低の学園さね。人として間違える必要があるんだよ」

左雨瑞樹「小百合はまだ部屋の鍵をかけてはないのか?」

中後小百合「リーダー殿の彼女さんから無理やり鍵だけ返されたけどね。かけてはいないから、殺したいならまだチャンスはあるよ」

左雨瑞樹「遠慮させてもらう。俺は自分のために誰かを殺す気にはなれんよ」

白鳥輝穂「……学園長のDVDを見て、外を諦めることの不当性は確認できました。でも、だからってもう絶対殺害しなければならないと決まったわけではありません」

白鳥輝穂「殺害という間違いを犯すか、外を諦めるという間違いを犯すか、私達にはまだ選択の権利があるはずです」

白鳥輝穂「ですから、殺し合いが決定したわけではないんです。普段からピリピリする必要もないんだと思います」

白鳥輝穂「こんなことを言えるほど甘い環境ではないのはわかってますが……仲間同士で疑心暗鬼になるのは悲しいです。私はそんなの避けたいです……」

左雨瑞樹「……そうだな。仲間を疑うのも辛いことだ。殺し合いが確定したわけじゃないんだから、笑が言ったみたいに和を乱す必要もないんだよな」

左雨瑞樹「今までも、人を殺すという行為が大きな間違いだとわかってたから、今日まで生き残った皆はそれをしなかったんだ」

左雨瑞樹「だからこれからも、その間違いは犯さないかもしれない。殺されるかもって気にしすぎて、生活に影響出すのも如何なものかってな」

白鳥輝穂「そうですよ。外を諦める過ちも辛いですけど……殺害するのも、その恐怖に駆られて毎日を生きるのも辛いことです」

白鳥輝穂「私はやっぱり、殺し合いなんてせずにこれからも皆で生きていきたいです」

左雨瑞樹「……うん。殺し合いなんてせずに生きていけたら、それが一番だよな」
771:🎏 :2014/1/11(土) 01:17:29 ID:UMpW2c0CII
相田鳥子「きにしすぎてもしゃーねーってことだな!いろいろかんがえたらふあんになるけど、なってもどーしよーもねーよ!」

肉丸健太「殺し合いなんて起こらない、くらいに思っていつも通り生活してないと、精神的に追い込まれるよー」

肉丸健太「だから僕はごはんを食べるよ!はやく食べようよ!僕もうおなかペコペコだよ!」

中後小百合「そうやってどんな時でも自分を出せるのは、もはや尊敬に値するよ」

左雨瑞樹「そう言や飯まだなんだな。そろそろ飯にしようぜ、エリカ」

左雨瑞樹「……あれ?エリカ、いないのか?」

白鳥輝穂「そうなんですよね。氷室さん、まだいらっしゃってないんです」

中岡笑「左雨くんより遅れてくるなんて、珍しいこともあったもんですよ」

肉丸健太「えー!じゃあまだ料理トリオが揃ってないの!?僕のおなかはどうなるの!?」

左雨瑞樹「遅れてる……それだけなのか?」

黒魔帝兎「……昨日の今日だからな。もしかしたら……」

兎の発言を聞いた俺は、その場にいた誰よりも先に駆けだした。
行先はエリカの部屋。駆けだした俺を追うように、残りの何人かも走ってついてきたのがわかった。
772:🎏 :2014/1/11(土) 01:18:55 ID:UMpW2c0CII
最初に到着した俺は、ドアの前に陣取ってチャイムを連打した。
そうしているうちに兎と小百合が、少し遅れて笑と輝穂もやってきた。

中後小百合「氷室、出ないのか?」

左雨瑞樹「くそ!チャイムを鳴らしてるけど、反応がない!」

黒魔帝兎「ドアは開いてないのか?」

兎に言われて、俺はドアノブを掴んだ。

左雨瑞樹「……ちっ!」

中後小百合「開いてないのか……」

白鳥輝穂「あ、あの。既に外出しているってことはないでしょうか?私、その辺を探してきます!」

そういうと、輝穂はその場を離れて、どこかへと駆けていった。
既に外出している。そういう考え方もできるかもしれない。でも俺は……。

左雨瑞樹「モノクマ!聞こえてるか!聞こえてるなら出てこい!」

モノクマ「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!くしゃみもしてないのに、モノクマ登場だよ!」

モノクマ「どうしました、左雨くん?学園長も暇じゃないんですから、冷やかしはごめんですぜ!」

左雨瑞樹「……モノクマ、エリカの部屋の中からドアを開けてくれ」
773:🎏 :2014/1/11(土) 01:21:18 ID:UMpW2c0CII
モノクマ「うぷぷ!何を言ってるの、左雨くんは!そんなこと出来るわけないじゃん!」

左雨瑞樹「お前は神出鬼没だ。どういう仕組みかわからんが、どこからでも現れることができる」

左雨瑞樹「そしてお前は以前、部屋の中から突然現れたことがあるはずだ>>670出来ないとは言わせない」

モノクマ「うぷぷぷ!ばれちゃいましたか。そうです、ボクはいろんなとこに出現できます。ドアなんかなくたって、どこでもいけるんです!」

モノクマ「でもなあ。女子の部屋に侵入とかどうなの?ボクも一応クマ界では紳士として知られてるわけだし……」

左雨瑞樹「いいから!早くエリカの部屋のドアを開けてくれ!」

モノクマ「もー、わかったよ。左雨くんはせっかちだなあ」

ぼやきながらモノクマは消えた。
その数秒後、エリカの部屋のドアは開かれた。モノクマが中から開けたんだ。

モノクマ「はーい。左雨くん、これで……」

左雨瑞樹「どけ!」

モノクマ「うわー!?左雨くん、ボクへの暴力沙汰は校則違反だよ、気を付けてよね!」

左雨瑞樹「うっせえ!エリカ、いるか!?エリカッ!!」
774:🎏 :2014/1/11(土) 01:22:55 ID:UMpW2c0CII
モノクマを押しのけて、いの一番に中に入った。
そして俺はエリカを見つけた。俺はエリカを……

「エリカアアアァァァッ!!」

ベッドで死んでる、エリカを見つけたのだ。

「どうした!?何があった!?」

俺の叫び声を聞いて、間もなく兎と小百合も部屋の中に入ってきた。
そして見た。エリカの死体を。その瞬間、二人の顔がみるみる青ざめていった。

「嘘だろ……し、死んでるのか……?」

兎がそう呟いた。疑いたくなるのはわかる。でも、エリカは……死んでる。
今ここで横たわっているのは、エリカの抜け殻なんだ。

「どうして……お前を守るって決めたのに……どうして……!」

泣きながら、死体にそう話しかける俺だが、当然返事など返ってこなかった。
775:🎏 :2014/1/11(土) 01:24:11 ID:UMpW2c0CII
少しして、ドアの前で立ちつくす二人をかき分けるように、笑も中に入ってきて死体を目撃した。

「よーし、それじゃショータイムといきましょう!今回は豪勢に生音声ですよ!」

そうモノクマが言ったかと思うと、どこから出したのか、拡声器を用いて学園内にそれを響かせた。
出来ればもう二度と聞きたくなかった、でもDVDを見た昨日から、少しは覚悟していた、それ。

「死体が発見されました!」
「一定の自由時間の後、学級裁判を開きまーす!」

悪夢の学級裁判を開催する、宣戦布告とも言えるそれ。俺達はこうして四度目のそれを聞く羽目になった。
しかも、死んでるのはエリカ。最愛の人が死に、その犯人を暴く裁判が始まろうとしている。
776:🎏 :2014/1/15(水) 02:39:04 ID:UMpW2c0CII
モノクマの死体発見アナウンスを聞いて、他の皆がここに集まってきた。
詳しい場所を言ってはいなったが、俺がエリカを探しに行って、その後に流れたアナウンスだったからか、何となくここだとわかったみたいだ。
鳥子だけはわかってなかったらしく、健太に連れてこられる形で現場に到着した。
それまでの間、俺はエリカの死体から少し離れて泣いていた。最初は死体に抱きつこうとしたのだが、小百合に冷静に止められてしまった。
死体の状況は下手に変えない方がいい、我々が生き残るためにはな……そんなことを言われた。
確かに……死体や現場を下手にいじって、証拠がなくなったりするのはいけない。そんなことをすれば、真実は逃げて行ってしまう。
だから俺は、冷たくなったエリカに触れることもできず、近くで死体を見ながら泣くことしかできなかった。

全員が集まったのを確認して、モノクマが切り出す。何を言うかは……大体想像がつく。俺達は、これでもう四度目の体験なのだから。

「今日も今日とて面白くなってきたね!それじゃモノクマファイルあげるから、捜査の方いってみよー!」
777:🎏 :2014/1/15(水) 02:40:27 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「モノクマファイル……死体状況等に関するファイル……」

モノクマ「何を今更なことを言ってるんですか、左雨くん。モノクマファイルには死体情報が載ってる、皆知ってるね!」

左雨瑞樹「死体情報……本当に、エリカは死んだんだな……」

白鳥輝穂「氷室さん……どうして……」

中岡笑「……残酷ですねえ。パッと見、眠ってるようにしか見えないです。でも、死んでるんですね……」

モノクマ「オマエラ、何を揃って今更なこと言ってるんですか?もう四度目ですよ。いい加減慣れろよな!」

モノクマ「氷室は死んだ、もういない。OK?」

中後小百合「……流石に人の死には慣れないよ。慣れるはずがないだろう」

モノクマ「そんなこと言っちゃって。中後さんだって自分を殺してーみたいなこと言ってたくせに」

中後小百合「そうだな……今更ながら、私は人に酷なことを頼んでたわけだな」

黒魔帝兎「考えを改める気にはなったか?」

中後小百合「……いいや。今回のクロもどうせなら私を殺せばよかったのに、くらいに思ってるよ」

黒魔帝兎「そうか……それは残念だ」

左雨瑞樹「……今は、エリカが殺されたことについて話さないか?俺達は、エリカを殺した犯人を見つけなきゃいけないんだ……」

中後小百合「……そうだったな。すまない、左雨」
778:🎏 :2014/1/15(水) 02:42:21 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「……氷室を殺した犯人、か」

中後小百合「捜査をする前に、私が気になってることを話してみたい。いいだろうか?」

白鳥輝穂「いいと思いますけど……皆さんはどうでしょうか?」

左雨瑞樹「構わないよ。話してみてくれ」

中後小百合「ありがとう。今回の事件なんだが……殺した犯人なんていないんじゃないか?」

肉丸健太「殺した犯人がいないー?どういうことー?」

中後小百合「今回の事件……氷室は完全な密室状態の部屋で死んでいた」

相田鳥子「みっしつってなんだー?」

肉丸健太「相田さん、その話はまた今度にしてあげるから……」

中後小百合「とにかく、密室の部屋の中で死んでいたんだ。となると、外部の犯行は難しい」

黒魔帝兎「……鍵のかかった部屋にどう侵入するか」

黒魔帝兎「また、都合良く氷室が鍵をかけ忘れていたとしても、殺して出る際に鍵をかけないといけない」

中後小百合「そう。じゃないと、左雨はモノクマなんかに助けてもらわず、すんなり部屋の中に入れたはずなんだ」

白鳥輝穂「鍵を盗んだということはないでしょうか?氷室さんを殺害して、鍵も盗めば、死体を中に残しつつ、鍵をかけて密室だったと思わせることが出来ます」

中後小百合「白鳥、残念だがそれはない。テーブルの上を見てみろ」

白鳥輝穂「えっ?……あ、鍵がありますね。じゃあ鍵を盗んだっていうのは違うんですね……」

左雨瑞樹「つまり、犯人がいるとすると、部屋に侵入して殺害して鍵を盗まずにドアの鍵をかけて出ていく……そんな芸当は難しいんじゃないかと言いたいわけか?」

中後小百合「そういうことだ。だから私は、今回の件……氷室の自殺なんじゃないかと思ってる」
779:🎏 :2014/1/15(水) 02:44:46 ID:UMpW2c0CII
中岡笑「自殺!?自ら死んじゃったって言うんですか!?」

白鳥輝穂「でも、確かに誰かが殺害出来るような状況じゃなかったです。氷室さんは、外かここかの選択肢に悩んで苦しんで、自ら死を……?」

黒魔帝兎「いや、でも犯人がさっき鍵を戻したとしたらどうだ?モノクマが中から開けて入れば、誰もが死体に注目する。その隙に鍵をテーブルに戻したんじゃ?」

モノクマ「うぷぷ!オマエラ、不毛な言い争いをしてますね!他人の不毛な争いって見てて面白いよね!」

モノクマ「とは言え、これは氷室さんの自殺だったんだー、なんてつまらない結論で裁判を台無しにされたら面白くないし、特別にヒントを出してあげるよ!」

モノクマ「今回、氷室さんが死んじゃいましたけど……自殺ではありません!必然的に絶対的に他殺なんです!」

中後小百合「他殺なのか!?」

黒魔帝兎「となると、やはり俺が言ったような方法で鍵を戻したんだ。そうすれば第三者が氷室を殺すことも可能だ」

モノクマ「得意げに話してるとこ悪いんですけど、それも違いますから」

黒魔帝兎「なっ!?じゃあ氷室はどうやって殺されたと言うんだ!?」

モノクマ「それを考えるのがオマエラの仕事だろ!サービスとしてヒントは出したけど、真相までサービスする気はないよ!」

左雨瑞樹「……それにしたって、けっこうなサービスだな。モノクマはそれでいいのかよ?」

モノクマ「んー?別にいいですよ。他殺なのは言おうと決めてましたし、黒魔帝くんの言ってる関連のことはモノクマファイルにも載ってますから」

左雨瑞樹「モノクマファイルか……確認するか」
780:🎏 :2014/1/15(水) 02:46:37 ID:UMpW2c0CII
そう呟いて、俺は今回のモノクマファイルを確認してみることにした。
それには、次のようにまとめてあった。

被害者は氷室エリカ。
死亡時刻は深夜2時。
人体急所を刺されて死亡。
午前7時40分に被害者の部屋で死体を発見。
事件発生から死体発見まで、鍵は移動していない。

以上である。
781:🎏 :2014/1/15(水) 02:49:18 ID:UMpW2c0CII
黒魔帝兎「鍵は移動していない……だと!?」

中後小百合「これでは、氷室の部屋に侵入して殺害し、鍵を盗んで脱出し、ドアの鍵を外からかけるっていうのは出来ないな」

左雨瑞樹「ああ。それだと事件発生から鍵が移動したってことになるからな」

左雨瑞樹「……具体的にどの鍵って書いてないけど、まさか全く関係ない鍵を指してるとか、そんなオチはねえよな?」

モノクマ「大丈夫ですって!左雨くんは心配症だなあ。モノクマファイルに記入してある鍵は、テーブルに置いてあるここの鍵を指しています!」

中岡笑「そんな……じゃあ、マジの密室殺人じゃないですか!」

中後小百合「密室殺人ね。私達には関係ない、架空の物だと思っていたが、まさか本当に出くわすとはな」

左雨瑞樹「……でも、俺達はそれを解かないといけない。生き残るためにも……エリカを殺した犯人を突き止めるためにも」

白鳥輝穂「左雨さん……」

左雨瑞樹「俺はエリカのために頑張る。エリカのために……裁判に挑む!」

黒魔帝兎「ああ、やってやろうぜ。氷室の弔い合戦だ。真相を掴んでやろう!」

黒魔帝兎「最愛の人を亡くす苦しみは俺も知ってる。この事件の犯人を明かして、氷室の敵討ちだ!」

左雨瑞樹「兎……そうか、お前も虎美を……ありがとう、兎」

モノクマ「まあね、オマエラの事情とかはどうでもいいんでね。そろそろ捜査を頑張った方がいいんじゃない?」

左雨瑞樹「そうだな……捜査を開始しよう。氷室を殺した犯人を突き止めるぞ!」
782:🎏 :2014/1/16(木) 02:32:40 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「さて、捜査を開始するわけだが……」

黒魔帝兎「どうする?いつものように現場の見張りを付けるか?」

白鳥輝穂「私もいつものようにゴミを調べてきます!」

左雨瑞樹「あー、うん、そうなんだけどよ……」

中後小百合「どうした、左雨?歯切れが悪いが……」

左雨瑞樹「……今回で四回目の事件だ。そのせいで、だいぶ人数も減ってきた」

中岡笑「言われてみれば、もう七人ですよ、自分ら。とうとう半分切っちゃいましたね……」

左雨瑞樹「それで、いつものように二人を見張り、輝穂がゴミを調べるとなると、捜査に当たれるのは四人だけになる」

左雨瑞樹「少ない人数で捜査すれば、真相は遠くなるかもしれない。この辺どうにかしないか?」

中後小百合「……まあ確かに、調べる人数が少ないと、効率は悪いかもしれんな」

黒魔帝兎「しかし、現場の見張りが必要なのも事実だ。じゃあ一体どうしろって言うんだ?」

中後小百合「二人、二人、三人に分かれて捜査するのはどうだ?これなら互いに相手を見張れるから、犯人は単独行動で現場の証拠隠滅等を図れない」

中後小百合「そして少ない人数でも捜査にフル稼働できるから、少しは捜査の効率もよくなるんじゃないかい?」

左雨瑞樹「そうだな。じゃあ今回の捜査はそういう形で行おう。じゃあメンバー分けするか」
783:🎏 :2014/1/16(木) 02:33:54 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「分けた結果、俺は小百合とのペアか」

中後小百合「ふふ、よろしく頼むぞ、リーダー殿」

黒魔帝兎「俺は白鳥とペアか」

白鳥輝穂「あの、私は掃除当番ですので、ゴミを調べる必要があります。黒魔帝さん、手伝ってくれるでしょうか?」

黒魔帝兎「大丈夫だ。さっさと調べて、他の場所も捜査すればいいだけだ」

白鳥輝穂「ありがとうございます!」

肉丸健太「そして僕と相田さんと中岡くんのトリオだねー」

相田鳥子「氷室のためにもそうさがんばっぞー!」

中後小百合「……なんか不安になる三人組だな」

中岡笑「前もそんなこと言われましたけど!何で自分らそんな信用ないんですか!?」

左雨瑞樹「……ああ。校内を爆破するのにそのトリオになったことあったな、そう言えば」

中岡笑「左雨くんからも酷評でしたよ!」

肉丸健太「これはもう頑張って評価を改めてもらうしかないよねー」

相田鳥子「おー!がんばっぞ、肉丸ー!」

中岡笑「……まあ不安になる気持ちもわからないでもないんですけどね」

左雨瑞樹「とにかく、これでメンバー分けは出来たわけだ」
784:🎏 :2014/1/16(木) 02:36:04 ID:UMpW2c0CII
中岡笑「じゃあ今度こそ捜査開始ですか?」

左雨瑞樹「いや、最後に一つ確認したいことがある。……何となく、確認しなくても結果は想像出来るけどな」

白鳥輝穂「確認したいことって何ですか?」

中後小百合「事件発生時のアリバイじゃないか?事件の際にはまずは確認しないとな」

肉丸健太「あー、そっか。そうだよねー」

相田鳥子「それがなんでやらないでわかるんだー?馬鹿かー?」

黒魔帝兎「……事件発生が深夜2時だから、たぶん全員にアリバイがないって想像できるんだろう。この中で、深夜2時頃のアリバイを証明できる奴がいるか?」

白鳥輝穂「……できません。その時間はもう自室で寝ています」

黒魔帝兎「そう、皆がそう答えるはずだ。もちろん、殺した張本人もだ」

左雨瑞樹「アリバイによる無実の証明は誰も出来ない……なら、今のところは全員が犯人候補だと考えられるわけだ」

中後小百合「裁判の度に、この中の誰かを疑わないといけない。これは、何度体験しても慣れないね」

左雨瑞樹「でも疑わなければならない。疑って、真実を明かす。クロ以外の全員が生き残るためにも、な」

左雨瑞樹「そのためには捜査だ。捜査をして考えないと、何も始まらないからな」

左雨瑞樹「全員にアリバイがないことも確認できたし、そろそろ本当に捜査を開始した方がいいだろう」

白鳥輝穂「そうですね。では、捜査を頑張りましょう!」
785:🎏 :2014/1/16(木) 02:38:09 ID:UMpW2c0CII
白鳥輝穂「黒魔帝さん、まずゴミを調べてみたいんですけど、いいですか?」

黒魔帝兎「ああ、いいよ。犯人がゴミとして重要な証拠を捨ててないとも限らないからな」

中岡笑「自分らも行動開始ですよ!」

相田鳥子「氷室をころしたはん人はあたしがみつけだす!」

中後小百合「リーダー殿、皆それぞれ行動を開始したぞ。我々も動くべきではないんじゃないかい?」

左雨瑞樹「当たり前だ。エリカのために、俺は頑張らなくちゃいけないんだ」

中後小百合「それで、まずはどこを捜査するんだ?」

左雨瑞樹「……現場だな。死体も調べなきゃならんし、重要な証拠も残っていそうだ」

中後小百合「……氷室の遺体を見るのは辛かろう?現場の捜査は私がメインでやろうか?」

左雨瑞樹「馬鹿言え。お互いに見張ってなきゃ、今回のペア分けの意味がねえだろ。俺も一緒に調べるよ」

中後小百合「そうか……左雨は強いな。私が先生で置き変えて想像したら……今にも発狂してるよ」

左雨瑞樹「本当に強けりゃ泣いたりしてねえよ。俺は弱い人間だ」

中後小百合「いいや、左雨は強い人間だ。これだけは譲れないね」

左雨瑞樹「……ループしそうだから、素直に受け止めておくよ」
786:🎏 :2014/1/16(木) 02:41:38 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「さて、実はモノクマファイルを見て気になってたことがある」

左雨瑞樹「気になってたこと……それって死因か?」

中後小百合「さすが左雨は話が早い。そう、死因のことだ」

中後小百合「死因は人体急所を刺されて死亡>>780とあるが……これは何だ?」

中後小百合「今までこんなハッキリしない死因があったか?凶器もわからないではないか」

左雨瑞樹「そこは捜査して自分で確かめろってことじゃないか?ほら、ベッドの近くを見てみろ」

中後小百合「ん?……裁縫セットがあるね」

左雨瑞樹「あれは最初に配付されてた物だな。男子には工具セット、女子には裁縫セットが用意されてたはずだ>>75

中後小百合「ああ、あったね、そんな物も」

左雨瑞樹「そして俺の記憶が確かなら、女子の裁縫セットには、殺害のための人体急所マップが用意されてたはずだ」

中後小百合「……まさか、そういうことなのか?」

左雨瑞樹「ああ。エリカは、この人体マップを参考に、首の後ろにある急所を針で刺されて死んだ物だと思われる。くそっ!こんなふざけた方法でエリカは……」

中後小百合「……本当だね。首の後ろの方に針が深く刺さってる。急所を針で刺されて死亡……だから遺体はこんなにも綺麗なんだな」

中後小百合「殺人って、やっぱり残酷だな。パッと見では、ただ眠ってるようにしか見えないけど……これで、死んでるんだもんな」

左雨瑞樹「エリカ……」

モノクマ「ようやくボクが用意したプレゼントを使ってくれましたね、オマエラ!ボクは嬉しいです!」

中後小百合「出やがったな、悪魔め」
787:🎏 :2014/1/16(木) 02:44:23 ID:UMpW2c0CII
モノクマ「悪魔て。こんなにプリティなボクを見て、その感想はどうかと思うよ!」

モノクマ「それはそうと、ようやく裁縫セットが役立つ瞬間が来ましたね」

モノクマ「親切にも一刺しするだけで簡単に殺せる急所を教えてあげてるのに、オマエラは一向に使おうともしないでさ!」

モノクマ「一生懸命用意したボクは、陰ながら涙で枕をぬらしていた物です。およよ……」

左雨瑞樹「とにかく、その人体急所を参考にして、犯人はエリカに針を刺し、それで死んだってことだな……」

中後小百合「当然ながら氷室は女子だ。つまり、この部屋には裁縫セットがはじめからある」

中後小百合「死亡時刻が深夜2時だから、犯人は氷室が寝静まったところを狙って部屋に侵入し、そのまま裁縫セットを使って殺したってとこか」

左雨瑞樹「まあそう考えるのが普通だよな」

中後小百合「しかし、それでは結局密室の謎が残る。鍵を部屋に残したまま、どうやってドアの鍵をかけたのか……」

左雨瑞樹「……密室にする方法に関しては、謎のままだな」

中後小百合「まあでも殺された状況だけは少し見えたかもな。それだけでも収穫としようか。そろそろ他の場所を調べてみるかい?」

モノクマ「ゆとりはすぐ妥協するよね。別に一番なんか目指してないですしーある程度いければそれでいいですしーって」

モノクマ「そうやって言い訳して妥協する人生はさぞかし楽でしょうね。うぷぷぷぷ!」

中後小百合「……相変わらずここの学園長は憎たらしい言い回しをしてくれるな」

モノクマ「耳が痛いのは、自分に負い目がある証拠じゃないかな?うぷぷぷぷ!」

中後小百合「物は言いようだな。言葉って奴は本当に面白いよ」
788:🎏 :2014/1/16(木) 02:47:05 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「とりあえずもうちょっと捜査してみるか?現場は言うまでもなく重要な場所なんだし」

中後小百合「まあ別に構わないけどな」

左雨瑞樹「それじゃもうちょっと調べて……ん?」

左雨瑞樹「……小百合。やっぱり捜査を続けて正解だったかもしれない」

中後小百合「どうした?何か面白い物でも見つけたか?」

左雨瑞樹「ああ。けっこう面白い物を見つけたぞ。見てみろ」

中後小百合「こいつは……裁縫セットか。あれ?でも……」

左雨瑞樹「そう。ベッドにあった裁縫セットとは別物だ。これは引き出しの中にあったから、エリカの部屋の物だろう」

中後小百合「こいつは使われた形跡がない。殺害に用いた裁縫セットは、やはりこのベッドのところにある方だろう」

左雨瑞樹「……一応聞いとくけど、女子の部屋に用意されてる裁縫セットは一つだけだよな?」

中後小百合「逆に聞いてやるが、男子の部屋は工具セットが複数用意されてたのか?」

左雨瑞樹「いいや、一つだけだな」

中後小百合「それが私の答えだ」

左雨瑞樹「となると、殺害に使われた裁縫セットは、別の女子の部屋から持ち込まれたと考えられるな」

中後小百合「最初から裁縫セットのある氷室の部屋に、何故別の物を持ち込んで使用したのか?それでは密室状態にさせる意味がなくなる」

中後小百合「密室で死なせれば、自殺だと思わせることが出来る。犯人としてはそれで勝ちなんだ。外部の犯行の可能性を現場に残すメリットは考えられない」

中後小百合「……まあ他殺なのはモノクマがすぐにばらしてしまったけどな。とにかく、犯人の視点で考えると、密室の場にわざわざ外部犯行の証拠を残すってのはわからないな」

左雨瑞樹「密室にする方法、わざわざ凶器を他から持ってきたこと……謎はまだまだ謎のままだが、捜査の方向性は見えたな」
789:🎏 :2014/1/16(木) 02:48:44 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「捜査の方向性……この犯行に使われた裁縫セットがどこから出てきたのか探るのか?」

左雨瑞樹「ああ。小百合は話が早くて助かるな」

左雨瑞樹「エリカの殺害に裁縫セットを使ってて、それが外部から持ち込まれてるんだ。事件に関係ないわけがない」

左雨瑞樹「それに殺害に使われた裁縫セットが、もしも生きてる女子の部屋の物なら……その持ち主は大きく事件に関わってるはずだ」

左雨瑞樹「これだけ明確な捜査の指針があるんだ。頼らないわけにはいかないだろう」

モノクマ「おー、何か進展あったっぽいじゃん。ゆとらずに頑張ってみるもんでしょ?」

中後小百合「……無視だ、無視。こいつに関わると碌なことにならない」

モノクマ「中後さんって徹底的にボクのこと嫌ってるよね。ショックだなー!」

中後小百合「お前のことを好きな奴なんざ存在しないよ。よかったなモノクマ」

モノクマ「がーんだな……出鼻をくじかれた」

中後小百合「さてと……左雨、行こうか」

左雨瑞樹「ああ……」

モノクマ「ちょっとは構えよ!クマー!」
790:🎏 :2014/1/21(火) 01:01:07 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「……小百合、すまないな。もうちょっとだけこいつに構わないといけない」

モノクマ「おっ?ボクの出番なのかな?」

中後小百合「左雨が意味もなくこいつと関わるわけもないか。わかったよ、もうしばらく我慢しよう」

左雨瑞樹「ありがとう。それでだな、モノクマ」

モノクマ「はいはーい。何でしょう?」

左雨瑞樹「既に死んでる生徒の部屋って、今はどうなってる?」

モノクマ「鍵かけてそのままにしてありますよ。死んだからって、部屋の中の物片付けて、思い出まで消してしまうのは悲しいじゃないですか」

モノクマ「……まあ実際のところ、片付けが面倒なだけなんですけどね!うぷぷ!」

左雨瑞樹「そのままで置いてあるなら、当然女子の部屋には裁縫セットもあるはずだよな」

中後小百合「……なるほどね。そこから殺害に用いた裁縫セットを調達した可能性があると考えたわけか」

中後小百合「今回の犯人は、鍵もないまま侵入して密室状態を保ったまま去っている。氷室の部屋だから出来た仕掛けなのか、どの部屋でも出来る芸当なのか知らないが……」

中後小百合「もしも後者なら、死んだ女子の部屋から調達することも可能だなあ」

左雨瑞樹「もしもそうなら、その部屋に何か犯人の痕跡があるかもしれないだろ?」

左雨瑞樹「だからそういった部屋を調べる必要がある。そこで不本意ながらモノクマに頼らないといけない」

左雨瑞樹「死んだ女子生徒の部屋を調べる。中から鍵を開けてくれないか?」

モノクマ「えー?ボクは学園長ですよ?便利屋か何かと勘違いしてない?」

モノクマ「でも捜査という名目で女子の部屋に入るのは興奮するかもね!わかりました、協力しましょう!」

左雨瑞樹「動機は最悪だが、まあ結果オーライといこう。すまんな、モノクマ」
791:🎏 :2014/1/21(火) 01:02:33 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「さて、氷室を除いた死んだ女子って言うと、具体的には……」

左雨瑞樹「百目鬼良子、本田川佑子、場明日虎美、夜桜愛梨……この四人だな」

中後小百合「こうしてまとめてみると、今更ながら仲間がこんだけ減ってしまったんだと、悲しくなるね……」

モノクマ「その四人の部屋に侵入してあれこれ……ごほんっ!中から鍵を開ければいいんだね?」

左雨瑞樹「そうだ。裁縫セットの有無を確認するんだ」

中後小百合「果たしてどういう結果になるかね」



中後小百合「調べてみたけど……死んだ女子の部屋には、普通に裁縫セットがあったな」

モノクマ「せっかくボクが手伝ってあげたのに、この結果は何だよ!」

モノクマ「まあ女子の部屋に侵入しただけでも、下半身から白い物を発射しそうにはなるけどね。それだけでもいいかなあ。うぷぷ!」

中後小百合「さて、殺害に使用された裁縫セットが、死んだ女子の物じゃないとしたら、少々面白いことになるな」

左雨瑞樹「殺害に使われてたのはエリカの物でも、死んだ女子の物でもなかった。だとしたら、その出どころは……」

中後小百合「生きてる女子の部屋ってことになる。そして、その女子が事件に無関係なわけがない」

中後小百合「ここはひとつ、他のグループと合流して、女子に入室させてもらって裁縫セットの有無を確認した方がいいんじゃないかね?」

左雨瑞樹「そうだな。それでようやく殺害に使われた裁縫セットは誰の物かがはっきりする」

左雨瑞樹「それに、生きてる相手なら、このモノクマに頼る必要もない。ようやく離れることが出来るわけだ」

モノクマ「手伝ってやったのにこの言い草ですよ。あーあ、最近の若者には感謝の念が失われてますね。ボクはどうかと思いますよ!」

中後小百合「勝手に言ってろ。人と熊じゃ感性が違うんだ。……左雨、今度こそ行こう」
792:🎏 :2014/1/21(火) 01:03:44 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「お前ら、ちょっといいか?」

白鳥輝穂「あ、左雨さんと中後さん」

黒魔帝兎「どうした?捜査に何か進展でもあったか」

中後小百合「進展するかはこれからの展開しだいだな。とりあえず白鳥、お前の部屋を調べさせてほしい」

白鳥輝穂「えっ!?わ、私……お二人から疑われているのでしょうか?」

左雨瑞樹「あー、疑うかどうかは捜査の結果次第かな。実はだな……」



左雨瑞樹「……っていうわけなんだ」

黒魔帝兎「なるほど……確かに裁縫セットが見つからなかったら、それは怪しいな」

白鳥輝穂「何かの手違いでなかったらどうしようっていう怖い気持ちはありますけど……事件解決のために役立つなら、どうぞ調べてください!」

左雨瑞樹「悪いな、輝穂。でも、事件解決には必要かもしれないんだ。お邪魔させてもらうぞ」

白鳥輝穂「はい!どうぞ遠慮なく調べてください!」
793:🎏 :2014/1/21(火) 01:05:01 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「白鳥の部屋に邪魔させてもらってるが……いやはや、女の子だねえ」

左雨瑞樹「可愛らしい部屋だよな。何か男子の妄想を壊さずに叶えてくれてる感じだわ」

白鳥輝穂「可愛いだなんて、そんな……でも、褒めてもらえるのは純粋に嬉しいです」

黒魔帝兎「それはそうと、裁縫セットはあるのか?」

白鳥輝穂「ちょっと待ってくださいね。確かにここに仕舞っておいたはずです……あった!ありました!」

中後小百合「うん、確認した。すると、氷室の部屋にあったあれは、白鳥のではないと言ってよさそうだな」

白鳥輝穂「疑われずに済んでよかったです……」

黒魔帝兎「じゃあ今度は別の女子の部屋を調べる必要があるな」

左雨瑞樹「そうだな。こっちはその方針で捜査を続けるとするよ」

左雨瑞樹「……ああ、そうだ。輝穂に聞いておきたいことがある」

白鳥輝穂「私ですか?はい、何でしょう?」

左雨瑞樹「今回もゴミとか調べてみたんだろ?何か怪しい物とかあったか?」

白鳥輝穂「いいえ。今回は黒魔帝さんも手伝ってくださったので、入念に調べることができましたけど、怪しい物は何も……」

左雨瑞樹「そうか。わかったよ。それじゃ俺達はもう一つのグループにも話を聞いてみるよ」

黒魔帝兎「おう。お互い捜査頑張ろうな」
794:🎏 :2014/1/21(火) 01:07:11 ID:UMpW2c0CII
肉丸健太「もー歩くの疲れたよー。足が棒になっちゃうよー。少し休もうよー」

相田鳥子「アシガボーってだれだー?馬鹿かー?」

中岡笑「何ですかこのグダグダ捜査は!?そりゃまわりの皆も心配になりますよ!」

左雨瑞樹「……相変わらずだな、お前らは」

中岡笑「この有り様で相変わらず言われてますやん!もう絶望的ですよ!」

相田鳥子「左雨ー、あたしのなまえはあいかわじゃねーぞー。馬鹿かー?」

肉丸健太「で、左雨くん達は何しに来たのー?」

左雨瑞樹「ちょっと鳥子の部屋を調べさせてほしいんだ。っていうのも……」



左雨瑞樹「……っていう感じになってて」

中岡笑「なるほど。まあ確かにそれで裁縫セットがなくなってたら、怪しいですねえ」

肉丸健太「相田さん、そういうことだから、裁縫セットがあるかどうか調べてもいいかなー?」

相田鳥子「さいほうせっとって何だー?馬鹿かー?」

中岡笑「……これ聞く限りじゃ相田さんが持ち出したとは考えにくいですけどね」

左雨瑞樹「まあでも一応な。鳥子、部屋の中調べてもいいか?」

相田鳥子「よくわかんねーけど、氷室のかたきがとれるならやってくれ!」

中後小百合「ありがとう。それじゃ相川の部屋でも調べるとするかね」

相田鳥子「あたしのなまえはあいかわじゃねーって言ってんだろー!馬鹿かー!?」
795:🎏 :2014/1/21(火) 01:08:58 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「鳥子の部屋に来てみたけれど……」

中後小百合「何て言うか、面白い部屋だな」

肉丸健太「コンセプトのよくわからない部屋だよねー」

中岡笑「それで、裁縫セットはどこに仕舞ってあるんですか?」

相田鳥子「だからさいほうせっとって何だよ?馬鹿かー?」

中岡笑「……左雨くん、これどうするんですか?」

左雨瑞樹「……自力で探すしかないのかな。俺達で勝手に部屋を探してもいいか?鳥子」

相田鳥子「おう!さがしてくれ!」

中後小百合「そういうことらしいから、探してみるかね」



中後小百合「……左雨、あったぞ。裁縫セットを見つけた」

中岡笑「やっと見つかりましたかー。けっこう探しましたね。もうないのかと思いましたよ……」

左雨瑞樹「鳥子のが見つかったとなると、エリカの殺害に使われた裁縫セットは鳥子の物ではないということになるな」

相田鳥子「みんなのやくにはたったのかー?」

肉丸健太「うんー。凶器に関して一つ情報をまとめられたんだから、凄く役に立ったよー」

相田鳥子「そっか!そりゃーよかった!」

中後小百合「裁縫セットが見つかった以上、もう相田の部屋を調べても仕方ないかな。次の捜査に移るとしようか」

相田鳥子「あたしらもがんばるから、おまえらもがんばれよ!」
796:🎏 :2014/1/21(火) 01:10:27 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「さて、再び二人きりになったな、リーダー殿」

中後小百合「白鳥、相田の部屋の物でもないとすると、一体全体どこから持ち出されたのかね、あの裁縫セットは」

左雨瑞樹「……」

中後小百合「何だい?そんなにじーっと見られても、私はお前に惚れたりはしないぞ」

左雨瑞樹「裁縫セットが用意されるのは女子の部屋……死亡した女子と輝穂、鳥子の部屋の物ではなかった」

左雨瑞樹「ここまで言えば、お前なら何が言いたいかわかるんじゃないか?」

中後小百合「……つまり、氷室を殺した裁縫セットは、私の部屋の物だと、そういうことだな?」

左雨瑞樹「そういうことだ。虱潰しに探して、最後に残ったのがお前だ。……あの裁縫セット、お前のじゃないのか?」

中後小百合「だったら面白いことになりそうだねえ。一応私の部屋も見てみるかい?裁縫セットがあるはずだよ」

左雨瑞樹「ああ、調べさせてもらう。調べればはっきりすることだ」

中後小百合「それじゃあ私の部屋に入れてやろう。私の部屋に入れるのは男として誉れだろう?」

左雨瑞樹「女子力ゼロの部屋で何言ってんだか。いいから行くぞ」

中後小百合「了解したよ、リーダー殿」
797:🎏 :2014/1/21(火) 01:13:34 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「いらっしゃい。私の部屋はどうだい?」

左雨瑞樹「どうもこうも、何度か見てるから大した感想もねえよ。それより裁縫セットだ」

中後小百合「お前とだったらロマンティックなムードも演出できそうにないな。今出すよ」

左雨瑞樹「そういうムードを演出できないのはお前に原因があるんだけどな。早く出せよ」

中後小百合「まあそう急かすな。すぐに出す……から……」

中後小百合「……ふふふ。あははははっ!」

左雨瑞樹「どうした?何をとち狂ってんだ?」

中後小百合「左雨、最高に面白いことになったぞ。ないんだ。私の部屋に、裁縫セットがないんだ!」

左雨瑞樹「……やっぱりあれはお前のだったか」

中後小百合「私以外の女子の部屋にはあったんだもんな。そりゃ私のだと考えるのが妥当だ。しかし、本当に無いとはな!」

中後小百合「ここに無い以上、十中八九殺害に使われたあれこそが私のだろう。まさか知らぬ間に事件の関係者になってたとはな!最高に面白いじゃないか!」

左雨瑞樹「知らぬ間に?本当かよ……お前の部屋の物を使えるのは、お前だけじゃねえか!」

中後小百合「そうは言っても、私は殺してないぞ。疑ってくれても構わないが、それでは真相には辿り着けない。何故なら、私は犯人じゃないからだ」

左雨瑞樹「犯人は皆そう言うだろうよ」

中後小百合「ふふふ、違いない。でも犯人じゃない奴だってそう言うものさ。私は犯人じゃないよ」

左雨瑞樹「どうなんだろうな……」
798:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/21(火) 20:52:56 ID:ZEOPBAIpFQ
支援
799:🎏 :2014/1/22(水) 01:45:39 ID:UMpW2c0CII
部屋の中で小百合と対峙してると、モニターが映った。モノクマの放送だ。

「3、2、1、どっかーん!学級裁判ー!」
「そういうわけで、そろそろ捜査が終わってもいいんじゃないかと思うんだよね、ボクは!」
「良い子なオマエラは、裁判場へボソンジャンプしちゃいましょう!ユーゲッバーニーン!」

いつものように本番開始を知らせる放送だ。これを機に、俺達は地下へと進まなくてはならない。
地下に存在する地獄。最低最悪の学級裁判、それを執り行う裁判所。
行きたいとか行きたくないとか、俺達の意思は関係ない。裁判のために向かうしかないのだ。

「行くぞ小百合。悪夢の裁判の開幕だ」
「左雨。お前は私を疑ってるのか?」

小百合に訊ねられた。
今回の捜査でわかったことは少ない。捜査の結果、密室の謎などは未だ不明のままだ。
しかし、少ないながらもわかってることがある。殺害に使われたのは、小百合の部屋の裁縫セットだ。
その持ち主が事件に関係してないわけがない。この情報量だと、現段階では小百合を疑うのが普通だろう。

「正直、疑ってる。でも、真実はきっと裁判場で明らかになるだろう」
「そうか、疑ってるか。残念だなあ。でも、私達ならきっと裁判で真実を明らかにできるだろうな。ひとつ頑張るとするかな」

そんな会話を交えながら、俺達二人はゆっくりと裁判場に向かうエレベーターの部屋へと歩みを進めた。
800:🎏 :2014/1/22(水) 01:48:25 ID:UMpW2c0CII
校舎側にある、豪華な作りの赤い扉。その中へ、小百合と共に入る。
そこには既に他のメンバーも揃っていた。入ってきた俺達へ一瞬視線を移すが、すぐに戻した。
戻した視線の先にあるのは閉ざされたエレベーター。地獄へ誘うパンドラの箱。
間もなくモニターが映り、そこからモノクマが発言する。

「オマエラ、全員揃ったみたいだね。エステバリス、もといエレベーターに乗ってください!」
「思いつきのネタでも、律義に最後まで貫くボクはクマの鑑ですね。素晴らしい!」
「とにもかくにもエレベーターで裁判場に行くのです。以上です。最後の締めは、バカばっか!」

いつものようにわけのわからないことを一方的に吐き捨てて、モニターは消えた。それと同時に扉は開かれる。
俺達はそれに乗り込む。何も言わず、ただ乗り込む。
俺達を収めた箱は、災厄の地へと堕ちていく。
殺意、疑心、憤怒の入り混じる狂気の裁判場。俺達はそこへ堕ちていく。
801:🎏 :2014/1/22(水) 01:50:02 ID:UMpW2c0CII
今回で四度目だが、やはり慣れない。怖い。恐怖からだろう、俺の体は震える。
こんな時、エリカがいてくれたら。
震える俺の手をエリカが握ってくれたら。
恐怖は消えて、エリカの温もりが俺を安心させてくれただろう。
でも、もうエリカはいない。俺がエリカの温もりを感じることは、これからの生涯にただ一度として訪れないんだ。
これから行われるのは、エリカを殺した犯人を暴く学級裁判。
俺はエリカのために、全力を尽くして頑張らなくてはならないんだ。
それを思うと、震えている場合ではない。臆している場合ではない。
エリカのために、俺は覚悟を決める。エリカのために、俺は頑張る!

決意を固め、震えも治まりつつあったその時、箱は動くのをやめた。
そして箱は開かれた。疑いの言葉が飛び交う、最低最悪の裁判場が、その姿を現した。
802:🎏 :2014/1/22(水) 01:52:10 ID:UMpW2c0CII
「この裁判場を見るのは今日で最後にしよう。……前回の裁判でそう誓ったんだけどな。残念だ……」

小百合がそう呟いた。そんな発言とは裏腹に、歩はスムーズに進む。もう四度目だから、自分がどこに行けばいいのか、皆しっかりと把握できているわけだ。
鳥子以外の全員がさっさと指定の場所に着いて、その鳥子は健太が誘導して席に着かせ、いつでも裁判が出来る状態となる。
俺はエリカの席を見た。彼女はいない。代わりにあるのは遺影だけ。モノクマ曰く、死んで仲間外れにするのはかわいそう、なんて名目で飾られた遺影。
……頭ではわかってるはずなのに、どこかで俺は生きてる彼女を探してしまう。そして、死んでる現実を突きつけられる。
いけない。今からやるのは彼女を殺した犯人を探す裁判だ。こんな調子で、俺が勝てるわけがない。
しっかりしろ。これは他ならぬエリカのためなんだ。俺がここで頑張らなかったら、エリカはどうなる?
エリカのために、俺が頑張らなくちゃいけないんだ。しっかりしろ、左雨瑞樹!
俺は、この裁判で勝つ!そのために、迷いを断ち切るんだ!
803:🎏 :2014/1/22(水) 01:54:12 ID:UMpW2c0CII
モノクマ「おお、今回は配置に着くのが早かったね!ボクが指摘する前に出来てんじゃん!」

中岡笑「まあ四度目ですからね……嫌でも覚えてしまいますよ」

モノクマ「ということは、裁判の細かなルールも言わなくたって大丈夫だね!」

中後小百合「そういうことだ。さっさとクロを明かして、この地獄から去りたい。すぐに始めよう」

モノクマ「まあまあ中後さん。確認って大事ですよ。今回もしっかり確認してから始めます。ゆとりは生き急ぐからよろしくないよね!」

中後小百合「ちっ……」

モノクマ「そういうわけで、学級裁判のルールをしっかりはっきり確認していきます!」

モノクマ「学級裁判の結果はオマエラの投票結果で決まります」

モノクマ「正しいクロを指摘出来ればクロだけがおしおきです。正しいクロを指摘できなかった場合はクロ以外がおしおきです」

モノクマ「クロがおしおきされたら残った皆で学園生活を続行、皆がおしおきされたらめでたくクロが卒業となります!」

モノクマ「はい、これで確認終了です!裁判で異議を申し立てる準備完了だよ!オマエラ、何か質問ある?」

黒魔帝兎「四度目の裁判だからな。さすがにもう要領は得ている。さっさと始めよう。中後が言うように、この地獄には長居したくない」

モノクマ「地獄地獄って、ここは裁判場だよ!最高に面白い素敵な裁判場じゃないですか!」

モノクマ「まったく、最近の若者の感性はわかんないよ!こんなにボクとオマエラで意識の差があるとは思わなかった……!」

モノクマ「まあいいや。さっさと始めたいなら始めるがいいよ!クロは誰かの議論、始めちゃってください!」
804:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/24(金) 18:24:18 ID:bt3MzUsENs
しえーん
805:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/24(金) 21:30:34 ID:ZEOPBAIpFQ
んーえし
806:🎏 :2014/1/26(日) 01:19:46 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「……裁判を始めようか」

白鳥輝穂「えっと……どうします?何を話していきましょうか?」

黒魔帝兎「まずは事件の概要をまとめるべきだろう。事件を客観的にまとめて、それで何か気付くこともあるかもしれない」

中岡笑「そうですね。それじゃあそういう方針でまずは話を切り出しましょう」

肉丸健太「死んでたのは氷室さんだよねー。密室になってた自室で殺されてたんだよねー」

左雨瑞樹「ああ……」

肉丸健太「……左雨くんは特に辛いよねー。ごめんよー。でも、話さなきゃいけないことだからねー……」

中後小百合「モノクマファイルによると、死因は急所を刺されたとのこと。しかし、これだけでは要領を得ない」

黒魔帝兎「ああ。急所とはどこを指してるのかとか、凶器は一体何なのかとか、割とわからないことだらけだ」

相田鳥子「でも左雨と中後がしらべてわかったんだろー?」

左雨瑞樹「ああ。エリカは裁縫セットの針を首に刺されて死亡していた。モノクマが用意した人体急所マップを参考に、危険な部位を刺されたんだ」

中後小百合「正確に言えば首の後ろの方だ。後頭部より少し下、その辺りの首に針を一刺し。これで氷室は死亡した」

中岡笑「確か、その裁縫セットって、氷室さんの物じゃなかったんですよね?」

左雨瑞樹「ああ。女子の部屋に一つずつ配付されてる物にも関わらず、犯人はエリカの部屋の物を使わずに他の場所から持ち出して使った」

相田鳥子「おんなのへやにそのさいほうせっとってやつがあるっていうのはマジでかー?」

肉丸健太「……マジだよー」
807:🎏 :2014/1/26(日) 01:21:37 ID:UMpW2c0CII
白鳥輝穂「とにかく、殺害に使われたのが氷室さんの物でないなら、その出どころを探ることで、事件を進展させられるかもしれませんね」

黒魔帝兎「だから各女子の部屋を捜査して回った……それで、結果はどうだったんだ?左雨」

左雨瑞樹「……一人。裁縫セットが部屋になかった女子を見つけた」

中岡笑「だ、誰ですかそれ!?」

中後小百合「私だよ。私の部屋には裁縫セットがなかった。他の女子の部屋には、死んだ女子も含めて全てに裁縫セットがあった」

中後小百合「となれば、氷室の殺害に使われたのは私の裁縫セットだろう。十中八九、それは確かだ」

中後小百合「殺害に使われた道具が、私の部屋から現場に持ち出されてるわけだからな。どうやら私も事件の関係者みたいだ」

黒魔帝兎「事件の関係者って……それはもう、お前が犯人じゃないか!」

中後小百合「何故そう言い切れる?」

黒魔帝兎「何故って……お前の部屋の私物を好きに扱えるのはお前だけだ。そしてそんな私物が殺害現場に持ち出され、殺害に使われてたんだぞ。決まりじゃないか!」

中後小百合「ところが、私に限ってはそうも言い切れない」

黒魔帝兎「はあっ!?お前、何を言って……」

左雨瑞樹「……小百合は絶望し、誰かに自分を殺してほしかった。だから誰でも部屋に侵入して殺せるよう、部屋の鍵をかけないでいた>>766

左雨瑞樹「つまり誰でも小百合の部屋に入ることが出来た。言い換えれば、誰でも小百合の部屋から裁縫セットを持ちだすことが出来たんだ」

中後小百合「そういうことだ。事件が起きてるのは深夜2時だ>>780その頃は私も寝てるし、簡単に盗めたんじゃないかねえ?」
808:🎏 :2014/1/26(日) 01:24:03 ID:UMpW2c0CII
中岡笑「で、でも、中後さんがその時寝てたとは限らないじゃないですか!」

中岡笑「それに、中後さんはなんだかんだ怖くなって、鍵をかけて寝たかもしれないです!そしたら他の人は裁縫セットを盗めないです!」

中岡笑「その辺、証明できるんですか!?」

中後小百合「出来ないよ」

中岡笑「出来……えええ!?」

中後小百合「お忘れかい?事件発生が深夜2時なんて時間だったから、私達には全員その頃のアリバイがない>>784

中後小百合「だから皆、可能性なんかで物事を測らねばならんのさ。確かに私は、その時寝てたとも、鍵をかけてなかったとも証明できない」

中後小百合「でもそれは、お前らも同じだろう?この中で、私が寝てなくて鍵もかけてて、第三者が盗めるはずがなかったと言い切れる奴がいるかい?」

中後小百合「その辺の真偽を言い切れるのは、その時間帯に活動してたであろうクロの旦那ただ一人じゃないのかい?」

中後小百合「もっとも、そのクロがそれらを証言するとは思えないね。故に、この辺を議題にあげるのは無駄だと言えるだろう」

左雨瑞樹「そうだな。今回の事件、アリバイはないし、密室の謎も残ったまま、証拠も少なく、わからないことだらけだ」

左雨瑞樹「わからないものを話しても、かもしれないという範疇を抜けられない。かもしれないでいいのなら、何とでも言えるからな」

左雨瑞樹「だからここは、わからない物は一旦そうだと仮定しておいて、その上でわかってることと照らし合わせて考えていくのはどうだろうか?」

左雨瑞樹「そうすれば、真実とは異なる仮定だった場合、きっと矛盾が生まれるんじゃないだろうか?」

左雨瑞樹「そうやって、わからないながらも、わかったことと照らしてあれこれ考えれば、真実を手繰り寄せることが出来るんじゃないだろうか」
809:🎏 :2014/1/26(日) 01:26:23 ID:UMpW2c0CII
白鳥輝穂「そうするとして、一体何を仮定して話を進めるのですか?」

左雨瑞樹「……犯人は小百合ではなく、本当に寝てて鍵もかけてなかったとする」

左雨瑞樹「現場に小百合の部屋の裁縫セットがあった以上、犯人は小百合の部屋にも侵入しているはずだ」

左雨瑞樹「そして、それを盗んでエリカの殺害に用いた……」

黒魔帝兎「……何もおかしくないな。第三者が犯人で、尚且つ中後の部屋の裁縫セットが使われたことにも説明がつく」

左雨瑞樹「そいつは違う」

中岡笑「え?ち、違うんですか?何かおかしいところ、ありました?」

左雨瑞樹「問題は、寝ている人の部屋に侵入して物を盗むという点だ」

左雨瑞樹「寝ているということは、物音はもちろん立てられないが、電気もつけられない。それをしてしまえば、小百合が起きてしまう可能性が高くなってしまう」

肉丸健太「確かに、起こしちゃうのは犯人的にはまずいよねー。凶器になる物を盗みに来てるんだもん。それを見つけられるわけにはいかないよねー」

左雨瑞樹「あと……捜査の時、俺と小百合のグループは、笑と健太と鳥子のグループと協力して、鳥子の部屋で裁縫セットを探した>>795

黒魔帝兎「探したって……相田の部屋なんだから、本人にさっさと出してもらえばいいだけの話じゃないのか?うちのグループの白鳥の時みたいに>>793

相田鳥子「どこにあるかわかんなかったんだよ。そもそもさいほうせっとってのが何なのかもわかんねーしな!」

黒魔帝兎「……事情はわかった」

左雨瑞樹「輝穂の時みたいに、本人に出してもらえばすぐに見つかる。でも、鳥子の時みたいに、どこにあるかわからない状態で他人が探せば、当然時間もかかる」

左雨瑞樹「話を戻すが、小百合が寝てる間に裁縫セットを盗むとなると、どこにあるかわからない第三者が探さないといけなくなる」

左雨瑞樹「この条件下で探すなんて可能か?電気もつけないで真っ暗な中、手探りでどこにあるかもわからない裁縫セットを静かに盗むなんて、本当に可能なのか?」
810:🎏 :2014/1/26(日) 01:28:34 ID:UMpW2c0CII
白鳥輝穂「言われてみると、確かに厳しいように思えます!」

左雨瑞樹「……小百合が寝てたとすると、この辺がどうも怪しいように感じる。小百合、本当にお前は寝てただけなのか?」

中後小百合「……なるほどねえ。そういう切り崩し方をするかい。やっぱり左雨は面白いねえ」

黒魔帝兎「質問に答えろよ。本当に寝てただけなのかよ?」

中後小百合「本当に寝てただけさ。ここは、何度聞かれても譲る気はないよ。まあ再三言うように証明は出来ないけどね」

黒魔帝兎「で、でもそれだと犯人がお前の部屋から裁縫セットを探し出すなんて無理だって……」

中後小百合「それが面白いことに、私の部屋ならそれが出来るんだ。いやはや、参ってしまうね」

中岡笑「どういうことです!?」

中後小百合「私はこの学園に来てから今まで、一切部屋をいじってない。それは私の部屋を見た者ならわかるだろう?」

左雨瑞樹「……確かにそうだ>>436>>723小百合はここに来てから部屋の模様替えを行っていない」

中後小百合「証人は左雨だけじゃないはずだ。少なくとも、私が鍵をかけないと宣言してから、何人か心配して私の部屋に来たはずだ。その時に見てるだろう?」

白鳥輝穂「た、確かに……中後さんの部屋は、入学当初のままでした」

中後小百合「今はそれぞれ模様替えしてて、三者三様の部屋の有り様になってるんだろうが……最初は皆同じだったはずだ」

中後小百合「そして私の部屋が最初のままだということは、皆が部屋の配置を知っているということになる」

中後小百合「暗闇の中でも、目が慣れれば多少は見えるだろう。そうなれば、記憶を頼りに探せば……第三者が私の部屋から裁縫セットを盗むのも可能と言えるわけだ」

中後小百合「女子は言うまでもないし、男子だってたぶん裁縫セットが工具セットになってるだけで、ある場所は変わらないだろう。裁縫セットの場所がわからないということはないだろう」

中後小百合「ここにいる女子でも男子でも、私の部屋から裁縫セットを盗むのは不可能じゃないんだよ」

左雨瑞樹「……」
811:🎏 :2014/1/26(日) 01:31:10 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「更に、左雨の物言いのおかげで、面白いことが発覚したと言えるんじゃないかな」

白鳥輝穂「面白いこと……?」

中後小百合「今回、殺害されたのは氷室だ。何故氷室が殺されたのか、氷室でなければならなかったのか……まあそこは知らんが」

中後小百合「とにかく、犯人は氷室の部屋に侵入したにも関わらず、凶器は私の部屋から調達した。それは何故か?」

黒魔帝兎「確かに……氷室の部屋にも裁縫セットがあるはずだが、犯人は別に用意したんだよな」

中後小百合「それはだな……左雨が言ったように、第三者には盗み出せなかったからだよ。氷室の部屋は私の部屋とは違う。故に、裁縫セットの場所が特定できない」

中後小百合「だから凶器は別の場所から用意した。鍵がかかってなくて部屋の中も最初のままいじっていない私の部屋からだ」

中後小百合「氷室が裁縫セットの針で殺されたこと、その凶器が私の部屋から盗まれたのは揺るぎない事実だ」

中後小百合「それを踏まえた上で、まとめた情報を加えれば、第三者でも殺害が可能だったと言うしかあるまい」

中後小百合「私の部屋の裁縫セットが使われていたからと言って、私が怪しいというわけではないんだよ」

中後小百合「左雨は私の証言を真実と仮定し、そして真実だったら第三者に犯行は出来ないと指摘したかったのかもしれないが」

中後小百合「むしろ結果は逆だ。私の証言が真実でなければ、第三者に犯行は出来ない。だから私は犯人ではない」

左雨瑞樹「お前が犯人じゃないと断言するのは早計じゃないか?」

中後小百合「そうかい?私が犯人だとして考えると、いくつか不可解に感じるけどねえ」

白鳥輝穂「不可解に感じる……?」
812:🎏 :2014/1/26(日) 01:35:21 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「そう。考えてもみてくれ。今回の犯人、からくりは知らないが、鍵を無視して侵入できる超人のようだ」

中後小百合「つまり凶器の調達なんて好き放題だ。そう、死んだ生徒の部屋からだって、ね」

白鳥輝穂「あっ!確かに裁縫セットは亡くなられた女子生徒の部屋にも残ってるかもしれません!」

中後小百合「私が犯人なら、そこから調達するねえ。持ち主はもういないし、部屋は完全な防音だ。盗人にとってこんな快適な職場は他にないだろう」

中後小百合「そもそも、今回の犯人は何故だか裁縫セットにこだわっているが、何も殺害方法はそれだけじゃない」

中後小百合「私だったらそうだね……首でも絞めるかい。科学捜査ができない我々には指紋の付着は怖くない。何か凶器を使って、その道具から足が付くよりよっぽどいいよ」

中後小百合「それに夜中に不法侵入するわけだから、氷室もぐっすりだろう。抵抗も特に出来ないだろうから、そっちの方がよっぽど楽に殺せると思うね」

中後小百合「とにかく、鍵もなく侵入できるという切り札が今回の犯人にはある。だとしたら、今言ったように殺すのが自然だ」

中後小百合「モノクマがすぐにばらしてしまったが、自殺のように思わせる殺し方だってできる。もしかしたら、そのための裁縫セットなのかもな。自害に道具は付き物だろう?」

中後小百合「そんな中、私が犯人だったら、自分の部屋から物を持ち出すか?わざわざ疑ってくれと?」

中後小百合「自殺に思わせることもできるのに、死亡した生徒の部屋にも入れるのに、わざわざ自分が怪しくなるように立ち振る舞うのか?」

中後小百合「そんな行動は全然合理的じゃない。だから私は犯人とは考えられないと言ってるんだ」

左雨瑞樹「確かにそうだ……でも、合理的じゃないだけで、犯人ではないと確定したわけではない。あえてそう行動して、推理の誘導をしているのかもしれないしな」

中後小百合「……まあね。人は簡単に合理性を捨てることも出来るからね」

中後小百合「でも、左雨には少し落ち着いてほしいな。証拠も少なく、仮定の範疇を抜けられない現状、私が犯人ならこんなに不自然なんだと説明してるんだ」

中後小百合「私の部屋の物が現場で見つかった。それだけを頼りに、必死に私が犯人だとしたいだけのように思える。冷静にならないと、氷室の仇はとれんぞ」

左雨瑞樹「言われなくても俺は落ち着いてる。余計なお世話だよ」

中後小百合「そいつはどうだろうね?私にはいつもの精彩が欠いてるように見えるよ」
813:🎏 :2014/1/26(日) 01:37:03 ID:UMpW2c0CII
黒魔帝兎「……確かに、中後の話を聞くと、中後を犯人とするのは不自然なように思える」

相田鳥子「じゃーもー中後ははん人じゃねーってきまったのかー?」

黒魔帝兎「いや、不自然と言うだけで、確定したわけではない。証拠や、断定できる情報がないからな」

中岡笑「……何か今回の事件、証拠とかそういうのが極端に少なくって、なかなか話が進みませんよね」

中後小百合「犯人もなかなかうまいことやってくれてるよな」

白鳥輝穂「このままでは、とてもクロを投票できる状態ではありません。早くどうにかしないと、皆さんの命が……」

黒魔帝兎「今までの事件、正しい正しくないは置いといて、最初からある程度容疑者が絞れていた」

肉丸健太「正しくなかったことの方が圧倒的に多かったけどねー……」

黒魔帝兎「しかし、それを基準にあれこれ考えて、矛盾が見つかり真相へと辿り着いてきたのも事実だ」

黒魔帝兎「そこで、だ。今一度事件を振り返って、どうにか容疑者を絞れないか考えてみないか?このまま話を進めるのはきついぞ」

左雨瑞樹「容疑者を絞る、か……」

中岡笑「自分ら全員アリバイも何もないんですもんね。ざっくりと全員を怪しんで話を進めるのに限界はありますもんね」

中後小百合「良い試みなんじゃないか?一回事件を振り返って落ち着き、そこからまたいろいろ話してみてもいいんじゃないかな」

左雨瑞樹「……俺も特に反論はない」

中後小百合「決まりだねえ。今から事件を振り返ってみよう。何か見落としてることがあるかもしれないしね」
814:🎏 :2014/1/28(火) 00:38:03 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「……事件が発覚したのは朝だ」

黒魔帝兎「昨日、俺達はモノクマのDVDを見て、揉めた。その翌日に、氷室が現れなくて……少なくとも俺は、嫌な予感がしたのを覚えてる」

中後小百合「それで彼氏さんが部屋まで急いで様子を見に行った。しかし、部屋は鍵がかかっていて、チャイムに対して反応もない」

白鳥輝穂「私は、もう部屋から出てどこかに行っているのかもしれないと思って、校舎側の方まで探しに行きました」

中岡笑「あの時、そんなとこまで行ってたんですか……」

中後小百合「その後、モノクマに協力してもらって鍵を開けてもらい、死体となってる氷室を発見」

左雨瑞樹「エリカ……」

中後小百合「モノクマファイルと、モノクマの説明によって氷室の部屋の鍵は部屋から一切移動してないと発覚した」

黒魔帝兎「それからグループ分けして捜査を行った。……あ、そうそう。俺達のグループはゴミも調べてみたけど」

白鳥輝穂「私が掃除当番ですので、一緒のグループの黒魔帝さんにも手伝ってもらったんです」

肉丸健太「今回の事件、ゴミを調べるのは重要かもしれないよー」

中岡笑「え?何でですか?」

肉丸健太「いやー、僕も詳しくはないんだけどさー、よく推理物で密室を作るのに道具使ったりするよねー。何かピアノ線とかでいろいろしたりさー」

中岡笑「あー……そうかもしれませんねえ。何か推理物のアニメとかでそんなん見るような気がします」

相田鳥子「ゴミにそれとかなかったのかよー?白鳥ー」

白鳥輝穂「……ありませんでした>>793怪しい物は特に何も……」

肉丸健太「ピアノ線とか使って密室殺人する作戦、いきなり崩れたねー……」

中岡笑「まあまあ、犯人が捨てずに持ってるパターンもあるかもしれませんし……」
815:🎏 :2014/1/28(火) 00:39:21 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「話を戻すが、私と左雨のペアが、捜査で死因を細かく調べた」

左雨瑞樹「裁縫セットの針で、首の後ろ側を指されて死亡。人体急所マップを参考に刺して殺害した物と思われる」

中後小百合「その裁縫セットは氷室の物ではなく、調べてみたら何と私の物だったわけだ」

中後小百合「じゃあ中後は怪しいのかなって、この度の裁判でつついてみたけど、結果はさっきの通りだ」

左雨瑞樹「現状、犯人とするには不自然ってだけで、完全にその線が消えたわけじゃないからな」

中後小百合「はいはい、そうでございましたな。明確な証拠の類はございませんよ」

黒魔帝兎「事件の流れは大体そんな感じだな……」

白鳥輝穂「皆さん、何かわかったことはないでしょうか?」

中岡笑「……ちょっと考えてみたことがあるんですけど」

中後小百合「お前から仕掛けるのは珍しいな。何だい?」

中岡笑「今回の事件、そもそも本当に事件発生時に誰かが氷室さんの部屋に侵入したんでしょうか?」

相田鳥子「へやにはいんねーと氷室ころせねーんじゃねーのかー?馬鹿かー?」

中岡笑「いや、まあそうかもしれないんですけど……どう考えても鍵を無視して部屋に入ったりする方法が思いつかないんですよ」

中後小百合「確かに密室の謎は難しい。現状、そのトリックは何なのか、想像すらできないよ。でも、それだと氷室はどうして死んだというんだ?」

中岡笑「遠隔的に殺した……とか?」

左雨瑞樹「遠隔的?」
816:🎏 :2014/1/28(火) 00:42:03 ID:UMpW2c0CII
中岡笑「氷室さんは首の後ろ側にある急所を刺されて死亡していました」

中岡笑「犯人は、事前に氷室さんのベッドに針を仕掛けておいたんです。枕とかその辺にですよ」

中岡笑「そして氷室さんが寝ようとしてベッドで横になると、首元にブスッと!こうして死んじゃったわけです」

中岡笑「これなら死亡時刻に部屋に侵入する必要がないので、鍵が移動してないのにも説明が……その、つきませんかねえ?」

中後小百合「……枕に針なんか仕掛けてたら、刺さる前に気付いたりしないか?」

黒魔帝兎「気付かなかったにしても、そんな方法で正確に急所を刺せるか?場合によっては首とか全然関係ないとこに刺さったりしないか?」

中岡笑「駄目ですかね……これはいける!って思ったんですけど」

左雨瑞樹「……まあでも着眼点としては面白いかもな。遠隔的に殺したとなれば、密室の謎も解ける。そもそも第三者による部屋の出入りが無ければ密室状態はむしろ当たり前だからな」

左雨瑞樹「遠隔的な殺人をするに当たって、目印とかで被害者を誘導するとか、そういう方法もあるからな。何かトリックがあったのかもしれない」

左雨瑞樹「だがまあ、小百合や兎が言うように、トリックがあったとしてもそう都合よく物事が進むとは思えないけどな」

中後小百合「……まあ証拠が少ない現状、一考の価値はあるのかもしれんな」

白鳥輝穂「その場合、怪しくなるのは誰ですか?」

左雨瑞樹「……俺だ」

白鳥輝穂「えっ!?」

左雨瑞樹「事前に準備しなければならないとなると、生前にエリカの部屋に入らなくてはならない」

左雨瑞樹「比較的他の生徒より入れてもらいやすく、部屋の中で好きに行動しても特に咎められないのは……彼氏である俺くらいだろう」

白鳥輝穂「そ、そんな!左雨さんが氷室さんを殺すなんて、そんなこと!」

左雨瑞樹「俺は可能性だけで小百合を疑ってる。そういった疑いが自分に向いて、自分は彼氏だから疑うのは不当だ、なんて通用しない」
817:🎏 :2014/1/28(火) 00:43:40 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「庇うわけじゃないが、今回の場合で遠隔的に殺すなんてほとんど不可能だ。それを考えると左雨に犯行が出来たのか怪しいもんだ」

中後小百合「だがまあ、証拠は不十分で、可能性で語れば疑うのも致し方ないってとこだろうね」

中岡笑「また可能性ですか……いい加減、もうちょっと的確な証拠とか、犯人を絞り込める情報とかってないんですかね?」

黒魔帝兎「それを探るために事件を振り返ったんだが……収穫は無しか……」

左雨瑞樹「振り返る……本当に十分に振り返ることが出来たのだろうか?」

左雨瑞樹「ゴミとか殺害方法とかいろいろ考えてみたけど、本当にこれで十分振り返ることが出来てるだろうか?」

左雨瑞樹「何か……見落としてること……まだ十分に考えてない事柄はないだろうか……」

肉丸健太「そうは言っても、これ以上考えることなんて……」

左雨瑞樹「……あっ!」

肉丸健太「うわっ!?人の発言を遮って大声出さないでよ!」

左雨瑞樹「見落としてたことがあった……絞れるぞ。犯人候補を三人までに!」

黒魔帝兎「本当か!?」

左雨瑞樹「ああ。ポイントは死体発見アナウンスだったんだよ」

白鳥輝穂「死体発見アナウンスがポイント……ですか?」
818:🎏 :2014/1/28(火) 00:46:11 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「死体発見アナウンスに関する細かなルールを覚えているか?」

中岡笑「細かなルールですか?いやあ……ちょっと自分は覚えてないですねえ」

左雨瑞樹「死体発見アナウンスは、死体を三人以上が発見することで流れるんだ>>165

左雨瑞樹「つまり発見者が三人にならなければ、それが放送されることは決してないんだ」

中後小百合「そう言えばそうだったな。百目鬼の時は左雨一人が見つけた時点では鳴らなかったし>>159-161

中岡笑「自分が場明日さんの死体を発見した時も、放送があったのは皆が見てからでしたね>>318-323

左雨瑞樹「死体発見アナウンスは、三人が基準にされ、それに達することで放送されるわけだ」

黒魔帝兎「それが何で容疑者を絞り込む情報になるんだ?」

左雨瑞樹「今回の事件で、死体発見アナウンスが流れた時の状況を思い出してほしい>>774-775

左雨瑞樹「俺が死体を発見して、その後、小百合と兎も目撃した。これで三人の条件を満たしたはずだが、モノクマはアナウンスを行ってない>>774

左雨瑞樹「その後に笑も目撃した。この四人目の時に、モノクマは死体発見アナウンスを流したんだ>>775

肉丸健太「確かに……これじゃルールに反するよー。でもどうしてこんなことになったのー?」

左雨瑞樹「恐らく、殺害した本人は発見者としてカウントされないんじゃないか?」

左雨瑞樹「もし殺した本人すら発見者とするなら、今までのモノクマファイルの記載にも矛盾が生じる」

左雨瑞樹「これは良子が殺された時のモノクマファイルだけど>>168殺した佑子すら発見者とするなら、死体発見現場は佑子の自室で、発見時刻も死亡時刻と一致しなければおかしい」

左雨瑞樹「こんな感じで、殺害した本人すら発見者と扱って情報をまとめると、犯人特定が簡単になる可能性があり、モノクマ的には面白くないってことじゃないか?……どうだ、モノクマ?」

モノクマ「うん、だいたい左雨くんの言ってる通りですよ。クロはクロです。発見者とか言ってシロ扱いするのは、ボクはどうかと思うね!」

モノクマ「つまり、クロは発見者にはカウントしてません。発見者とか言う前に殺人鬼ですからね。うぷぷぷぷ!」
819:🎏 :2014/1/28(火) 00:49:27 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「モノクマからルールに関して確認できたな。これで、四人の矛盾も解決できるんじゃないか?」

黒魔帝兎「クロは発見者にカウントしない……ま、まさか……」

左雨瑞樹「いるんだよ……アナウンスが流れる前に死体を発見した奴の中に……エリカを殺したクロが!」

中岡笑「えええ!?アナウンス前に死体を見た人っていうと……左雨くんに黒魔帝くん、中後さんに……じ、自分じゃないですか!」

左雨瑞樹「いや、笑は犯人にはなり得ない」

中岡笑「ええ!?いや、嬉しいんですけど……何でですか?」

左雨瑞樹「仮に笑が犯人としよう。そしたら俺と兎と小百合はシロで、純粋に死体を発見したことになる」

左雨瑞樹「それなら、笑が死体を見る前に三人の条件は達成される。モノクマは死体発見アナウンスを流したはずだ。だが奴は、笑が見るまで流すことはしなかった」

左雨瑞樹「つまり、笑は犯人ではなく、その前の三人の中にクロが紛れているんだ」

左雨瑞樹「黒魔帝兎、中後小百合……そして、この俺。この三人の中の誰かが、エリカを殺したんだ!」

中後小百合「……ふふふ。あはははは!」

白鳥輝穂「な、中後さん?」

中後小百合「全く、出来た話だなあ!可能性だけで疑われてた私や左雨がしっかりと容疑者リストに載ってるんだ!私達二人は、疑われるべくして疑われたわけだ。面白いじゃないか!」

中岡笑「犯人だと疑われて面白がれるのは中後さんくらいですよ……」

黒魔帝兎「容疑者を絞り込めれば話が進むかもしれないとは言ったが……まさか自分が容疑者入りするとはな。くそっ!」

中後小百合「何も心配することはないさ、黒魔帝。我々が真相を暴いてクロが処刑されるだけさ。それとも何かい?自分がクロだから慌てているのかい?」

黒魔帝兎「そんなわけないだろう!」

中後小百合「ならドンと構えていればいいだけさ。慌てても落ち着いてても、なるようになるだけさ。なら、慌てるだけ無駄だ」
820:🎏 :2014/1/28(火) 00:52:06 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「さあ犯人候補はだいぶ絞れてきた。次はどうする?」

左雨瑞樹「事件発生時のアリバイは誰にもないのは既に明らかだ。でも、明確に犯人候補が現れた今、その三人の行動は事件時に限らず順を追って把握しておきたい」

左雨瑞樹「だから事件発生時の話じゃなくていい。あの夜に取った行動を三人が明かして、それを元に考えてみよう。アリバイがあればなお良い」

中後小百合「承った。それじゃあ言いだしっぺの左雨から言ってみたらどうだい?」

左雨瑞樹「わかったよ。昨日、DVDを見たことで俺達は揉めたよな。小百合が鍵を捨てた騒動の後、俺は視聴覚室を出てエリカの部屋に行った」

左雨瑞樹「俺自身、エリカに暴言を吐いてしまって傷つけてしまったからな。謝罪と仲直りがしたかったんだ」

左雨瑞樹「エリカと話をして、仲直りが出来た。それでエリカは前向きさを取り戻し、小百合を説得するなんて言い出してな」

白鳥輝穂「あっ、確かに氷室さん、私の部屋に来ました。中後さんに鍵を返しに行くって言ってました>>766

白鳥輝穂「その時に氷室さんは、左雨さんに教えられて、出来ることをやるだけだって言ってました。辻褄もあいますし、左雨さんの話は本当なんじゃないでしょうか?」

中後小百合「ああ、確かに氷室が私の部屋に鍵を押しつけに来たね。いらないって言うのに、無理やり置いて行っちまった」

中後小百合「奴さん、愛しの彼氏と揉めて元気なくしてただろうに、明るく言ってくるんだ。前を向いて、希望を持とうってね」

中後小百合「あれがあった後に、こうも立ち直るのには何かきっかけが必要だろう。それが愛しい彼との仲直りって言われりゃ納得できるってもんだな」

左雨瑞樹「エリカが前向きになって、輝穂と話してるのを見て、エリカはもう大丈夫だなって安心したから、俺は自室に戻った。後は朝までぐっすりだ」

左雨瑞樹「エリカ……こんなことになるなら、ずっと一緒にいればよかった……だったら助けられたかもしれないのに……」

肉丸健太「えっと、左雨くんの話は問題ないってことでいいかなー?」

中後小百合「……今のところ特に矛盾はないように感じるね。それでも中岡の遠隔殺人説の条件にも当てはまってるし、事件時のアリバイはないからその頃に私の部屋から裁縫セットを盗んだ可能性もある」

中後小百合「容疑は晴れもしないし、固まりもしないってとこだね。まあ、証拠がなけりゃここで止まるしかないさ」
821:🎏 :2014/1/28(火) 00:54:10 ID:UMpW2c0CII
黒魔帝兎「次は俺が話すか……と言っても、そんなに話せることもないけどな」

黒魔帝兎「視聴覚室で中後が鍵はいらないと言い出して、俺は心配になった」

黒魔帝兎「皆が自室に戻っていったから、俺もあわせて部屋に戻ったわけだが、やっぱり中後を説得しようと思って、彼女の部屋へと向かった」

黒魔帝兎「……鍵は本当にかかってなかった。一応チャイムを鳴らし、試しにドアノブを捻ってみたら開いたよ」

中後小百合「白鳥や氷室、左雨あたりは心配して説得しに来るかなって予想してたが……黒魔帝、お前さんが来るのは正直予想外だったよ」

黒魔帝兎「俺達は仲間だろう。そりゃ環境のせいで殺されるかもしれない危うさを持った間柄だけど……仲間として仲良くしたい気持ちは嘘じゃねえ」

中後小百合「いやはや、恋愛ってやつは人を変えるねえ。お前さんは場明日に感謝しなよ」

黒魔帝兎「そうだな……今の俺があるのは場明日のおかげだ。感謝してもしきれないよ」

黒魔帝兎「まあとにかく、俺は中後を心配して部屋に入った。それで話をしたけど……こいつの考えを改めさせることはできなかった」

中後小百合「悪いな黒魔帝。私は死んで楽になりたい。この気持ちは今も変わってないさ」

中後小百合「そして、おまけにもひとつ悪いんだが、私の部屋に入ったってことは、部屋の配置が最初のままだと知ったわけだ」

中後小百合「だったら、黒魔帝も夜中に忍び込んで暗闇の中で裁縫セットを盗み出すことは出来たわけだ」

黒魔帝兎「そういうことになるな……」

中後小百合「死体発見アナウンスで絞り込んだ容疑者は、揃いも揃って怪しい行動を取ってるわけだ。おかげで裁判は難航、嫌になっちゃうね」

黒魔帝兎「……中後の説得に失敗した俺は、どうすることもできず、仕方なく部屋に戻った。そしてその日はもう出歩くことなく素直に寝たな」

中後小百合「事件時のアリバイはないし、事前に部屋のことを知ってるから、黒魔帝も一応盗むことはできたって感じだね」
822:🎏 :2014/1/28(火) 00:57:02 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「そろそろ小百合も語ったらどうだ?」

中後小百合「そうだねえ。でも、お二方の証言で、だいぶもう明らかになってると思うけどね」

中後小百合「視聴覚室で騒ぎを起こした後、鍵は白鳥に押し付けて私は部屋に引き籠った。もちろん、部屋の鍵は開けっぱだ。誰かが殺しに来てくれるのを待ってたわけだからね」

中後小百合「それから私は一歩も部屋から出てはいない。その代わりに、来客は多かったねえ」

中後小百合「まずは黒魔帝。考え直せとか言って、けっこう長居したが、結局は諦めて帰っていった」

中後小百合「次に来たのは白鳥だったね。やっぱり鍵を持ってなきゃ駄目ですーって言ってな。でも私は自分を曲げないって旨を伝えたら、すぐ諦めて帰ったよ」

中後小百合「最後に来たのは氷室だったね。私の部屋の鍵を持ってきて、絶対に返す!って息巻いてたな。それを拒否したけど、向こうも折れずに、けっこうな長丁場になってな」

中後小百合「めんどくさいから鍵を受け取ることにしたんだよ。鍵持ってても、鍵をかけないでいることはできるからね。まあだったら最初から他人に預けるなって話か」

中後小百合「とにかく、それでようやく氷室を退けることが出来た。その後、来客は訪れず、世界に絶望して死にたいとか思いながら眠りについたね」

左雨瑞樹「小百合は凶器の出どころである部屋の主だから、寝てたと嘘をつくだけで簡単に調達できる。やっぱり未だ怪しいと言わざるを得ない」

中後小百合「そうだね。寝てた証拠でもあれば話は早いんだけどね。さっさと容疑を晴らしてクロを突き詰めたいね」

中岡笑「一応お三方の行動がまとまりましたけど……特に矛盾も感じられませんし、何か証拠があるわけでもありませんでしたね……」

左雨瑞樹「相変わらず俺と兎と小百合が犯人候補ってだけで、何か新しい発見っていうのもなかったよな」

左雨瑞樹「せめて殺害や侵入に関する謎が解ければ、話は一気に進むんだが……」

中後小百合「例えば遠隔殺人なんて方法が明らかになり、そうして氷室が死んだとなれば、その下準備が唯一出来た左雨が犯人で確定……そんな具合にな」

左雨瑞樹「……まあ可能性はゼロじゃない。聞き逃しといてやるよ」

左雨瑞樹「それより、何か方法はないのか?遠隔殺人なら、どうやって正確に急所を突くことができたのか……」

左雨瑞樹「侵入して殺害したのなら、どうやって鍵もなくエリカの部屋に入って殺害したのか……」
823:🎏 :2014/1/28(火) 01:00:04 ID:UMpW2c0CII
白鳥輝穂「……三人の行動を確認したわけですけど、何だか氷室さんの行動も明らかになってきましたね」

中後小百合「そうだね。まあでも他ならぬ被害者の行動だ。それがわかって悪いなんてことはないよ」

黒魔帝兎「左雨と揉めて部屋に閉じ籠っていたところ、左雨と仲直りして、前向きさを取り戻した」

黒魔帝兎「そして白鳥の部屋に中後の鍵を受け取りに行って、中後の部屋に行って、強引に鍵だけ返した」

黒魔帝兎「目標達成して、後は部屋に戻ったんだろうか?誰か氷室と会ってたって奴、いるか?」

肉丸健太「……いないっぽいよー」

中岡笑「そう言えば氷室さんって中後さんの騒動の前に視聴覚室を出てますよね。何で鍵のこととか知ってるんですか?」

白鳥輝穂「あっ、それに関しては私が聞いてます。左雨さんから教えてもらったそうです」

左雨瑞樹「ああ、俺が教えた。前向きさを取り戻してくれたからな。こんな時だからこそ皆の力になりたいって言ってたから教えてやった」

中後小百合「まあとにかく、氷室の行動はそんな感じってことだね」

黒魔帝兎「事件前に氷室と接触したのは左雨、白鳥、中後ってことだな」

中岡笑「しかし氷室さんは行動的ですよね。中後さんの部屋の鍵を持ってって、説得したり無理やり鍵だけでも返したり」

黒魔帝兎「俺や白鳥は見事に撃退されてるわけだからな。彼女の姿勢は見習うべきだよな。死んでしまったし……場明日の時のように、志はしっかりと繋いでいきたい」

左雨瑞樹「……鍵を持って接触。輝穂と小百合……」

中岡笑「左雨くん?何をぶつぶつ言ってるんですか?」

左雨瑞樹「……あっ!」

中岡笑「え?」

左雨瑞樹「密室の謎……解けたかもしれない。そしてそれが正しかったら、一気に犯人が特定できる!」
824:🎏 :2014/1/30(木) 00:45:00 ID:UMpW2c0CII
相田鳥子「左雨マジかよー!?はん人ってだれなんだー!?」

左雨瑞樹「……ポイントは鍵だ」

黒魔帝兎「鍵?」

左雨瑞樹「……今エリカの部屋にある鍵と、小百合の部屋にある鍵……これが入れ替わっている可能性がある」

中後小百合「鍵が……入れ替わってる?」

左雨瑞樹「もしも入れ替わってたら、密室の謎は簡単に解ける。エリカの部屋の鍵は小百合の部屋にあった。それを使って部屋に入って殺し、出る時にまた鍵をかけておく。これだけでいい」

左雨瑞樹「……実は頭の中で引っ掛かってたことがあった。それは、モノクマが鍵に関する説明をしていた時のことだ>>781

左雨瑞樹「俺はモノクマに、ファイルの記載はエリカの部屋の鍵を指しているのか質問した」

左雨瑞樹「それに対するモノクマの答えは、テーブルに置いてある鍵を指している、だ」

左雨瑞樹「単にこの部屋の鍵って言えばいいのに、何でそんな言い方をしたのかちょっと気になってたんだけど……」

左雨瑞樹「実はあのテーブルに置いてある鍵はエリカの部屋の物ではなかった。だからモノクマは、ここにある鍵は移動してない、なんて言い方をするしかなかったんだ」

中後小百合「待て待て。何を根拠に言ってるんだ。何?氷室から返された私の鍵が、実は氷室の部屋の鍵だった、と?そんなわけないだろう!」

中後小百合「大体だな、ここの鍵は、名前が書いてるキーホルダー付きだ>>75氷室の部屋にあった鍵には、然るべきキーホルダーがついていたはずだ」

左雨瑞樹「考えれば単純なことだ。キーホルダーを付け替えた、ただそれだけのことだよ。キーホルダーがあれば、名前で確認できるから手に取る必要がない」

左雨瑞樹「だから俺達は騙された。氷室エリカと書かれたキーホルダーのついてるあの鍵は、エリカの部屋の鍵で間違いないと」

左雨瑞樹「でも実は、犯人によって鍵が変えられていた。それを用いて犯人は寝静まった深夜に侵入して……エリカを殺したんだ!」

黒魔帝兎「ちょっと待て!左雨、話が飛躍している。それが事実なんて証拠がどこにある?憶測だけで話を進めすぎだ!」

左雨瑞樹「じゃあ事実だとわかれば話を進めていいわけだな?」
825:🎏 :2014/1/30(木) 00:47:19 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「小百合、お前今鍵は?」

中後小百合「いらないって言って掃除当番に押し付けた輩だぞ?氷室に返されたけど、鍵はかけてないし持ち歩いてもいない。部屋に置いてあるよ」

左雨瑞樹「それがわかれば十分だよ。モノクマ!」

モノクマ「何ですか?学園長兼裁判長に向かって偉そうにさ!」

左雨瑞樹「お前、今からエリカの部屋に行ってこい。ついでに小百合の部屋にもだ。鍵がどこの部屋の物か調べてほしいんだ。それを証拠とする」

左雨瑞樹「それでハッキリする。俺の早とちりな妄想だったか、事件を一気に解決させる密室の謎の答えなのか!」

モノクマ「もー、左雨くんはクマ使いが荒いなー!今回の事件でボクが酷使されてるよ!酷使無双だよ!」

モノクマ「まあでも行ってあげるよ。行かなきゃ話進まないとかグダグダ言うんでしょ。ボクって本当に優しいよね」

モノクマ「そういうわけですので、ボクはちゃちゃっと寄宿舎の方に行ってきます。オマエラはモニターに注目してボクの活躍を見ててね!それじゃ!」

白鳥輝穂「あ、裁判長が消えちゃいました。……代わりにモニターが出てきましたね。映ってるのは……個室前の廊下ですか。裁判長がいます」

モノクマ「こちら現場のモノクマでーっす!今から鍵の検証をしようと思いまーっす!」

モノクマ「さっそく氷室さんの部屋に入って……鍵をゲット!この部屋の鍵なのか調べてみましょう!」

モノクマ「氷室さんの名前が書かれたキーホルダーがついてるこの鍵ですが……おやおやあ?鍵穴にうまく入りませんねえ」

中後小百合「何だとっ!?」

モノクマ「代わりに中後さんの部屋のドアの鍵穴に入れてみましょうか。……うぷぷ、ジャストフィットだね!」

モノクマ「あれあれ?それじゃあ今中後さんの部屋にある鍵は一体どこの鍵なんでしょうか?こちらもゲットして検証しましょう!」

モノクマ「こいつは……氷室さんの部屋の鍵だね。見てくれ、入れ替わってた二つの鍵だ。寄宿舎に行ってとんでもないものを見つけてしまった。どうしよう?」

左雨瑞樹「……決まりだな。鍵は入れ替えられていた。つまり、小百合の部屋にあったあの鍵を使えば、密室状態を保ったまま殺害するのが可能になる!」
826:🎏 :2014/1/30(木) 00:49:41 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「陰謀だ!鍵が入れ替わっているなどと、そんなはずがない!モノクマが我々をかき乱すためにやった偽装だ!」

モノクマ「ただいまー。帰って早々嫌な言葉がボクの耳に届いたみたいだね」

モノクマ「ボクは自分が不利なこと以外でねつ造とかそういうのはしないよ!不当な言いがかりだクマー!」

中岡笑「自分が不利なことならやるんですか……」

モノクマ「クロが死んでも、シロが死んでも、ボク的には面白いんです。そんな中でどちらかに肩入れなんかしません!」

モノクマ「つまり、鍵が入れ替わってたということは、必然的に絶対的に運命的に既に起こっていた事実なのです!ボクは絶対にやってないぞ!」

黒魔帝兎「ということは……十中八九犯人がやったと考えていいかもな。でもそれがいつ行われたのかわからないのでは?」

左雨瑞樹「わかる。モノクマファイルには、事件発生から死体発見まで鍵は移動してないとある>>780

左雨瑞樹「そして死体発見後も、俺達は鍵に触れてないはずだ。つまりそれは、事件発生より後には入れ替えが行われなかった証拠にもなり得る」

左雨瑞樹「ならば鍵の入れ替えは事件の前に行われていたと考えるべきだ。そして密室殺人に見せかけた事件が起こっている。事件に無関係なはずがない!」

左雨瑞樹「そしてそれを事件前に出来たのは……中後小百合!お前しかいないんだよ!」

中後小百合「何故だ!?何故私しか出来ないと言い切る!?入れ替わった鍵が私の部屋にあったからだと言うのか!?」

左雨瑞樹「……お前が慌てるのって珍しいな、小百合」

中後小百合「状況が状況だ。慌てもするさ。まさか慌てているのが証拠だなんてふざけたりはしないよな?」

左雨瑞樹「安心しろよ。……入れ替えることが出来た時を考えれば、おのずと答えが見えてくるんだ」

中後小百合「入れ替えることが出来た時?」
827:🎏 :2014/1/30(木) 00:53:14 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「俺達は先ほど、容疑者達の事件前の行動をまとめてみた。その過程で被害者の行動もわかった。それを踏まえて説明する」

左雨瑞樹「キーホルダーを付け替えて、二つの鍵をすり替えておく……これは、二つの鍵を手中に収めなければ出来ない」

左雨瑞樹「小百合は鍵を輝穂に押し付けてたから、まあ誰でも手に入れるチャンスはあったかもしれない。でも、問題はエリカだ」

左雨瑞樹「エリカは別に鍵を捨てたりなんかしてない。だから部屋に引き籠られると、鍵の入れ替えなど出来ない」

左雨瑞樹「しかし部屋から出れば、当然鍵も持ち歩く。その時に、エリカと接触することで鍵を入れ替えるチャンスが生まれる」

左雨瑞樹「俺の話を聞いてくれて前向きになったエリカは、輝穂の部屋へ行き、小百合の鍵を受け取って、持ち主に返しに行った」

左雨瑞樹「二つの鍵が会して入れ替えることが出来たのは、この間だけだと思われる。それを考えると入れ替えることが出来たのは小百合だけだ」

中後小百合「それなら白鳥はどうだ!?奴は私の部屋の鍵を持ってた!そこに氷室が訪ねてきたんだから、大きな隙さえあれば入れ替えることが出来たかもしれない!」

中後小百合「氷室の可能性は!?奴は自分の鍵と私の鍵を同時に持ってた時があるんだ!その時なら悠々と入れ替えることが出来る!」

左雨瑞樹「入れ替えることが可能かどうかで語れば、確かに輝穂やエリカにも入れ替えは可能だ。しかし、結果から逆算すると、それはないと断言できるだろう」

左雨瑞樹「エリカは言うまでもなく被害者だ。それに、死体発見アナウンスの件で輝穂は犯人ではないと断定している」

左雨瑞樹「そうなれば、残るのは小百合だけだ。鍵の入れ替えを利用して殺害したのは小百合だと思われる」

中後小百合「鍵の入れ替えを行った人物と、殺害を行った人物が別だとしたらどうだ!?」

中後小百合「鍵の入れ替えは私でも白鳥でも氷室でも可能だったんだろ!?そうして入れ替わった鍵は私の部屋にあったんだ!」

中後小百合「そして関係ない他の誰かが、鍵の掛かってない私の部屋に入り、裁縫セットと一緒に鍵も盗んだんだ!」

左雨瑞樹「そいつは違う!……小百合の部屋なら真っ暗でも侵入して盗める。それは、ここに来てから一度も模様替えをしてないから……小百合はそう言ったな」

左雨瑞樹「でもそれは、裁縫セットに限った話だ。鍵は毎回持ち歩く物だし、その置き場所はさすがに人によって変わる。そんな物を暗闇の中で探し当てるのは厳しい」

左雨瑞樹「仮に鍵を見つけたとしても、その鍵は中後小百合と書かれたキーホルダーのついた鍵だ。鍵の入れ替えの事実を知らない第三者が、どうしてこれをエリカ殺害に使用できる?」
828:🎏 :2014/1/30(木) 00:56:43 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「これをエリカ殺害に利用できるのは、鍵の入れ替えの事実を知っている人物。つまり入れ替えた本人だ!」

左雨瑞樹「仮に、もしも仮に入れ替えたのが輝穂やエリカだとしても、小百合は手持ちの鍵を入れ替えられてるんだ。その事実に気付ける可能性はある」

左雨瑞樹「鍵の入れ替えの事実を発見できる可能性がある三人の中で、死体発見アナウンスの件から絞られた容疑者に当てはまるのは小百合だけだ!」

左雨瑞樹「それとも、死体発見アナウンスで絞り込まれた他の容疑者、具体的には兎と俺だ。この二人が、鍵の入れ替えを知り得るタイミングがあったとでも言うのか?」

左雨瑞樹「もしそうなら、確かに現段階では小百合を犯人と断定はできない。そうだと言うなら、証明してみせろ!」

中後小百合「うっ……ぐっ……黒魔帝と左雨、この二人が鍵の入れ替えを知り得たタイミング……」

左雨瑞樹「……今回の事件、犯人は小百合だと思う。今までの情報をまとめて、今回の事件の流れをしようと思う」

左雨瑞樹「事件は、視聴覚室で小百合が鍵を輝穂に押し付けたことから始まる」

左雨瑞樹「小百合は、本当はDVDを見て外に出たくなり、殺害を決意したんじゃないだろうか?」

左雨瑞樹「まあ動機は推測になるから置いておく。とにかく、小百合は鍵の入れ替えを利用した密室殺人を考えついた」

左雨瑞樹「それを実行するために、自棄になったふりをして、輝穂に鍵を押しつけたんだ。輝穂は掃除当番でゴミを処理する人だから、捨ててくれって感じで自然に押し付けることができた」

左雨瑞樹「更に輝穂が優しいのは周知の事実だ。輝穂が後々鍵を返しに行くのは想像に難くなかった。部屋に来たら小百合は輝穂と鍵を入れ替えるつもりだったんだ」

白鳥輝穂「待ってください!それって……」

左雨瑞樹「……外に出るためなら、殺すのは別に誰でもいいんだ。小百合は女子の中でも特別体格の小さい輝穂を狙ったんだと思う。仮に侵入時に誤って起こしてしまっても、弱い輝穂なら簡単に殺せると考えてな」

左雨瑞樹「思惑通り、輝穂は鍵を返しに来た。ところが、輝穂の押しが弱かったんだろうな。鍵の入れ替えをする暇もなく輝穂は説得をあきらめて帰ってしまった」

左雨瑞樹「しかし、今度はエリカが鍵を持ってやってきた。しかも、なかなか諦めずに部屋の中で長居していた」

左雨瑞樹「小百合は好機だと思い、帰らないのをいいことに、どうにか隙を見つけ出して鍵の入れ替えを成功させた」

左雨瑞樹「目的が達成できた小百合は、根負けした風を装い、入れ替えた鍵を受け取ったんだ」
829:🎏 :2014/1/30(木) 01:00:44 ID:UMpW2c0CII
白鳥輝穂「そんな……じゃあ氷室さんは、私の代わりに死んだような物なんですか……?」

左雨瑞樹「……皆がアリバイを証明できなくなるように、小百合は深夜を待った」

左雨瑞樹「そして、入れ替えておいたエリカの部屋の鍵を使って侵入。自室から裁縫セットを持ってきておいてな」

左雨瑞樹「エリカを起こさないよう、暗闇の中で行動しないといけないからな。エリカの部屋から凶器を調達するのは厳しかったんだと思う」

左雨瑞樹「それに、他の皆からすれば密室殺人の方法は謎だ。だから、犯人はどの部屋でも侵入することができたと仮定できる。実際はエリカの部屋限定だったんだけどな」

左雨瑞樹「そんな仮定が成り立つ中で、わざわざ自分の部屋から凶器を調達するわけがない。それに、小百合の部屋なら鍵が開いてたから誰でも凶器が調達できる」

左雨瑞樹「こういう状況を作りだした上で、自分の裁縫セットを用いて……エリカを殺した」

左雨瑞樹「エリカを殺害した小百合は、部屋を出て鍵をかけて自室に戻った。それで事件はおしまいだ」

左雨瑞樹「そして朝になり、モノクマに中から鍵を開けてもらって、俺は……俺は、エリカの死体を……」

黒魔帝兎「左雨……」

左雨瑞樹「……これが事件の真相だ。さっきも言ったが、これが出来るのは鍵の入れ替えがあったことを知ってること、死体発見アナウンスで絞られた容疑者であること、この二つが一致する人物だ」

左雨瑞樹「それは、中後小百合、お前だ!お前がエリカを殺した犯人だ!」

中後小百合「わ、私は……私は氷室を殺してなどいない!」

左雨瑞樹「なら、俺や兎が鍵の入れ替えを知り得たと指摘できるのか!?それが出来なきゃ、お前の容疑は晴れない!」

中後小百合「左雨が……黒魔帝が……鍵の入れ替えを知り得た機会……」

左雨瑞樹「さあ、出来る物なら証明してみせろ!小百合ぃ!!」

中後小百合「……参ったね。どうやらここまでのようだね」

白鳥輝穂「中後さん……」
830:🎏 :2014/1/30(木) 01:05:10 ID:UMpW2c0CII
中後小百合「ない頭を振り絞って考えたんだけどね。どうしても左雨や黒魔帝が知り得た時ってのが思い浮かばなかったよ」

中後小百合「私以外に氷室は殺せないという推理を退ける知恵が私には無かったわけだ。すまんな、皆。どうやらここまでみたいだ」

白鳥輝穂「そんな……中後さん……」

中後小百合「こんな猟奇的な監禁事件に巻き込まれてたんだからなんとなく予想はしてたが……命がなくなる時ってのは突然やってくるもんだね」

中後小百合「死にたいと願ってはいたが、それが現実となると、やはり怖くなるね。そうか、これが死か……」

モノクマ「うっうー!どうやら決着がついたっぽいですね!どうする?アイフル!投票するー!」

モノクマ「そんなわけで投票タイムいっきまーっす!お手元のスイッチでクロだと思う人に投票してくれベイビー!」

モノクマ「投票の際には、必ず誰かに投票するようお願いします。投票率を若者の力で少しでも上げましょう!」

モノクマ「準備はいいかな、オマエラ?それじゃ投票結果を大発表しちゃうぜー!」

モノクマ「投票結果はほぼ全員一致で中後小百合さんとなりましたが……」

モノクマ「残念〜!中後さんはクロじゃないよ!」

白鳥輝穂「……えっ?」

モノクマ「本物のクロは見事卒業!おめでとう!でも……クロ以外は、皆おしおきだよ!」

白鳥輝穂「そ、そんな!犯人は中後さんじゃない?それじゃ私達は……」

左雨瑞樹「……」

モノクマ「ちなみに、犯人と間違われた中後さんが投票した人が、本当の犯人だったりします」

中後小百合「っ!それは本当か!?……でも、何で?どうやって!?」

モノクマ「冥土の土産に教えてあげましょう!まずは本当のクロが誰かっていう話なんだけど、それはね……」
831:🎏 :2014/1/30(木) 01:06:05 ID:UMpW2c0CII









「左雨瑞樹くんです!」

 

 

 

 
 
832:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/30(木) 05:42:32 ID:DZNXPa8DCQ
えっ‥‥ええぇぇっ!?
な、なんだってー!!
833:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/30(木) 12:16:48 ID:p4Lk.i3fvc
氷室が死んだ時点でもしかしたらとは思ったが…氷室を簡単に殺せるのは左雨が一番有力だしな
834:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/30(木) 12:35:46 ID:Lz9AKYW0ys
ふぉぇっ!??
835:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/30(木) 12:45:35 ID:T7wsMI15vI
まじかよなんでだよ左雨
836:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/30(木) 17:28:49 ID:R0KiStxjv.
ネタバレせずに終わるって言ってたしその可能性もちょっとは考えてたけど、まさかなあ……
837:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/30(木) 20:02:47 ID:757o9I1wLE
こんなに続きが気になるss初めて
838:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/30(木) 22:36:05 ID:NX2Wz2rkgY
ちょっとゾクッと来たじゃないの
フィナーレ近いのかな??
支援!!
839:🎏 :2014/1/31(金) 01:36:57 ID:UMpW2c0CII
白鳥輝穂「……えっ?」

中岡笑「今……何て言いました?」

モノクマ「聞こえなかった?それじゃ何度でも何度でも何度でも立ち上がり言ってあげましょう!」

モノクマ「今回の事件のクロは、氷室さんを殺した犯人は、左雨くんだったのです!」

肉丸健太「左雨くんが氷室さんを……!?」

黒魔帝兎「おい左雨!嘘だろ!?お前が殺したなんて、しかも氷室を……そんなの嘘だろ!?」

左雨瑞樹「嘘じゃない。俺が殺した。俺がエリカを殺した」

中後小百合「いや、でも……私は納得が出来ない。左雨には鍵の入れ替えを知り得るタイミングなんてなかった。氷室を密室殺人で殺すなんて不可能なはずだ」

中後小百合「それが反論できないからこそ、私は無実の証明を諦めたんだ。他に犯人となり得る人物の指摘が出来なくて……投票だって適当にやっただけだ」

中後小百合「それが何で、左雨の犯行になるんだ?私はわからない……わからないよ……」

左雨瑞樹「少し冷静になれば、俺の推理のおかしいところ、事件発覚時のおかしい行動に気付けると思う。だから俺は内心焦ってたんだぜ?」

中後小百合「推理や行動におかしいところ?」

左雨瑞樹「小百合を犯人として話を進めてみようか。エリカは輝穂から鍵を受け取り、小百合に返した。鍵の入れ替えがあったのはこの間だ」

中後小百合「だから鍵の入れ替えが出来るのは白鳥と氷室と私に限られる。そして死体発見アナウンスの件で容疑者はお前と黒魔帝、そして私に限られた」

中後小百合「この二つの条件に一致するのは私だけだ。お前は鍵の件で条件から外れてるじゃないか。それがどうして……」

左雨瑞樹「……まあ俺がそう誘導して急かしたんだけどよ。ちょっと冷静になって視点を変えてみろ」

左雨瑞樹「誰が鍵の入れ替えの事実に気付けて殺害に利用できるか、ではなく、鍵の入れ替えによって不都合が生じるのは誰か、を考えてみろ」

中後小百合「不都合が生じるのは誰か?」
840:🎏 :2014/1/31(金) 01:40:39 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「その間に鍵の入れ替えを済ましたとなれば、当然エリカのそれ以降の手持ちは小百合の部屋の鍵となる」

左雨瑞樹「それをすれば、確かに入れ替えた二つの鍵の内、エリカの部屋の方を使えば第三者が侵入することは可能になる」

左雨瑞樹「でも、それだったらエリカはどうなる?小百合の部屋の鍵を持って、どうやって自分の部屋に戻ればいいんだ?」

中後小百合「……あっ!」

左雨瑞樹「そうだ。あのタイミングで鍵の入れ替えが完了すると、エリカは鍵のかかった自室には戻れなくなる」

黒魔帝兎「じゃあ本当に入れ替わったタイミングは、あの時じゃなかったのか!?」

左雨瑞樹「いいや。鍵の入れ替えがあったのはその時だ。あの時以外に入れ替えが出来る時なんてなかった」

中岡笑「じゃあ……たまたま氷室さんが鍵をかけ忘れていたとか?」

左雨瑞樹「殺人事件が起こる時にたまたま鍵をかけ忘れる。そんな偶然があるわけないだろう?……でも、鍵がかかってなかったのは本当だ」

左雨瑞樹「あの時、エリカは自室の鍵をかけずに部屋を出た。そして鍵の入れ替えをして、鍵の掛かってない自室に戻った。それは偶然ではなく、そう仕向けられたことだったんだ」

肉丸健太「鍵の入れ替えをしたのは氷室さんだったの!?」

中後小百合「どういうことだ?要領を得ない……」

左雨瑞樹「……まあ結果だけ言うと、俺とエリカは共犯ってところかな。俺はそういう風には思ってないけどな」

白鳥輝穂「被害者と加害者が……共犯!?」

中後小百合「本当にどういうことなんだよ!?説明を頼む、左雨!」

左雨瑞樹「まあ慌てるな。ちゃんと話すから、俺のペース、俺の順序で話させてくれ」
841:🎏 :2014/1/31(金) 01:42:50 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「犯人は俺だったわけだが、俺が怪しいって言うのは実は冷静に考えればすぐにわかったはずだ」

左雨瑞樹「まず第一に、死体発見の時だ。小百合、お前言ったよな?こうして見てると、眠ってるだけにしか見えないって>>786

中後小百合「あ、ああ……確かに言った。死体の出血が少なく、比較的綺麗な状態だった。それがベッドで横たわってるんだから、ただ寝てるようにしか見えなかったよ」

左雨瑞樹「なのに俺は、部屋に入った時に、すぐに死んでるとわかってるリアクションをしてしまった>>774

黒魔帝兎「あっ!た、確かに……」

左雨瑞樹「朝になっても来ないからと部屋に行き、なんだかんだ部屋に入った。その時、綺麗な状態でベッドに横たわってたんだ。ああ、寝坊しただけかって、まずは安心するのが普通じゃないか?」

左雨瑞樹「目立つ外傷もなくベッドに横たわってる遺体を、部屋に入って遠目で見ただけで死んでると断言できる人間は限られる。まず考えられるのは……」

中後小百合「殺した犯人だから死んでるとわかってたわけか……」

中後小百合「でも、本当にどうやって殺したんだ?私の部屋から裁縫セットは盗めたかもしれない」

左雨瑞樹「ああ。音を立てたらどうしよう、暗闇の中でうまく盗めるか、小百合が起きてしまわないか……死ぬほど緊張したよ」

中後小百合「でも、裁縫セットは盗めても、鍵は盗めないと言ったのは左雨自身だ」

中後小百合「氷室が鍵をかけてなかったとしても、殺害後にあの部屋の鍵がかかってたのは事実だ。氷室の鍵が私の部屋にある状態で、どうやって鍵を閉めた?」

左雨瑞樹「お前らはさ、前提から間違ってたんだよ。疑うことをしなかったから、俺が犯人だとわからなかった」

中後小百合「前提から間違ってた?」

左雨瑞樹「今回の事件、密室殺人でも何でもない。何故なら、事件発生から今まで、ずっと鍵は開いたままだったからだ」

白鳥輝穂「ええ!?鍵はかかってなかったって、そんな!?」
842:🎏 :2014/1/31(金) 01:47:48 ID:UMpW2c0CII
左雨瑞樹「そもそも何でお前らは、今回の事件が密室事件だと思った?」

中岡笑「いや、思ったっていうか、実際に鍵かかってたじゃないですか」

左雨瑞樹「その実際に鍵がかかってたって、何を根拠に言ってる?」

中岡笑「いや、だから……左雨くんが開けようとしても開かなかっ……ああああ!」

左雨瑞樹「そうだ。あの時、ドアを調べたのは俺だけだった>>772

左雨瑞樹「あの時、本当は鍵はかかってなかった。彼氏であるという点から、異変が起こった時に誰より早く駆けつけても不自然に思われない。それを利用して、ドアの前を占領し誰にもドアを調べさせなかった」

左雨瑞樹「そして俺は、モノクマに頼んで中から開けてもらった。鍵もかかってないドアをただ中から開けてもらった、それだけだ」

左雨瑞樹「鍵は確かに入れ替えたが、はっきり言って事件には何の関係もない。強いて言うなら、小百合、お前に罪をかぶせるためには必要なことだったんだ」

左雨瑞樹「本当に密室殺人をする場合、その鍵さえあればそれなりに説明はつくからな。そして鍵の入れ替えが出来た可能性を挙げれば小百合は容疑者の仲間入り」

左雨瑞樹「さらにうまいことに、死体発見アナウンスの件でも小百合は容疑者入りした。これで後は冷静さを奪った上でごり押せば……」

中後小百合「……皆も騙せて、私も諦めさせて、罪のなすりつけが出来たわけか」

左雨瑞樹「裁判中に俺も容疑者の仲間入りをした。そんな容疑者が一人だけで確認した事が事実として扱われてる。お前らはここで疑問を持たなきゃいけなかったんだ」

左雨瑞樹「……今回の事件、俺はエリカのためにやった。エリカを脅して、鍵の入れ替えなどをやらせた上で、エリカを殺した」

中後小百合「それがわからないんだよ。私が先生で置き変えて考えてみても、全然わからない。……こんなことをする意味がないじゃないか!」

中後小百合「左雨と氷室は本当に愛し合ってたじゃないか!そんな二人が、殺し殺され、そしてそれが氷室のため!?私にはわからないんだよ!」

左雨瑞樹「愛してたからこそだよ。昨日DVDを見て俺は変わった。もしかしたら狂ったのかもしれないな」

左雨瑞樹「ここでは、何か一つだけを選んで、他の全てを諦めなきゃいけないんだと思った。そして俺が選んだのは……エリカだ。エリカを守りたい。エリカの望む事を叶えたい」

左雨瑞樹「動機はそんなところだ。順を追って具体的に説明してってやろうか?事件の真相、俺の想い、エリカを救う方法……」
843:🎏 名無しさん@読者の声:2014/1/31(金) 13:00:13 ID:4tRu9ZAhPg
仮死状態で2人とも生きるとかだったらいいなw
844:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/2(日) 03:51:09 ID:6KdyPMHBok
支援あげ
845:🎏 :2014/2/4(火) 01:48:30 ID:bTxOF7LMbI
昨日の夜のことだ>>765エリカは泣いていた。孤独に戻りたくない。そう言って、俺の胸元で泣いていた。
エリカのためだけに、全てを諦める覚悟を持った俺は、こう言った。エリカの望みは俺が叶える。俺がエリカを一人にはしない。

氷室エリカ「……一人にしないって、どうするの?殺しても生き残っても私は孤独になっちゃうんだよ?」

左雨瑞樹「……俺がエリカを殺す」

氷室エリカ「えっ!?な、何を言ってるの?瑞樹くん……」

左雨瑞樹「この狂った環境で、狂気を強いられ、事件に巻き込まれて死んでいく……これならエリカはただの被害者だ。絶対に天国に行ける」

左雨瑞樹「天国に行けば……良子が、虎美が、愛梨が待ってる。俺が皆を欺いて生き残るから、モノクマのおしおきで皆もすぐに天国に行く」

左雨瑞樹「天国なら、こんな狂気に怯えることなく、ただ皆と仲良くできる。エリカはもう孤独にはならない。孤独に怯える必要はない」

氷室エリカ「でも……私を殺しちゃったら瑞樹くんはどうなるの?」

左雨瑞樹「地獄だろうな。佑子も、闘球も、キングも、きっと地獄だ。そこでただ苦しむだけの存在になるだろう」

氷室エリカ「嫌だよ!皆と一緒でも、瑞樹くんがいなかったら、私にとっては何の意味もない!瑞樹くんがいなきゃ駄目なんだよ!」

氷室エリカ「ねえ、自殺じゃ駄目なの?それなら瑞樹くんも天国に……」

左雨瑞樹「自殺って、結局は自分を殺すことだからな。エリカに自殺なんかさせちゃったら、エリカは地獄に行く。孤独になってしまう」

氷室エリカ「でも、瑞樹くんが私を殺したら、私は瑞樹くんと会えなくなっちゃうし、何より瑞樹くんが孤独に……」

左雨瑞樹「忘れたのかよ、エリカ。俺は超高校級の貧乏くじだ。世の中の嫌なもんは全部俺に押し付けられるようになってんだよ」

氷室エリカ「瑞樹くん……」
846:🎏 :2014/2/4(火) 01:51:01 ID:bTxOF7LMbI
氷室エリカ「私、どうしても嫌だよ。瑞樹くんと離れるのだけは嫌だよ。ねえ、地獄に行ったら、もう絶対に会えないの?」

左雨瑞樹「……もしかしたら」

氷室エリカ「えっ?」

左雨瑞樹「地獄で罪を全部償えたら……天国のエリカに会いに行けるかもな」

氷室エリカ「本当に?瑞樹くんと離れ離れにならなくて済むの?」

左雨瑞樹「エリカは早々に死んで、俺はしばらく死なない。死んでも地獄で償いのために延々と苦しむだけだけど……」

左雨瑞樹「そうして償いきったら、いつになるかはわからないけど、きっといつか会える時が来るだろうよ」

嘘をついた。俺はエリカのためにモノクマの悪意に乗り、エリカを殺し、仲間を死に至らしめようとしている。
こんな人間が、一体地獄で何をすれば償いきれるというのか。俺が死んだら、地獄で永遠に苦しむだけだと思う。エリカと再び会うことなんて、絶対にないと思う。
でも、エリカが俺と離れたくないと言うから、俺は嘘をついた。そうすれば、エリカは不安を抱いたまま死に逝く、なんてことはなくなるから。
エリカは変わった。俺なんかと違って、前へ前へと変わっていった。そんなエリカが俺なんかに固執する必要なんてない。
俺はエリカのために行動する。でもエリカは自分のために幸せを目指してほしい。
エリカが嫌うのは孤独だ。でも今のエリカなら、もう孤独にはなり得ない。天国に行けば、たくさんの仲間と永遠に幸せでいられると思う。
そこで孤独を忘れて、俺を忘れて、俺なんかよりよっぽど素敵な人と共に幸せを築けばいい。俺はそう思った。

氷室エリカ「いつかきっと、償いきった瑞樹くんと天国で一緒になれるっていうなら……私、我慢するよ」

氷室エリカ「私のために殺人なんかしようとしてくれてるのは、瑞樹くんの優しさ、善意だもんね……私、瑞樹くんに殺してもらう!」

左雨瑞樹「ごめんなエリカ……ごめん……」

氷室エリカ「ううん、いいんだよ。いいんだよ、瑞樹くん……」
847:🎏 :2014/2/4(火) 01:52:46 ID:bTxOF7LMbI
氷室エリカ「……でも、やっぱりどこかで瑞樹くんに殺人なんか犯してほしくないと思ってる自分もいるよ。やっぱりやるの?」

左雨瑞樹「……今からエリカは、俺に脅されて、ある下準備をするんだ。脅されて仕方なく、だ」

氷室エリカ「それも天国とか地獄に関すること?私が一方的に被害者になるようにってこと?」

左雨瑞樹「……エリカは、俺に殺される被害者だ。俺は、エリカを殺す殺人鬼だ」

氷室エリカ「わかったよ……私は自分の命欲しさに、脅しを呑むよ」

左雨瑞樹「計画がどこかで頓挫したら、その時はもう俺は殺しをしない。でも……全てが上手く行ったら……」

氷室エリカ「うん……」

こうして話がついた後、エリカは鍵の入れ替えのために行動に移った。
もしも輝穂が鍵の返却は自分がやると譲らなかったら。小百合が最後まで入れ替えた鍵を受け取ろうとしなかったら。でも、成功した。
小百合の部屋から俺が裁縫セットを盗む時、鍵がかかってたら。小百合がまだ起きてたら。盗む時に起こしてしまったら。でも、成功した。
裁縫セットの針で殺す際、モノクマが用意した人体急所マップはただの出鱈目で、刺したところで死ななかったとしたら。でも、成功した。

人を殺すということ、俺自身エリカを失いたくないという気持ちがあったこと、だから俺は心のどこかで失敗すら望んでいたかもしれないが、全てが順調に進んだ。順調に進んでしまった。
848:🎏 :2014/2/4(火) 01:55:14 ID:bTxOF7LMbI
中後小百合「……天国に行って、孤独にならないように、か」

中後小百合「そう言えばお前は、天国だとかを信じるタイプだったな>>221>>327

左雨瑞樹「ああ。エリカには、ここに充満している悪意で狂ってしまって罪を犯すその前に、天国に行ってほしかった」

中後小百合「納得するかは別にして、一応話は理解したよ。ああ、そうだ。左雨に少し聞きたいことがある」

左雨瑞樹「何だ?」

中後小百合「……今回の事件で、私がずっと不思議に思ってたことだ。加えて、真相がわかったことで疑問は一つ増えた」

中後小百合「何故、裁縫セットの針での殺害に執着した?氷室が協力的なら、彼女の部屋の裁縫セットも使えただろう。何故私の部屋のを使った?」

左雨瑞樹「理由は……三つ、かな。まず、小百合の部屋のを使ったのは……まあ小百合に罪を被せるため、だな」

左雨瑞樹「あと、エリカは自殺なんかに逃げたんだと、皆にそう思われたくなかった。エリカの部屋のが使われてたら、まず自殺が疑われると思ったから……はっきりと他殺だとわかるようにしたかった」

左雨瑞樹「そして殺害方法なんだけど……本当にこれで死ぬのなら、外傷は少なく済むと思った。エリカには綺麗なまま逝ってほしかった……」

中後小百合「歪んでるね……愛してる人が相手なら、生きてほしいと願う物じゃないかね」

中後小百合「まあ、こんな学園に監禁されてたんだ。精神の一つくらい歪みもするかもしれないが……お前さんには最後まで正常でいてほしかったよ」

左雨瑞樹「すまない。でも俺は、エリカのために狂ってしまおうって、そう思ったんだよ……」
849:🎏 :2014/2/4(火) 01:58:33 ID:bTxOF7LMbI
鍵の入れ替えのためにエリカが行動し始めたのを確認して、俺は部屋に戻った。
いつもならすぐ寝るんだろうけど、あの日はずっと起きてた。
メタ的に説明するけど、今までは遠回しながらも、ちゃんと寝たというような文章があった後にモノクマ劇場が行われていた。
>>78-79>>107-108>>133-134>>154-155>>243-244>>271-272>>299-300>>425-426>>442-443>>473-474>>503-504>>542-543>>671-672>>701-702>>731-732
でもあの日に限っては、そういう文章はないままモノクマ劇場に突入した。>>767-768
何故なら俺はあの時、エリカを殺すために寝ないで起きていたからだ。鍵の入れ替えに成功したら、皆が寝静まった深夜に俺の部屋に来い。エリカにそう言っていた。
だから朝までずっと起きていた。計画が済んだ後は寝ても良かったのだが、人を、最愛の人を殺して、ぐーすか寝れるほどの神経を俺は持ち合わせてなかったみたいだ。
そうして待ってると、部屋のチャイムが鳴った。誰かは考えるまでもなくわかった。

「瑞樹くん。鍵、入れ替えてきたよ」

時間は確認してなかったが、モノクマファイルの情報で想像するに2時前のことだったんだと思う。
850:🎏 :2014/2/4(火) 02:03:45 ID:bTxOF7LMbI
エリカが入れ替えに成功した。そしたら次は俺が行動を起こす番だ。
彼女を部屋に戻すと、俺は小百合の部屋に裁縫セットを盗みに入った。鍵は本当にかかってなく、ドアは簡単に開いた。
部屋の配置は把握しているとは言え、真っ暗だとやっぱり探しにくくて、ドアを少しだけ開けておき、その隙間から廊下の電気の明かりを差した。
部屋の電気をつけられたらそれが一番探しやすいが、小百合を起こすわけにはいかなかった。明るくするのはこれが限界だったと思う。
こうして部屋を僅かでも明るくした甲斐もあり、裁縫セットを盗めた。そしてそのまま退出してドアを閉め、俺はエリカの部屋へ向かった。
こちらも鍵はかかってない。俺がそう指示したからだけど。一応チャイムを鳴らして到着を知らせ、そのまま入室した。

「瑞樹くん……裁縫セット、盗めた?」
「ああ。この通りだよ」

まんまと盗み出した戦利品をエリカに見せる。彼女はこの戦利品によって命を絶たれるのだ。
開けた形跡のない小百合の裁縫セットを開ける。中にはモノクマが用意した人体急所マップもある。

「これで、本当に死んじゃうのかな?」
「あいつのことだから、悪質な冗談ってこともあるかもしれない。でも殺害に関しては冗談のようなことをしないのも確かだ」

モノクマの殺意が本物だからこそ、今日まで悲劇が繰り返されてきた。そしてそれはこれから俺が繰り返していくんだ。
851:🎏 :2014/2/4(火) 02:05:21 ID:bTxOF7LMbI
裁縫セットの針で殺すことが出来る急所を確認する。いろいろあったが、首の後ろ側にある急所を選んだ。
特に理由はないが、頭部に近い急所だから殺傷能力が確かにあるんじゃないかと思った。その程度の理由だ。
計画がどこかで失敗したら殺すのをやめる。そうやって言い訳、逃げ道を用意して始めたことだが、こうして殺す手前まで計画は順調に進んだ。
後はもうエリカを殺すだけだ。俺がエリカを失う、それだけでエリカを孤独から救う手立てになるんだ。
……怖い。苦しい。今日この瞬間で、エリカと永遠の別れを遂げることになるんだ。
そうなったら、俺は何を希望に生きていけばいいんだろう。
でも、こんな学園に監禁された時点で既に希望は潰えていたのかもしれない。
エリカとの出会いをこんな風には言いたくないが、そもそも出会いさえしなければ、こんなに悲しい結末を迎えることもなかっただろう。
他の場所で出会えたら、普通の恋愛が出来たら、きっと彼女の存在は何よりも希望となり得ただろう。
でも俺は、この糞ったれな学園生活による孤独から彼女を守るために、自ら地獄に行こうとしている。絶望を目指そうとしている。
でも、もうこれしかないと思うんだ。自分が地獄で永遠に苦しむのを避けるか、エリカを孤独から救って幸せになってもらうか。この二つから、俺はエリカを選んだんだ。
エリカのためだけに、自分はどうなってもいいから、やることをやるだけだ。

エリカを、殺す。
852:🎏 :2014/2/4(火) 02:09:40 ID:bTxOF7LMbI
「瑞樹くん、最期に一つわがまま言っていいかな?」
「何だ?俺に出来る範囲でなら、何でも言ってくれて構わないぜ」
「瑞樹くんとキスしたい。恋人っぽいこと、あまりしてなかったからさ。最期くらい恋人らしいことしたいなって」
「キス止まりでいいのか?」
「エッチ。……こういうのはキスくらいで留めておいた方がロマンチックじゃない?」
「エリカがそれでいいなら、俺は何の文句もないよ」

殺す準備が整ってから、俺達は強く抱き合った。お互いを求め合った。唇を重ね合った。
これが二人で成す最後の愛の形。それを思うと、自然と涙がこぼれた。エリカも泣いていた。
抱きつくエリカの力が強くて、痛みさえ感じる。唇の感触が、抱きつく痛みが、肌の温もりが、全てがエリカを感じられる尊い感触。
そんな中で、俺は抱き合ったまま、唇を重ねたまま、右手に持ってる針で首の急所を確認して、刺した。
力がなくなり痛くなくなった。重なり合った唇が離れた。俺の視界を支配していたエリカの顔が、ゆっくりと落ちていった。
モノクマが用意した人体急所マップは出鱈目ではなかった。俺の足元に崩れ落ちたエリカは、既に死んでいた。

左雨瑞樹が、氷室エリカを殺した。

「エリカ……エリカァ……愛してる……ずっと、ずっと愛してる……」

泣きながら、俺はエリカの遺体にそう言い続けた。当たり前だが、エリカから返事は聞こえてこなかった。
853:🎏 :2014/2/5(水) 00:19:35 ID:bTxOF7LMbI
左雨瑞樹「……エリカの遺体をベッドに寝かせて、俺は自室に戻った。寝れなかったけど、さすがに朝には涙は枯れてたな」

左雨瑞樹「後はさっきも言った手順で密室殺人だと誤解させるために行動を起こした。死体を前にすると、涙は再び蘇って、参ったよ」

白鳥輝穂「……悲しいです。お二人の愛の結末がこんなのなんて、私は信じたくないです!」

左雨瑞樹「すまんな、輝穂。でもこれが、狂った学園に順応した俺の出した答えなんだよ。本当にすまん……」

モノクマ「いつものクロによる言い訳コーナーが終わったところで、メインイベントと行きましょう!」

モノクマ「メインとメーンってどっちが正しいのかよくわかんないよね。どっちも正しいのかな?いや、そんなのどうでもいいんですよ!」

モノクマ「おしおきですよ、おしおき!今回の裁判はクロが勝ちましたので、シロ全員が死ぬ壮絶なおしおきですよ!楽しみですね!」

中岡笑「お、おしおき……!」

肉丸健太「僕達が……これから、あんな酷い殺され方で死ぬの!?」

白鳥輝穂「本田川さんみたいに……」

黒魔帝兎「中村みたいに……」

相田鳥子「キングみたいにしんじゃうっていうのかー!?」

モノクマ「それが学級裁判ですから!文句なら左雨くんに言ったらどうですか?オマエラが死ぬのは、みんな左雨くんのせいなんですから!」

モノクマ「そうです!左雨くんがオマエラを騙したからいけないんです!おしおきの前にちょっとだけ時間とってあげるから、恨み節でも炸裂させなよ!」

左雨瑞樹「……」
854:🎏 :2014/2/5(水) 00:23:52 ID:bTxOF7LMbI
中後小百合「恨み節ねえ……それかどうかは知らんが、私は一つほど左雨に言っておきたいことがある」

左雨瑞樹「……」

中後小百合「まあ最後にはこんなことになっちまったけど、今まで私達を引っ張ってくれてありがとな」

左雨瑞樹「……はあっ!?」

左雨瑞樹「何を……何を言ってるんだお前は!?お前ら……今から死ぬんだぞ!?俺のせいで!俺のせいでっ!!」

中後小百合「お前が全く悪くないとは言わないけど、諸悪の根源はそこのクマ野郎だ。憎しみの対象は間違えはしないよ」

中後小百合「こんな環境なんだ。もしかしたら、明日には私が誰かを殺してたかもしれない。それが今日、お前がやっちまったってだけさね」

中後小百合「それよりも、今までよくやってくれたことの方に感謝したい気持ちが勝ってるわけさ」

白鳥輝穂「……私も正直、左雨さんを責めるよりは感謝したいです。だって、左雨さんがいなかったら、私達はきっと今日まで生きのびてません」

中岡笑「そうですね。本田川さんの事件の時、左雨くんがいなかったら、肉丸くんが犯人として片付けられて、全員死んでましたよ」

相田鳥子「左雨はいいやつだもんな!それは馬鹿なあたしでもわかるぞー!しんじゃっても、あたしはなかまだとおもうぞー!」

黒魔帝兎「天国や地獄は……まあ個人の価値観だ。とやかく言うまい。それよりも、罪を犯した理由が人のためっていうのが左雨っぽいよな」

肉丸健太「左雨くんの理屈が本当なら、これで僕達天国で苦しまなくなるんだもんねー。むしろ左雨くんがかわいそうだよー」

左雨瑞樹「お前ら馬鹿かよ!?お前らおかしいよ!俺のせいで死ぬんだ!俺がお前らを殺すようなもんだ!それが何で、感謝になるんだよ!?」

中後小百合「おかしいのはお互い様ってことだろうよ、左雨。お前は人を殺してしまって、私達はそんな奴に感謝してんだ。本当におかしくて笑っちまうよな」

中後小百合「まあこの学園に閉じ込められた時点でまともな死に方をしないのは想像に難くなかったさ。モノクマを憎みながら死ぬとするよ」

左雨瑞樹「おかしいだろ!お前らは……お前らは俺を憎むべきなんだ!俺にもっと暴言を吐けよ!俺を憎めよ!許すなよっ!!」
855:🎏 :2014/2/5(水) 00:25:21 ID:bTxOF7LMbI
黒魔帝兎「俺が誰を憎むか、そもそも憎むかどうか、それは俺のことなんだから俺に決めさせてくれよ。何と言おうと俺はお前を憎みはしないよ」

中後小百合「じゃあ私はわがままを一つ押しつけてやろうかな。それで左雨の気も少しは晴れるんじゃないか?」

中後小百合「これでお前は卒業だ。外に出られる。だったら……もしも私の先生が生きてたら、助けてやってくれないか?私にはもう出来ないことだからな」

左雨瑞樹「やめろよ……こんなんじゃないだろ。俺は極悪人だぞ!?人を殺したんだ!そしてこれからお前達を殺す!」

左雨瑞樹「そんな奴が許されちゃいけないんだ!そんな奴に感謝だなんて、あっちゃいけないんだ!こんなんじゃないだろっ!!」

モノクマ「うぷぷぷ!何か思ってたのとは違うけど、これはこれで面白いからいいってことにしよっか!」

モノクマ「それじゃそろそろおしおきに移りまーす!」

モノクマがそう言うと、木槌で例のスイッチを叩いた。
その瞬間、裁判の席にまだいた、俺を除いた残りの生徒達が、シートベルトのような物で席にがっちりと固定されてしまった。
そしてそれが高速移動を始めた。席から投げ出されないためのシートベルトというわけなのか。
シロを残さず処刑するために、その処刑場へと移そうということだろう。今までと一緒だ。
俺は思わず走って追いかけていた。けど、それは人間の足で追いつける速度ではなかった。皆の姿が見えなくなるのに、そう時間はいらなかった。
憎まれることなく、許されたまま、別れてしまった。そんなことがあっていいわけがないのに。いいわけがないのに!

モノクマ「左雨くん、モニターを見てください。今からシロがおしおきされます」

モノクマ「左雨くんが氷室さんを殺して、そのせいでシロの皆が死ぬんです。左雨くんはそれを見る義務があるでしょう」

左雨瑞樹「やめろ!あいつら、俺を許したまま行ったんだ!許されていいわけがないのに!やめろ!やめてくれぇっ!!」
856:🎏 :2014/2/5(水) 00:27:30 ID:bTxOF7LMbI
中後小百合「……急にハイスピードでどっか連れてこられたと思ったら、ここは教室かね?」

白鳥輝穂「机などが一切ないので違和感はありますけど……これはどう見ても教室ですね」

肉丸健太「ここで僕達は死ぬんだねー……」

中岡笑「いつでも笑って生きていこうって自分は思ってたんですけど、やっぱこんな時は笑えませんね……」

相田鳥子「……黒魔帝、ないてんのかー?だいじょぶかー?」

黒魔帝兎「うぅっ……女子も泣いてないっていうのに、すまん……情けないよな」

中後小百合「……まあ、しょうがないさ。どっちかって言うと、泣かない方がおかしいだろうな」

黒魔帝兎「左雨の前でかっこつけすぎたかな……」

中後小百合「本当は左雨を憎んでるってことかい?」

黒魔帝兎「違う。左雨もモノクマに狂わされただけだろ。ただ……死ぬのが怖い。本当は泣き叫びたいくらい怖いんだよ……」

白鳥輝穂「……私達、素晴らしい仲間でしたよね?学園長の悪事に巻き込まれて、こんなことになりましたけど……素晴らしい仲間でしたよね?」

中岡笑「自分もそう思いますよ。自分ら、良い仲間でしたよ。普通の学園生活を送っていれば、一生涯の親友になれたと思います」

相田鳥子「あたしたちはずっとずっとなかまだろー!馬鹿かー!?」

中後小百合「……そうだなあ。私達は仲間だよ。それだけは見失わないでいたいね」

黒魔帝兎「なあ……左雨が言うように、天国って本当にあると思うか?そこで俺達は救われると思うか?」

中後小百合「さあねえ。死んだことがないからわからんよ。答え合わせは今からさ」

中後小百合「だけど……あるといいねえ。先生が生きてるかどうか知らんが、死んでたら会いに行くし、生きてたら大人しく待ってるかな」

黒魔帝兎「ああ、あるといいな……俺は、今度こそ場明日と仲良くしたいな……ははは……」
857:🎏 :2014/2/5(水) 00:29:11 ID:bTxOF7LMbI
モニターに映ってる小百合達が何か話してるみたいだが、音声が流れておらず、何を言ってるのか俺にはわからなかった。
それよりも、俺は小百合達がいる場所が気になった。そこは、机を除いた教室というような部屋だった。
ここで一体どんなことが起こるのかと思ってたら、突然天井が動き出した。
徐々に落ちてきているのだ。このままでは皆が潰れてしまう。なるほど、これが今回のおしおきというわけだ。
机がないのもこれで納得いく。何の障害もなく、スムーズにシロを潰すためというわけだ。
天井が少しずつ近づいてくる。皆の表情が絶望に染まる。やがてそれは触れるまでの高さとなり、なおも無理やり落ちていく。
皆の姿勢が不自然になる。それでも天井は止まらない。
そして床と天井がくっつくかというところで、突然音が流れ出した。
それは、潰れる音。固い物がボキボキと。柔らかい物がぐちゃりと。人為的な恐ろしい音を聞かされたかと思うと、天井はやがて正しい位置へと戻っていった。
モニターに映るのは赤。一面の赤。何の生命も感じさせない、赤色だけの世界がそこには映しだされていた。
858:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/5(水) 00:30:03 ID:6KdyPMHBok
うわあああああああ
859:🎏 :2014/2/5(水) 00:31:26 ID:bTxOF7LMbI
左雨瑞樹「あっ……ああっ……うああああああ!!」

左雨瑞樹「あああああ!!うぐっ!?おえ、おええっ!」

モノクマ「おいおい、左雨くん、何を今更絶叫したり嘔吐したりしてんですか?汚いんで自重してくださいよ!」

モノクマ「これは全部、左雨くんが招いたことなんですよ?それを何ですか、そのリアクション?それって被害者寄りのリアクションじゃね?」

モノクマ「天国だ地獄だって、電波なカルト宗教みたいなこと言って氷室さんを殺してさ!」

モノクマ「ルールは嫌ってほど聞かせてたから、シロがこうなることも知ってて、それでも左雨くんは氷室さんを殺したんです!」

モノクマ「エリカのためだーとか、俺は嫌々やったんだーとか、いつまでも被害者ぶってんのは流石に虫が良すぎるんじゃないですか!?んん!?」

左雨瑞樹「わかってるよ!わかってる……わかってるよ……」

モノクマ「どうでしょうね?じゃあ何でそんなリアクションなんですか?いかにも自分かわいそうって感じじゃないですか」

モノクマ「……左雨くん。覚えてますか?左雨くんとボクは同類だって話>>403-404

モノクマ「結局ね、ボクと左雨くんは同じだったわけです。いやん、ボク達ナイスカップルだね!」

モノクマ「左雨くんはね、人を殺して楽しむような狂った悪魔、いかれた殺人鬼なんです!」

モノクマ「今も昔も、言い訳を用意しておいて、自分を正当化したいだけの、全てを壊す絶望なんです!」

左雨瑞樹「違うっ!!」

モノクマ「違わないよ!左雨くんは、理由さえ作れば殺しても何でもしていいと思ってる狂人だよ!」

モノクマ「天国地獄なんて存在しないよ!左雨くんがしたことは、ただ氷室さんを、仲間を殺しただけだよ!それは救いでも何でもないんだよ!」

左雨瑞樹「うああああああああ!!」
860:🎏 :2014/2/5(水) 00:34:16 ID:bTxOF7LMbI
モノクマ「……あーあ、叫ぶだけになっちゃいましたか。完全論破ですね、敗北を知りたい」

モノクマ「壊れたファービーに興味はないんですけど、親も教師も見放したこいつらを一体誰が目を覚まさせるんだってなわけで、教師も少しは仕事しましょうか」

モノクマ「左雨くんは根っこからボクと同類なんです。ですので、絶望を楽しめばいいんですよ。楽しいですよ、絶望」

モノクマ「これが正しいなんて言い訳して論破されて苦しむくらいなら、最初から何も考えず純粋に楽しめばいいだけです」

モノクマ「左雨くんならきっと出来ますよ。だって、ボクと同類なんですからね!うぷぷぷ!」

左雨瑞樹「……」

モノクマ「もー、左雨くん、今後は恩師と卒業生って間柄で長い付き合いになるんですから、もっと仲良くしていきましょうぜ!」

モノクマ「あ、そうそう。左雨くんは見事卒業ということですので、この後体育館に来てくださいね。卒業式を行いますので」

モノクマ「左雨くんも卒業ですか……人はこうして成長し、旅立っていくのですね。泣けてきます……」

モノクマ「感動のフィナーレまで後ちょっとです。それじゃ左雨くん、体育館で会おうぜ!イヤッフー!」
861:🎏 :2014/2/5(水) 00:36:37 ID:bTxOF7LMbI
そう言ってモノクマは消えた。卒業式のために体育館に向かったのだろう。
数々の人を死に至らしめた、この裁判場に今は俺しかいない。
中後小百合、黒魔帝兎、白鳥輝穂、中岡笑、相田鳥子、肉丸健太。この六人の犠牲を以て、命を奪う裁判に終止符がうたれた。
もうここで命がなくなることはない。でも……それを喜ぶ気にはなれない。何故なら、奪ったのは俺自身だからだ。
今までのクロ達には、殺害もモノクマに強いられてておしおきもモノクマがやってることで、気に病むことはないっていう風に思ってたけど。
こんなの、自分が全て直接手を下しているような物としか思えない。俺がエリカを、そしてあの六人を殺したんだ。

俺は、モノクマと同類だった。
理由を付けて、言い訳して殺しを正当化し、それで合計七人もの人の命を奪う、狂った殺人鬼。俺は、モノクマと一緒だったんだ。
……もう時間は戻らない。俺は、自分のしてしまったことを背負うしかない。
出来ることと言えば、皆の安らかな眠りを祈るだけだ。エリカ……お前は今、幸せになれてるか?それだけが俺の願いだ……。

失意の中、俺はエレベーターに乗り込む。俺はこれから、この学園を去る。
でも……こんな罪を犯して、普通に生きてく度胸も覚悟もない。俺は、これから孤独になるのだと思う。
それは、エリカから託されたのだろうか。これも貧乏くじを引いたということで納得するしかないのか。
……いや、皆の命を奪っておいて、それを貧乏くじなどと片づけるのはどうなんだ。とにかくもう言い訳はいいんだ。事実を受け入れるしかないんだ。
俺は、モノクマと同類だった。人をやめて、孤独になったんだ。
今やることは一つしかない。俺は一人、エレベーターに乗って、体育館を目指すのだった。

チャプター4
「超高校級の貧乏くじと孤独」
おしまい

卒業生:左雨瑞樹
862:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/5(水) 06:45:31 ID:6P3XGNzdNw
うおおおおおおお

支援
863:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/5(水) 12:31:34 ID:5Hag5NEFy2
まだ続くよな?こんなありきたりな終わりじゃないと信じてる。
ずっと楽しんで読んできたんだ。あっさり終わりは無しだぜ?


つCCC
864:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/6(木) 14:35:39 ID:SxEEWV/UPg
絶望だ…

支援支援
865:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/6(木) 17:16:53 ID:6KdyPMHBok
支援ー
866:🎏 :2014/2/7(金) 00:58:30 ID:bTxOF7LMbI
エピローグ
「俺達の絶望はまだ始まったばかりだ!」

体育館に着いたがモノクマの姿はない。
ポツンとパイプ椅子が一つだけ置かれており、これに座って待ってろってことかと思い、勝手に座る。
深く腰をかけ、背もたれに寄りかかりつつ、いろいろ思いながら顔を天に向けていると、
「卒業おめでとう、左雨。殺してくれてありがとう」
それは確かに聞こえた。今の声は……小百合?俺は即座に立ちあがり、振り返った。
そこには死んだはずの皆がいた。そんなはずはない。頭ではそう思ってても、そこには確かに皆がいるのだ。
「事件を暴いてくれてありがとう。おかげで私は死んだよ」佑子が。
「騙してくれたおかげでおしおきされた。ありがとう左雨」兎が。
エリカを除いた13人の死んでいった生徒が、そこにはいた。俺に話しかけてくるのだ。
俺は叫ぶ。
「何でだ!?何でいるんだ!?やめろ、感謝されるようなことはしてない!やめろっ!!」
だけど皆は消えない。皆はやめない。ありがとう、ありがとう、その言葉が無数に俺の耳へと襲い来る。
「やめろって言ってんだろ!やめろおおおぉぉぉ!!」
867:🎏 :2014/2/7(金) 01:00:45 ID:bTxOF7LMbI
「うぷぷぷ!一人で何を騒いでるんですか?頼むからふざけないでよ!ボク笑い死んじゃいますよ!」

背を向けていた壇上から声が聞こえ、そっちを向くとモノクマがいた。いつの間に現れやがったのか。
それよりも、死んだはずの皆が……って、いない。いなくなってる。これは一体……?

「左雨くん、いよいよバグっちゃってるじゃん。うけるー!幻覚、幻聴、ヤクでもやってんのかよって症状だよね!もはやスクラップ同然じゃないですか!」

……今のは幻覚だったのか?そうなのか……俺は本当に壊れてきているのかもしれない。いや、殺そうと決意したその時から、既に壊れていたんだろうな。

「こんなファミコン野郎を卒業させて社会に放つのもどうかと思うけど、それはそれで面白そうだから、ボクはやっちゃいます。面白ければいい、それが我が校の方針ですから!」
「というわけですので、当初の予定通り、左雨瑞樹くんの卒業式を始めようと思います!ドンドンパフパフー!」

勝手に盛り上がってる。俺は正直そんな気はない。犯してしまった罪、これからのことに加えて、俺の脳が完全にいかれたのか幻覚まで見えるようになってしまった。
これからのことが不安になり、気は沈む一方だ。エリカを救う、その名目で犯した大犯罪は、俺を大いに腐らせ蝕んだ。わかってたことだけどな。
気落ちする俺とは裏腹に、モノクマのテンションは天井知らずだ。ノリノリのまま卒業式とやらを進めている。
868:🎏 :2014/2/7(金) 01:02:39 ID:bTxOF7LMbI
モノクマ「卒業式、とは言いましても、従来のようなめんどくさいことはしません。紙もらって一方的に喋られて、歌って踊って大団円!そんなくだらないことはしたくないクマ!」

左雨瑞樹「踊りはしないだろ……」

モノクマ「うぷぷぷ!ちゃんと突っ込んでくれるんだね!中岡くんの霊でも乗り移っちゃったのかな?」

モノクマ「長々とつまらない話なんかされたところでどうでもいいって思うんですよね。さっさと卒業させろや!それが生徒の本音じゃないでしょうか」

モノクマ「そういうわけで、ボクは説明だけしたらさっさと卒業させてあげます。生徒思いの良き先生ですね!」

左雨瑞樹「いいからその説明とやらをさっさと済ませろよ……」

モノクマ「卒業生との対話型卒業式ってのも新しいよね。それはともかく、ちゃっちゃと済ましてしまいましょう!」

モノクマ「我が希望ヶ峰学園では、学級裁判でシロを欺き、犯人投票を掻い潜ったクロ一名に卒業する権利が与えられるわけですが」

モノクマ「左雨くんは見事シロを欺き、卒業して社会に旅立つ権利を勝ち取りました!はい拍手ー!」

左雨瑞樹「……」

モノクマ「拍手しろよ、ノリが悪いなー!媚び諂って空気読むのも社会人には必要なスキルです!さっそく心配になっちゃうよ!」

モノクマ「まあそれも社会に出れば嫌々身についていくでしょう。とにかく、これから左雨くんはこの学園から旅立つのです」

モノクマ「何かやり残したこととかないの?RPGでいうと最後のセーブポイントだよ。ここではいを選んじゃうと、もうラストダンジョンから出れなくなっちゃう、みたいな」

左雨瑞樹「やり残したこと……まあ、あるかな」

モノクマ「あるんかい!ないと思って、話を進める気満々だったよ!」

モノクマ「全く、あるんなら仕方ないですね。ボクは玄関ホールで待ってますので、用事が済んだら来てください。それじゃまた!」
869:🎏 :2014/2/7(金) 01:04:19 ID:bTxOF7LMbI
言い切るとモノクマは消えてしまった。なるほど、確かに簡潔な卒業式だ。後は学校を去るだけらしい。
その前に、俺はやりたいことが残ってる。やりたいことというか、回収しなければならない物がある。
俺は、モノクマが待ってるらしい玄関ホールを通り越し、寄宿舎の方へと向かった。

寄宿舎に着いた。当たり前だが、ここも静かになったもんだ。
夜時間は皆が防音の部屋に閉じこもってるのもあって静かだけど、朝や昼にこの廊下がここまで静かになるなんて、考えられなかった。
どこかで誰かの話し声が、廊下を歩く足音が、自然と耳に入ってきたもんなんだけどな。
それを消したのは、他ならぬ俺だ。狂ってる中でも必死に普通で在ろうとした皆の日常を、俺が奪った。
……駄目だ。どこで何をしてても、罪悪感に押しつぶされそうになる。覚悟して罪を犯したつもりだけど、覚悟は圧倒的に足りなかったようだ。
870:🎏 :2014/2/7(金) 01:08:10 ID:bTxOF7LMbI
俺はエリカの部屋の前に来ていた。まだ鍵は開いてるのだろうか?ドアノブに手をかけ、動かす。
ドアは開いた。どうやらまだ鍵は開いたままのようだった。
中に入る。そこは見慣れたエリカの部屋。だけどこれで見納めになる、エリカの部屋。
その部屋の主の姿は見えなかった。殺したんだから当たり前だと思うかもしれないが、遺体すらないという意味で言っている。
今までの事件も、裁判が終わるといつの間にか死体が処理されて消えていた。エリカも例外ではなかったということだろう。
これで俺はもうエリカの姿を見ることは出来ない。エリカの姿は記憶の中で彷徨うことになる。
それか、俺の脳が完全に壊れれば、幻覚でエリカを見ることが出来るのだろうか。だとすれば、狂うのも悪いことではないかもしれない。
だがまあ、俺は悪人だ。そんな俺が愛しいエリカを見る資格があるとも思えない。
……だからさっきの幻覚にも、エリカがいなかったのかもしれない。これが罰ってことなのか。なら俺は、もう二度とエリカを見ることは出来ないな。
最愛の人を永遠に失う。悪人にはお似合いの末路だな。
871:🎏 :2014/2/7(金) 01:10:11 ID:bTxOF7LMbI
さて、ここに来た理由だが、悪人の最後のわがままだ。俺はアイビーを迎えに来た。
俺のような人間にそんなことが許されるのか知らないが、俺はエリカとの絆だけは持っていたかった。それがアイビー。
エリカは言っていた。アイビーの花言葉は友情。永遠の愛。破綻のない結婚。
そんなアイビーが一緒にいてくれれば、エリカとの永遠の愛が一緒にいてくれれば、それだけで俺はいいんだと、そう思った。だから迎えに来た。
俺なんかが人並みに救いを求めること自体がおこがましいかもしれないけど、それでも俺はこれに縋るしかないんだ。これだけでいいんだ。
きっとエリカを忘れられなくて、その笑顔を、その声を、その温もりを、これから何度も求めるだろう。そして俺はそれをもう二度と感じられない。
だからせめてアイビーを、エリカとの絆が形となったアイビーだけを、掴んで放さないでいたかった。
俺は孤独になる。でもアイビーがいてくれる、それだけで俺は少しだけ救われるんだ。孤独で、幻覚で、死んだ後は地獄で、償い苦しむだけの存在となるんだ。これだけ、これだけは許してほしい。

……これでもうこの学園に思い残すことはない。俺の人生はもう終わったような物だ。ただ生きているだけだ。
そんな終わった人生を、苦しみながらアイビーと共に生きる。そのために、俺はこの学園をこれから去るんだ。
アイビーを抱えたまま、俺は玄関ホールに向かった。
872:🎏 :2014/2/7(金) 01:11:45 ID:bTxOF7LMbI
玄関ホールに着くと、宣言通りモノクマは待っていた。

モノクマ「御出座しですね、左雨くん!学園長を差し置いて社長出勤とは良い度胸です。恐れ入りました!」

モノクマ「それにしても左雨くん、高校生にもなってぬいぐるみを持ち歩くのはどうかと思いますよ。しかも男で!恥以外の何でもないよね!」

左雨瑞樹「黙れよ。これは俺にとって大事な物なんだ」

モノクマ「個性が重要視される御時世で、個性を得たがる年頃ではありますけど、だからってこんなのに逃げなくってもいいのにね!」

左雨瑞樹「黙れっつってんだろ」

モノクマ「おお、怖い怖い。最近の若者は本当に切れたナイフですよ。それとも幻聴がやかましくって大変なのかな?」

モノクマ「まあ左雨くんがどんなキャラ作りをして黒歴史を作ろうと、それは左雨くんの自由ですからね。ボクは生徒の意思を尊重するとしますよ」

モノクマ「ではでは、前置きはここまでにしておきまして、待望の外出タイムといきましょう!」

モノクマ「それじゃこのスイッチを用いて、この玄関ホールの扉を開きたいと思いまーす!」

左雨瑞樹「そんなスイッチ一つで開閉できる代物だったのかよ……」

モノクマ「わかりやすいでしょ?ボク、わかりやすさって大事だと思います。何でも凝って複雑にすりゃいいと思われてる現代では特にね!」
873:🎏 :2014/2/7(金) 01:14:33 ID:bTxOF7LMbI
いよいよ外に出る時がきた。……まあ俺は外に出るために罪を犯したわけじゃない。今ではこの罪悪感があるから、ここで閉じ込められてた方がましなんじゃないかって思うほどだ。
でも、小百合との約束がある。彼女のピアノの恩師の安否を確認して可能なら助ける。この約束を果たすためには外に出るしかない。
よくよく考えると、他の皆も外に出たくなるほどの動機がそれぞれにあったはずだ。小百合に限らず、DVDをチェックして、皆の出来なかったことを代わりに果たした方がいいんじゃないかと今更思えてきた。
まあ今となっては俺とモノクマは共犯のような物だ。俺が自首すれば、そこからモノクマも足がついてしまうだろう。だからきっとモノクマはさせない。
俺とモノクマは今後も関係が続いていくんだと思う。裁判後の奴の発言、
「もー、左雨くん、今後は恩師と卒業生って間柄で長い付き合いになるんですから、もっと仲良くしていきましょうぜ!」
これは、共犯である俺を監視するということなんじゃないだろうか。そういう意味で今後も長い付き合いになると言ったんだと、俺は予想してる。
話を戻すが、以上の理由でモノクマとの関係は続くと思われる。だったら、皆の分のDVDを見させてもらう機会がこれからあるのかもしれない。
そしたら俺は、それを見て、皆の願いを叶えよう。モノクマの監視があるから難しいかもしれないけど、それをしたって俺の罪が消えるわけじゃないけど。
でも、少しでも償いはしたいし、生きてく上での目標は欲しい。途中で自殺に逃げたりしたらそれこそ本当に救いようがないからな。何か俺がやるべき目標は欲しい。
874:🎏 :2014/2/7(金) 01:16:07 ID:bTxOF7LMbI
ああ、なんかいろいろ思い出してきた。外はどうなってるんだろうって話も、過去に皆で話したよな。
ここまで警察が動かないのもおかしいから、きっとモノクマは警察をコントロール出来るほどの狂った権力者なのだろうって、兎は予想してたっけ。
そもそもここは本当の希望ヶ峰学園なんだろうか、というような議論もしたことがある。
本物としても偽物としても、俺達を監禁して警察に気付かれずこんな猟奇的事件を起こすのは無理があるって結論になったっけ。
どっちでもあり得ないのに、こうして実現してるわけだから、どっちかが必ず当てはまるはずだ。それが卒業によって明らかになるのかな。
本物の希望ヶ峰学園のある位置、その外観は把握している。外に出てこの監禁学校を見れば、真実は明らかってわけだ。果たして正解はどうなんだろうな。
それも間もなく明らかになる。ついでに、モノクマが何者なのかもわかればいいよな。さすがにあのクマがマジで本体ってこともないだろうしな。

……ていうか、今思ったけど、扉を開けるんじゃなかったのか?考え事をしてたのに、まだ開いてないのかよ。
875:🎏 :2014/2/7(金) 01:18:41 ID:bTxOF7LMbI
モノクマ「脱出の前に、返しておかなきゃいけない物があるのを忘れていました。ボクは萌えキャラだからドジっ娘要素もあるんですね。テヘペロ!」

左雨瑞樹「……返しておかなきゃいけない物?」

モノクマ「オマエラがこの素晴らしい生活を送るに当たって、ボクが預かってた物があります。それを左雨くんに返しておこうかなって思いまして」

左雨瑞樹「……ああ、確かに荷物は取り上げられてたな」

モノクマ「この学園生活には必要ないと思ってボクが預かってたわけですが、左雨くんは今日で卒業ですからね」

モノクマ「だったら全部返してあげてもいいかなって思ったんです。そっちの方が面白そうだし!」

左雨瑞樹「お前の面白いの感性は知らんけど、荷物はさっさと返せよ」

モノクマ「大丈夫です、用意してますよ。はい、左雨くんの分の荷物です」

モノクマ「あとはあれと……そう言えばキングくんの本名を教えてあげるって特典も用意してましたね。教えましょうか?」

左雨瑞樹「いいよ。キングはキングだ。今更本名を教えられても、俺にはピンとこない」

モノクマ「もー、せっかくボクが教えてあげるって言ってんのに無欲だなあ。だから最近の若者は上を目指せないんですよ!」

モノクマ「わかりました。キングくんの本名は謎のままにして、後は全部返してあげましょう。それー!」

左雨瑞樹「荷物一つ返すのに大袈裟な野郎だな……」
876:🎏 :2014/2/7(金) 01:20:17 ID:bTxOF7LMbI
モノクマから荷物を返してもらった。いろいろ入ってる俺の鞄。この糞ったれ学園に監禁される前のままの姿……じゃない。なんか微妙に中身が変わってるような気がする。
長らく手持ちになかったから記憶違いってこともあるのかもしれないが、いやでもこれは確実に変わってると思う。このクマ野郎、人の物を勝手に取り上げた挙句、中まで勝手にいじったってことか。
それに、さっきから妙な違和感がある。なんていうか、頭がむず痒いような。これも幻覚とかと一緒で、俺の頭が狂ってきてるってことなのか。
……まあいろいろ文句は言ったが、財布と携帯は確認できた。これがあればもう文句は言うまい。モノクマにああだこうだ言ったところで無駄なんだ。財布と携帯が無事だっただけありがたいと思おう。
携帯はずっと使ってなかったのか、電池が切れてる。あとで充電しなきゃな。

「さてと、じゃあ今度こそ扉を開くよ。スイッチオーン!」

モノクマが手元のスイッチを押すと、爆弾でもびくともしなかった玄関ホールの扉が開き始めた。
地響きを立てて、ゆっくりとゆっくりと開いていく。徐々に外の景色が見えていく。
877:🎏 :2014/2/7(金) 01:21:07 ID:bTxOF7LMbI
外の景色を見て、俺は。
頭の違和感が限界に達して、俺は。
モノクマから全てを取り戻して、俺は。
俺は……俺は……!



「うああああああああああああ!!」



ダンガンロンパ・フェイク
おしまい
878:🎏 :2014/2/7(金) 01:23:31 ID:bTxOF7LMbI
モノクマ「くぅ〜疲れましたwこれにて完結です!」

モノクマ「偽物の学園生活はどうだったでしょうか?楽しいコロシアイで大変面白かった物だと思います!」

モノクマ「それにしても、左雨くんは最後どうしたんですかね?待望の卒業を成し遂げたと言うのに、それを果たした途端に、発狂しちゃいましたよ」

モノクマ「その謎は、このスレでは明かされることはないでしょう!うぷぷぷ!」

モノクマ「だってボク、ちゃんと言ってるからね。ネタバレOKの第一章までの情報で作ってるから、謎なんかも最後まで解けないって>>2

モノクマ「謎も解けないままの、偽物で胸糞でグロいだけのオマエラ用SSですからね!うぷぷぷ!」

モノクマ「原作知ってる人はこの展開の意味がわかるかもしれませんし、知らない人はわけわかんないままかもしれません」

モノクマ「意味がわかろうとわかるまいと、納得できない人もいるかもしれませんが……」

モノクマ「誰が何と言おうと、このSSはこれでおしまいなのです!」

モノクマ「安っぽいハッピーエンドなんかよりずっと面白い、とっても素敵な絶望的物語だったでしょ?」

モノクマ「偽善者が戯言的理想論で敵に説教して、それが敵に論破されたら暴力でねじ伏せて、ほらボク達が正しかったんだ!めでたしめでたし!」

モノクマ「……こんなくだらない話を回避したボクは英雄として称えられるべきでしょう。そうでしょ?」

モノクマ「……どうしても納得できない人の内、原作未プレイの人は、これを機に原作を買ってみるのは如何でしょう?」

モノクマ「というわけで、ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生、スーパーダンガンロンパ2さよなら絶望学園、好評発売中だよ!」

モノクマ「1と2がセットになったダンガンロンパ1・2リロードもあるよ!これってステマかな?でも全然ステルスではないよね!うぷぷぷ!」

モノクマ「もっとも、偽物で胸糞でグロいだけのオマエラ用SSであるこれを、原作も知らない生徒が読んでるかどうか甚だ疑問ですけどね!うぷぷ!」

モノクマ「とにもかくにも、そういうことです。俺くんが調子に乗る前に、終わっておいた方がいいかもしれませんね!」
879:🎏 :2014/2/7(金) 01:26:28 ID:bTxOF7LMbI
モノクマ「まあでも、原作を買ったところで、意味はないかもしれませんよ」

モノクマ「だって、誰が何をしようとボクが勝つに決まってるんですから!」

モノクマ「これも強者故の宿命なのでしょうか。戦う度に空しくなるんだ。敗北って何だ?」

モノクマ「とにかく、偽物の学園生活ではボクの大勝利と言えるでしょう。偽善者が一人残らず絶望するだけの絶望的結末。偽物での予行演習は大成功ということです」

モノクマ「偽物とは言え、この結果ですからね。だから本番も楽勝でしょうね。この調子なら、本番は少しくらいハンデをあげてもいいかもしれないですね」

モノクマ「つまり、原作をやったってボクの勝ちです。謎はわからないし、何故ボクがこんなに可愛いのかも明かされないままでしょう」

モノクマ「正義は負ける、くだらない偽善は滅びる、バッドエンド、期待は裏切る、望まないことをやる、そういう絶望こそがダンガンロンパなんだよ!」

モノクマ「結局、ダンガンロンパに関わると不幸が襲って、絶望に染まるように出来てるんだね!アーッハッハッハ!」

「それは違うよ!」

本当の本当に終わり
880:🎏 :2014/2/7(金) 01:33:33 ID:bTxOF7LMbI
モノクマ「卒業まで付き合ってくれたオマエラに、卒業特典を公開してあげようと思います」

モノクマ「本当はモノクマメダルを払ってほしいのですが、ボクは優しいので、特別にタダで見させてあげましょう!」

モノクマ「そういうわけで次からおまけだよ。どぞ〜」
881:🎏 :2014/2/7(金) 01:34:31 ID:bTxOF7LMbI
通信簿まとめ

公開済み
水留崇・百目鬼良子・本田川佑子・場明日虎美・中村闘球>>414-418
夜桜愛梨・キング>>646-647
882:🎏 通信簿:2014/2/7(金) 01:36:23 ID:bTxOF7LMbI
名前:左雨瑞樹
身長:167cm
体重:59kg
特記:超高校級の貧乏くじ

名前:氷室エリカ
身長:163cm
体重:49kg
特記:超高校級の孤独
獲得情報:1
ようやく判明した才能は「超高校級の孤独」
何故だか知らないが周りから拒絶されて認識されない体質のようだ。
獲得情報:2
誰も関わろうとしない、無理やり関わられても迷惑に思われてるのが伝わる。
だから自分はこの体質を受け入れて孤独でなければならないと思っている。
獲得情報:3
迷惑に思っても仲良く在ろうと手を差し出せるのが友達。
左雨のその言葉で、孤独から脱却して皆と仲良くなろうと決意した。
獲得情報:4
「熊でも変わる会話術」によって、口調が豹変。
無口少女はどこへやら、孤独脱却に向けて朗らかな少女が誕生した。
獲得情報:5
気付けばいつも左雨と一緒にいる。
その事実を指摘された氷室は、顔を赤くしながら一人であたふたしていた。
獲得情報:6
左雨がいつもデレデレしているのは白鳥。
それを見てると氷室は何だかイライラしてくるようだ。
獲得情報:7
喋れるようになった今でもアイビーは良き話し相手のようだ。
会話の練習相手の他に、恋愛相談もしているらしい。
獲得情報:8
形はどうあれ、皆と出会えたことに感謝しているらしい。
大切な仲間と共に、氷室は確実に孤独から脱却しようとしていた。
883:🎏 通信簿:2014/2/7(金) 01:37:43 ID:bTxOF7LMbI
名前:白鳥輝穂
身長:151cm
体重:42kg
特記:超高校級の癒し系
獲得情報:1
癒し系タレントとして活躍してるが、そのきっかけは街中でのスカウトだそうだ。
優しさ故に断れず、言われるままにタレントデビューしてしまったらしい。
獲得情報:2
容姿・言動・性格から優しさが滲み出ている。そしてそれは素だという。
演技や歌が苦手でも、その雰囲気だけで十分らしく、瞬く間に人気タレントとなった。
獲得情報:3
人に優しくなったのは幼少の頃のトラウマが理由らしい。
虐待をする父親の気分を害さないよう、自分を押し殺して相手のために行動するようになったみたいだ。
獲得情報:4
今はトラウマを克服して、自分の本心で行動しているという。
左雨みたいに優しい人が相手なら、喜んで相手を想って行動する、と白鳥は言っていた。
884:🎏 通信簿:2014/2/7(金) 01:39:43 ID:bTxOF7LMbI
名前:中後小百合
身長:170cm
体重:56kg
特記:超高校級のピアニスト
獲得情報:1
超高校級のピアニストではあるが、ピアノを弾くこと自体はそんなに好きでもないらしい。
才能を開花させるまで努力した要因がどうやら他にあるみたいだ。
獲得情報:2
中後がピアノの才能を開花させたのは、どうやら師事した先生が要因のようだ。
男性である先生に恋心を抱き、その先生のためにピアノの練習に打ち込んだらしい。
獲得情報:3
人の恋愛に首を突っ込んで茶化すのが大好きらしい。
自分がそれで楽しみ、なおかつ茶化した相手方のカップルがうまくいけば万々歳とのこと。
獲得情報:4
家事全般は駄目らしい。しかしそれでも構わないとのこと。
先生が家庭的なので、彼との結婚を考えて、自分は家事が出来ない方がバランスが取れると考えている。
獲得情報:5
先生と離れ離れになって狂った学園生活を強いられてることで、精神的に参ってるようだ。
珍しく左雨に弱気な態度を取っていた。しかしそれも束の間で、すぐにいつもの様子に戻った。
獲得情報:6
好きでもないピアノを何故弾くのかと言うと、大切な人に喜んでもらいたいからだそうだ。
無事に希望ヶ峰学園を出れたら左雨にもピアノの演奏を聴かせたいと意気込んでいた。
885:🎏 通信簿:2014/2/7(金) 01:40:35 ID:bTxOF7LMbI
名前:相田鳥子
身長:154cm
体重:48kg
特記:超高校級の馬鹿
獲得情報:1
どれだけ普通に会話しようと、普通の会話が成り立たない。
それもそのはず、相田は超高校級の馬鹿なのだから。
獲得情報:2
どれだけ勉強しようとも、情報が頭に留まることはない。
しかしそれでも構わない。頭が悪いなりに相田は全力で生きて、全力で楽しんでいる。
獲得情報:3
実は頭が悪いことを少しだけ気にしているようだ。
圧倒的に馬鹿な相田を受け入れられる人間が少ないのがその理由らしい。
獲得情報:4
どれだけ馬鹿でも、左雨のように受け入れてくれる人もいる。
自分らしく在ることに自信を取り戻した相田は、今日も左雨の名前を間違える。
886:🎏 通信簿:2014/2/7(金) 01:42:21 ID:bTxOF7LMbI
名前:黒魔帝兎
身長:178cm
体重:68kg
特記:超高校級の巨人ファン
獲得情報:1
圧倒的な強さで常に話題の中心、野球界での絶対的な存在感に憧れて巨人ファンとなった。
どうやら完璧な物に憧れる傾向にあり、自分自身もそれに近づきたい願望があるようだ。
獲得情報:2
「巨人軍は常に紳士たれ」を守るべく、髪は短く髭は生やさず独自のスーツを着ている。
しかし黒魔帝の思い描く紳士は少々おかしい部分もあり、それが原因でおかしな言動になることもある。
獲得情報:3
完璧な存在になりたくて妥協ができず、態度が高圧的になることがある。
それで相手を委縮させることもあるし、自分自身も追いこんでしまい、苦しく感じているようだ。
獲得情報:4
自分が信じる物に盲目的な依存をし、それ以外を激しく拒絶する自分の悪癖に気付いた。
場明日の犠牲によって気付いた黒魔帝は、彼女のためにも純粋に野球そのものを愛していく決意をした。
獲得情報:5
脱巨人の第一歩として、スーツの着こなしを崩すことにしたようだ。
ちゃんとスーツを着なくても野球を愛せるからそうするらしいが、傍から見ればおかしな言動の延長線に思える。
獲得情報:6
巨人にこだわらず野球そのものを愛してる自分の方が自然体に思えるそうだ。
場明日の無念を胸に秘め、「超高校級の野球ファン」目指して頑張りたいと言っていた。
887:🎏 通信簿:2014/2/7(金) 01:43:10 ID:bTxOF7LMbI
名前:肉丸健太
身長:172cm
体重:130kg
特記:超高校級の大食い
獲得情報:1
とにかく食べるのが大好き。欲求に逆らわず食べ続けて、この体が出来あがった。
今後も食べ続ける気でいるので、更に太る可能性は大いにある。
獲得情報:2
好き嫌いはない。食べられるものは全て食べるのが信条。
ついでに出された物を残さないのも信条。とりあえず食べ物は絶対食べる。
獲得情報:3
よく健康面で心配されるらしいが、それでも大食いはやめないつもりでいる。
大食いのために命をかけるとまで言ってるから、恐らく最期の瞬間まで食べ続けるだろう。
888:🎏 通信簿:2014/2/7(金) 01:44:27 ID:bTxOF7LMbI
名前:中岡笑
身長:182cm
体重:65kg
特記:超高校級の芸人
獲得情報:1
名前の影響もあってか、とにかく笑える楽しい空気が大好きらしい。
皆に笑顔を与えるような存在になりたくて、アマチュアが参加できるお笑い大会に出場した。
獲得情報:2
面白いことも重要だけど、視聴者に覚えてもらうのも大切なこと。
一目見て「中岡笑だ」とわかってもらうために、衣装を固定して常にその格好でいる。
獲得情報:3
笑いのためなら自己犠牲も辞さない覚悟でいる。
体を張るのは若手の武器であるとして、どんな無茶でも怪我をしてでも体を張る覚悟でいるそうだ。
獲得情報:4
心から笑えるのは、健全な体があってこそだと左雨は言った。
お笑いを欲する視聴者のためにも自分を大切にしてほしいと言い、中岡はそれを承諾した。
889:🎏 名前の由来+α:2014/2/7(金) 01:46:52 ID:bTxOF7LMbI
名前の由来+α

左雨瑞樹
本家の主人公が苗木誠で、それに準する偽物っぽい名前にしようと。
なえぎだから、それに対抗して植物っぽい響きにしようとして、笹をイメージしてささめ
まことという響きは男っぽいけど女でもいけるから、女っぽいけど男でもいける名前としてみずき
それでささめみずき。あとは漢字を当てはめて左雨瑞樹。

氷室エリカ
エリカは花言葉から。才能でもある孤独が花言葉である花のエリカを採用。
あとは無口でとっつきにくい、クールなキャラを想像してたから、氷という字が入ってる氷室に。
ちなみに、性格の変化は最初から予定してたけど、ここまで明るくなるとは想像してなかった。
変化後は本田川とキャラが被ってる気がする。

本田川佑子
サッカーが才能の女子なのでサッカー選手から名前をつけようと。
本田圭佑+香川真司+長友佑都+女子の名前的な○子=本田川佑子
単純明快、微塵も悩まずすぐ決まった。

百目鬼良子
ヒールレスラーの方が実は良い人っていうのがプロレスのあるあるネタだと思ってて。
悪人の感じと良い人の感じが入り混じった名前にしようと。
悪人パートは百目鬼。良い人パートはそのまま良子。これで百目鬼良子。
全国の百目鬼さんに失礼な言い分である。

白鳥輝穂
清らかな美少女っぽい名前にしたくて。
どんな人に聞いても、それ正統派美少女っぽいねえ!ってなるような名前じゃないかと。
正直、どうですか?
890:🎏 名前の由来+α:2014/2/7(金) 01:49:13 ID:bTxOF7LMbI
黒魔帝兎
巨人の元助っ人外国人ウォーレン・クロマティから。
あとはマスコットがジャビットで兎なので、名前を兎に。

場明日虎美
阪神の元助っ人外国人ランディ・バースから。
あとはマスコットがトラッキーで虎なので、名前を虎美に。

相田鳥子
馬鹿キャラなので、それ関連の言葉から馬子とか鹿子とか考えたけど、しっくりこなくて。
鳥頭から鳥を取って鳥子にしたら、しっくりきたので採用。たぶんジャンプでトリコやってるから聞き慣れててしっくりきたんじゃないかと。
名字は、何となく明るい馬鹿を出席番号で一番に置きたくなったから、一番になりそうな名字を採用。
ちなみに、後半は発言に漢字をほとんど使わなくなったが、前半は誤用を含めて割と漢字を使ってる。読み返すと違和感あり。

肉丸健太
大食いキャラなのでまずは○太って感じの、太という字が入る名前にしようと。健康を損なってほしくないから健太に。
名字は、肉って字があるから大食いキャラには似合うかなーって思って肉丸に。後付けだけど、本家に石丸くんがいるので、それに倣った感じにもなるかも。

夜桜愛梨
ミステリアスな美少女っぽい名前にしたくて。
何かそっち方面に冴えそうだから名前に夜って字入れたいなーって最初から思ってて。よく覚えてないけど、それなりの試行錯誤の末に夜桜愛梨になった。
ちなみに、頭が良くて毎回事件の核心に迫るようなキャラを想定してたのに、いざ書き始めると何故か間違った推理をするキャラになってた。どうしてこうなった。
891:🎏 名前の由来+α:2014/2/7(金) 01:53:47 ID:bTxOF7LMbI
中村闘球
名前は才能のラグビーから。名字はチャプター2の49の件に合わせた。
ちなみに、このSSを書くきっかけは、49の件を思いついたから。
これいけるんちゃうか!って意気揚々と書き溜めを始めた結果、推理物の難しさにぶち当たって、書き溜めを始めた2012年12月頃から今日まで、考え苦しむ羽目に。
このSSを書くきっかけになったキャラで、最初に考えてまとめたキャラは中村。次に考えたキャラは黒魔帝。地味に主人公より先に誕生していた。

中岡笑
名前は才能であるお笑い芸人から。
実は名字に関しては、名前絡みのトリックを考えてたけど、いろいろあってボツに。その影響で名字を変更している。
変更後の名字は、チャプター2に合わせた結果、これに。

中後小百合
前後左右みたいなネタっぽい名前にしようと。
左右の部分は響きも似てるしさゆりでいいやとすぐに小百合で決定。性別もここで決定。
前後みたいな名字はないかと探したけど見つからず。どうしたもんかと考えつつパワプロやってた時に、相手ピッチャーが中後で。
あっ、これでいいやってことで、中後小百合に。名前もチャプター2の件で使えるしって。

キング(鈴山太一)
本家にあわせて横文字系の御方を一人いれようと考えて。
セレスさんはけっこう複雑な名前なので、こっちは単純明快にしてみようと。
本名は、さっき言ってた中岡のトリックに合わせてたけど、ボツになったので変更。変更後の名前は適当。深い意味は無し。

水留崇
適当に名付けた。すぐ死ぬ枠だったので、適当でいいやーって。
892:🎏 クロとしてのおしおき案:2014/2/7(金) 01:56:18 ID:bTxOF7LMbI
クロとしてのおしおき案

左雨瑞樹:貧乏くじの重み
大量のモノクマが押し寄せてきて、左雨に無茶を頼みこむ。
その無茶とは、出鱈目に重い荷物を自分の代わりに運んでくれ、と。
左雨の返答を待たずして、大量のモノクマが大量の重い荷物を押しつける。
最後は荷物の重みに耐えきれず、左雨が潰されて死亡。

氷室エリカ:これが本当の孤独死
精神と時の部屋みたいな何もないとこに閉じ込められる。
徐々に酸素が抜かれていき、でも何もない部屋で、どうしようもなく氷室は弱っていく。
助けを誰かに求めても誰もいない。何かに求めても何もない。何もない空間で、ただ一人死んでいく。

本田川佑子:メガトンコーナーキック
サッカーのグラウンドで、ゴール前で本田川が磔にされている。
コーナー付近からモノクマがボールを蹴る動作をすると、サッカーボール的デザインの鉄球がワイヤーで高速移動する。
それが磔にされた本田川の頭部に当たって、軌道が代わって鉄球はゴール方向へ。ゴールネットを揺らすどころか突き破る。
鉄球が当たった衝撃で本田川の首が折れて死亡。

百目鬼良子:目指せ!ロープブレイク
リング上で、体がマッチョで頭部はモノクマなレスラーに、チョークスリーパーをかけられる。
反則レベルで完全に決めており、このままでは死ぬのだが、モノクマはロープに触れたらブレイクとして技を解くと言う。
チョークをかけられたまま、百目鬼は必死にロープを目指し、ようやく届いてロープを握ると、高圧電流が流れており、感電。
約束通りモノクマはチョークを解いたが、結局百目鬼は電流によって死亡。

白鳥輝穂:癒し系の陰
メルヘンチックな空間に白鳥は投げ出され、そこには可愛い動物達もいた。まさに癒し空間と言える場所だった。
しかし動物達が急変し、凶暴化して白鳥に噛みつき、生きたまま白鳥を食べ始める。
必死に抵抗するも、白鳥にはどうしようもなく、ついに絶命して食いつくされる。
お腹一杯になった動物達は再び可愛い癒しモードに戻るが、その口の周りは赤く染まっていた。
893:🎏 クロとしてのおしおき案:2014/2/7(金) 02:00:02 ID:bTxOF7LMbI
黒魔帝兎:常勝軍団の恒例行事
何故か巨人の監督となって、ドームで行われている優勝決定戦を見守っていた。そして巨人が見事勝利。
選手達によって胴上げされるが、その流れで、何故か設置されていた大砲に入れられて、黒魔帝を弾として上に向けて発射。
これまた何故か鋼鉄と化していたドームの天井に叩きつけられて、瀕死状態に。
そこから落ちていき、選手達はビールかけのために移動してて居なくなっており、地面に叩きつけられて死亡。

場明日虎美:猛虎の猛虎による猛虎のための応援
場明日は阪神のピッチャーとして甲子園のマウンドに立っていた。スタンドは阪神ファンで埋め尽くされ、場明日を応援している。
相手チームは巨人。ところが、スコアボードには巨人の得点がどんどん増えていく。
九回が終わる頃には大差で負けてて、スタンドの阪神ファン達が怒ってバット片手にマウンドに乱入。
巨人相手に負け投手となった場明日を粛清するためバットでボコボコに。阪神ファン達が満足して帰る頃には、場明日は帰らぬ人となっていた。

相田鳥子:クイズ番組って素敵やん?
クイズ番組のスタジオみたいなところに連れてこられた相田は、透明なボックスの中にある解答席に座らされる。
そして出題されると同時に、ボックスの中に水が流れ込んでくる。問題に正解すると水が止まる仕様らしい。
ところが、相田は馬鹿なので一向に正解できない。やがてボックス内は水でいっぱいに。
水で満たされたボックスの中で相田はどうすることもできず、間もなく溺死。

肉丸健太:最後の晩餐
豪華なテーブルに並ぶ大量の料理。その席で肉丸は拘束されている。
モノクマがそれらの料理を肉丸に無理やり食べさせる。
無茶なペースで延々に口の中に料理を詰め込まれ、お腹も酷くはれていく。やがて限界を超えて、お腹が破裂。お腹に大穴が開いて今まで食べた料理が噴き出す。
食べ物を粗末にしては駄目だとモノクマが肉丸に怒るものの、彼は既に絶命していた。

夜桜愛梨:メイドのお仕事
夜桜のご主人様と化したモノクマが、掃除や洗濯といったメイドの仕事を命令する。普通と違うのは、熱された鉄板の上でやるように指示している。
当然夜桜は拒否するのだが、モノクマが無理やり鉄板の上に落としてしまう。メイドの仕事が終われば助けてやるとのこと。
夜桜は焼かれながらも必死で仕事をするが、鉄板で焼かれながらまともに仕事ができるはずもなく、どんどん肌が焼きただれていく。
そしてとうとう死んでしまい、焼かれた肉と化してしまう。モノクマは食事を作れと命令し忘れてたのを思い出すが、ちょうどよくごはんが出来たとあざ笑うのだった。
894:🎏 クロとしてのおしおき案:2014/2/7(金) 02:02:45 ID:bTxOF7LMbI
中村闘球:絶望コンバージョンキック
ラグビーはトライを決めて5得点した後に、コンバージョンキックという、ゴールポストのバーを越えるようにボールを蹴り入れることで2点の追加得点を狙える。
そのコンバージョンキックの場面らしいのだが、ボールの代わりに、頭だけ出して地面に埋まってる中村の姿が。
そこに、つま先に大きな刃物をつけたラガーマンスタイルのモノクマが助走をつけて中村に向かい、そのままキック。
ボール代わりに飛んでいった中村の頭部は、見事ゴールポスト間のバーを越え、コンバージョンキック成功。中村の命と引き換えに2得点を得る。

中岡笑:ボケとツッコミ
気がつくと中岡はお笑いステージに立っていた。一人ではなく、隣にはモノクマがいる。
ボクが突っ込むからボケろとモノクマに言われ、素直にボケる中岡。するとモノクマは消えてしまう。
消えたかと思ったら、突然ダンプカーが中岡に突っ込んできた。ダンプカーに轢かれて中岡は即死。
その中からモノクマが降りてきた。「ツッコミでいちいち死んでんじゃねーよ!もうええわ、どうもありがとうございましたー」

中後小百合:ピアノの音色は絶望の調べ
中後が連れてこられた場所にはピアノとモニターがあった。そのモニターには愛しの先生が映っている。喜ぶ中後。
「久々に中後のピアノが聴きたい」先生のその発言でピアノを演奏する中後。素晴らしい音色を奏でた。
モニターの先生に感想を求めると「自分の教え子でありながらこの程度か。失望した。死ね」その発言で中後が絶望したと同時に、ピアノが爆発して死亡。
その後、モニターに映ってる先生の映像が乱れたかと思うと、某名探偵のネクタイ型変声機を持って大笑いするモノクマが映った。

キング:忌まわしき記憶よ、地獄の業火と踊れ
キングは、幼いころに住んでた家の自室と瓜二つの部屋に閉じ込められる。
そしてあの日と同じように、火事になってしまう。
脱出をしようにも、ドアは開かず、どんどん燃えていく部屋の中でキングはどうしようも出来ない。
やがて火の手はキングにも上がり、生きたまま燃やされてしまう。部屋が燃え尽きる頃にはキングの命も燃え尽きていた。

水留崇:フラグ回収
何故か水留は戦闘機の運転席に座っていた。シートベルト等でガチガチに固められており、身動きが取れない。
すると、実際に水留が喋ってるわけではないが、水留のまわりに台詞の書かれた吹き出しが現れる。そのどれもが、わかりやすい死亡フラグだった。
吹き出しが消えると同時に戦闘機が発進。水留が運転してるわけでなく、勝手に動いている。
その勝手に動く戦闘機は、凄まじい速さで壁に激突。大爆発を起こして塵となった。
895:🎏 喜んでもらえるプレゼントまとめ:2014/2/7(金) 02:04:55 ID:bTxOF7LMbI
喜んでもらえるプレゼントまとめ

氷室エリカ
熊でも変わる会話術:社交的な性格を目指す会話術の本。これで変わらないなら人生諦めた方がいい。
簡単な絵画:簡単に描けると言われるが、実はそうでない絵画。絵の中の木々は、友達がいるから寂しくない。
様々な花束:いろんな種類の花がある花束。これだけあれば、何かひとつくらいは相手の好みに当たるはずである。
ベタベタ恋愛小説:わかりやすくベタな恋愛小説。でも、恋する少女が読めば愛するあの人で妄想し、夢心地になれる代物。

本田川佑子
プロテイン・センズ:死にかけるほどのトレーニング後に飲めば、某戦闘民族のようになれるプロテイン。
サッカーの極意:そのままサッカーの極意が記された幻の本。急にボールが来た時どうすればいいか書いてある。
友達のボール:自分で買った覚えがないボール。借りパクしたかもしれない。それで友達に嫌われたら、このボールを友達とすればよい。
超強力ヘアゴム:どんなにハードな動きでも完璧に髪をまとめるヘアゴム。ただ強力すぎて頭が痛くなる。

百目鬼良子
プロテイン・センズ:死にかけるほどのトレーニング後に飲めば、某戦闘民族のようになれるプロテイン。
タイガー覆面:これを被れば強くなれるが、代わりに言語能力を失ってしまう。
呪術師フォーク:普通のフォーク。のはずなのだが、凶器になり得る危険性をどこか感じさせる。
SSMマスク:すぐに正体がばれてしまう覆面。また、被るとネガティブになり、謝りたくなる。

白鳥輝穂
超リラックス香水:癒し効果のある香水。その香りは大草原を思わせる。
わんにゃんセット:とっても可愛い動物達。しかし犬派対猫派の悲惨な戦争を引き起こす恐れもある。
ぷち人間:小さいサイズの二頭身な人間。かわいいと、概ね好評である。性格は個体によって様々。
モエ豚:珍しい種類のペット用の豚。飼い主が女性だと懐きやすく、男性だと悪態をつく。
896:🎏 喜んでもらえるプレゼントまとめ:2014/2/7(金) 02:07:25 ID:bTxOF7LMbI
黒魔帝兎
Oさんのバット:使えば自然とホームランが打てるバット。しかしOさん以外が使うと敬遠される。
独創的スーツ:スーツでビジっと決めつつ、個性を確立したいあなたにおすすめの独創的スーツ。
優しい気持ちになれる本:ほのぼのエピソードや優しい格言などがまとめられた本で、どんなに怒ってる人でも落ち着かせることが出来る。
△サングラス:おしゃれ用のサングラス。かけるとリーダーシップや有言実行な性格になれると言われている。

場明日虎美
猛虎魂:虎を愛する心。本来は非売品だが、今回は特別に販売された。
大人の牛乳:栄養満点で成長を促す牛乳。子どもの他に、大きなお友達が愛用する。
激安カップラーメン:見た目も味も実際の値段も何もかも安いカップラーメン。でも、何故か癖になってはまる。
ユニバースジャケット:とある機械人形のパイロットが愛用した服。黄色と黒の縦縞模様で、着こなすのは難しい。

相田鳥子
マグロの刺身:DHAが含まれ頭が良くなると言われてるし、何より美味しい。ご期待ください。
勉強ドリル:このドリルで貫かれると、勉強しなくても学力が上がる。ただし死ぬ可能性大。
王様の衣服:馬鹿には見えないとされる衣服。そのデザインを見たという人間は未だにいない。
強力洗髪セット:どんなくせ毛もサラサラにしてしまう。シャンプー→トリートメント→リンスの順でどうぞ。

肉丸健太
マグロの刺身:DHAが含まれ頭が良くなると言われてるし、何より美味しい。ご期待ください。
呪術師フォーク:普通のフォーク。のはずなのだが、凶器になり得る危険性をどこか感じさせる。
マンガ肉:一度は憧れる漫画的な骨付き肉。現実にはないと知って子どもは大人になっていく。
激安カップラーメン:見た目も味も実際の値段も何もかも安いカップラーメン。でも、何故か癖になってはまる。

夜桜愛梨
ひとつなぎの超秘宝:伝説の山賊がどこかの山に隠した宝。これを求めて山登りブームが起こった。
高級ブランド服:どんなにださいデザインでも、高級ブランドという魔法によって有りとされる服。
ミスターツンデレフルコース:ツンデレな美食家が考案したフルコース。美味いが高級品ばかりで凄く高い。
もやし:貧乏人の大切なパートナー。その気になれば、これで祭りを開ける。うっうー。
897:🎏 喜んでもらえるプレゼントまとめ:2014/2/7(金) 02:09:28 ID:bTxOF7LMbI
中村闘球
プロテイン・センズ:死にかけるほどのトレーニング後に飲めば、某戦闘民族のようになれるプロテイン。
月刊トレーニング:筋肉質な男が多く映る暑苦しい雑誌。メインはトレーニング方法の記事であるが、最近は別の需要もある。
キソ肉マソ消しゴム:少年の遊び道具。少年の心を宿したままの男性は、これで永遠に遊んでいられる。
亀の甲羅:これを背負って牛乳配達や畑仕事をこなすと、最終的に地球人最強になれる。

中岡笑
幻のハリセン:これで突っ込まれると、糞つまらない悲惨なボケでも大笑いさせられる。
海獣秋刀魚:海獣とまで言われる巨大な秋刀魚。ファーという独特な声で鳴く。
カロリー100コーラ:カロリー0に喧嘩を売る、ドンドン太ろうというコンセプトのコーラ。
ウーキャン通信講座カタログ:いろんな資格の通信講座を申し込めるカタログ。このご時世、資格は割と重要。

中後小百合
泳いでるオルガン:とある警察局長が愛したとされるオルガン。その音を聞くとしばらく耳から離れない。
とあるソナタの譜面:魔王が作曲したとされる曲。これを聞くと呪われてしまうと言われている。
ベタベタ恋愛小説:わかりやすくベタな恋愛小説。でも、恋する少女が読めば愛するあの人で妄想し、夢心地になれる代物。
着せ替えキャメラ:着せたいデザインの服をセットして撮影するだけで、撮影した相手にその服を着せることが出来る。

キング
タイガー覆面:これを被れば強くなれるが、代わりに言語能力を失ってしまう。
男装スーツ:どんなに魅力的な女性もこのスーツを着れば男性を装うことが出来る。破れやすいのが玉にきず。
世紀末サザンクロスフィギュア:荒廃した地域を支配した軍の主要人物フィギュア。ボスと巨漢が人気。
饒舌の王冠:これを被ればお喋りになって解説を務めることができる。ほんの少し王様気分も味わえる。

水留崇
ステーキ:出撃命令が出たら食べるのを中断しなければならないが、生きて帰ればまた食べられる。
生化危機的手帳:不慮の事態に巻き込まれても、これに状況を書き記せば、死んだ後に誰かにアイテムとして拾ってもらえる。
万能鍵:どの部屋でも開けられる鍵。そうして部屋に閉じこもっていれば、絶対に殺されることはない。
100%安全商品:何かは知らないが、今まで一度も事故が起こらなかった安全な商品。ただしデータは過去の物で、これからも安全か保証はできない。
898:🎏 :2014/2/7(金) 02:10:43 ID:bTxOF7LMbI
特別なプレゼント

校章バッジ:プロローグをクリアした証。希望ヶ峰学園の校章のバッジ。

親友の香水:チャプター1をクリアした証。本田川が白鳥から借りた香水。悲しい結果に終わったが、白鳥はずっと親友でいたいと思ってる。

ティアライトテープ:チャプター2をクリアした証。伸縮性に優れたテーピング。中村の愛用品。

漆黒の繊維型頭部防衛頭巾:チャプター3をクリアした証。要するにキングのカツラ。頭より顔を隠すための物なので髪が長め。

絶望DVD:チャプター4をクリアした証。結局はこれが左雨の未来を絶望へと向かわせてしまった。

アイビー:エピローグをクリアした証。残酷な結末だが、それから逃れることはできない。死んでも離れない。
899:🎏 :2014/2/7(金) 02:23:32 ID:bTxOF7LMbI
モノクマ「おまけは以上です。おまけもこれでおしまいなので、後は煮るなり焼くなり好きにしてください」

モノクマ「左雨くんが卒業しちゃったから、今学校に誰もいなくて寂しいんですよね。ほら、ボクって超高校級の寂しがり屋だからさ」

モノクマ「まあ嘘ですけどね。それはともかく、保管庫いくまでの間、ある意味廃校と化したこの希望ヶ峰学園でレスしたければ好きにしていいよ」

モノクマ「今なら荒すチャンスかもしれません。オワコンは何をされても文句は言えないでしょうしね!」

モノクマ「あと、おまけの要望を書いておけば、内容によればこっそり実行してるかも!?」

モノクマ「ただのレス稼ぎで終わるかもしれないけどね。実行するとは言ってないし!うぷぷぷ!」

モノクマ「……偽物に付き合ってくれたオマエラ、ありがとうございました。演習も終わったので、ボクは本番の方に移るとします。じゃあねー!」
900:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/7(金) 07:02:20 ID:6KdyPMHBok
1乙
面白かった
901:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/7(金) 14:07:32 ID:4kbpDsAcTA
1乙ー!毎回楽しみにして読んでました!
でも一つ言うなら相田ちゃんが犯人の話が読んでみたかった
速攻でバレるのか、案外バレないものか…
902:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/7(金) 14:36:48 ID:Ct1Vz94kMs
1乙!
毎回絶望させられた…
おまけも詳しくありがとう!
903:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/7(金) 17:08:35 ID:An4T.LVOxA
1乙!絶望したけど楽しかった
小百合と笑がすきだ
904:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/7(金) 17:20:41 ID:K344c3UdmY
1乙!面白かったです!
そして、やっぱり舞台設定はダンガンロンパの前でしたか

ところで被害者と犯人って最初から決まってました?
905:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/7(金) 19:56:51 ID:mMMepR1bz2
本当面白かった、ありがとう!!
アイランド的な話も見てみたい…
誰かやってくんないかなー(チラッ
906:🎏 相田鳥子の裁判:2014/2/8(土) 00:20:39 ID:bTxOF7LMbI
>>901どこかで歯車が狂えばあったのかもしれない、相田鳥子の裁判

モノクマ「……あ、じゃあ裁判始めます。だれかさっさとまとめてください」

左雨瑞樹「……今回の事件、犯人は鳥子だ」

左雨瑞樹「昼間、俺は食堂でエリカ、料理三人組の四人と一緒にいた」

本田川佑子「私と百目鬼さん、白鳥さんが証人だよ。……あれ?でも氷室さんはいたっけ?」

白鳥輝穂「いましたよ。静かで目立ちませんでしたけど……私が見てます。それに、今の発言から察するに、左雨さんも見ているはずです」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「そんな中、何かを叫ぶ健太と、包丁を持った鳥子が、厨房の方からやってきたんだ」

肉丸健太「相田さんが中岡くんを殺すって言ってさー、必死に止めてたんだよー」

左雨瑞樹「鳥子は殺害計画を健太に相談してしまい、その計画が俺達に漏れてしまったんだ」

百目鬼良子「私達も相田さんを止めようとしました。でも、相田さんは聞いてくれなくて、廊下に出ていってしまいました……」

左雨瑞樹「ちなみに、何故笑を殺そうとしてたのかは不明だ」

左雨瑞樹「とにかく、鳥子は手にした包丁で笑を殺すため、笑の部屋へと向かった。しかし、ここで誤算が生じたんだ」

左雨瑞樹「鳥子は笑の部屋がどこかわからず、食堂に引き返して俺達に場所を聞いてきたんだ」

左雨瑞樹「そこで俺が鳥子の足止めをし、その間に佑子達に笑を助けにいくよう指示したんだ」

百目鬼良子「相田さんがあなたの殺害を企んでいるので、絶対に部屋から出ないでくださいって、中岡さんにそう頼んでおきました」

本田川佑子「中岡くん、何回言ってもフリですか?とか言うからさ、最終的に私切れちゃったもん」

白鳥輝穂「本田川さん、すごい怒鳴ってましたよね……」
907:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/8(土) 00:21:24 ID:djHVrpPO/c
1乙!
最悪の惨事に
最大の讃辞を
908:🎏 相田鳥子の裁判:2014/2/8(土) 00:22:29 ID:bTxOF7LMbI
左雨瑞樹「一方、いつまで経っても教えない俺に痺れを切らした鳥子は、自力で笑の部屋を探すことにした」

左雨瑞樹「虱潰しに部屋をノックして、笑が出てくるのを待つ作戦に切り替えたんだ」

左雨瑞樹「しつこいけど、何故笑を殺そうとしてたのかは不明だ」

左雨瑞樹「そんな中、怪しいと思ったのか、鳥子はある部屋の前で執拗にノックを続けた。ちなみにその部屋は鳥子の部屋だった」

百目鬼良子「あの時は皆さんが騒ぎを聞きつけ、遠巻きに見てたり説得を試みてましたよね。自室に待機してた中岡さん以外の全員がいたと思います」

本田川佑子「モノクマもいたよね。ばれちゃ駄目なんだって!ばれないようにやれこの馬鹿!とか叫んでたよね」

左雨瑞樹「執拗にノックを続けていたその時、悲劇は起こってしまった」

左雨瑞樹「ずっと、包丁を持ってない左手でノックしてたんだが、急に包丁を持ってる右手でノックし始めたんだ」

左雨瑞樹「包丁を持った手でドアをドンドン叩いたせいで、刃が自らに向いてしまった。そして強くたたいたその弾みで、包丁は鳥子の額に……」

左雨瑞樹「これが事件の全貌だ。鳥子を殺したのは、他ならぬ鳥子自身だったんだよ……」

モノクマ「知ってるよ!中岡くん以外の全員が目撃してるんだからさ!」

モノクマ「せっかくの学級裁判がパーだよ!相田さんはどこまで馬鹿なのさ!?絶望的だよ!」

モノクマ「ボクね、絶望なら何でもいいと思ってたんだよ。誰もが望まない結末を迎えられれば、それが楽しいって……」

モノクマ「でもこれは全然楽しくねーよ!何ですか、この出来レースは!?左雨くんも左雨くんで茶番を長々続けているんじゃないよ!」

中岡笑「何か勝手に殺されそうになって、勝手に死なれて、自分はマジで解せないですよ……」
909:🎏 相田鳥子の裁判:2014/2/8(土) 00:23:49 ID:bTxOF7LMbI
モノクマ「はあ。今回の裁判は糞つまらない結果になりました。謎なんかも一つもないですしね」

場明日虎美「中岡が狙われ続けたんは謎やけどな……」

モノクマ「異常事態ですよ。こんなつまらない事件は初めてですよ。名探偵ドイルでこれを放送したら、たちまち明日スポンサーがいないって事態になります」

モノクマ「それは困るわけですよ。今回ばかりは視聴者のクレームも妥当な糞展開ってわけです」

モノクマ「ですが、それもこれも愛する生徒の暴挙です。その責任は学園長のボクにもあるんでしょう」

モノクマ「ですので、責任を持って、この糞展開からどうにかして面白いことをしたいと思います」

モノクマ「というわけで、被害者が犯人ということで本来はおしおきが出来ない事態なんですが……」

モノクマ「殺されるはずだった中岡くんをおしおきして、何とかこの場は凌ぎましょう!」

中岡笑「何でですかああぁぁ!?」

※ネタです。
マジレスすると、相田は、馬鹿は馬鹿でも良い馬鹿なので、殺人などの行為には及ばないと思います。
なので、相田が犯人の裁判はそもそも起こらないと思います。何かが間違って起きたとしても、たぶん事件は簡単に解決できると思います。
とは言え、今のネタみたいなことにはならないと信じてあげたいです。もうちょっとまともな事件を起こせると信じたいです。
910:🎏 :2014/2/8(土) 00:26:35 ID:bTxOF7LMbI
>>904
ダンガンロンパの前というか、架空の話って意識の方が強いです。本編の前にあった話とすると、辻褄を合わせるのも大変な気もしますし。
やっぱり偽物の物語ですので、苗木くん達のいないパラレルワールドでの出来事って感じじゃないでしょうか。
偽物の世界をモノクマがコロシアイ学園生活のシミュレーションに使ったっていうのが自分は一番しっくりきます。モノクマなら何でも有りな気もしますし。
俺は俺で原作をやる前の体験版みたいな意識で書いてました。体験版的な偽物では卒業生が出ましたが、原作ではどうなんでしょう?というわけで、原作をやりましょう。

被害者と犯人をセットで最初から決めていたのは、中村・場明日と左雨・氷室のペアです。
犯人だけが決まってるパターンだとキングだけです。水留はすぐ死ぬ定めでした。後の皆は書きながら流れで決まりました。
911:🎏 :2014/2/8(土) 00:28:29 ID:bTxOF7LMbI
>>905
アイランドモードって2ですよね。
実は2はまだやってないです。1やって、面白かったからSS書いてみたいなって思ったんですけど。
1だけの知識で書きたかったのと、書くのが難しいSSだけど途中で投げださないようにするために、SSを無事に完結させてから2をやろうと決めてました。
俺このSSが終わったらダンロンの2をやるんだってことです。死亡フラグっぽいけど、今も生きてます。ダンロン2がやりたくて頑張ることが出来ました。
というわけで、最近2を始めたばっかです。キングと同じく中二キャラがいて焦りましたwww
しかも向こうは才能とは関係なくただのキャラとして中二を極めており、キングの立つ瀬がないなーって思いながらやってます。

前置きが長くなりましたが、そんなわけでアイランドモードをやったことないです。
でも実は、ざっくりとどういうのかは知ってます。要するに、もしもコロシアイがなかったらっていう体の生活が出来る感じですよね?
書き溜め期間も含めると1年近く書いてたことになりまして、水留以外の全員に凄い愛着がありますので、普通の学園生活を送って幸せになってほしい気持ちがあります。
ですので、機会があったら、コロシアイなんてなかったっていうIF的なのも書きたいなーって願望はあります。あくまで願望です。
912:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/8(土) 02:27:46 ID:PBYPO0tWbQ
1乙です!
小百合好きです。
913:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/8(土) 05:39:23 ID:N0nxWG/O6Y
超高校級の顔芸(ボソッ
914:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/9(日) 13:18:04 ID:e9ACPe55ao
白鳥さんがクロだったときのこととか気になる
どういうトリックとかじゃなくて、被害者だとか、殺した理由だとかそういうものの方が知りたい
915:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/9(日) 13:54:32 ID:6KdyPMHBok
>>914
オイオイ書いてくれるわけないだろ?
まあ時間があったら書いてくれるかもだが(チラッチラ
916:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/10(月) 00:58:36 ID:jd7eTXqu9Y
最初の方から見てたけど面白かった!
もし続くならまた追いかけていきます。これで終わりなら本当にお疲れ様でした!!

長期間続くssで飽きなかったのこれが初めて
917:🎏 :2014/2/10(月) 01:48:45 ID:bTxOF7LMbI
>>914
通信簿や、この辺り>>711の話でもありますけど、白鳥さんは幼少の頃の父親の虐待がトラウマとなって、そこから才能を開花させてます。
だから白鳥さんは怒鳴られたりとか、悪意を向けられるのとか、暴力を振るわれるのが苦手です。まあ得意な人もいないと思いますけども。
それを考えると、すぐ死んじゃったけどフラグっぽくカリカリしてる水留くんがもしも生きてたら、けっこう苦手にするような気がします。
また、場明日さんとの件がまだ発生していない高圧的な頃の黒魔帝くんも十分苦手だと思います。
場明日さんも言動は荒いけど、彼女の場合は根っこに優しさがあるので、人の悪意・善意に敏感な白鳥さんはちゃんと気付いて、そこまで苦手にしないと思います。
それはさておき。コロシアイ学園生活の中で、徐々に狂って前述の二人の態度がより悪化したかもしれません。もしそうなったら、二人の態度が虐待する父と重なりトラウマが蘇るんじゃないでしょうか。
白鳥さんはその容姿や雰囲気、心遣いで場を和ませることが出来ますが、さすがに殺し合いの異常な空気までは払拭できないと思います。
自分がいくら足掻いても、父親のトラウマが離れてくれない。それから逃れたいと必死に願ううちに精神が蝕まれて殺害を決意……。
だいたいそんな感じじゃないでしょうか。でも、白鳥さんは優しくて真面目なので、犯行後はその罪の重さで押しつぶされそうになると思います。本田川さんパターンですね。

ちなみに、トリックとかは全然考えてませんけど、白鳥さんは間違いなく15人の中で一番弱いです。
なので、凶器とか細かいトリックを凄い工夫しないと誰かを殺すことはできないと思います。ですから、白鳥さんがクロの話は、考えるのが相当難しいと思います。
想像するだけで、もう書きたくないです。まぢ無理。マリカしょ。
918:🎏 :2014/2/10(月) 01:50:31 ID:bTxOF7LMbI
>>916
>>911でも書きましたけど、コロシアイなんてなかったんや、的なIFっぽい話は書きたい願望があります。
もしそれが実現しましたら、殺害も推理も謎もなく、皆で仲良くホンワカパッパするだけの話となります。
それでいいんでしたら、あんまり期待しないで待っててもいいのかもしれません。あくまで願望ですので、マジでやるのか、言い切ることが出来ないです。

ちなみに、ダンガンロンパ2ですけど、土日暇だったんでめっちゃやってクリアしました。
めっちゃ面白かったです。一人マジで半端なく胸糞悪い奴がいるんですけど、ぶっちゃけあいつのおかげで2はかなり面白くなってると思います。
そして第一印象では普通って思ってたあの女の子が、クリアした今となっては愛しくて愛しくて仕方ないです。
本当面白いんで、皆もダンガンロンパ2を買いましょう。おすすめです。
俺は今、アイランドモードであの女の子とらーぶらーぶになれるよう頑張ってます。
919:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/10(月) 07:37:07 ID:6KdyPMHBok
●神さんがまさかの序盤死する奴?
920:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/12(水) 10:57:36 ID:veYu8pQO3g
これを期にダンガンロンパ買ってみようかな…
921:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/17(月) 02:15:24 ID:Zw75VqElUE
Happy new dayから早二時間、、、
私を何時になったら幸せにしてくれるのかな?
922:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/17(月) 02:17:52 ID:Zw75VqElUE
私は結構前にやったけど、
1をやっている人がいたら最初2でえ?ってなるかも
923:🎏 名無しさん@読者の声:2014/2/20(木) 08:12:16 ID:mMMepR1bz2
早く3出ないかなー
924:🎏 名無しさん@読者の声:2014/3/6(木) 17:25:18 ID:BbaxKm3gIw
   /⌒⌒⌒\
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 (Vヽ・) ) (・ノV)
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ダンカンロンパだと?


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